化物語(上): 第二話 まよいマイマイ

145544 words
728 minutes
化物語(上): 第二話 まよいマイマイ
META

audio from Amazon Audible
desc: 向着阿良良木历从天而降的少女・战场原黑仪,身上几乎可以说是完全没有所谓的体重这回事——!?青春里,总少不了这般荒诞离奇的事!

001#

八九寺真宵と遭遇したのは、五月の十四日、日曜日のことである。この日は全国的に母の日だった。お母さんが好きな人でも嫌いな人でも、お母さんと仲がいい人でも仲が悪い人でも、日本国民ならば誰もが平等に享受きょうじゅすることになる、母の日。いや、母の日の起源は、確かアメリカだっただろう。ならばクリスマスやハロウィン、バレンタインデーなどと同列に、一種のイベントと考えるべきなのかもしれないが、とにかく、五月十四日というこの日は、カーネーションの消費が一年三百六十五日の中でトップを記録し、各地の家庭で、『肩たたき券』やら『お手伝い券』やらが、行き交っている日だったのだと思われる。いや、そんな風習が今も現存しているかどうかはわからないが、いずれにせよ、この年の五月十四日が母の日であることは、確かだった。

遇见八九寺真宵,是发生在五月十四日,礼拜日的事情。这一天是母亲节,全国性的节日。无论是喜欢母亲的人也好或讨厌母亲的人也好,与母亲感情融洽的人也好或感情失和的人也好,只要是日本国民,谁都可以平等地享有母亲节。不过,母亲节的起源,没记错的话应该是在美国吧。既然这样,应该要把母亲节和圣诞节、万圣节和情人节等节日并列,把它归类成一种庆祝活动。不管怎样,五月十四日这一天,康乃馨的消费量创下一年三百六十五天当中的最高纪录,可想而知,各地的家庭,这一天也盛行着「捶背券」或「家事帮忙券」等东西。不,我并不清楚那种风俗现在是否还存在,不管怎么说,今年的五月十四日确实是母亲节。

そんな日。

在这个日子。

そんな日の、午前九時。

在这个日子的,早上九点钟。

僕は見知らぬ公園のベンチに座っていた。馬鹿みたいに青い空を、馬鹿みたいに見上げながら、さして何をするでもなく、見知らぬ公園のベンチに座っていた。見知らぬどころか聞いたこともない、そこは、公園だった。

我坐在陌生公园的长椅上,像笨蛋般抬头仰望着,像笨蛋般蔚蓝的天空,无所事事地呆坐在那里。这座公园岂止陌生,我根本连听都没听过。

浪白公園と、入り口にはあった。

浪白公园,入口处这样写着。

それが『なみしろ』と読むのか『ろうはく』と読むのか、あるいはもっと他の読み方をするものなのか、僕にはまるでわからない。何に由来するものなのかも、だから当然、わからない。勿論、そんなことがわからなかったからといって、どうということもない。何の問題も生じない。僕は確固たる目的があってその公園に来たわけではなく、ただ単に、でたらめに、気分気ままに足の向くままにマウンテンバイクで駆けていたら、その公園に行き着いてしまったという、あくまでそれだけのことなのだから。

那两个字要念作「NAMISHIRO」还是「ROUHAKU」,或者还有其他的念法,我完全不知道。想当然耳,就连名称由来是什么,我也一无所知。这种事情就算不知道,也没有任何影响,不会产生任何问题。我并非怀着明确的目的来到这座公园,只是单纯地、随意地、率性而为顺其自然地骑着越野脚踏车向前奔驰,结果就来到这里了,仅此而已。

来訪と到着との違い。

来访和抵达的差异。

当人の僕以外には、同じことなのだろうけれど。

对我以外的人来说,都是一样的吧。

自転車は入り口付近の駐輪場に停めた。

我的脚踏车停放在入口附近的脚踏车停车场。

駐輪場には、放置され過ぎ、雨風に晒され過ぎて、もう自転車なのだか錆の塊なのだかよくわからない物体が二台ほどあったくらいで、他には一台も、僕のマウンテンバイク以外は一台も、停められてはいなかった。こういうとき、アスファルトで舗装された道をマウンテンバイクで駆ける空しさを一層感じるものだが、何、そんなものは、たとえこういうときでなくとも、いつだって感じている空しさだった。

停车场里,只有两辆弃置已久,久经风吹雨打,已经分不清楚究竟是脚踏车还是锈铁块的物体,除此之外没有任何一辆,除了我的越野脚踏车以外,没有任何一辆车停放在里面。这种时候,我更加强烈感受到,骑着越野脚踏车奔驰在柏油路上的空虚感。算了,空虚感这东西,就算不在这种时候,也随时都感觉得到。

結構広い公園だった。

这座公园相当宽广。

といっても、それは単純に、遊具が少ないせいでそう感じるだけなのだろう。広く見えているだけなのだ。端っこの方にブランコと、猫のひたいほどの砂場があるだけで、他には、シーソーもなければジャングルジムもない、滑り台すらない。高校三年生の僕としては、公園というその場所は、本来もっと郷愁を誘われるべき座標なのかもしれなかったが、むしろそれとはまるっきり逆の感情を、僕は、胸に抱かないでもなかった。

话虽如此,会这么感觉,纯粹是因为游戏设施太少的缘故吧。只是看起来宽广而已。仅在角落有着秋千,和巴掌大的沙地,没有翘翘板也没有攀爬铁架,甚至连个溜滑梯也没有。对高中三年级的我来说,名为公园的场所,原本应该是更能引起乡愁的地方,然而现在我心中怀抱的,倒不如说是完全相反的情感。

それとも、何だろう、ああいうことだろうか。公園遊具の危険性、子供の安全を考えての結果、みたいな話で、昔は色々と設置されてあった遊具が、撤去されてしまっての、その形だったのだろうか。もしそうだったとしても、僕の感想自体は変わらないけれど、それに、そうならば何より危ないのは間違いなくブランコだと個人的には思うけれど、でも、まあ、そういうこととは関係なく、今、自分が五体満足でいる奇跡とかを、痛感しなくもなかった。

又或者,是另有原因吗?比如顾虑到公园设施的危险性,和考虑到儿童的安全,所以过去曾经设置的各种游戏器材都被撤走了,形成现在的结果。即使真的是这样,我的感想本身也不会改变,况且,果真如此的话,个人认为最危险的肯定是秋千才对。不过算了,那些都无关紧要,我也曾痛感过自己现在还能好手好脚地在这里,实在是一个奇迹。

子供の頃は色んな無茶をしていたなあ、と。

孩提时代可真是,做过许多胡闹的事情啊。

ノスタルジィとは違う感覚で、そう思った。

我怀着与乡愁不同的感觉,如此回想着。

もっとも。

话说回来。

五月十四日の僕は、その一ヵ月半くらい前の段階で、既に五体満足と言えるような身体ではなくなってしまってはいたのだけれど──まだ心に根付いている感傷の方は、どうやらそちら、その現実に追いついてはいなかったということだ。正直言って、それは数ヵ月程度で整理のつくことではない。一生かかっても無理かもしれなかった。

五月十四日的我,其实早在一个半月以前那个阶段,身体就已经无法称作是健全了——然而根植于我内心深处的感伤,似乎仍未跟上现实的脚步。坦白说,那并不是花几个月就能够整理明白的事情,或许花上一生的时间都没办法做到也不一定。

しかし、と、思った。

但是,我想。

いくら遊具がないからといっても、それでも、あまりに寂しい公園だった。何せ、僕以外、一人も、誰もいないのだ。今日は天下の日曜日だというのに、である。遊具がない分、気持ち広くなっているのだから、ゴムボールとプラスチックのバットで、野球でもやればいいのに、と思う。それとも、最近の小学生の間では、もう遊びといえば野球、それに次いでサッカー、みたいな習慣は、なくなってしまったのだろうか。最近の小学生は家でビデオゲームばっかりやっているのだろうか──それとも塾通いが忙しい? あるいは、このあたりの子供は、一日かけて母の日を祝う、孝行こうこう者ばかりなのだろうか。

就算再怎么缺少游戏设施,这座公园未免也太冷清了点。总之,除了我以外,连一个人也没有。明明今天是全世界共通的礼拜日。正因为没有游戏设施,感觉更加宽敞,用橡皮球跟塑料制的球棒,来玩玩棒球也不错啊。还是说,最近的小学生之间,已经没有讲到玩游戏第一首选是棒球,然后第二是足球这样的习惯了吗?现在的小学生只会窝在家里拼命打电动吗——或是忙于补习?又或者,这附近的小朋友全部都是孝子,会用一整天来庆祝母亲节吗?

それにしたって、日曜日の公園に、僕しかいないだなんて、まるで世界に僕一人しかいないみたいじゃないか──というのはいくらなんでも大袈裟だとしても、まるで、この公園の所有権が、僕にあるかのようだった。もう二度と、家には帰らなくていいみたいな、そんな気分になった。僕だけ、一人だけだから……ん。いや、一人、いた。僕だけではなかった。僕の座っているベンチから、広場を挟んで反対側、公園の隅っこの方、鉄製の看板、案内図──この辺りの住宅地図を眺めている、小学生が一人。背中を向けているので、どんな子かはわからない。大きなリュックサックを背負っているのが印象的だった。一瞬、仲間を見つけたような気になって、僕の心はかすかに緩んだが、しかし、その小学生は、その案内図にしばらく向き合った後、何かを思いついたように、公園から去っていった。そして僕だけになった。

即便如此,礼拜天的公园里,除了我以外别无他人,简直就像全世界只剩下我一个人了不是吗——也许这样讲太过夸张,但感觉就像这座公园的所有权都归我一样。我有种仿佛不用回家也没关系的心情。只有我,反正只有我一个人……嗯?不对,还有一个人。并非只有我而已。我所坐的长椅,隔着广场的正对面,在公园一角,有块铁制广告牌,上面是导览图——一名小学生,正望着附近住宅区的地图。因为她背对着我,所以我不清楚她是个怎样的孩子,但她背着一个大背包,让人印象深刻。一瞬间,我有种找到了同伴的感觉,心情稍微平缓下来,然而那名小学生,在面向那张导览图一阵子以后,仿佛想起什么似地,便从公园离去了。于是只剩下我一个人。

また一人か。

又一个人了吗?

そんなことを思った。

我心里这样想着。

──兄ちゃんは。

——哥哥。

そこでふと──妹の言葉が思い出された。

此时我忽然——想起妹妹说的话。

マウンテンバイクで家を飛び出るときに、僕の背中に、無造作に投げ掛けられた言葉。

当我骑上越野脚踏车正要冲出家门时,她在我身后随口说出的一句话。

──兄ちゃんは、そんなことだから──

——哥哥老是这样——

ああ。

啊啊。

畜生、と、僕は、さっきまで取っていた空を見上げる姿勢から、今度は地面を一直線に見詰めるような、頭を抱える姿勢を、取ることになった。

可恶,我从原先仰望天空的姿势,转而变成双手抱头,直盯地面。

暗い気分が、あたかも波打ち際のように、押し寄せてくる。

阴暗的情绪,宛如波涛汹涌,不停朝我逼近。

空を見て、大分落ち着いてはいたのに、今更のように、自分の卑小さが嫌になる。自己嫌悪とはこういう感情を言うのだろう──普段僕は、あまりそういうことで悩むタイプではないのだが、むしろ悩みなんて言葉にはとんと縁がないのが僕なのだが、ごくたまに、そう、五月十四日のような、そういうイベントじみた日には、何故か大抵、そういうコンディションになってしまう。特別な状況、特殊な設定。そういうものに、僕は酷く脆い。落ち着きを失ってしまう。浮き足だってしまうのだ。

原本看着天空,心情已平静许多,结果现在又开始厌恶起自己的卑微渺小。所谓的自我厌恶应该就是这样的情绪吧——平常我不是会为这种事情而烦恼的人,倒不如说是与烦恼两字无缘,但偶尔也会有一次,没错,就像五月十四日这样,充满各种庆祝活动的日子,我就会莫名地陷入这种状态。举凡特别的状况,特殊的设定,我对那类东西异常地脆弱。会不由得失去平静,甚至会想要逃避。

ああ、平日最高。

啊啊,还是平常的日子最棒。

早く明日になってくれ。

明天快点到来吧。

そんな微妙なコンディションから──蝸牛にまつわるそのエピソードは、始まったのだった。裏を返せば、僕がそんなコンディションでさえなければ、それはあるいは、始まりさえしなかったエピソードだったのだろう。

在这种微妙的状态下——一个与蜗牛有关的插曲,就此展开了。老实说,假如当时我不是处于那种状态的话,或许这个插曲根本就不会发生吧。

002#

「あらあら、これはこれは。公園のベンチの上に犬の死体が捨てられていると思ったら、なんだ、阿良々木くんじゃないの」

「唉呀!我还以为是什么东西勒。还想说怎么会有人把狗的尸体丢在公园长椅上,什么嘛,原来是阿良良木啊。」

人類史上恐らくは初めての試みになるであろう奇抜な挨拶が聞こえた気がして、地面から顔をあげると、そこにいたのはクラスメイトの戦場ヶ原ひたぎだった。

我似乎听到一个恐怕是人类史上史无前例的奇特问候方式,于是将头从地面抬起,发现同班同学——战场原黑仪就站在眼前。

当たり前だが、日曜日なので、私服だった。いきなりの犬の死体呼ばわりに何か言い返してやろうかと思ったが、その私服姿、それに学校では下ろしているストレートの髪を、ポニーテイル風に結わえている戦場ヶ原のその新鮮な立ち姿に、喉元まででかかった言葉を、僕は、思わず、飲み込んでしまった。

今天是礼拜天,她理所当然是穿便服。突然有人叫自己狗尸,原本我想要反唇相讥,但看到战场原那让人耳目一新的穿著,我不由得把冲到喉咙的话语给吞了回去。因为她除了一身便服外,还将平常在学校放下的长发,绑成了马尾。

うわ……。

呜哇……!

別に露出が多いわけでもないのに、妙に胸が強調された上半身のコーディネート──それに、普段の制服姿からは考えられないキュロット1の丈。スカートというわけでもないのに、黒いストッキングが、生足よりもなまめかしい。

她这身穿着并不是很暴露。上半身巧妙强调出胸部的衣着搭配,配上平常穿制服根本无法想象的短裤裙。明明不是裙子,黑色的裤袜却比赤裸的双脚还要来得妖艳。

「何よ。ただの挨拶じゃない。冗談よ。そんな、本気で鼻白はなじろんだみたいな顔しないで欲しいわ。阿良々木くん、ユーモアのセンスが決定的に欠如しているんじゃないの?」

「干么。我只是打个招呼而已。开玩笑的啦。希望你不要一脸扫兴的样子。阿良良木,你是不是决定性地欠缺幽默感的细胞啊?」

「あ、い、いや……」

「啊,不、不是……」

「それとも何。うぶな阿良々木くんは、私のチャーミングな私服姿に見蕩みとれちゃって至福の瞬間ということ?」

「要不然是什么?还是说情窦初开的阿良良木,看到我这身迷人的便服穿着后眼迷心荡,十分幸福吗?」

「………………」

表現がじゃなのはともかく、図星というか、確かに概ねそんな感じで正解だったので、うまい突っ込みの言葉も出てこない。

先不管她的冷笑话,确实被她说中了,我心中的感觉大概就是如此,所以我找不到适当的话语来吐槽她。

「それにしても、見蕩れるの蕩れるって、すごい言葉よね。知ってる? 草冠そうかんに湯って書くのよ。私の中では、草冠に明るいの、萌えの更に一段階上を行く、次世代を担うセンシティヴな言葉として、期待が集まっているわ。メイド蕩れー、とか、猫耳蕩れー、とか、そんなこと言っちゃったりして」

「话说回来,眼迷心荡的心荡,是一个很棒的词喔。你知道吗?写法是草字头下面一个汤。我个人觉得『荡』这个字,比草字头下面一个明:『萌』这个字还要更上一层楼。它是肩负下一个世代的微妙词汇,很受到期待呢。比如说,以后会有像女仆荡或是猫耳荡之类的词汇出现。」

「……前に見た私服とは、随分印象が違ったから、びっくりしたんだよ。それだけだ」

「……你的便服和上次的印象差很多,所以我吃了一惊。只是这样而已。」

「ああ、それはそうね。あのときは、大人しめの服を、ということだったからね」

「嗯,这么说也是。上次我穿的便服比较成熟嘛。」

「そうなのか? ふうん」

「是这样吗?嗯——」

「とはいえ、この服は、上下ともに、昨日、買ったところなのだけれどね。さしあたり2、全快祝いと言ったところかしら」

「不过,我这套衣服上下两件都是昨天新买的。当下,这应该说是庆祝康复吧。」

「全快祝い──」

「庆祝康复——」

戦場ヶ原ひたぎ。

战场原黑仪。

クラスメイトの少女。

同班的少女。

彼女はつい最近まで、とある問題を抱えていた。とある問題を、つい最近まで──そして、高校生になってから、ずっと。

她到最近为止,都背负着某个问题。那个问题直到最近都一直紧跟着她——从升上高中之后开始,始终不离身。

二年以上の間。

两年以上的时间。

間断なく。

从未间断。

その問題のせいで、彼女は友達一人作れず、誰とも接触することもできず、あたかも牢獄に閉じ込められているかのような拷問の如き高校生活を送っていたのだが──しかし、幸いなことに、その問題は、この間の月曜日辺りに、一応の解決を見た。その解決には僕も立ち会うこととなった──戦場ヶ原とは、一年生のときも二年生のときも、そして三年生の今現在でも、同じクラスで机を並べる間柄だったが、まともに話をしたのは、そのときが最初だった。そこで初めて、無口で成績のいい、あえかな風の病弱な生徒という程度の認識しかなかった彼女と、縁が生じたと言える。

因为那问题的缘故,害她无法交朋友,无法和任何人接触,度过了就像被关入牢笼般,有如拷问似的高中生活。但幸运的是,那个问题在上礼拜一,大致上解决了。问题解决时我也在现场,虽然我和战场原一年级、二年级,以及升上三年级都同窗,但那次还是我第一次和她好好说上话。因为这样,我才第一次和这位原本在我印象中是一位沉默寡言、成绩优良、纤细虚弱的女同学,有了交集。

問題の解決。

问题的解决。

解決。

解决。

とはいえ、数年にわたってその問題と付き合ってきた戦場ヶ原にしてみれば、勿論それはそんな簡単な話ではなく──簡単な話であるわけがなく、その後、昨日、土曜日までの間、彼女は学校を休んでいた。その問題についての、調査というか精密検査というかで、病院に通い詰めだったそうだ。

话说回来,战场原长年背负着那个问题,事情当然不是、也不可能这么简单就获得解决,在那之后,一直到昨天礼拜六为止,她都向学校请假。听说她因为要针对体重的问题做调查或精密检查之类的东西,所以频繁来往医院。

そして昨日。

然后昨天。

そういったあれこれから──彼女は解放された。

她从这种种的问题当中,得到了解放。

らしい。

似乎是如此。

とうとう。

总算。

逆に言えば、やっと。

要是反过来说,是好不容易。

裏を返せば、ついに。

要是说真心话,则是终于。

「まあ、そうは言っても、問題の根源丶丶まで回復するわけじゃないのだから、私としては、素直に喜べるかどうかと言われれば、微妙なところなのだけれどね」

「话是这样说没错,不过问题的根源还没有完全恢复,所以是不是该真的感到高兴,我自己也觉得很微妙。」

「問題の根源──か」

「问题的根源——吗?」

そういう問題だったのだ。

就是这个问题。

けれど、世にある問題と呼ばれる類の現象は、大抵の場合、そういうものだろう──全てはあらかじめ終了していて、それにどんな解釈を付け加えるかというのが、問題と呼ばれるものの、正体なのだから。

不过,这世上所有被称为问题的现象,大致上都是如此吧——先把它们解决完,事后再添加解释上去,这就是所谓问题的真面目。

戦場ヶ原の場合もそうだし。

战场原的情况是如此。

僕の場合もそうなのだ。

我的情况也是一样。

「いいのよ。私が悩めばいいことなのだから」

「你不用为我伤脑筋。我自己烦恼就可以了。」

「ふうん。ま、そうだな」

「嗯——你说的也对。」

そうなのだった。

就是这样。

お互いに、そう。

对彼此来说,就是这样。

「そうよ。全くそう。それに、悩めるだけの知性がある分、私は幸せなのだから」

「没错。就是这样。而且,我有那个智商可以烦恼,足很幸福的事情。」

「……どこかに悩めるだけの知性がない分、不幸せな奴がいるみたいな言い方をするんだな」

「……你这说法,好像在说有人没那个智商可以烦恼,是个不幸的家伙一样。」

「阿良々木くんは馬鹿だわ」

「阿良良木你真的是一个笨蛋。」

「直接言いやがった!」

「你居然直接说出来了!」

しかも文脈を完全に無視してやがる。

而且还完全无视文章脉络。

お前それ、僕を馬鹿って言いたいだけじゃん……。

你刚才说那些,就是想说我是笨蛋吗……

ほぼ一週間ぶりだけど、変わらないなあ、こいつ。

虽然我们快一个礼拜不见,但这家伙还是没变。

ちょっとは丸くなったかと思ったけれど。

我还以为她梢微变圆滑些了。

「でも、よかったわ」

「不过,真是太好了。」

戦場ヶ原は薄い笑みをたたえて、言った。

战场原露出淡淡的微笑说。

「今日は単なる慣らしのつもりだったけれど、この服、できれば一番最初に、阿良々木くんに見て欲しかったから」

「今天我只是打算习惯一下而已,可是这套衣服如果可以的话,我希望阿良良木你第一个看到。」

「……ふうん?」

「……嗯?」

「問題が解決したことによって、ファッションを自由に選べるようになったから、ね。これからは色んな服が、どんな服でも、制限なく着られるようになったのよ」

「因为问题解决,所以我可以自由选择穿着啦。以后各式各样的衣服,不管什么衣服我都可以毫无限制去穿它了。」

「ああ……そうだっけ」

「啊……原来是这样啊。」

自由に服が選べない。

不能自由选择衣服。

それも、戦場ヶ原が抱えていた問題の一つ。

这也是战场原背负的问题之一。

お洒落をしたい年頃だというのに、だ。

她现在明明是想要打扮的年纪。

「一番最初に僕に見せたかったっていうのは、まあ、なんっつーか、みょうに尽きるというか、光栄な話だね」

「你想第一个让我看,该怎么说呢,这应该算我非常幸运,真是光荣啊。」

「見せたかった、じゃないわ、阿良々木くん。見て欲しかったのよ。それとこれとじゃ、ニュアンス3が全然違うじゃない」

「不是我想让你看,是希望你第一个看到。这两句的语感完全不一样吧。」

「へえ…」

「哦……」

というか、月曜日、『大人しめの服』の他に、もっとすごい格好も見せてもらっているのだが……。けれど、しかし、やけに胸が強調されたその服は、確かに、かなり、僕の眼をきつく惹きつけるだけの魅力を備えていた。いいセンスをしていると言うか、まるで強力な磁力のようで、捕らえられたような気分だった。病弱という触れ込みだった彼女だが、そんな言葉とはまるで対極的な、前向きなベクトルを、感じなくもない。髪をあげているせいで、上半身のラインがよくわかる。特に胸の辺りが──いや、さっきから胸って言ってばっかりだ、僕……。そんな露出は多くない……というより、五月半ばというこの時期を考えたら、長袖にストッキングを穿いている彼女の露出は、むしろ少ないくらいなのに、とにかく、エキゾチックだ。なんだろう、一体どういうことだろう。ひょっとして、月曜日における戦場ヶ原ひたぎとの一件、それに、ゴールデンウィークにおける委員長、羽川翼との一件を経験することによって、僕は、裸や下着姿よりも、女性の着衣の方によりエロチシズムを感じる能力を身につけてしまったのだろうか……。

既然这样,我希望她除了上礼拜一的「成熟服装」外,能够再让我看到其他更惊人的穿着……不过,眼前这件特别强调胸部的服装,确实有十足的魅力,足够强烈吸引我的视线。该说她品味不错?我感觉自己宛如被强力的磁力,给牢牢捕捉住了一样。她原本给人虚弱的印象,但我却可以感觉到一种和虚弱完全成对比的积极动力。因为她束起秀发的缘故,使得上半身的曲线一目了然。特别是胸部附近——不对,从刚才开始我就一直在说胸部……她的露出度不高……应该说从五月中旬这个时间来思考,她穿长袖配上裤袜,露出度反而算少,但总而言之就是有一种异国情调。为什么,这究竟是为什么呢?难道说,在经历过上礼拜一战场原黑仪,以及黄金周班长羽川翼的事件后,我得到了与裸体和穿内衣相比,穿衣服反而会让我觉得更「性奋」的能力吗……

嫌だ……。

我不要……

高校生の段階で、そんな能力は必要ない……。

那种能力在高中阶段,没有任何必要性……

ていうか冷静になってみれば、クラスメイトの女の子のことをそういう眼で見るのは単純に失礼だと思う。激しく自分に恥じ入る感じだった。

而且冷静想想,我觉得用那种眼光来看同班的女生,是一件很失礼的事情。我对自己感到十分羞愧。

「ところで、阿良々木くん。こんなところで、一体全体、何をしているの? 私が休んでいる間に学校を退学にでもなってしまったのかしら。家族にはそんなこと話せないから、学校に通っている振りをして、公園で時間を潰しているとか……だとすれば、私の恐れていた事態がついに、といった感じだわ」

「对了,阿良良木。你在这里到底在做什么?该不会我请假的这段时间,你被学校退学了吧。因为你无法和家人说,所以才会假装去上学,然后在公园消磨时间……如果真是这样的话,那我最害怕的事情终于发生了。」

「リストラされたお父さんじゃねえか、それ……」

「你说的应该是被公司炒鱿鱼的爸爸吧……」

それに今日は日曜日だ。

而且今天是礼拜天。

母の日だっての。

是母亲节。

そう言いそうになって、すんでのところで、思いとどまる。戦場ヶ原は、事情あって、父子家庭なのだった。母親については、ちょっとしたややこしい事情を抱えている。そういうことに対してあまり気を遣い過ぎるのもかえってよくないのだろうが、かといって、無闇に振っていい話でもないだろう。母の日という言葉は、一応、戦場ヶ原に対しては、禁句にしておこう。

我险些脱口说出这句话时,悬崖勒马打消了念头。战场原因为一些缘故,所以是父女单亲家庭。她和母亲的情况,稍微有一点复杂。虽然对那种事情我要是顾虑太多反而不太好,但也不能随便把它挂在嘴巴上吧。母亲节这句话,就把它当作对战场原的禁句吧。

僕だって──

毕竟我——

進んで話したいわけじゃないし。

也不想主动谈母亲节。

「別に。暇潰し」

「没做什么。只是在这打发时间。」

「何をしているのと訊かれて暇潰しと答える男は甲斐性なしという噂を聞いたことがあるわ。まあ、阿良々木くんには関係のない話であって欲しいけれど」

「我以前听说过,问一个男生在做什么,如果他回答是在打发时间的话,那就表示那个男人没有出息。我希望这和阿良良木没有关系啦。」

「……ちょっとした、ツーリングだよ」

「……我稍微远骑了一下。」

自転車でだけどな、と付け加えた。

不过是骑脚踏车啦,我追加说明。

それを聞いて、戦場ヶ原は「ふうん」と頷き、公園の入り口の方を、一回、振り向いた。その方向には、そう、駐輪場がある。

听到这回答后,战场原点头嗯了一声,转头看公园人口的方向。那个方向,没错,就是脚踏牵停车场。

「じゃあ、あの自転車、阿良々木くんのだったのね」

「这么说,那辆脚踏车就是阿良良木的咯?」

「ん? ああ」

「嗯?对啊。」

「フレームは酸化鉄でコーティングしているのじゃないかってくらいに錆びていたし、チェーンも切れて外れていて、サドルと前輪が無くなっていたけれど、そう、あんなになっても自転車って動くものなのね」

「它的框架好像涂了层氧化铁一样整个都生锈了,链子也断掉脱落,还没有前轮和坐垫,原来,脚踏车变成那样还能骑啊。」

「それじゃねえ!」

「不是那辆!」

それは放置自転車だ。

你说的是弃置脚踏车。

「そういうのが二台あった他に、もう一台、格好いい奴があっただろ! 赤い奴! それが僕のだ!」

「除了两辆那种脚踏车外,还有一辆很酷的车吧!红色的那辆!那才是我的车!」

「ん……ああ。あのマウンテンバイク」

「嗯……啊!那辆越野脚踏车。」

「そうそう」

「对、对。」

「MTB」

「MTB。」

「まあ……そうだ」

「嗯……没错。」

MIB4

「MIB。」

「それは違う」

「这就不对了。」

「ふうん。あれ、阿良々木くんのだったんだ。でも、そうなるとおかしいわね。前に、私が後ろに乗っけてもらった自転車とは随分造形が違うみたいだけれど」

「嗯——原来那是阿良良木的啊。可是,这样一来很奇怪呢。那形状和你之前载我的脚踏车差很多呢。」

「あれは通学用。プライベートでママチャリなんて乗れるわけねーだろ」

「之前那辆是上学用的。私底下我不可能骑菜篮车吧。」

「なるほどね。阿良々木くん、高校生だもんね」

「原来如此,阿良良木你是高中生嘛。」

ふむふむと、頷く戦場ヶ原。

嗯嗯!战场原颔首。

お前も高校生なのだが。

你也是高中生吧。

「高校生、マウンテンバイク」

「高中生,越野脚踏车。」

「含むところのありそうな物言いだな……」

「总觉得你这说法好像话中有话……」

「高校生、マウンテンバイク。中学生、バタフライナイフ。小学生、スカートめくり」

「高中生,越野脚踏车。国中生,蝴蝶刀。小学生,掀裙子。」

「その悪意のある羅列はどういう意味だ!」

「那充满恶意的列举方式是什么意思!」

「助詞も形容詞もないのだから、悪意があるかどうかなんてわからないでしょう。勝手な推測で女の子に向かって大声を出さないでよ、阿良々木くん。恫喝だって暴力の一つなのよ?」

「句子里面又没有助词和形容词,所以有没有恶意还不知道吧?不要因为自己独断的推测就对女生大小声,阿良良木。威胁也是暴力的一种喔。」

それなら毒舌だって暴力の一つだろう。

要这么说的话,毒舌也是一种暴力吧。

なんて言っても、仕方ないのだろうけれど……。

但我就算说了也没用……

「じゃあ、助詞と形容詞を足してみろよ」

「那你加上助词和形容词看看啊。」

「高校生『の』マウンテンバイク『は』、中学生『の』バタフライナイフ『や』、小学生『の』スカートめくり『より』、『有り得ない』」

「高中生『的』越野脚踏车,『比』国中生『的』蝴蝶刀『和』小学生『的』掀裙子『还要』『更扯』。」

「フォローする気がないのかよ!」

「你没想过附和我一下嘛!」

「やあねえ阿良々木くん。そうじゃなくて、ここでの突っ込みは『有り得ない』は形容詞じゃなくて動詞プラス打消しの助動詞だ、でしょう」

「不对啦,阿良良木。不是这样,这边要吐槽的话,应该要说『更扯』这个字不是形容词,而是动词加上程度副词才对吧。」

「そんなもん咄嗟に言われてわかるか!」

「你突然说这种鬼东西谁听得懂啊!」

さすがは学年トップクラスの成績保持者。

不愧是学年成绩维持名列前茅的人。

いや、わからないのは僕だけなのかな……。

不对,不懂的人只有我而已吗……

国語は苦手だ。

我国文很弱。

「お前な、僕はいいよ。僕はそこまでマウンテンバイクが好きってわけでもないし、それに、僕はもう今更だから、お前の暴言については、ある程度我慢がきくからさ。我慢っていうか、融通っていうかがな。でも、マウンテンバイクに乗ってる高校生なんて、世界中、五万といるぞ? お前はそいつらを、全員まとめて敵に回すのか?」

「我说你啊,我是没关系啦。我没有很喜欢越野脚踏车,而且我事到如今,早就对你的谩骂有一定程度的忍耐力了。应该说忍耐还是说通融呢。不过,骑越野脚踏车的高中生,全世界可是有五万人喔,你要和这些人为敌吗?」

「とても最高ね、マウンテンバイク。高校生ならば誰もが憧れる逸品だわ」

「越野脚踏车实在太棒了,是一个只要是高中生,不管是谁都会憧憬的杰作。」

一瞬で手のひらを返す戦場ヶ原ひたぎ。

态度骤变的战场原黑仪。

意外と保身的な奴だった。

没想到她是一个明哲保身的家伙。

「その最高さ加減が阿良々木くんにあまりにも似合わないものだから、ついつい、心にもないことを言ってしまったわ」

「因为这么棒的东西实在太不适合阿良良木,所以我才会在无意中说了一些无心的话。」

「責任転嫁までしやがった……」

「你还把责任推卸给别人……」

「細かいことをごちゃごちゃとうるさいわね。そんなに殺されたいのなら、いつでも半殺しにしてあげるわよ」

「这些小细节你不要在那边啰哩啰唆的,你这么想死的话,我随时可以让你只剩下半条命。」

「残酷な仕打ちだ!」

「好凶狠的态度!」

「阿良々木くん、この辺、よく来るの?」

「阿良良木,你常常来这附近吗?」

「平気で話題を戻すよな、お前は。いや、多分、初めてだと思う。適当に自転車走らせていたら、ちょっと公園があったんで、なんとなく、休んでいただけだよ」

「你每次都若无其事地把话题转回来。没有,这次应该是我第一次来吧。我随便骑骑脚踏车,刚好看到这边有个公园,然后就在这边休息一下而已。」

正直言って、もっと遠くまで──いっそ沖縄とかくらいまで来たつもりでいたけれど、こんな風にたまたま戦場ヶ原に出会ってしまったということは、当たり前だけれど、自転車くらいじゃ、住んでいる町からは出られもしないということだろう。それは正に、牧場のごとく。

说实话,我以为自己已经骑很远了——例如已经骑到冲绳之类的地方,但现在巧遇战场原,就表示凭脚踏车这种代步工具,很理所当然无法离开自己所居住的城市吧。这就像被饲育在牧场的动物一样。

あーあ。

啊——啊。

免許でも取ろうかなあ。

去考个驾照吧。

でもやっぱ、卒業してからだよなあ。

可是那也要等到毕业以后吧。

「戦場ヶ原は? 慣らしって言ってたけれど、なんだ、じゃあ、リハビリの散歩ってわけか?」

「战场原你呢?你刚才有提到习惯,什么啊,你是在散步做复健吗?」

「慣らしというのは服の慣らしよ。阿良々木くんは男の子だからそういうの、しないのかしら? 靴の慣らしくらいはするでしょう。まあ、平たく言えば散歩というわけね」

「我说的习惯是习惯衣服。阿良良木是男生,所以不会做这种事情吗?把鞋子穿习惯这点事情,你应该会做吧。不过简单来说,我就是散步吧。」

「ふうん」

「嗯——」

「この辺りは、昔、私のなわりだったのよ」

「这附近以前是我的地盘呢。」

「………………」

縄張りって……。

地盘勒……

「ああ、そういや、お前、二年生のときに、引っ越ししているんだったっけ。何、それまで、この辺りに住んでいたってこと?」

「啊,这么说来的话,你高二的时候好像有搬家来着。你搬家之前是住在这附近啊?」

「まあ、そういうこと」

「嗯,就是这样。」

そういうことらしかった。

似乎没错。

なるほど──ということは、単に散歩とか、服の慣らしとか言うよりも、本質的には、自身の問題が解決したゆえに、昔を懐かしんで──ということもあるのだろう。なかなか人間らしい行動を取るじゃないか、こいつも。

原来如此,单纯说她在散步或习惯衣服,倒不如说她本质上是因为自身的问题解决,所以怀念起过去的时光吧。这家伙的举动还挺有人性的嘛。

「久し振りだけど、この辺りは──」

「我很久没来了,这一带——」

「どうした。全然、変わらないってか?」

「怎么了。完全没变吗?」

「いえ、逆。すっかり変わっちゃった」

「不对,相反。是完全变了样。」

すぐに答えた。

战场原立刻回答说。

既にある程度、散策は終わっているらしい。

她似乎已经走了一定程度的路,散步告了个段落。

「別に、そんなことでセンチメンタルな気持ちになったりはしないけれど──でも、自分が昔住んでいた場所が、変わっていくというのは、どことなく、モチベーションが削がれる感じがするわね」

「我不会因为那种事情而心情感伤,可是自己以前住的地方逐渐变貌,总会让我觉得心中的干劲被浇熄了。」

「仕方ないことじゃないのか?」

「这是没办法的事情吧?」

僕は生まれたときからずっと同じ場所で育っているので、戦場ヶ原が言うような感覚は、正直、全くわからないけれど。田舎と呼べるような場所も、僕にはないし──

我出生至今一直在同一个地方长大,所以战场原说的感觉,老实说我完全不懂。我也没有可以称为老家的地方——

「そうね。仕方のないことだわ」

「也对。这是没办法的事情。」

戦場ヶ原は、意外なことに、ここではろくな反論もせずに、そう言った。この女が何か意見めいたことを言われて反論しないなんて、珍しい。あるいは、僕とこの話題を続けても、何ら得るところはないと思ったのかもしれない。

战场原很意外地在这里完全没有反驳,回答说。这女人听到别人的意见居然没唱反调,实在是很稀奇。也许,她是觉得继续和我谈这个话题,也不会有什么益处吧。

「ね。阿良々木くん。そういうことなら、隣、構わないかしら?」

「我说,阿良良木。既然这样,我可以坐你旁边吗?」

「隣?」

「旁边?」

「あなたとお話がしたいわ」

「我想要和你聊天。」

「…………」

こういう物言いは、本当に直截的なんだよな。

这措词真的很直接了当。

言いたいことややりたいことは簡単明瞭。

她想说什么、想做什么,简单明了。

まっすぐ、ど真ん中。

毫不做作,坦率。

「いいよ。四人掛けのベンチを一人で占領していることに、若干の心苦しさを感じていたところだったんだ」

「可以啊。我一个人占据这张四人座的长椅,正好觉得有点过意不去呢。」

「そう。では遠慮なく」

「是吗。那我就不客气了。」

戦場ヶ原はそう言って、僕の隣に座った。

战场原说完,坐到我身旁来。

肩が触れ合うくらいの隣に座った。

我俩紧贴到几乎可以碰到肩膀。

「……………………」

え……なんでこいつ、こんな四人掛けのベンチで、まるで二人掛けみたいな位置に座るんだ……? 近過ぎませんか、戦場ヶ原さん。ぎりぎりの位置で、まあかろうじて身体同士は触れ合ってはいないものの、ちょっとでも身じろぎすればというものすごく絶妙なバランスで、クラスメイト同士としては、いや友達同士としても、ちょっとこれはちょっとという感じだ。かといって、これでこっちが距離を取るように移動したら、まるで僕が戦場ヶ原を避けているみたいな印象になりかねない。たとえそんなつもりはなくとも、仮にそんな風に思われたら、戦場ヶ原からどんな迫害を受けることになるのかと思うと、そう安易に、僕としては動くわけにはいかなかった。結果──固まる。

咦……为何这家伙要把这张四人座的长椅,弄得好像两人座的一样……?这样会不会太近了,战场原小姐。在这紧贴的距离下,我俩的身体好不容易才没有碰触到对方,但却处于一种只要稍微移动就会贴到彼此的绝妙平衡中,以同学来说,不,就算以朋友来说,这距离实在有点不太妙。话虽如此,要是由我这边移动拉开距离,可能会让战场原觉得我在躲她一样。就算我没那个意思,但要是战场原误解的话,我不知会受到她何等的迫害,一想到这点我就无法随便移动身体。结果——我整个人僵在原地。

「この間のこと」

「上次的事情,」

そんな状況、位置関係で。

在如此状况,以及位置关系下。

戦場ヶ原は平然とした風に言った。

战场原若无其事地开口说。

「改めて、お礼を言わせてもらおうと思って」

「我想要再向你说声谢谢。」

「……ああ。いや、お礼だなんて、そんなの、別にいいよ。考えてみたら、僕、何の役にも立ってないしな」

「……嗯。不过,你不用谢我没关系。仔细想想,其实我完全没帮上忙。」

「そうね。ゴミの役にも立たなかったわ」

「是啊。一点屁用也没有。」

「…………」

意味は同じだけれど、より酷い表現だった。

这两句虽然意思雷同,但后者的表现却更为过分。

というか酷い女だ。

应该说过分的是这女人。

「だったら、礼は忍野に言っとけよ。それだけでいいと思うぜ」

「所以,你要道谢就跟忍野说吧。我想那样应该就足够了吧。」

「忍野さんのことは、また別の話だわ。それに、忍野さんには、規定の料金を支払うことになっているしね。十万円だったかしら」

「忍野先生那边,又另当别论了。而且,我还要把说好的钱付给他。好像是十万块吧。」

「ああ。バイトするんだっけ?」

「是啊。你要打工吗?」

「ええ。とはいえ私の性格は労働には不向きなので、今はまだ、それについての対策を講じている段階だけれどね」

「对。不过我的个性不适合劳动,所以我现在正在思考对策。」

「自覚があるのは自覚がないのよりはいいことだ」

「和没自觉比起来,你有自觉是一件好事。」

「なんとか踏み倒せ5ないものかしら……」

「有没有方法可以赖皮不付钱呢……」

「そんな対策を講じていたのか」

「你在思考那种对策吗!?」

「冗談よ。お金のことはちゃんとするわ。まあ、だから、忍野さんのことは、また別──ということ。それで、私は、阿良々木くんには、忍野さんとは違う意味で、お礼を言いたいの」

「开玩笑的。钱的事情我会好好处理。所以说,他那边另当别论。我想要和你道谢的动机,和忍野先生不同。」

「だったら、今聞かせてもらったってことで、もういいよ。いくら礼の言葉でも、あんまり何度も言うと、中身がなくなってくもんだからさ」

「既然这样,你的道谢我刚才已经听过了,这样就够了。就算是道谢的话语也一样,要是说太多次就会失去实质的意义。」

「中身なんか最初からないわ」

「本来就没有实质的意义啊。」

「ないのかよ!」

「没有吗!?」

「冗談です。中身はありました」

「我开玩笑的。是有实质意义的。」

「冗談ばっかりだな、お前」

「你真的很爱开玩笑。」

こちらとしては呆れるばかりだった。

我却是惊讶连连啊。

こほん、と咳をしてみせる戦場ヶ原。

战场原咳一声,清了清嗓子继续说:

「ごめんなさいね。私って、なんだか、阿良々木くんから何かを言われると、ついつい、それを否定したり、それに逆らいたくなったりしちゃうのよ」

「抱歉。我不知道为什么,一听到阿良良木你说话,就会不由自主地想要否定你,跟你唱反调。」

「………………」

謝りながらそんなことを言われても……。

就算你一边道歉,一边说这种话……

あなたとは気が合いませんねって言われた気分だ。

感觉她好像在说:我跟你就是不对盘。

「きっと、これは、あれよね。好きな子を苛めたいって思う、ちっちゃな子供みたいな心境なのでしょうね」

「这一定是那个吧。这种心境,就像小孩子总是喜欢欺负自己喜欢的对象一样。」

「いや、弱い者をいた6たいって思う、おっきな大人みたいな心境だと思うぞ……」

「不对,我觉得你那是大人想要欺侮弱者的心境……」

ん?

嗯?

今僕、戦場ヶ原に好きな子って言われた?

刚才,战场原是不是说我是她喜欢的对象?

あ、いや、言葉の綾か。

啊,不对,那是一种言语修辞吧。

自分に笑顔を見せてくれる女の子が全員自分に惚れていると思う中学生みたいな気分になっても大した意味はなさそうなので(スマイルはゼロ円)、僕は、話題を戻す。

国中生以为对自己微笑的女生全都煞到自己,而我现在这样想似乎没有太大的意义(微笑这种东西根本分文不值),因此我又将话题拉回。

「ま、でも実際、そんな恩に感じられるほどのことはしたとも思ってないし、忍野風に言うなら、『戦場ヶ原が一人で助かるだけ』なんだから、僕に対して、恩を感じるとか、そういうのは、やめにしとこうぜってこと。これから仲良くやっていきにくくなるだろ」

「不过说实话,我也不觉得自己做了什么需要让你这样道谢的事情,照忍野的说法,『你是自己救自己的』,所以对我感恩之类的事情,还是不必了吧。那样会让我们今后很难当朋友吧。」

「仲良く、ね」

「当朋友,是吗?」

戦場ヶ原は、口調を全く変えずに言う。

战场原说话的语气完全没变。

「私──阿良々木くん。私は、阿良々木くんのこと、親しく思ってもいいのかしら?」

「我——阿良良木,我可以把你当成朋友吗?」

「そりゃ勿論」

「当然没问题。」

お互い、抱えている問題を、れきし合った仲だ。他人とか、あるいはただのクラスメイトとかで済ます段階では、もう、ないと思う。

我们曾向对方吐露出自己身上的问题。我想我们的关系,已经超越陌生人或普通同班同学的范围了。

「そう……そうね、お互い、弱みを握り合った仲だものね」

「是啊……你说的没错,我们彼此部有对方的把柄。」

「え……? 僕達、そんな緊迫した関係なのか?」

「诶……?我们的关系有这么紧张吗?」

ギスギスしてそう……。

看来我们的关系似乎很不和悦……

「弱みとかそういうことじゃなくて、当たり前に親しく思ってくれりゃいいんだよ……そういうことじゃないわけだろ? そうしたら、僕も、同じようにするからさ」

「不是把柄之类的问题,你只要很自然地把我当成朋友就好……我们不是那种紧张关系吧?你这么做的话,我也会把你当成朋友的。」

「でも、阿良々木くんって、あまり友達を作るタイプの人間ではないわよね」

「可是,阿良良木不是那种喜欢交朋友的类型吧。」

「去年まではそうだったよ。タイプというより、主義だったからな。ただ、春休みにちょっとしたパラダイムシフトがあったわけで……そういう戦場ヶ原は?」

「那是到去年为止的事情。与其说是类型,倒不如说是主义比较正确。不过,因为我在春假稍微有了一点思维转换……那战场原你呢?」

「私は、前の月曜日までよ」

「我是到上礼拜一为止。」

そう言う戦場ヶ原。

战场原说:

「もっと言うなら、阿良々木くんに出会うまで」

「更正确来说,是到遇见阿良良木为止。」

「………………」

なんだこいつ……。

这家伙怎么回事……

ていうかなんだこの状況……。

应该说这状况是怎么回事……

まるでこれから僕が戦場ヶ原から告白されてしまいそうなこのシチュエーション……息苦しいというか重苦しいというか、そう……心の準備が出来ていない、みたいな感じ。こんなことになるとわかっていたら、もっと服だって髪だってちゃんとして……。

这场面好像待会我会被战场原告白一样……该说是呼吸困难还是沉闷呢,对了……就像还没做好心理准备的感觉一样。要是早知道事情会变成这样,我应该先把衣服和头发好好打点一下……

じゃなくて!

不对!

