谷崎潤一郎: 细雪(上) 十四

8265 words
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谷崎潤一郎: 细雪(上) 十四
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first published:『中央公論』1943年1月号・3月号
audio: https://www.youtube.com/watch?v=jq4kuLizc5Q
desc: 在大阪船场坐拥百年老店、历史底蕴深厚的莳冈家,鹤子、幸子、雪子、妙子四姐妹交织出百态人情。小说如华美画卷,循着四季流转,细致描绘出昭和十年间关西上流社会的日常光景。

三女雪子是四姐妹中容貌最为出众之人,婚事却屡屡未果,年过三十依旧独身。幸子夫妇为此忧心不已、四处奔走,性格沉默寡言的雪子却对每一门亲事都无意应允,岁月便这般缓缓流逝。

そうこうするうち、月が変って十二月に這入ってからの或る日、本家の御寮人様から電話と云うので、幸子が出ると、先達ての縁談のことについて、大そう調べがおそくなったけれども、漸く大体のことが分ったから、今日此方から出向いて行く、と、そう云って電話を切りかけてから、姉は又ちょっと言葉を継いで、ええ話とは違うさかいに、喜ばんとおいてほしい、と云うのであった。幸子はそう断られる迄もなく、姉の声を聞いた最初の瞬間から、ああ又今度もいけないのだなと感じていたが、電話を切って応接間へ戻って来ると、ひとりでに溜息が出て、安楽椅子へどっと腰を落してしまった。今迄にも幾度こう云うことがあったか知れず、土壇場どたんば1まで来て断るのが殆ど馴れっこのようになっていたので、その都度幸子はそんなにも力を落したことはなかったのであるが、今度はなぜか、格別残念がる程の縁ではないと云う風に思ってみても、心の奥の方で相当に落胆していることが意識せられた。それと云うのが、今迄は自分も本家と同じ意見で、破談に賛成する方の側であったのに、今度は大丈夫纏まるような気がしていたせいなのであろう。何分今度は井谷と云う進行係がいたためもあって、妙に自分達の身の入れ方が違っていた。貞之助なども、今迄は大概埒外らちがいに立っていて、お役目に引っ張り出される程度であったのに、今度はひどく力瘤ちからこぶを入れて斡旋あっせんをしたし、それに、雪子も今迄とは違ったところがあった。ああ云う性急な見合いの申し出にも応じ、二人きりで話したいと云う注文が再度あったのをも承諾し、レントゲンの撮影や皮膚科の診察の件などをも、嫌な顔をせずに聴き入れたと云うようなこと、―――これは従来の雪子には見られない態度と云ってよいのであるが、矢張いくらか結婚を焦る気持が、密かに胸中にきざしている結果の、心境の変化ででもあろうか、それには眼の縁に現れた暗影なども、表面何とも感じていないように見えつつ、実は多分に影響しているのではあるまいか。まあそれやこれや、いろいろの理由から、今度ばかりは是非成立させたくも、またするようにも考えていた次第であった。

不知不觉间又到十二月了。有一天,女佣来说本家的太太来电话了。幸子一接电话,姐姐说:“这门亲事尽管调查晚了一些,总算基本调查清楚了,我这就上你那儿去。” 幸子正要放下话筒,姐姐又说了句:“不是什么好消息,你不要高兴得太早了。” 不等姐姐明说,幸子从开始听到姐姐声音的那一瞬间,就感到这次又吹了。她放下话筒回到客厅,长叹一声,颓然瘫坐在安乐椅上。她已经数不清这种事情有多少次了,总是最后阶段功败垂成。幸子也习以为常了,所以每次她并不十分灰心。唯独这一次,细想起来,这门亲事即使错过了也不值得特别惋惜,但幸子却感到格外沮丧。究其原因,是以往自己和本家的意见一致,都是不赞成的,而这一次她完全以为会成功。这次由于是井谷撮合、推进,幸子夫妇所处的地位也有所不同。贞之助过去一直置身事外,最多只是被拉来跑跑龙套而已,这一次他却尽力从中斡旋。再则,雪子也是一反常态:那样急促的相亲,她也答应;一而再地要求单独谈话,她也同意;照 X 光、看皮肤科这些提议,她也采纳,毫无厌烦的神情。这种态度可说是雪子前所未有的,也许是她急于结婚,心境也有所变化。雪子对眼圈上出现的褐斑,表面上像是满不在乎,实际上心里多少受些影响。总之,由于各种原因,使得幸子认为这次必须办成,也似乎能办成。

