化物語(下): 第五話 つばさキャット 005

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化物語(下): 第五話 つばさキャット 005
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desc: 梳着麻花辫、戴着眼镜的班长 —— 羽川翼。这位曾帮助过阿良良木历的少女,究竟被何种怪异所缠身……?

浪白公園──それが『ろうはく』と読むのか『なみしろ』と読むのか、それともそれ以外の読み方をするのか、僕は未だ知らない。まだ知らないということは、これからも知ることはないだろうが──記念すべきと言うなら、この公園もまた、記念すべき場所と言うべきかもしれない。

浪白公园——我至今还是不知道那到底是念作「ROUHAKU」还是「NAMISHIRO」。现在还不知道,就表示我以后也不会知道吧——但要说值得纪念的话,这公园或许也是一个值得纪念的地方。

あの母の日。

在那个母亲节。

まだ自転車としての形状を保っていた、僕の愛車であるマウンテンバイクでふらふらと辿り着いた、ブランコしか遊具のないこの公園で、僕は散歩中の戦場ヶ原と偶然出会いそしてまた、迷子だった八九寺真宵とも、遭遇したのだから。

我骑着自己的爱车——越野脚踏车(当时它还是一辆好好的脚踏车),漫无目的地来到这座公园。在这座只有荡秋千的公园中,我巧遇了散步中的战场原,同时又遇见了迷路的八九寺。

そして僕は憶えている。

然后,我还记得。

あの日──僕はその二人だけではなく、同じく羽川翼とも、たまたま、出会っていたことを、憶えている。そのとき、羽川は確か、こんなことを言っていた──この辺りは私の地元だ、と。

我还记得在那天……不是只有遇见她们两人而已,我也同样在此遇到了羽川翼。我就住在这附近啊——那时,羽川确实说过这么一句话。

だから、メールによって呼び出された場所がこの浪白公園であることは、偶然でもなければ暗示でもないだろう。単に、さとい羽川が、自分の住んでいる家の近くで、僕にわかる場所ということで、唯一はっきりしている浪白公園を指定したというだけのことだ。その辺の采配さいはいは、なるほど、感心してしまうほどに巧妙だった。

所以,邮件上会要我到这座浪花公园,并不是偶然也没有任何的暗示吧。单纯只因为聪明的羽川,选了一个在她家附近,我唯一知道的一个地标而已。原来如此,这个指示真是巧妙到令我佩服。

そう──

没错。

メールの差出人は、羽川翼だった。

邮件的寄件者,正是羽川翼。

予鈴どころか本鈴もとっくに鳴ってしまっただろう。そうは言ってもよく憶えていない、一度、適当に道なりで行ったことがあるだけの土地勘のない場所のこと、浪白公園に到着するまでには結構な時間を要したが、なんとか一時間目が終わる前には、僕は、広場のベンチに、背中を丸めて小さくなって腰掛けている、羽川の前に、アライバルすることができた。

现在别说是预备铃,上课龄恐怕都已经响了吧。浪白公园我虽然有去过,但详细的位置我却记不太清楚,毕竟先前我只是随意顺着路骑到那里而己,对当地的地理环境并不是很熟悉,因此我花了一段时间才抵达目的地。好不容易我在第一堂课结束前,来到弯腰缩坐在广场长椅上的羽川面前。

羽川は随分と印象の違う格好をしていた。

羽川的穿着和平常的印象大相径庭。

イメチェンとしても過剰なくらい。

就算当作形象改造,也夸张得过头了。

上半身を覆い隠すようなサイズの、薄手の長袖の上着は、えらく裾が長い。そこから伸びるズボンも、かなりだぼだぼだ。色はピンク。外出着にしては派手な彩色だった──いつもは学校指定の無地の白い靴下にスクールシューズの足元は、裸足にサンダルという、お気楽なものだった。

她穿着一件大小能够完全遮掩住上半身的单薄长袖外套,衣摆非常地长。外套下延伸而出的长裤,也相当宽松。颜色是粉红色。以外出服来说,那颜色十分鲜艳——平常总是穿着学校指定的素色袜子和学生鞋的双脚,今天也是裸足配上凉鞋,感觉相当简便。