ああ、告られたらどうしようとか、結構真面目に考え始めている自分自身が酷く恥ずかしい! しかも、それについて考える際に、つい戦場ヶ原の胸に眼がいってしまうのはどういうことだ!? 僕はそんなつまらない人間だったのか!? 阿良々木暦は、女の子を外見(胸)で判断するような、品性の下劣な人間だったのか……。

我居然很认真在思考万一被告白该怎么办的问题,这实在让我十分羞愧!而且,在我如此思考的时候,眼睛还会不经意去看战场原的胸部是怎么回事!我是那种庸俗的人吗?阿良良木历是一个用外表(胸部)来判断女生、品性低劣的人吗……

「どうしたの? 阿良々木くん」

「你怎么了?阿良良木。」

「あ、いや……ごめんなさい」

「啊,没事……抱歉。」

「何故謝るの」

「为什么你要道歉?」

「自分の存在が罪に思えてきたんだ……」

「我突然觉得自己的存在是一种罪恶……」

「なるほど。罪な男というわけね」

「原来如此。你是罪孽深重的男人啊。」

「………………」

いや。

不对。

またそれ、意味は同じでニュアンスが違うし。

这两句又是意思一样,语感不同。

「つまりね、阿良々木くん」

「简单来说,阿良良木。」

戦場ヶ原は言った。

战场原说。

「阿良々木くんが何と言おうと、私は、あなたに、お返しがしたいと思うのよ。そうでないと、私はいつまでも、阿良々木くんに、引け目7のようなものを感じてしまうと思うの。仲良くやっていくというなら、それが終わって初めて、私達は、対等な友達同士になれると思うの」

「不管你怎么说,我都想要报答你。不这样的话,我对阿良良木你永远都会有一种自卑感。如果我们要当朋友,我觉得自己要先报答你之后,我们才能变成对等的朋友。」

「友達……」

「朋友……」

友達。

朋友。

なんだろう。

为什么呢。

それはどう考えても恐らくは感動的な言葉のはずなのに、過度な期待をしていたために、気落ちというか、なんだか、心のどこかでがっかりしてしまっている自分がいるような……。

这个词不管怎么思考都是一个很感动的词汇才对,但我却因为刚才的过度期待,而觉得有些沮丧,或者该说心中某处有点怅然若失……

いや、違う……。

不,不对……

決して、そういうわけでは……。

绝对不是这样……

「どうしたの、阿良々木くん。私としてはそれなりに格好いいことを言ったつもりなのに、阿良々木くんは、どうしてなのか失望したみたいな顔をしているわ」

「你怎么了,阿良良木。我觉得自己这话说得还满酷的,总觉得你的表情看起来好像很失望呢。」

「してないしてない。戦場ヶ原がそんな風に思っていてくれてることがわかって、フレンチカンカン8みたいに大はしゃぎしている自分を必死で隠しているから、逆にそう見えるんだろう」

「没有,没有。我知道你的想法后,拼命压制自己高兴得想要跳法国康康舞的心情,所以看起来才会变成那样吧。」

「そう」

「是吗。」

納得していないみたいな顔で頷かれた。

她一脸不认同的表情,点头响应。

下心のある男だと思われたかもしれなかった。

她可能认为我是一个别有用心的男人。

「まあいいわ。とにかく──そういうわけで、阿良々木くん。何か私にして欲しいことはないかしら? 一つだけ、何でも言うことを聞いてあげるわ」

「算了,这不重要。总之就是这样,阿良良木。你有没有什么事情希望我为你做的啊?只限一个,你不管说什么我都会听你的。」

「……な、なんでも?」

「……不、不管说什么?」

「何でも」

「不管说什么。」

「ああ……」

「喔……」

同級生の女の子から、何でも言うことを聞いてあげるって言われた……。

同班的女同学对我说:你不管说什么我都会听你的……

図らずもものすごい偉業を達成した気分だった。

我没想到自己居然会达成这等十分了不起的丰功伟业。

………………。

でも絶対、こいつはわかってて言ってるよな。

可是,这家伙绝对知道自己在说什么。

「本当になんでもいいわよ。どんな願いでも一つだけ叶えてあげる。世界征服でも、永遠の命でも、これから地球にやってくるサイヤ人を倒して欲しいでも」

「真的什么都可以喔。不管任何愿望我都会替你实现,只限一个。就算你要征服世界,要永远的生命,或者是要打倒即将来到地球的赛亚人都可以。」

「お前はシェンロンをも超える力を持っているというのか!?」

「难道你拥有超越神龙的力量吗!?」

「当たり前よ」

「那还用说。」

肯定しやがった。

这家伙居然肯定了。

「あんな肝心なときに役に立たない上に最後には敵に回ってしまうような裏切り者と一緒にしないで欲しいわ。……でもまあ、確かに、私としては、もっと個人的なお願いの方が助かるのは事実ね。お手軽だもの」

「希望你不要把我和那种在关键时刻派不上用场,最后还站在敌人那边的叛徒混为一谈……不过说真的,我比较希望听到你个人的愿望是事实。这样我比较容易实现它。」

「だろうな……」

「我想也是……」

「いきなりこんなことを言われても、阿良々木くん、やっぱり戸惑っちゃうかしら? だったら、そう、ああいうのでもいいわよ。こういう状況じゃ、よくあるスタンダードな願いじゃない。ほら、その一つの願いを百個に増やして欲しいとか」

「我突然说这种话,阿良良木你应该觉得很不知所措吧?既然这样,对了,那种愿望也可以喔。这种状况下,不是有一个最制式的愿望吗?你可以说想要把一个愿望变成一百个之类的。」

「……え? ありなのか? いいのか? それ?」

「……咦?这也行?那样可以吗?」

こういう状況じゃ、恥知らずだけが口にする、ものすごくスタンダードなタブーの一つとして、よくある願いじゃないか。

在这种状况下,此愿望算是超级制式的禁忌之一,十分常见,只有不知耻的家伙才会挂在嘴巴上。

しかも自分から言いやがった。

而且还是我自己说的。

服従宣言じゃん、それ。

这不就等于我对她完全服从了吗。

「なんでも言って頂戴。出来る限りのことはさせてもらうつもりだから。一週間語尾に『にゅ』とつけて会話して欲しいとか、一週間下着を着用せずに授業を受けて欲しいとか、一週間毎朝裸エプロンで起こしに来て欲しいとか、一週間浣腸かんちょうダイエットに付き合って欲しいとか、阿良々木くんにも色々好みはあるでしょう」

「不管什么愿望你尽管说。我会尽最大的努力替你实现的。例如,希望我连续一个礼拜都在句尾加上『妞』字、连续一个礼拜不穿内裤来上课、连续一个礼拜每天裸体穿围裙叫你起床、连续一个礼拜陪你玩灌肠减肥之类的,阿良良木应该也有许多独自的喜好吧。」

「お前、僕をそんなレベルのマニアックな変態だと思ってたのか!? いくらなんでも失礼過ぎるだろうが!」

「你把我当作那种等级的狂热变态份子吗!那实在太失礼了吧!」

「いえ……あの、申し訳ないけれど、さすがにそういうのを一生とか言われると、ちょっと、私としては、ついていけないというか……」

「不是……那个,很抱歉,如果你要我一辈子都那么做的话,那个、我可能没办法答应……」

「いや、違う違う違う! 自分のマニア度を不当に低く評価されていることに対して怒ったわけじゃない!」

「不是,不对不对不对!我不是因为自己的狂热度被不当低估而生气!」

「あらそう」

「啊,是吗?」

お澄まし顔の戦場ヶ原だった。

战场原一本正经地说。

完全に僕をもてあそんでいる……。

她完全将我玩弄于股掌之间……

「というか、戦場ヶ原、お前、そんなアホな要求を、一週間なら吞めるのかよ……」

「我说战场原,那些愚蠢的要求,如果是一个礼拜你就能答应吗……」

「その覚悟はあるわ」

「我有那种觉悟。」

「………………」

捨てちまえ、そんな覚悟。

快舍弃那种觉悟吧。

「参考までに、私の個人的なお勧めは毎朝裸エプロンで起こす、かしらね。私、早起きは得意というよりは最早習慣だし、なんならついでに、朝食を作ってあげてもいいのよ。勿論裸エプロンのままで。それを後ろから眺めるなんて、なかなか男のロマンじゃない?」

「说出来让你参考一下,我个人比较推荐每天裸体穿围裙叫你起床。我很擅长早起,应该说我早就已经习惯了,如果有必要的话,要我顺便帮你做早餐也行喔。当然也是裸体穿围裙。在后面眺望裸体围裙,不是很有男人的浪漫吗?」

「男のロマンという言葉をそんな風に使うな! 男のロマンっていうのはもっと格好いいもんなんだよ! それに、家族のいる環境でそんなことされたら、ものすごい最大瞬間風速で家庭崩壊するわ!」

「『男人的浪漫』这句话不要用在这种地方!男人的浪漫是更帅气的东西!而且,我家里还有其他人在,被你这样一搞,我家肯定会以瞬间最大风速整个破灭!」

「家族がいなければいいみたいな口振りね。じゃあ、私の家に一週間ほど泊まってみる? 結果的には同じだと思うけれど」

「你的语气好像在说家里没其他人在就 OK 的样子。既然这样,你来我家住一个礼拜如何?以结果来说,我想应该是一样的。」

「あのね、戦場ヶ原」

「我说,战场原啊。」

言い聞かせるような口調になってしまった。

我的语气变得好像在劝说一样。

「仮にそんなような交渉が成立してしまったら、僕達の間に、その後の友情はありえなくなると思うんだよ」

「假设那种交涉成立的话,我想以后我们之间,就不可能有友情存在了。」

「あら。言われてみれば確かにそうね。そうだったわ。では、エロ方面は禁止ということで」

「唉呀。听你这么一说的确是这样。也对。那就禁止色情方面的愿望吧。」

まあ、妥当だ。

嗯,这样比较妥当。

ていうか、語尾に『にゅ』は、戦場ヶ原の中ではエロ方面の要求なのか……。澄ました顔して、結構特殊な趣味を持っているよな、こいつ。

这么说来,在句尾加上「妞」字,对战场原来说是色情方面的要求吗……看她道貌岸然的样子,其实这家伙喜好还挺特殊的呢。

「でも、どうせ阿良々木くんはエロ方面の要求なんてしてこないだろうとは思っていたけれどね」

「不过,反正我一开始就觉得,阿良良木一定不会做出色色的要求。」

「お。えらく信頼されてんじゃん」

「喔?看来你非常信任我嘛。」

「童貞だもの」

「因为你是处男啊。」

「……………」

そんな話もしましたね。

这话题先前我们也有聊过没错。

そう言えば、先週。

说起来,好像是上礼拜。

「童貞はがっついてないから、相手が楽でいいわ」

「处男比较不黏人,所以应付起来比较轻松。」

「あの……戦場ヶ原、ちょっと待ってくれよ。お前そうやって童貞について、この前から色々言ってるけどさ、言ってくれてるけどさ、お前だって、別に経験があるわけじゃないんだろう? それなのに童貞をそういう風に言うのは、あんまり感心しないというか──」

「那个……战场原,稍等一下。你从之前开始就一直拿处男来做文章数落我,可是你自己也没有经验吧?结果你却把处男说成这样,该说我不能赞同还是——」

「何言っているの。私は経験者よ」

「你在说什么。我有经验啊。」

「そうなのか?」

「真的吗?」

「やりまくりよ」

「身经百战呢。」

さらりと言ってのける戦場ヶ原。

战场原说得很毅然决然。

こいつ……、なんていうか、本当に僕の言うことに、ただただ逆らいたいだけなんだな……。

这家伙……该怎么说呢,她真的只想跟我唱反调而已……

やりまくりっていう表現もどうよ。

身经百战这种表现也不太适当。

「えっとな……何て言っていいかわからないけれど、それも仮に、仮にだよ、仮に本当にそうだったとして、その事実を僕に対して告げることが、戦場ヶ原、お前にとって何か利益になるのか?」

「这个嘛……我实在不知道该说什么好,不过假设、只是假设喔,假设你说的是真的好了,你把事实告诉我对你有什么好处?」

「………む」

「………嗯。」

赤面した。

脸红了。

ただし、戦場ヶ原がじゃなく、僕が、だけど。

不过脸红的是我,不是战场原。

なんかもういっぱいいっぱいな会話だった。

总觉得我们似乎经历了一段很漫长的对话。

「わかったわ……訂正します」

「我知道了……我更正一下。」

やがて、戦場ヶ原は言った。

「我,没有经验,还是处女。」

「経験は、ありません。処女です」

这算自白没错,不过也太劲爆了。

「……はあ」

「……哈」

告白は告白でもすごい告白をされた。

这种自白着实是场非同寻常的自白啊。

僕もこの前させられたのだから、おあいこといえばおあいこだけれど。

我先前也被迫自白过,所以这要算扯平的话也算扯平吧。

「つまり!」

「也就是说!」

戦場ヶ原は続けて毅然と、こちらを人差し指でびしっと指差して、公園中に響き渡らんばかりの大きな声で、僕を怒鳴りつけた。

接着,战场原毅然地用食指毫不留情地指向我,用仿佛快响彻公园的声音,对我大声训斥。

 「阿良々木くんみたいないかさない童貞野郎と話してくれる女の子なんて、精々私のような行き遅れのメンヘル処女しかいないということよ!」

「愿意和阿良良木你这种没吸引力的处男说话的人,也只有我这种还没失身的神经病处女而已!」

「…………!」

こいつ……僕を罵倒するためになら、自分の身をおとしめることすらもいとわないのか……。

这家伙……为了痛骂我,她甚至不惜贬低自己的身份吗……

ある意味脱帽だつぼう、ある意味白旗。

在某种意义上我甘拜下风,在某种意义上我举白旗投降。

全面降伏。

全面降服。

まあ、戦場ヶ原の貞操観念の高さや身持ちの堅さみたいなものについては、実際のところ、先週、トラウマになるほどに痛感させてもらっているから、この件については、とりたてて深く追及しなくてもいいんだけれど。戦場ヶ原にとってそれは、そういうのは、最早性格ではなくて病状の域に達しているのだから。

关于战场原的高度贞操观念和严谨的品行,老实说我在上礼拜已经深切感受到差点留下心理创伤,这件事不用特别去深究也无妨。因为对战场原而言,那种思考已经不算是她的性格,而是到达了一种病态的境界。

「話が逸れたけれど」  と。

「话题偏离主题了。」

戦場ヶ原はあっさり平静な声に戻って、僕に言った。

战场原很轻松地恢复平静的声音,对我说:

「実際のところ、何かないのかしら? 阿良々木くん。もっと単純に、困っていることとか」

「你真的没有什么愿望吗?例如更单纯的烦恼之类的。」

「困っていること──ねえ」

「烦恼——吗?」

「私、口下手だから、うまく言えないけれど、阿良々木くんの力になりたいと思っているのは、本当なのよ」

「我笨嘴拙舌,所以不知道该怎么表达,不过我希望能帮上你的忙,这点是真心的。」

口下手ってことはないと思うが。

我想你这样不叫笨嘴拙舌。

むしろ回り過ぎるくらいによく回る舌だとは思うが──しかし、まあ、戦場ヶ原ひたぎ。

应该是能言巧辩,死的都能说成活的。不过,战场原黑仪——

根は悪い奴じゃない──ん、だよな。

本性并不坏……吧。

たとえ、禁止されていなくとも、これは。

就算她不去禁止,

不純な願いなんて、あだや疎かに出せるような状況ではないだろう。

现在这状况,我也不能随便提出那种不纯的愿望吧。

「引きこもりを解消する方法を教えて欲しいとか」

「例如希望我教你脱离尼特族的方法。」

「僕は引きこもってなんかねえよ。どこの世界の引きこもりが、マウンテンバイクなんか持ってるんだっての」

「我不是尼特族好吗。哪个世界的尼特族会有越野脚踏车的啊。」

「持っている引きこもりだっているかもしれないじゃないの。引きこもりだからといってそのような偏見の目で見ることは許されないわ、阿良々木くん。きっと、タイヤを外して、部屋の中でずっと漕いでいるのよ」

「搞不好你是有脚踏车的尼特族。就算阿良良木你是尼特族,我也不允许你用那种偏见的眼光去看其他人。他们一定是把轮胎拆掉,在房间里面踩脚踏车的。」

「エアロバイクじゃん」

「那是健身脚踏车吧。」

健康的な引きこもりだった。

好一个健康的尼特族。

いるのかもしれないけれど。

这种人或许真的存在。

「けど、いきなり困ってることとか言われてもな」

「可是,你突然问我有没有烦恼,我也不知道该怎么回答。」

「確かにそうかもしれないわね。阿良々木くん、今日は寝癖、ついてないもの」

「或许你说得也有道理。阿良良木,你今天头发没有睡翘呢。」

「僕の悩みは精々寝癖くらいだという意味か!?」

「你的意思是说,我的烦恼了不起也只有头发睡翘而巳吗!?」

「深読みしないでよ。意外と被害妄想が強いわねえ。阿良々木くん、行間紙背を読み過ぎよ?」

「不要过度解读我说的话好吗。你的被害妄想出乎意料的严重呢。你对言外之意的解释太超过了吧?」

「他にどんな解釈があるんだよ……」

「不然还有哪种解释……」

ったく。

真是的,

花びらまで棘でできている薔薇みたいな奴だ。

这家伙宛如一朵连花瓣都带刺的蔷薇。

「誰にでも優しいクラスのあの子が自分にだけは冷たいとか、そういう悩みでも力になれると思うの」

「比如说班上有个女生对任何人都很温柔,唯独对你很冷淡,我想这种烦恼我也可以帮你解决。」

「嫌な話だな!」

「这举例真讨人厌!」

何か、無理矢理にでも話さない限り、延々と永遠にこの展開が続きそうだった。

看来我不勉强自己说出愿望,这对话就会永无止尽地发展下去。

やれやれ……。

唉呀呀……

本当にもう。

真是够了。

「そうだな……困っていることねえ。敢えて言うなら、それは、困っていることってわけじゃないのかもしれないけれど」

「这个嘛……我没有什么烦恼。硬要说的话,或许这不是烦恼也说不定。」

「あら。何かあるの」

「唉呀,有什么事情吗?」

「そりゃ、一つくらいはな」

「有一件事吧。」

「何かしら。聞かせて」

「什么事情?告诉我。」

「迷いがないな」

「你毫不犹豫呢。」

「そりゃそうよ。私が阿良々木くんにお返しできるかどうかの瀬戸せとぎわだもの。それとも、人には話しにくいことかしら?」

「那是当然的。这是我能不能报答阿良良木的关键时刻。还是说,那是一件难以向人启齿的事情?」

「いや、そういうわけでもないけれど」

「没有,也不是难以启齿啦。」

「だったら話してみてよ。話すだけでも楽になるもの──らしいわよ」

「那你就告诉我吧。光是说出来就可以让自己轻松点——似乎是这样吧。」

…………。

かなりレベルの高い秘密主義者だったお前が言っても、あんまり説得力はないなあ、それ。

从你这种相当高等级的秘密主义者口中说出来的话,实在没什么说服力啊。

「えっと……妹と喧嘩した」

「那个……我跟妹妹吵架了。」

「……いまいち力になれそうもない話ね」 

「……看来我似乎帮不上什么忙呢。」

諦めの早い女だった。

这女人放弃得真快。

まださわりを聞いただけじゃん……。

才刚听到问题而已……

「でも、一応、最後まで聞かせて」

「不过,你就暂且说到最后吧。」

「一応かよ……」

「暂且吗……」

「じゃあ、とりあえず、最後まで聞かせて」

「那,你就姑且说到最后吧。」

「同じようなもんだろ」

「这两句话的意思一样吧。」

「とりあえずといってもとるものもとりあえず9よ」

「姑且是姑且听你一言的意思。」

「……。あー、まー、なあ」

「……啊——嗯——就是啊。」

さっき、自分で禁句と決めた言葉だけれど。

刚才我自己把「那个词」列为禁句。

この展開じゃ、仕方ないか。

但从这对话的脉络来看,这也由不得我做主。

「ほら、今日って、母の日じゃん」

「你看,今天不是母亲节吗。」

「ん? ああ、そう言えばそうだったわね」

「嗯?啊,这么说来的确是呢。」

戦場ヶ原は普通に相槌を打った。

战场原很普通地响应我。

やはり、気の遣い過ぎだったか。

看来是我顾忌太多了。

となるとあとは──僕の問題だ。

既然这样,就只剩下我的问题了。

「で。どちらの妹さんと喧嘩したの? 確か阿良々木くん、二人、妹さん、いたはずよね」

「然后呢,你跟哪个妹妹吵架了?我记得阿良良木你应该有两个妹妹吧?」

「ああ、知ってるんだっけ。どちらかっていうと上の方──だけど、まあ、両方みたいなもんだ。あいつら、何するにもいつでもどこでも、5W1H、完璧にべったりとつるんでるからな」

「对,原来你知道啊。真要说的话应该是和我大妹——不过应该算两个人都有份吧。她们两个不管何时何处、做什么事情,5W1H,总是形影不离。」

つがの木ちゅうのファイヤーシスターズだものね」

「她们是『栂之木二中学的爆热姊妹花』嘛。」

 「通り名まで知ってんのかよ……」 

「你连她们的诨号都知道吗……」

なんかやだなあ。

总觉得有点讨厌。

妹に通り名がある方が嫌だけれど。

不过,妹妹有诨号这点更让人讨厌。

「あいつら、二人とも、母親にもべったりでさ──で、母親の方も、そんな二人を、猫っかわいがりしてるわけよ。で──」

「她们两个也很黏我妈。而我妈也很溺爱她们。所以——」

「なるほど」

「原来如此。」

そこまでで得心したと言う風に、戦場ヶ原は僕の言葉を止める。みなまで言うなとばかりに、僕の言葉を最後まで待たない。

战场原听到这似乎完全理解了一般,打断了我的话。她不等我说到最后,彷佛想要我不用说得太明白一样。

「出来の悪い長男としては、母の日である今日本日この日、自分の家には居場所がないというわけね」

「以一个差劲的长男来说,母亲节的今天,你在自己的家里没有容身之地对吧。」

「……そういうことだ」

「……就是这样。」

出来の悪い長男、というのは、戦場ヶ原にしてみればいつもの調子の暴言のつもりなのだろうけれど、残念ながらそれはそのまま誇張されているわけでもなんでもない事実なので、僕は、肯定することしかできなかった。

就战场原来说,差劲的长男这句话,可能只是平常的谩骂而已,但很遗憾,这形容一点也不夸张,完全是事实,所以我也只有肯定的份。

居場所がないとまではいかずとも。

虽然我不是真的没有容身之地。

居心地が悪いのは確かだった。

但感觉不舒服却是事实。

「それで、こんなところにまでツーリングというわけ。ふうん。でも、わからないわね。それでどうして妹さんと喧嘩になるのかしら?」

「所以,你才会骑到这么远的地方来。嗯——不过,我还是不懂。为什么你会和你妹妹吵架?」

「朝早い内に、家をこっそり抜け出そうとしたんだが、マウンテンバイクに乗ったところで、妹に捕まったんだ。で、口論」

「我原本想趁一大早偷溜出门,不过当我骑上脚踏车的时候,就被我妹妹逮个正着。然后,我们就发生言语上的争执。」

「口論?」

「言语上的争执?」

「妹としては、僕にも一緒に、母の日を祝って欲しかったらしいんだが──なんていうか、ほら、僕はそんなの、無理だから」

「我妹似乎希望我也一起庆祝母亲节,可是该怎么说呢,那种事情我没办法,所以才起了争执。」

「無理、ねえ。だから、か」

「没办法所以才,是吗?」

戦場ヶ原は意味深長に、そう反復した。

战场原意义深远地反复说道。

あるいはこう言いたかったのかもしれない。贅沢な悩み、だと。

或许她想说「你这烦恼太奢侈了。」也说不定。

父子家庭の戦場ヶ原から見れば──そうだろう。

从单亲父女家庭的战场原来看,应该是这样吧。

「中学生くらいの女子って、お父さんを嫌うことが多かったりするけれど──男子は同じように、お母さんを苦手とするものなのかしら?」

「国中左右的女生,有很多都讨厌自己的父亲;男生会不会也一样,不太擅长应付自己的母亲呢?」

「はあ……いや、苦手ってことじゃねーし、嫌いってわけでもないんだけれど、気まずいっていうか、まあ、それは、妹についても、ほとんど、同じことで──」

「啊……没有,不是不擅长的问题,我也不是讨厌我妈,只是觉得有点尴尬,唉呀,我对我妹也差不多是一样的感觉——」

──兄ちゃんは、そんなことだから。

——哥哥老是这样。

──そんなことだから、いつまでたっても──

——老是这样,所以才永远——

「……けどな、戦場ヶ原。そんなことは、問題じゃないんだ。妹との喧嘩とか、母の日とか、それ自体は別に、どうでもいいんだよ──今回に限らず、なんかイベントのある日にゃ、よくあることだから。たださあ」

「……不过,战场原。那不是问题。我和妹妹吵架和母亲节之类的事情,本身其实无所谓,因为不止今天而已,只要碰上有什么活动的日子,我们常常都会吵架。只是……」

「ただ、何よ」

「只是什么?」

「つまりだ。いくら色々あるとは言っても、母の日一つ祝ってやれない自分とか、四つも年下の妹から言われた言葉に本気で腹を立てている自分とか、そういう、なんていうか、自分の人間の小ささみたいなのが、腹立たしくて腹立たしくて、しょうがないんだよ」

「简单来说。就算我和家里有些隔阂,可是在母亲节我却连句祝贺的话都说不出口,还被小自己四岁的妹妹说了两句就真的动怒,这些该怎么说呢,我对自己的器量狭小感到非常、非常地气愤。」

「ふうん──複雑な悩みね」 

「嗯——真是一个复杂的烦恼啊。」

戦場ヶ原は言う。

战场原说。

「一周して、メタ的な悩みになっているわけね。鶏が先かひよこが先か、みたいな感じだわ」

「问题绕了一圈,变成一个高层次的烦恼了。这就像是在争论先有鸡,还是先有小鸡的感觉。」

「それはひよこが先だろう」

「当然是先有小鸡吧。」

「あらそう」

「喔,是吗。」

「複雑じゃなくて矮小なだけなんだよ。僕って人間小さいよなー、とか。でも、それでも、妹に謝らなきゃならないことを思うと、滅茶苦茶、家に帰りたくないんだ。一生公園に住んでいたい感じ」

「这一点都不复杂,只有矮小而已。就像我这个人的器量好小啊之类的。可是,就算是这样,我一想到必须要和我妹道歉,就非常不想回家。很想一辈子住在公园里。」

「家に帰りたくない──か」

「你不想回家……吗?」

戦場ヶ原はそこで、ため息をついた。

战场原说到这,叹了口气。

「残念ながら、あなたの人間の小ささを、私の器量でどうこうすることはできないわね……」

「很可惜,对你这种狭小的器量,以我的器量来说实在无计可施……」

「……努力くらいしてくれよ」

「……你至少努力一下吧。」

「当然ながら、あなたの人間の小ささを、私の器量でどうこうすることはできないわね……」

「很自然,对你这种狭小的器量,以我的器量来说实在无计可施……」

「…………」

確かに当然のことではあるが、そうはっきりと、しかも口惜しそうに言われると、更に落ち込んでしまう。いや、落ち込むというほど深刻な話でもないのだが、しかし、またその深刻でなさ加減も、小さくて嫌なのだ。

这的确很自然没错,但被人这么清楚、而且还一副很遗憾的样子这么说,只会让人更沮丧。不,问题没有到会让人沮丧这么严重;但它渺小,不严重的程度,也让我感到很讨厌。

「つまらない人間だよなー、って。もっと、世界平和のこととか、人類を幸福にする方法とか、どうせ悩むんなら、そういうことで悩みたいって、思うのに。でも、それなのに、僕の悩みは、こんなにちっちゃい。それが──嫌だ」

「我觉得自己很无聊。既然要烦恼的话,我应该去烦恼如何世界和平,还有如何让人类幸福之类的才对;然而我的烦恼却是如此渺小。我……讨厌这样。」

「ちっちゃい──」

「渺小——」

「しょぼい、と言ってもいいかな。なんかこう、おみくじで小吉ばっかり引くみたいな、そういうしょぼさ」

「可以说是平庸吧。感觉这就好像在抽签的时候狂抽到小吉一样,就是这种平庸感。」

「自分の魅力を否定してはいけないわ、阿良々木くん」

「你不可以否定自己的魅力,阿良良木。」

「魅力!? 僕の魅力はおみくじで小吉ばっかり引くことだったのか!?」

「魅力!?抽签的时候狂抽到小吉是我的魅力吗!?」

「冗談よ。それに、阿良々木くんのしょぼさは、おみくじで小吉ばっかり引くみたいなんかじゃないわ」

「我开玩笑的。而且阿良良木的平庸感,应该不是抽签狂抽到小吉那样吧。」

「大凶ばっかり引くって言いたいのか」

「你是想说我狂抽到大凶吗?」

「まさか。それはすごいことじゃない……っていうか、おいしいことじゃない。阿良々木くんのしょぼさというのはね……」

「怎么可能。没有那么厉害……不过,也没有多好啦。说到阿良良木的平庸感呢……」

戦場ヶ原は語りに重さを加えるために、そこで言葉をたっぷりとためて、それから、僕に言った。

战场原为了加重语气,在此稍微酝酿一番后,开口对我说:

「……大吉を引き当てはしたものの、よく読むと内容的にはそんないいことも書いていないみたいな、そういうしょぼさなのよ」

「……应该是虽然抽到大吉,但仔细一看上头写的东西却没有多好才对。」

じっくりと、その意味をしゃくして、反芻して。

我慢慢咀嚼玩味这番话的意思。

「しょぼー!」

「好平庸!」

絶叫する僕だった。

随后我大叫说。

そんなしょぼい奴、生まれてこのかた聞いたこともない……それにつけても、こいつ、よくそんなことを思いつくよな……。重ね重ね──というより返す返すも、末恐ろしい女だった。

我出生到现在,从没听过有这么平庸的家伙……这家伙居然可以想到这种说法。我由衷地——应该说我真的觉得,这女人的将来实在不堪设想啊。

「でも、お母さんのことはともかくとしても、妹さんと喧嘩というのは、確かに小さいかもしれないわね。阿良々木くん、妹なんか可愛がってそうなものだけれど」

「可是,先不管令堂的事情,你和妹妹的吵架,或许真的是一件小事。阿良良木你看起来好像很疼妹妹呢。」

「喧嘩ばっかりだよ」

「我们常常在吵架才对。」

その中でも──今日のはこたえたというだけだ。

而今天的吵架……让我感触特别深罢了。

今日は、平日じゃないから。

因为今天不是一般的日子。

「目に入れても可愛くない、痛い妹なのね」

「因为她们长得很丑,一点都不讨喜吧。」

「僕の妹は別に痛くはねえよ!」

「我妹一点都不丑好吗!」

「それとも、愛情の裏返しって奴なのかしら。案外、阿良々木くん、シスコンだったりして」

「还是说,你这是爱情的相反表现呢。其实,阿良良木你是一个妹控之类的。」

「違うよ。妹好きなんてのは、実際に妹のいない奴の幻想だろ。現実にはそんなこと、絶対にありえないから」

「才不是勒。喜欢上自己的妹妹这种事情,是没有妹妹的人制造出来的幻想吧。因为现实生活中绝对不可能有那种事。」

「あら。持つ者が持たざる者に対して、そんな上からものを言うような態度を取るのは感心できないわね、阿良々木くん」

「唉呀。因为自己有,所以对没有的人摆出这种高高在上的态度,实在让我不能苟同呢,阿良良木。」

…………。

何を言う気だ、こいつ……。

这家伙到底在说什么。

「お金なんか問題じゃないですよー、とか、彼女なんていない方がよかったよー、とか、学歴なんか関係ないんですよー、とか……嫌よねえ、傲慢な人間って」

「这就像在说金钱不是问题喔,其实没有女朋友比较好喔、或是这跟学历没关系喔……之类的,这种傲慢的人还真讨厌。」

「妹はそういうのとは別種だろ……」

「妹妹和那些东西不一样吧……」

「そう。阿良々木くんはシスコンではないと。実の妹を好きになったりはしないと」

「是吗。那阿良良木不是妹控,也没有喜欢上自己的亲妹妹咯。」

「するか」

「谁会喜欢啊。」

「そうよね。阿良々木くん、ソロコンっぽいもの」

「说的也是。因为阿良良木比较像娶姨控嘛。」

ソロコン?

娶姨控?

聞き慣れない言葉だった。

这词听起来很陌生。

「ソロレート婚の略よ。姉妹逆縁婚と言って、奥さんが死んだあと、奥さんの姉だったり妹だったりと結婚することを言うの」

「就是 Sororate marriage 的意思。中文叫续娶妻姊妹婚,就是在妻子死掉之后,再和妻子的姐姐或妹妹续弦。」

「……相変わらずの博識には相変わらずの感心をするばかりだが、どうして僕が、そのソロレートとやらになるんだ?」

「……你这一如往常的博学多闻,依旧让我感到佩服,可是为什么我一定要去续娶妻子的姐姐或妹妹?」

「阿良々木くんの場合は、姉ではなく妹ね。つまり、血の繫がらない女の子にまずは『お義兄ちゃん』と呼ばせておいて、その後その女の子と結婚……夫婦になっても『お義兄ちゃん』と呼ばせ続ける、これぞ本当、本来の意味での現実的な──」

「你的情况是续娶妹妹,不是姐姐。也就是说,你会先让没有血缘关系的女生叫你『哥哥』,然后再和那个女生结婚……就算你们结婚,你还是一直让她喊你『哥哥』,这样你就实现了原本的意图——」 「僕、絶対、最初の奥さん殺してるじゃん!」

「照你的说法,那我肯定杀了自己的发妻吧!」

突っ込み担当としては本来許されることではなかったが、戦場ヶ原の発言が完全に終わる前に、リアクションを取ってしまった。

我在战场原说完话之前,就不慎做出了反应。以负责吐槽的角色来说,抢拍原本是不被允许的。

 「で、ソロコンの阿良々木くん──」

「那么,娶姨控的阿良良木——」

「シスコンと呼んでくださいお願いします!」

「拜托请你叫我妹控!」

「実の妹を好きになったりしないというから」

「你不是不喜欢自己的亲妹妹吗?」

「義理の妹を好きになったりもしない!」

「我也不会喜欢上没有血缘关系的妹妹!」

 「では、義理の恋人を好きになるのかしら」

「那你喜欢没有血缘关系的恋人吗?」

「だから……え? 義理で恋人ができるのか?」

「就跟你说……咦?会有没血缘关系的恋人吗?」

なんだそれ。

那是什么意思?

いや、恋人関係を義理と称することは、よく考えれば別に間違っていないような気もするが、でも、そうなると、実の恋人……?

不,要说恋人关系没有血缘,仔细想想好像也没错,可是这样一来,就是真正的恋人?

というか、話、逸れ過ぎ……。

总觉得,这话题好像完全偏离主题了……

「本当に小さいわねえ、この程度の軽口でおたおたと」

「你器量真的很小呢,这点程度的小玩笑就让你这么慌张。」

「軽くないじゃん、お前の言葉」

「你这玩笑一点都不小吧。」

「今のはあなたを試したのよ」

「刚才我是在考验你。」

「なんで僕試されてるの……っていうか、お前それって、まだ本気を出していないってことなのか!?」

「为什么我要被你考验……等等,这意思是说,你刚才还不够认真啰?」

 「本気を出すと変身するわよ」

「我要是认真的话,可是会变身的。」

「変身!? うわ、すげえ見たい!」

「变身?哇,真酷,我好想看一下!」

いや、見たいような、見たくないような……。

不,应该是既期待又怕受伤害……

戦場ヶ原は「ふう」と、思案顔をした。

战场原沉吟一声,面带忧愁。

「そういうリアクションは大きいのに、人間は小さいのねえ。何か因果関係でもあるのかしら。でも、阿良々木くんがどんなに小さな人間でも、私は見捨てたりはしないの。阿良々木くんの人間の小ささに、ちゃんと、付き合ってあげる」

「你反应这么大,器量却这么小。这之间有什么因果关系吗。不过,就算阿良良木的器量再小,我也不会舍弃你的。对于阿良良木的器量狭小,我会奉陪到底的。」

「微妙な物言いだよな、それも」

「你这说法也很微妙。」

「どこまででも、付き合ってあげるわ。西の山から東の海まで、お望みとあらば地獄まで」

「不管到哪里我都会陪伴你。从西山到东海,只要你希望,我可以陪你到地狱去。」

「……いやだから、そういう台詞を言えば、お前は格好いいかもしれないけどさ……」

「……拜托不要,你说那种台词或许很帅没错……」

「だから、阿良々木くんの人間の小ささに関わること以外で、何か、困ったことはない?」

「所以说,阿良良木除了器量狭小以外,还有什么烦恼吗?」

「………………」

こいつ、僕のことが嫌いなんじゃないのか。

这家伙是不是很讨厌我啊。

僕は今、深刻ないじめに遭っているんじゃないのか。

我现在是不是遇到很严重的霸凌啊。

被害妄想であって欲しいけれど……。

希望这只是我的被害妄想……

「これといって、別にないな……」

「其他也没什么特别的烦恼……」

「欲しいものも困っていることもないのね──ふうん……」

「你没有想要什么东西,也没有烦恼吗?嗯……」

「今度はどんな罵倒が僕に浴びせられるのかな」

「你这次又想怎么臭骂我?」

「器が大きくって素敵だわ」

「你好棒,器量真大。」

「無理矢理褒めてんじゃねえ!」

「你不用勉强自己夸奖我!」

「素敵滅法めっぽうね、阿良々木くん」

「你真的绝妙绝伦呢,阿良良木。」

「だから無理や……え、何て? てん覆滅ふくめつ?」

「就跟你说不要勉强自己……诶,什么?绝子绝孙?」

「素敵という言葉の強調形よ。知らないの?」

「就是说你好到极点,无人可比的意思。你没听过吗?」

「知らない……というか、そんな死語みたいな言葉を引っ張りだしてきてまで僕を褒めて、一体何を企んでるんだ、お前は」

「没听过……话说回来,你硬是拿出那种像八股文一样的词汇来夸奖我,到底有什么企图?」

しかも、言うにこと欠いて器が大きいだなんて……今、人間が小さいという話をしていたところだというのに。

而且,偏偏还说什么器量很大……我们刚才明明还在聊我器量狭小的事情。

「いえ、阿良々木くんが一週間毒舌禁止とか言い出しそうな気がしたから、先に手を打っておこうと思って」

「不是,我觉得你会禁止我毒舌一个礼拜,所以才想说事先采取必要的对策。」

「そんなの、どうせ無理だろ」

「那种事情反正你也做不到吧。」

呼吸をするな、心臓を停めろに等しい。

那等于叫她不要呼吸、把心脏停下来一样。

それに、たとえ一週間といえども毒舌を禁止だなんて、そんなのは戦場ヶ原であって戦場ヶ原じゃない、僕としても全く楽しくないじゃないか──っておい、どうして僕が、もう戦場ヶ原の毒舌なしじゃやっていけないみたいなキャラになってんだよ。

而且,就算只有一个礼拜,要是禁止毒舌的话,战场原就不是战场原了,我也会觉得十分无趣——喂!为什么我会变成少了战场原的毒舌就活不下去的角色啊。

危ないなあ……。

好危险啊……

「仕方ないわね……それにしても、エロ方面を禁止した途端、何の案もなくなっちゃうだなんて、驚きよね」

「真没办法……话说回来,没想到我一禁止色情方面的愿望你就一筹莫展了,真让我吃惊呢。」

「それは確かに事実だが、禁止する前から案なんて何もなかっただろうが」

「这一点的确是事实,不过早在你禁止之前,我就想不到任何主意了吧。」

「わかりました、阿良々木くん。ちょっとくらいなら、エロくってもいいことにするわ。戦場ヶ原ひたぎの名に基いて、欲望の解放を許可しましょう」

「我知道了,阿良良木。那稍微有一点色色的也没关系。我以战场原黑仪之名,允许你解放自己的欲望。」

「………………」

ひょっとして何か期待されてるのかな……。

她该不会对我有什么期待吧……

ああ、今度は自意識過剰か……揺れるなあ。

啊啊,这次是自我意识过盛吗……我这变动还真大啊。

「本当に何もないの? 勉強を教えて欲しいとか」

「真的什么都没有吗?比方说希望我教你功课之类的。」

「それはもう諦めてる。卒業できればいい」

「那个我已经放弃了。我只要能毕业就好。」

「じゃあ、卒業したいとか」

「那比方说,要我协助你毕业之类的。」

「普通にしてりゃできるよ!」

「正常人都毕得了业吧!」

「じゃあ、普通にしたいとか」

「那比方说,你希望我把你变成正常人之类的。」

「喧嘩売ってんだなそうなんだな!?」

「你想找我打架对吧!」

「じゃあ、そうね──」

「那,我想想——」

戦場ヶ原は、間合いを計った風に、頃合いを見計らって、言う。

战场原有如在盘算适当的时机般,看准机会说:

「彼女が欲しいとか」

「比方说你想要女朋友之类的。」

「………………」

これも──自意識過剰、だろうか?  

这也是我自我意识过盛吗?

何か、意味ありげな。

我总觉得她好像话中有话。

「欲しいって言ったら……、どうなるんだ?」

「如果我说我想要的话……那会变成怎样?」

「彼女ができるわ」

「你就会交到女朋友咯,」

平然と言う戦場ヶ原。

战场原一脸若无其事,又接着说:

「それだけのことよ」

「就只是这样而已。」

「……………………」

うん……。

嗯……

深読みしようと思えば、できる台詞だけれど。

这台词只要我想,就能过度去解读它。

これが一体、どういう状況なのかは、本当のところ、全くわかったものではないけれど──何にしたって、経緯はどうあれ、自分に恩を感じてくれている人間に対して、付け込むようなことをするのは、やっぱり、よくないよな。倫理的道徳的にどうとかいうより、気分がよくない。

这到底是什么状况,说实话我真的完全搞不清楚;但不管怎么样,无论有什么原因,对感谢自己的人做出这种趁人之危的事情,实在不太好啊。这不是伦理上或道德上怎样的问题,而是我会觉得心里不舒服。

義理の恋人──でも、ないけれど。

没有血缘关系的恋人——这也不对啊。

忍野の言っていたことが、なんだかわかる気がした。

忍野说过的话,我似乎多少可以理解了。

勝手に助かるだけ──か。

只是你自己救了自己而已……是吗?

忍野から見れば、僕のやったことなんて──戦場ヶ原に対しても委員長に対しても、それに春休みのあの女……あの鬼に対しても、美しくはあっても正しくはなかったということなのだろう。

以忍野来看,我所做的一切——不论是对战场原还是对班长,还是对春假那位女性……那个吸血鬼来说,虽然很高尚但却不是正确的吧。

戦場ヶ原の問題が解決したのは、誰のお陰でもない、戦場ヶ原の真摯な思いによるものなのだから。

战场原的问题会解决不是靠其他人的帮助,而是因为她那真诚的思念所致。

その意味じゃ──本当に不純だ。

在这层意义上——

たとえ、何を願っても。  僕は。

我不管要求什么,都是很不纯洁的。

「いや、そういうのは、別に、ないな」

「不,我也不想要女朋友。」

「ふうん。そう」

「嗯——是吗。」

果たして、深い意味があったのかなかったのか、あったとすればそれはどういう風に深い意味だったのか、それはとうとう不明になってしまったが──戦場ヶ原は、何ということもなさそうに、そう言った。

究竟她这番话是否有深意?就算有又是哪一种深意呢?这点最后无疾而终,总之,战场原这话却说得很若无其事。

「まあ今度、ジュースでもおごってくれよ。それでチャラってことにしようぜ」

「唉呀,下次你请我喝杯果汁吧。这样我们就扯平了。」

「そう。無欲なのね」

「是吗。你真的没有欲望呢。」

本当に器が大きいわ。

阿良良木的器量真的很大呢。

戦場ヶ原は、まとめるようにそう言う。

战场原有如总结一般,接着说。

この話はこれでおしまいという意思表示だろう。 と。

这就表示此话题到此结束的意思吧。

そこで僕は、正面を向いた。随分長い間、戦場ヶ原の顔を見ていた気がしたので、意図的に、あるいは、気まずさに眼を逸らすように、そっちの方へと視線をやったのだが──そこに。

因此,我将脸朝向正面。我感觉自己有很长一段时间,一直在看着战场原的脸庞,所以我刻意地,或者该说尴尬地将视线挪开,移往正前方。而在那里——

そこに、一人の女の子がいた。

站着一个女孩。

大きなリュックサックを背負った、女の子が。

一个身后背着大背包的女孩。

003#

その小学校高学年くらいの年齢だろう女の子は、公園の端っこにある、鉄製の看板、案内図──この辺りの住宅地図に、向かっていた。こちらに背中を向けているので、どんな顔をした女の子なのかはわからないが、背負った大きなリュックサックがとにかく印象的で──だから、僕はすぐに思い出すことができた。そう、その女の子は、ついさっき、戦場ヶ原がここに現れるその前にも、ああやって、住宅地図に向かっていた。あのときは、すぐに立ち去っていったけれど──どうやら、また戻ってきたらしい。なにやら、手に持っているメモらしきものと、看板とを、見比べているようだ。

那女孩约莫小学高年级,站在公园角落一块铁制的导览广告牌——这附近的住宅地图前。女孩背对着这里,所以无法窥知她的容貌,但她身后的大背包却给人深刻的印象,因此我当下就想起来了。对,那女孩不久前,战场原出现在这里之前,她也像那样站在那块住宅地图前方。那时她马上就离开了,但看样子她现在似乎又跑了回来。她手上拿着类似便条纸的东西,正在和广告牌做对照的样子。

ふむ。

嗯——

つまり、迷子って奴なのだろう。持っているメモには、手書きの地図か、あるいは住所が書かれているのに違いない。

简单来说,她是迷路的小孩吧。她手上的便条纸,肯定画有地图或写着地址。

じっと、眼を凝らしてみる。

我试着凝视前方。

すると、リュックサックに縫い付けられた名札が見えた──『五年三組 八九寺真宵』と、太いマジックペンで、記されている。

于是,我看见缝在背包上的名牌,上头用粗奇异笔写着:「五年三班 八九寺真宵」。

真宵……は、『まよい』かな。

真宵……是念作「MAYOI」吧。

しかし『八九寺』……あの苗字はどう読むのだろう。『やくでら』……かなあ?

可是「八九寺」……这姓该怎么念呢,是「YAKUDERA」……吗?

国語は苦手。

国文不是我擅长的科目。

ならば、得意な奴に訊いてみよう。

既然这样,就问比较擅长的人看看吧。

「……なあおい、戦場ヶ原。あの看板の前に、小学生、いるじゃん。リュックサックの名札の苗字、あれ、なんて読むんだ?」

「……问你一下,战场原。那块广告牌前面,不是有一个小学生吗。她背包名牌上面的姓,该怎么念啊?」

「は?」

「啊?」

きょとんとする戦場ヶ原。

战场原愕了一下

「見えないわよ、そんなの」

「我看不见那种东西。」

「あ……」

「啊……」

そうだった。

说的也对。

うっかりしていた。

我没注意到。

今の僕は、もう普通の身体じゃないのだ──そして昨日、土曜日、忍に血を飲ませて丶丶丶丶きたところである。春休み頃ほどではないにせよ、今日現在の僕は、身体能力がいちじるしく上昇している。それは視力にしたって例外ではないのだった。ちょっと加減を間違うと──とんでもない距離にあるものが、はっきりと見えてしまう。別に見えること自体は何も問題じゃないのだが、他の人には見えないものが見えるというのは──あまり気分のいいことではない。

现在我已经不是普通的身体了。而昨天礼拜六,我才刚喂过血给忍而已。即便不及春假,但今天我的身体能力已经明显提升了。这点就连视力也不例外。要是没控制好,就连极远距离外的东西,我都能一目了然。超常的视力本身是没什么问题,但能看见别人看不见的东西——这点实在让我心里不太好受。

周囲との不調和。

因为和周围格格不入。

それは、戦場ヶ原の悩みでもあったのだが。

这点过去也是战场原的烦恼。

「えっと……漢数字、十中八九じっちゅうはっくの『八九』に、『寺』で、『八九寺』って並びなんだけれど……」

「就是那个……汉字的十之八九的『八九』加上『寺』,排列起来是『八九寺』……」

「……? まあ、それは、『はちくじ』ね」

「……?嗯,那个念作『HACHIKUJI』。」

「『はちくじ』?」

「『HACHIKUJI』?」

「ええ。阿良々木くん、その程度の熟語も読めないの? そんな学力で、よく幼稚園を卒園できたわね」

「对。阿良良木,你连那种程度的熟语都不会念吗?你这种学力,真亏你可以从幼儿园毕业呢。」

「幼稚園くらいは目隠ししてても卒園できるわ!」

「幼儿园那种程度,我就算把眼睛蒙起来都能毕业!」

「それはいくらなんでも自分を高く評価し過ぎだわ」

「你说这话实在太高估自己了。」

「突っ込みに駄目出し10が入った!?」

「吐槽中还语带指责!」

「思い上がりには感心しないわね」

「你的自傲实在让人无法佩服。」

「僕はお前に感心してきたよ……」

「我倒是一直很佩服你……」

「真面目な話、『八九寺』くらい、少しでも歴史や古典に興味があれば、つまり知的好奇心がある人間なら、知っていそうなものよ。阿良々木くんの場合、聞くも聞かぬも、等しく一生の恥という感じね」

「说正经的,『八九寺』这点程度的东西,只要稍微对历史或古典有兴趣的话,换句话说就是有求知欲望的人,都应该会知道的东西。从阿良良木的情况来看,不管你问还是不问,都是一辈子的耻辱。」 「あー、はいはい。どうせ僕は学がないよ」

「啊——好啦好啦。反正我就是没学问。」

「自覚があるのは自覚がないのよりはいいことだなんて思ったら大間違いよ」

「如果你以为有自觉比没自觉好的话,那你就大错特错了。」

「…………」

僕、こいつに何か悪いことしたっけなあ。

我到底哪里得罪她了。

お返ししてもらうとかいう話をしていたはずなのだが……。

她刚才好像还说想报答我……

「ったく……。ああ、まあいいや。とにかく、じゃ、あれは『はちくじまよい』ってことか……ふうん」

「够了……啊啊,随便啦。反正那就是念作『HACHIKUJI MAYOI』吗……嗯——」

変な名前。

奇怪的名字。

まあ、そうは言っても、『戦場ヶ原ひたぎ』とか『阿良々木暦』よりは一般的かもしれない。とにかく、人の名前についてあれこれいうのは、あまり上品な行為ではない。

话是这么说没错,不过这名字可能还比「战场原黑仪」和「阿良良木历」之类的还要常见。总之拿别人的名字来做文章,不是一种高雅的行为。

「えっと……」

「那个……」

と、戦場ヶ原の方を窺う。

我往战场原的方向看去。

うーん。

嗯——

こいつ、どう考えても、子供が好きってタイプじゃないよな……転がって来たボールを、平気で反対方向へ投げてしまいそうなイメージがある。泣いている子供をうるさいという理由で蹴飛ばしそうだ。

这家伙,不管怎么想,都不像是喜欢小孩的类型……她看超来会把滚到脚边的球,满不在乎地朝反方向扔去;还会因为小孩哭声太吵一脚踹飞他,战场原就是给人这种印象。

となると、一人で行くのがなんか。

这样一来,我一个人去比较安全吧。

これがあるいは戦場ヶ原ではなく別の奴なら、子供の警戒心を解くためには、女子を一緒に連れて行った方がよくはあるのだが。

为了解除小孩警戒心,通常有女性同行会比较好(假如我身旁不是战场原而是别人的话)。

やむかたなし。

没办法。

「おい、ちょっとここで待っててくれるか?」

「喂,你在这边稍微等我一下好吗?」

「いいけれど、阿良々木くん、どこかへ行くの?」

「是可以,不过阿良良木你要去哪?」

「小学生に話しかけてくる」

「我要去跟小学生搭个话。」

「やめておきなさい。傷つくだけよ」

「劝你还是免了吧。你只会受伤而已。」

「………………」

本当、酷いことを平気で言うよなあ、こいつは。

这家伙真能一脸若无其事地,说出这种过分的话。

いいや、後で話し合おう。

算了,待会再和她说吧。

今は、あの子だ。

现在是那个孩子。

八九寺真宵。

八九寺真宵。

僕はベンチから立って、広場を挟んだ向こう側──案内図の看板の位置、そのリュックサックの女の子の位置まで、小走りに近付いていく。女の子はどうやら地図とメモとの照らし合わせに必死らしく、後ろから寄っていく僕に気付きもしない。

我从长椅上起身,小跑步靠近广场的另一头——导览图的位置,来到那女孩的身边。女孩很认真在比对地图和便条纸,完全没注意到从后方靠近的我。

一歩分、距離を置いた場所から、声をかける。

我在距离她一步的地方,

できるだけ、フレンドリーに、気さくな風に。

尽可能用亲切爽朗的语气,开口和她攀谈。

「よっ。どうした、道にでも迷ったのか?」

「呦!你怎么啦,是不是迷路了?」

女の子は振り向いた。

女孩转过头来。

ツインテイルの、前髪の短い、眉を出した髪型。

她绑着双马尾,短短的浏海露出了眉毛。

利発そうな顔立ちの女の子だった。

五官看起来聪明伶俐。

女の子──八九寺真宵は、まずじっと僕を、ぎんするように見て、それから口を開いた。

女孩——八九寺真宵有如在思量一般,先是盯着我看,随后开口:

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」

「请不要跟我说话,我讨厌你。」

「………………」

………………。

ゾンビのような足取りでベンチにまで戻った。

我的脚步像殭尸一样,走回了长椅。

戦場ヶ原は不思議そうな顔をしている。

战场原一脸不可思议的表情。

「どうしたの? 何かあったの?」

「怎么了?发生了什么事?」

「傷ついた……傷つくだけだった……」

「我受伤了……真的只会受伤而已……」

思いのほか大ダメージを受けた。

我受到的打击意外地大。

回復まで十数秒。

花了十几秒才回复过来。

「……もう一回行ってくる」

「……我再去一次。」

「だから、何をしに、どこへ行くのよ」

「所以说,你到底是去那边做什么啊。」

「見りゃわかんだろうが」  

「你看就知道了吧。」

言って、再チャレンジ。

说完,我再次挑战。

少女八九寺は、僕との遭遇なんてまるでなかったかのように、看板に視線を戻していた。メモと照らし合わせるように。背後から肩越しに、そのメモを覗いてみる──書かれていたのは、地図ではなく、住所だった。土地勘がないのでわからないが、まあ、この辺りの住所なのだろう。

少女八九寺,仿佛刚才没遇到找一样,视线又回到广告牌上。依旧在比对手上的便条纸。我从背后隔着她的肩膀,看了那张便条纸一眼。上头没有地图,而是写着地址。我对这里不熟所以不清楚,不过应该是这附近的地址吧。

「おい、お前」

「喂,你——」

「………………」

「迷子なんだろ? どこに行きたいんだ?」

「你迷路了对吧?你想去哪啊?」

「………………」

「そのメモ、ちょっと貸してみろよ」

「那张便条纸借我看一下吧。」

「………………」

「………………」  

………………。  

ゾンビのような足取りでベンチにまで戻った。

我的脚步像殭尸一样,走回了长椅。

戦場ヶ原は不思議そうな顔をしている。

战场原一脸不可思议的表情。

「どうしたの? 何かあったの?」

「怎么了?发生了什么事?」

「無視された……小学生女子にシカトされた……」  

「我被无视了……被小学女生当成空气……」

思いの外大ダメージを受けた。  

我受到的打击意外地大。

回復まで数十秒。

花了十几秒才回复过来。

「今度こそ……行ってくる」

「这次一定要成功……我再去一次。」

「阿良々木くんが何をしたいのか、何をしているのか、私にはよくわからないのだけれど……」

「阿良良木你想做什么、在做什么,我一头雾水呢……」

「ほっとけ……」  

「别管我……」

言って、再三のチャレンジ。

说完,我再三挑战。

少女八九寺は看板に向かっている。  

少女八九寺正面对着广告牌。

先手必勝とばかりに、僕はその後頭部を平手ではたいた。全く警戒していなかったらしく、八九寺は看板に思い切り、むき出しのおでこをぶつけることとなった。

我有如先下手为强一般,一巴掌朝她的后脑勺叩打而下。八九寺似乎完全没有警戒,外露的额头一股脑地撞上了广告牌。

「な、何をするんですかっ!」  

「你、你干什么啊!」

振り向いてくれた。  

她转过头来了。

ありがたい。

真是太好了。

「後ろから叩かれたら誰でも振り向きますっ!」

「被人从后面这样叩打,不管是谁都会转头吧!」

「いや……叩いたのは悪かったよ」  

「唉呀……叩打你是我不对。」

度重たびかさなるショックに、ちょっと気が動転していた。

方才接二连三的冲击,让我有些慌了手脚。

「でも、知ってるか? 命という漢字の中には、叩くという漢字が含まれているんだぜ」

「不过你知道吗?命这个字下面有一个叩喔。」

「意味がわかりませんっ」

「你这话莫名其妙。」

「命は叩いてこそ光り輝くってことさ」

「这就是生命正因为叩打才会闪耀。」

「目の前がちかちかと輝きましたっ」

「我已经闪耀到眼冒金星了。」

「うん……」  

「嗯……」

誤魔化せなかった。  

无法蒙混过去。

残念。

可惜。

「ただ、お前、なんか困ってるみたいだったから、力になれるかなと思ってさ」

「我只是因为你看起来好像很伤脑筋,所以才想说能不能帮上你的忙。」

「いきなり小学生の頭を叩くような人に、なってもらうような力なんてこの世界にはありませんっ! 全くもって皆無ですっ!」

「一个突然打小学生后脑的人,这世界上没有任何忙他帮得上!完全没有!」

滅茶苦茶警戒されていた。  

她对我提防得很彻底。

当たり前だが。

这也理所当然。

「いや、だから悪かったって。マジで謝るって。えっと、僕の名前は、阿良々木暦っていうんだ」

「所以我跟你道歉了。真的很不好意思。那个,我的名字叫阿良良木历。」

「暦ですか。女の子みたいな名前ですね」

「叫做历吗?好女性化的名字喔。」

「………………」  

言うねー。  

真敢说。

初対面で言われることはそうそうないんだが。

很少有人初次见面就对我说这种话。

「女臭いですっ! 近寄らないでくださいっ!」

「娘娘腔!请你不要靠近我。」

「たとえ小学生でも女にそれを言われるのは、我慢ならないな……」  

「就算你是小学生,我也不能忍受你说我是娘娘腔……」

おっとっと。  

唉呀呀!