それで、幸子は、姉に会って委しい話を聞く迄は、そう云っても何とかなるように思い、全然望みを捨て切ってはいなかったのであるが、話を聞いてみると成る程それでは仕方がないと思わざるを得なかった。幸子と違って大勢の子持ちである姉は、上の子供達が中学校や小学校から帰って来る迄の、午後の一二時間を利用して、―――ちょうど雪子もその日の二時からお茶の稽古に出かけることを知って来たので、一時間半ほど応接間で話しているうちに悦子の帰って来た姿を見ると、ではどう云う風にして断るか、そこの所はあんた等に任せるから貞之助さんとよく相談をしてくれて、と云っていとまを告げたが、

因此,幸子在没见着姐姐听说原委之前,还认为话虽如此,也许还可想些办法,并未完全绝望。但等到姐姐说完详情,她不得不承认事情已无可挽回。和幸子不同,姐姐有很多孩子,只有趁着几个上中学小学的孩子放学以前,利用下午的一两个小时来一趟,并且她知道正好这天下午两点雪子外出学茶道去了。姐妹俩在客厅里谈了一个半小时左右。一见悦子从学校回来,姐姐便说:“那么,怎样去回绝,就交给你们了,你和贞之助仔细商量商量吧。” 说完便起身告辞了。

姉の語るところに依ると、瀬越のお母さんと云う人は、十数年前に連れ合いに先立たれてから、ずっと昔の家屋敷に引き籠ったきり病気と云うことで世間に顔出しをしない、忰の瀬越もめったに帰省することはなく、身の周りの世話は、そのお母さんの実の妹で、矢張未亡人になっている人が任に当っている。病気は表向きは中風と云っているけれども、出入りの商人などに聞いてみると、どうもそうでないらしいふしがあり、事実は一種の精神病で、忰の顔を見ても忰ということが分らないと云った風な性質のものらしい。このことは興信所の報告にもぼんやり匂わしてあったけれども、腑に落ちかねる点があったので、此方からわざわざ人を遣って間違いのないところを調べ上げたのである。、姉はそう云って、折角親切なお人達が何かと心配して話を持って来て下さるのを、本家の私等が毎度壊してしまうように取られるのは心苦しいけれども、決して私等はそんなつもりはない、今日となっては何も家柄だの資産だのに深くこだわる気はないので、実は今度の話などは至極恰好な縁と思った訳であった、私等にしても何とか纏めたいと云う考があったればこそ、人を田舎まで遣って調べたのであるが、外の事と違って精神病の血統があるのでは諦めるより仕様がないではないか、雪子ちゃんの縁談と云うと、いつも何か彼か動きの取れない故障が起ってどうしても断るような羽目になるのが不思議でならない、矢張雪子ちゃんと云う人はそれだけ縁が薄い人なので、ひつじ年などと云うことも迷信とばかり云ってしまえないような気がする、と云うのであった。

据姐姐说,濑越的母亲自从十几年前丈夫去世以后,一直住在那栋旧房子里,因病长年闭门不出,儿子濑越也很少回家探望,由母亲寡居的胞妹照料其生活起居。她的病对外说是中风,而据经常出入她家的商人说不像是中风,实际上是一种精神病,严重到连儿子也不认识。这件事在信用调查所的报告上也曾隐约提及,有些令人难以放心,所以本家特意派人去调查,结果是确有其事。姐姐接着说:“难得一些好心人出于关心来提亲,结果给人的印象像是每次都是本家在作梗,我们也很为难,但是,这决不是我们有意阻挠。事到如今,什么门第呀、财产呀,我们决不想过于拘泥。事实上,我们还认为这门亲事非常理想,正因为想谈成功,才派人到乡下去调查。这不是一般的问题,这可是有精神病的血统呀!只好死了这条心。雪子的婚事,总要遭遇不可逾越的障碍,到头来无论如何都要回绝对方,真让人不可思议!还是雪子妹妹命苦,不能说 ‘未年生人’ 这个说法纯属迷信。”