眼鏡こそそのままだが、三つ編みがほどけている。いや、ほどけているという表現はこの場合誤りだろう、いくら委員長の中の委員長、クラスメイトではなく神に選ばれた委員長とは言え、生まれたときから三つ編みの髪型だったわけではあるまい。ましてこの早朝のことだ──まだ三つ編みに結われていないと、そう言うべきなのだろう。髪を結んでいない状態の羽川を、僕は初めて見る……当たり前のことだが、三つ編みに結ばれていない羽川の髪は、随分と長いように感じる。見た感じ、戦場ヶ原よりも長そうだ。

唯独眼镜还是平常那一副,但麻花辫却松开了。不对,松开这个表现用在这个地方是错误的吧,就算她是班长中的班长、不是被班上同学而是被神选上的班长,她也不是打从娘胎出生后就绑着麻花辫。何况,现在是早上——应该说她现在还没有绑麻花辫才对吧。我第一次看见头发放下的羽川……很理所当然地没有绑麻花辫的羽川,头发感觉起来似乎很长。看起来似乎比战场原还要长。

その髪に、羽川はハンチング帽をかぶせている。帽子をかぶった羽川というのも、初めてだ。

在头发上方,羽川戴着一顶猎帽。我也是第一次看到羽川戴帽子。

「……あ、阿良々木くん」

「……啊!阿良良木。」

そこで、ようやく羽川は僕に気付いた。今まで、自分の身体を抱えるように俯く姿勢を取っていたので、正面にいる僕に気付かなかったらしい。

这时,羽川终于注意到我的存在。刚才她抱着自己的身体低着头,似乎没有发现我就在她的前方。

その表情は、心なし、焦燥している。

或许是心理作用吧,她的表情似乎很焦躁。

ように見える。

在我看来是如此。

「駄目じゃない──自転車で公園に乗り込んできたら。ちゃんと駐輪場があるんだから、そこに停めてこないと」

「你这样不行,怎么可以把脚踏车骑进公园里呢。旁边有停脚踏车的地方,你要把车子停在那里才对。」

出会いがしらに注意を受けた。

我俩一碰面,劈头就是一个指导。

さすが羽川。

不愧是羽川。

「そんなことを言ってる場合じゃないだろうが──大体、学校サボらせといて、今更自転車のことなんて」

「现在不是说那种话的时候吧——而且,学校你都要我跷课了,现在还管什么脚踏车啊。」

「それとこれとは問題が別よ。早く停めてくる」

「这两个是不同的问题。你快点去把脚踏车停好。」

「…………」

むう、頭ごなしな物言いだ。

唔,她的措词不容分说。

忠犬よろしく駆けつけた僕に対して、まずねぎらいの言葉とかはないのだろうか?

对像忠犬一样跑过来的我,你不先说几句慰劳的话来听听吗?

しかしここで僕が文句を言っても始まらない。

可是,此刻我抱怨也没用。

羽川の言うことも確かだ。

羽川说的话也很对。

僕は「わかったよ」と言って、自転車から降り、広場から離れた駐輪場まで、押して歩いた。五月十四日にも見た、錆び付いたボロボロの自転車が、変わらずそこには停められていた。その横に並べて、僕は自転車を置き、鍵をかける。まあ、相変わらず人っ子一人いない公園だし(休日だろうが平日だろうが関係ないらしい)、鍵をかける必要はあんまり感じないけれど……。

「我知道啦。」我说完从脚踏车上下来,牵着车往广场旁的脚踏车停车场走去。五月十四号也有看见的那辆生锈的破烂脚踏车,依旧停在那里。我把脚踏车停在它旁边后,上了锁。不过,这个公园还是一样没半个人(这点似乎和假日或平常日没有关系),我觉得应该没有上锁的必要啦……

広場に戻る。

接着,我回到广场。

ベンチに座っている羽川。

羽川还是坐在长椅上。

……薄手の上着である程度覆い隠されてるけど、あのだぼだぼのズボン、あれってどう見ても、色合いといい生地といい、パジャマだよな……。じゃあ、上着の下も、パジャマか……サンダルもつっかけって感じだし。寝起きの寝覚めに、上着だけを羽織って、そのまま家を飛び出したってところなのだろうか……。