落ち着いて落ち着いて。  

沉住气、沉住气。

まずは信頼──だよな。  

首先要建立起信赖关系……对吧。

状況を改善していかないと、話が進まない。

不改善现在的状况,那就谈不下去了。

「で、お前はなんて名前なんだ?」

「那你叫什么名字?」

「わたしは、八九寺真宵です。わたしは八九寺真宵といいます。お父さんとお母さんがくれた、大切なお名前です」

「我是八九寺真宵。我的名字叫八九寺真宵。这是父母替我取的宝贝名字。」

「ふうん……」  

「嗯……」

どうやら、読み方はあっていたようだけれど。

看来念法似乎没有错。

「とにかく、話しかけないでくださいっ! わたし、あなたのことが嫌いですっ!」

「总之,请你不要跟我说话!我讨厌你!」

「なんでだよ」

「为啥啊?」

「後ろからいきなり叩くからですっ」

「因为你突然从后面打我。」

「お前、叩かれる前にもう既に僕のことを嫌いだって言ってただろうが」

「在被我打之前,你就已经说自己讨厌我了吧。」

「ならば、前世からの因縁ですっ!」

「既然这样,就是因为前世的关系!」

「そんな嫌われ方、したことねえよ」

「我从来没彼人这样讨厌过。」

「前世でわたしとあなたは、宿命の敵同士だったのですっ! わたしは麗しきお姫様で、あなたは悪の大魔王でしたっ!」

「我和你在前世是宿敌!我是美丽的公主,而你则是邪恶大魔王!」

「お前、一方的に攫われてるからな」

「那不是宿敌,你只是单方面被我抓走而已。」

知らない人についていっちゃいけません。  

不可以跟不认识的人走掉。

知らない人に話しかけられても無視しましょう。  

不认识的人跟你说话要无视他。

こんなご時世だし、最近の小学校じゃ、そういう教育が、よっぽど徹底されているのだろうか……それとも単に、僕の外観が、子供に好かれる類のものじゃないってことなのだろうか。  

毕竟现在是这样的时代,所以这种教育最近在小学做得很彻底吧……还是说,这单纯只是因为我的外表长得不讨小孩子喜欢呢。

何にしても、子供に嫌われるってのは凹むよなあ。

不管怎么样,被小孩讨厌真会让人意志消沉。

「とにかく落ち着けって。別に僕はお前に危害を加えたりしないよ。この町に住んでいる人間で、僕くらい人畜無害な奴なんて、一人もいないんだぜ?」

「反正你先冷静一点。我没有想要伤害你啊。住在这个城镇里面的人,没有人比我还要更人畜无害了喔?」

さすがにそんなわけはないだろうが、こいつを相手にする場合は、これくらい誇張しておくくらいで丁度いいだろう。子供に限らずこういう手合いには、くみしやすい11と思わせておいた方が得策だ。八九寺は納得したのかどうなのか、むう、ともっともらしく唸って、それから、「わかりました」と言った。

当然没那么夸张,但要和这家伙攀谈的话,这点程度的夸大其词算是刚好吧。遇到这种类型的人——不只限于小孩——要先让对方觉得自己不足为患才是上策吧。八九寺不知是否认同,一本正经地沉吟一声后,「我知道了。」她说。

「警戒のレベルは下げましょう」

「我就降低警戒属级吧。」

「そりゃ助かるよ」

「那真是太好了。」

「では、人畜さん」

「那么,人畜哥哥。」

「人畜さん!? 誰のことだ、それは!?」  

「人畜哥哥!你在叫谁啊!」

うわあ……。

呜哇……

四字熟語ならばなんてことのない普通の言葉なのに、下半分を削るだけで、そこまで圧倒的にべつ的な言葉になってしまうのか……僕は今まで、なんて言葉を平気で使ってきたのだろう。どころか、使うだけでは飽きたらず、自分から名乗ってしまった……。

如果是四字成语的话,人畜这两字很稀松平常,不足为奇;但是如果去掉下半部,就会变成非常污辱人的字眼吗……我至今为何会毫不在意地去使用它呢。而且光用还不满足,还要拿来当作姓名……

「怒鳴られましたっ! 怖いですっ!」

「你吼我了!好可怕喔!」

「いや、怒鳴ったのは悪かったけれど、でも、人畜さんは酷いって! 誰でも怒鳴るって!」

「不是,吼你是我不对,可是叫我人畜哥哥实在太过分了!不管是谁都会怒吼吧!」

「そうですか……でもあなたの方から言い出されたことです。わたしはそれに誠意をもって応えたまでです」

「是这样吗……可是那人畜这个词是你自己说的。我只是用诚意来回答你而已。」

「誠意がこもっていればそれで何でもいいってもんじゃないんだ、世の中は……」

「这世界上不是有诚意就可以通行无阻的好吗……」

実際には、この場合、人畜というのは『人と家畜』という意味合いで、別に人を批難するような意味合いではないのだが……それでもだ。

人畜一词实际上在这里是「人和家畜」的意思,没有批评人的意思……可是就算如此还是一样。

「つまり、人畜無害は略したら駄目な言葉なんだ」

「总之,把人畜无害简称的话,就会变成不好的字眼。」

「はあ。そうですか。なるほどです。つまりとんきょうという言葉みたいな感じですね。興奮すると『スットンキョー!』と奇声を発するキャラを受け入れることはできても、『頓狂な行為に身を任せる男であった……』なんて地の文で紹介されてしまうキャラは受け入れられないのと、同じようなものですか」

「喔。是吗,原来如此。这就跟疯疯癫癫这个词一样的感觉。就算你能接受一兴奋起来就会发出怪声喊:『疯疯癫癫!』的角色,但是你却无法接受叙述的部分介绍说『这男人是一个放任自己做出疯癫行为』的角色,这道理和人畜一样吧。」

「どうかな……僕は興奮すると『スットンキョー!』と奇声を発するキャラを受け入れることはできそうにないが……」

「怎么说呢……我好像也没办法接受一兴奋起来就会发出怪声喊:『疯疯癫癫!』的角色……」

「では、何とお呼びしましょう」

「那我该怎么称呼你呢?」

「そりゃ、普通に呼べばいいよ」

「你用普通的方式称呼我就好。」

「ならば、阿良々木さんで」

「那就称呼你为阿良良木哥哥吧。」

「ああ、普通でいいな。普通最高」

「好好,普通一点就好。普通最棒了。」

「わたし、阿良々木さんのことが嫌いです」

「我讨厌阿良良木哥哥。」

「…………」  

何一つ改善されていなかった。

情况完全没有改善。

「臭いですっ! 近寄らないでくださいっ!」

「你好臭!请不要靠近我!」

「女臭いより酷くなった!?」

「这比娘娘腔还要更过分!」

「む……確かに、いくらなんでもただ臭いとは、酷い形容だったかもしれません。訂正しましょう」

「呜……的确,只有一个臭字实在有点过分,我更正一下吧。」

「ああ、してくれるもんなら」

「好,如果你愿意的话。」

「水臭いですっ! 近寄らないでくださいっ!」

「你好见外!请不要靠近我!」

「意味が前後で支離しり滅裂めつれつだ!」

「前后的意思支离破碎了!」

「なんでも構いませんっ! 迅速じんそくにどっか行っちゃってくださいっ!」

「那不是重点!请你马上离开到别的地方去!」

「いや……、だから、お前、迷子なんだろ?」

「不是……所以说你迷路了吧?」

「この程度の事態、わたしは全く平気ですっ! この程度の困りごとには、馴れっこなんですっ! わたしにとってはとっても普通のことですっ! わたし、トラベルメイカーですからっ!」

「这种程度的小事,我根本就不在乎!这种程度的困扰我已经习惯了!这种事情对我来说再普通不过了!因为我是旅行制造者。!」

「旅行代理店勤務だと!? その歳でか!?」

「这么小就在旅行社工作了吗!」

確かにそれが本当なら、迷子になんてなるわけがないだろうが。

要是真这样的话,那她就不可能迷路了吧。

「……ていうか、意地張ってんじゃねえよ」

「……我说你不要逞强了啦。」

「意地なんて張ってませんっ」

「我没有逞强。」

「張ってるじゃん」

「明明就有。」

「ていっ! 喰らえっ!」

「哼!吃我这招!」

言ったと思うと、八九寺は僕の身体に向けて、全体重を乗せたハイキックを喰らわせてきた。とても小学生とは思えない、背筋に一本棒が通っているかのような、綺麗な姿勢での蹴りだった。だがしかし、悲しいかな、小学生と高校生とでは、身長差というものが、歴然としてある。この差だけは埋めようがない。顔面に決まっていればあるいはということもあったかもしれないが、八九寺のハイキックは、精々、僕の脇腹辺りにヒットするのがやっとだった。無論脇腹にだってつま先が入ればダメージはある、しかし、それは我慢できないほどの質量ではない。僕はすかさず、八九寺の足がヒットした直後に、両腕でかかって、その足首、ふくらはぎの辺りを、抱え込んだ。

八九寺话一说完,利用全身重量朝我的身体,踢出一记上段踢。她的腰杆笔直像根木棒,漂亮的姿势让人想象不到这是小学生的踢击。然而可悲的是,小学生和高中生的身高差距十分明显。这段差距无法撼动。如果是踢中脸部或许会有效果,但八九寺的上段踢顶多只能踢到我的侧腹。我的侧腹被脚尖踢到当然会痛,但也不至于疼痛到无法忍受。我被八九寺的脚踢中后,立刻用双手抱住她的脚踝和小腿肚。

「しまりました!」

「蛋完了!」

八九寺が叫ぶが、既に遅い。……『しまりました』というのが果たして文法的に正しいのかどうかは、あとで戦場ヶ原に訊くとして、僕は、片足立ちで不安定な姿勢になったところの八九寺を、容赦せず、畑で大根でも引き抜くかのような形で、思い切り引き上げた。柔道で言う一本背負い12のフォームだ。柔道ならばこのように足をつかむのは反則だが、残念ながら、これは試合ではなく実戦だ。八九寺の身体が地面から浮いた際、スカートの中身が思い切り、それもかなり大胆な角度から見えてしまったが、ロリコンではない僕はそんなことには微塵も気をとられない。そのまま一気に背負いあげる。

八九寺大叫,但为时已晚……究竟「蛋完了」这句话在文法上是否正确,这点待会再去问战场原,总之我毫不留情地把金鸡独立、重心不稳的八九寺,宛如像在田里拔萝卜般猛力向上一拉,动作就像柔道中的过肩摔一样。在柔道中像这样抓住对方的脚是犯规行为,不过很可惜这不是比赛,而是实战。八九寺的身体从地面浮起时,我能从非常大胆的角度窥见她裙底的风光,但不是萝莉控的我根本丝毫不在意。就这样直接把她过肩摔出去。

が、身長差がここで、逆ベクトルに作用した。身体が小さい八九寺は、地面に叩きつけられるまでの滞空時間が、同じ体格の人間を相手にするときよりもほんのわずかに長かった──ほんのわずかに。しかし、そのほんのわずかに、わずかの間に、八九寺は思考を切り替え、自由になる手で、僕の髪の毛をつかんだのだった。理由あって伸ばしている最中の髪──八九寺の短い指でも、さぞかし、つかみやすいことだろう。

然而,我俩的身高差距在这里起了反向量作用。八九寺体型娇小,摔到地面前的滞空时间,比跟我同体型的对手还要稍微长一点,仅仅稍微长了一点。但就在这一点时间、一点空隙当中,八九寺立刻转换思考模式,用能自由活动的手,揪住了我的头发。我因为一些缘故正在留头发,所以就算是八九寺的短指,想必也很容易揪住吧。

頭皮に痛みが走る。反射的に、八九寺のふくらはぎから、僕は手を離してしまった。

一阵疼痛窜过了我的头皮,我的双手反射性地离开了八九寺的小腿肚。

そこを逃すほど、八九寺は甘い少女ではなかった。僕の背に乗ったまま、地面への着地を待たず、くるりと、僕の肩甲骨けんこうこつを軸に回転し、そのまま頭部への打撃を繰り出した。肘鉄だった。ヒットする。だがしかし──浅い。両足が地面についていないから、力の伝導が平生通りにいかなかったのだ。年齢の差、実戦経験の差が、もろに露呈したのだった。決着を焦らず、落ち着いて一撃を繰り出せば、今ので決まり、今ので終わりだったろうに。そしてこうなれば、僕の反撃のシーンだった。必勝のパターンだ。

少女八九寺不会天真到让这个机会溜掉。她骑在我的背上,以我的肩胛骨为轴,不落地凌空转了一圈,朝我的头部发动攻击。是一记肘击。我被击中了,然而——这击的力道却很轻。因为她双脚没踏地,力量的传导无法和平常一样。这一击,已经完全暴露出我俩在年龄和实战经验上的差距。要是她不急着分出胜负,静下心来发动攻势的话,刚才这招肘击就会分出胜负,为一切画下句点吧。然而现在这样,就是我反击的时间。这是必胜模式。

頭に肘鉄を入れられた、そちら側の腕を──感覚的に、左──いや、裏返っているから、右腕か、右腕をつかんで、その位置から、再度、やり直しの一本背負い──!

我抓住她使出肘击的手腕,感觉上应该是左——不对,因为她翻过来所以是右手吗,我抓住她的右手,从那个位置再来一次过肩摔!

今度は──決まった。  

这次,分出胜负了。

八九寺は背中から地面に、叩きつけられた。  

八九寺背部着地,被我使劲摔在地上。

反撃に備えて距離を取るが──  

我为了防范她的反击,拉出距离。可是——

起き上がってくる様子はない。  

她却没有起身。

僕の勝ちだった。

我赢了。

「全く、馬鹿な奴め──小学生が高校生に勝てるとでも思ったか! ふははははははははは!」  

「你这家伙真是有够蠢。你以为小学生打得赢高中生吗!哇哈哈哈哈哈哈哈哈哈!」

小学生女子を相手に本気で喧嘩をして、本気の一本背負いを決めた末に、本気で勝ち誇っている男子高校生の姿が、そこにはあった。  

眼前,有一个高中生和小学女生打架却当真了起来,还当真用过肩摔抱对方摔在地板上,最后还当真地洋洋得意了起来。

ていうか僕だった。

那个人就是我。

阿良々木暦は、小学生女子をいじめて高笑いをするようなキャラだったのか……自分に自分でドン引きだった。

原来阿良良木历是那种欺负完小学生后,还会放声大笑的人吗……我被自己给吓到了。

「……阿良々木くん」  

「……阿良良木。」

冷めた声をかけられた。  

后方传来一句冷静的叫唤声。

振り向くと、そこには戦場ヶ原がいた。  

我回头一看,战场原就站在我身后。

見ていられなくなって、寄ってきたらしい。  

她似乎看不下去,走了过来。

とても怪訝そうな顔をしていた。

只见她一脸诧异不已的神情。

「地獄まで付き合うとは言ったけれど、それは阿良々木くんの小ささにであって、痛さとか、そういうのはまるっきり別だから、そこのところを勘違いしないでね」

「我说过要陪你到地狱去,不过那是因为阿良良木器量狭小的关系,这和你已经无可救药了之类的完全不一样,这点你千万别误会了。」

「……言い訳をさせてください」

「……请让我解释。」

「どうぞ」

「请说。」

「……………………」

言い訳なんかなかった。  

我没有任何理由。

どこを探しても出てこない。  

不管怎么找都找不到。

というわけで、仕切りなおす。

那么,对话就重新来过吧。

「まあ、過去のことはとりあえず置いておいてだな、こいつ──」  

「唉呀,过去的事情先摆到一边吧,这家伙——」

倒れたまま起き上がらない八九寺を指さして、僕は言う。まあ背中から落ちたのだから、背負っているリュックサックがいいクッション代わりになっているはずだ、大丈夫だろう。

我指着躺在地上尚未起身的八九寺说。她是背部先着地,身后的背包正好成了不错的缓冲物,应该不要紧吧。

「なんか、道に迷っているっぽいんだよ。見たところ、親とか友達とかと一緒にいる風でもないし。あー、僕、朝から結構長い間、この公園にいるんだけどさ、こいつ、戦場ヶ原がここに来る前にも一度、ここで、この看板を、見てたんだ。そのときは別に何とも思わなかったんだけれど、それから時間経ってまた戻ってきたってことは、本格的に迷ってるってことだろ? 誰か心配してる人がいたら厄介だろうし、なんか力になれるかなって思って」

「她好像迷路的样子。照我看起来,她好像没跟爸妈或朋友在一起的样子。啊——我从一大早就一直待在这座公园了,在战场原你来之前,我有看到这家伙在这边看这块广告牌。那时候我没觉得怎么样,可是她过一阵子又跑了回来,这就表示她真的迷路了吧?要是有人在担心她的话就不好了吧,所以我才想说能不能帮上她的忙。」

「……ふうん」  

「……嗯——」

戦場ヶ原は、とりあえず頷きはしたものの、怪訝そうな顔つきは変わらなかった。まあ、その結果どうして取っ組み合い13の喧嘩になるんだと、訊きたい気持ちも山々だろうが、それについては何とも言えない。戦士と戦士の魂が呼応したのだとしか言いようがない。

战场原虽然暂且点头表示认同,但她诧异的神情却丝毫未变。我想,她大概很想问我最后为何会变成扭打吧,关于这点我实在无话可说。我只能说,这是战士和战士之间灵魂的共鸣。

「そう」

「是吗。」

「うん?」

「嗯?」

「いえ、なるほど……事情はわかったわ」  

「没事,原来是这样……我搞清楚状况了。」

本当にわかってくれたのだろうか。  

她真的搞清楚了吗。

わかった振りをされているだけだったりして。

该不会是不懂装懂吧。

「あ、そうだ、戦場ヶ原。お前、この辺に昔住んでたんだよな? だったら、住所とか、聞いたらある程度、わかるだろう?」

「啊,对了,战场原。你以前住在这附近吧?那地址之类的东西,你听到的话应该多少有印象吧。」

「そりゃ、まあ……人並みには」

「那个,还好……大概一般程度吧。」

歯切れが悪い。  

战场原说起话来口齿不清。

僕のことを、ひょっとしたら本当に児童虐待者として見ているのかもしれなかった。それはあるいは、ロリコンよりも、更に一段階酷い評価であるように思われた。

她搞不好真的把我当成一个虐待儿童的家伙了。我觉得这评价可能比萝莉控还要更过分。

「おい、八九寺。お前、本当は起きてるんだろ、気絶している振りなんかしやがって。さっきのメモ、このお姉ちゃんに見せてみろ」  

「喂,八九寺。你其实已经醒过来了吧,还在那边装死。快点把刚才那张便条纸,拿给这个大姐姐看一下。」

しゃがみこんで、八九寺の顔を覗き込む。

我蹲下来,观察八九寺的脸。

白目を剝いていた。 

她翻白眼了。

……本当に気絶してる……。  

……看来她真的昏倒了……

少女の白目って、マジで引く……。

少女翻白眼,真的会叫人退避三舍……

「どうしたの……? 阿良々木くん」

「你怎么了……?阿良良木。」

「いや……」

「没事……」

戦場ヶ原にばれないように、こっそりと自分の背で八九寺の顔を隠すようにして、さりげなく、八九寺の頰を二、三回、はたいた。暴力に暴力を重ねているのではなく、勿論、気付けのためだ。

我悄悄用自己的背遮住了八九寺的脸,以免被战场原看见,随后若无其事地打了八九寺两、三个耳光。当然,这是为了让她醒来,不是因为我想对她再次施暴。

その結果、八九寺は眼を覚ます。

最后,八九寺醒了过来。

「ん……なんだか夢を見ていました」

「嗯……我好像做了一个梦。」

「へえ、そうなんだあ。どんな夢だい?」  

「哇!真的吗。是什么梦啊?」

体操のお兄さん14風に応じてみた。

我像体操大哥哥一样,试着回答她。

「聞かせてよ、八九寺ちゃん。一体、どんな夢を見てたんだい?」

「快告诉我吧,八九寺小妹妹。你到底做了什么梦呢?」

「凶悪な男子高校生に虐待される夢です」

「我梦见自己被一个凶恶的男高中生虐待。」

 「……逆夢って奴かな」

「……梦与现实是相反的。」

「なるほど。逆夢ですか」  

「原来如此。是相反的吗。」

明らかに気を失う直前の現実だった。  

很明显,那是事实,在她失去意识的前一秒的确是这样没错。

後ろめたさで胸が張り裂けそうだった。

我感觉内疚感快撕裂我的胸膛。

八九寺からメモを受け取って、それをそのまま、戦場ヶ原に手渡す──が、戦場ヶ原はそれを受け取ろうとはしなかった。差し出された手を、氷点下よりも冷たい眼でじっと、見ている。

我从八九寺那边拿到便条纸,直接把它拿给战场原。然而,战场原却不打算伸手接下那张纸。她用比冰点还要更冷冽的眼神,凝视着我伸出去的手。

「なんだよ。受け取れよ」

「干嘛啊。拿去啊。」

「……なんだかあなたには触りたくないわね」  

「……总觉得我不是很想碰你呢。」

ぐっ。  

呜!

聞きなれたはずの毒舌が、えらくこたえる……。

应该早已听习惯的毒舌,这次却深深刺痛了我的心。

「メモを受け取るだけだろうが」

「只是拿一下便条纸而已吧。」

「あなたが触ったものにも触りたくないわ」

「我也不想碰你摸过的东西。」

「…………」

嫌われちゃった……。  

我被她讨厌了……

戦場ヶ原さんに普通に嫌われちゃった……。  

被战场原同学理所当然地讨厌了……

あれえ……おかしいなあ、さっきまで、なんだか、割といい感じだったのになあ……。

咦……好奇怪,我们到刚才为止,气氛还挺不错的说……

「じゃあ、わかったよ……僕が読み上げりゃいいんだろ。えーっと……」  

「好吧,我知道了……我念给你可以吧。我看看……」

メモに書かれている住所を、そのまま読む。幸いなことに、その中には、読みを迷うような漢字は一つもなかったので、流暢りゅうちょうに読み上げることができた。戦場ヶ原はそれを聞いて、

我将便条纸上的地址,照念了出来。所幸这上头的字念法都很简单,我才得以将它流畅地念出口。战场原听完后,

「ふむ」  と言った。

「嗯。」 沉吟了一声,接着说:

「そこならわかるわ」

「那个地址我知道在哪。」

「そりゃ助かる」

「那就太好了。」

「私が住んでいた家を、通り過ぎてちょっといったところって感じかしら。細かいところまではさすがに無理だけれど、その辺は辿り着けばフィーリングでわかるでしょう。じゃ、行きましょうか」

「好像在我以前的家,还要再过去一点的地方吧。详细的地点我没办法说明,不过到那边的话,凭感觉应该会知道吧。那我们走吧。」

言うが早いか、戦場ヶ原は踵を返し、公園の入り口に向けて、大股で、歩き始めた。てっきり、子供の道案内なんて嫌だとか、もっとごねるんじゃないかと思ったけれど、案外あっさりと、引き受けてくれたものだ──いや、そうは言っても、戦場ヶ原は八九寺に向けて自己紹介もしなかったし、どころか八九寺と眼を合わせようともしなかったから、恐らく、戦場ヶ原は子供が嫌いだろうという僕の予想自体は当たっているのだろうけれど。あるいは、お返しとしての『何か一つ』ということで、戦場ヶ原は僕の頼みをきいてくれたというつもりなのかもしれない。  

语音刚落,战场原立刻转头,大步朝公园入口走去。我原本以为她会讨厌替小孩带路,或者是唠唠叨叨地抱怨一堆,没想到她却答应得这么爽快。不对。话说回来,战场原还没向八九寺做自我介绍,甚至不愿意和八九寺眼神交会,所以恐怕战场原讨厌小孩这点真的被我猜中了。又或许,她是把这个请求当成我的愿望,想回报我,所以才会帮这个忙也说不定。

あー。  

啊——

だとしたら、すごい無駄遣いしちゃった感が……。

如果真是这样,我总觉得好浪费啊……

「まあ、いいか……行くぞ、八九寺」

「唉呀,算了……我们走吧,八九寺。」

「え……どこへですか」  

「咦……要去哪里?」

本気でわからないという顔をする八九寺。  

八九寺的表情好像真的搞不清楚状况一样。

こいつには話の流れが読めないのだろうか。

这家伙读不出对话的脉络吗。

「だから、このメモの住所。あのお姉ちゃんがわかるから、案内してくれるってさ。よかったな」

「就是去这张便条纸上的地址。那个大姐姐知道地方,所以要帮你带路。真是太好了呢。」

「……はあ。案内、ですか」

「……喔。帮我带路吗。」

「んん? お前、迷子なんじゃないのか?」

「嗯嗯?你没有迷路了吗?」

「いえ、迷子です」  

「不,我迷路了。」

はっきりと、それを肯定した、八九寺。

八九寺十分明确肯定地说。

「蝸牛の、迷子です」 「は? 蝸牛?」

「我是迷路的蜗牛。」

「は? 蝸牛?」

「嗄?蜗牛?」

「いえ、わたし──」  

「不,我——」

首を振る。

她摇头。

「わたし、なんでもありません」

「我——没什么。」

 「……あっそ。えーっと、じゃ、とりあえず、あのお姉ちゃんに追いつくぞ。あのお姉ちゃん、名前は、戦場ヶ原っていうんだ。名前負けしないくらいにツンケンしてるけれど、慣れれば結構、過激な味わいがあって癖になるし、本当は、割合素直な、いい奴だぞ。素直過ぎるくらいにな」

「……是吗。那个,那我们先跟着那位大姊姊吧。大姊姊的名字叫战场原。她虽然人如其名个性冷淡,说话又带刺,不过习惯之后那种过激的滋味会让人上瘾,其实她个性还挺直率的,人还不错喔。不过直率得有点过头啦。」

「…………」

「ああもう。早く来いっての」

「啊,真是的。反正你快点来吧。」

それでも動こうとしない八九寺の手を強引につかんで、引っ張るというか引きずるような感じで、僕は戦場ヶ原の背を追った。「あ、あう、あう、おうっおうっ」なんて、オットセイかアシカみたいなきょうな声をあげながらではあったが、八九寺も、何度かは危なかったものの、最後まで転ぶことなく、僕についてきた。

但八九寺依旧没有想动身的迹象,因此我硬是抓住她的手,拉着她……应该说感觉比较像是拖着她,追上战场原的背影。「啊、啊呜!啊呜!喔呜!喔呜!」八九寺发出像海狗或海驴一样的古怪叫声,过程中虽然险些跌倒,但最后还是站稳了身体,跟上了我。

マウンテンバイクは後で取りに来ることにして。  

我决定先把越野脚踏车放在公园,等会再来拿。

僕達はとりあえず、浪白公園を後にした。  

我们三人暂时离开了浪白公园。

結局、正しい読み方も、わからないままに。

到头来,我还是不知道名称的正确念法。

004#

ここらでそろそろ、春休みの話。

这边差不多该讲解一下春假的事情。

春休みのことだった。

一切始于春假,终于春假。

僕は吸血鬼に襲われた。

那时,我被吸血鬼袭击了。

襲われたというよりは、自分から首を突っ込んでいった──文字通り、鋭い牙に向かって、自分から首を突っ込んでいったようなものだが、とにかく、この科学万能、照らせぬ闇など最早ないというこのご時世に、僕、阿良々木暦は、日本の郊外かた田舎いなかで、吸血鬼に襲われたのだった。

与其说是袭击,毋宁说是我自己一头栽进去的。一切就如字面之意,就像是我自己朝着对方的利牙冲过去一样,总之在这个科学万能、几乎没有黑暗无法照亮的时代中,我,阿良良木历,在日本郊外的偏僻乡村中,被吸血鬼袭击了。

美しい鬼に。  

被美丽的鬼袭击了。

血も凍るような、美しい鬼に──襲われた。

被连血液也会为之冻结一般美丽的鬼……袭击了。

体内の血液を──絞り取られた。  

体内的血液——被她吸干。

その結果、僕は吸血鬼になった。  

最后,我变成了吸血鬼。

冗談のような話だが、それは笑えない冗談だった。

这话听起来像是在开玩笑,不过这是一个让人笑不出来的玩笑。

太陽に焼かれ、十字架を嫌い、大蒜で弱り、聖水で溶ける、そんな身体になって──引き換えに、爆発的な身体能力を手に入れた。そしてその先に待っていたのは──地獄のような現実だった。そんな地獄から僕を救い出してくれたのは、通りすがりのおっさん、もとい、忍野メメだった。定住地を持たない旅から旅への駄目大人、忍野メメ。彼は見事に、吸血鬼退治を──その他もろもろまで含めて、やってのけた。  

我的身体变得会被太阳灼伤、讨厌十字架、会因大蒜而衰弱、因圣水而溶化;但以此为代价,我得到了爆发性的身体能力。而在前方等待我的东西,是有如地狱般的现实。最后将我从地狱中解救出来的人,是一位刚好路过的大叔,也就是忍野咩咩。没有特定住所、不停旅行的差劲大人——忍野咩咩。他漂亮地消灭了吸血鬼,还替我解决了许多其他的事物。

そして──僕は人間に戻った。

接着,我变回了人类。

ささやかに、身体能力の片鱗──ある程度の回復力やら、新陳代謝やら、まあその程度──が残ったくらいで、太陽も十字架も大蒜も聖水も、平気になった。  

虽然体内还稍微留下一些身体能力——只是某种程度的恢复力和新陈代谢罢了——但我已经不怕太阳、十字架、大蒜和圣水了。

まあ、大した話ではない。  

唉呀,这件事也没多了不起。

めでたしめでたしというほどのこともない。

也不是什么可喜可贺的事情。

既に解決した、終わった話題である。いくつか残っている問題らしきものは、月一で血を飲まれ続け、そのたびに視力やらが人間のレベルを越えてしまうくらいの問題らしきものは、それはもう僕が所有する個人的なものということになっていて、僕が残りの一生をかけて、向き合えばいい程度のことばかりなのだから。

只是一件已经解决、画上句点的事情。剩下一些比较像问题的地方,顶多就是我每个月都要持续被吸一次血,而每次被吸血都会让我视力……等能力超越人类的水平而已,这是我个人的问题,我只要花上自己的余生去面对即可。

それに──僕の場合は、まだ幸運だった。  

而且,我的情况还算幸运了。

その期間は、所詮、春休みの間だけだったから。  

因为我只是在春假这段期间而已。

地獄はほんの、二週間程度だった。

地狱只持续了两个礼拜。

たとえば、戦場ヶ原は違う。  

打个比方来说,战场原就和我不一样。

戦場ヶ原ひたぎの場合。  

战场原黑仪的情况。

蟹に出遭った──彼女の場合。  彼女は──二年以上、身体に不都合を抱えていた。

遇到螃蟹的她——身体持续了两年以上的不便。

自由の大半を阻害される、不都合を。  

那不便,阻碍了她大半的自由。

二年以上の地獄──どんな気分だっただろう。

两年以上都活在地狱当中,那是一种什么样的感觉呢。

だから戦場ヶ原が、らしくもなく僕に対し、殊勝しゅしょうにも必要以上の恩義を感じてしまっているのも、あるいは仕方がないことなのかもしれなかった──身体に抱えた不都合についてはともかく、心に抱えていた不都合が解消できたという成果は、彼女にとって、恐らく何物にも代え難い、得難い成果だったはずなのだから。

因此战场原会对我产生超乎必要的恩(这点不太符合他的个性),也许是没办法的事情吧。因为身体上的不便先不谈,能够消除她心灵上的创伤这点,对她来说应该是任何东西都难以取代,且得来不易的成果吧。

心。  

心灵。

精神。

精神。

そう、結局、そういった種類の問題は、誰にも相談することのできない、理解者がいない種類の問題は、肉体よりも精神の方に深く、鎖を、あるいは楔を、打ち込むものなのかもしれなかった──ともすれば。

是的,到头来,那一类的问题无法和他人商量。这种无人能理解的问题,会深深束缚……或许应该说会钉死住的东西反而是精神,而不是肉体。这么一来——

言うなれば僕が、平気になったとはいえ、それでも朝、カーテンの隙間から差し込んでくる日の光が、未だに怖いのと、同じように──だ。

说起来我也一样,就像我现在已经不怕太阳,但我依然会恐惧早上从窗帘缝隙中射入的阳光。

僕の知っている範囲ではもう一人、僕と戦場ヶ原が籍を置いているクラスの委員長、羽川翼が、同じように忍野の世話になっているけれど──彼女の場合は、期間は僕よりも更に短く数日ほどで、しかも、その間の記憶を失っている。そういう意味においては、一番幸運な立ち位置と言うこともできるだろう。もっとも、羽川の場合、そういう意味において語りでもしない限り、全く、救われることはないのだけれど──

就我所知的范围内,跟我和战场原同班、又是班长的羽川翼,也同样受过忍野的照顾。不过她的情况只有短短几天,在时间上比我更短,而且她还失去了那段时间的记忆。在这层意思上,她可以说是最幸运的人。不过,羽川因为这样,只要她不去和别人谈自己的问题,她就完全不会得到救赎。

「この辺り」

「这一带。」

「は?」

「咦?」

「この辺りだったのよ。私の住んでた家」

「我以前的家,就在这一带。」

 「家って──」  

「你以前的家——」

戦場ヶ原の指差した方向を、言われるがままに見るけれど、そこにあるのは、ただの──

我顺着战场原手指的方向看去,那边只有一条普通的——

「……道じゃん」

「……那边不是马路吗?」

「道ね」  

「是马路呢。」

立派な道路だった。アスファルトの色が、まだ新しい──最近舗装されたばかりというような有様である。ということは、つまり──

一条很美观的道路。柏油的颜色还很新,有如最近才刚铺上去一般。也就是说——

「宅地開発って奴か?」

「这是住宅地开发吗?」

「区画整理ね。どちらかと言うと」

「应该说是土地区划整理吧。」

「知ってたのか?」

「你早就知道了吗?」

「知らなかったわ」

「我不知道。」

「だったらもっと驚いたみたいな顔しろよ」

「那你的表情应该更惊讶一点吧。」

「私って感情が顔に出ないのよ」  

「我不会将喜怒哀乐表现于形色的。」

確かに、眉一つ動いていなかった。

她的确连眉毛都没动一下。

しかし──なかなか、視線を移さず、その方向、その場所を見続けている戦場ヶ原のその態度からは、あるいは、確かに、彼女の内面で行き場をなくしている、そんな頼りない感情を、読み取ろうと思えば、それは、読み取れるのかもしれなかった。

但是,从战场原一直凝视那个方向、视线一动也不动的举止来看,只要你想,或许就能从中察觉出,她内心因为失去归宿而感到很无助不安的情感也说不定。

「本当に──すっかり変わっちゃったわ。たかだか一年足らずだというのに、なんてことかしら」

「这里——真的完全变了个样呢。明明才离开这边不到一年,这是为什么呢。」

「………………」

「つまらないの」

「真是无趣。」

折角来たのに。  

难得回来一趟说。

そう呟いた。  

她呢喃。

本当につまらなさそうに。

看似真的很无趣一样。

ともあれ、これで、戦場ヶ原が今日、新しい服の慣らしとやらと並んで、この辺りにまでやってきた大きな目的の一つは、これで果たされてしまったということなのだろう。

无论如何,这么一来战场原今天除了习惯新衣服以外,来到此地的另一大目的也算达成了吧。

振り向く。  

我转过头。

八九寺真宵は、僕の脚に隠れるようにしたまま、そんな戦場ヶ原のことを窺っていた。警戒するように、無口になっている。子供ながらに、あるいは子供であるがゆえに、僕よりも戦場ヶ原の方が危険人物だということが直感できたのだろうか、さっきからずっと、こいつは僕を壁にする形で、戦場ヶ原を避けているのだった。まあ、人間が人間を壁になんかできるわけがないのでバレバレだし、しかもそのせいで、戦場ヶ原を露骨に避けていることが見え見えなので、それは第三者的にも状況としては気分が悪いくらいだったが、それでも、戦場ヶ原の方も、お子様の八九寺を全く相手にしていないようなので(『こっちよ』とか『この道を行くの』とか、僕に向けてしか言わない)、まあ、お互い様だった。

八九寺真宵躲在我的脚后面,窥视眼前的战场原。她有如在警戒一样,沉默不语她只是个小孩,也许应该说正因为她是小孩,所以才能直觉到战场原是一个更胜于我的危险人物吧,从刚开始她就一直把我当成人墙在躲避战场原。可是呢,人类当然无法变成真正的墙壁,因此她的意图全曝了光,而且因为这样,她看起来很露骨地在躲避战场原,这状况甚至会让第三者也感到不舒服,然而就算如此,战场原似乎完全不把八九寺这个小孩放在眼里(「走这边」和「走这条路」之类的话,她也只对我说而已),所以两人是彼此彼此,互相互相。

間に挟まれた僕はたまったものではないが。  

但被夹在中间的我,实在忍受不住。

もっとも、さっきからの様子を見ていると、戦場ヶ原の場合、子供が嫌いとか子供が苦手とか言うより、ただ、よくわからない──みたいな反応のようにも、思えるけれど。

不过,从战场原至今的反应看来,与其说她讨厌或不擅长应付小孩,倒不如说她的反应比较像是——搞不太清楚状况。

「売っちゃったわけだし、家が残っているとは思っていなかったけれど……まさか道になっているとはね。これはさすがに、結構ブルーだわ」

「毕竟房子已经卖掉了,所以我也没想过房子会还在……不过没想到居然变成马路了。这真的会让人挺忧郁的呢。」

「まあ……、そりゃそうだよな」  

「嗯……这倒也是。」

それには同意するしかなかった。  

这点我只能同意了。

想像するに余りある。

我实在难以想象。

公園からここまでの道程にしたって、古い道路と新しい道路が入り混じって、あの公園の看板にあった案内図、住宅地図と、全く違う様相を呈しているというのだから──この辺りに特に思い入れのない僕だって、何か、モチベーションが削がれていくような気分だった。  

从公园到此,光是这段路程就已经新、旧路混杂,呈现出与公园那块地图广告牌完全不同的样貌,因此就连对这一带没有特别情感的我,都会觉得心中的干劲逐渐被削减。

仕方のないことだけれど。  

虽然这是无可奈何的事情。

人が変わるように、町並みも変わるのだ。

就像人会改变一样,城镇的样貌也会改变。

「ふうっ」  

「呼!」

戦場ヶ原は、大きく息をついた。

战场原深叹了一口气。

「どうしようもないことで時間を取らせてしまったわね。行きましょうか、阿良々木くん」

「我们因为这些无可奈何的事情,浪费了时间呢。走吧,阿良良木。」

「ん……もういいのか?」

「嗯……已经可以了吗?」

「いいのよ」

「可以了。」

「あっそ。じゃ、行くぞ、八九寺」  

「是吗。那我们走吧,八九寺。」

八九寺は無言で、こくんと頷いた。  

八九寺不作声,点头回应。

……ひょっとして、声を出すと戦場ヶ原に居場所がばれるかもしれないと思っているのかもしれなかった。

……她该不会是认为,要是出声会被战场原知道自己的位置吧。

一人、さっさと足を進める戦場ヶ原。  

战场原一个人,脚步迅速地往前进。

それを追う、僕と八九寺。

我和八九寺则跟在她后方。

「ていうか、いい加減に僕の脚から離れろよ、八九寺。歩きにくいんだよ。全く、ダッコちゃん15みたいにしがみつきやがって。こけたらどうすんだ」

「我说,你差不多可以离开我的脚边了吧,八九寺。你这样我很难走耶。真是够了,干么一直像抱抱君一样巴着我的脚不放。我要是跌倒了怎么办。」

「…………」

「何か言えよ。黙ってないで」  

「你说话啊。不要不出声。」

そう強要すると、八九寺は、

在我强行要求下,

「わたしだって、阿良々木さんのいかつい脚になんて、しがみつきたくなんかありませんっ」

「我也不想抱着阿良良木哥哥的粗腿不放啊。」

と言った。

八九寺开口说。

無理矢理引き剝がした。  

我硬是把她给扒开。

べりべりべりっと、音──は、しなかったが。

不过,倒是没有发出「啪嚓!啪嚓!啪嚓!」的声音。

「酷いですっ! PTAに訴えますっ!」

「这样太过分了!我要跟 PTA 告状!」

「へえ。PTAに」

「喔——PTA 啊。」

「PTAはものすごい組織なんですよっ! 阿良々木さんみたいな何の権力も持たない未成年の一市民なんてっ、指先一つでポポイのポイですっ!」

「PTA 可是很厉害的组织喔!像阿良良木哥哥这种未成年、既没权也没势的普通市民,他们只要一根手指头,就可以把你轻轻松松地摆平掉!」

「指先一つか、そりゃ怖いな。ところで八九寺、PTAとは何の略なんだ?」

「一根手指头吗,我好怕喔。不过八九寺,你知道 PTA 是什么的简称吗?」

「え? それは……」  

「诶?那是……」

わからないのだろう、再び黙り込んでしまう八九寺。  

八九寺再次陷入沉默。她八成不知道吧。

僕にもわからないけれど。  

不过,我自己也不知道。

まあ、面倒な議論に発展せずに済んだ。

至少,对话没有演变成麻烦的争论。

「PTAというのは Parent-Teacher Association の略よ。親と教師の会という意味ね」  

「PTA 是 Parent-Teacher Association 的简称。意思是家长教师协会。」

前方の戦場ヶ原から答が来た。

答案来自前方的战场原。

けい経管けいかん的血管形成術という医学用語の略でもあるけれど、阿良々木くんがそんなものを求めているとは思えないから、この場合は親と教師の会で正解でしょう」

「『经皮气球血管扩张术』这个医疗用语的简称也一样是 PTA,不过我想这应该不是阿良良木想要的答案,所以这里的正确答案应该是家长教师协会吧。」

「へえ。漠然と親の集まりって意味なんだろうと思ってたけれど、教師も会には含まれてるのか。戦場ヶ原、さすがに博学だな」

「哦——我原本以为那大概是家长会的意思,没想到里头还有老师啊。战场原你真的很博学呢。」

「あなたが浅学せんがくさいなだけよ、阿良々木くん」

「是你才疏学浅罢了,阿良良木。」

「語呂がいいから浅学と言われるのには文句はないが、しかし非才はこの場合余計では……」

「才疏这说法听起来很顺也就算了,可是学浅在这边是不是有点多余……」

「そうかしら。じゃあ悲惨と言い換えておくわ」  

「是吗?那我就把它换成悲惨吧。」

振り向きもしない。  

战场原完全不回头。

なんだか、機嫌が悪いな……。

她心情似乎很差呢……

普通の人が見たなら、普段の毒舌を振りまいている戦場ヶ原と今の戦場ヶ原、どう違うんだという感じだろうけれど、僕ぐらい戦場ヶ原から暴言を浴びせ続けられていると、その違いが、なんとなくわかる。言葉にいまいち切れがないのだ。普段、あるいは機嫌のいいときの戦場ヶ原は、むしろ畳み掛け16てくる。

平常毒舌透顶的战场原和现在的战场原,一般人可能分辨不出有哪里不同。不过,要是像我这样一直被战场原的谩骂洗礼,多少能分辨出其中的不同。因为她的话语缺少了锐利感。平常,或者是战场原心情好的时候,毒舌起来根本不会让人有喘息的机会。

うーん。

嗯——

なんだかなあ。  

为什么会这样呢。

家が道になってたからか──それとも、僕のせいか。  

是因为她的旧家变成马路的关系吗……还是因为我的缘故?

両方、ありそうだった。

看来这两者都有关系。

どちらにしても、児童虐待云々うんぬんはともかくとして、戦場ヶ原との会話を途中で打ち切る形で、八九寺のことに絡んじゃったからなあ……流れだったとは言え、それに付き合わされる戦場ヶ原としては、普通に考えれば、内心穏やかじゃないだろう。

不管是哪个原因,虐待儿童等事情先摆一边,因为刚才我和战场原聊到一半,就跑去管八九寺的事情了嘛……虽说状况是自然而然演变成这样,但站在非自愿陪伴我们的战场原的角度来看,正常来说她的心情应该不是很平静吧。

ま、そういうことなら、この女児、八九寺真宵をさっさと目的地まで送り届けてやって、それから、頑張って、戦場ヶ原の機嫌取りでもやらせてもらうことにしよう。昼ご飯でもおごらせてもらって、戦場ヶ原のショッピングにも付き合わせてもらって──それで時間が余れば、どこか遊べる場所にでも行こう。そうだな、うん、よし。妹のことがあるので家には帰りにくいし、今日は一日、戦場ヶ原に奉仕するために費やすとしようじゃないか。幸い、手持ちは結構あるし──ってなんだこの奴隷根性!  

唉呀,如果是这样的话,我们先快点把八九寺真宵这个小女孩送到目的地,之后我再努力逗战场原开心吧。请她吃顿中餐,陪她逛街买东西,如果时间还有剩的话,再去其他可以玩乐的地方吧。没错,好,决定了。反正我因为妹妹的事情不想回家,今天一整天就拿来侍奉战场原吧。幸好我今天带了不少钱——等一下,我这狗奴才性格是怎么回事!

自分でびっくりした。

我被自己吓到了。

「ときに、八九寺」

「不过,八九寺。」

「なんでしょう、阿良々木さん」

「怎么了?阿良良木哥哥。」

「この住所──」 

「这个地址——」

メモをポケットから取り出す。  

我从口袋拿出便条纸。

まだ八九寺に返してなかったのだ。

这张纸我还没还给八九寺。

「──の、場所には、一体何があるんだ?」  

「——到底是什么地方啊?」

それに。  

还有,

何をしにいくのか、だ。  

你想去那边做什么。

道案内をする立場として、それは聞いておきたい──まして、小学生女子の一人旅ともなれば、尚更だった。

站在带路人的角度来看,这点我想要事先知道,何况如果是小学女生独自要前往,那就更不用说了。

「ふーんだっ。話しませんっ。黙秘権を行使しますっ」

「哼哼——我不告诉你。我要行使缄默权!」

「………………」

本当に生意気なガキだな、おい。  

这个死小孩真的很臭屁。

子供が純真無垢だなんて、誰がいったんだろう。

谁说小孩都是天真无邪的。

「教えねーと、連れていってやんねーぞ」

「你不告诉我,我就不带你去喔。」

「別に頼んでませんっ。一人で行けますっ」

「我又没拜托你。我一个人也能去。」

「でもお前、迷子だろ?」

「可是你迷路了吧?」

「だったら、なんですかっ」

「那又怎么样。」

「いや……八九寺、あのな、後学のために教えてやるけれど、そういうときは、誰かを頼ればいいんだよ」

「那个……八九寺,为了你好我先告诉你,这种时候你只要请别人帮忙就好了。」

「自分に自信が持てない阿良々木さん辺りはそうすればいいですっ。気の済むまで他人を頼ってくださいっ。でも、わたしはそんなことをする必要がないんですっ。わたしにとってはこの程度、日常自販機なんですからっ!」

「对自己没有自信的阿良良木哥哥,你自己这样就行了。你可以请人帮忙到你满意为止。但是我没有那个必要。因为对我而言,这种程度是日常自贩机!」

「へえ……定価販売なんだな」  

「哦……是定额贩卖的啊。」

変な相槌だった。

我这回应很奇怪。

まあ、八九寺の立場からしてみりゃ、お節介なんだろうけれど、こんなの。僕だって小学生くらいの頃は、自分ひとりの力で、何でもできると信じていた。人の手なんて借りる必要はないと──あるいは、他人に助けてもらう必要なんて皆無だと、そう確信していた。

或许从八九寺的角度来看,我的帮忙可能很鸡婆。我自己在小学的时候,也曾经认为我可以靠己力完成任何事情。曾经确信自己没必要借用他人的力量,或是根本没必要请人帮忙。

なんでも、できるだなんて。  

自己什么都做得到。

そんなこと。  

这种事情——

できるわけもないのに。

明明是不可能的说。

「わかりましたよ、お嬢様。お願いです、この住所の場所に一体何があるのか、どうかわたくしめに教えてくださいませ」

「我知道了,大小姐。拜托您,请您告诉我这个地址是什么地方吧。」

「言葉に誠意がこもってませんっ」  

「你说话一点诚意都没有。」

なかなか頑強だった。

这家伙还挺顽强的。

中学生の妹なら、二人ともどっちも、この手で確実に落ちるというのに……とはいえ、八九寺は賢そうな顔立ちをしているし、馬鹿な子供をあしらう17ようにはいかないというわけか。全く、どうしたものだろう。

如果是我那两个国中生的妹妹,用这招就可以确实攻陷她们了说……话虽如此,八九寺的脸蛋看起来很聪明,所以不能把她当成一般的傻小孩对付吗?真是的,到底该怎么办才好。

「…………うむ」  

「…………嗯!」

妙案が閃いた。  尻のポケットから、財布を取り出す。  

我脑中闪过一个好主意,从臀部的口袋拿出钱包。

手持ちは結構ある。

我今天带了不少钱。

「お嬢ちゃん、お小遣いをあげよう」

「小妹妹,我给你零用钱吧。」

「きゃっほーっ! なんでも話しますっ!」

「呀呼——!我什么都告诉你!」

馬鹿な子供だった。  

原来她是一个傻小孩。

ていうか、本当に馬鹿……。  

应该说,她真的是个傻子……

なんだかんだ言っても歴史上、こんな手で誘拐された子供は一人もいないと思うが──八九寺はその一人目になるかもしれない得難い人材のようだった。

不管怎么说,我想历史上没半个小孩会被这一招拐走吧,八九寺可能会成为史上第一人,真是难得的人才。

「その住所には、つなさんという方が住んでいます」

「那个地址住着一户姓纲手的人家。」

「綱手? それ、苗字か?」

「纲手?那是姓吗?」

「立派な苗字ですっ!」  

「当然是姓!」

何故か立腹した風に、八九寺は言った。  

八九寺不知为何怒气冲冲地说。

知り合いの名前をそんな風に言われたら、気分を悪くするのはわかるけど、そんな怒鳴りつけるようなことでもないだろうに。

我知道自己朋友的名字被人那样说,心里会不太舒服,可是也不到怒吼的地步吧。

情緒不安定というか、なんというか。

这不知道该说是她情绪不安定,还是……

「ふうん……で、どういう知り合いなんだ?」

「嗯……那你们是什么关系?」

「親戚です」

「我们是亲戚。」

「親戚ね」  

「亲戚啊。」

つまり、日曜日を利用して、親しくしている親戚の家に、一人で遊びに行く途中ということなのだろうか。よっぽど放任主義の親なのか、それとも、八九寺がこっそり、親の目を盗んで抜け出て勝手にここまで来たのか、それはわからないが──決意むなしく、休日の一人旅という小学生の冒険も、中途破綻ということらしい。

也就是说,她利用礼拜天,一个人正要去熟识的亲戚家吗?是她双亲管教方式太放任?还是八九寺瞒着父母自己跑来的?这点我不知道,但是她的决心似乎落空,假日的小学生单独冒险在中途触了礁。

「仲のいい従兄弟でもいるのか? そのリュックサックから見ると、結構な遠出なんだろ? 全く、そんなもん、ゴールデンウィークにでも済ませておけよ。それとも今日でなきゃ駄目な理由でもあるのか?」

「是感情很好的堂哥表姐之类的吗?从那个大背包看起来,你应该是从很远的地方过来的吧?拜托,出远门应该在黄金周之类的长假做吧。还是说你有非今天不可的理由?」

「そんなところです」

「正是如此。」

「母の日くらい、家で親孝行してればいいのに」  

「母亲节你应该待在家里孝顺妈妈啊。」

それは。  

我自己,

僕が言っていいことではないけれど。

也没立场说别人。

──兄ちゃんは、そんなことだから。  

——哥哥老是这样。

そんなことだから──何が悪いというのだ。

老是这样又有什么不对。

「阿良々木さんに言われたくはありませんっ」

「阿良良木哥哥没资格这样说我。」

「いや、お前が何を知ってるんだよ!」

「等等,你又知道什么了!」

「なんとなくですっ」

「这是我的直觉。」

「…………」  

理屈ではなく、単純に僕から説教じみたことを言われるのが、生理的に嫌だということのようだった。  

不管有无道理,她似乎只是单纯在生理上讨厌我念她而已。

酷い。

这真过分。

「阿良々木さんこそ、あんなところで何をされていたのですか。日曜日の朝から公園のベンチでぼーっとしているなんて、まともな人間のやることとは思えませんが」

「阿良良木哥哥才是,你刚才在那边做什么?礼拜天一早就在公园长椅上发呆,这不像正经的人会做的事情。」

「別に。ただの──」  

「没什么,我只是——」

暇潰しと言いそうになって、寸前で思いとどまる。そうだった、何をしていると訊かれて暇潰しと答える男は、甲斐性なしなのだった。危ないところだった。

只是在打发时间这句话,差点脱口而出。对了,问一个男人在做什么,如果他回答是在打发时间的话,那就表示那个男人没有出息。真是好险。

「ただの、ツーリングだよ」

「我只是在远骑而已。」

「ツーリングですかっ。格好いいですっ」  

「远骑吗?好帅喔。」

褒められた。 

被她称赞了。

後に何か酷い言葉が続くかと思ったが、何も続かない。  

我原本以为那后面还会接什么恶毒的话语,结果却没有。

そうか、八九寺は僕を褒めることができるのか……。

原来八九寺也会夸奖我啊……

「ま、自転車でだけどな」

「不过是骑脚踏车罢了。」

「そうですか。ツーリングと言えば、やはりバイクですよねっ。とても惜しい感じですっ。阿良々木さんは、免許はお持ちでないのですかっ?」

「脚踏车啊。说到远骑,果然还是要骑摩托车呢。真的好可惜啊。阿良良木哥哥没有驾照吗?」

「残念ながら、学校が校則で免許の取得を禁止してるから。でも、どっちみちバイクは危ないからな、僕はクルマの方がいいや」

「很遗憾,因为我们学校的校规禁止学生考驾照。不过摩托车实在很危险啦,我觉得开车比较好。」

「そうですか。でもそれですと、フォーリングになってしまいますよねっ」

「这样啊。可是那样就变成远开了。」

「………………」

うわあ、この子、ツーリングのスペルをかなり面白く勘違いしてる……。訂正してあげるのが優しさなのか、そっとしておくのが優しさなのか……僕には判断できなかった。

呜哇,这孩子似乎误会了远骑的拼写,真是有趣……应该订正她比较好,还是不管她比较好呢……这点我无法判断。

ちなみに前を行く戦場ヶ原は無反応。  

附带一提,走在前头的战场原毫无反应。

会話に入ってこようとさえしない。  

她甚至不打算参与我们的对话。

知能の低い会話は聞こえないのかもしれなかった。

或许她的耳朵听不见智商过低的对话。

とはいえ。  

然而,

ここで初めて見せた、八九寺真宵の屈託のない笑顔は、かなり、魅力的なそれだった。打ち解けたみたいな笑顔。ひまわりが咲いたような、と言えばありがちだけれど、この年代を越えてしまえば、ほとんどの者は浮かべられなくなるだろう、そんな微笑だった。