幸子は、姉と入れ違いに戻った雪子が懐に茶袱紗ちゃぶくさ2を入れたまま洋間に這入って来たのを見ると、ちょうど悦子がシュトルツ氏の庭へ遊びに行っている折なのを幸い、

大姐刚出门,幸子就看见雪子怀里揣着茶道用的小绸巾走进客厅,正好悦子也到舒尔茨家院子里玩耍去了。

「さっき姉ちゃんが来やはったけどな、たった今帰りはってん」と、そう云ってちょっと間を置いてみたが、雪子が例の、「ふん」と云ったきりなので、仕方なしに後を続けた。「あの話、あかなんでんわ」

“大姐来过了,刚才回去的。” 幸子说罢,沉默了一会儿。因为雪子照例只 “嗯” 了一声便没有下文了,幸子无奈,只得接着说:“那件事又不行了。”

「そうか」

“是吗。”

「あのお母さん云う人なあ、………中風病みや云う話やってんけど、精神病らしいねんわ」

“他母亲,说是中风病,可实际上好像是精神病。”

「そうか」

“是吗。”

「それやったら、問題になれへんよってにな、………」

“如果是精神病,那就成问题了。”

「ふん」

“嗯。”

遠くで悦子の「ルミーさん、いらっしゃい」と云う声が聞えて、二人の少女が芝生の上を此方へ駈けて来るのを見ながら、幸子は調子を落して云った。

“露米小姐,来呀!” 远处传来悦子的声音。看见两个小女孩从草坪向这边跑来,幸子压低了声音:

「ま、委しいことは後で云うけど、それだけ耳に入れとくわな」

“哎,详细情况以后再谈,先让你知道这事儿吧。”

「お帰り、姉ちゃん」と、悦子がテラスを駈け上って、洋間の入口の硝子戸の外に立ち止ると、後から来たローゼマリーもその横に肩を揃えて立った。クリーム色の毛織のソックスを穿いた可愛らしい脚が四本列んだ。

“您回来啦,二姨!” 悦子跑过花坛,站在客厅门口的玻璃门外,罗斯玛丽随后跟来了,跟她并排站在一起。四只穿着奶黄色羊毛袜的小脚,可爱地并成一线。

「悦ちゃん、今日は中でお遊び、風が寒いよってに。―――」と、雪子は立って行って、硝子戸を中から開けてやって、「さあ、ルミーさんも這入って頂戴」と、いつもと変りのない声で云った。

“小悦,今天在屋里玩吧,外面风可冷呢。” 说着,雪子走去打开玻璃门,“啊,露米小姐也请进来吧。” 雪子的声调依旧平静如初。

雪子の方はそんなことで済んでしまったが、貞之助の方はそう簡単には納まらなかった。夕刻帰宅した彼は、妻の口から本家の姉が不承知を云いに来たと聞かされると、又今度も断りなのかと、一往不服らしい顔つきをした。貞之助は、今度は井谷に目指されて自分が一番交渉の矢面やおもてに立たされた関係から、この話にはだんだん乗り気になっていて、もしも亦本家が時勢後れな格式論や体面論を持ち出すようなら、自分が出かけて行って、何とか考え直すように義兄や義姉に勧めてみよう、それには、瀬越が初婚であると云うこと、見たところも実際の年齢も比較的若く、雪子と並べてもまあまあ不自然な感じが少いと云うこと、外の点では将来もっとよい縁談があるにしてからが、この二つは惜しんでも余りある点だと云うことを、力説するつもりでいたので、幸子から事情をとっくりと聴き取っても、まだ暫くは断念し切れないものがあった。が、どう思ってみても、これは本家が承知する筈のないことだし、仮に義兄から、それならお前が責任を持つか、そう云う血統のある人と結婚させて、その夫にも、行く末生れるであろう子供にも、絶対に間違いがないと云う保証が出来るかと反問されるとしたら、貞之助にしても不安にならざるを得ない。