……那件薄外套虽然提供了某种程度的遮掩,但那件宽松的长裤,颜色和布料不管怎么看都是睡衣吧……这样的话,那件外套下面也是睡衣吗……那双凉鞋感觉也很像拖鞋。羽川是刚起床就披着一件外套,直接跑出家里的吗……

「ごめんね、阿良々木くん」

「抱歉呢,阿良良木。」

羽川の前にまで行き至ると、謝られた。

我走到羽川面前后,她向我道歉。

労いの言葉でこそなかったが。

虽然这并不是慰劳的话语。

「学校、サボらせちゃって」

「我害你跷课了。」

「ああ、いや──別に。そんな風に聞こえちゃったか? 皮肉で言ったわけじゃないよ」

「啊,不……也没什么啦。听起来像是这个意思吗?我没有讽刺你的意思。」

「でも、心配しないで──ちゃんと計算してるから。今日の時間割なら、一日、全部欠席しても、阿良々木くん、何の問題もないから」

「不过,你放心——因为我都帮你算好了。今天的课表,就算阿良良木你全部缺席,也不会有任何问题的。 」

「…………」

嫌な計算だ。

好讨厌的计算。

助けを求めるときまで、計算ずくか……。

她就连请求别人的帮助,都要这么精打细算……

やっぱり、ちょっと頭回り過ぎだよな、こいつ。だって、それって、もしも今日の時間割で、僕の出席日数その他の問題と齟齬そごが生じていた場合、僕にああいうメールを送ってはこなかったということになるんだろう?

这家伙果然有一点太聪明了。这也就是说,假如今天的课表会害我的出席日数有问题的话,她就不会寄那封邮件给我了吗?

後先考え過ぎだ。

她实在顾虑太多了。

「……委員長と副委員長が抜けちまって、文化祭の準備はどうするんだ? それも、何か考えがあるのか?」

「……班长和副班长都跷课,文化祭的准备该怎么办?这一点,你也已经想好了吗?」

「阿良々木くんにメールを送ってから、職員室に電話したから大丈夫……保科先生に、今日やるべき作業とその手順は、伝えておいたから」

「我寄了邮件给阿良良木你之后,有打一通电话去教职员室,所以没问题的……我已经把今天该做的事情和步骤,告诉保科老师了。 」

「…………」

如才ねえー。

有够周到。

僕が公園に来るまでの待ち時間を有効活用するその連絡の順序が特に如才ねえー。

特别是她有效活用了我来公园前的这段等待时间,实在有够周到。

「放課後の指揮は、戦場ヶ原さんにってもらうようにしておいたわ」

「放学后的指挥工作,我也已经拜托战场原同学帮忙了。」

「え? それはミステイクじゃねえのか?」

「诶?那应该是一个错误的决定吧?」

あいつは人と一緒に何かをすること、人のために何かをすることが、何より嫌いな女だぞ? 文化祭の準備なんて、恐ろしいくらいそのハイブリッドじゃないか。混ぜるな危険にも程がある。

那家伙可是一个非常讨厌和人共事,以及为别人奉献的女人喔。文化祭的准备这种东西,不就恰好是那两件事情的混合体吗?把它们混在一起是非常危险的。

「戦場ヶ原さん、昨日、サボったからね。その埋め合わせよ」

「因为战场原同学昨天自己先走了。所以要补回来啊。」

「はあん……」

「喔……」

あの傍若無人の戦場ヶ原も、羽川の前じゃ形無しだな……まあ、あいつは今でも、クラスの中での立ち位置は一応深窓の令嬢のままだから、いざ頼まれたら頼まれたで、ちゃんと、役回りくらいはこなしてみせるだろう……。

那位目中无人的战场原,在羽川面前也无法任性妄为啊……唉呀,那家伙至今在班上的定位好歹是个深闰大小姐,既然受人所托,她就会确实扮演好自己的角色吧……

「お前がいい奴でよかったと思うよ。その比類なき計算高さは、悪用すりゃ、どんなことでもできそうだもんな」

「幸好你是一个良民。你那种无人可及的计算能力,要是用在坏的地方应该可以无所不能吧。」

「そうでもないわよ。計算高さって面じゃね……阿良々木くんの携帯電話の、電源が切られているかどうかが、割と危うい賭けだったし。時間的に、校内には這入っているだろうから、電話を掛けて確認するわけにもいかないしね……」