我在这里第一次看见八九寺真宵爽朗的笑容,那笑容相当具有魅力。笑容中没有了隔阂。宛如向日葵绽放一般,或许这比喻相当普遍,但几乎所有的人只要过了这个年纪,就无法浮现出这样的笑容吧。

「ふう……やれやれ」  

「呼……唉呀呀。」

これまた、全く危ないところだった。僕がロリコンだったら惚れているシチュエーションだ。ああ、僕はロリコンじゃなくて本当によかった……。

这又是一个十分危险的关头。这一幕假如我是萝莉控肯定会煞到她。啊啊!我不是萝莉控真的太好了……

「でも、本当にややこしいな、この辺の道。どういう構造になってんだ? お前、よくこんなところ、一人で来ようと思ったもんだよ」

「不过,这附近的路真的很复杂呢。这构造到底是怎么回事?真佩服你居然会想要一个人来这种地方。」

「別に初めてではないですから」

「因为我不是第一次来了。」

「そうなのか。じゃあ何で迷うんだよ」

「这样啊。那你怎么还会迷路?」

「……久し振りだからです」  

「……因为我很久没来了。」

恥じ入るように、八九寺は言った。

八九寺的语气似乎很羞愧。

ふむ……しかし、そんなところだろう。できると思っていることと、実際にできることとは、違う。思っていることは思っているだけだ。それは、小学生でも高校生でも、それ以外のどの年齢でも、同じことだろう。

嗯……不过很多事情就是这样吧。以为自己能够做到的事情和实际上做得到的事情,两者是不同的。以为的东西只是以为。这点不管对小学生或高中生,或是其他年龄层的人,都是一样的吧。

「そういえば、阿良々々木さんは──」

「对了,阿良良良木哥哥——」

「々が一個多いぞ!?」

「你的良多了一个喔!」

「失礼。嚙みました」

「抱歉。我口误。」

「気分の悪い嚙み方してんじゃねえよ……」

「你这种口误让人心情很糟耶……」

「仕方がありません。誰だって言い間違いをすることくらいはあります。それとも阿良々木さんは生まれてから一度も嚙んだことがないというのですか」

「这是没办法的事情。不管是谁都会有说错话的时候。还是说阿良良木哥哥从出生到现在,一次都没有口误过?」

「ないとは言わないが、少なくとも人の名前を嚙んだりはしないよ」

「我不敢说没有,但是至少我念别人名字的时候不会口误。」

「では、バスガス爆発と三回言ってください」

「那请你念三次『巴士、瓦斯、爆炸』看看。」

「それ、人の名前じゃないじゃん」

「你那不是人名吧。」

「いえ、人の名前です。知り合いに三人ほどいます。ですからむしろ、かなり一般的な名前であると思われます」  

「不对,这是人名。我有三个朋友叫这个名字。所以我想以前这应该是很普通的名字。」

自信たっぷりだった。 

她的脸上充满了自信。

子供の噓って、こんな透け透けなんだな。  

原来小孩的谎言这么容易看穿啊。

もうびっくりしちゃうよ。

我自己都觉得很惊讶。

「バスガス爆発、バスガス爆発、バスガス爆発」  

「巴士、瓦斯、爆炸;巴士、瓦斯、爆炸;巴士、瓦斯、爆炸。」

言えちゃった。

我成功念出来了。

「夢を食べる動物はっ?」  

「会吃梦的动物是什么?」

間髪かんはついれず、八九寺が言う。  

八九寺间不容发地接着问。

いつの間にか十回クイズ18になっていた。

什么时候变成在玩诱导式猜谜了。

「……バク?」

「……貘?」

「ぶぶー。外れですっ」 

「噗噗——!答错了。」

したり顔で言う八九寺。

八九寺得意洋洋地说。

「夢を食べる動物。それは……」

「会吃梦的动物。那就是……」

そしてにやりと不敵に笑って。

接着,她露出目中无人的贼笑。

「……人間ですよ」

「……人类。」

「うまいこと言ってんじゃねえよ!」  

「不要说这种冠冕堂皇的话!」

必要以上に大声で怒鳴りつけてしまったのは、本当にうまいと、不覚にも思ってしまったから。

我发出超乎必要范围的怒吼声。因为我觉得她这个说法真的很厉害,虽然我不想承认。

ともかく。  

总之。

閑静な住宅街、とでも言うのだろう。

这里可以算是闲静的住宅区吧。

歩いていて、人間とすれ違うということがない。出掛けるべき人は朝の内に出掛けてしまっていて、出掛けない人は一日中家にいる──そういう場所らしい。まあ、そのあたりの事情は、僕の住んでいる場所も、こことそうは変わらないけれど、違うのは、この辺には、やけに大きな家が多いという点だろう。お金持ちばかりが住んでいるということか。そういえば、戦場ヶ原の父親も、外資系の企業のお偉いさんということだった。ここに住んでいるのは、そういう人間ばかりなのだろう。  

我们走在路上,没有和人擦肩而过。因为该出门的人一早就出门了;而不出门的人则整天都待在家里——这里似乎就是这样的地方。不过,这种状况在我家那一带也是一样的,不同的地方就是这里有许多大得要命的房子吧。这表示这边住的都是有钱人吧。这么说来,战场原的父亲也是外资企业的大人物。住在这一带的都是这种人吧。

外資系の企業ね……。  

外资企业啊……

こんな片田舎じゃ、ぴんとこない言葉だけれど。

虽然在这种乡下是无法理解的词。

「ねえ、阿良々木くん」  

「我说,阿良良木。」

久し振りに、戦場ヶ原が声を発した。

战场原久违地发出了声音。

「もう一度、住所、教えてくれる?」

「可以再告诉我一次那个地址吗?」

「ん? いいけど。この辺なのか?」

「嗯?可以啊。是在这附近吗?」

「と、いうか、なんというか」  

「可能是,该怎么说呢?」

微妙な物言いの戦場ヶ原。

战场原的措词有点微妙。

わけのわからないまま、メモを再び読み上げる僕。  

我丈二金刚摸不着头绪,又念了一次便条纸上的内容。

ふむ、と頷く戦場ヶ原。

战场原沉吟一声,点头响应。

「どうも、行き過ぎてしまったようね」

「看来我们好像走过头了。」

「え? そうなの?」

「咦?是吗?」

「そうみたい」  

「好像是。」

戦場ヶ原は落ち着いた口調で言う。

战场原语气冷静地说。

「責めたければ好きなだけ責めなさい」

「如果你想骂我的话,就随便你怎么骂吧。」

「……いや、この程度のことで責めたりしないよ」  

「……我不会因为这点小事就骂你的。」

なんだその開き直り方……。  

她这恼羞成怒的方式是怎么回事……

いさぎぎてかえって往生おうじょう際が悪い。

太过爽快反而让人觉得不干不脆。

「そう」 

「是吗。」

焦りを見せない涼しい顔で、来た道を逆向きに折り返す戦場ヶ原──その戦場ヶ原を避けるように、僕を中心として、対称的な動きを見せる八九寺。

战场原毫不焦急,一脸若无其事地沿着来路折返回去。八九寺以我为中心,顺着战场原的动作绕圈在躲避她。

「……お前、なんでそこまで戦場ヶ原のこと、ビビってんだ? あいつ別にお前に何もしてねーじゃん。ていうか、一見わかりにくいけれど、案内をしてくれてるのは、僕じゃなくてあいつなんだぞ?」  

「……你干么这么怕战场原啊?她又没对你做什么事情。而且,虽然看上去可能很难理解,不过帮你带路的人是她,不是我喔?」

僕もついていっているだけだ。  

我只是跟着你们过来。

偉そうなことを言える立場では、実はない。

老实说我也没立场说大话。

子供の直感で戦場ヶ原を嫌っているにしても、限度というものがあるだろう。いくら戦場ヶ原だって、別に鋼鉄でできているわけじゃないのだから、そんなあからさまに避けられたら、さすがに傷ついてしまうのではないだろうか。まあ、そういう、僕が思う戦場ヶ原への気遣いのようなものを差し引いても、道義的に、八九寺が戦場ヶ原に対して取っている態度は、正しいとは言えないと思った。

就算她讨厌战场原是凭小孩的直觉,但也要有个限度吧。战场原也不是铁石心肠,八九寺这么明显在躲她,实在会伤到她的心吧。总之,就算扣除我对战场原的挂心,我觉得在道义上,八九寺用这种态度对战场原并不正确。

「そう言われると言葉もありません……」  

「你这么说的话,我无话可说……」

意外なことに、しおらしく19しゅんとする八九寺。  

八九寺无精打采地说,回答的语气出乎意料的温顺。

それから、声を潜めて、続ける。

接着,她压低声音说道:

「しかし、阿良々木さんは感じませんか」

「可是,阿良良木哥哥没有感觉到吗?」

「何を」

「感觉到什么?」

「あの方から発せられている凶暴な悪意を……」

「那个姐姐身上散发出的凶暴的恶意……」

「………………」  

どうやら、直感以上のもののようだった。  

她这感觉似乎超越了直觉。

それは否定できないのがつらいところだった。

无法否定她说的话,实在让我很痛苦。

「どうも、嫌われているようです……邪魔だ、どこかに消えろという強い意思を感じます……」

「她好像很讨厌我……我感觉到一种你很碍事、快滚的强烈念头……」

「邪魔だ、どこかに消えろだなんて、さすがにそこまでは思っていないと思うが……うーん」 

「我觉得她应该不至于觉得你碍事,或是希望你快滚吧……嗯——」

よし。  ちょっと怖いが、訊いてみよう。

虽然有点可怕,不过我问一下吧。

僕にとってはわかりきったことではあるが、どうやら、きちんと確認しておく必要がありそうだ。

这件事对我来说再清楚不过了,不过现在看来有详细确认的必要。

「なあ、戦場ヶ原」

「战场原,我问你一下。」

「何よ」  

「干嘛?」

相変わらず振り向きもしない。

她依旧头也不回。

邪魔だ消えろと思われているのは、案外、僕なのかもしれなかった。  

她觉得碍事、快滚的人,可能是我也说不定。

お互いに友達だと思っているはずなのに、どうしてこんなに仲良くできないのか、不思議だった。

我们都觉得彼此是朋友,但为何无法好好相处呢?这点真是不可思议。

「お前って、子供、嫌いなの?」

「你讨厌小孩子吗?」

「嫌いね。大嫌い。一人残らず死ねばいいのに」  

「讨厌啊。最讨厌了。他们要是全部死光光,一个都不留的话就好了。」

容赦なかった。  

她说话完全不留情。

八九寺が「ひっ」と身を縮めるようにする。

八九寺「吓」一声,缩起了身体。

「どう接していいのか、全くわからないもの。中学生のときだったかしらね。デパートで買い物をしていたら、私、七歳くらいの子供に、ぶつかってしまったの」 

「因为我完全不知道该怎么和他们相处。好像是我国中的时候吧。有一次我去百货公司买东西,撞到一个七岁左右的小孩。」

「あー、それで泣かれちゃったとか?」

「啊——结果你把他弄哭了吗?」

「いえ、そうじゃなくてね。私、そのとき、その七歳くらいの子供に対して、こう言っちゃったのよ。『大丈夫ですか、怪我はありませんか、ごめんなさい、申し訳ありません』って」

「不是你说的那样。那时候,我对那个七岁小孩说『你不要紧吧,有没有受伤,不好意思,真是对不起』。」

「………………」

「子供相手にどうしていいのかわからなくなって、気が動転してしまったのね。だけど、だからって、私があんなに、下手に出てしまうだなんて……それが私はショックでショックで……以来、子供と呼ばれるものは、人間であれ何であれ、憎しみをもって向かうように、心がけているわ」  

「我不知道该怎么对待小孩才好,所以乱了分寸。可是,没想到我居然会那么失态……这事情让我备受打击……从那次之后,我就提醒自己,对被称为小孩的东西,不管是人类还是其他动物,都要以憎恨的心去对待他们。」

八つ当たりに近かった。  

这近似于迁怒。

理屈はわかるが、気持ちがわからない。

她说的道理我明白,但是心情我却无法体会。

「ところで阿良々木くん」

「对了,阿良良木。」

「どうした」

「怎么了?」

「どうも、また行き過ぎてしまったみたい」

「我们好像又走过头了。」

「はあ?」  

「嗄?」

行き過ぎたって──住所を、だよな。  

走过头——是指地址的事情吧。

え……? 二回目だぞ、おい。

咦……?这是第二次咯。

知らない土地なら、住所と実際の地図がかみ合わないのは、それはよくあることだが、戦場ヶ原の場合、ここはちょっと前まで、自分が暮らしていた土地なのに。

假如这里是陌生的土地,地址和实际地图不吻合是常有的事情,但是战场原不久之前还住在这里的说。

「責められるものならいくらでも責めてみなさい」

「如果你有本事骂我的话,就随便你怎么骂吧。」

「いや、この程度のことで責めたり……ってあれ? 戦場ヶ原、なんかさっきと台詞が微妙に変わってないか?」

「我不会因为这点小事就骂你……咦?你这句话跟刚才那句好像有点不太一样喔?」

「あら、そうかしら。私は気付かなかったけれど」

「唉呀,是吗。我都没发现呢。」

「なんだよ。あ、そっか。区画整理がどうとかって言ってたな。考えてみりゃ、お前の家も道になってるくらいだもんな、様相が、お前の知っている頃とは幾分違ってても当たり前か」

「什么啊。啊,对了。你刚才好像说过什么区划整理对吧。仔细想想,连你以前的家都变成马路了,这附近的样貌和你以前认识的有几分不一样,也是很正常的吧。」

「いえ。そういうことではないのよ」  

「不对。不是你说的那样。」

戦場ヶ原は周囲を確認するようにしてから、

战场原确定周围样貌后,接着说:

「道が増えたり、家がなくなったりあるいは新しくできたりはしているけれど、昔の道が完全になくなっているわけではないから……構造的に迷うわけがないのよ」  と、言った。

「这附近虽然多了几条路,也有拆掉或新盖的房子,可是以前的旧路并不会完全消失……所以我会迷路不是因为构造上的关系。」

「ふうん……?」  

「嗯……?」

でも、こうして実際に迷っているのだから、そういうことなのだろうと思うけれど。そう考えるしかないだろう。ひょっとして戦場ヶ原は自分のうっかりミスを認めたくないのだろうか。こいつもこいつで、かなりの意地っ張りだからな……なんて、そんなことを考えていたら、戦場ヶ原は、「何よ」と言った。

可是,实际上我们已经迷路了,我想应该就是构造上的关系使然吧。我也只能这么想。难道战场原不想承认自己的失误吗?战场原就是战场原,相当爱逞强啊……正当我如此思考时,「什么嘛。」战场原对我开口说。

「随分と文句があるみたいな顔をしているわね、阿良々木くん。言いたいことがあるならはっきりと言ったらどうなの、男らしくない。何なら、裸で土下座して謝ってあげてもいいのよ」

「你的表情看起来好像很想抱怨喔,阿良良木。你如果有话想说的话,就说清楚讲明白如何?真不像个男人。要不然,我脱光衣服下跪向你道歉也行。」

「お前、僕を最低の男に仕立て上げるつもりなのか……?」  

「你想要把我变成那种低级的男人吗……?」

こんな住宅街でそんなことされてたまるか。  

在这种住宅区里,被她这样道歉谁受得了啊。

以前に、そんな趣味はない。

而且我根本没有那种喜好。

「阿良々木暦の名を最低の男として世に知らしめることができるなら、裸で土下座するくらい、安いものだわ」

「如果可以让全世界知道阿良良木历这个人有多么低级的话,脱光衣服下跪还算便宜了呢。」

「安いのはお前のプライドだ」  

「便宜的是你的自尊。」

お前、気位が高いキャラなんだか気位が低いキャラなんだか、もうよくわからねえよ。

我实在搞不清楚你这性格算是自傲还是自卑。

「でも、靴下だけは穿いてたりしてね」

「不过,我会穿袜子喔。」

「このオチでひとネタおしまいみたいなノリで言われても、そんな奇妙な属性は持ってねえよ、僕は」

「你一脸高兴地用这种梗来收尾也没用,我可没有那种奇怪的属性。」

「靴下といっても網タイツよ」

「虽然是袜子,不过是网袜喔。」

「いや、よりマニアックに迫られても……」

「就算你的袜子再变态……」

あ、でも。  

啊,不过,

そんな趣味はないとはいえ、あくまで戦場ヶ原に相手を限れば、網タイツ姿というものを見てみたくなくもない──いや、裸じゃなくていいから。ストッキングでこうなのだったら……。

虽然我没有那种兴趣,不过如果对象是战场原的话,我倒也挺想看看她穿网袜的样子——不,不用裸体没关系。她现在穿裤袜都已经这样的话……

「その顔はいかがわしいことを考えている顔よ、阿良々木くん」

「你的表情看起来,好像正在思考伤风败俗的事情呢,阿良良木。」

「まさか。清廉潔白を旨とするこの僕がそんな低劣な人格の持ち主に見えるのか? 戦場ヶ原からそんなことを言われるだなんて心外だな」

「怎么可能。以清正廉洁为宗旨的我,看起来像是那种人格低劣的人吗?没想到战场原你会这样说我,真叫我心寒啊。」

「あら。根拠があろうがなかろうがいつでも私は阿良々木くんにはそんなことを言い続けてきたつもりだけれど、今回に限って、特に突っ込みでもなんでもないそういう否定の仕方になるだなんて、怪しいわね」

「唉呀。不管有没有根据,我一直都是这样说你的,可是你这次居然用这种算不上是吐槽的方式来回答我,感觉很奇怪喔。」

「う……」

「呜……」

「さては裸で土下座させるだけでは飽き足らず、そんな私の肉体、全身という全身にあますところなく、油性マーカーでわいな言葉をあれこれ書きまくる気ね」

「原来全裸下跪还不够,你还想用油性笔,在我的肉体全身上下写满各种猥亵的字眼啊。」

「そんなことまで考えてねえよ!」

「我没想到那种地步!」

「では、どんなことまで考えたのかしら」

「那你想到哪种地步啊?」

「そんなことより、えーと、八九寺」  

「那不是重点,那个,八九寺。」

強引に話題を変える僕だった。  

我硬是改变话题。

このあたりの手際は戦場ヶ原を見習いたい。

这方面的技巧,我想多跟战场原学习。

「悪いな、ちょっと、時間かかっちまいそうだ。でも、この辺なことはわかったから──」

「抱歉,现在看起来可能会花一点时间。不过,我们已经知道是在这附近了——」

「いえ──」  

「不对」

八九寺は、驚くほど冷静な口調で──さながら、わかりきった数式の答を無感情に述べるような、非常に機械的な口調で、言った。

八九寺的语气冷静到让人惊讶,宛如在叙述已经完全掌握答案的数学算式一样,没有任何情感,口吻十分机械化。

「──多分、無理だと思います」

「——我想,大概没办法吧。」

「え……? 多分……?」

「诶……?大概……?」

「多分という言葉がご不満でしたら、絶対」

「如果您对大概这个词不满的话,那就改用绝对吧。」

「…………」  

多分という言葉に不満があったわけじゃない。  

我不是对大概这个词不满。

絶対という言葉に満足したわけでもない。  

也不会对绝对这个词感到满足。

しかし──それでも、何も言えなかった。 その口調に。

然而,对她的语气——却让我无话可说。

「何度行っても、辿り着けないんですから」  

「因为我试过好几次,都没办法到那里。」

八九寺は。

八九寺说。

「わたしは、いつまでも、辿り着けないんです」  

「我永远都到不了那里。」

八九寺は、繰り返した。

她反复说道。

「お母さんのところには──辿り着けません」  

「永远到不了……妈妈那边。」

さながら──壊れたレコードのように。  

宛如坏掉的唱片一样,不断重复。

壊れていない、レコードのように。

又宛如完好无损的唱片一样,不停回放。

「わたしは──蝸牛の迷子ですから」

「因为我是——迷路的蜗牛。」

005#

「迷い牛」

「迷牛。」

安らかな千年の封印の途中で無理矢理叩き起こされたかの如く眠そうな、その上でとてつもなく不機嫌そうな、唸るように低い声で、忍野メメは、そう言った。低血圧というわけでもないだろうが、どうやら忍野は、随分と寝起きが悪い方らしい。普段の気さくな喋り方との落差が、ものすごかった。

忍野咩咩犹如呻吟般低语说。他的声音听起来很困倦,彷佛在安稳的千年封印当中硬是被人吵醒一样,而且语气听起来非常不高兴。这应该不是低血压的缘故,看来忍野似乎有很严重的起床气。现在和他平常直爽的说话方式,有相当惊人的落差。

「迷い牛だろ、そりゃ」

「那大概是迷牛吧。」

「牛? 違うって。牛じゃない、カタツムリだって」

「牛?不对吧。那不是牛,是蜗牛啊。」

「漢字で書きゃ牛って入っているでしょーが。ああ、阿良々木くんはひょっとして、カタツムリって片仮名で書いちゃってるの? 知能指数が低いなあ。渦巻きの渦の、さんずいを虫偏に変えて、それで牛。蝸牛だよ」

「蜗牛用汉字来写不也有一个牛字吗。啊,阿良良木老弟该不会都用片假名在写吧?你的智商还真低啊。漩涡的『涡』,把三点水换成虫边,然后再加上牛。写作蜗牛。」

「渦──蝸、ね」

「涡……蜗吗?」

「単漢字としては、カ、とかケ、とか読むけれど、まあ、蝸牛以外にはまず使われない漢字だろうね……蝸牛の背負ってる貝殻、渦巻いてるでしょ。そんな感じ……他に、さいの禍って字にも似てるけどね……ああ、そっちの方がむしろ象徴的かな? 人を迷わせる類の怪異はそりゃ数え切れないくらいにいっぱいいるけれど……行き手を遮る妖怪といえば、阿良々木くんだって塗壁くらいは知ってるんじゃない?で……、そのタイプで蝸牛だっていうなら、迷い牛で間違いないでしょ……ま、名前っていうのはこの場合、姿じゃなくて本質を表すものだからね、牛でも蝸牛でも同じことなんだよ。形って言うなら、ひとがたの絵だって残ってるし……。阿良々木くん、怪異ってのは、名前を考えた人と絵を考えた人が、別の場合がほとんどなんだよ。全てと言ってもいい──大体、名前の方が先行する。名前というか、概念かな。まあ、ライトノベルのイラストみたいなもんだ。ビジュアル化される前に、既に概念は存在している──名は体を表すとかよく言うけれど、あの体っていうのは、肉体、外観って意味じゃなくて、本体って意味だから……くああ」

「单独一个蜗字,是念作『KA』或『KE』啦,不过除了蜗牛这个词以外,根本用不到这个汉字……蜗牛背上的壳有漩涡对吧。就是那种感觉……还有,这个字也很像灾祸的祸……啊,倒不如说这部分的感觉比较具有象征性吧?会让人类迷路的怪异多到数不清……说到会挡住去路的妖怪,就算是阿良良木老弟也听过涂壁吧?然后……是这种类型又是蜗牛的话,那就一定是迷牛了吧……唉呀,名字在这里是表示他的本质,而不是外形,不管是牛还是蜗牛都一样啦。要说外形的话,他还有留下人形的图画呢……阿良良木老弟,怪异这种东西,替他命名还有作画的人,通常不是同一个轻小说的插图一样。在可视化之前,就已经有概念存在了。大家常说名字可以表现躯体,不过躯体两个字不是肉体或外观的意思,而是本体的意思……嗯啊啊(哈欠声)。」

本当に──眠そうだった。  

看来他真的很困。

しかし、その分、いつもの軽薄な調子がいい加減に抜けていて、僕としては話しやすいくらいだ。

不过,这样相对地消去了他平常轻浮的态度,以我的立场来说,反而比较好说话。

忍野と話すのは、とにかく疲れるのだ。

因为每次和忍野说话,总是相当累人。

蝸牛。  

蜗牛。

マイマイ目の陸生有肺類巻貝りくせいゆうはいるいまきがい。  

柄眼目的陆生有肺螺。

眼にする機会はどちらかというとナメクジの方が多いが、あっちは、貝殻が退化してしまったタイプ。  

通常以蛞蝓比较常见,不过那是贝壳已经退化的形态。

塩をかければ──溶けてしまう。

只要洒上盐巴,它就会融化。

あれから。  

在那之后。

僕、阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎ、それに八九寺真宵の三人は、五度のリトライ、コンティニューを試み、法律間近の近道も気が遠くなるほどの遠回りも、例外なく全て試してみたが、しかし、結果から言うと、それらは全て、見事なまでの華々しい徒労に終わった。間違いなく、目的地の辺りに自分達がいることは確かだったが──けれど、どうしてだか、そこに辿り着くことは、できないのだった。最後には一軒一軒、しらみつぶしに探して回るみたいなローラー作戦までやってみたけれど、それすらも徒労だった。

我——阿良良木历、战场原黑仪,还有八九寺真宵三人接连挑战了五次,包含游走法律边缘的快捷方式,以及会绕到让人昏眩的远路,全都毫无例外地尝试过了,但从结果来看这一切完全白搭,漂亮地以徒劳无功收场。我们很确定自己已经在目的地附近,但不知为何就是到不了那里。最后,我们甚至用地毯式搜索,挨家挨户去寻找,但还是自费力气。

では、最後の最後の手段ということで、戦場ヶ原が、携帯電話の特殊機能で(僕はよく知らない)、GPSだかなんだかのナビゲーションシステムを作動させようとしたが──  

于是,战场原祭出最后的终极绝招,用手机的特殊功能(我也不太清楚是什么),启动了 GPS 之类的导航系统时——

データのダウンロード寸前で、圏外になった。

在档案下载的瞬间,手机突然收不到讯号。

その時点で、ようやく──あるいは不承不承、遅ればせながら、僕は、この場で何が起こっているのかを、完全に理解することができた。決してそうは言わなかったけれど、戦場ヶ原は、それをどうやら、かなり早い段階から察していたようだが──それに、誰より、一番深く状況を理解していたのは、恐らくは八九寺のようだったが、とにかく。

此时,我终于——或者该说是不情不愿、后知后觉地完全理解了现场的状况。战场原似乎老早就察觉到状况有异(虽然她绝对不会说出口)。此外,比任何人都还要深入了解状况的人,恐怕是八九寺吧。总之——

僕は鬼。  

我是鬼。

羽川は猫。  

羽川是猫。

戦場ヶ原は蟹。  

战场原是螃蟹。

そして八九寺は蝸牛のようだった。

而八九寺似乎是蜗牛。

となると──そういう状況になってしまうと、僕としては、そこで物事を投げ出すわけにはいかなくなった。これが普通の迷子であったのなら、このように自力でなんとかできなかったのなら、近所の交番にでも届けてそれで自己満足の一件落着といきたいところだったが、あちら丶丶丶側の世界が嚙んでいるとなれば──  

既然如此,事情演变成这样,我不能就此置身事外。要是对方只是普通的迷路小孩,状况像现在这样超乎自己能力范围所及,那我只要把她送到附近的派出所,就可以自我满足地宣告事情落幕;然而,事情如果和那边的世界扯上关系的话——

戦場ヶ原も、交番に八九寺を任せるのは反対した。

战场原也反对把八九寺交给派出所。

数年間──あちら側に浸っていた、戦場ヶ原。  

她有好几年的时间,身陷于那边的世界。

その戦場ヶ原が言うのだから──違いあるまい。

这样的她,说的话绝对不会错。

とはいえ、勿論、僕や戦場ヶ原で、どうにかなるような問題じゃない──僕も戦場ヶ原も、何らそういう特殊能力を備えているわけではない。ただ単に、こちら側ではないあちら側があるということを、知っている丶丶丶丶丶というだけだ。

但话说回来,这当然不是凭我和战场原两人就有办法处理的问题。因为我们并没有具备那方面的特殊能力。我们只是单纯知道有一个不属于这里的另一个世界而已。

知は力、なんて言っても。  

就算知识就是力量。

知っているだけでは、それは、無力だ。  

光是知道的话,实在无能为力。

だから僕達は──安易ではあったし安直でもあったし、また、あまり気の進む選択肢でもなかったけれど、議論の末、最終的には──忍野に相談することにした。

所以我们在讨论之后,决定和忍野商量。这是最简单省力的方法,也是一个不大情愿的选择。

忍野メメ。  

忍野咩咩。

僕の──僕達の恩人。

是我的——我们的恩人。

しかし、彼が恩人でもなければできればお付き合いを遠慮させていただきたい種類の人間であることは間違いがなかった。三十を過ぎても未だ定住地を持たず、一ヵ月ほど前からはこの町の、潰れた学習塾を寝床にしている──なんて、そんな現状を説明しただけでも、普通の人なら引くだろう。

但是他如果少了恩人这个头衔,肯定是那种会让人敬而远之的人种。他过了三十岁还居无定所,从一个月前左右开始,把这个城镇里的一家倒闭的补习班当作居所——光是说明现状,一般人就会退避三舍了吧。

──今のところ、この町には興味があってね。  

——目前,我对这个城镇很感兴趣。

なんて、そんなことを言っていた。

他曾说过这句话。

だから、いついなくなっても不思議じゃない、どうしようもない筋金入りの根無し草ではあるが、戦場ヶ原のことで前の月曜──それからその後始末としての火曜日に会ったばかりなので、そして僕は昨日、忍野と会っているので、さすがにまだ、あの廃ビルにいるはずである。

因此,他是一个何时会离开都不奇怪、千锤百炼又无可救药的无根浮萍。不过我因为战场原的事情,上礼拜一还有礼拜二善后的时候才和他碰过面,而且昨天我还有去找他,所以他应该还在那栋废弃大楼里吧。

となると、問題は連絡手段だった。  

既然这样,剩下的问题就是联络方法了。

奴は携帯電話を持っていない。  

那家伙没有手机。

直接会いに行くしかないのだった。

只能直接去找他。

まあ戦場ヶ原は、忍野とは先週知り合ったところで、付き合いと言えるほどの付き合いはないわけだし、ここは対忍野に関しては一日の長がある僕が行くのが妥当かなと思ったけれど、戦場ヶ原の方から、「私が行くわ」という、申し出があった。

战场原和忍野上礼拜才刚认识,关系还称不上是亲密,所以应该由我这个比较早和忍野打交道的人跑一趟比较妥当,然而,「我跑一趟吧。」战场原却主动要求说。

「マウンテンバイク、貸して頂戴」

「你的越野脚踏车借我。」

「いや、それはいいけれど……場所、わかるのか? なんなら、地図でも書くけれど──」

「借你是没关系啦……可是你知道地方吗?如果有必要的话,我画一张地图给你吧——」

「阿良々木くんのお粗末な記憶力と同じレベルで心配してもらっても、私は嬉しくもなんともないわ。むしろ悲しくなってくるくらいだもの」

「你把我的记忆力和你那粗糙的记忆力相提并论的话,就算你担心我我也不会觉得高兴,反而还会觉得很悲哀呢。」

「……そうですか」  

「……是吗?」

僕が悲しくなってきた。  

我倒是悲哀起来了。

結構真面目に。

相当认真地。

「実を言うと、私、駐輪場で最初に見かけたときから、このマウンテンバイクに乗ってみたいと思っていたのよ」

「老实说,我第一次在脚踏车停车场看到它,就很想要骑看看了。」

「最高だと言っていたのは、本音だったんだな……そんなことないと思ってたけど、お前結構、素直じゃない奴なんだな」

「那辆车真的很棒,这是我的真心话……你还挺坦率的嘛,虽然这不太可能。」

「ていうか」  

「应该说」

戦場ヶ原は言った。  

战场原开口续道。

僕の耳元で、囁くように。

有如在我耳边呢喃一般。

「その子と二人きりになんてしないで」

「不要让我和那孩子独处。」

「………………」

「どうしていいか、わからないのよ」  

「我不知道该怎么办才好。」

まあ、それはそうだった。  

嗯,这倒也是。

八九寺にしてみても、そうだろう。

站在八九寺的立场来看,也是一样。

僕はマウンテンバイクのキーを、戦場ヶ原に手渡した。確か、前に聞いた話では、戦場ヶ原は自転車を持っていないはずだから、そんな奴に大事な愛車を貸すだなんて、考えてみれば危なっかしい話ではあるが──まあ、戦場ヶ原なら別にいいか、という感じだった。

我把越野脚踏车的钥匙,交给了战场原。我记得之前曾听说过,战场原没有脚踏车的样子,我居然要把自己的爱车借给这种人,仔细想想这实在很冒险。不过战场原的话应该没关系吧,我就是有这种感觉。

で。  現在、戦場ヶ原からの連絡待ち。  

所以,现在我在等战场原的联络。

浪白公園のベンチに、僕は戻ってきていた。  

我已经回到了浪白公园的长椅上。

隣には、八九寺真宵。  

八九寺真宵就坐在我身旁。

一人分の距離をあけて、座っている。  

中间隔着一个人的距离。

いつでも逃げ出せる、というか。  

她在那个位置,随时可以逃走。

今にも逃げ出しそうな位置だった。

或者该说,她现在就是一副想立刻拔腿就跑的样子。

既に、八九寺には、僕と戦場ヶ原の抱えていた──そして現在も抱え続けている事情については、ある程度、話しているが、それを話したことによって、どうやらかえって、彼女の警戒心を強めてしまったようだった。折角、ある程度打ち解けてきたかと思ったところだけに、下手を打った、裏目に出た結果だったが──一からやり直すしかないだろう。

我已经和八九寺适当地提过,自己和战场原先前有过的问题……还有现在依旧存在的问题,但是我的说明反而更加深了她的警戒心。我们好不容易才稍微混熟了一些,却因为我不谨慎的行动,而得到失败且适得其反的结果。现在只能从头来过了。

信頼は、とても大事なのだから。  

彼此之间的信赖是很重要的。

はあ……。  

唉……

とりあえず、話しかけてみるか。  

总之先和她说话看看吧。

丁度、気になっていることもあるのだ。

因为我刚好也有一些在意的事情。

「お前さ、あのとき──お母さんって言ってたような気がするんだが、あれって、どういう意味なんだ? 綱手さんっていうのは、親戚の家じゃなかったのか?」

「你刚才……好像有说到妈妈的样子,那是什么意思啊?纲手不是你亲戚家吗?」

「…………」 

答えない。  

她没有回答。

もく権の行使らしい。

看来她行使了缄默权。

いくらなんでも、さすがに同じ手は通用しないだろうし……大体あの手は、冗談でやるから面白いんであって、あまり繰り返して使うと、マジでやってると思われかねないからな──誰にっていうか、自分自身に。

不管怎么说,用刚才那一招大概行不通吧……而且那一招是因为开玩笑用起来才有趣,如果重复用太多次,搞不好会有人当真——应该说那个人就是我自己。

というわけで。

因此,

「八九寺ちゃん。今度アイスクリームを食べさせてあげるから、もうちょっとこっちに近付いてこない?」

「八九寺小妹妹。下次我会请你吃冰淇淋,所以你可以稍微坐过来一点吗?」

「行きますっ!」

「我马上来!」

一気に身体を擦り寄せてくる八九寺だった。  

八九寺一口气把身体贴了过来。

……口約束の後払いでも別にいいらしい。  

……看来先开支票后付款,她也没关系的样子。

そういえば、お小遣いにしたって、結局まだ一円だってあげてないしな……なんていうか、とんでもなく扱いやすい奴だ。

这么说来,刚才我说要给她零用钱,结果到头来一毛钱都还没给她……该怎么说呢,这家伙实在太好打发了。

「それで、さっきの話だけれど」

「那么,回到刚才的问题。」

「なんでしたっけ?」

「你刚才说什么来着?」

「お母さん──って」

「你说的妈妈是?」

「…………」  

黙秘権だった。

又是缄默权。

構わず、僕は続けた。 「親戚の家だっていうのは、噓だったのか?」

我不理她,继续说「你说那边是亲戚家是骗我的吗?」

「……噓ではありません」  

「……我没有骗你。」

八九寺は、拗ねたみたいな感じの口調で言った。

八九寺的语调感觉像在闹别扭。

 「母親だって、親戚の内でしょう」

「母亲也算是亲戚吧?」

「いや、そりゃ、そうだけどさ」  

「你说的没错啦。」

なんか屁理屈っぽくないか、それ。

有点强词夺理的感觉。

というか、それ以前に──日曜日にリュックサックを背負って母親の家を訪ねるというのは、どうもシチュエーションとして、おかしいような……。

况且以整体的状况来说,她在礼拜天背着背包来拜访自己母亲家这点,我觉得反而更奇怪……

「それに」  

「而且」

八九寺は拗ねたままで続けた。

八九寺维持乖僻的语调,接着说:

「お母さんと言っても、残念なことに、もうお母さんじゃありませんから」

「我虽然叫她妈妈,不过很可惜她已经不是我妈妈了。」

「……ああ」  

「……喔。」

離婚。  

离婚。

父子家庭。  

父女单亲家庭。

それはつい最近も──聞いた話だった。  

我最近也有听过相同的状况。

戦場ヶ原から、聞いた話だった。

从战场原那边听到的。

「綱手というのは、三年生までの、わたしの名前でした。お父さんに引き取られて、八九寺へと苗字が変わっちゃいましたけれど」

「我到三年级为止是姓纲手。之后我被爸爸领养,才会改姓八九寺。」

「ん……ちょっと待ってな」

「嗯……稍等一下。」

入り組んで、何やらこんがらがって来たので、少し整理しよう。今、八九寺は五年生で、それで三年生までの間は苗字が綱手で(だから、綱手という苗字に、怒鳴りつけるほどのこだわりがあったのだろう)、お父さんに引き取られて苗字が八九寺に変わったということは……あ、そっか、両親が結婚した際、母親の方の苗字に揃えたんだ。結婚時の姓の統一は、別に男女、どっちに揃えてもよかったはずだ。となると……離婚して、母親──綱手さんの方が家を出て、この辺りに越してきた……いや、多分、実家なのだろう。それで──八九寺は、日曜日。  

这状况太过复杂,我感觉思绪一片混乱,所以这边先稍微整理一下吧。现在,八九寺是五年级,而她在三年级为止姓纲手(所以她对纲手这个姓才会执着到不惜怒吼的地步),最后她被父亲领养改姓八九寺就表示……啊,原来如此,她双亲在结婚时,统一改姓母方姓氏。结婚时统一姓氏的时候,不管是用男方或女方的姓都无妨。这么一来……她的双亲离婚后,母亲——纲手离开了家里,搬到了这附近来……不对,这边应该是她母亲的老家。所以,八九寺才会在礼拜天——

この母の日を利用して。  

利用母亲节这个日子,

母親を訪ねて来た──というわけなのか。  

跑来找她的妈妈吗。

お父さんとお母さんがくれた──大切なお名前。

父亲和母亲给予的——重要的名字。

「あっちゃあ……偉そうに年上振って、親孝行しろよとか言っちゃったよ、僕……」  

「唉呀……我刚才还倚老卖老地叫你要孝顺妈妈……」

そりゃ僕になんか言われたくないよな。  

这样我当然没资格说她。

困ったもんだ。

这真是伤脑筋。

「いえ、別に今日が母の日だからということではないです。お母さんの家は、機会さえあれば、いつでも来たい場所ですから」

「不是的,我不是因为今天是母亲节的关系才专程跑过来的。只要有机会,我都会想要去我妈妈家一趟。」

「……なるほどね」

「……这样啊。」

「いつでも、辿り着けませんけれど」

「不过我永远到不了。」

「………………」

離婚が成立して、母親が家を出て。  

离婚之后,妈妈离开了家里。

母親に会えなくなって。  

八九寺从此见不到她。

母親に会いたくて。  

她想见妈妈一面,

八九寺は、母親を訪ねたらしい。  

所以才会来找妈妈。

そう試みたらしい。  

尝试想要见她一面。

リュックサックを背負って──そして。  

背着背包,然后——

そして──そのとき、蝸牛に。

然后就在那时候……

「遭ったってわけか」

「你遇到了蜗牛吗?」

「遭ったというか、よくわかりませんが」 

「有没有遇到我自己也不是很清楚。」

「ふうん」

「嗯——」

以来──何度、母親を訪ねようとしても。  

在那之后,据说她好几次想要造访母亲家。

一度も、その家に辿り着けないのだという。  

但却没有一次成功过。

何回くらいチャレンジして、その全てが駄目だったのかなんて、訊くだけ野暮だろうけれど──そして、それでも諦めていないというのは、立派なものだけれど。  

你尝试过好几次全都徒劳无功吗——这问题我光是要问就觉得自己很不识趣。然而,即使如此她还是不肯放弃,这点实在很了不起。

けれど──しかし。 

可是,

「…………」

「…………」

まあ、こう言っちゃなんだけれど──それに人と較べてどうとかいう話では全然ないのだろうけれど、トラブルとしては、僕や羽川、戦場ヶ原が抱えた問題よりは、いくらか安全率の高い雰囲気のある感じだな──肉体的トラブル、あるいは精神的トラブルではなく、できるはずのことができないという、現象的トラブル──問題が自分の内側にあるわけではない。

这么说或许很奇怪啦,而且这完全不是能够拿来和别人比较的问题,不过以异常的程度来说,八九寺的异常比起我、羽川和战场原三人,在气氛上感觉起来似乎稍微安全了点。因为她这种不是肉体或精神上的问题,而是现象型的异常,问题并不是出自于她自己。

問題は外側にある。  

她的问题是外在的。

命の危険があるわけじゃないし。  

也不会有生命危险。

日常生活は、過不足なく送れる。  

可以平稳地过日常生活。

そういうことなのだろうから。  

这就是我觉得安全的缘故。

とはいえ、それでも、それが事実であったとしても、そんな知った風なことを、八九寺に対して言うべきではないだろう──口が裂けても。僕がたとえこの春休みにどんな体験をしていようと、八九寺に対し、そんなことを言う権利はない。

话虽如此,就算这是事实,我也不应该摆出一副自己好像很懂一样,对八九寺这么说吧……就算我嘴巴裂开来。不管我在这次春假经历过多少事情,我都没有权力对八九寺说那种话。

だから、余計なことは言わず、 

因此,我没有多说,

「お前も──色々大変だったんだな」  

「你也……很辛苦呢。」

とだけ、言った。  

只说了这么一句话。

それは心の底からの感想だった。  

这是我发自内心的感想。

本当、頭を撫でてやりたい気分だった。  

我现在真想摸摸她的头。

なので、撫でてみた。

所以,我试着摸了一下。

「がうっ!」  

「吼!」

その手に嚙みつかれた。

她咬了我的手一口。

「痛ェ! いきなり何すんだこのガキ!」

「好痛!你这死小孩,干么突然咬我!」

「うぎぎぎぎぎぎっ!」

「呜吼吼吼吼吼吼!」

「痛い! 痛い痛い痛いって!」

「好痛!痛、痛、痛!」

こ、こいつ、冗談とか茶目っ気とか照れ隠しとかじゃなくて、本気で思い切り嚙みついてやがる……八九寺の歯が皮を突き破って肉に刺さっているのがわかる、見なくったって血が噴き出しているのがわかる!本当に洒落にならない、どうして、いきなり──いや、まさか、さてはこれは、僕はいつの間にか、自分でも気付かない内に、知らない内になんらかのイベント発生条件をクリアしていて……、  

这、这家伙真的用吃奶的力气猛咬我一口,不是因为开玩笑或淘气,更不是因为想掩饰自己的害羞……我知道八九寺的牙齿刺破了我的皮肤,就算不去看我也知道自己在喷血!这真的一点都不好笑,她为什么突然——难道说,该不会是我在不知不觉间,在自己也没有注意和发现到的情况下,完成了某种事件的发生条件吗……

つまりバトル開始ということか!?

也就是说现在要开始战斗咯!

僕は嚙まれているのとは逆の手を、拳の形に握り締める。空気を握り潰さんがばかりに。そしてその拳を八九寺の鳩尾に向けて打ち込んだ。鳩尾は人体のどうしようもない急所の一つだ。それでも食い込ませた歯を離さなかった八九寺は大したものだが、しかし、一瞬だけ、嚙む力が弱まったのは、どうしようもない事実だった。その隙をついて、僕はそちら側の腕を、力任せに、でたらめに振り回した。肉を食い千切らんばかりの八九寺、だがそれゆえに、他の部位が留守になる──案の定、あっけなく八九寺は、その腰をベンチから浮かせることとなった。

我将没被咬的另一只手,紧紧握拳。有如想要捏碎空气一般。接着,将拳头朝八九寺的心窝打去。心窝是人体无法锻炼的要害之一。八九寺挨了这一击居然没有松开咬住我的牙齿,实在很了不起,不过她的咬力在一瞬间稍微减弱,这点是不可争的事实。找趁隙用力挥舞破咬的手。八九寺仿佛想要咬掉我一块肉似的,但也因为这样,她身体的其他部位全都放了空。不出所料,我很轻松地就让八九寺的屁股从长椅上浮起。

がら空きになった八九寺の胴を、拳を開いて、僕は抱え込むようにする──小学五年生にしてはやけにふくよかな感触が手のひらにあったのだが、ロリコンでない僕にはそんな事象は全くと言っていいほど影響を及ぼさず、そのまま勢いに任せて彼女の身体を裏返した。口は僕の手を嚙んだままなので、当然、首の辺りで、身体が捩れるような形になる。しかし、それは問題ではない。手を嚙まれている以上、頭部付近への攻撃はそのままこちらに跳ね返ってくる危険性もある。それよりも、捩れることによって、あたかもあつらえた20かわら割りの如く晒された、八九寺のボディが、この場合の狙い目だった。狙うは勿論、先ほどの拳に重ねるように、鳩尾──!

我张开拳头,抱住了八九寺洞开的身体。我的手掌感觉到一阵以小学五年级来说,算是非常丰满的触感,然而这对不是萝莉控的我而言,可说是完全没有影响,我趁势将她的身体直接反转过来。她的嘴巴还咬着我的手,因此当然她的身体是以脖子附近为中心,整个扭了一圈。但是,那不是问题。既然我的手被她咬住,朝她头部附近攻击,有可能会直接反弹到我身上。更重要的是,八九寺的身体反转了过来,身体就像订制用来击破的瓦片一般暴露在我的眼前,在这状况下才是我的目标。我瞄准的地方彷佛和刚才那拳重叠一样,位置自然是心窝!

「くはっ──!」  

「呜哇——!」

完全に決まった。  

胜负已定。

ついに、僕の手から、食い込ませた歯を離す八九寺。  

终于,八九寺松开了咬进我肉里的牙齿。

同時に、胃液のようなものを口から吐き出した。  

同时从口中吐出类似胃液的东西。

そして──そのまま、がくりと、意識を失った。

随后,就这样瘫软倒下,失去了意识。

「ふっ──いや、笑えないな」  

「哼——不对,不能笑。」

嚙まれていた手を、ほぐすように振る。

我挥动被咬的手,想要放松它。

「二回目以降となっちまうと、ただ、むなしいだけのもんなんだな、勝利なんて……」

「到了第二次之后,胜利这种东西只会让人觉得空虚而已……」

小学生女子を相手に正中線を走る人体的急所を拳で二回も殴りつけ失神させたあげくに、ニヒル21を気取ってたそがれている男子高校生の姿が、そこにはあった。  

眼前,有一个高中生朝着小学女生身体中心线的要害痛殴了两拳,还在故作感慨空虚。

ていうか、それも僕だった。 

那个人还是我。

…………。

いや、はたいたりつかんだり投げたりとかまでならまだしも、女の子の身体を拳で殴るのはないわ、本当。

如果是拍打、揪住、抛摔那还算好,用拳头打女生的身体真的很不应该。

阿良々木暦は戦場ヶ原ひたぎに裸で土下座されるまでもなく、もう十分、最低の男としての資格を備えているようだった。

看来阿良良木历就算不让战场原黑仪全裸下跪,也已经是一个低级的男人。

「あー……しかし、いきなり嚙みつくんだもんな」  

「啊——不过是她突然咬过来的。」

とりあえず、嚙まれた傷口を見遣る。  

我先看了一下被咬伤的地方。

ぎえ……すげえ、骨が見えてる……。知らなかった、人間が人間に本気で嚙みつかれたら、こんなことになるんだ……。

哇……太猛了,深可见骨……我以前都不知道原来人类真的咬起人来,可以做到这种地步……

まあ、それでも、僕の場合。  

啊,不过如果是我的话,

痛みはあるにしたって、この程度の傷──何をするまでもなく丶丶丶丶丶丶丶丶丶、すぐに治ってしまうわけだけれど。

疼痛虽不可免,但这种程度的伤,我什么都不必做,它很快就会恢复了。

じゅくじゅくと──じゅるじゅると──はっきりわかる速度で傷がふさがっていくその様子は、まるで、ビデオテープの早回しのようで、巻戻しのようで、そういうのを見ると──自分がいかに踏み外した存在であるのかということを、今更のように思い出す。暗い──昏い気分を、今更のように、思い出す。  

伤口湿漉漉、浓稠地,以肉眼可分辨的速度逐渐愈合,这光景宛如录像带在快转或倒带一样,我看到这景象,才重新想起自己是多么异类的存在。重新想起那黑暗且昏暗的感觉。

全く──本当に、ちっちゃいなあ。  

我真的是有够渺小。

こんなザマで最低の男とか、笑わせる。  

这副德性还敢说自己是低级的男人,真是笑死人。

お前本当に、人間に戻れたつもりかよ。

你以为自己真的可以变回人类吗?

「……怖い顔になってるよー、阿良々木くん」  

「……你的表情好恐怖喔,阿良良木。」

と。  

突然,

不意に、声を掛けられた。

有人向我撘话。

一瞬、戦場ヶ原かと思ったが──そんなわけがない。戦場ヶ原が、このような陽気な声を発せられるわけがない。  

一瞬间我以为是战场原,但这不可能。战场原不可能发出这种开朗的声音。

そこにいたのは、委員長。  

开口向我搭话的人,是班长。

羽川翼だった。

羽川翼。

日曜日なのに学校と何も変わらない制服姿なのは、まあ、こいつの場合はそっちの方が当たり前というか、優等生としてのご愛嬌──髪型も眼鏡もいつも通りで、唯一校内での姿と違うところがあるとすれば、手にしているハンドバッグくらいだった。

她在礼拜日还是跟在学校一样穿着制服,不过如果是她的话,这样反而算正常吧。羽川身为优等生的举止,还有发型和眼镜都和平常一样,要说唯一和在学校不同的地方,只有她手上拿的手提包而已。

「は……羽川」

「羽……羽川。」

「びっくりしたみたいな顔になったね。うん、まあ、そっちの方が、いいかな」  

「你看起来好像很惊讶呢。嗯,这个表情比较好。」

へへへーと、笑顔を見せる羽川。  

嘿嘿,羽川展露笑容。

屈託のない笑み。  

爽朗的笑容。

そう、八九寺が、さっき、浮かべたみたいな──

没错,就像刚才八九寺展露出来的一样——

「どうしたの? 何やってるの? こんなとこで」

「怎么了?你在这里做什么啊?」

「い、いや──お前こそだよ」

「没、没什么,倒是你呢?」

さすがに動揺が隠せない。  

我实在藏不住心中的动摇。

あと、どこから見られていたんだろうとか。

还有,她是何时在那边看我的呢?

もしも真面目の塊、品行ひんこう方正の生き見本のような、それこそ清廉潔白を旨としている羽川翼に、小学生女子に暴力を振るっている僕の姿を目撃されていたとしたら、もうそれは、戦場ヶ原に見られたのとは、全く違った意味を持って、まずいことになるぞ……。  

如果是被极度认真、品行端正的活样本,而且又是以清正廉洁为宗旨的羽川翼,目击到我在对小学女生施暴的话,这和被战场原看到的时候完全不同,可说是另一种层次的糟糕……

三年生にもなって退学は嫌だ……。

我不想读到三年级还被学校退学……

「お前こそってことはないでしょ。この辺、私の地元だもん。こそって言うなら阿良々木くんの方こそ、この辺、来ることなんかあるの?」

「没有什么倒是吧。我就住在这附近啊。真要说的话,倒是阿良良木你以前有来过这边吗?」

「えっと」

「那个……」

あ、そうだ。  

啊!对了。

戦場ヶ原と羽川は、同じ中学だと言っていた。

羽川说过,自己和战场原以前读同一所国中。

そして公立だという話だったから──そうか、学区から考えて、戦場ヶ原の昔の縄張りと、羽川の行動範囲が被っていても、それは全く不思議ではないのだ。小学校は別のはずだから、合致するというわけではないだろうが……。

而且还是公立国中,因此以学区来看,战场原以前的地盘和羽川的活动范围会重叠,也没什么好不可思议的。她们两人的小学应该足不同所,所以活动范围不至于完全一致吧……

「そういうわけじゃないんだけれど、ちょっと、まあ、何もすることなくて、暇潰しって言うか──」  

「也不是有来过啦,只是没什么事做,稍微来打发时间——」

あ。  

啊!