雪子这方面就这样了结了,但贞之助却没有这么容易平复。傍晚回家后,他听说本家的姐姐来说了不同意这门亲事,顿时露出不满意的神态,仿佛在抱怨:这次又要拒绝?这一次,贞之助被井谷看中,凡事都和他交涉,他对这门亲事也越来越积极了。如果本家又提出不合时宜的 “门当户对” 论来推搪,他打算尽力去劝说他们改变态度:一是濑越不曾结过婚;二是看上去比实际年龄显年轻,与雪子站在一起也大致般配,即使将来有其他方面条件更好的亲事,这两点也弥足珍贵。因此,听完幸子详细介绍后他仍没完全死心。然而,想来想去,这件事本家是当然不能同意的。假如姐夫反问贞之助:“如果让你来承担责任,让她和一个有这样血统的男人结婚,你能保证她丈夫和未来的孩子绝对不出问题吗?” 那么,贞之助也不免忐忑不安。

そう云えば、去年の春であったか、矢張四十何歳とかで初婚と云う、今度のに似た話があって、而も相当の素封家と云うので、その時は皆が乗り気になって、結納ゆいのう3の日まで取り極めたところ、ふっと或る筋から、相手の男に深刻な関係を結んでいる婦人が附いていて、世間体を胡麻化すために妻を迎えようとしていることが分り、てて取り消したことがあったが、雪子へ向けて持ち込まれる縁談には、突き詰めて行くと、そう云う変に暗黒なものに打つかることが多いのであった。で、そのために一層本家の兄達が用心深くもなったのであるが、それも畢竟ひっきょう此方が余りむずかしいことを云って、不釣合によい相手を求めようとするところから、却って妙な誘惑にかかるようなことにもなるので、考えてみれば、四十を過ぎての初婚の資産家などと云う口は、大概一癖あるものと思って然るべきなのであった。

去年春天谈过一门亲事,与其相似,也是一位四十来岁的未婚男子,家境相当富裕。当时合家欢喜,连订婚的日子都选定了,却突然听到某一方面的消息说,男方和另一女人关系极深,只是娶个妻子以遮掩世人耳目。莳冈家只得慌忙取消了婚约。以往雪子的亲事,到头来总会蹊跷地暴露出诸如此类的阴暗面。因此,本家的姐夫他们也变得更加小心谨慎。归根结底,毕竟女方提出的条件太苛刻,逾分以求,希望匹配十全十美的对象,这样反而容易陷于异常的诱惑之中。想来也是,过了四十岁仍然未婚的财主,当然会有点什么毛病的。

瀬越の場合も、血統の上にそう云う弱点があったので今迄結婚しなかったのかも知れないけれども、しかし此方を欺す考があったのでないことは明かで、恐らく先方にしてみれば、こんなに長い間かかって郷里の方を調べていると云う以上、母のことは分った筈であると思い、当然それを承知の上で話に乗って来ているものと解したのであろう。「身分違い」とか「自分には勿体ない」とか云う謙遜の言葉も、その感激の心持を籠めていたのであろう。今度瀬越氏が大変よい所から嫁を貰うことになったと云う噂が、もうMB会社の同僚の間にも伝わっていて、瀬越自身もそれを否定せず、あの生真面目な人物が近頃は仕事が手につかないでそわそわしている、と云う風な評判も此方の耳に這入って来ているので、貞之助はそんなことを聞くにつけても瀬越が気の毒で、一廉ひとかどの紳士に何の必要もなく耻を掻かしたように思えて仕方がなかった。要するにもっと早く調べて早く断ってしまっていたら、何でもなく済んだものを、先ず幸子の所で停頓ていとんし、本家の手へ移ってからも決して迅速には運ばれていなかった。そして一層悪いことは、その間をつなぐために、この程じゅうから相手に向っては殆ど調べが終っているように云い、なるべく希望を抱かせるような、八九分通り出来る話のような挨拶ばかりしていたことで、これは自分達としても出まかせを云った訳ではなく、纏めるつもりでいたからこそそう云ったのであるけれども、結果から見れば先方に対して非常に罪ないたずらをしたも同然で、この点については貞之助自身、幸子や本家を責めるよりも先ず自分の軽率を責めなければならなかった。