暇潰しって言っちゃった。

我说出打发时间这四个字了。

「あっはー。そうなんだ、いいね、暇潰し。することないのは、いいことだよ。自由ってことだもん。私も、暇潰しかな」

「啊哈——原来是这样啊,真好,打发时间。没有事情可以做是一件好事。那表示你很自由啊。我也来打发一下时间好了。」

「…………」  

とことん戦場ヶ原とは別の生き物だな、こいつ。  

这家伙和战场原是完全不同的生物。

同じ頭のいい奴でも、これがトップクラスとトップとの違いなのだろうか。

同样是头脑好的家伙,这就是名列前茅和学年之冠的差别吗。

「ほら、阿良々木くんは知ってるんだよね。私、家、居づらいからさ。図書館も開いてないし、日曜日は散歩の日なのよ。健康にもいいしね」

「阿良良木你知道吧。我在家里待不下去。而且今天图书馆又没有开,所以礼拜天是散步日喔。这对身体也很健康啊。」

「……気ィ遣いすぎだと思うけどな」

「……我觉得是你顾虑太多了。」

羽川翼。  

羽川翼。

異形の羽を、持つ少女。

拥有一对异形翅膀的少女。

学校では真面目の塊、品行方正の生き見本、清廉潔白である、委員長の中の委員長、非の打ちどころのない彼女ではあるが──家庭に不和を抱えている。  

她在学校中极度认真,是品行端正的活样本,而且清正廉洁,同时还是班长中的班长,可说是完美无缺——然而,她却有家庭不和的问题。

不和、そして歪み。  

不和,并且扭曲,

それゆえに──彼女は猫に魅入られた。  

因为这样,她才会被猫魅惑。

ほんのわずかな、心の隙をつかれて。

被抓住心中唯一的一个空隙。

誰も、完全には完璧たりえないという、それは一つの例なのかもしれなかったが──その問題が解決し、猫から解放されたところで、彼女の記憶が消えて無くなってしまったところで、不和も歪みもなくならない。  

或许这就是「人无完人,金无足赤」的一个例子。然而就算她的问题解决,从猫的手中被解放出来,还失去了那段时间的记忆,但家庭的不和与扭曲却没有因此消失。

不和も歪みも残り続ける。  

不和与扭曲依旧存在。

そういうことだった。

事情就是这样。

「図書館が日曜日に休みっていうのが、なんていうか、自分の住んでいる土地の文化レベルの低さを表してるみたいで、あは、やになっちゃうよね」 「图书馆礼拜天休息,总觉得好像在表示,自己住的地方文化水平很低一样,啊哈,真是糟糕啊。」

「僕は図書館がどこにあるかすら知らないよ」

「我连图书馆在哪都不知道呢。」

駄目だよ、そんなことじゃ。そんな、諦めたみたいなこと言って。受験までまだ間もあるし、阿良々木くん、やればできるんだから」

「这怎么可以呢。说那种好像要放弃自己的话。现在离考试还有一段时间,阿良良木只要肯做,就一定办得到的。」

「根拠のない励ましは、場合によっては罵倒されるよりもつらいものがあるぜ、羽川」

「你那种没有根据的鼓励,有时候比被骂得狗血淋头,还要更叫人难受呢,羽川。」

「だって、阿良々木くん、数学はできるんでしょ? 数学ができる人で他の教科ができないなんてこと、普通はないよ」

「因为,阿良良木你数学很好吧?数学很好的人通常其他科目不会太差啊。」

「数学は記憶しなくていいだろ。楽なんだよ」

「数学不用背东西吧。很轻松的。」

「ひねくれてるなー。ま、いいか。その辺は、おいおい、ね。ところで、阿良々木くん。その子、妹さん?」  

「你真爱闹别扭呢。不过也没关系。读书的事情就慢慢来吧,对了,阿良良木,那个女孩是你妹妹吗?」

羽川は、ベンチのそばで横たわっている八九寺を、尖らした唇で、指し示した。

羽川噘嘴,指着横躺在长椅旁的八九寺说。

「……僕の妹はこんなちっこくないよ」

「……我妹没有这么小好吗。」

「そうだっけ」

「是吗?」

「中学生」

「她们是国中生。」

「ふうん」

「嗯——」

「えーっと、迷子の子だよ。八九寺真宵って名前」

「她那个,是迷路的小孩啦,叫做八九寺真宵。」

「まよい?」

「真宵?」

「真実の真に、宵闇の宵だ。それと、苗字は──」

「真实的真,宵夜的宵,然后姓——」

「苗字はわかるよ。八九寺って言えば、関西圏じゃよく聞く言葉だしね。歴史のある、ものものしい名前って感じだねー。そういえば、『東雲しののめ物語』に出てくるお寺って、確か──あ、あれはでも、漢字が違ったっけ」

「她的姓我知道。八九寺这个字在关西圈还满常听到、这个姓感觉很有历史又有威严呢。对了,《东云物语》里面出现的寺庙,好像也是叫——啊,可是那个汉字不太一样。」

「……お前は何でも知ってるな」

「……你真是无所不知呢。」

「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」

「我不是无所不知,只是刚好知道而已。」

「あっそう……」

「喔,是吗……」

「八九寺に真宵か──ふうん。上下で繫がってる名前なんだね。んん? あ、眼、覚ました」  

「八九寺加上真宵吗?上下有关联的名字呢。嗯嗯?啊,她醒过来了。」

言われて、八九寺の顔を見れば、ぱちぱちと、ゆっくり、瞬きをしていた。しばらくは周囲の状況をじっくりと認識しているかのように、しかねているかのように、見渡した末、上半身を、八九寺は起こした。

听羽川这么一说,我看了八九寺的脸,发现她正缓缓地眨眼。八九寺环视周围的景象片刻,像在仔细确认、又像是难以掌握自己身处的状况一样,最后坐起了上半身。

「こんにちは、真宵ちゃん。私、このお兄ちゃんのお友達で、羽川翼って言うんだよー」  

「你好,小真宵。我叫羽川翼,是这位大哥哥的朋友喔。」

うわあ、こいつ、素で体操のお兄さん口調だ。

呜哇!这家伙直接就用体操大哥哥的语气搭话。

いや、女だから、体操のお姉さんか。  

不对,羽川是女性,所以应该是体操大姐姐吧。

多分羽川って、犬とか猫とかに、平気で赤ちゃん言葉で話しかけることのできるタイプの人間なんだろうな……。

羽川八成是那种可以稀松平常地用幼儿语,向猫狗之类的对象搭话的人吧……

それに対し、八九寺は、

反观八九寺却说:

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」  と言った。  

「请不要跟我说话。我讨厌你。」

……誰にでも言うのか、その言葉。

……她不管对谁都说一样的话吗?

「あれー。嫌われるようなことしちゃったかなー。初対面の人にいきなりそういうこと言っちゃいけないよ、真宵ちゃん。うりうり」  

「咦——我做了什么会被你讨厌的事情?不可以对第一次见面的人突然说这种话喔,小真宵。摸摸头。」

しかしまるで凹みもしない羽川。  

不过,羽川完全没有沮丧。

僕にはできなかった、八九寺真宵の頭を撫でるという行為も、まるで普通に、達成できている。

而我做不到的事情——抚摸八九寺真宵的头,她也彷佛很自然一样地达成了。

「羽川、子供、好きなのか」

「羽川,你喜欢小孩吗?」

「んー? どこかに嫌いな人がいるの?」

「嗯——?有人讨厌吗?」

「いや、僕じゃないぞ」

「不,不是我。」

「ふうん。うん、好きだよ。自分も昔はこんなだったと思うと、なんだかほんわか22しちゃうよねー」

「嗯——嗯,喜欢啊。我一想到自己以前也是这个样子,就觉得心里头很温暖安详呢。」

うりうりと、八九寺の頭を撫で続ける羽川。  

羽川不停抚摸八九寺的头。

抵抗しようとする八九寺。  

八九寺想要抵抗。

しかし、無駄な抵抗だった。

但却白费功夫。

「う、うううー」

「呜、呜呜呜——」

「可愛いねー、真宵ちゃん。やーん、本当、食べちゃいたいくらい。ほっぺたなんかぷにぷにじゃない。きゃー。あ、でもね」  

「你好可爱喔,小真宵。唉呀,真是可爱到我想把你吃掉呢。你的脸颊软绵绵的呢。哇——啊,可是啊。」

口調が変わった。  

羽川的语调骤变了。

学校で僕に、たまに向けるような口調。

她在学校偶尔也会用这种语调跟我说话。

「お兄ちゃんの手、いきなり嚙んだりしちゃ駄目じゃない。お兄ちゃんだったから大丈夫だったけど、普通の人だったら大怪我だよっ! めっ!」  

「怎么可以突然咬大哥哥的手呢。这个大哥哥还没关系,如果是普通人早就受重伤了!嘿!」

ぽかり。  

碰!

殴った、拳で、普通に。

她用拳头,很自然地揍了八九寺一拳。

「う……う、うう?」  

「呜……呜、呜呜?」

優しくされたり殴られたりで、前後不覚の混乱状態に陥ったらしい八九寺を、無理矢理、羽川は僕に向ける。

羽川一会对八九寺温柔一会又揍她,让她陷入了不省人事的混乱状态。随后,羽川让八九寺面向我。

「ほら! ごめんなさいは?」

「来!该不该说对不起?」

「……ご、ごめんなさいでした、阿良々木さん」  

「……对、对不起,阿良良木哥哥。」

謝った。  

八九寺道歉了。

この口調だけは馬鹿丁寧な、生意気なガキが。  

这个只有措词客气的臭屁小鬼,居然道歉了。

衝撃だった。

我感到很震惊。

それにしても、やっぱ、羽川、随分前から見てたんだ……。そっか、そうだよなあ。普通に考えりゃ、肉がえぐれるくらいまで嚙みつかれたら、正当防衛くらいはするよなあ。そういえば、最初の喧嘩だって、こいつの方から蹴ってきたんだし……。

话说回来,羽川果然站在那边看很久了……是啊,就是这样。一般来想,要是快被人咬掉一块肉,起码也会做出正当防卫吧。说起来,最初的打架也是这家伙先踢过来的……

羽川は融通こそきかないが、そこまでしゃく定規な奴でもないのだった。  

羽川虽然不知变通,但也不是那种死板的家伙。

単に、公平なのだ。

她单纯讲求公平。

しかし羽川、子供の扱い、手馴れたものだ。確か羽川は一人っ子のはずなのに、見事の一言である。

不过,羽川对付小孩还真有一套。她应该是独生女,却说出如此有道理的一句话。

ついでに僕が学校において、どうやら羽川には子供扱いされているらしいということまで判明してしまったようだが、それはまあ、よしとしよう。

值得一提的是,看来羽川在学校也把我当成小孩子一样对待,不过,这点就算了吧。

「それに、阿良々木くんも、駄目だよー」  

「还有,阿良良木你也不行!」

同じ口調できやがった。  

她用同样的语调,将矛头对准我。

やはりよしとはしにくいものがあった。  

这样的语调,我还是有点难认同。

さすがに気付き、「ん、ん」と、仕切り直す羽川。 

就连羽川也注意到自己的语调,「嗯、嗯!」两声后,重新开口说:

「まあ、とにかく、駄目だよ」

「唉呀,总之就是不行。」

「駄目だよって……やっぱ、暴力?」

「不行是指……暴力?」

「じゃなくて、ちゃんと𠮟ってあげなくちゃ」

「不是,你应该好好地骂她才对。」

「ん、ああ」

「嗯,喔」

「勿論、暴力も駄目だけれどね、でも、子供を叩いたら、別に子供じゃなくてもだけど、叩かれたことを納得できるだけの理由を、話してあげなくちゃ、駄目」 

「当然暴力也不行,不过你打了小孩之后——就算对小孩以外的人也一样——应该要把打他的理由告诉他,让他知道自己哪里错了才行。」

「…………」

「話せばわかるって、そういう意味だよ」

「要说才会懂,就是这个意思啊。」

「……お前と話すと、本当、勉強になるな」

「……和你说话,真的让我长进不少。」

全く。  

真是。

毒気を抜かれる23、こいつには。  

这家伙的举动真是出乎我意料之外。

この世には、いい人間がいる。 

这世界上也是有好人的,

たったそれだけのことで、救われた気分になる。

光是因为这点,就让我觉得自己得到了救赎。

「で。迷子なんだっけ? どこに行きたいの? この辺なの? なんなら、案内できると思うけど」

「对了。她是迷路的小孩吧?她想去哪?在这附近吗?如果是的话,我可以帮你们带路。」

「えっと──いや、今、戦場ヶ原に、人を呼びに行ってもらってるところだから」

「那个——没关系,我刚才请战场原去找人帮忙了了。」

同じようにあちら側に関わった者だと言っても、羽川にはその記憶がない──知ってはいても、それを忘れている。だったら無闇に、瘡蓋かさぶたをいじくるが如く、その記憶を突っつくような真似をするべきではないだろう。  

就算羽川和那边的世界有关系,但她却没有记忆——就算她知道,也已经忘了。既然这样,我不应该像在玩弄旧疮疤一样,随便捉弄她的记忆。

その申し出は有難かったけれど、だ。

虽然她的提议让我很感谢。

「結構、時間食ってるみたいだけど、さすがにそろそろのはずだからさ」

「她已经去了一段时间,应该快回来了。」

「あれ? 戦場ヶ原さん? 阿良々木くん、戦場ヶ原さんと一緒だったの? んん? 戦場ヶ原さん、最近、学校休んでたけれど──んん? あ、そう言えば、この前、阿良々木くん、戦場ヶ原さんのことについて、私にあれこれ、訊いてきたよね──んん?」

「咦?战场原同学?阿良良木刚才和她在一起吗?嗯?战场原同学最近都请假没来学校呢——嗯嗯?啊,这么说来,上次阿良良木好像问了我很多有关她的事情喔——嗯嗯?」

あ。  

啊。

かんってる24勘繰ってる。  

开始瞎猜了,开始瞎猜了。

羽川の思い込みパワーが炸裂しようとしている。

羽川自以为是的能量,濒临爆发边缘。

「ああ! そうか、そういうこと!」

「啊啊!原来,原来是这样啊!」

「いや、違うと思う……」  

「不,不是你想的那样……」

もうなんていうか、僕みたいな馬鹿がお前のような秀才の出した答を否定するのは、本当に申し訳ない限りなんだけれど……。

该怎么说,我真的觉得很抱歉,像我这种笨蛋,居然否定了你这等秀才提出的答案。

「お前のそういう妄想力って、やおい好きの女子もそこのけだよな」

「你那种幻想力,连喜欢 YAOI 的女生都望尘莫及了。」

「やおい? 何それ」  

「YAOI?那是什么意思?」

首を傾げる羽川。  

羽川歪头不解。

優等生はご存じない。

优等生不知道这个词汇。

「ヤマなしオチなし意味深長の頭文字だ」

「就是『没有高潮、没有结局,意义深远』的开头缩写。」

「噓っぽいねえ。いいわ、今度調べてみる」

「听起来好像在骗人。没关系,下次我去查看看。」

「真面目だなあ」 

「你还真用功啊。」

…………。  

これを契機に羽川が道を踏み外したらどうしよう。  

要是羽川因此误入歧途的话该怎么办。

僕のせいになるのだろうか。

会是我的错吗。

「じゃ、邪魔するのもなんだし、私、もう行くね。お邪魔しました、戦場ヶ原さんによろしくね。それから、今日は日曜日だからあまりうるさいことは言わないけれど、羽目を外し過ぎないようにね。それから、明日、歴史の小テストあること、忘れちゃ駄目だよ? それから、文化祭の準備、いよいよ本格的に始まるから、気合入れてね? それから──」  

「那,在这边打扰你们也不太好,我差不多要走了。打扰两位了,帮我向战场原同学问好。还有,今天是礼拜天所以我不会太啰嗦,不过可不要太放纵自己喔。还有,明天有历史小考,你可不要忘了喔。还有,文化祭的准备,差不多要正式开始了,你可要提起劲来喔?还有——」

その後、『それから』を九回続けた羽川だった。  

羽川在那之后,接连说了九次「还有」。

彼女はひょっとすると、夏目漱石以来の『それから』使いなのかもしれなかった。

她可能是继夏目漱石以后,最会用「还有」的人。

「あ。そうだ、羽川。でも、一応、一つだけ訊かせてくれるか? 羽川、お前、この辺で、綱手さんっていう家、知ってる?」

「啊,对了,羽川。你走之前,让我问一个问题就好。你知道这附近有一户姓纲手的人家吗?」

「綱手さん? んん、えっと──」  

「纲手?嗯嗯,这个嘛——」

記憶を探る仕草をする羽川。それは、ひょっとしたら知っているのかもしれないと、期待させるに十分な仕草だったが、しかし──

羽川露出回想的表情。她的表情让人抱足了期待,这样看来她或许知道;然而——

「……いや、知らないわ」  と、言った。

「……不,我不知道呢。」她答道。

「羽川でも知らないことがあるんだな」

「你也有不知道的事情啊。」

「言ったでしょ? 私が知ってるのは、私が知っていることだけなの。他のことは、からきしね」

「我不是说过吗?我只知道自己刚好知道的东西。对其他的事物,我一无所知啊。」

「あっそ」  

「是吗?」

そういえばやおいの意味も知らなかったしな。  

这么说来,她也不知道 YAOI 的意思啊。

そううまく、ことが運ぶわけはないか。

事情不可能进展得这么顺利吗?

「期待に添えずに申し訳ないね」

「抱歉辜负了你的期待。」

「いやいや」

「不会、不会。」

「じゃ、今度こそ、ばいばい」  

「那我这次真的要先走了,掰掰!」

そして、羽川翼は、浪白公園を去っていった。  

随后,羽川翼离开了浪白公园。

彼女は、どうだろう、この公園の名前の読み方を知っていただろうか。  

不晓得她知不知道这公园的念法。

一つだけというなら、それを訊けばよかったと、少しだけ、思った。

刚才的问题应该问这个才对,我脑中掠过这个想法。

そして──携帯電話に着信。  

接着,我的手机响了。

十一桁の数字が、液晶に表示される。

液晶屏幕上,显示了十一位数的数字。

「………………」  

五月十四日、日曜日、十四時十五分三十秒。  

五月十四日,礼拜天,十四点十五分三十秒。

戦場ヶ原の携帯番号を入手した瞬間だった。

在这瞬间,我拿到了战场原的手机号码。

006#

「で──その迷い牛って、どんな妖怪変化、魑魅魍魎なんだよ。どうやったら退治できるんだ」

「那么——那只迷牛是哪种魑魅魍魉,又是哪一种妖怪变成的啊?我该怎么做才能消灭他?」

「ったく、相変わらず暴力的な考え方をするなあ、阿良々木くんは。何かいいことでもあったのかい?」

「真是的,阿良良木老弟的想法还是一样暴力啊。是不是发生了什么好事啊?」

忍野は戦場ヶ原に、寝ているところを起こされたらしい。日曜日の朝の惰眠を邪魔するなんて酷い子だよと忍野は愚痴ったが、しかし、現在時刻が朝ではなく既に午後であることはまあ勘弁するとしても、毎日が日曜日一年中夏休みの忍野には、そんな言葉を吐く権利は国から与えられていないと思ったので、フォローは入れなかった。

忍野似乎睡到一半被战场原吵醒的样子。「礼拜天早上打扰别人睡懒觉,这孩子真是过分啊。」忍野抱怨说。不过现在时间早就已经过午,不算是早上,就算这点不去追究,我也不觉得国家会让每天都是礼拜天,一整年都在放暑假的忍野有抱怨的资格所以我没有附和他。

忍野は携帯電話を持っていないので、必然、戦場ヶ原の携帯電話を借りての通話と相成ったわけだが、しかし、主義及び金銭的事情以前の問題として、忍野はどうやら、かなりの機械音痴のようだった。

忍野没有手机,想当然耳,他肯定是借用战场原的手机和我通话,不过撇开「不带手机主义」和「金钱上的顾虑」不谈,忍野似乎是一个要不得的机械白痴。

「で、ツンデレちゃん、僕が話すときにはどのボタンを押せばいいんだい?」なんて馬鹿げた台詞が聞こえてきたときには、僕が通話終了ボタンを押したくなったくらいだ。 

「对了,傲娇妹,我要讲话的时候要按哪颗按钮啊?」听到这种脑残的话语时,我甚至有一种想要按下手机挂断键的冲动。

トランシーバーじゃねえっての。

你嘛帮帮忙,这又不是对讲机。

「しっかし……どういうことなんだろうねえ。珍しいというより、こりゃ異常だよ。よくもまあ、こんな短期間に、そうも色々な怪異に出遭えるもんだよ、阿良々木くんは。愉快だな。吸血鬼に襲われるだけでも普通はもう十分だっていうのに、なんだよ、委員長ちゃんの猫や、ツンデレちゃんの蟹やらに関わったかと思うと、今度は蝸牛に行き遭ったってかい?」

「不过……这到底是怎么回事呢。这要说是稀奇,倒不如说是异常吧,阿良良木老弟居然会在这么短的时间内,遇到形形色色的怪异。这真是愉快啊,你被吸血鬼袭击已经算是机率非常低的事情了,结果又和班长妹的猫,还有傲娇妹的螃蟹扯上关系,现在又遇到蜗牛吗?」

「行き遭ったのは僕じゃないよ」

「遇到的人可不是我。」

「ん? そうなのかい?」

「嗯?是吗?」

「戦場ヶ原からどこまで聞いたんだ?」

「你听战场原说到哪了?」

「いや……聞いたは聞いたはずなんだけど、夢うつつだったからね。曖昧だな、どうも、記憶違いがあるみたいだね……ああでも、僕は昔っからねえ、いつか可愛い女子高生が、僕のことを起こしに来てくれたら素敵だなあと夢見ていたんだよ。阿良々木くんのお陰で、中学生の頃からの夢がやっと叶ったなあ」

「这个嘛……我应该是有在听啦,不过因为我刚才在半梦半醒之间,记忆变得很模糊,看来好像是我记错了……啊!不过我从以前啊,就一直梦想如果哪一天能有一个可爱的女高中生来叫我起床,不知道该有多棒。多亏阿良良木老弟,我从中学的时候就一直梦想的事情终于实现了。」

「……叶ってみて、どうよ」

「……实现之后的感觉怎样?」

「んー、寝ぼけてるからよくわかんないよね」  

「嗯——我刚才睡傻了不太记得了说。」

叶った夢とはそんなものかもしれなかった。  

梦想实现之后,或许就只是这样而已。

誰も、どんな場合も。

不管是谁、在什么情况下都一样。

「ああ、ツンデレちゃんが僕のことをすごい眼で睨んでいるよ。怖い怖い、おっかない。何かいいことでもあったのかな」

「啊啊,傲娇妹用好可怕的眼神在瞪我耶,好可怕、好可怕,吓死人了。是不是发生了什么好事啊?」

「さあ……」

「天知道……」

「さあ、ねえ? 阿良々木くんは女心がわかってなさそうだからねえ──まあいいや。ふん。まあ一度でもこちらの世界に関わってしまうと、それ以降も曳かれ易くなってしまうのは事実だけれど……けど、ちっと、集中している感じだなあ。委員長ちゃんもツンデレちゃんも、阿良々木くんのクラスメイトだし──それに、聞いた話じゃ、そこは、委員長ちゃんとツンデレちゃんの、地元なんだろ?」

「天知道吗?阿良良木老弟看起来好像不太懂女人心呢——不过这不是重点。呼。唉呀,就算一次也好,只要和怪异的世界扯上关系,之后就会很容易被卷入其中,这是事实没错……不过,你的频率好像也太集中了吧。班长妹和傲娇妹都是阿良良木老弟的同班同学——而且,我听说她们两个就住在你那边的附近是吧?」

「戦場ヶ原の場合、もう住んでないけどな。けど、それは関係ないよ。八九寺は、ここに住んでたことはないはずだから」

「战场原已经不住在这了。不过这件事和地点无开吧。因为八九寺应该也不是住在这附近。」

「はちくじ?」

「八九寺?」

「あ、聞いてない? 八九寺真宵。蝸牛に行き遭った子供の名前だよ」

「啊,你没听说吗?八九寺真宵。就是那个遇到蜗牛的小孩。」

「ああ……」  

「啊啊……」

ちょっと間があく。  

对话稍微间隔了片刻。

理由は、眠いからでは、なさそうだった。

理由似乎不是因为他想睡觉。

「八九寺真宵か……はっはー、なるほどね。見えてきた見えてきた。記憶が揃ってきた。なるほどねえ。なんつっかー、いい因縁だよ。まるでちょっとした駄洒落だな」

「八九寺真宵吗……哈哈,原来如此。我懂了,我懂了。整个思路都通了。原来如此啊。该怎么说呢,这算是一种因缘吧。感觉好像一种小小的冷笑话。」

「駄洒落? ああ、真宵と迷いがかかってるっていうことか? 迷い牛ともかかってるし、迷子ともかかってるって……。へらへら緩んだ顔してる癖に、案外つまんないことを言うんだな、忍野」

「冷笑话?啊,你是说真宵和迷路两者的发音有相关吗?她的名字发音也跟迷牛和迷路的小孩类似……看不出来你一副嘻皮笑脸的样子,居然会说出这种无聊的话啊,忍野。」

「そんなレベルの低いギャグは口が裂けても言わないよ。伊達だて25にへらへらしてるわけじゃないんだ、この僕は。笑中しょうちゅうに刀ありってね。ほれ、八九寺に真宵でしょ。八九寺つったら、あれ、知らない? 『東雲物語』の第五節」

「那种低水平的冷笑话,就算我嘴巴烂了也不会讲好吗?我可不是平白无故在嘻皮笑脸的。我这叫做笑里藏刀。你想想,她叫八九寺真宵对吧?说到八九寺就会想到那个,你知道吗?《东云物语》的第五节。」

「はあ?」  

「嗄?」 

羽川もそんなことを言っていたっけ。  

羽川也说过这个话。 

全くわからなかったけれど。

只不过我完全没听过。

「阿良々木くんは何も知らないんだな。お陰でこちらとしては説明のし甲斐があるよ。でも、今はそんな暇はないか……眠いしな。ん? なんだい? ツンデレちゃん」  

「阿良良木老弟什么都不知道呢。多亏如此我说明起来才有意义。不过呢,现在我没那个闲功夫……我困得要死啊。嗯?怎么了?傲娇妹。」

戦場ヶ原が忍野に何か言ったようで、会話が一旦中断する。その声まではさすがに拾えない──というより、戦場ヶ原はわざと、僕に聞こえないように、忍野に何か言っているようだった。

战场原好像和忍野在说什么,我俩的对话因此暂时中断,她的声音实在小到我听不见——应该说,是战场原故意压低音量在说话。

内緒話──でもないだろうが。 

悄悄话——应该不是吧。 

何を言っているのだろう。

在说什么呢。 

「んー……ふうん」  

「嗯……? 」 

忍野が頷く声だけが聞こえた。  

我只听见忍野响应的声音。

そして。  

然后。 

「……はあ」

「……呼!」

重苦しい、ため息が、続いた。

发出了沉重的叹息。

「阿良々木くんは、本当に、甲斐性なしだなあ」

「阿良良木老弟,你真的很没用耶。」

「は? 何でいきなりお前からそんなことを言われるんだ? まだお前に対しては、暇潰しだなんて言ってないぞ」 「嗄?为啥我要突然被你这样说?我还没说『这件事情对你而言只是在消磨时间而已』这句话吧。」

「ツンデレちゃんにこんなに気を遣わせちゃって……ツンデレちゃんが責任を感じちゃってるじゃないか。女の子に尻を任せるなんて、男としちゃ随分と出来損ないだな。尻は敷かれるものであって任せるもんじゃないんだよ」

「你居然让傲娇妹这么担心……这样她不就会有责任感了吗?你居然把责任推给女生,以一个男人来说你实在太废了。男人应该要被女人骑在头上,而不是把责任推给女人吧。」

「あ、いや……戦場ヶ原を巻き込んじまったのは、素直に悪かったと思ってるよ。悪かったっていうか、責任は感じているさ。先週、自分のことが片付いたばかりだってのに、またこんな変なことに──」

「啊,那个……把战场原牵扯进来我真的觉得很抱歉。应该说这都是我的责任。上个礼拜她才刚处理完自己的事情,现在又让她遇上这种奇怪的——」

「そういう意味じゃないよ、ったく。阿良々木くん、自分のことと委員長ちゃんとツンデレちゃんと、三つ立て続けに怪異を解決しちゃったもんだから、ちょっと調子コイちゃったんじゃないの? 言っておくけど、自分の目で見たこと、自分で感じたことだけが、真実じゃないんだぜ」

「我不是这个意思啦,真是的。阿良良木老弟,你是不是因为接连三次解决自己和班长妹还有傲娇妹的怪异事件,所以变得稍微有点得意忘形啊?我先告诉你一声,可不是只有自己看到和感觉到的东西才是真实喔。」

「……別に、そんなつもりはないよ」  

「 ……我并没有那种想法 」

厳しい言葉に──つい、しゅくしてしまう。痛いところを突かれた気分だ。それについては、残念ながら、思い当たることが、ないではないのだ。

面对这番不假辞色的话语,我的气势不禁软了下来,我感觉自己被戳到痛处。但偏偏他说的话,我并不是没有想过。

「まあ、そんなつもりはないだろうね、阿良々木くんの場合。阿良々木くんがどんな奴かは、僕はもう、それなりに理解しているつもりだよ。ただ、もう少しばかり、阿良々木くんは周囲に気を配ってもいいだろうってこと。調子コイてんじゃないんだったら、阿良々木くん、余裕なくしちゃってるんじゃない? いいかい? よく聞いてよ。見えているものが真実とは限らないし──それとは逆に、見えていないことが事実であるとも限らないんだ、阿良々木くん。初めて会ったときにも似たような話はしたと思うけれど、忘れちゃったかな? 阿良々木くん」

「唉呀,你应该没有那个意思吧。阿良良木老弟是一个什么样的人,我个人已经有相当程度的理解。只不过,我希望你能够多注意一下自己的四周。如果你没有得意忘形的话,阿良良木老弟,你是不是太急躁了?你仔细听我说。眼见的东西未必是真实;但反过来说,并不代表看不见的东西就一定是真实,阿良良木老弟。我们第一次见面的时候我好像有跟你说过类似的话,你该不会忘了吧?阿良良木老弟。」

「……別に、今は僕の話はしてないよ、忍野。いいから、その迷い牛? 蝸牛対策を教えてくれよ。どうすりゃ退治できるんだ」

「……现在不是在谈我的事情吧,忍野。好了,那个迷牛?快教我怎么对付那个蜗牛吧。要怎么做才能消灭他?」

「だから退治とか、そういうことを言うんじゃないよ。何もわかっちゃいないんだな。そういうことばっかり言っているといつか後悔することになると思うけれど、そのときはちゃんと責任を取るんだぞ? それに──迷い牛は……あ、いや」  

「就跟你说不是用消灭的方法。你根本什么都不懂嘛。你光说这种话总有一天会后悔的,到时候你可要自己负全责喔?还有——那个迷牛……啊,不是。」

言いよどむ忍野。

忍野欲言又止。

「……はっはー。ちょっと、これは簡単過ぎ丶丶丶丶て、アレだなあ。何を言っても、僕が阿良々木くんを助けることになっちゃいそうだな。よくないな……阿良々木くんには自分一人で助かってもらわないと」

「……哈哈!这实在太简单了,就是那个嘛。我不管说什么,好像都会帮到你的样子。这样不太好呢……这件事要让阿良良木老弟自己解决才行。」

「簡単? そうなのか?」

「简单?真的吗?」

「吸血鬼とは違う。あれは本当の本当にレアケースなんだよ、阿良々木くん。最初があれだと、色々と誤解しちゃうのは仕方ないと思うけれど……そうだね、どっちかって言うと迷い牛は、ツンデレちちゃんが遭遇した蟹に、ケースは近いかな」

「这跟吸血鬼不一样。吸血鬼真的是非常稀有的案例。干么啊,阿良良木老弟。你第一次就遇到那种东西,会有许多误解我想也是没办法的啦……这个嘛,该怎么说,这次的迷牛和傲娇妹遇到的螃蟹很像。」

「ふうん」  

「喔?」

蟹。  

螃蟹。

あの、蟹に。

和那个螃蟹很像。

「あ、そっか、それにツンデレちゃんのこともあるか……あんまり、やだなあ。僕は人間とあちら側との橋渡しが役割であって、人間と人間との橋渡しは専門じゃないんだよなあ……はっはー。参ったな。どうしたもんか。僕は阿良々木くんとは少し仲良くなり過ぎちゃったかなあ。馴れ合いが過ぎちゃったというか、こんな簡単に頼られ、まして電話で用件を済まされるとは思いもよらなかったよ」

「啊,对了,还有傲娇妹的事情吗……真是讨厌啊。我的角色是担任人类和那个世界的桥梁,人类和人类之间的桥梁不是我的专业领域啊……哈哈。真是伤脑筋。这是为什么呢。看来我和阿良良木老弟可能太亲近了。我们大概混太熟了,你才会这么简单就依赖我,而且我没想到你会想用一通电话来解决事情。」

「……まあ、安易だったとは思うよ」  

「……因为我觉得这是最简单的方法。」

安直だし──気の進まない選択肢。  

这个选择最简单,但也让人提不起劲。

ではあったが、しかし──だからといってそれ以外には選択肢がなかったのも、また、事実だ。

话虽如此,但事实上,也没有其它方法可供我选择。

「あんまり気安く僕に接しないで欲しいね。怪異に遭ったとき、僕みたいなのがそばにいるケースなんて、普通はありえないんだから。それに、これはいささか型に嵌った常識的な物言いになっちゃって僕らしくもないけれど、年頃の女の子を一人で、怪しい男が寝泊りしているこんな廃墟みたいな場所に送り込むなんて、感心しないよ」

「希望你不要这么随便就依赖我啊。平常遇到怪异,根本不可能会有像我这样的人在你身边。还有,说这种死板的常识虽然不太像我的风格,不过你居然叫一个妙龄女子单独来这种类似废墟、里头还住了一个怪人的地方,这样实在很要不得啊。」

「怪しい男だという自覚も廃墟みたいな場所だという認識もあるんだな……」

「原来你也知道自己是怪人,住的地方像废嘘啊……」

けれど──それは確かに、そうだった。その通りだった。戦場ヶ原があまりにも簡単に承諾し──むしろ自分の方から名乗り出たくらいだったから、そこら辺に対する気遣いが、ちょっと欠けていた。

可是,他说的没错。的确如此。战场原答应的实在太过爽快,甚至让我感觉她是自告奋勇要去找忍野,所以这方面我稍微欠缺了顾虑。

「でも、お前は別に何もしないだろ」

「不过,你也不会做什么事情吧。」

「信頼は普通にありがたいけれど、でも、線引きは必要だよ。ルールってのはそのためにあるんだ。ぬるぬるのぬくぬくは、ぬけぬけとよくない。わかるかい? 何があっても完全に駄目という枠で囲った空間を作っておかないと、なあなあで、領地はどんどん削られていくってわけ。例外のないルールはないなんてよく言うけれど、ルールである以上例外はあるべきじゃないし、それに、ルールがなければ例外もなくなっちゃうって、そういうこと。はっはー、なんか委員長ちゃんみたいなこと言っちゃったね」

「一般来说受到别人的信赖是很好啦,不过,还是需要有个分际吧。规则就是为此而存在的。规则规则,不可厚颜无耻。你懂我的意思吗?如果我们不先用一个规则框架围出一个空间来,规定出无论如何绝对不行的事情,自己的领地就会在随便妥协之中不停被削减。常有人说规则都是有例外的,但是既然是规则就不应该有例外,而且,要是没有规则也就不会有例外,就是这么回事。哈哈,总觉得我讲话好像班长妹。」

「んー……」  

「嗯……」

まあ──そうだ。  

是啊,他说的没错。

その通りだ。  

的却是如此。

戦場ヶ原には、後で謝ろう。

晚点和战场原说声抱歉吧。

「阿良々木くんが僕を信頼してくれているほどには、ツンデレちゃんは僕を信頼してくれているわけじゃないんだから。阿良々木くんが僕を信頼しているという理由で、ツンデレちゃんは僕に暫定的な信頼をおいているに過ぎない──何かあったら責任は全部阿良々木くんにのしかかるってことを、忘れちゃ駄目だからね。いや、何もしないけど。何もしない何もしないって! うわ、ホッチキスを構えるのをやめてくれ、ツンデレちゃん!」

「阿良良木老弟虽然信任我,不过傲娇妹可没有这么信任我。她不过是因为你相信我,所以才暂时相信我而已。要是出了什么事情,责任可全都在你身上喔,这点你可别忘了啊。不是,我不会做什么奇怪的事情。就说我真的不会!呜哇,拜托你不要拿订书机出来啊,傲娇妹!」

「…………」  

まだ持っていたのか、ホッチキス。  

她还是一样,随身携带订书机吗?

いや、いっちょういっせきに抜ける習慣じゃないだろうけど。

虽然这习惯不是一朝一夕就改得掉的东西。

「ふー……びっくりした。ツンデレちゃんは怖いツンデレちゃんだったんだな。こりゃあ無類のツンデレだね。えーっと、じゃあ……ああ、もう、やっぱ電話は苦手だなあ。話しにくいや」 

「呼……吓死我了。原来傲娇妹这么恐怖啊。这实在无与伦比的傲娇啊。那个,我看……啊啊!真是的,我真的不擅长讲电话啊。讲起来实在很不方便。」

「話しにくいって、そんな……忍野、お前、機械音痴にもほどがあるだろ」

「讲起来很不方便?忍野……你机械白痴的程度也太夸张了吧。」

「いや、そういうのもあるけどさー、なんかこうやって、僕は真剣に話してても、ひょっとしたら阿良々木くんは寝転んでジュースを飲みながら漫画を読みつつ通話しているんじゃないかと思うと、むなしくなってくるんだよねー」

「机械白痴是有点关系啦,不过我讲得这么认真,结果你搞不好是躺着一边在喝果汁看漫画,一边在跟我讲电话,想到这点我就觉得很空虚啊。」

「意外と繊細なんだな、お前……」  

「你出乎意料还挺纤细的嘛……」

そういうの、気にする奴は気になるらしいけれど。

这种事情,在意的人真的会很在意。

「じゃあ、こうしよう。迷い牛対策はツンデレちゃんに伝えておくからさ、阿良々木くんはそこでそのままじっとしててよ」

「那我看这样吧。对付迷牛的方法我就告诉傲娇妹,你就在那边等她回去吧。」

「対策っつって──人伝てで大丈夫なのか?」

「对策透过别人来传递……这样妥当吗?」

「それを言ったら迷い牛自体が民間伝承だよ」

「你要这样说的话,迷牛本身就是民间传承的东西。」

「じゃなくて、あの──戦場ヶ原のときの、あの儀式みたいなのは必要ないのかってことなんだけれど……」

「我不是说这个,我是说——这次不用像战场原的时候一样,做仪式之类的吗……」

「ないよ。パターンは同じだけど、蝸牛は蟹ほど厄介じゃない。だって、神様じゃないもん。お化けだな、どっちかって言うと。魑魅魍魎とか怪奇現象とかより、幽霊とか、そっちの類」

「不用啊。两者的模式虽然相同,可是蜗牛不像螃蟹这么难对付。因为他不是神明。嘛。他是妖怪类的吧,真要说的话。他应该算是幽灵类的东西,不是什么魑魅魍魉或奇异现象。」

「幽霊?」

「幽灵?」

この場合、神様もお化けも魑魅魍魎も怪奇現象も幽霊も同じような存在にしか思えないけれど──そういう言葉上の違いが、忍野と話す場合には重要だということは、わかっている。  

他说的神明、妖怪、魑魅魍魉、奇异现象或幽灵,在这种状况下我想都是一样的东西吧——然而我知道在和忍野谈话时,这种言语上的区别相当重要。

けれど──幽霊。

可是……幽灵。

幽霊だって妖怪の一種だよ。迷い牛自体、特にどこの地域ってわけでもなく、日本国中、全国津々つつ浦々うらうら26、とにかくあっちこっちに伝わっている怪異だしね。マイナーだし、名前はまちまちだけれど、まあ、それは元が蝸牛だからなあ。えーっと、それから、阿良々木くん。八九寺っていうのはね、これはそもそも、竹林の中にあるお寺のことを、指し示す言葉だったんだ。正しくは、『八九』ではなく、『淡い』『竹』で、ちくという。淡竹寺。ほら、竹って言えば、まずは孟宗竹もうそうちくと淡竹の二種類だろう?また、淡竹は、『ちくの勢い』の『破竹』ともかかっているよね。この場合はあんまり関係ないんだけれど──それを十中八九の『八九』と置き換えたのは、うん、言ってしまえばただの言葉遊びなんだよ。阿良々木くんは知ってるかな? 四国八十八箇所27とか、西国三十三箇所28とか」

「幽灵也是妖怪的一种。迷牛本身并不限定于某个特定的地区,日本国内,全国各地,总之不管走到哪都能听到他的怪异事迹。他不是什么重要的幽灵,名称也形形色色,唉呀,不过他的最原本的样子是蜗牛啦。还有那个,阿良良木老弟。八九寺个词汇原本是指竹林中的寺庙。正确来说,这个词原本的写法不是『八九』,而是『淡竹』。淡竹寺。你想想,说到竹子最先想到的就是孟宗竹和淡竹这两种对吧?淡竹和『势如破竹』中的『破竹』好像也有关联①。不过这里没什么关系啦。总之把淡竹两字换成了十之八九的『八九』,嗯,简单来说就是一种文字游戏。阿良良木老弟你知道吗?四国八十八所,还有西国三十三所。」

「ああ……まあ、それくらいなら、さすがに」  

「嗯……那种程度的事情当然。」

よく聞くしな。

毕竟这两个地方常常有机会会听到。

「さすがにそれくらいは知っているか──うん、だろうね。まあ、そういうのって、有名無名を区別しなければ、結構あるわけよ。八九寺ってのも、言わばその一種でね──八十九個のお寺が、そのリストの中に収められているのさ。勿論、八十九というのは、言ったように『淡竹』とかかっているんだけれど、後づけの意味じゃ、四国八十八箇所よりもひとつ多い数ってところもあるんだよね」

「那种程度的事情你也知道吗。嗯,我想也是。那一类的地方如果不用有不有名来区别,数量其实很多呢。八九寺也算是其中一种,名单中收纳有八十九间寺庙。当然,八十九这个数字和我刚才说的『淡竹』有关,但在索引的意思上来看,它的数量比四国八十八所还要多一个。」

「ふうん……」  

「嗯…………」

四国と絡んでいるのか。  

八十九寺和四国有关吗?

しかし、羽川は、関西圏がどうとか言っていたけれど。

不过,羽川好像有提到关西圈的样子。

「うん」  

「嗯。」

忍野は言う。

忍野说。

「選ばれた八十九のお寺は、大概が関西圏のお寺だからね──その意味じゃ、四国八十八箇所よりは西国三十三箇所の方がイメージに近いのかな。ただ、ここからがこの話の肝でさあ、悲劇の始まりというわけなんだよ。ほらさー、八九って、『やく』、つまり『厄』に通じちゃうところがあるじゃない。そういうのって、寺院の頭に冠しちゃったら、否定の接頭せっとうごうになっちゃうからね、よくなかったんだよ」

「被选上的八十九间寺庙,大概都是关西圈的寺庙,从这层意思上来看,西国三十三所应该比四国八十八所,还要更接近八十九给人的感觉。不过,我接下来要说的才是重点,也是悲剧的开始。你想想,八九也可以念作『YAKU』,也就和『厄』这个字同样念法。因为这样,如果冠在寺院前面,就会变成有否定意思的接头语,所以这样不大好。

「……? そう言えば、僕も最初、『八九』を『はちく』とは読めずに、『やく』なのかなって思ったけれど……しかし、そういう意味を持たせていたわけじゃないんだろう?」

「……?听你这么说,我一开始也把八九念成了『YAKU』,而不是念『HACHIKU』……不过,古人不是故意要让它有这个意思的吧?」

「けれど、期せずして持っちゃったってことさ。言葉ってのは、怖いよ。そんなつもりはなくとも、そういうことに決定してしまう。言霊ことだまとも言うけれど、ちょっとこの熟語は、簡単に使われ過ぎているきらいがあるよね。まあ、ともかく、そういう解釈が広がっちゃって、八九寺という括りは、その内に廃れちゃった。八十九の内に指定されていたお寺も、ほとんどは廃仏はいぶつしゃく29のときに潰れちゃったし、四分の一くらいしか現存していない──しかも、八九寺に選ばれていたことは、ほとんどひた隠しにしている感じなんだね」

「可是,在偶然的情况下,就是让它有这个意思了。语言这种东西很可怕的。就算你没有那个意思,有时候也会变成这样。这也叫作言灵,不过这个词最近稍微有点被人滥用的倾向。唉呀,总而言之,这种解释之后广为流传,最后八九寺这个总称就消失了。其中被指定的八十九间的寺庙,也几乎都在废佛弃释的时候遭到废弃,目前还保留的大概只剩下四分之一左右。而且,这些仅存的寺庙,几乎都在隐瞒了自己曾经被选上的事实。」

「…………」  

なんかこいつの説明はあまりに適当過ぎて、そのお陰で確かにわかりやすくはあるんだけれど、しかし他人にそのまま話したりしたら、大恥をかきそうな感じなんだよな……。  

总觉得这家伙的说明实在太随便,虽然这样的确比较浅显易懂,不过要是把他的话照本宣科拿来跟别人说,我总觉得一定会出大糗……

そもそも、そんな、インターネットの検索エンジンにかけても一件もヒットしそうにない知識、どこまで鵜吞みにしていいものか、判断に困る。  

毕竟,这些知识在网络上搜寻绝对找不到符合的项目,实在让我犹豫不知道该吸收到哪种程度才好。

話半分──か。

半信半疑——是吗?

「で、そういう経緯──歴史を理解した上で、改めて八九寺真宵って名前を見ると、どうだろう、妙に意味ありげで、困っちゃうよね、普通は。上下が繫がっていて──さ。大宅おおやけの世継よつぎとか夏山なつやまのしげみたいなもんだ。『大鏡30』くらいは授業で習っただろう、阿良々木くんだって。けれど、下の名前がマヨイっていうのはどうなのかなあ? それじゃ、そのまんまじゃないか。それこそ安易で、安直あんちょくだぜ。ネーミングセンスを疑うよ。ふん、阿良々木くんが最初の段階で、それを感じてくれていたなら、よかったんだけれどね」

「听完这层原委——理解了历史之后,再重新来看八九寺真宵的名字,对吧,正常来说都会觉得有一种奇妙的含意,很伤脑筋吧。上下的名宇刚好都有关联……是吧。这就跟大宅世继和夏山繁树一样。《大镜》,你应该有在学校学过吧,阿良良木老弟。不过,她下面的名字真宵又是怎么回事?这不就是字面上的意思嘛。那实在太简单、简便了。让人怀疑这名字命名品味啊。嗯,阿良良木老弟如果在一开始的阶段就发现的话,那就太好了说」

「よかったって、何がだよ。それに、こいつが──」

「什么太好了说。而且这家伙——」

八九寺は、ベンチに座って、大人しく僕の通話が終わるのを待っている。特に聞き耳を立てている風はないが──聞いてはいるだろう。いないはずがない、自分のことなのだ。

八九寺坐在椅子上,乖乖地在等我讲完电话。她没有特意竖起耳朵偷听,但肯定有在听吧。她没理由充耳不闻,毕竟这是她自己的事情。

「こいつが八九寺って苗字になったのは、つい最近なんだ。それ以前は、綱手だったって」

「这家伙会改姓八九寺是最近的事情。她以前好像叫作纲手。」

「綱手? へえ、綱手かよ……よりにもよって。よりにもよって──糸がよれ過ぎだぜ。完全にほつれちまってる。因縁にしたって、そりゃさすがに出来過ぎだなあ、おい。はかりごと帷幄いあくの中にめぐらし勝ちを千里の外に決する感じだぜ。八九寺に綱手……なるほど、それで真宵か。むしろ本命はそっちか。真の宵夜ね。はあん──ったく」

「纲手?咦,纲手吗……怎么这么刚好。怎么这么刚好——这下子线条全扭曲,完全散开来了。以因缘来说,这实在太过凑巧了。有一种运筹帷幄之中,决胜千里之外的感觉。八九寺和纲手……原来如此,然后是真宵吗?其实真正有含意的是真宵这个名字吧。真正的宵夜。啊哈——真是的。」

アホ臭い。  

傻瓜一样。

忍野はぼそっと、そう呟いた。  

忍野小声呢喃道。

独白ではあったが──僕に向けた言葉だった。

那听起来像是独白,不过其实是对我说的话。

「もういいや、どうでも。この町は本当に面白いよ、実際。あっちこっちが雑多坩堝だな。どうやらこの町からはなかなか離れられそうにないや……じゃ、詳細しょうさいはツンデレちゃんに言っとくから、阿良々木くん、聞いておいてね」

「怎么样都没差。这个城镇真的很有趣呢。不时都有让人兴奋的状况。看来我没办法轻易离开这个城镇呢……那就这样,我会把详细的方法告诉傲娇妹,阿良良木老弟,你再问她吧。」

「ん。あ、ああ」

「嗯。好、好吧。」

「もっとも──」  

「不过——」

忍野は皮肉な口調で締めた。

忍野用讽刺的语调做收尾。

あの薄笑いが、眼に浮かぶようだった。 

他的轻蔑笑容,似乎浮现在我的眼前。

「ツンデレちゃんがそれを素直に教えてくれればいいけどね」  

「希望傲娇妹会老实告诉你呢。」

そして──通話終了。  

接着——通话结束。

忍野は決して、別れの言葉を言わない男だった。

忍野是一个绝对不会说再见的男人。

「……というわけだ、八九寺。なんとかなりそうだぞ」

「……就是这样,八九寺。似乎有办法的样子。」

「印象としては、あまり、なんとかなりそうな会話ではありませんでしたが」  

「在找印象中,似乎没有听到什么有办法的对话。」

やっぱり聞いてはいたようだ。  

果然听到了。

まあ、僕の台詞を聞いていただけでは、肝心なところは何もわからないだろうけれど。

不过如果光听我的答话,重要的部分应该一无所知吧。

「それはともかく、阿良々木さん」

「这点先不管,阿良良木哥哥。」

「何だよ」

「干么?」

「わたしはお腹がすいていますよ?」

「我肚子饿了喔。」

「………………」  

だからどうした。  

那又怎样。

僕がうっかり果たすべき義務を果たしてないことを、気遣って遠まわしに教えてくれているみたいな言い方してんじゃねえよ。

她的语气好像是在委婉地告诉我,我无意中忽略了自己应该完成的义务一样。拜托别这样。

とはいえ、そう言われてみれば、そうだ、蝸牛のことがあって有耶無耶うやむやになっていたが、考えてみれば、八九寺には昼ご飯を食べさせていない。そう、戦場ヶ原もそうだった……あいつの場合、ひょっとしたら忍野のところに行く前に、一人どこかで何かを食べている可能性がないでもないが。

不过,听她这么说也是,事情的状况因为蜗牛的缘故而含糊不清,仔细一想我好像没让八九寺吃中饭。对了,战场原也一样……那家伙去找忍野前,可能自己找地方先吃了东西也说不定。

あー、気が回らなかったな。  

啊——我真的没注意到这种细节。

僕は今、割と食べなくても平気な身体だから。

因为我现在的身体,就算不进食也无所谓。

「じゃ、戦場ヶ原が戻ってきたら、どっかに何か食べに行こうぜ。つっても、この辺、家しかないから──別にお前、お母さんの家以外なら、どこにでも行けるんだろ?」

「那我们等战场原回来之后,再去找个地方吃东西吧。不过这附近好像只有住宅。你除了妈妈家以外,其它地方应该都可以去吧?」

「はい。行けます」

「是的。可以。」

「そっか。じゃ、戦場ヶ原に訊けばいいか──一番近い食べ物屋くらい知ってるだろ。で、お前、何か好きな食べ物とかあるのか?」

「是吗,那我等一下问战场原吧,她应该知道这附近哪里有东西吃吧。对了,你有喜欢吃的东西吗?」

「食べ物であればなんでも好きです」

「只要是吃的我都喜欢。」

「ふうん」

「嗯哼。」

「阿良々木さんの手もおいしかったです」

「阿良良木哥哥的手也很好吃。」

「僕の手は食べ物じゃない」

「我的手可不是吃的东西。」

「またまたご謙遜を。おいしかったのは本当です」

「您太谦虚了。真的很好吃呢。」

「………………」  

ていうかお前は多分、マジで僕の血肉、少なからず飲み込んじゃってるから、その発言はかなり洒落にならないぞ。  

话说你刚才真的吃了我一点血和肉,现在说这种话可是一点都不好笑。

カニバリズム少女。

食人族少女。

「ところでさ、八九寺。お前、そのお母さんの家に行ったことがあるっていうのは、本当なんだな?」

「对了,八九寺。你说你有去过妈妈家是真的吗?」

「本当です。噓はつきません」

「是真的。我没有说谎。」

「なるほど……」  

「原来如此……」

けれど、久し振りだから道に迷った──わけではないのだろう。蝸牛に出遭ったから、初めての場所ではなくとも──いやしかし、どうして八九寺は、蝸牛なんかに行き遭ってしまったのだろうか?

不过却因为太久没来所以迷路了——看来事情没这么简单吧。因为她遇上了蜗牛就算曾经去过也会迷路。不过,为什么八九寺会遇到蜗牛呢?

理由。  

理由。

僕が吸血鬼に襲われたのには理由がある。  

我会被吸血鬼袭击自然有理由。

羽川にも、それに、戦場ヶ原にも。 

羽川和战场原也是。

ならば──八九寺にも理由はあるはずだ。

既然这样,八九寺应该也有理由才对。

「……なあ。単純な考え方だけど、目的地に辿り着くこと自体が目的なんじゃなくて、お前、お母さんに会いたいだけなんだろ?」 「だけとは酷い言い草ですが、まあそうです」

「……那个。我这样说想法可能太单纯了,可定去妈妈家应该不是你主要的目的,你只是想要见妈妈而已吧?」

「だけとは酷い言い草ですが、まあそうです」

「『只是』这个措辞有点过分,不过你说的没错。」

「だったら、向こうから会いに来てもらったらいいんじゃないのか? ほら、お前が綱手さんの家に辿り着けないとしても、お母さんは家の中に閉じ込められているわけじゃないんだろう? 離婚していても、確か、親は子供に会う権利が──」  

「既然这样,只要请妈妈来找你不就好了吗?你想想,你虽然到不了纲手家,但并不代表你妈妈会被关在家里吧?就算父母离婚,双亲还是有见小孩的——」

素人知識だけど。

虽然这是外行人的想法。

「──あるとか、なんとか」

「——权利之类的吧。」

「無理ですね。ていうか、無駄です」  

「没办法。应该说那是没用的。」

即答する八九寺。

八九寺立刻回答说。

「それができるなら、とっくにそうしています。でも、それはできません。わたしはお母さんに電話することさえもできないんですから」

「如果你说的方法可行,我早就这么做了。可是就是没办法。我连要打电话给妈妈都不行。」

「ふうん……」

「嗯哼……」

「わたしはこうやって、お母さんを訪ねるしかないんです。たとえ、絶対に辿り着けないとわかっていても」

「我只能像这样来找妈妈而已。就算我知道,自己绝对找不到也一样。」

ぼかした言い方をするけれど、つまり、家庭の事情って奴かな……色々と複雑そうだ。それは、母の日にさえこんな風に、一人でよく知らない町まで出てこなければならない時点で、わかりそうなものではあるが。でも、そうはいっても、何か、もっと合理的な手はないものかな……たとえば戦場ヶ原に一人で別行動で綱手家に先回りしてもらって……いや駄目か。怪異相手にそんな正攻法が通じるとは思えない。GPS機能を使おうとすれば戦場ヶ原の携帯電話が圏外になったように、八九寺の目的は達せられないことだろう。忍野と電話が通じたのは、単に相手が忍野だったからに過ぎない。

她说话的语气虽然模棱两可,但简单来说,就是家家有本难念的经……看起来似乎很复杂的样子。当我在母亲节,必须像这样独自一人来到陌生的城镇时,就多少可以了解她的心情。不过,话虽如此,这个问题不能用更合理的方法来解决吗……例如请战场原单独行动先绕到纲手家……不,这样没办法吧。对方是怪异,我不认为这种正攻法会奏效。就像战场原要用 GPS 功能,手机就突然收不到讯号一样,正攻法无法达成八九寺的目的吧。和忍野讲电话会通,单纯只是因为对方是忍野罢了。

怪異とは──世界そのものなのだから。  

因为所谓的怪异——就是世界本身。

生き物と違って──世界と繫がっている。  

怪异和生物不同——他们和世界是有接触的。

科学だけでは怪異に光を当てることはできない、吸血鬼に襲われる人間が、いつまでも絶えることなく存在するように。  

只用科学的角度来看是无法突显出怪异的存在,就像被吸血鬼袭击的人类,总是无止无尽一样。

照らせぬ闇などこの世になくとも。  

就算这世界没有照不亮的黑暗,

闇がなくなることはない。  

你也无法让黑暗消失。

となると、戦場ヶ原の到着を待つしかないか。

既然如此,也只能等战场原回来了吗。

「怪異か……実際のところ、よく知らないんだけどな。お前はどうなんだ? 八九寺。妖怪とか化物とか、そういうの、詳しいのか?」

「怪异吗……老实说我也不太清楚。你呢?八九寺。你对妖怪或怪物之类的东西熟吗?」

「……ん、いえ、全然」  

「……嗯,不知道,我不清楚呢。」

変に迷ってから、答える八九寺。

一阵奇怪的犹豫后,八九寺回答说。

「のっぺらぼうくらいしか、知りません」

「我只知道无脸怪。」

「ああ、いずみくも31の……」

「啊啊,小泉八云的……」

なじむ32ですね」

「就是梨子变成的嘛。」

「なじんでどうする」

「梨子变成那个做什么。」

むじな。  

是狸才对。

多分、知らない人はいない話だろう。

那个故事应该无人不知吧。

「あれは怖いよな……」 

「那个很恐怖呢……」

「はい。他にはあまり──知りません」

「对啊。其它我就……不太清楚了。」

「だろうなあ。そんなもんだよ」

「我想也是。就是这样吧。」

まあ、妖怪とは言っても。  

和她谈妖怪也于事无补。

僕の吸血鬼の場合は──いや、いいか。  

我遇到吸血鬼的时候不,算了。

似たようなものだ、人間にしてみれば。  

以人类的角度来看,都是一样的。

概念の問題。  

这是概念的问题。

問題の、より深いところは──

而问题更深层的地方是——

「八九寺──僕にはよくわからないけれど、お母さんって、そんなに会いたいもんなのか? 正直、お前がそこまでする理由が僕には見えてこないよ」

「八九寺——我不懂为什么你这么想见妈妈呢?老实说,我不明白你有什么理由要做到这种地步。」

「子供がお母さんに会いたいと思うのは普通の感情だと思いますが……違いますか?」

「我想,小孩想要见母亲是很普通的情感吧……不对吗?」

「そりゃ、そうなんだけど」  

「你这样说,也没错。」

そうなんだけど。  

的确没错。

そこに何か、普通でない理由があれば──必然的に、八九寺が蝸牛に行き遭った理由にも辿り着けると思ったのだが、しかし、理由と言えるほどの確たる理由はないらしい。単純な、衝動的な──言葉にできない、欲求構造の本能に似た原理。

如果这其中有什么非比寻常的理由——如此,必然能够找到八九寺遇到蜗牛的理由,然而,她似乎没有一个称得上是理由的明确原因。只是因为一种单纯的冲动——一种无法言语、与欲求结构本能相似的原理。

「阿良々木さんはご両親共に同じ家で暮らしてらっしゃるんでしょう? だからわからないんです。満ち足りていると、足りない場合には思い至らないものです。人は、足りないものを望むのです。離れて暮らせば、阿良々木さんだって絶対に会いたくなると思います」

「阿良良木哥哥是和双亲住在同一个屋檐下吧?所以你不明白。当一个人处在满足状态时不会去想这么多,遇到不足的时候才会去思考。如果你和双亲分开生活,我想你一定也会想见他们的。」

「そんなものかね」  

「是这样吗。」

そんなもの──なのだろうけれど。  

就是这样吧,可是——

贅沢な悩み。  

这么一来,我的烦恼可能是一种奢侈。

──兄ちゃんは、そんなことだから。

——哥哥老是这样。

「わたしのような立場の者から言わせていただければ、両親がちゃんといらっしゃるというだけで、阿良々木さんのことが、羨ましいです」

「我这种立场的人来看,阿良良木哥哥光是能够和双亲住在一起,就让人很羡慕了。」

「そっか……」

「是吗……」

「羊の下に次と書いて、羨ましいです」

「在羊下面写一个次,羡慕。」

「そっか……それ、両方微妙に間違ってるからな」

「是吗……你说的那两个字,写起来不是『羡』吧。」

戦場ヶ原なら、何と言うだろう。八九寺が抱えているそういう事情を聞いたなら──いや、きっと、何も言わないだろう。僕が今やっているように、自分と八九寺を重ねあわせることすらしないだろう。僕よりも、ずっと近い位置にいながらにして。  

如果是战场原,这时候她会说什么呢。如果她听到八九寺身怀的烦恼——不,她肯定会不发一语吧。她不会像我一样,对八九寺的事情产生同理心吧。就算她的境遇比我还要更接近八九寺,她也不会。

蟹と蝸牛。  

螃蟹和蜗牛。

水際を行き来するもの──だったか。

不都在水边出没的动物吗……

「先ほどからの口振りからすると阿良々木さんはあまりご両親のことを好いていないような印象を受けますが、ひょっとして、そうなのでしょうか」

「阿良良木哥哥刚才的口吻,听起来似乎好像不是很喜欢令尊令堂的样子,该不会真的是这样吧?」

「あー、そうじゃないよ。ただな──」  

「啊——不是啦。只是——」

言いかけて、子供相手に話すようなことではないという思いが脳裏をよぎるが、しかし、そうは言っても既に、僕は八九寺の事情について結構立ち入ったことを聞いてしまっていたし、それなら相手が子供だからという理由では、言葉を止められないだろうと、僕はそのまま続けた。

我欲言又止,因为此时我脑中闪过了一个念头,告诉我不应该和小孩子谈这种事情,但话虽如此,我已经深入听了八九寺的烦恼,既然这样我就不能因为对方是小孩而闭口不提,于是我接着说:

「僕ってさ、すっげー、いい子だったんだよ」

「我啊,以前其实是一个超级乖宝宝。」

「噓はいけません」

「我没说谎……」

「そうですか。では、噓ではないということにしておいてあげましょう。噓も方言です」 

「是吗。那么,我就当你没说谎吧。说谎也很方言。」

「噓つき村の住人なんだな」

「你是住在说谎村的人啊?」

「わたしは正直村の住人です」

「我是诚实村的居民。」

「あっそ。まあそりゃ、お前みたいに馬鹿丁寧な言葉遣いで喋る奴でこそなかったけどな、勉強もそこそこだったし、運動もそこそこだったし、悪さもそんなしなかったしで、それに、他の男子がそうしてたみたいに、意味もなく親に反抗したりもしなかったしな。育ててくれてること、感謝してたんだ」 

「是吗。总之,我以前虽然讲话不像你一样礼貌过了头,但是我功课方面马马虎虎,运动方面也普普通通,也不会去做什么坏事情,而且也不像其它男生一样,会毫无意义地去反抗父母亲。我很感谢他们把我养到这么大。」

「ほほう。ご立派です」

「喔喔。您真了不起。」

「妹が二人いてさ、まあそいつらも似たような感じで、家族としてもいい感じだったんだけど、高校受験で、僕、ちょっと無茶しちゃってさ」

「我有两个妹妹,她们两个的感觉也跟我很像,同时也是很好的家人,不过我在考高中的时候,稍微做了一点无谋的举动。」

「無茶と言いますと」

「所谓的无谋是指?」

「…………」  

案外、小気味いい相槌を打つよな、こいつ。  

这家伙附和的方式意外地痛快。

こういうのも聞き上手っていうんだろうか。

这种就是擅长听人说话的人吧。

「自分の学力よりかなり高めの学校を、無理して受けちゃってさ──そして合格しちゃった」

「我硬是跑去考比自己学力还要高很多的学校,结果考上了。」

「いいことではありませんか。おめでとうございます」

「这不是很好吗。恭喜您。」

「いや、よくなかったんだよ。無理して、それで終わりだったらよかったんだけれど──その結果、ついていけなくなっちゃってさ。いや、頭のいい学校で落ちこぼれると、本当、洒落にならねえんだよ。それに、通ってる奴ら、真面目な連中ばっかりで……僕や戦場ヶ原みたいな奴なんて、例外なんだ」

「不,这一点都不好。整件事情要是考上就落幕的话那倒还好,结果我的课业却跟不上大家。唉,在好学校变成了吊车尾,这真的让人笑不出来呢。而且,考上那间学校的都是一群认真的家伙……我和战场原这类的人只能算是例外。」

真面目の塊、羽川翼でさえ、僕みたいな生徒を相手にしている段階で、本来、かなりの例外的存在だろう。それをカバーできるだけの能力が、彼女にはあるというだけの話だ。

那位极端认真的羽川翼会跑来理会像我这样的学生,也可以算是非常例外的存在吧。不过,这就表示她有那个能力可以顾及到旁人。

「すると、今までいい子だった分、反動が来てさ。勿論、別に何があるってわけじゃないんだよ。父親も母親も今まで通りだし、僕も家じゃ今まで通り、のつもりだけれど──ただ、言葉にならない気まずさみたいなものがあってな。そういうのは、どうしても、出て、残ってしまう。だから、結局、お互い気を遣っちゃうし、それに──」  

「然后,因为我至今都当乖宝宝,所以反弹就来了。这不代表我家有发生什么事喔。我双亲还是跟往常一样,我在家里原本也打算表现得和往常一样,不过我心里有一种无法言语的尴尬。那股尴尬不知怎么就是挥之不去。所以最后,我和家里的人就产生了一点距离,另外——」

妹。  

妹妹。

二人の妹が。  

我两个妹妹。

──兄ちゃんは、そんなことだから──

——哥哥老是这样——

「そんなことだから、僕は──いつまでたっても大人になれない、んだってさ。いつまでも大人になれない、子供のままだ──そうだ」

「她们说我老是这样,才会永远长不大。说我一直都是幼稚的小孩,无法变成成熟的大人。」

「子供ですか」  

「小孩吗?」

八九寺は言う。

八九寺说。

「では、わたしと同じです」

「那就跟我一样了。」

「……お前と一緒ってわけじゃないと思うけどな。身体ばっかでっかくなって、中身がそれについていってないって意味だろうから」

「……应该不是跟你一样吧。她们的意思是说我只有身体长大,内心却没有跟着成长。」

「阿良々木さんはレディに対してかなり失礼なことを言いますね。これでもわたし、クラスではかなり発育のよい方です」

「阿良良木哥哥,你对淑女说这种话实在太失礼了。别看我这样,我在班上算是发育不错的呢。」

「確かに、なかなか立派な胸をしていたな」

「你说的没错,你的胸部还挺有料的。」

「はっ!? 触りましたか!? いつ触りました!?」  

「咦!你摸了吗!什么时候摸的?」

仰天した顔で眼を剝く八九寺。  

八九寺大吃一惊,瞠目说。

しまった、口が滑っちゃった。

糟糕,说溜嘴了。

「えっと……取っ組み合いしたとき」

「那个……刚才扭打在一起的时候。」

「殴られたことよりショックです!」  

「这比被你打还要更让我震惊!」

八九寺は頭を抱えた。  

八九寺双手抱头。

本当にショックらしい。

看来她真的很震惊。

「いや……別にわざとじゃないし、一瞬だけだし」

「不是……我不是故意的,而且也只是一瞬间摸到而已。」

「一瞬っ!? 本当に本当ですかっ!?」

「一瞬间?你真的没骗我?」

「ああ。三回くらいしか触れていない」

「对啊。我只摸了二次而已。」

「一瞬じゃありませんし、それ、二回目からはあきらかにわざとですっ」

「你那样哪叫一瞬间,而且很明显第二次开始你就是故意的吧!」

「言いがかりだって。不幸な事故だったんだ」

「你这是在挑我语病嘛。那是一个不幸的意外。」

「ファーストタッチを奪われてしまいました!」

「你夺走了我的『初碰触』。」

「ファーストタッチ……?」  

「初碰触……?」

最近はそんな言葉があるのか。  

最近多了这个词汇吗?

小学生は進んでいるなあ。

小学生还真新潮啊。

 「ファーストキスよりファーストタッチの方が先だなんて……八九寺真宵は、いやらしい女の子になってしまいましたっ」

「没想到我的初碰触居然比初吻还要早……八九寺真宵变成一个淫乱的女孩了。」

「あっ。そうだ、八九寺ちゃん。そう言えばすっかり忘れてたね、約束通り、お小遣いをあげよう」

「啊。对了,八九寺小妹妹。这么说来我刚才都忘了,我照约定给你零用钱吧。」

「このタイミングで言わないでくださいっ!」

「请不要在这个时间点说这种事情!」

頭を抱えたまま、服の中にアシナガバチでも入ったかのように、八九寺は身体中という身体中を悶えさせていた。  

八九寺抱着头,宛如有胡蜂钻进了衣服里一样,整个身体拼命扭曲挣扎。

哀れだった。

真是可怜。

「まあまあ、そう落ち込むなよ。ファーストキスがお父さんだったとかよりは、まだマシだって」

「好啦好啦,你不要这么沮丧嘛。这样总比初吻被爸爸之类的人夺走还要好吧。」

「ものすごく普通のエピソードですっ」

「你说那种戏码也太普通了。」

「じゃあ、そうだな、ファーストキスが鏡に映った自分だったとかよりは、まだマシだって」

「那,对了,总比初吻的对象是镜子里面的自己还要好吧。」

「そんな女の子、この世にいませんっ」  

「这个世界上哪有那种女生!」

うん。  

嗯。

あの世にもいないだろう。

我想在「那个世界」也不会有。

「がうっ」  

「吼!」

ようやく頭から手を離したかと思うと、八九寺はそのまま、僕の喉元に向かって、嚙みついてきた。春休み、吸血鬼に咬みつかれたのと同じ位置だったので、背筋が凍る。なんとか八九寺の両肩を押さえ、事なきを得る。「がうっがうっがうっ」と、かくするように音を立てて、歯を嚙み合わせる八九寺。なんか昔のゲームにこういう敵キャラがいたなあと思いながら(鎖に繫がれた鉄球みたいな奴)、なんとか、僕は八九寺をなだめる。

八九寺的双手终于离开了头部,但下一个瞬间,她猛然朝我的喉咙咬了过来。她瞄准的位置,刚好是我在春假时被吸血鬼咬到的地方,让我吓得寒毛直竖。我好不容易才压住八九寺的双肩,才不至于被她的利牙咬伤。「吼!吼!吼!」八九寺发出威吓般的声音,上下排牙齿不断咬合。总觉得以前在电玩(超级玛莉)里面好像看过类似这样的敌方角色(被铁链绑着,形状类似铁球的怪物),我心想的同时,一面设法安抚八九寺。

「ど、どうどう。よしよしよし」

「啾、啾、啾。好乖好乖好乖」。

「犬扱いしないでくださいっ! それともなんですかっ、それはわたしのことを、いやらしいメス犬だと、遠回しに揶揄しているのですかっ!」

「请不要把找当成小狗!还是说怎样,你是在拐弯抹角讽刺我是一条猥亵的小母狗吗?」

「いや、どっちかっていうとお前、リアルに狂犬病って感じなんだが……」

「不是,我感觉你好像真的得了狂犬病一样……」

しかし綺麗な歯並びしているな、この子。骨に達するくらいにまで僕の手を嚙んでおきながら、その、恐らくはにゅう混じりの歯は、一本すらも、抜けることもなく、欠けることもなかったらしい。並びがいいだけでなく、とてつもなく丈夫な歯だ。

不过这孩子的牙齿排列得真整齐啊。就算她在我的手上咬出一个深可见骨的伤口,恐怕她那混有乳牙的牙齿,也不会有半颗的掉牙或缺角吧。那两排牙齿不光是排列好看,还非常坚固结实。

「大体、阿良々木さん、さっきからとてもふてぶてしいですっ! 反省の色が見えませんっ! 少女のデリケートな胸に触っておいて、一言くらいあってもいいでしょう!」

「谁叫阿良良木哥哥从刚才就一直很厚颜无耻!完全看不出来你有在反省!你摸了我重要的胸部,至少也该说个什么吧!」

「……ありがとう?」

「……说谢谢吗?」

「違いますっ! 謝罪を要求していますっ!」

「才不是!我是在要求你道歉!」

「そんなこと言われても、あんな取っ組み合いの最中だったんだから、どう考えても不可抗力じゃん。胸くらいで済んでよかったと思って欲しいくらいだよ。それに、さっき羽川も言ってたろうが。どう考えてもあんな洒落にならないレベルで他人に嚙みついてきた、お前が悪いぞ」

「就算你这么说,刚才我们扭打成那样,会摸到你的胸部怎么想都是不可抗拒的吧。我还希望你能换个角度去思考呢,只有胸部被摸已经算不错了。而且,刚才羽川也说过了吧。你用那种力道咬人可不是开玩笑的,不管怎么想都是你的错吧。」

「どっちが悪いかなんて問題ではありませんっ! たとえわたしが悪いとしても、それでもわたしは多大なるショックを受けたんですっ! ショックを受けている女の子を前にしたら、自分が悪くなくとも謝るのが大人の男ではないのですかっ!」

「这不是谁对谁错的问题!就算错的人是我,我还是受到很大的打击!在一个受打击的女生面前,就算自己没有错也应该要道歉吧,这样才算是成熟的男人!」

「大人の男は、謝らない」  

「成熟的男人是不会道歉的。」

僕は声を低くして、言った。

我压低声音说。

「魂の価値が、下がるから」

「因为道歉会让灵魂的价值降低。」

「格好いいーっ!?」

「你以为这样说很帅吗!」

「それとも、八九寺は謝られないと許せないっていうのか? 謝ったら許してやるなんて……そんなの、相手が格下でない限り寛容になれないってことじゃないか」

「还是说,八九寺要听到我道歉才肯原谅我?要人家道歉才肯原谅别人……那你不就变成那种只肯宽容地位比自己低的人了吗?」

「なんと、わたしが批難される立場に!? 盗人ぬすびと猛々しいとはこのことです……もう本気で怒りました……温厚おんこうなわたしですが、仏の顔もサンドバッグ33ですっ!」

「你现在居然反客为主批评起我来了!所谓厚颜无耻就是指这种事情……我真生气了……个性温厚的我,忍耐也是有『鲜度』的!」

「ありえない温厚だな……」

「你个性温厚的程度还真是不可思议……」

「ていうか謝っても許しませんっ!」

「你道歉我也不会原谅你!」

「ていうか別にいいだろ。減るもんじゃないし」

「被我摸两下也没差吧。又不会少块肉。」

「うわっ、阿良々木さん、開き直りましたか!? 違います、減るもんじゃないとか、そういう問題ではありませんっ! ていうかまだ発育途中でそんなにでもないのに、減ったりしたら困りますっ!」

「呜哇!你恼羞成怒了吗?不对,现在不是少块肉的问题!而且我还在发育中根本没什么肉,要是少了我会很伤脑筋的!」

「揉まれたら増えるとも言うぞ」

「听说被人揉过,胸部就会变大喔。」

「そんな迷信、信じているのは男だけですっ!」

「会相信那种迷信的只有男生而已!」

「つまんねえ世の中になっちまったな……」

「这个世界变得还真无趣啊……」

「なんですか。阿良々木さんはそんな迷信を盾にとって、今までじょの胸を揉みまくってきたのですかっ。最低ですねっ」

「什么啊。阿良良木哥哥用那种迷信当挡箭牌,至今摸了多少妇女儿童的胸部啊!你太低级了。」

「残念ながらそんな機会は一度もなかったな」

「很可惜我完全没有那种机会。」

「童貞野郎なんですねっ」

「因为你是死处男吧。」

「…………」  

知ってるのか、小学生。

小学生也知道这种词汇吗。

進んでるってより、終わってる。  

与其说是他们新潮,倒不如说这个世界已经完蛋了。

つまんねえってより、嫌な世の中だ……。

与其说这个世界无趣,倒不如说这个世界越来越叫人厌恶……

とまあ、現代の風潮を嘆く振りをしてみても、よく思い出してみれば、小学五年生くらいだったら、僕だってそれくらいは知っていた。自分より下の世代への不安なんて、案外、そんなもんだ。

哎呀,我装的自己好像在感叹现代的风潮一样,但仔细回想一下,这种程度的词汇我在小学五年级左右就已经知道了。人们对下一个世代的担心,出乎意料也不过如此而已。

「がうっ! がううっ! がうがうがうがうっ!」

「吼吼!吼喔!吼吼吼吼!」

「いっ、う、あ、危ねえって! マジやばいって!」

「呜!这样很危险耶!被咬到真的会很痛啦!」

「童貞に触られましたっ! 汚されましたっ!」

「我被处男摸了!我被玷污了!」

「誰に触られたって同じだ、そんなもんっ!」

「这种事情被谁摸都一样吧!」

「初めての人はテクニシャンじゃないと嫌だったんですっ! それなのに阿良々木さんだなんて、わたしの夢が破れましたっ!」

「第一次的对象不是老手我不要!阿良良木哥哥居然破坏了我的梦想!」

「なんだそのファンタスティックな妄想!? ようやく芽生えかけていた罪悪感が消えていくぞ!?」

「你那是什么古怪的妄想!我好不容易萌生的罪恶感都快消失了!」

「がうーっ! がう、がうっ、がう!」 

「吼——!吼,吼,吼!」

「ああ、もう、うっせえー! 本当に狂犬病かお前は! この前髪眉上、甘嚙み女め! こうなったらもうファーストがどうとかキスが何とか、そんなことが気にならなくなるくらいに揉みしだいてやらぁー!」

「啊啊,真是烦死了!你真的是有狂犬病!你这个浏海在眉毛上、把咬人当撒娇的死女人!既然这样我就揉烂你的胸部,让你不会再去管什么接吻不接吻、第一次不第一次的!」

「きゃーっ!?」

「呀——!」

小学生女子を相手に我を忘れ、強引なセクハラ行為を力任せに迫る男子高校生の姿がそこにはあったが、それだけは僕ではないと信じたい。  

眼前有一个男高中生忘了对方是小学女生,想要靠蛮力硬是去性骚扰对方,不过我相信唯独那个人绝对不会是我。

まあ、僕なんだが……。

好吧,事实上那个人就是我……

幸い、八九寺真宵が想像を遥かに越える強い抵抗を見せたため、僕の全身のあらゆるところに八九寺の歯型、及び爪痕がついただけで、このやり取りは行き着くところまで行き着くことはなく、終焉を迎えた。息も絶え絶えで汗びっしょりな小学生と高校生が、ベンチで一言も喋らず疲弊した状態で座っているというのが、その五分後の情景だった。  

幸好,八九寺真宵的抵抗远超乎我的想象,最后我全身上下只留下八九寺的齿痕和抓痕,这争执就已未遂告终。五分钟后,一个小学生和高中生汗如雨下,上气不接下气地坐在板凳上,疲惫到一句话也说不出口。

喉が渇いたけど、自販機とかないんだよな、この辺……。

我口渴了,这附近有自动贩卖机之类的东西吗…………

「ごめんなさいでした……」

「对不起……」

「いや……こっちこそごめん……」  

「不……我才该说抱歉……」

どちらからでもなく、謝る二人。  

主动道歉的两人。

しょぼい和解だった。

一个穷酸的和解。

「……しかし八九寺、割と喧嘩慣れしてるな、お前」

「……不过八九寺,你还满会打架的嘛。」

「学校ではよくあることです」

「这在学校是家常便饭。」

「あんな取っ組み合いがか? あ、そっか。小学生くらいなら、男子とか女子とか、あんま関係ないよな。でも、お前、結構やんちゃなんだな……」  

「那种扭打吗?啊,对喔。小学生的话,不会太在意对方是男生还是女生。不过,你还挺厉害的说……」

利発そうな顔立ちをしてるのに。

看起来这么聪明伶俐,居然这么会打架。

「阿良々木さんこそ、喧嘩慣れしていますね。やはり高校生の不良さんともなると、あの程度のバトルはよくあることですか」

「阿良良木哥哥才是,你很擅长打架呢。要是高中变成不良少年,那种程度的打架是不是家常便饭啊?」

「不良じゃない。落ちこぼれだ」  

「我不是不良少年。我是吊车尾。」

訂正してむなしくなるような違いだった。  

这两者的差异在于,订正自己是吊车尾会令人很空虚。

自分で自分を傷つけたみたいなものだ。

因为感觉像是自己在伤害自己一样。

「進学校だからな、落ちこぼれても不良にはならないんだ。そもそも不良グループみたいなものがないからな」

「我读的是升学高中,就算是吊车尾也不会变成不良少年。而且我们学校根本就没有那种不良少年集团。」

「しかし漫画などでは、エリート学校の生徒会長が裏では相当悪いことをしているというのがセオリーです。頭がいい分悪質な不良が生まれるのです」

「可是在漫画里面常常会把精英学校的学生会长,描写成无恶不作的大坏蛋,这已经是一种定论了。头脑聪明,反而成了恶质的不良少年。」

 「それは現実では無視していいセオリーだ。まあ、そうだな、ただ、あんな感じの取っ組み合いなら、妹相手にしょっちゅう34でね」

「那种定论在现实生活中根本可以无视它。对了,不过那种程度的扭打,我常常跟我妹妹做就是了。」

「妹さんですか。二人いると仰っていましたね。すると妹さん、わたしと同じくらいの年齢でしょうか?」

「妹妹吗?您说过自己有两个妹妹对吧。您的妹妹和我同年龄吗?」

「いや、両方、中学生。でも精神年齢は、どっちもお前と同じくらいかもしれないな──幼いんだ、あいつら」

「不是,两个都是国中生。不过她们的精神年龄,搞不好都跟你一样也说不定,她们两个很幼稚。」

さすがに嚙みついてきたりはしないけれど。  

不过她们再怎样也不至于会咬人。

一人は空手やってるから、結構真剣勝負だし。

其中一个有在学空手道,打起来可是玩真的。

「ひょっとしたら、お前と気が合うんじゃないかな……子供好きっていうか、あいつら自体、子供みたいなもんだから。なんだったら今度、紹介してやるよ」

「搞不好她们跟你很合得来喔……她们都喜欢小孩子,应该说她们自己就跟小孩子一样。我看下次就介绍她们给你认识吧。」

「あ……いえ、そういうのは結構です」

「啊……不,那就不用了。」

「あ、そう。物腰柔らかな癖に、割と人見知りする方なんだな、お前……別にいいけどさ。あー……まあ、取っ組み合いの喧嘩なら、どっちかが謝って終わりなんだよなー、確かに」  

「喔,是吗。你的态度这么平易近人,没想到你还挺怕生的嘛……不过也没关系啦。啊——我们扭打的话,只要有一方先道歉就会结束……这点没错。」

今日のは──意地の張り合いだから。  

因为今天的事情,我们双方都很固执。

それでも、僕が謝って終わりなのだろうが。  

不过,只要我先开口道歉,一切的争吵就会结束。

わかっちゃいるんだけど。

这点我心里明白。

「どうかされましたか、阿良良々木さん」

「您怎么了啊?阿良良良木哥哥。」

「今度は良が増えてるからな」

「你刚才的良又多了一个。」

「失礼。嚙みました」

「抱歉。我口误。」

「違う、わざとだ……」

「不对,你是故意的。」

「嚙みまみた」

「我是『狗误』。」

「わざとじゃないっ!?」

「你还说不是故意的!」

「仕方がありません。誰だって言い間違いをすることくらいはあります。それとも阿良々木さんは生まれてから一度も嚙んだことがないというのですか」 

「这是没办法的事情。不管是谁都会有说错话的时候。还是说阿良良木哥哥从出生到现在,一次都没有口误过?」

「ないとは言わないが、少なくとも人の名前を嚙んだりはしないよ」

「我不敢说没有,但是至少我念别人名字的时候不会口误。」

「では、生むみ生もめ生ままも35と三回言ってください」

「那么,请你说三次『生埋、生理、生漆弹』。」

「お前が言えてないじゃん」

「你自己都说不好了。」

「生もめだなんて、いやらしいですっ!」

「说什么生理,好猥亵喔!」

「言ったのはお前だからな」

「说的人是你吧。」

「生ままもだなんて、いやらしいですっ!」

「说什么生漆弹,好猥亵喔!」

「そのいやらしさは、僕にはわからないが……」  

「这我就搞不懂哪里猥亵了……」

楽しい会話だった。

真是愉快的对话。

「ていうか、意図的に言おうと思えば、却って言いにくい言葉だろう、生ままも……」

「话说回来,要故意去说生漆弹这个字,反而很难吧……」

「生まままーっ!」

「生漆漆漆!」

「…………」  

嚙んだり嚙んだり、忙しい奴だ。

口误又口误,这家伙还真忙啊。

「で。どうかされましたか、阿良々木さん」

「那你刚才到底怎么了,阿良良木哥哥。」

「どうもしないよ。ただ、妹にどんな風に謝ったもんかを考えると、ちょっと憂鬱になっちまっただけだ」

「没什么啊。我只是在想让怎么和我妹妹道歉,心情变得有点忧郁而已。」

「謝るということは、胸でも揉みましたか」

「你所谓的道歉,是因为你揉了她胸部吗?」

「妹の胸なんか揉むか」

「谁会揉自己妹妹的胸部。」

「阿良々木さんは小学生の胸は揉んでも妹の胸なんか揉まないんですね。なるほど、そういう線引きで自身をりっしているわけですか」

「阿良良木哥哥会揉小学生的胸部,但是却不揉自己妹妹的胸部啊。原来如此,你是靠这种区分来约束自己的吗?」

「ほほう。皮肉を言うとは骨のある奴め。どんな事実であれ脚色きゃくしょくして文脈をこうずると、他人をぼう中傷できるといういい例だな」

「喔厚。你还真有胆识讽刺别人啊。不管事实是什么,只要讲求表现方式,经过加油添醋就可以毁谤中伤他人。这真是一个好例子啊。」

「別に脚色はしていませんが」  

「我似乎没有加油添醋喔。」

確かに素直な文脈だった。むしろ僕がなんとか文脈を講じて、相当壮絶な言い訳をする必要が、切実にありそうな感じである。

她的表现方式的确很诚挚。反倒是我需要讲求表现方式,设法编出一个壮烈无比的借口,自圆其说为自己脱罪。

「では、言い直しましょう。阿良々木さんは小学生の胸は揉んでも中学生の胸は揉まないんですね」

「那么,我更正一下说法。原来阿良良木哥哥只揉小学生的胸部。不揉中学生的胸部啊。」

「とんでもなくロリコンレベルの高そうな奴だな、その阿良々木さんとやらは。あまり友達になりたくないタイプの男だと見える」

「那个叫阿良良木的家伙萝莉控指数还真高啊,真是一个糟糕的家伙。我不会想和这种人做朋友。」

「自分はロリコンではないと言いたげですね」

「你是想说自己不是萝莉控吧。」

「当然だ、そんなもん」

「当然,那还用说。」

「真のロリコンは、決して自身をロリコンとは認めないそうです。何故なら彼らはあどけなき36少女を既に立派な大人の女性として、認めているのですから」

「听说真正的萝莉控,绝对不会承认自己是萝莉控。因为他们认为,那些带有稚气的少女已经是成熟的女性。」

「いらねえ豆知識だな……」  

「真是一个派不上用场的小常识……」

使いどころのない雑学なんて脳の無駄遣いだった。  

记这种无处可用的杂学,只会浪费自己的脑容量。

以前に、小学生からそんなことを教えられたくない。

再说,我也不想要小学生教我这种东西。

「ともあれ、ですが、たとえ妹さんであろうと、取っ組み合いをしていれば不可抗力ということもあると思います」

「不管怎样,就算是自己的妹妹,只要你们扭打在一起,我想还是会有不可抗拒的时候。」

「だから引っ張るな、そんな嫌な話を。妹の胸なんか胸の内に入らないんだよ。小学生の胸以上にな。そういうことだと理解しろ」

「拜托你别再扯那种讨人厌的话题。自己妹妹的胸部根本就不算胸部。比小学生的胸部还要更不算。这点拜托你快点理解吧。」

「乳道ですね。ためになります」

「这就是所谓的『乳道』吧。受用无穷。」

「ためにはするな。お願いだから。とにかく──今日、家を出るとき、ちっと口論しちまってな。取っ組み合いじゃなくて、口論。まあ、お前の言葉じゃないが、自分が悪くなくとも、僕が謝らなくちゃいけないんだろうと思うよ。そうすることで丸く収まるんなら。わかっちゃ──いるんだ。そうしなくちゃいけないってことは」

「拜托你不要学这种东西。总之今天我出门的时候,稍微和她们吵了一架。不是扭打,是吵架。我觉得就算自己没错,也必须要道歉,你刚才不也说过类似的话吗?如果这样可以让事情圆满解决的话。我……心里明白。明白自己必须这么做。」

「ですね」  

「也是。」

ここでは、神妙な顔つきで、頷く八九寺。

说到这,八九寺的神情有别于刚才而变得温顺,一边点头说。

「わたしのお父さんとお母さんも、喧嘩ばかりしてました。取っ組み合いじゃないですよ、口論の方です」

「我爸和我妈以前也常常发生争执。我说的不是打架,只是吵架而已。」

「で──離婚か」

「然后——就离婚了吗?」

「一人娘のわたしが言うのもなんですが、仲のいいご夫婦だったらしいのですよ──最初は。結婚以前の恋人時代なんて、もうラブラブ絶頂だったらしいです。ですが──わたしは仲良くしているお二人というのを、見たことがなかったんです。お二人は、いつも、喧嘩ばかりしてました」  

「独生女的我来说或许很奇怪,不过他们一开始原本是一对感情很好的夫妻。结婚之前谈恋爱的时候,他们似乎恩爱到了极点。可是……我从来没看过两人恩爱的样子。他们两个人总是在吵架。」

それでも。  

即使如此。

離婚はしないと思っていた──そうだ。

八九寺还是不认为他们会离婚。

というより、八九寺には、そんな発想自体がなかったらしい──家族というものはいつまでも、一緒にいるのが当たり前だとばかり、思い込んでいたから。そもそも離婚なんて制度があること自体、知らなかったのだろう。  

应该说,八九寺心中从来没有这种想法。她一直深信家人生活在一起是很正常的事情。说到底,她大概不知道还有离婚这个制度吧。

知らなかったのだろう。  お父さんとお母さんとが、別れ別れになるなんて。

她大概不知道双亲居然会就此分离。

「でも、当たり前っていうのなら、そっちの方が当たり前なんですよね。人間なんだから、口論もすれば喧嘩もします。嚙みついたり、嚙みつかれたり、好きになったり、嫌いになったり、そんなこと、当たり前なんですよね。だから──好きなものを好きでい続けるために、本当はもっと、頑張らなくちゃいけなかったんですよね」

「不过,会吵架也是很正常的。只要是人都会吵架和争执。有时会顶撞别人、有时会被顶撞;有时会喜欢、有时会讨厌。那是很正常的事情。所以——要持续喜欢一样东西,真的要更加全力以赴才行。」

「好きなものを好きでい続けるために、頑張る──って、なんか、不純とは言わないけれど、あんまり純粋な感じがしないけれどな。頑張って好きになるなんて──なんか、努力してるみたいな感じじゃないか」

「为了持续喜欢一样东西而全力以赴,这样听起来虽然还算真实,不过我总觉得不够单纯。要全力以赴去喜欢一个人,这种说法感觉好像你在努力什么一样。」

「でも、阿良々木さん」  八九寺は少しも譲らずに、言った。 「わたし達が持つ好きっていう感情は、本来、すごく積極的なものではないですか」

「可是,阿良良木哥哥。」八九寺丝毫不退让,说:「我们所拥有的『喜欢』这种情感,本来就不是非常积极的东西吧?」

「……そうだよな」 

「……你说的没错啦。」

確かに。  

的确。

頑張って、努力するべき──なのかもしれない。

或许人应该要全力以赴,努力去喜欢一样东西才对。

「好きなものに飽きたり、好きなものを嫌いになったりするのって──つらいじゃないですか。つまらないじゃないですか。普通なら、十、嫌いになるだけのところを、十、好きだった分、二十、嫌いになったみたいな気分になるじゃないですか。そういうのって──凹みますよ」

「对喜欢的东西感到厌烦,或者是讨厌自己原本喜欢的东西,这样不是叫人很难受吗?而且也很无聊不是?正常来说,原本你喜欢一个东西,但是讨厌的时候却会变成加倍的讨厌了不是吗?这种感觉真的会——让人意志消沉。」

「お前は」  

「你——」

僕は、八九寺に訊く。

我问八九寺说。

「お母さんのことが、好きなんだよな」

「很喜欢你妈妈吧?」

「ええ、好きです。勿論、お父さんのことも好きです。お父さんの気持ちだってわかりますし、決して、望んでそういう結果になったわけじゃないことも、わかっています。お父さん、色々とあって、大変だったんです。ただでさえ、一家の大黒天37だったのに」

「嗯,我很喜欢她。当然我也喜欢爸爸。我了解他的心情,我也知道离婚绝对不是他希望的结果。爸爸经历过许多事情,他也很辛苦。他平常就是我们一家的大黑天。」

「お前のお父さんは七福神38のメンバーなのか……」  

「原来令尊是七福神的一员啊……」

父は偉大だった。  

父亲真的很伟大。

そりゃ色々とあって、大変なはずである。

发生那么多事情,他应该很辛苦才对。

「お父さんとお母さんは喧嘩をされ、その結果、別れてしまいましたけれど──わたしはお二人とものことを、大好きなんです」

「爸爸和妈妈吵架,最后虽然离婚了——但是我还是很喜欢他们。」

「ふうん……そっか」

「嗯……这样啊。」

「だから、だからこそ、不安です」  

「所以,所以我才会觉得不安。」

本当に不安そうに──俯く八九寺。

八九寺低下头,看起来真的很不安似的。

「お父さん、お母さんのこと本気で嫌いになっちゃったみたいで──わたしをお母さんに会わそうとしないんです。電話もかけさせてくれないし、もう二度と、会っちゃいけないって言いました」

「爸爸好像变得真的很讨厌妈妈,他不想让我去见妈妈。也不让我打电话给她,还叫我从此不能再和她见面。」

「………………」 

「わたし、お母さんのこと、いつか忘れちゃうんじゃないかって──このままずっと、会えなければ、お母さんのこと、好きじゃなくなっちゃうんじゃないかって──とても不安です」

「我很怕自己有一天会忘了妈妈。如果一直见不到她的话,我可能会变得不喜欢妈妈了。我真的很不安。」

だから。  

所以。

だから、一人で──この町まで。  

所以,你才一个人跑到这个城镇。

理由なんてないけれど。  

没有什么特别的理由。

お母さんに会いたくて。

只是因为想要见自己的母亲。

「……蝸牛ね」  

「……蜗牛吗。」

全く。  

真是。

どうしてその程度の願いが、叶わないんだろう。  

为何她连这点程度的愿望都无法实现啊。

いいじゃないか、そのくらい。  

这种小小的心愿,让它实现又何妨。

怪異だか何だか知らないが、迷い牛だか何だか知らないが──どうして、八九寺の邪魔をするのか……それも、何度にもわたって。  

我不知道这是什么怪异不怪异,也不知道什么迷牛不迷牛——可是为什么要妨碍八九寺呢……而且还一而再、再而三——

目的の場所に辿り着けない。  

让她始终无法抵达目的地。

迷い続ける。  

持续迷路。

……ん?  

……嗯?

いや、待てよ──忍野は確か、この迷い牛、戦場ヶ原の蟹のときと、パターンは同じだと言っていた。パターンは同じ……どういうことだ?確か、あの蟹の場合──戦場ヶ原に災厄をもたらしたわけではない。結果的にはそれは災厄だったが、あくまで結果的にはというだけであり、それはある意味において、そして本来的な意味において──戦場ヶ原が望んだことだった。  

不,等一下。忍野似乎说过,这迷牛的模式和战场原的螃蟹一样。模式一样……是什么意思?我记得那只螃蟹,没有替战场原带来灾厄。以结果来看,失去思念的确是一种灾厄,但是那只是结果论而已,在某种含意上,而且以原本的层面来看,那些都是战场原自己所期望的。

蟹は、戦場ヶ原の願いを叶えたのだ。

因为螃蟹实现了战场原的愿望。

それと同じパターン……属性は違えど同じパターンだというのなら、どうだろう、それは一体、どういう事実を意味することになるのだ? 仮に八九寺が行き遭った蝸牛が、八九寺の目的を阻害しようとしているのではないとして──  

迷牛和螃蟹是同样的模式……他们的属性不同但模式相同,这句话究竟意味了什么样的事实呢?假设八九寺遇到的蜗牛,目的不是阻扰八九寺——

願いを叶えようとしているのだとしたら。  

而是实现她的愿望的话,

蝸牛は──一体、何をしているのだ?  

那蜗牛——究竟做了什么事情?

八九寺真宵は……何を、望んでいるというのだろう。

八九寺真宵她……到底期望着什么呢?

そういう眼で見れば……どうしてだろう、八九寺は、どうも、迷い牛が祓われることを、望んでいないようにすら見えなくも……ないか?

如果从这个角度来看,我甚至觉得,八九寺似乎并不希望迷牛被驱除……的样子?

「………………」

「おや、どうかされましたか阿良々木さん。急にわたしのことを見つめたりされて。そんなことをされると、わたし、照れてしまいます」

「唉呀,怎么了吗?阿良良木哥哥。突然盯着我看。你这样会让我很害羞。」

「いや……なんていうか、そのな」

「不是……该怎么说,那个啊。」

「わたしに惚れると、火傷やけどしますよ」

「要是迷恋上我的话,可是会烫伤的。」

「……なに、その、台詞」  

「……那是,什么,话。」

無意味に読点の数が増えてしまう。

我无意义地增加了逗号。

「なにって言われましても、ほら、わたしって見ての通りのクールビズ39ですから、この手の格好いい台詞が似合って似合ってしょうがないのです」

「你问我吗?你看,我看起来是一个 Coolbiz,所以那种台词再适合我不过。」

「それ、クールビューティと言い間違っているのはそりゃすぐにわかるんだけれど、なんていうか、そっから先、いまいちどう突っ込んでいいのか、僕には思い当たらないよ、八九寺。ていうか、お前、クールだっていうなら、火傷するってのはおかしくないか?」

「我一听就知道你原本是想说 Cool Beauty(冰霜美人)啦,不过你接下来那句话,我就不知道该怎么吐槽你才好,八九寺。如果你是 Cool 的话,那会烫伤不是很奇怪吗?」

「む。そうですね。では」  

「呜。的确很奇怪。那么,」

難しい顔をして、言い直す八九寺。

八九寺露出不愉快的表情,重新说道:

「わたしに惚れると、低温火傷しますよ」

「如果迷恋上我的话,可是会低温烫伤的。」

「…………」

「とても格好悪いですっ!」

「这样说实在太逊了!」

「しかも、それも別に、クールではないしな」  

「而且那也和 Cool 这个字扯不上关系吧。」

湯たんぽ40みたいに温かいって感じ。  

低温烫伤给人的感觉,就像热水袋一样温暖。

すげえいい人そう。

听起来好像脾气很温厚的样子。

「あ、そうです、わかりました。発想を転換すればいいのです。阿良々木さん、こういう場合は、決め台詞はそのままに、クールという形容を変えればいいのですよ。クールな女という称号は惜しいですが、この際仕方がありません。背に腹は代えられないという奴です」

「啊,对喔,我知道了。只要换个表达方式就好。阿良良木哥哥,这种时候不用去改经典台词,只要换掉 Cool 这个形容词就好。不能用『Cool』虽然很可惜,但也没办法。这个时候一点牺牲是必要的。」

「なるほど。ああ、確かにそうやって形容を変えてしまえば、逆に決め台詞に近付けるからな、セオリーと言ってもいい。連載第二回目の表紙アオリ文に早くも大人気と書くみたいなものか。よし、じゃあ、ものは試しだ、やってみよう。言い換えるのが、クールだから──」

「原来如此。对,这个时候如果换一个形容方式,反而会比较接近经典台词,这已经算是一种理论了。就像才连载第二回的漫画,马上就会在封面上写人气爆发之类的煽动文句一样。好,凡事都要尝试一下,就来试看看吧。要改的部分是 Cool,所以——」

「ホットな女と名乗りましょう」

「我只要说自己是『Hot 女』就好了。」

「ほっとするんだな」

「真是让人松了口气啊。」

「いい人そうですーっ!」  

「听起来真是一个好人!」

大袈裟なリアクションを取ったところで、はっと気付いたように、八九寺は、

八九寺做出一个夸张的反应,随后她突然恍然大悟,说:

「阿良々木さん、話を逸らそうとしてますねっ」  と言った。  

「阿良良木哥哥,你想要岔开话题吧。」

さすがに察されたか。

被她发现了吗?

「阿良々木さんがわたしをじっと見つめていたという話でした。どうしたのですか、ひょっとして、わたしに惚れてしまいましたか」

「我们刚才是说你一直盯着我看的事情。怎么了,你该不会爱上我了吧。」

「…………」  

全く察されていなかった。

她完全没发现我在想什么。

「じろじろと見られるのはあまり気持ちのいいものではありませんが、しかし、確かに、私のの腕41が魅力的であることは認めます」

「被人盯着看的滋味不是很好受,不过我承认我的上臂很有魅力。」

「特殊な嗜好だな」

「你的爱好还真是与众不同。」

「おや。二の腕には何も感じないと? この二の腕ですよ? この形式美がわからないのですか?」

「喔?你是说你对我的上臂没有任何的感想?我说的是我的上臂喔?你不懂它的形式美吗?」

「お前の身体は形式的に美しいのか?」  

「你的身体只是形式美吗?」

健康美な。

应该是健康美吧。

「照れ隠しをなさるとは、阿良々木さんにも可愛いところがあるのですね。ふむ、理解してさしあげましょう。なんなら、キープしてあげてもいいです。整理券42を配布しましょう」

「没想到你也会不好意思,阿良良木哥哥也有可爱的地方嘛。嗯,我可以理解啦。既然这样,我可以为你保留我的上臂。我发号码牌给你吧。」

「悪いが、僕はすん足らずの女の子に興味はないんだ」

「抱歉,我对矮冬瓜的女生没兴趣。」

「寸足らず!」  

「矮冬瓜!」

その言葉に、目玉が飛び出そうなほど瞠目する八九寺。  

八九寺听到这句话后双眼圆睁,仿佛眼珠就快要进出来一样。

そしてくらくらと、貧血のように頭を揺らす。

接着她宛如贫血发作一样,晃动自己的头。

「なんて侮蔑的な言葉でしょう……将来的に規制されてしまいそうなくらい、酷い言葉です……」

「这个字眼是多么污辱人啊……如此过分的字眼,就算将来被禁用也不奇怪……」

「言われてみれば、確かに、そうだな」

「听你这么一说,的确是如此。」

「わたしっ、とても傷つきましたっ。発育はいい方なんですっ、本当ですっ! 全くもうっ、人畜さんは酷いことを言いますっ」

「我,我好受伤。我的发育已经算很好了,我是说真的!真是的,人畜哥哥怎么会说这么过分的话。」

「人畜さんって、お前も思い出したみたいに言ってんじゃねえよ。どっちかっていえば、そっちの方が先に規制がかかりそうじゃないか」

「什么人畜,你也不要心血来潮就提这个字眼。要比谁先被禁用的话,怎么想都是人畜先吧。」

「では、人チックさんと言い換えましょう」

「那我换个说法吧,类人畜哥哥。」

「本当は人じゃないみたいじゃないか!」

「你这样讲,不就好像我真的不是人一样吗!」

ていうか、吸血鬼に襲われて半分不死身みたいな僕にそれを言うと、本当に洒落にならない。あまりにも的を射過ぎている侮蔑言葉だった。

我被吸血鬼袭击后成了半个不死之身,对我说这种话真的一点都不好笑。因为这种侮辱言词实在太过贴切了。

「あ、そうです、わかりました。発想を転換すればいいのです。阿良々木さん、こういう場合は、対象となる言葉を外来語に言い換えてしまえばいいのですよ。傷つく人がいる以上、言葉に規制がかかるのは仕方がないことですから。でも、そういう風に規制にあった日本語でも、外来語に換言されることで、脈々と受け継がれていくという話です」

「啊,对喔,我知道了。只要换个表达方式就好。阿良良木哥哥,这种时候只要把词汇换成英文就好了。既然国文的说法会伤到人,禁用它也是没办法的事情。不过就算国文有那种规制,只要把词汇改成英文,词汇的意思就会不停地传承下去。」

「なるほど。ああ、確かにそうやって訳してしまえば、逆にニュアンスが柔らかくなるからな、セオリーと言ってもいい。少女愛好者と言うよりはロリコンと言った方がまだ少しは救いがあるみたいなものか。

「原来如此。对,如果把它翻译成英文,整个意思听起来就会比较柔和,这已经算是一种定论了。就像说一个人是少女爱好者,倒不如说他是 Lolita Complex。」

よし、じゃあ、ものは試しだ、やってみよう。言い換えるのが、寸足らずと、人畜だから──」

「那么试着换一下吧。 矮冬瓜和人畜就是」

「ショートネスと、ヒューマンビーストですね」

「就是 Shortness 和 Human beast。」

「やべえ! 一時代築けそうだ!」

「太糟糕了!这两个词好样会创造一个新的时代!」

「ええ! 眼からうろこが剝がれますっ43!」  

「对啊!真的让我眼睛的鳞片被剥下来了!」

痛そうだった。  

看起来很痛的样子。

というか、痛い二人組だった。

应该说,我们是互揭疮疤二人组。

「まあ、じゃあ、寸足らずというのは取り消すよ……。うん、でもな、そりゃ、八九寺は、小学五年生にすれば、確かに、それなりなんだろうけど」 

「好啦,我收回矮冬瓜这句话吧……嗯,不过以一个小学五年级生来说,八九寺你的发育的确相当不错。」

「胸がですかっ。胸がですねっ?」

「你是说胸部吗!你是在说胸部吧?」

「全体的に、だよ。でも、それでも、小学生レベルを逸脱してはいない。超小学級というほどではないと思うぞ」

「我是说你整个人。不过你还是没脱离小学生的等级。应该还不到超小学生级啦。」

「そうですか。高校生の阿良々木さんから見れば、小学生のわたしの身体なんて、さながらスライダー44だというわけですね」

「这样啊。阿良良木哥哥从高中生的眼光来看,我这种小学生的身体肯定太过 Slider 吧。」

「まあ確かに、外角にキレのいいのを決められると、まず手は出ないな」  

「你说得对,只要从外角切出去的角度刁钻,打者根本别想摸到球。」

ストレートとまでは言うまい。  

她的程度还不算是正中好球。

発育がいいのは、本当だし。  

不过发育很好倒是真的。

ちなみに正しくは、スレンダー。

附带一提,这里应该要说 Slender,而不是 Slider。

「……では、阿良々木さんは、どうしてわたしのことを、情熱的な眼で見つめていたのでしょう」

「……那么,为什么阿良良木哥哥要用那么热情的眼神凝视着我呢。」

「いや、その……え、情熱的?」

「也没什么,那个……诶?热情?」

「そんな眼で見られると横隔膜おうかくまくがどきどきします」

「你用那种眼神看我,我的横膈膜会一阵抽动。」

「しゃっくりじゃん」  

「你那是打嗝吧。」

難しい振りだった。  

那还真是局难度动作。

突っ込み担当としての力量が試されている。

我这个负责吐槽的角色,实力正受到考验。

「まあ、なんでもないよ。気にしないで」

「也没什么事啦。你不用在意。」

「そうですか。本当ですか?」

「是吗。真的没事吗?」

「うん……まあ」  

「嗯——对。」

逆──なのだろうか?  