也许是因血统有如此弱点,濑越至今未婚。但很明显,他并未存心欺瞒女方。在他看来,既然已经花了这么长时间到他故乡去调查,应该了解其母亲的病情,当然是在此前提下同意与他交往的。他说的 “身份不同” “配自己委屈了” 之类谦辞,大抵也隐含了一种感激之情。在 MB 公司的同事中间早已有风声流传,说 “这一回濑越攀上了一门好亲事”,而濑越自己也不加否认,还有人说 “那样一位兢兢业业的人,最近竟无心工作,失魂落魄似的”。这些议论也传到女方家人耳中,贞之助听见后,不禁十分同情濑越,总觉得这一次是无端地使这位出类拔萃的绅士丢人现眼。总之,如果早调查、早回绝,这事儿也就无声无臭地了结了。一开始是幸子耽搁了,本家接手以后也没有从速处理。更糟的是,为了拖住对方,在这段时间一直对濑越说调查已基本结束,尽量使其抱有希望,十有八九会成功。贞之助他们并非信口开河,而是希望成全这桩婚事,其结果却是给对方闹了一场恶作剧。对于这一点,贞之助与其责备幸子和本家,还不如首先责怪自己轻率。

貞之助は自分も本家の義兄と同様に養子の身分なので、今迄義妹の縁談などには努めて深く立ち入らないようにしていたのに、たまたま今度渦の中に巻き込まれた事件が、破談になるのは避け難いとしても、自分の不手際もあって関係者に気まずい思いを残すことになり、そうしてそれが、引いては義妹の運命をも今後一層不幸にさせはしないであろうかと考えると、口に出して云うべきことではないけれども、取り分け雪子に済まない感じがした。

贞之助和本家的姐夫虽然同为赘婿,至今为止他尽量避免过分介入妻妹的婚事,偏偏偶尔被卷进这个旋涡;虽然破局难以避免,但自己处理也有失当之处,才给当事人造成了种种不快;而且,是否会使妻妹今后更为不幸呢?一念及此,他感到特别对不起雪子,虽然他没有说出来。

いったい今度のことに限らず、男の方から断るのはよいが、女の方から断ると云うのは、いくら辞柄じへいを婉曲にしてみたところで、男に耻を与えることになるのだとすると、もう蒔岡家は今迄にも随分多くの人たちから恨まれているものと思わなければならない。それが又、いつも本家の姉や幸子たちの世間知らずな悠長さから、散々相手を引っ張っておいてギリギリの所へ来て断ると云う遣り方なのでは尚更であるが、貞之助の恐れるのは、そう云うことが積り積ると、蒔岡家が恨まれるだけでなく、そう云う人達の思いからでも、雪子が仕合せになれなくはないか、と云うことであった。で、さしあたり今度の断り役は、幸子が逃げるであろうことは明かなので、貞之助が、いくらかでも自分の失錯を償う意味から、貧乏くじを引き請けて井谷に会い、何とか諒解を求めるより仕方がないが、でもどんな風に云ったらよいものか。今となってはもう瀬越にはどう思われてもむを得ないとして、井谷にだけは、これから後のこともあるので、悪い感情を持たれたくない。考えてみると今度のことでは井谷も随分時間や労力を費している訳で、この間じゅう蘆屋の宅や大阪の事務所へ足を運んだ回数だけでも少くはない。美容院の経営には大勢弟子を使っているものの、なかなか繁昌はんじょうしているらしいのに、その間を抜けてああ云う風に小まめに奔走すると云うのは、確かに噂のように世話好きなのであろうけれども、一通りの親切や侠気きょうきでは出来ないことで、細かいことを云えば円タクその他の足賃にしても相当遣っているであろう。貞之助は先夜オリエンタルの会の時に、名義は井谷の招待と云うことだけれども、実際の費用は瀬越側と自分達とで分担すべきものと思って、帰りがけにそのことを申し出たのであったが、井谷は、いえ、これは私がお招きしたのですからと云って、何としても応じなかった。しかしどうせこの縁が纏まる迄にはまだ何か彼か橋渡しとして骨を折って貰うであろうし、いずれ引っくるめて礼をする機会があろうと考えて、あの時はそのままにして置いたのであったが、今となってはそれも放って置く訳には行かなかった。

大凡相亲这种事情,也不限于这一次,男方回绝女方倒也无妨,而女方的回绝不论言辞多么委婉,都会使男方感到屈辱。果真如此的话,不得不认为莳冈家迄今已受许多人的怨恨了。再加上本家的姐姐和幸子这些人不谙世事、拖拖沓沓,总是慢慢悠悠地拖着对方,拖到最后再回绝,这种做派更是令事情雪上加霜。贞之助担心,这样日积月累,不仅人们怨恨莳冈家族,而且这些怨恨也可能造成雪子的不幸。贞之助很清楚,幸子肯定会逃避出面回绝对方,而自己多少也有弥补过失的想法,无奈只得自认倒霉去见井谷,请她多加谅解。不过,此话究竟怎么说才好呢?事到如今,濑越有何想法也只能随他去了,可是,往后还有求于井谷,只希望她不要有怨气。为了这件事,井谷也费了不少时间和精力,这一阵子,芦屋的分家和大阪的事务所她都跑了好几次。井谷经营美容院,雇用了很多学徒,生意忙碌,但她还是挤出时间热心奔走,确实像外面风传的那样爱管闲事,但是,这并非一般的好意和热心肠所能做到的。从极小处说,仅是打 “元的” 和其他交通费用她也破费不少。贞之助认为,那天晚上在东方饭店见面,名义上虽说是由井谷请客,实际费用应由濑越和这方面分担。当晚临分手时他曾提及此事,井谷一口回绝说:“那不行!这一次已经说了由我请客,怎么说我也不会答应的。” 贞之助一想,反正这门亲事还得麻烦她,迟早有一并酬谢的机会,当时就搁置下来了,可现在却没理由再拖延下去了。

「ほんになあ、お金では受け取ってくれはれへんやろうし、手土産でも持って行かはるより仕様ないけど、―――」と、幸子は云った。「今云うてもちょっと思い付かんさかいに、こうしやはったらどうやねん。―――あんたは兎に角、何も持たんと話だけして来なさい。お礼は又、後で姉ちゃんと相談して、あたしが何ぞあの人に向きそうなもん持って行きますがな」

“真的呀,送钱吧,她不会接受,只好送点礼品了。不过……” 幸子说,“现在一时也想不出送什么好,你看这样行不行……不管怎样,你什么也不带,光去说一趟。至于送礼嘛,以后和姐姐商量好了,买点什么适合她的东西,由我去送得了。”

「お前はええ役にばかり廻りよる」と、貞之助は不服らしかったが、「そんなら、まあそないしようか」と、結局そうすることに極まった。

“好事儿都轮到你头上!” 贞之助不服气似的说,“那么,就这么办吧。” 结果就这么定了。

Footnotes#

  1. 土壇場: [名] 決断をせまられる、最後の場面

  2. 茶袱紗: [名] 茶の湯に用いるふくさ。茶器のちりを払ったり、茶碗などを観賞する際、その下に敷いたりする絹布

  3. 結納: [名] 婚約成立のしるしに、両当事者かその親が金銭または品物を取り交わすこと

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永雏多氢菲
∴さて····どこへ行こうか?
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