难道——是相反过来?

こいつ、本当は──口で言っているのとは裏腹に、心の底では、母親に会うことを、望んでいないとか……それともあるいは、八九寺としては母親に会いたいけれど、母親にそれを拒絶されるかもしれないことを恐れているとか……。ひょっとすると、既に事実として、母親からは『会いに来てはいけない』なんて、言われているなんてこと──しかし、今までの話、八九寺の家庭環境を聞く限りにおいて、それは十分にありえそうだった。  

她该不会口是心非,嘴巴说想见妈妈,但其实心底却不希望见到她。还是说,八九寺本身很想见自己的妈妈,但又怕妈妈会拒绝见她……该不会这已经成了事实,其实八九寺的妈妈已经叫八九寺不准来找她。应该不会吧。不过,从至今八九寺说的家庭情况来看,这一点看起来十分有可能。

だとすると……容易にはいかないぞ。  

如果真是如此……那就不容易处理了。

戦場ヶ原の例を、取るまでもなく──

根本没必要参考战场原的例子——

「……他の女の匂いがするわね」  

「……有其它女性的味道。」

前触れもなくいきなり登場、戦場ヶ原ひたぎ。

战场原黑仪毫无前兆,突然登场。

マウンテンバイクで公園内まで入ってきていた。  

她骑着越野脚踏车进到了公图内。

既に乗りこなしてやがる……器用な奴だ。

她已经把脚踏车驾驭自如……真是个灵巧的家伙。

「お、おお……早かったな、戦場ヶ原」  

「喔、喔喔……你回来得还真快啊,战场原。」

往路の半分も、時間がかかっていなかった。  

她回程所花的时间,不到去路的一半。

本当に突然だったのでびっくりする暇もない。

因为她回来的实在太过突然,让我连惊讶的时间都没有。

「行きは少し道を間違えたのよ」

「我去的时候稍微走错路了。」

「ああ、案外わかりにくい位置にあるもんな、あの学習塾。やっぱ地図でも書いておけばよかったか」

「喔喔,那间补习班的位置本来就意外地难找。果然我应该画张地图给你比较好。」

「あんな大言壮たいげんそうしておいて、恥ずかしいわ」

「我刚才还说那种大话,真的好丢脸。」

「ああ、そう言えば記憶力がどうとか……」

「对喔,这么说来,你好像有说自己的记忆力怎样又怎样之类的……」

「阿良々木くんにはずかしめられてしまった……こんな風に私に恥をかかせて悦に入るだなんて、阿良々木くんも悪趣味なものだわ」

「我被阿良良木侮辱了……你居然故意让我丢脸藉此满足自己,你的兴趣也真是低级呢。」

「いや、僕は何もしてないじゃん! 自滅じゃん!」

「我什么都没做吧!你那是自找的吧!」

「阿良々木くんってこういう羞恥プレイを女の子に仕掛けて興奮する人だったのね。けれど、許してあげる。健康な男子であれば、それも仕方のないことだもの」

「原来阿良良木喜欢玩羞耻 Play,是那种藉由羞耻女性让自己兴奋的人啊。不过,我原谅你。只要是健康的男生,会这样也是很正常的事情。」

「いや、そいつ、かなり不健康だから!」

「不,羞耻 Play 非常地不健康!」

そう言えば、忍野の奴、あの学習塾のある場所のことを、結界──とかなんとか、そんな風に言ってたことがあったし。つくづく、僕が行くべきだったかもしれない。  

这么说来,忍野那家伙好像把那间补习班的所在地,称作结界之类的。仔细想想或许刚才我应该亲自去找他才对。

しかし、それはそうだとしても、戦場ヶ原ひたぎ、随分と堂々とした恥じらい方だった。というより、こいつ、絶対恥ずかしがってなんかいない。羞恥プレイにあっているのは、むしろ僕の方ではないだろうか……。

但是就算是那样,战场原黑仪的害羞的方式还真是堂堂正正。应该说这家伙绝对没有在害羞吧。被羞耻 Play 的人其实应该是我才对吧……

「私ならいいの……阿良々木くんにだったら、どんなことされても、我慢できるもん……」

「我没关系……如果对象是阿良良木的话,我不管被怎么样都可以忍受……」

「突如として正反対のキャラを演じるのをやめろ! そんなことしてもお前のキャラの幅はもうそれ以上は広がらないんだよ! ていうか戦場ヶ原、本当に僕のことを思ってくれているなら、僕が少しでもそういう不健康な素振りを見せたときはすかさず注意してくれ!」

「别突然扮演起性格完全相反的角色好吗?就算你这样,你的角色幅度也不会再扩张了!还有战场原,如果你真的为我着想的话,我要是稍微有那种不健康的举止,你应该要立刻提醒我一声吧!」

「まあ本当は阿良々木くんのことを思ってないし」

「唉呀,我又不是真的有在为你着想。」

「ですよねえ!」

「我想也是!」

「私が面白ければ何でもいいのよ」

「我只要好玩就好了。」

「いっそすがすがしい!」

「你这么说听起来反而比较爽快!」

「それにね、阿良々木くん。本当のことを言うと、往路に時間がかかったのは、道を間違えもしたけれど、それだけじゃなくて、私、昼ごはんも食べなくちゃならなかったからというのもあるのよ」

「而且,阿良良木……老实说,我去的时候会花那么多时间,不光是走错路的关系啦,因为我想说要吃午餐才行,所以就自己一个人跑去吃了。」

「やっぱ食べたんだ……期待を決して裏切らない女だな、お前は。いや、いいけれどさ、そんなの勝手だし、お前はそういう奴だし」

「你果然自己去吃了……你果然不会辜负我的期待。不过没关系,那是你的自由,而且你本来就是那种人。」

「阿良々木くんの分まで食べておいたわ」

「我连阿良良木的份也吃了喔。」

「あっそ……まあ、お疲れさん」

「是喔……辛苦你了。」

「どういたしまして。他の女の匂いがするわね」  

「不用客气。这里有其它女性的味道呢。」

ねぎらいの言葉もそれに応える言葉もそこそこに、最初の台詞にしつする戦場ヶ原だった。

我的慰劳和她的答话都很随便。说到最后,战场原还是执着于最初的那句话。

「誰か来ていたのかしら」 

「有谁来过?」

「えっと……」

「那个……」

「この香りは──羽川さんかしらね」

「这个味道——是羽川同学吧?」

「え? お前、なんでわかるの?」  

「诶?你怎么知道?」

素で驚いた。  

我真的大吃一惊。

てっきり、あてずっぽうで言ったのだと思ったのに。

我原本以为她是凭空瞎猜。

「香りって……化粧とかのことか? でも、羽川の奴、化粧なんかしてないだろ……」

「你说的味道……是化妆品之类的味道吗?不过羽川她没有化妆吧……」

何せ、制服姿だったのだ。リップクリームでさえ、自主規制しそうなものである。少なくともあの姿でいるときの羽川は、軍服を着た軍人と同じ、そんな校則から大きく逸脱するような行為は、間違ってもしないはずだった。

因为羽川是穿制服。她看起来连护唇膏都不会擦。至少她穿成那个样子的时候,就跟穿军服的军人一样,绝对不会做出和校规脱节太多的行为。

「私が言っているのはシャンプーの香りのことよ。この銘柄めいがらを使っているのは、クラスでは羽川さんだけのはず」

「我说的是洗发精的味道。在班上用这个牌子的人,应该只有羽川同学而已。」

「え、マジ……? 女ってそういうのわかるの?」

「咦,真的假的……?女生都知道这种东西吗?」

「ある程度はね」  

「某种程度上啦。」

何をわかりきったことをという風な戦場ヶ原。

战场原的语气彷佛在说:这么好懂的东西有什么好问的。

「阿良々木くんが腰の形で女子を区別できるのと、同じようなものと考えてくれていいわ」

「阿良良木不是可以靠腰部的形状去区别女生吗,你就把味道想成和那个一样就行了。」

「そんな特殊な能力を披露した憶えはねえよ!」

「我不记得我有表演过那种特殊才艺!」

「え? あれ? できないの?」

「诶?咦?你做不到吗?」

「意外そうなリアクションをするな!」

「你不要一副好像很意外的样子!」

「お前は座りのいい立派な骨盤をした安産型だからきっと元気な赤ちゃんが産めると思うぜ、うえっへっへっへって、この間、私に言ってくれたじゃない」

「你前阵子不是对我说,『你是安产型,骨盘的形状很棒,腰部看起来很沉稳,将来一定能生出健康的小婴儿,哦嘿嘿嘿。』」

「ただの変態野郎じゃねえか!」  

「那只是普通的变态吧!」

あと、僕はよっぽどのことがないと、うえっへっへっへなんて笑い方はしないだろうし、ついでに言うなら、お前の腰の形は安産型ではない。

还有,我没事不会随便就发出「哦嘿嘿嘿」的笑声,顺便一提你那个腰也不是安产型的。

「で、羽川さん。来てたのね」

「那么,羽川同学有来过吧。」

「…………」  

なんか怖いんですけれど。  

总觉得这气氛好可怕。

逃げ出したいくらい。

让我想要拔腿逃离这里。

「まあ、来てたよ。もう帰ったけれど」

「她是有来过。不过已经走了。」

「阿良々木くんが呼んだのかしら? そうね、そういえば羽川さん、この辺りに住んでいるんだものね。道案内の助っ人としては、頼れる人だわ」

「是你叫她来的吗?对喔,这么说来羽川同学的家好像住在这附近嘛。让她来帮你带路可靠多了。」

「いや、別に呼んでないよ。たまたま通りかかっただけだ。お前と同じだよ」

「不是我叫她过来的。她只是刚好经过这里而已。就跟你一样啊。」

「ふうん。私と同じ──か」  

「喔——跟我一样……吗?」

私と同じ。  

跟我一样。

戦場ヶ原はその言葉を反復する。

战场原重复这句话。

「偶然なんて、つまりはそんなものかしらね──重なるときには重なるものだわ。羽川さん、何か言っていた?」

「所谓的偶然,简单来说就是这样吧,会重复的时候就是会重复呢。羽川同学有说什么吗?」

「何かって?」

「什么意思?」

「何か」

「有没有说什么?」

「……いや、別に。一言二言……で、八九寺の頭を撫でて、図書館……いや、図書館じゃなかったか、とにかく、どっか行っちゃったよ」

「…………没说什么啊。她跟我聊了几句,然后摸了八九寺的头,之后好像去图书馆……不,应该不是图书馆,总之她到别的地方去了。」

「頭を撫でて──ね。ふうん。そっか。……まあ、羽川さんなら──そうなのかな?」

「摸八九寺的头……是吗。嗯。这样啊……羽川同学——也是那样吗?」

「? 子供好きってことか? お前と違って」

「啊?你是指喜欢小孩的意思吗?她跟你不一样。」

「羽川さんと私とが違うというのは、そう、確かでしょうね。そう、同じではない。同じではない──では、ちょっと失礼するわよ、阿良々木くん」  

「羽川同学确实跟我不一样吧。对,不一样。我们不一样。那么,稍微失礼一下了,阿良良木。」

言って、戦場ヶ原は、僕の顔に自分の顔を寄せてくる。何をする気なのかと思ったが、どうやら、僕の匂いを嗅いでいるようだった。いや、僕のじゃなくて──多分……。

战场原说完,便把自己的脸凑到我的脸旁边。我一时之间还搞不清楚她想做什么,看来她是在闻我的味道。不,不是我的,八成是……

「ふむ」  

「嗯——」

離れる。

她把脸挪开。

「別にラブシーンを演じていたというわけではなさそうね」

「看来你们没有上演爱情戏码的样子。」

「……なに? 僕が羽川と抱き合ってたかどうかをチェックしたのか? 匂いの強弱まで判断できるのかよ……すげえな、お前」

「……什么?你是在检查我和羽川有没有抱在一起吗?你还能判断出味道的强弱……太厉害了你。」

「それだけではないわ。これで私は阿良々木くんの匂いも憶えたのよ。阿良々木くんの行動はこれから逐一、私に監視されていると思うべきだと、忠告だけはしておきましょう」

「不光是这样而已。我还记下了阿良良木你的味道。我先给你一个忠告吧,以后你的一举一动都会在我的监视之下。」

「普通にやだな、それ……」

「一般来说这还挺叫人讨厌的……」

まあ、そうは言っても、通常の人間がそこまでできるとは思えないので、戦場ヶ原が一般よりも嗅覚が優れているというのが、ここでの事実なのだろうけれど。ん……しかし、八九寺と、戦場ヶ原がいない間に二度ほど取っ組み合いを演じたけれど、その際、八九寺の匂いは、僕の身体に移っていないものなのだろうか?そんなことはいちいち言わないのだろうか。一回目、戦場ヶ原の見ている前でやったときのと、混ざってしまっているのか……それとも、八九寺は無臭のシャンプーを使っているのかもしれない。まあ、どうでもいい話だろう。

话虽如此,但我想正常人应该做不到这种地步,战场原的嗅觉比一般人还要敏锐是事实没错。嗯……不过,战场原不在的这段期间,我和八九寺扭打了两次,八九寺的味道没有留在我身上吗?为何战场原没有把她的味道点出来?还是说,因为战场原有看到我们第一次扭打,所以之后的味道都混在一起让她不易察觉……也可能是因为八九寺是用无香味的洗发精。唉呀,这些不是重点吧。

「で、忍野から話、聞いてきたんだろ? 戦場ヶ原。早く教えてくれよ、どうすれば、こいつを目的地まで連れて行くことができるんだ?」

「对了,忍野不是有告诉你什么吗?战场原。快点告诉我吧,该怎么办才能带这家伙到目的地?」

忍野の言葉が、実のところ、ずっと僕の内側に張り付いていた──ツンデレちゃん、つまり戦場ヶ原が、それを素直に教えてくれればいいけどね、というあれである。  

老实说,忍野刚才那句「希望傲娇妹,也就是战场原会老实地告诉你。」一直让我很在意。

もっとも──と、そう言っていた。  

他在开头还加了一句「只不过」。

だから、自然、戦場ヶ原を急かすみたいな訊きかたになってしまった──八九寺も、心配そうに、戦場ヶ原のことを見上げている。

所以,很自然我问话的语气,听起来像是在催促战场原。八九寺也一脸担心地抬头仰望她。

そして果たして戦場ヶ原は、

终于。

「逆だそうよ」  

「他说正好相反。」

と、言った。

战场原开口说。

「阿良々木くん。私はどうやら、阿良々木くんに謝らなければいけないそうよ──忍野さんに、そう言われてしまったわ」

「阿良良木。看来我必须跟你说声抱歉——这是忍野先生对我说的。」

「は? あ、なんだ、途中から話題が変わってるのか? お前の話題転換方向修正は、本当に手際がいいよな。逆? 謝らなければならないこと?」

「嘎?啊,你干么中途改变话题?你转换话题的技巧真的很厉害耶。正好相反?必须要向我道歉?」

「忍野さんの言葉を借りると」  

「照忍野先生的话来说,」

戦場ヶ原は、構わずに続ける。

战场原不理会我,接着说:

「正しい事実が一つあったとして──それを二つの視点から観察したとき、違う結果が出たとする。そのとき、どちらの視点が正しいかを判断する方法は、本来ない──自分の正しさを証明する方法なんて、この世にはないのだと」

「他说,假设事实的真相只有一个,而我们从两个不同的角度观察时,却出现了不同的结果。此时,按理来说,我们没有方法去判断哪个观点得到的答案才是正确的。因为这个世界上找不到证明自己是正确的方法。」

「…………」

「でも、だからって、自分が間違っていると決めつけるのも同じくらい違う──んだって。本当、あの人は……見透かしたことを言うわよね」  

「不过他还说,即使如此也不能断定自己是错的。他说的话……真的看透了一切呢。」

嫌いだわ。  

这样真讨厌。

そう言った。

战场原说。

「いや……何言ってんだ? お前。いや、お前じゃなくて忍野か? この状況に、そんなの、あまり関係がありそうにも思えないけれど──」

「那个……你在说什么啊?不对,这些话不是你说的,是忍野吗?我觉得他说的话,看起来和目前的状况好像没什么关系——」

「蝸牛──迷い牛から解放される方法は、とても簡単なのだそうよ、阿良々木くん。言葉で説明すれば、とても簡単。忍野さんはこう言っていたわ──蝸牛についていくから迷うのであって、蝸牛から離れれば、迷いはない。だって」

「我听他说从蜗牛——迷牛身边解放的方法非常简单,阿良良木。用言语说明的话,真的非常简单。忍野他是这么说的。会迷路是因为你一直跟着蜗牛,只要离开蜗牛身边,就不会迷路了。」

「ついていくから──迷う?」

「一直跟着蜗牛……所以才会迷路?」

なんだそれ──あまりにも簡単過ぎてわからない。言葉が足りない感じだ。それどころか、忍野にしてはいくらか的を外した言葉であるようにも思える。八九寺を見遣るが、無反応だった。しかし、戦場ヶ原の言葉が、彼女の内側で何らかの作用を起こしていることは、確かなようで──唇を、閉ざしている。  

那算什么。太过简单明了,反而让我一头雾水。我感觉这话没有说完。不仅如此,我甚至觉得,忍野难得会说出这种没有命中问题核心的话语。我看八九寺一眼,但她毫无反应。但是,战场原的这番话,的确在她体内产生了某种作用。因为她紧闭着双唇。

何も言わない。

一句话也不说。

はらったりおがんだりは必要ないということなの。取り憑いているわけでもないし、障っているわけでもない──そう。私のときの蟹と、それは同じね。そして、更に──蝸牛の場合、対象となっている人間の方から、怪異の方に寄っている丶丶丶丶丶らしいの。しかも、無意識とか前意識とかじゃない、確固たる自分の意志でね。蝸牛に自分がついていっているだけ。自分から望んで、蝸牛の後を追っているだけ。だから迷う。だから、阿良々木くんが、蝸牛から離れれば──それでいいというわけ」

「我们不用驱除也不用叩拜。因为蜗牛没有附身在我们身上,也不会妨碍我们……没错。就跟我遇到螃蟹的时候一样。此外,更进一步来说……蜗牛不是自己来找人类,而是人们自己去靠近牠,自己主动去靠近怪异。而且,是因为自己坚决的意志所致,不是因为潜意识或前意识作祟。单纯只是他自己要跟着蜗牛。单纯只是因为自己希望,而追着蜗牛跑。所以才会迷路。因此,只要阿良良木离开蜗牛身边……一切的问题就能解决了。」

「いや、僕じゃないだろ、八九寺がだよ。でも、それなら──おかしいじゃないか。八九寺は、別に自分から蝸牛についていっているわけじゃ──そんなこと、望んでるわけないじゃないか」

「不是在说我吧,现在是在说八九寺。可是,你这样说……不是很奇怪吗?八九寺不是自己眼着蜗牛,而且她也不希望这样吧?」

「だからね、逆──なのだそうよ」  

「所以啊,才说是……正好相反。」

戦場ヶ原の口調は普段と何も変わらない、いつもの彼女の、平坦なそれだった。そこからはどんな感情も、読み取ることはできない。  

战场原的语气没有任何起伏,和往常一样平淡。语气中完全无法读出她的情感。

感情が顔に出ない。  

她的喜怒不形于色。

ただ──機嫌は悪いように思われた。  

只会让人感觉她的心情不好。

とても悪いように思われた。

非常地不好。

「迷い牛という怪異は、目的地に向かうのに迷う怪異ではなくて、目的地から帰るのに迷う怪異──なのだそうよ」

「听说迷牛这种怪异,会让你在返家的时候迷路,而不是让你在前往目的地的时候迷路。」

「か──帰るのに?」

「返……返家的时候?」

「往路ではなく復路を封じる──そう」  

「听说他会封住人们的归路,而不是去路。」

行きではなく──帰り?  

不是去路,而是归路?

帰るって……どこに帰るんだ。  

回去……是要回去哪里?

自分の──家?  

自己的家?

来訪と──到着?

来访和抵达?

「え、しかし──それがどうしたってんだ? いや、話はわかるけれど、で、でも──八九寺の家は……別に八九寺は家に帰ろうとしているわけじゃないだろう? あくまで、綱手家っていう目的地に向かっているのであって──」

「诶,但是……那又代表什么?你说的意思我懂,可、可是,八九寺不是要回她自己的家吧?她是要去纲手家这个目的地——」

「だから──私はあなたに謝らなくてはならないのよ、阿良々木くん。でも、それでも、言い訳はさせて頂戴。悪気があったわけではなかったし……それに、わざとでもなかったの。私はてっきり、私が間違っているんだと思っていたのよ」

「所以我才必须和你说声抱歉,阿良良木。但是,请让我辩解。我并没有恶意……而且,也不是故意的。我原本以为,错在于我。」

「…………」  

言っていることの意味がわからない──が。  

我完全不懂她的意思。

酷く意味がありそうだと──直感できた。

但我直觉,她的话中有非常深的含意。

「だってそうでしょう? 二年以上もの間、私は普通じゃなかったんだもの。つい先週、ようやく普通に戻れたばかりなのだもの。何かあったら──私の方が間違ってると思ってしまうのも、仕方がなかったのよ」

「因为一般人都会这样吧?我不正常了两年以上。在上礼拜才终于变回普通人。现在发生什么事,我会觉得错在于我也是很正常的吧。」

「おい……戦場ヶ原」

「喂……战场原。」

 「私のときの蟹と同じで──迷い牛は理由のある人の前にしか現れないそうよ。だから、阿良々木くんの前に現れたというわけ」

「听说迷牛和我的螃蟹一样,只会出现在有某种缘故的人面前。所以,他现在才会出现在阿良良木的眼前。」

「……いや、だから、蝸牛が現れたのは、僕の前じゃなくて、八九寺──」

「……不是,所以说遇到蜗牛的人不是我,是八九——」

「八九寺ちゃん、よね」

「是八九寺,对吧。」

「…………」

「つまりね、阿良々木くん。母の日で気まずくて、妹さんと喧嘩して、家に帰りたくない、阿良々木くん。その子──八九寺ちゃんのことなのだけれど」  

「简单来说,阿良良木。母亲节让你觉得很尴尬,所以你和妹妹吵架,不想回家。那个小女孩——就是你说的那个八九寺,」

戦場ヶ原は八九寺を指さした。  

战场原伸手指向八九寺。

つもりなのだろうが──  

应该说,她原本打算指向八九寺。

それは、全然違う、あさっての方向だった。

但是,她指的方向完全不对,根本是错误的方向。

「私には、見えないのよ」

「我根本看不到她。」

ぎょっとして──僕は思わず、八九寺を見た。  

我心中大惊,下意识看向八九寺。

小さな身体の、利発そうな女の子。  

她有娇小的身体,和聪明伶俐的脸蛋。

前髪の短い、眉を出したツインテイル。  

绑着双马尾,短短的浏海露出了眉毛。

大きなリュックサックを背負ったその姿は──  

身上背着一个大背包的身影——

どこか、蝸牛に似ていた。

宛如一只蜗牛。

007#

昔々のその昔──というほどのことではありません、ほんの十年ほど前の話です。あるところで、一組の夫婦が、その関係に終焉を迎えました。夫一人、妻一人。合わせて二人。かつては周囲の誰もが羨み、周囲の誰もが、幸せになると信じて疑わなかった、そんな二人ではありましたが、結局のところ、二人が婚姻関係にあった期間は十年にも満たない、短いものでした。  

很久很久以前——也没有这么遥远,大约是十年前左右的故事。在某个地方有一对男女,他们的夫妇关系告终。一个丈夫,一个妻子。加起来两个人。过去他们的关系令旁人个个称羡,大家都觉得他们一定会幸福偕老,对此深信不疑。但这样的两人,最后婚姻关系只持续了短短不到十年。

いい悪いの問題ではないと思います。

我觉得这不是好坏的问题。

そういうパターンだって、普通です。

这种模式很普通。

その夫婦に幼い一人娘がいたことだって普通です──聞くに堪えないような問答があった末、その一人娘は、父親の元に引き取られることになりました。

这对夫妇白一个年幼的独生女,这也十分普通。两人经过不堪入耳的议论之后,女孩的监护权决定归父亲。

最後は泥沼のような状態で、終焉というよりは破綻、あと一年でも同じ屋根の下で暮らしていたら、それこそ殺し合いにでも発展していたのではないかと思われるほど、行き着いてしまった夫婦──母親は父親から、二度と一人娘とは会わないことを、誓わされました。法律は関係ありませんでした。

这对夫妇最后的关系可说是一塌胡涂,与其说两人的关系告终,倒不如说是一场失败的婚姻,要是两人继续住在同个屋檐下一年,甚至有可能演变到拿刀互砍的地步。最后,父亲逼母亲发誓自己永远不来看女儿。这和法律没有关系。

半ば無理矢理に誓わされました。  

是父亲半强迫逼着母亲发誓的。

しかし一人娘は考えました。  

但是,独生女思考着。

本当にそれは無理矢理だったのだろうかと。

如果那不是在强迫之下说出口的誓言呢?

同じように父親から、二度と母親とは会わないことを誓わされた一人娘は考えました──あれほど好きだったはずの父親のことをあれほど嫌いになった母親は、ひょっとすると、自分のことも嫌いになってしまったのではないかと。そうでないなら、どうしてそんなことを誓えるのか──半ば無理矢理というなら、残りの半分はどうだったのか。けれど、それはまた、自分にも言えることでした。二度と会わないと、そう誓ったのは自分も同じだったのですから。

女孩也被父亲逼需发誓,说自己永远不会去找母亲。这时她思考了。母亲原本那么喜欢父亲,现在却如此厌恶他,母亲该不会也厌恶白己了,如果不是这样,为什么她能发那种誓呢?如果她是被半强迫的,那剩下的一半呢?但是,这个问题也可以套用在自己身上。因为女孩自己也发誓过,说自己不会再见妈妈。

そうなのです。  

没错。

母親だからといって。  

就算对方是母亲。

一人娘だからといって。  

自己是她的独生女。

関係に永続性なんて、あるはずがないのです。

这关系也不可能永远持续。

無理矢理でしょうがなんでしょうが、誓ってしまった言葉は、もう取り消せません。自分が自ら選び取った結果を、能動態でなく受動態で語るのは、恥知らずのすることでした──一人娘はそういう教育を、他ならぬ母親から受けていました。  

无论是不是强迫,发过的誓言已经无法取消。面对自己选择的结果,不用主动语态,而是用被动语态去阐述,这是一种寡廉鲜耻的行为。让女孩学习到这件事的不是别人,就是自己的母亲。

父親に引き取られ。  

女孩归父亲抚养。

母親の苗字を捨てさせられ。  

被迫舍弃母亲的姓。

けれど、そんな思いも──風化していきます。  

但是,这般怨恨逐渐风化了。

そんな悲しみも、風化していくのです。  

往日的悲伤也随之风化而去。

時間は、誰にでも、平等に、優しいから。  

因为时间,对任何人都很平等且温柔。

残酷なくらいに優しいから。

温柔到白让人觉得残酷。

時が過ぎ、九歳から十一歳になった一人娘。  

随着时间的经过,独生女从九岁成长到十一岁。

驚きました。  

她突然觉得很讶异。

一人娘は、自分の母親の顔が、思い出せなくなってしまいました──いえ、思い出せなかったわけではありません。その顔ははっきりと、思い浮かべることはできます。しかし──それが母親の顔なのかどうか、確信が持てなくなっていたのです。  

因为自己无法回想起母亲的容貌,不,严格来说不是想不起来。母亲的容貌能够清楚地浮现在她的眼前。但是,那是不是母亲的容貌,她无法确信。

写真を見ても同じでした。  

就算看照片也一样。

父親に秘密で手元に残していた母親の写真──そこに写っている女性が、本当に自分の母親なのかどうか、わからなくなってしまいました。

父亲偷留在手边的母亲照片——上头的女性真的是自己的母亲吗,女孩不知道。

時間。  

时间。

どんな思いも、風化していきます。  

在时间之中,任何思念都会逐渐风化消失。

どんな思いも、劣化れっかしていきます。

任何思念都会慢慢劣化。

だから──  

所以——

一人娘は母親に会いに行くことにしました。  

女孩决定去找母亲。

その年の、五月、第二日曜日。  

在十二岁那一年,五月的第二个礼拜天。

母の日に。  

母亲节。

勿論父親にはそんなこと言えるはずもありませんし、母親にあらかじめ連絡を入れるようなこともできません。母親が今どんな状態にあるのか、一人娘は全く知らないのですから──それに。

当然她不可能告诉父亲自己的决定,也没办法事先和母亲取得联络。因为女孩完全不知道母亲现在过着什么样的生活,而且——

嫌われていたら。  

万一母亲讨厌我。

迷惑がられたら。  

万一母亲觉得我很麻烦。

あるいは──忘れられていたら。  

或者,万一母亲早就把我给忘了的话。

とても、ショックだから。

女孩会受到很大的打击。

正直に言うなら──いつでも踵を返して家に帰れるよう、最後まで計画中止の選択肢を残しておくために、一人娘は、誰にも何も言わず、親しい友達にさえ内緒で──母親を訪れました。  

女孩来找母亲前没有告诉任何人,甚至对好友也同样保密,老实说这么做是为了替自己留后路,让自己随时都能选择中止计划。她动身了。

訪れようとしました。

动身去找自己的母亲。

髪を自分で丁寧に結って、お気に入りのリュックサックに、母親が喜んでくれるだろう、そう信じたい、昔の思い出を、いっぱい詰めて。道に迷わないよう、住所を書いたメモを、手に握り締めて。

她细心地绑好头发,背上自己最喜欢的背包,里头塞满了过去的回忆,她希望这些东西会让母亲感到喜悦。为了不让自己迷路,她手上紧握着写有母亲地址的便条纸。

けれど。  

但是。

一人娘は、辿り着けませんでした。  

女孩没能抵达目的地。

母親の家には、辿り着けませんでした。  

没能抵达母亲家。

どうしてでしょう。  

为什么?

どうしてでしょう。  

这是为什么?

本当に、どうしてなんでしょう。 

这到底是为什么?

信号は、確かに、青色だったのに──

信号明明是绿灯——

「──その一人娘というのが、わたしです」  と。  

「——那个女孩,就是我。」

八九寺真宵は──告白した。  

八九寺真宵自白说。

いや、それは、懺悔だったのかもしれない。

不,或许她是在忏悔。

その、とても申し訳なさそうな、今にも泣き崩れてしまいそうな表情を見ていると、そうとしか考えられないくらいだった。  

看到她的脸上写满了抱歉,有如此刻就要放声大哭的表情,让我只能这么觉得。

戦場ヶ原を見る。  

我看战场原。

戦場ヶ原の表情は変わらない。  

战场原的表情完全没变。

本当に──感情が顔に出ない女だ。  

她真的是一个喜怒不形于色的女孩。

この状況で、何も思っていないわけがないのに。

在这种状况下,她的内心不可能没有起伏。

「以来……ずっと迷っているってのか、お前は」  

「在那之后,妳一直在迷路吗?」

八九寺は返事をしなかった。  

八九寺没有回答。

こちらを見ようともしない。

也没看我一眼。

「目的地に辿り着けなかった者が、他者の帰り道を阻害する──忍野さんはそれを肯定しなかったけれど、多分、地縛霊みたいな感じじゃないのかしら。私達、素人の認識ではね。行きの道、それに帰りの道──往路と復路。巡り巡る巡礼。つまり八九寺だよ──って、そう言っていたわ」

「无法抵达目的地的人,会阻碍其他人踏上归途——忍野先生虽然没有肯定这点,但我想那灵体给人的感觉应该像地缚灵吧。以我们外行人的所知来看啦。前往,还有归来——去路和归途。不停的巡礼。忍野先生说,这就是八九寺的意思。」

迷い牛。  

迷牛。

迷わせ牛じゃなくて──迷い牛である、理由。  

不是「使人迷路之牛」,而是迷牛的原因。

そうでなくてはならない理由。  

一个必然的理由。

そうだ、怪異自体が──迷っているから。

没错,因为怪异本身……就在迷路。

「でも──蝸牛って」

「但是那个蜗牛……」

「だから」  

「所以说,」

戦場ヶ原は諭すように言う。  

战场原用教诲般的语气说。

淡々と。

那语气十分平淡。

「死後、蝸牛に成る──ってことでしょう。地縛霊と言いこそはしなかったけれど、幽霊だっていうのは、忍野さんも言っていたわけだしね。それって、要するに、そういう意味だったんじゃないの?」

「那表示她是在死后才变成蜗牛的吧。忍野虽然没说是地缚灵,不过他有说过幽灵两个字吧,简单来说,蜗牛就是那个意思吧,」

「でも──そんなの」

「可是,那种事情——」

「でも、それだからこそ──単純な幽霊とはパターンが違うってことなんだと思うわ。私達が一般的に思い、考えるような幽霊とはね。蟹とも、やっぱり違うんでしょうけれど……」

「可是我想就是因为那样,她的模式才会和单纯的幽灵不一样。和我们一般想的幽灵。也和螃蟹的模式不同……」

「そんな……」

「怎么会……」

でも、そうだ……牛という名称がついていても牛でないように、蝸牛と言ったからといって、蝸牛の形態を取っているとは限らないのか。怪異というものの本質を──取り違えていた。

不过,的确……就跟名称一样、这怪异虽然有一个牛字但却不是牛,现在就算说她是蜗牛,她也不见得会是蜗牛的型态。我误解了怪异的本质。

名は体を表す。  

名称表现出本体。

本体。  

本体。

見えているものが真実とは限らないし──それとは逆に、見えていないことが事実であるとも限らないんだ、阿良々木くん──。

眼见的东西未必是真实;但反过来说,并不代表看不见的东西就一定是真实,阿良良木老弟。

八九寺真宵。  

八九寺真宵 (MAYOI)。

八九寺、迷い。  

八九寺,迷 (MAYOI)。

マヨイとは──元来、縦糸と横糸がほつれて寄ってしまうことを言い、だから糸偏で45とも書き、それは、成仏の妨げとなる、死んだ者の妄執をも意味する──また、宵という字は、それ単体たんたいでは夕刻辺り、即ち黄昏刻、言うなれば逢う魔が刻を意味し、これに真の字を冠するとそれは例外的に否定の接頭語となり、真宵、つまり真夜中、細かくは午前二時を指す古語となり──そう、うし三つ刻を意味するのである。牛だったり蝸牛だったりひとがただったり──しかし、それじゃあ、そんなの、本当に、忍野の言った通りに──  

MAYOI 这个音,原本是布料的经纬线脱散之意,故可以用丝部写作「纰」,此字也意味着妨碍死者成佛妄执。此外,宵字单独使用时则表示傍晚,也就是黄昏时刻,即逢魔时①,此字在再冠上真字,真字很例外地就会成为否定的接头语,真宵,即指深夜,更仔细来说在古语中是指午夜二时……没错,就是指丑时三刻。这怪异有时是牛,有时是蜗牛,有时是人形——但是,这样一来真的就和忍野说的一样。

そのまんまじゃ──ないか。

一切就这么简单——不是吗。

「でも……本当にお前、八九寺が見えてねえっていうのか? ほら、ここにいるし──」  

「可是 ……妳真的看不见八九寺吗。妳看,她就在这里啊。」

俯いている八九寺の両肩を、強引に抱えるようにして、僕は戦場ヶ原に向かい合う。八九寺真宵。ここにいるし──こうして触れる。その体温も、その柔らかさも、感じる。地面を見れば、影だって出来ている。嚙みつかれれば痛いし──  

八九寺伏首。我强硬地抱住她的双肩,让她面对战场原。八九寺真宵。她就在这里,我可以摸到她。也可以感受她的体温和柔软的肌肤。低头看地板,她也有影子。被她咬到也会感到疼痛——

話せば、楽しいじゃないか。

我刚才和她聊天的时候,也很快乐不是吗。

「見えないわ。声も、聞こえない」

「我看不到她也听不见她的声音。」

「だって、お前、普通に──」  

「可是妳的举止都很自然——」

いや──違う。  

不、不对。

違った。  

我搞错了。

戦場ヶ原は、最初から言っていた。  

战场原一开始就说过。

見えないわよ、そんなの──と。

她说:我看不见那种东西。

「私に見えていたのは、あの看板の前でぶつぶつ独り言を言って、最後には一人でパントマイムみたいに暴れだした阿良々木くんだけ──何をしているのか、全くわからなかったわ。でも、話を聞いてみれば──」

「我只看到你一个人在那块广告牌前面自言自语,最后好像在演默剧一样,开始对空气拳打脚踢而已。我完全搞不懂你在做什么。可是,我听了你的话之后——」

聞いてみれば。  

听了我的话之后。

そうだ、戦場ヶ原には、全部──逐一丁寧に、僕が説明したのだ。ああ、そうか──だから、だから戦場ヶ原は──住所の書かれたあのメモを、受け取らなかったんだ。  

没错,刚才所有的状况,都是由我一字不漏地对战场原说明。啊啊,难怪,所以战场原才没有伸手接过那张写有地址的便条纸。

受け取るも何も、見えなかったから。  

因为她看不见。

なかったから。

看不见那张纸。

「でも──それならそうと、言ってくれれば」

「可是——既然那样、妳怎么不早点跟我说。」

「だから、言えるわけないじゃない。言えるわけがないわ。そんなことがあれば──阿良々木くんに見えるものが私に見えなければ、見えない私の方がおかしいんだって、私は普通に思うわよ」

「因为,我说不出口吧。我做不到。眼前有一样东西,阿良良木你看得见,但是我却看不到,我很自然会觉得有毛病的人是我。」

「………………」

二年以上。  

两年以上。

怪異と付き合ってきた少女、戦場ヶ原ひたぎ。  

怪异缠着少女战场原黑仪,两年以上。

おかしいのは自分──異常なのは自分。

有毛病的人是自己。异常的人是自己。

そういう考え方が、戦場ヶ原の中には、もう、桁違いなほど頑強に、根付いてしまっている。一度でも怪異と行き遭ってしまった人間は──残りの一生、どうしたって、それを引き摺って生きることになる。多かれ少なかれ、どちらかと言うと──多く。世の中にそういうことがあると知ってしまった以上、たとえそれが無力であっても、知らない振りは、できないのだ。

这种想法已经在战场原的心中根深蒂固,无法轻易抹灭。人类只要遇到怪异,哪怕是一次也好,或多或少都会影响到你剩余的人生。如果真要说是多还是少,那应该算是多吧。既然你已经知道世上有怪异的存在,就算你无能为力,你也无法佯装不知。

だから。  

所以……

でも、やっと問題から解放された戦場ヶ原は、またおかしくなっただなんて思いたくなくて、おかしくなってしまっただなんて思いたくなくて、僕にそんなことを思われたくなくて──見えていない八九寺のことを、見えている振りをした。

可是,终于从怪异中得到解放的战场原,不想承认自己又有了毛病,不想承认自己又出了问题,也不想被我这么认为,所以看不见八九寺的她才假装自己看得见。

話を、僕に、合わせたのだ。  

故意配合我。

そうか……。

原来是这样啊……

それで、戦場ヶ原は、あんな、八九寺を無視するような態度を……無視という二文字の言葉は、この場合、馬鹿馬鹿しいほど、状況に相応しかった。それに、八九寺の方が──戦場ヶ原を、避けるように、僕の脚に隠れていたのも、同じ理由か……。  

因此,战场原刚才那无视八九寺的态度……无视这两个字,在这种场合实在贴切到荒谬的地步。而且,八九寺会藏在我的脚后躲避战场原,也是因为同样的理由吗……

戦場ヶ原と八九寺は。  

战场原和八九寺。

結局一言も、会話をしていない。

两人终究一句话也没说。

「戦場ヶ原……だから、お前、忍野のところには、自分が行くって──」

「战场原……所以妳才会白告奋勇要去找忍野——」

「訊きたかったから。これがどういうことなのか、訊きたかったからね。訊いたら、たしなめられてしまったけれど──というか、呆れられてしまったようだけれど。いえ、笑われたのかもしれないわね」  

「因为我想要问他。问他这到底是怎么一回事。虽然我问了他之后,被他小小地责备了一下。还是应该说,他很惊讶我会有这种想法。不,或许他觉得我很好笑也说不定。」

確かに、なんて、冗談のように、滑稽な、話だ。  

的确,这听起来就跟笑谈一样滑稽。

笑えないくらい。

让人笑不出来的程度。

「蝸牛に行き遭ったのは──僕だったのか」  

「遇到蜗牛的人,其实是我吗?」

鬼に行き遭って──次は蝸牛。  

先是遇到鬼,然后又遇到蜗牛。

忍野も──最初からそう言っていた。

忍野一开始就说过这句话。

「子供──それも童女の怪異というのは、かなり一般的なものだそうよ。勿論、ある程度なら私も知っているわ。国語の教科書にだって載っているものね。旅行者を山の中で遭難させてしまう着物姿の幽霊とか、子供同士の遊びに知らない内に混じってて、遊び終わる頃に、一人、連れていっちゃう女の子とか──迷い牛っていうのは、寡聞にして知らなかったけれど。あのね、阿良々木くん。忍野さんが、こう言っていたわ。迷い牛に遭うための条件っていうのは──家に帰りたくないと望んでいること、なんだって。望みっていうには、そうね、それはいささか後ろ向きかもしれないけれど、でも、そのくらい、誰でも考えることだしね。家庭の事情なんて、誰にでもあるもの」

「小孩——而且还是女童的怪异,其实相当普遍。当然我也有某种程度的认识。这种怪异在国语教科书上也有出现过。例如有身穿和服的幽灵,会让旅行者在山中遇难,还有会在不知不觉间混入游玩的小孩当中,然后在游戏结束的时候把一个人带走的小女孩之类的。虽然我孤陋寡闻,不知道这些怪异就是迷牛。那个啊,阿良良木,忍野有说过——要遇到迷牛有一个先决条件,就是希望自己可以不要回家。这种希望,对,虽然有一点消极,不过这种事情每个人都有想过。因为每个人的家里,都会有一本难念的经。」

「……あ!」

「……啊!」

羽川翼。  

羽川翼。

あいつもまた──そうだった。  

那家伙也是一样。

家庭に不和と歪みを抱えていて──日曜日は散歩の日。

因为她的家庭不合,关系不正。所以礼拜天是散步天。

僕と同じに、あるいは、僕以上に。  

她和我一样,或许程度比我还严重。

だから羽川にも──八九寺が見えた。  

所以羽川也——看得见八九寺。

見えて、触れて──話せた。

看得见,摸得到,还能和她对话。

「望みを叶えてくれる……怪異か」

「实现人类愿望的……怪异吗?」

「そう言えば確かに聞こえはいいけれど、でもそれって、人の弱みに付け込むと、そう表現することもできるんじゃないかしら。阿良々木くんだって、家に帰りたくないと、本気で思っていたわけじゃないでしょう。だから、後ろ向きな望みというよりは、そうね、一つの理由というのが正しいんだと思うわ」 

「那种说法比较好听没错、但也可以说他是一种乘人之危的怪异吧。就拿阿良良木你来说,你不是真的不想回家吧。所以,与其说是自己消极的希望,倒不如说,对,你是因为有一个原因才不想回家的。」

「…………」

「けれどね、だからこそ、阿良々木くん。迷い牛への対処はとても簡単なのよ。最初に言ったでしょう? ついていかずに、離れればいいのよ。それだけのことなの」

「不过就是因为这样,阿良良木。对付迷牛的方法很简单啊。我一开始就说过了吧。不要跟着他,只要离开他就好。就只是这样而己。」

自ら望んで──迷う。  それはそうだ──理屈は通っている。永遠にどこにも辿り着けない蝸牛の後ろをついて回れば、誰だって、家に帰れるわけがない。  

这样说没错,一切都说得通。如果一直跟在永远到不了目的地的蜗牛身后,任何人都无法回家。

言葉で説明すれば──とても簡単。  

用言语来说明,其实非常简单。

羽川が、あっさり、公園を出て行けたように。  

就像羽川很干脆地走出公园一样。

帰れば帰れる。  

只要想回去就能回去。

行くモノに、ついていくから、帰れない。  

因为跟着人走,所以才会回不了家。

でも。  

可是——

家に帰りたくない──なんて言っても、結局、人間、帰る場所は、家しかないのだから。

就算不想回家,到头来人们可以回去的地方也只有家而已。

「そんな悪質な怪異じゃないし、そこまで強力な怪異でもない。まず大きな害はない。そう言ってたわ。迷い牛は、ちょっとした悪戯──軽い不思議、そんな程度のものなんだって。だから──」

「他不是什么恶质的怪异,能力也不是很强大。大体,他的危害不大。这些是忍野说的。他还说迷牛只是一个小小的恶作剧,一种轻微的不可思议而已。所以——」

「だから?」  

「所以?」

僕は遮るように言った。  

我打断她说。

それ以上──聞いていられなかった。

我无法继续听她说下去。

「だからなんだよ、戦場ヶ原」

「所以又怎样,战场原。」

「…………」

「そうじゃない、そうじゃないだろ、全然そうじゃないんだよ、戦場ヶ原──話はわかったし、それに、どっかにあった違和感みたいなもんも、これで確かに綺麗に片付いたけれど──僕が忍野に訊きたかったのは、そういうことじゃないだろ。博引はくいん旁証ぼうしょうご苦労さまじゃああるが、しかし、そういうのを教えて欲しかったから、僕は戦場ヶ原に忍野のところにまで、行ってもらったわけじゃないだろうが」

「不是这样,不是这样吧,我要的不是这样,战场原。我懂你的意思,而且我觉得不对劲的地方,也都完全搞清楚了;但是我想问忍野的东西,不是你说的这些吧。你们旁征博引很辛苦没错,但是我请你去找忍野,不是因为我想要你们告诉我这些东西吧。」

「……じゃあ、何のためだったの?」

「……那到底是为了什么?」

「だから、だ」  

「是因为——」

ぐいっ──と。  八九寺の両肩を握る手に、力がこもる。

我紧握了八九寺的双肩。

「僕が訊きたかったのは──こいつを、八九寺を、お母さんのところに一体どうやったら連れて行ってやれるかって──それだけだっただろうが。最初から、それだけだっただろうが。そんな、知ったところで誰にも自慢できないような薀蓄うんちく46なんて、知らないんだよ。使いどころのない雑学なんて──脳の無駄遣いだ。大事なのは──そういうことじゃないだろう」  

「是因为我想知道,该怎么带这家伙,带八九寺去她妈妈那里。就这么简单。打从一开始就这么简单。你刚才说的那些知识,就算知道了也不能和别人臭屁,那种东西我才不管勒。那种无处可用的杂学,只会浪费脑容量而已。重点不是那些东西吧。」

阿良々木暦のことじゃない。  

不是阿良良木历怎么样。

あくまで、八九寺真宵のことだった。  

重要的是八九寺真宵的事情。

僕が離れればいいだなんて──違う。  

只要我离开她就可以?不对。

僕は離れては、いけないのだ。

因为我不能离开她。

「……わかってるの? 阿良々木くん。その子──そこにはいないのよ。そこにはいないし、どこにもいないのよ。八九寺……八九寺真宵ちゃんっていうんだっけ。その子は……もう死んでるの。だから、もう、当たり前じゃなくて──その子は怪異に取り憑かれてるんじゃなくて、怪異そのもので──」

「……你懂吗?阿良良木。那个孩子,她不在那里。她既不在这里,也不在任何地方。八九寺……你说她叫八九寺真宵是吧。那孩子……已经死了。所以,她已经不是理所当然的存在。她没有被怪异附身,因为她就是怪异本身——」

「それがどうした!」 

「那又怎样!」

怒鳴った。  

我怒吼了。

戦場ヶ原を相手に──怒鳴ってしまった。

我当着战场原的面大吼。

「当たり前じゃないなんて、そんなの、みんなそうだろうが!」

「不是理所当然又怎样,那种事情大家都一样吧!」

「…………」  

僕もお前も──羽川翼も。  

我也是,你也是,羽川翼也是。

永遠に続くものなんて──ないんだ。  

没有东西可以水远持续的。

それでも。

即使如此。

「あ──阿良々木さん、痛いです」  

「阿……阿良良木哥哥,我好痛。」

八九寺が、僕の腕の中で、頼りなげに、もがく。思わず、強く握り締め過ぎて、肩に食い込んだ爪が、痛いらしい。  

八九寺在我的手腕中无助地挣扎。我下意识太过用力,指甲陷入她的肩膀中,似乎弄痛了她。

痛いらしい。  

她似乎很痛。

そして言う。

接着,她开口说。

「あ、あの──阿良々木さん。この方の、戦場ヶ原さんの、言う通りです。わたし──わたしは」

「那、那个,阿良良木哥哥。战场原姐姐说得对。我,我——」

「黙ってろ!」  

「你闭嘴!」

何を喋っても──その声は戦場ヶ原には届かない。  

无论她说什么,声音都无法进到战场原的耳中。

僕にしか届かない。  

只有我听得见。

けれど、その僕にしか聞こえない声で──こいつは最初から、こいつすらも最初から、自分は蝸牛の迷子なのだと、そう正直に──告げていた。  

但是,这家伙用那个只有我听得见的声音,一开始就很坦白地告诉我,说自己是迷路的蜗牛。

精一杯、出来る限り、告げていた。  

她尽最大的努力,尽自己所能,想要告诉别人。

そして、また──言っていた。  最初の最初、一言目に。

然后,每当她第一次开口的时候,她都会说出同样的话语。

「お前には聞こえなかったんだったよな、戦場ヶ原──じゃあ僕が言ってやるよ。こいつは──僕に対しても、羽川に対しても、一言目からいきなり、とんでもねえこと吐かしやがったんだ──」  

「你没有听到对吧,战场原,那就让我来告诉你。这家伙不管是对我,还是对羽川都一样,嘴巴张开第一句话都让我们意想不到——」

話しかけないでください。  

请不要跟我说话。

あなたのことが嫌いです。

我讨厌你。

「わかるか? 戦場ヶ原。ついてきて欲しくないからって──遭う人間全員に、そんな台詞を言わなくちゃいけない奴の気持ちが、お前にわかるってのか? 頭を撫でられそうになったら、その手に嚙みつかなくちゃいけない奴の気持ちなんて──僕には全くわからないぞ」

「你懂吗?战场原。她不希望有人跟着自己,所以她必须对所有看得见她的人说这种话。这种心情你懂吗?自己的头快要被别人摸的时候,她必须去咬对方的手,这种心情你能体会吗?我完全无法体会。」

誰かを頼ればいいなんて──酷い言葉だ。

只要请别人帮忙就好了?我这句话真是太残酷了。

自分自身がそんな存在だなんて。  

她没办法告诉别人自己是什么样的存在。

おかしいのが自分だなんて。  

也不能告诉别人有毛病的人是自己。

そんなことは、言えるわけがないのに。

这种事,根本不可能说得出口。

「でも、わからなくても、それでも、自分が道に迷っているときに──一人でいるときに、そういうことを言わなくちゃならない気持ちを、それでも──僕もお前も、違う形で、経験してきているはずだろう。同じ気持ちじゃなくても、同じ痛みを抱えてきたはずだろう。僕は不死身の身体になったし──お前だって怪異を抱えた身体になった。そうだろうが、そうなんだろうが。だったら、迷い牛だか蝸牛だか知らないが──それがこいつ自身だって言うんなら、全然、話は変わってくるじゃないか。お前には見えないし、聞こえないし、匂いすらも感じないんだろうけれど──それでも、それだからこそ、こいつを無事に母親のところにまで送り届けるのが──僕の役目だ」

「可是,就算我们不能体会她在迷路或孤独一人的时候,必须那样说的心情,可是我和你也曾经用不同的方式体会过吧。就算我们的心情和她不一样,但是我们承担的痛苦应该都是一样的吧。我曾经变成了不死之身,你也曾经因为怪异而失去体重。对吧,我说的没错吧。所以我不管她是迷牛还是蜗牛,但如果这家伙本身就是怪异的话,那整个情况就不一样了吧。你看不见,听不见,甚至也闻不到她的味道,就是因为这样,才必须要由我,把她平安送到她母亲身边。」

「……そう言うと思ったわ」

「就知道你会这么说。」

戦場ヶ原にそうするのは全くの筋違いでありながら、思わず怒鳴ってしまったところから、徐々に僕の頭も冷えてきて、自分が無茶苦茶なことを言っているのは、勿論、わかっていたが──しかし、戦場ヶ原は、それに対してすら、顔色一つ変えず、眉一つ動かさずに──僕に言った。

对战场原说这些话完全不合道理,但我还是不由得出声怒吼,慢慢地我冷静了下来,当然,我知道自己是在强人所难。但是,战场原面对我的怒吼却没有变脸,连眉毛也没有动一下。她开口对我说:

「ようやく──実感できたわ、阿良々木くんのこと」

「我终于能够实际体会,你是一个什么样的人了。」

「……え?」

「……唉?」

「阿良々木くんのことを、私、誤解していたみたい。いえ、誤解じゃないか。薄々というか、重々、それはわかってはいたことだけどね──幻想が消えたっていうのかな、こういうのは。阿良々木くん。ねえ、阿良々木くん。先週の月曜日、私の些細な失敗から、阿良々木くんに、私の抱えていた問題がバレちゃって……そうしたら阿良々木くんは、その日の内に、即日に──私に、声を掛けてくれたわよね」

「我好像对阿良良木你有所误解。不对,应该不算是误解。其实我心里多少……应该说我早就已经知道了。这应该算是幻想破灭吧。阿良良木。你听我说。上礼拜一,我因为一点小小的失败,被你知道我心中背负的问题……然后,你在那天马上就跑过来找我。」

力になれるかもしれないと言って。  

我或许可以帮你的忙。

僕は戦場ヶ原に、呼びかけた。

那时我对战场原这么说。

「正直、私は、その行為の意味を計りかねていたのよ──どうして阿良々木くんがそんなことをしたのか。だって、そんなこと、阿良々木くんにとって、何の得にもならないじゃない。私を助けても、いいことなんて一つもないのに──どうしてかしら。阿良々木くんは、ひょっとして、私だから助けてくれたのかしら?」

「老实说,我一直搞不懂你这么做的意义何在。为什么你要那么做呢?因为那对你来说一点好处都没有吧。就算你帮助我,你也无利可图。但是为什么你会这么做?该不会是因为对象是我,你才伸出援手的吧?」

「…………」

「でも、そうじゃなかった。そうじゃなかったみたい。そうじゃなくて、単純に、阿良々木くんって……誰でも助けるだけなのね」

「然而,并不是。似乎不是我所想的那样。单纯只是因为阿良良木你……对任何人都会伸出援手。」

「助けるって……そんな大それたことじゃないだろ。大袈裟に言うなよ。あの状況なら誰だってそうするって──それに、お前も言ってたろ、僕はたまたま、似たような問題を抱えてて、忍野のことを知っていて──」

「什么伸出援手……没那么夸张吧。你太小题大做了。在那种状况下,任何人都会那么做的。而且你也说过吧,我只是刚好有经历类似的问题,又刚好认识忍野——」

「似たような問題を抱えてなくとも、忍野さんのことを知らなくとも、同じことをした──んじゃないかしら。忍野さんから聞いた限りだと」  

「就算你没有经历类似的问题,就算你不认识忍野,你也会做一样的事情不是吗?就我从忍野那边听到的话来看。」

何を話した、あの野郎。  

那家伙到底说了什么。

あることないこと言い散らしたに決まっている。

他肯定说了一些有的没有的。

「少なくとも私は──住宅地図の前にいる姿を二度ほど見た程度で、知らない小学生に声をかけようとは思わないわ」

「至少我——不会因为在住宅地图前面,看到一个不认识的小学生两次,就跑去跟人家说话。」

「…………」

「ずっと一人でいると、自分が特別なんじゃないかって思っちゃうわよね。一人でいると、確かに、その他大勢には、ならないもの。でも、それはなれないだけ。笑っちゃうわ。怪異に行き遭ってから二年以上、私の抱えている問題に気付いた人は、実のところ、たくさんいたけれど──最終的にどんな結果になろうとも、阿良々木くんみたいなのは、阿良々木くんだけだったから」

「如果一直独自一人。就会怀疑自己是特别的存在。独自一人的话。确实会无法融入其他的群体。不过,那也只是因为不习惯而已。真好笑。我遇到怪异后持续了两年,其实有很多人发现了我的问题,但是不管最后的结果怎样。像阿良良木这样的人,只有阿良良木你而已。」

「……そりゃ、まあ、僕は僕だけだろうよ」

「……那是因为,我就是我吧。」

「そうね。その通りだわ」  

「是啊,说的没错。」

戦場ヶ原は微笑んだ。  

战场原莞尔一笑。

そして、それは勿論、たまたま角度が合っただけなのだろうけれど──戦場ヶ原ひたぎは、はっきりと、八九寺真宵のことを、見た。

接着,战场原黑仪明确地看向八九寺真宵。当然,有可能是因为角度刚好对了而已。

「忍野さんからの最後の伝言よ、阿良々木くん。どうせ阿良々木くんはそういう甘っちょろいことを言い出すだろうから、優しい優しいこの僕が、今回に限り使えるだろう裏技を一つ伝授しておこう──って」

「忍野最后说了一句话,阿良良木。他说:『反正阿良良木老弟一定又会说一些天真的话,所以亲切的我呢,就传授他一个只有这次可以用的秘技吧。』」

「う──裏技?」

「秘、秘技?」

「本当──見透かしてるわよね、あの人。一体、何を考えて生きているのか、皆目見当つかないわ」  

「他真的……看透了一切呢。他活着到底都在想些什么。我真的是猜不透。」

じゃあ行くわよ、と、軽い調子でマウンテンバイクに跨る戦場ヶ原。既にマシンが自分の所有物であるかのような、手馴れた扱いだった。

那我们走吧,战场原用轻松的语调说完,跨越野脚踏车。熟练的动作,彷佛脚踏车已经是她的所有物一般。

「行くって、どこへ」

「要走去哪?」

「勿論、綱手さんのおうちよ。善良な一市民として、八九寺ちゃんを送り届けにね。私についてきて頂戴、先導してあげるわ。それから、阿良々木くん」

「当然是去纲手家啊。我们要以善良市民的身份,把八九寺小妹妹送过去。跟我来,我替你带路吧。还有,阿良良木。」

「なんだよ」

「干嘛?」

「I love you」

「…………」

変わらぬ口調で、指さして言われた。

她用平淡的口吻指着我说。

………………、と。

更に数秒間考えて、どうやら僕は、同級生に英語で告白された、日本初の男になってしまったようだということを、理解した。

我思考了几秒钟后才终于理解到,我成了全日本第一个被同班同学用英文告白的男人。

「おめでとうございます」  

「恭喜你。」

八九寺がそう言った。  

八九寺说。

全ての意味で、場違いで的外れな言葉だった。

在任何含意上,这句话都很没意义且不合时宜。

008#

そして、一時間後──十年ほど前、正確なところはわからないが、とにかく十年ほど前に、少女、生前の八九寺真宵が母の日に目指した場所──あのメモに書かれていた通りの住所の場所に、僕と戦場ヶ原と八九寺は、辿り着いた。  

接着一个小时后,我、战场原和八九寺到了十年前左右,我不清楚正确的时间,总之我们到了十年前左右,少女——生前的八九寺真宵在母亲节时,想前往的地方——那张便条纸的地址。

時間はかかった。  

我们花不少的时间。

が、しかし──あっさりと。

然而,却很轻松地就抵达了目的地。

「……でも、こんな」  

「……可是,怎么变成这样。」

とはいえ──達成感はなかった。  

话虽如此,我却没有达成目的的感觉。

目前の光景に、達成感は皆無だった。

因为眼前的景象,让我没有丝毫的成就感。

「戦場ヶ原──ここで間違いないのか?」

「战场原。……你确定是这里吗?」

「ええ。間違いないわ」  

「对。我确定」

断言の言葉に、くつがえる余地はなさそうだった。  

她断定的语气,似乎没有推翻的余地。

八九寺の母親の家──綱手家。  

八九寺的母亲家——纲手家。

すっかり綺麗な──さら47になっていた。

已经变成了一块……干净的空地。

フェンスで囲まれて、私有地、無許可での立入を禁ず──の看板が、むき出しの地面に刺さって、立っていた。その看板の、端の方の錆び具合からして、随分と昔から、それはその形であり続けてきたのだろうことは、否定のしようがなかった。  

空地的四面是围栏,里头立着有一块广告牌插在赤裸的地面上,上面写着:「私人土地,未经许可禁止进入」那块广告牌的边缘早已锈蚀,以此来看,它应该是很久以前就立在这里。这点无庸置疑。

宅地開発。 

住宅地开发。

区画整理。  

土地区划整理。

戦場ヶ原が住んでいた家のように、道にまではなっていなかったが──その痕跡が全く残っていないという点では、同じだった。

这里就像战场原昔日的旧家一样,虽然没有变成马路,但却没有留下一丝往日的光景。

「……こんなことってあるのかよ」  

「……怎么可能有这种事情。」

忍野メメ──あの出不精が提案した、今回に限り使えるだろう裏技というのは、聞いてしまえば、何だそんなことかと思ってしまうような、単純明快極まりないものだった──迷い牛、存在として蝸牛となっているとは言っても、しかし、怪異としての属性が幽霊であるのなら、そこには本質的な情報的記憶が蓄積ちくせきしない──らしい。

忍野咩咩——那个不爱外出的懒人说的仅限这次使用的秘技,方法其实相当简单明了,让人听了会有一种「原来也不过如此」的感觉。迷牛,就算是以蜗牛的外型存在,但只要他的怪异属性是幽灵,本质性的信息记忆就不会累积在他脑中……的样子。

この手の怪異は、存在しないのが基本だそうだ。  

这种怪异基本上是不存在的。

存在として、存在しない、存在。  

存在,却又不存在的存在。

見る者がいなければ、そこにはない、と。

倘若没有人看见他,他就不会在那里。

今日のことに照らし合わせてそれを言うならば、八九寺は、僕が公園のベンチに腰掛けて、ふと、あの案内図に目を遣ったその瞬間に──そこに現れた、その時点から存在し始めたのだ、ということになる──らしい。

拿今天发生的事情对照来说,我坐在公图长椅上不经意看到那块导览图的瞬间,八九寺就出现在那里。从那个时点开始,她就开始存在于我的眼前。

同じ風に言えば、羽川にしてみれば、ふと、公園を通りかかり、僕が座っている隣に目を遣ったとき──八九寺はそこに現れたという理屈になるのだろう。怪異として継続的に存在しているのではなく、目撃された瞬間に現れる──その意味では迷い牛の場合、行き遭うという表現も、半分ほどしか内実を言い当てていないのかもしれない。

同样方式来说,以羽川的角度来看,她不经意路过公园看到我坐在那里,同时也看见了我身旁的八九寺。这就是八九寺出现在那里的理由吧。她是在被目击的瞬间突然出现,而不是永续存在的怪异。在这层意思上,撞见迷牛时用「遭遇」两字来形容,可能只说中了实情的五分。

見えているときしかその場にいない──観測者と観測対象。羽川ならばこんなとき、それを比喩するのに相応しいであろう理系の知識を惜しげなく披露してくれていたのかもしれないが、僕はうまいたとえを思いつかなかったし、戦場ヶ原は、知ってはいたのだろうが、わざわざそれを言いはしなかった。  

唯独看见他,他才会存在——观测者与观测对象。要是羽川在场,此时她或许会不吝啬地露一手理科的知识,说出更符合现状的比喻名词;但我想不到更好的比喻方式,而战场原似乎早已知道原因,所以没有刻意去提及。

ともかく。  

总而言之,

情報的記憶──つまりは知識だ。

信息记忆——简单来说就是知识。

僕のような土地勘のない者は勿論、あくまでその付き合いであって、蝸牛が見えてすらいない戦場ヶ原でさえ、迷わせることができる──携帯電話の電波をも遮断することもできる。そして結果的に──対象を永遠に、迷わせ続けることになる。

像我这对当地不熟的人当然不用说,战场原只是陪在我身旁,根本看不见蜗牛的形影,但蜗牛却有本事让她也跟着迷路。甚至还有本事遮断手机的讯号。从结果来看,蜗牛确实让对象永远地迷路了。

が。  

然而,

知らないことは──知らないのだ。  

不知道的事情就是不知道。

いや、知っていても、対応はできない。

不,就算蜗牛知道也无法对应。

たとえば、区画整理。  

例如。土地区划整理。

十年前に較べてどころか、去年と較べてさえ、すっかり変わってしまったこの辺りの町並み──近道でもない遠回りでもない、勿論まっすぐ向かうのでもない──  

别说是和十年前相比,这一带的街道风貌就连和去年相比,也都截然不同。我们不是抄近路、绕远路,当然也不是直接往此处走来。

新しく作られた道ばかりを選択したルートを使えば、迷い牛くらいの怪異では対応できない。

我们只要挑选新造的道路来移动,迷牛那种程度的怪异自然无法对应。

怪異が歳を重ねるなんてことはないだろう──少女の怪異はいつまでたっても少女のままだ──だ、そうだ。

据说怪异绝不会年老,少女形体的怪异永远都会是少女。

いつまでたっても大人になれない──  

就跟老是长不大的——

わたしと同じ。

我一样。

十年前に小学五年生だった八九寺……つまり、時系列を整理すれば、僕や戦場ヶ原よりも年上であるはずの八九寺真宵、しかし、学校でやんちゃしている記憶をつい昨日のことのように語る彼女に、一般的な意味での段階的記憶は存在しない。  

八九寺十年前是小学五年级生……也就是说,整理一下时间表来看,八九寺真宵的年纪应该比我和战场原都还要年长,不过,对她来说过去在学校的顽皮时光,却像昨日的记忆一样鲜明,在她的记忆中普遍所说的一般性记忆并不存在。

しない──  

不存在。

ないのだ。  

没有任何痕迹。

だから──だから。  

所以……所以。

古い皮袋に新しい酒──そう言っていたらしい。

旧瓶装新酒,忍野似乎说了这句话。

忍野の奴、あの不愉快な男は真実、見透かしている──実際には八九寺の姿を見てもいない癖に、事情だってそこまで深く聞いたわけでもないだろう癖に──この町のことだって、まだほとんど何にも知らない癖に、よくもまあ、そんな、知った風なことが言えるものだ。

忍野那家伙,那令人不愉快的男人看透了真实,他根本没实际看过八九寺的身形,对事情的原委恐怕也不是很深入了解;对这个城镇也几乎一无所知,他还真有本事说得自己好像洞晓一切似的。

だが、結果から言えば、これは成功だった。

不过,从结果来说,他成功了。

最近作られたところであろう、アスファルトが黒々しい道を、まるで阿弥陀あみだくじのように取捨選択し、古い道、あるいは新しく舗装されただけの道はできるだけ避けて──途中、戦場ヶ原の家があった道なんかも経由しながら、そして、一時間後。

接着在一个小时后,我们像在玩线签一样,在黑鸦鸦的柏油路上做取舍选择,尽量避开了旧路,或旧路重铺而成的新路,途中还经过早已变成马路的战场原旧家。

本来ならば、あの公園から、徒歩で十分もかからないであろう距離に、直線で結べば恐らく五百メートルにも満たないであろう距離に、一時間以上もかけて──  

本来,公园到目的地的距离,徒步恐怕花不到十分钟,两地用直线相连恐怕不到五百公尺,我们却花了一个小时以上——

目的地に、辿り着いた。  

好不容易才抵达了目的地。

辿り着いたけれど。  

我们是到了没错。

そこは、綺麗な──更地だった。

但眼前早已是一片……干净的空地。

「そんな、都合よくいかないってことなのか……」  

「凡事无法尽如人意吗……」

そうだ。

没错。

これだけ町並みも道行も変わっているのに──目的地だけが何も変わっていないなんて、都合のいいことがあるわけがない。一年足らずの期間をあけたに過ぎなかったのに、戦場ヶ原の家ですら、道になってしまったのである。そもそもこの計略自体、目的地のそばに新しい道がなければ、単なる机上の空論に過ぎなかったのだ。必然的に、目的地そのものが変わってしまっている可能性は、最初の段階から予測できるほどには、高かったということになる──だけど、それでも、そこくらいは都合よく出来上がってくれていないと、全てが台無しじゃないか。全部、意味なんてなくなっちゃうじゃないか。そこが駄目なら、全部駄目なのに。

房屋栉比和道路有了如此巨大的改变,不可能这么凑巧,只有目的地保留了昔日的风貌。短短不到一年的时间,就连战场原的旧家都成了马路。最根究底来说,倘若目的地旁没有新路,忍野的计划本身只不过是纸上谈兵罢了。很必然地,目的地本身也跟着变貌的可能性非常之高,高到在最初的阶段就能轻易预测——但是,话虽如此,要是终点已经不复存在,那这一切的计划不就都白费了吗?一切都会变得毫无意义了不是吗?没有终点,一切就等于白费功夫。

世の中はそんなにうまくいかないものなのか。  

人世间的一切,总是无法顺心如意吗?

願いは叶わないのか。  

愿望总是无法达成吗?

迷い牛の、目的地そのものがなくなっているというのなら──それこそ本当に、彼女は、永遠に迷い続ける、永遠に漂い続ける、際限なくぐるぐると渦巻き続ける、蝸牛の迷子じゃ──ないか。 

倘若迷牛想要去的地方消失不见,那她不就真的是迷路的蜗牛,只能永远迷失、永远在外飘流、永远在漩涡中无止境地回转。

なんて災禍だ。

这种灾祸实在太悲惨了。

忍野は。  あのサイケデリックなアロハ野郎は、

忍野他。那个奇幻色彩的夏威夷衫混蛋,

この結末すら──こんな最後すら、見透かしていたのだろうか。だから、あるいは、それゆえに、わざわざ──  

他连这个结局——连这个结果都看透了吗?因此或许说就是因为那样,他才故意——

忍野メメは、あれだけ軽薄で、あんなお喋りな調子者だけれど──別れの言葉は決して口にしないし、訊かれないことには絶対に答えない男なのだ。頼まれなければ動かないし、頼んだから応えてくれるとも限らない。  

忍野咩咩,他虽然一副轻浮样,又是一个容易得意忘形的长舌鬼;但是他这个男人绝对不会把道别的言语挂在嘴边,而且要是你不发问他就绝对不会回答。你不拜托他,他就不会主动行动;但要是你拜托他,他也不见得会响应你的要求。

言うべきことを言わなくとも、まるで平気。

就算该说的事情没说,他也无关紧要。

「う、うあ」 

「呜、呜哇!」

隣から、八九寺の嗚咽が聞こえた。

八九寺的呜咽声,从一旁传了过来。

あまりの現実に、とにかく驚くことだけに精一杯で、肝心の八九寺のことを、全く気遣えずにいた自分に思い至り、僕はそちらを振り向く──  

眼前的现实出乎意料,让我只顾着惊讶,无暇顾及一旁的八九寺。听到她的声音我才回过神来,转头望向她——

八九寺は、泣いていた。  

八九寺正在哭泣。

ただし俯いてではなく──前を向いて。  

但她没有低下头,而是望着前方。

更地の上──家があっただろう、その方向を見て。

她看着空地,看着房子曾经存在的地方。

「う、うあ、あ、あ──」  

「呜、呜啊啊啊——」

そして。  

接着,

たっ、と、八九寺は、僕の脇を抜けて、駆けた。

八九寺穿过我的身旁,向前跑去。

「──ただいまっ、帰りましたっ」   

「——我回来了。」

忍野は。  当然のように──当たり前のこととして、この結末を──こんな最後を、見透かしていたのだろう。  

忍野他,很理所当然地,早就已经预见了这个结局,预见到这个结果了吧。

言うべきことを──言わない男。  

他是一个……该说的事情不说的男人。

全く、最初に言っておいて欲しい。

真是,我真希望他一开始就直接告诉我啊。

ここに辿り着いて、八九寺に何が見えるのか。  

我们辛辛苦苦地来到这里后,八九寺到底看见了什么呢?

僕や戦場ヶ原には、ただの更地にしか見えないこの場所を──すっかり変わってしまったとしか見えないこの場所を、迷い牛、八九寺真宵が見たときに、一体、どんな風景が、見えるのかということ。  

我和战场原来看,这里只不过是一片空地而已,四周的景象全变了一个样。而迷牛——八九寺真宵,到底看到了什么景象呢?

そこに現れるかということ。  

出现在那幅景象中的又是什么东西呢?

開発も整理も──関係ない。  

开发和土地整理,无关紧要。

時間すらも。

时间也无法影响那幅景象。

大きなリュックサックを背負った女の子の姿は──すぐにぼやけて、かすんで、薄くなって……僕の視界から、あっと言う間に、消えてしまった。  

女孩背着大背包的身影,随即模糊、朦胧、变淡……剎那间就从我的视野中消失不见。

見えなくなってしまった。  

我看不到她了。

いなくなってしまった。

她就这样不见踪影。

けれど少女は、ただいま、と言った。そこは、別離した母親の実家で、今や自分とは関係のある家じゃない、目的のための目的地でしかなかった場所なのに──あの子は、ただいまと言ったのだ。

不过,少女刚才说:我回来了。这里是她离婚母亲的老家,这个家早就和她没有瓜葛,只不过是寻母之行的一个目的地而已,那孩子却说:「我回来了。」

家に帰ったときのように。  

就像回到自己的家一样。

それは。  

这一点,

とてもいい話のように、思えた。  

让我觉得是一个很棒的美谈。

とても、とても。

真的很棒、很棒。

「……お疲れ様でした、阿良々木くん。そこそこ、格好よかったわよ」  

「……你辛苦了,阿良良木。你还颇帅的喔。」

やがて戦場ヶ原が言った。  

最后,战场原开口说。

いまいち感情のこもらない声で。

用她那略微缺乏情感的声音。

「何もしてないよ、僕は、別に。むしろ今回働いたのは、お前だろ。僕じゃないよ。例の裏技ってのも、土地勘のあるお前がいなかったら、成立しない方法論だったしな」

「我也没做什么啊。这次辛苦的人应该是你,不是我吧。你对这里很熟,如果你不在的话,那招秘技只是纸上谈兵而已。」

「確かにそうだけれど──そうかもしれないけれど、そういうことではなく、ね。しかし、まあ、更地になっているとは驚いたわ。一人娘が自分を訪ねてくる中途で交通事故にあって──いたたまれなくなって、家族ごと引っ越したってところなのかしらね。当然、それ以外にも、理由なんて、考えようと思えば色々と考えられるけれど」

「确实是这样,或许你说的没错吧,不过我不是说那个啦。话说回来,这里变成空地真的让我很吃惊呢。会不会是因为独生女跑来看自己的路上发生车祸,所以纲手家才搬走的呢。当然如果真要猜的话,还有许多各式各样的理由。」

「まあな──そんなこと言っちまえば、八九寺の母親が、今、生きているかどうかも、わからないって話になるし」  

「或许吧,不过要是你继续说下去,就会扯到八九寺的母亲,现在是否还活着的问题。」

更に言うなら──父親だって、そうだ。

更深入来说的话,她的父亲也是。

案外──羽川は、本当は知っていたのかもしれない、と、思った。綱手という家について、彼女は何か、思うところがありそうだった。もしも綱手家が、何らかの事情でもってここからいなくなったというのなら──そしてそれを知っていたのなら、羽川は間違いなく、口をつぐむだろうから。あいつはそういう奴だ。少なくとも──杓子定規な奴では、ない。  

我想,最让我出乎意料的是羽川其实早就知道了也说不定。对于纲手这户人家,她当时似乎想到了什么。假如纲手家因为某种原因而离开此地,同时羽川知道原委的话,她肯定会三缄其口吧。她就是这样。至少……她不是那种一板一眼的家伙。

単に、公平なのだ。

她这么做,单纯只是站在公允的角度去看事物而已。

ともあれ、これで、一件落着……か。  

无论如何,这样一来,一切算告了一个段落了……吧。

終わってみれば、非常にあっけない。そして気が付けば、日曜日の太陽は──今やもう沈もうとしていた。五月の半ば、まだ日は短い……となると、僕もそろそろ、家に帰らないといけない。

以结局来看,简单得让人出乎意料。此外,当我注意到时,礼拜天的太阳……已经准备要西沉。现值五月中旬,白昼还十分短暂……也就是说,我也差不多该回家了。

八九寺のように。  

就像八九寺一样。

そういえば、今日は、夕飯の当番だった。

对了,今天是由我负责筹备晚餐。

「じゃ……戦場ヶ原。自転車取りに戻ろうぜ」  

「那……战场原。我们回去拿脚踏车吧。」

戦場ヶ原はあれから、マウンテンバイクに乗ったまま僕と八九寺を先導しようとしたが、マウンテンバイクと徒歩とが行動を共にすることの無意味さ、押して歩く荷物と化した際のマウンテンバイクの無価値さに、言われるまでもなくすぐ気付いたらしく、結局、マウンテンバイクはあの公園の駐輪場に、戻しておいたのだ。

战场原当时原本想骑越野脚踏车,替我和八九寺带路,但脚踏车和徒步——这两者的组合一快一慢,共同行动可说是毫无意义;要是下来用牵的,脚踏车又会变成无用的累赘。这两者不用我多说,她似乎也注意到了,因此她最后把越野脚踏车先停回公园的脚踏车停车场。

「そう。ところで阿良々木くん」  

「嗯。对了,阿良良木。」

戦場ヶ原は動かず──更地の方角を見たままで言う。

战场原一动也不动,看着空地的方向说。

「まだ返事を聞いていないのだけれど」

「你还没有答复我呢。」

「…………」

返事って……。  

答复……?

やっぱり、あの件だよな。

她是在指告白的事情吧。

「えっと。戦場ヶ原。そのことなんだけど──」

「那个,战场原。关于那件事——」

「言っておくけれど阿良々木くん。私は、どうせ最後は二人がくっつくことが見え見えなのに、友達以上恋人未満な生温い展開をだらだらと続けて話数を稼ぐようなラブコメは、大嫌いなのよ」

「我要事先声明,阿良良木。我最讨厌那种明明最后男女主角都会在一起,还一直维持朋友以上、恋人末满这种不冷不热的关系,来拖延赚话数的爱情喜剧。」

「……さいですか」

「……是吗。」

「ついでに言うならどうせ最後は優勝することが決まっているのに一試合一試合に一年くらいかけるようなスポーツ漫画も嫌いだし、どうせ最後はラスボスを倒して平和が訪れることがわかりきっているのに、雑魚との戦闘がいつまでたっても終わらないようなバトル漫画も嫌いだわ」

「顺便再告诉你,我也很讨厌那种反正到头来主角都会赢,然后每场比赛还要花上一年的运动漫画;也很讨厌那种反正最后大魔王都会被打倒,世界都会恢复和平,还在那边和杂鱼打来打去浪费时间的打斗漫画。」

「少年漫画と少女漫画を全否定してるぞ、お前」

「你这样不是把少年漫画和少女漫画全部都否定掉了吗?」

「で。どうするの」  

「那么,你的答复呢?」

考える隙も与えないような畳み掛けだった。

一个毫不让对方有空思考的连续攻击。

とてもではないが、言い逃れが許されるような空気ではない。友達全員を引き連れてやってきた女子に告白される男子の心境だって、ここまで息苦しくはないだろう。

虽然还有逃避的空间,但现在的气氛似乎不允许我含糊带过。打个比方,就算一个女生带着一票朋友跑去向一个男生告白,那个男生的内心也不会像我现在这样被逼得喘不过气来吧。

「いや、お前、ちょっと勘違いしていると思うんだよ、戦場ヶ原。性急っていうか。確かに前の月曜、お前が抱えてた問題の解決に、僕は少なからず寄与したかもしれないけれど、その、言うならば恩みたいなものと、そういう感情をごっちゃにしてしまったら──」

「我想你大概有点会错意了,战场原。你这样太性急了吧。的确,上礼拜一你长久以来承受的问题获得解决,那件事情我或多或少有一点贡献。不过,那个,照我来看,要是你把恩情和爱情混为一谈的话——」

「それはひょっとして、危機的状況において男女は恋愛関係に陥り易いという、人間の理性というものを完全にないがしろにし、そういう場合における本性が露呈した仲間同士の険悪極まりない空気を全く考慮していないあの馬鹿げた法則のことを意識しながら言っているのかしら」

「你该不会是想说『男女在身处危机状况的时候容易坠入爱河』这种理论是完全无视人类理性;在那种情况下同伴之间也容易露出本性,营造成险恶至极的关系,但是那愚蠢的理论却没将这点列入考虑。是吗?」

「馬鹿げたって──いや、まあ、そんなものかな? 確かに危険な吊り橋の上で告白するような人間がいたら、そいつはかなりの馬鹿だとは思うが……でも、ほら、お返しがどうとか言ってたじゃん、あのときも思ったけれど──お前が僕に、必要以上に恩を感じることなんか……つーか、事情や背景はどうあれ、やっぱ、恩を売ってそれに付け込むみたいな形、僕としてはあんまり、気分よくないんだよ」

「我可没说愚蠢——唉呀,你说的或许没错吧?要是真有人会在危险的吊桥上告白,那我想那家伙的脑子可能相当有问题……不过,你刚才不是有提到要报答我吗?那时候我就在想——你是不是对我抱持着超乎必要的恩情……该怎么说呢,先不管事情的原因和背景因素,你这样说听起来好像是我想卖你人情,乘人之危,我不大喜欢这样。」

「あれは口実よ。主導権を握らせてあげたかったから、阿良々木くんの方から告白させようと思って、ああいう振りをしてみせただけ。愚かな男。貴重な機会を逃したわね。私が誰かを立てるなんて、もう二度とないことなのに」

「那只是一个借口。我只是想要让你掌握主导权,让你主动来跟我告白,才会故意说报答的事情。愚蠢的男人。你放过了这么宝贵的机会。我会给人面子这种事情,可不会再有下次了说。」

「………………」  

すごい言い草だった。

好猛的说法。

ていうか、やっぱりそうだったのか……。  

不过,果真是这样吗……

誘い受けだったんだ……。

她是诱受型的角色……

「安心して。私は本当のところ、阿良々木くんに、そこまで恩を感じているわけではないのよ」

「你放心。其实我也没有很感谢你。」

「……そうなのですか」  

「……是这样吗?」

えー。  

咦——!

それもどうなんだろう。

这样说也有点奇怪吧。

「だって、阿良々木くん、誰でも助けるんだもの」  

「因为阿良良木你,不管是谁都会帮嘛。」

朝の段階では、そこまで確かに、阿良々木くんのことが、わかっていたわけでは、実感できていたわけではないけれど──と、流暢に続ける戦場ヶ原。

不过在早上的时候,我不知道这件事,也没有实际的感觉。战场原流畅地接着说。

「私だからじゃなかったけれど──でも、そっちの方が、私にはいいわ。助けられたのが私じゃなくても──たとえば、羽川さんを助けている阿良々木くんを横から見ていただけでも、私は阿良々木くんのこと、特別に感じていたと思うわよ。私は特別じゃなかったけれど、そんな阿良々木くんの、特別になれたら、それはどれだけ痛快なことだろうと、思うのよ。まあ……ちょっと大袈裟な物言いになってしまったけれど、阿良々木くん、強いて言うなら、私はただ、阿良々木くんと話すのが、楽しいだけ」

「你不是因为对象是我,所以才来帮我的。不过这样对我来说反而是好事。就算被你帮的人不是我——假如阿良良木你帮的人是羽川同学,我在一旁来看还是会觉得你很特别。我虽然不特别,但如果我可以变成你心中特别的存在,我想那是多么痛快的一件事啊。唉呀……这么说好像有点夸张。阿良良木,真要说的话,我只是因为和你说话很开心,就只是这样而已。」

「……でも、まだそんなに──話してないだろ」  

「……可是,我们——没聊过几句话吧。」

どころじゃない。  

岂止如此。

先週の月曜日、火曜日、それに今日と、あまりにも密度の濃い時間を過ごしていたせいで、うっかりすると見逃してしまいそうだけれど、戦場ヶ原とこんなに会話をしたのなんて、その月曜日と火曜日、それに今日──だけなのだ。  

上礼拜一、礼拜二还有今天,这三天的时间密度都太过紧凑,让我不留神可能就会看漏一个事实——我和战场原像这样聊天的时间,也只有那三天而已啊。

たかだか三日だけである。  

不过就三天而已。

クラスが三年、同じだとはいっても──  

就算我们同班一二年——

ほとんど他人みたいなものだった。

但我们之间的关系就形同陌生人。

「そうね」  

「对啊。」

戦場ヶ原は反論せずに頷いて、言う。

战场原不反驳,点头说。

「だから、もっと、あなたと、話したい」  

「所以,我想再跟你多聊一点」

もっと、たくさんの時間を。  

想要用更多的时间。

知るために。 

来了解你。

好きになるために。

来喜欢上你。

「一目惚れとか、そういう安っぽいのとも違うと思うわ。でも、下準備に時間をかけようと思うほど、私は気の長い性格ではないのよ。

「我觉得这和一见钟情那种廉价的东西不一样。不过。我的个性也不是很有耐心,没办法花时间让自己去准备喜欢上一个人。该怎么说呢——对,这种感觉或许应该说,我想努力去喜欢上阿良良木你也说不定。」

「なんて言うか──ええ、阿良々木くんを好きになる努力をしたいって感じなのかもしれないわね」

「该怎么说呢——对,这种感觉或许应该说,我想努力去喜欢上阿良良木你也说不定。」

「……そっか」  

「……这样啊。」

そう言われれば──その通りだ。  

听她这么一说——的确是这样。

言い返しようもない。

我没办法反驳她。

好きでい続けるために、頑張る──好きというのは、本来、すごく積極的な感情だから。だとすれば──戦場ヶ原が言うような、そういう形があっても、いいのだろう。

为了持续喜欢一样东西而全力以赴——因为我们所拥有的「喜欢」这种情感,本来就不是非常积极的东西。既然这样,战场原的说法,也没什么不好吧。

「所詮はこういうのって、タイミングの問題だと思うし。別に友達関係でもそれはそれでよかったんだけれど、私は結構、欲深いのよ。どうせなら、私は究極以外は、欲しくない」  

「反正这种事情是时机的问题。其实我们要维持普通朋友的关系也行,不过我很贪心啊。既然要当朋友,那我就要当『最高级的朋友』其他我都不要。」

タチの悪い女に引っかかったと思って頂戴。  

你就当自己和恶女扯上关系了吧。

そう言った。

她说。

「誰彼構わず優しくしているからこんな目に遭うのよ、阿良々木くん。自業自得と反省することね。それでも、心配されなくとも、私だって、恩とそういう感情との区別くらいはつくわ。だってこの一週間──私、阿良々木くんで、色々妄想できたもの」

「你就是因为对谁都很温柔,才会遇到这种倒霉的事情,阿良良木。这是自食其果,你可要好好反省一下。不过你不用担心,我好歹分得清楚恩情和爱情之间的差别。因为这一个礼拜……我利用阿良良木你,做了许多的妄想。」

「妄想って……」

「妄想……」

「すごく充実した一週間だったわ」  

「这一个礼拜还真充实啊」

本当──こういう物言いは、直截的。

她这种说话方式……还真是直接了当。

僕は一体、戦場ヶ原の妄想の中において、どんなことをし、どんなことをさせられたのだろう……。

我在战场原的妄想当中,到底做了什么事情,亦或被强迫做了些什么呢……

「そう、もういっそ、こう思ってくれてもいいのよ。愛情に飢えている、ちょっと優しくされたら誰にでもなび48ちゃう、惚れっぽいメンヘル処女に、不幸にも目をつけられてしまった、と」

「没错,你干脆这样想就好,你被一个对爱情感到饥渴、只要有人稍微对她温柔就很容易爱上对方的神经病处女给盯上了。」

「……なるほど」

「……原来如此。」

「ついてなかったわね。普段の行いを呪いなさい」  

「你还真倒霉呢。你就诅咒自己平常的所作所为吧。」

自分を貶めることすら厭わない──か。  

她甚至不在乎贬低自己……是吗。

そして、そこまで言わせてしまっている、自分。  

还有,我居然让她说到这种地步。

そんなことまで。  

连一些过激的词汇都出来了。

……ったく、格好悪い。  

……真是的,我实在太逊了。

ちっちゃいよなあ、全く。

我实在太不体贴了。

「だから、阿良々木くん。色々言ったけれど」

「所以,阿良良木。我说了这么多。」

「なんだよ」

「什么啊。」

「この申し出を、阿良々木くんがもしも断ったら、あなたを殺して私は逃げるわ」

「要是拒绝我的请求,我会杀了你然后逃走。」

「普通の殺人犯じゃん! お前も死ねよ!」

「你这只是普通的杀人犯吧!你也跟着殉情啦!」

「それくらい、普通に本気ということ」

「这么说是代表我是认真的。」

「……はあ。そうっすか……」  

「……喔。是喔……」

心の底から、反芻するように、嘆息する。  

我打从心底,有如反刍般叹了口气。

全く、もう。  

真是的。

面白いなあ、こいつは。

这家伙还真有趣啊。

クラスが三年同じで、たった三日だなんて──なんて、勿体ない。本当に、阿良々木暦は一体、どれだけ途方もない、莫大な時間を、無駄にしてきたのだろう。 

我们同班三年,却只有三天在讲话——这样实在太浪费了。我阿良良木历,至今到底浪费了多少宝贵的时间啊。

あのとき、こいつを受け止めたのが。  

那时候,接住她的人是我,

僕で、本当によかったと思う。  

我真的觉得很棒。

戦場ヶ原ひたぎを受け止めたのが阿良々木暦で──本当によかった。

能接住战场原黑仪的人,是我阿良良木历——这真是太好了。

「ここで少し考えさせて欲しいなんて腑抜けた言葉を口にしたら、軽蔑するわよ、阿良々木くん。あまり女に恥をかかせるものではないわ」

「你可别说需要时间考虑一下。要是说出这种没出息的话,我可是会看不起你的,阿良良木。你可不要让女生太没面子喔。」

「わかってるよ……現時点でかなり、みっともないと思ってるさ。でも、戦場ヶ原。一つだけ、僕の方から条件を出していいか?」

「我知道……我现在就觉得自己很窝囊了。不过,战场原。我可以提出一个条件吗?」

「何かしら。一週間私が無駄毛を処理する様子を観察させて欲しいとか?」

「什么条件?例如你想观察一个礼拜我处理杂毛的样子吗?」

「お前が今まで口にのぼしてきた台詞の中で、それは間違いなく最低の一品だ!」  

「这肯定是你至今说出的话当中,最下流的一句!」

内容的にもタイミング的にも、間違いなく。  

从内容和时间点来看,这点毫无疑问。

数秒、間合いを改めて、僕は戦場ヶ原に向かう。

间隔数秒后,我再次面向战场原。

 「条件っていうか、まあ、約束みたいなもんなんだけど──」

「其实也不算是条件,应该算约定之类的东西啦——」

「約束……何かしら」

「约定……什么约定?」

「戦場ヶ原。見えていないものを見えている振りしたり、見えているものを見えていない振りしたり──そういうのは今後一切、なしだ。なしにしよう。おかしなことは、ちゃんとおかしいと言おう。そういう気の遣い方はやめよう。経験は経験だから、知ってることは知ってることだから、多分、僕もお前も、これからずっと、そういうものを背負っていかなくっちゃならないんだから──そういうものの存在を、知ってしまったんだから。だから、もしも意見が食い違ったら、そのときは、ちゃんと話し合おう。約束だ」

「战场原。以后你看不见的东西,不要假装自己看得见;看得见的东西,你也不能假装自己看不见。以后不许再这样了。别让这种状况再发生吧。遇到自己觉得奇怪的事情,你要老实说出来。不要再有奇怪的顾虑了。因为经验是经验,知识是知识,我们今后都必须背负这两样东西活下去,因为我们知道那种东西的存在了。所以,如果哪天我们的意见不合,到时我们要好好沟通。你要答应我。」

「お安い御用よ」

「小事一桩。」

戦場ヶ原は、涼しい顔で──相変わらず、表情一つ変えないが、それでも、十分に、僕の方からは、その、あまりにもあっけない、ともすれば安請け合いとも取れるような、けれども確かな、ノータイムでの即答に、わずかなりとも、感じるものがあった。

战场原一脸满不在乎,表情依旧没有半点变化,但从我的角度来看,她回答的方式轻率且不假思索,但在这零秒反应的速度当中,我确实些许感受到了某些东西。

自業自得か。  

我自食其果吗?

えてして、普段の行いということ。

这往往都是来自平常的所作所为。

「じゃ、行こうか。すっかり暗くなっちまったし、えーっと……送っていくよ、って言うのかな、こういう場合」

「那我们走吧。现在天色已经乌漆抹黑了,那个……我送你回去吧,这种场合应该这样说对吧。」

「あの自転車じゃ二人乗りは無理でしょう」

「那辆脚踏车没办法坐两个人吧。」

「棒があるから、三人は無理でも二人なら大丈夫」

「我的脚踏车后面有棒子,两人的话还 OK,不过三个人就没办法了。」

「棒?」

「棒子?」

「足を置く棒。正式名称は知らないけど……後輪に装着するんだ。で、そこに立つわけ。前の奴の肩に、手を置いてな。どっちが前かはジャンケンで決めようぜ。蝸牛はもういないから、帰りは別に普通に帰っていいんだよな。来た道なんて複雑過ぎて覚えてないし……。戦場ヶ原、じゃあ──」

「脚踩的棒子。我不知道正式的名称啦……就是装在后轮上的那个。只要站在上面,手放在前面的人的肩膀上。我们猜拳决定谁骑车吧。现在已经没有蜗牛了,我们可以走普通的路回去吧。来这里的路太复杂了,我也记不得。战场原,那我们——」

「待って、阿良々木くん」  

「等一下,阿良良木。」

戦場ヶ原は、まだ動かなかった。  

战场原没有移动脚步。

動かないまま、僕の手首をつかむ。

她在原地抓庄我的手腕。

他人との接触を、長らく自らに禁じてきた戦場ヶ原ひたぎ──だから、勿論、彼女の方から、そんな風に僕に触ってくるのは、これが初めてのことだった。  

战场原黑仪有很长一段时间,都不允许自己和他人接触。所以,这当然也是她第一次主动碰触我。

触れる。  

碰触。

見える。  

相望。

つまり、僕達は、ここにいるのだろう。 

这就表示,此刻,我们存在于此吧。

お互いに。

我俩彼此都一样。

「一応、言葉にしておいてくれるかしら」

「你可以给我言语上的承诺吗?」

「言葉に?」

「言语上的?」

「なあなあの関係は、嫌だから」

「因为我讨厌暧昧的关系。」

「ああ──そういうこと」

「啊——原来你是指这个啊」

考える。

我陷入思考。

究極を求める彼女に、ここで英語を返すのも、芸がない。かといって他の言語に関する知識となると、生半可なものしか僕にはないし、どちらにしても、二番煎じの感を否めない。

这边如果我用英文回答追求最高级的她,那也未免太无趣了。话又说回来,我对其他语言的相关知识也是一知半解,而且不管怎么说,用外文回答都有一种回锅的感觉。

と、すると──

既然这样——

「はやるといいよな」

「要是能流行起来就好了。」

「はい?」

「嗯?」

「戦場ヶ原、蕩れ」  

「战场原,我对你眼迷心荡」

ともあれ、これで、概ねのところ。  

总之,现在大致上看来,

羽川の思い込みは正鵠せいこくを射ることとなった。  

都代表羽川的「会错意」正中了红心。

やはりあの委員長は、何でも知っているらしい。

看来那位班长,果真无所不知。

009#

後日談というか、今回のオチ。

以下是后日谈……应该说是本次故事的收尾。

翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた。起こしにきたということは、どうやら、無条件降伏に近い謝罪の言葉が効を奏したらしく、二人の怒りは無事に解けたようだった。それとも、今年は結局、何もできなかったわけだけれど、来年の母の日は家の敷地内から絶対に出ないという約束を交わしたのが、よかったのかもしれない。とにかく、月曜日。何のイベントもない、最高の平日。軽く朝御飯を食べて、学校へ向かう。マウンテンバイクではなく、ママチャリで。戦場ヶ原も今日から出席しているはずだと思うと、ペダルを漕ぐ足も、自然、軽かった。けれど、道中、まだそんなに距離を稼いでいない下り坂で、よたよたと歩いていた女の子と衝突しそうになって、僕は慌てて、急ブレーキをかけた。

隔天,我一如往常被两个妹妹:火怜和月火叫醒。她们跑来叫我起床,就表示昨天我接近无条件投降的谢罪话语有了效果,平安地消除了她们俩的怒气。今年到头来我无法有所表示,但我跟他们约好了,明年的母亲节绝对不离开家里半步。做了这个预定或许是好事吧。总之,今天是礼拜一。没有任何的活动,是最棒的平常日。我轻松吃完早餐,出门往学校出发。骑的是菜篮车,不是越野脚踏车。我一想到战场原今天也应该会出席,踩踏板的脚也就自然轻快起来。然而,我在离家不远的下坡路段,险些撞上一个走路东倒西歪的女孩,于是我慌忙急刹车。

前髪の短い、眉を出したツインテイル。  

对方是一个绑着双马尾,短短的浏海露出眉毛的女孩。

大きなリュックサックを背負った女の子だった。

身后还背着一个大背包。

「あ……、阿々良木さん」

「啊……阿阿良木哥哥。」

「入れ替わってるからな」

「又给我乱换名字了。」

「失礼。嚙みました」

「抱歉。我口误。」

「何してんの」

「你在干么啊?」

「あ、いえ、何と言いますか」  

「啊,该怎么说呢。」

女の子は、隠れ身の術に失敗した忍者みたいな戸惑いの表情を見せてから、照れ笑いを浮かべる。

女孩露出困惑的表情,有如使用隐身术失败的忍者般,随后浮现出害羞的笑容。

「えーっとですねっ、わたし、阿良々木さんのお陰で、無事に地縛霊から浮遊霊へと出世しましたっ。二階級特進というわけですっ」

「那个啊,我多亏阿良良木哥哥的帮助,平安从地缚灵晋升到浮游灵了。连升两级喔。」

「へえ……」  

「耶……」

ドン引き。

我傻眼了。

いくら軽薄なお調子者とは言え、一応は専門家の忍野が聞いたら、あいつでも多分卒倒してしまうだろうと思われる、いい加減というか適当というか、素敵滅法な論理だった。

这马虎又随便的神奇理论,要是忍野听到——就算他再怎么轻浮和得意忘形,好歹也是个专家——他肯定也会晕倒吧。

ともあれ、その子とは積もる話もないではなかったが、とりあえず出席日数のことを常に考えるべき立場にある僕としては、遅刻しないように学校へ行かなくてはならなかったので、ここでは二、三、言葉を交わすだけに留め、「んじゃ」と、サドルに跨り直す。

不管如何,虽然我和这孩子还有许多话可以聊,但我是学生必须要以出席日数为优考量。上课不能迟到,「那我先走了。」所以在这边我聊了两、三句后,重新坐上椅垫。

そこで言われた。

就在此时,

「あの、阿良々木さん。わたし、しばらくはこの辺り、うろうろしていると思いますから──」

「那个,阿良良木哥哥。我想,我暂时会在这附近溜达——」

その女の子から、そんなことを。

女孩对我说了这句话。

「見かけたら、話しかけてくださいね」  

「要是你看到我的话,请过来跟我说话喔。」

だから、まあ。  

所以说,唉呀。

きっとこれは、とてもいい話なのだろう。

这肯定是一件美谈吧。

Footnotes#

  1. キュロット (culottes):[名]スカートの形に似せた婦人用ズボン

  2. さしあたり:[名]先のことはともかく、今のところ

  3. ニュアンス (nuance):[名]言葉などの微妙な意味合い

  4. MIB (Men in Black): 《黑衣人》,1997 年上映的美国电影

  5. 踏み倒す:[動サ五(四)]代金や借金などを支払わないままですます

  6. 甚振る:[動ラ五(四)]おどして金品をとる

  7. 引け目:[名]自分が他人より劣っていると感じること。劣等感

  8. フレンチカンカン:法国康康舞,19 世纪起源于法国巴黎的一种大众娱乐舞蹈,以高踢腿、劈叉等剧烈动作为特色

  9. 取る物も取り敢えず: 大急ぎで。大あわてで

  10. 駄目だし:[名](スル)欠点・弱点などを指摘すること

  11. 与しやすい:[形]相手として扱いやすい

  12. 一本背負い:[名]柔道・相撲で、相手の片手をつかんで肩にかつぎ、背負うようにして前に投げる技

  13. 取っ組合う:[動ワ五(ハ四)]互いに組みついて格闘する

  14. 体操のお兄さん: 体操大哥哥,NHK 的幼儿节目《和妈妈一起》的主持人。

  15. ダッコちゃん: 抱抱君,日本一种小玩具,可以像无尾熊一样抱住东西

  16. 畳み掛ける:[動カ下一]相手に余裕を与えないように、立て続けに行う

  17. あしらう:[動ワ五(ハ四)]相手を軽んじた扱いをする

  18. 十回クイズ: 一种猜谜游戏,先让答题者念一个单字十次,接着出容易让对方误答的题目

  19. しおらしい:[形]控えめで従順である

  20. 誂える:[動ア下一]自分の思いどおりに作らせる。注文して作らせる

  21. ニヒル (nihil):[形動]虚無的。虚無主義的

  22. ほんわか:[副]心がなごんで、気持ちのよいさま

  23. 毒気を抜かれる: ひどく驚かされる。呆然とさせられる

  24. 勘ぐる:[動ワ五(四)]あれこれ気を回して悪い意味に考える

  25. 伊達:[名]人目をひくような、はでなふるまいをすること

  26. 津津浦浦:[名]全国いたるところの港や海岸

  27. 四国八十八箇所:位于四国、与空海(弘法大师)渊源深厚的88处佛教寺院的总称

  28. 西国三十三箇所:供奉观音菩萨、由近畿地方2府4县及岐阜县内三十三处札所寺院与三处番外寺院组成的观音灵场

  29. 廃仏棄釈:明治初期以神佛分离令为开端,政府推行神道国教化而掀起的大规模废佛毁释运动

  30. 大鏡:平安时代后期,以日文、纪传体写成的历史物语

  31. 小泉八雲 (1850-1904): 爱尔兰裔日本作家,现代怪谈文学的鼻祖

  32. 八九寺将むじな说成了なじむ,因此取了与狸同音的梨

  33. 应为 仏の顔も三度まで

  34. しょっちゅう:[副]始終。いつも。常に。絶えず

  35. 应为 なまむぎなまごめなまたまご

  36. あどけない:[形]無心で愛らしい。無邪気である

  37. 大黒天: 应为大黑柱 (家屋を支えるために家の中心付近に立てる柱)

  38. 七福神: 恵比寿えびる、大黒天、福禄寿ふくろくじゅ毘沙門天びしゃもんてん布袋ほてい寿老人じゅろうじん弁才天べんざいてん

  39. クールビズ:日本环境省推动的节能运动,夏天不穿西装、不打领带上班,这样一来冷气就能设定在二十八度,比较能够省电和减少二氧化碳的排放量

  40. 湯湯婆:[名]暖房用具の一。金属・陶器製で、中に湯を入れて寝床や足を暖める

  41. 二の腕:[名]肩からひじまでの間の部分。上膊

  42. 整理券:[名]大勢の人が集まる催し物などで、混乱を防ぐために配る、入場の順番などを記した券

  43. 应为 目から鱗が落ちる

  44. スライダー:[名]野球で、投手の打者に対する投球のうち、投手の利き腕の反対側に横すべりするようにそれていく変化球をいう

  45. 紕う:[動ワ五(ハ四)]死者の霊が成仏できないでいる

  46. 薀蓄:[名](スル)蓄えた深い学問や知識

  47. 更地:[名]手入れがされていない空き地

  48. 靡く:[動カ五(四)]他の意志や威力などに屈したり、引き寄せられたりして服従する

Comments

Profile Image of the Author
永雏多氢菲
∴さて····どこへ行こうか?
公告
随缘分享喵
Music
Cover

Music

No playing

0:00 0:00
No lyrics available
Categories
Tags
Site Statistics
Posts
144
Categories
6
Tags
9
Total Words
2,255,454
Running Days
0 days
Last Activity
0 days ago

Table of Contents