「也不尽然吧。你说我很会计算吗……其实阿良良木的手机有没有开机这点,算是一个很危险的赌注呢。而且刚才的时间你大概已经到学校了,我也不能打电话向你确认。」

「うん? 電源が入っているかどうかは、ワン切り1ででも確認すればよかったんじゃねえか?」

「嗯?手机有没有开机你打电话过来响一声挂掉,不就可以确认了吗?」

「そうしたら、阿良々木くんは律儀にコールバックしてくるでしょ」

「可是那样的话,有礼貌的阿良良木就会回我电话了吧。」

「なるほど。僕の性格はお見通しか」

「原来如此。我的个性已经被你摸透了吗?」

メールを受け取るのはありでも電話を掛けるのはアウトか……微妙な判断基準だ。羽川としても、そこら辺はどうやらぎりぎりの選択だったようだ。そんな暇はないかとも思ったが、この公園に来る途中、信号待ちのときにメールに返信をしておいてよかった。

我可以收邮件,但是打电话就不行……这判断的基准还真是微妙。以羽川来说,传邮件似乎已经是最极限的选择了。刚才我一直在想没那个时间,可是我在来公园的路上,应该趁等红绿灯的时间回信给她才对。

こうなると、八九寺との立ち話も無駄じゃなかったな──あれより早く学校についていたら、教室で携帯電話の電源を切っていただろうから。

这么看来,早上我和八九寺的闲聊也不是白白浪费时间——要是在她传邮件之前我就到校的话,在教室我就会把手机关掉了。

…………。

いや、それはさておき。

不,那些事情先搁在一旁。

着ている服がパジャマだと気付いてしまうと、相手が羽川だとわかっていても、なんだかどきどきしちゃうな……。女の子のパジャマ姿なんて非日常なものを見るのは、これが初体験になるし(妹二名はケースとして除外)。

要是发现对方穿的衣服是睡衣,就算知道她是羽川,还是会让我的心头小鹿乱撞啊……女生穿睡衣这种非日常的光景,我还是第一次看见,这是我的初体验(两个妹妹算是例外)。

惜しむらくは上着だ。ズボンしか、それもその足から先しか見えないのは、画竜点睛がりょうてんせいを欠く……というか、点しかない感じだ。チラリズム2というには、出し惜しみにも程がある。

可惜的是那件外套。现在只有露出长裤,而且也只能看见双脚的部分,就像画龙未点睛一样……应该说现在只有龙眼不见龙形。以小露春光来说,她也太过保守了一点。

この大味の上着を脱がす方法はないだろうか。

有没有办法让她脱掉那件朴素的外套呢?

北風と太陽っぽく。

就像北风与太阳一样。

「なあ羽川」

「我说羽川。」

「何?」

「什么事?」

「いや──羽川様」

「不对……羽川大小姐。」

「さま?」

「大小姐?」

「上着を、こちらでお預かり致します」

「您的外套,请交由我来保管。」

「…………」

うわっ。

鸣哇。

すげえ白けた顔になった。

好可怕的白眼。

大事なお客様を迎えた高級レストランのウエイターに偽装してみたが、シチュエーションが青天の公園の広場では、やはり無理があった。

我试着伪装成在迎接贵宾的高级餐厅服务生,但现在的地点是露天的公园广场,这方法实在太勉强了。

「阿良々木くん」

「阿良良木。」

「はい」

「小的在。」

「怒るよ」

「我会生气喔。」

「……ごめんなさい」

「……对不起。」

強力まっ白まじめ光線だった。

强力炫白认真光线。

土下座したいくらいの気持ちになった。

让我差点没下跪道歉。

「ま、おふざけはこの程度で済ませておいて──何があったんだ? 羽川。メールじゃ、具体的なことまでは書いてなかったけど……やっぱ、あの頭痛か?」

「好了,玩笑就开到这边吧——出了什么事吗?羽川。你传来的邮件上写得不是很详细……是因为那个头痛吗?」

「うん──頭痛……」羽川は、ゆっくりと言う。「……は、もう、ないんだけど」

「嗯——头……」羽川缓缓开口说。 「……已经不痛了。」

「あん? ないのか?」

「嘎?不痛了吗?」

「頭痛は、もう、終わったっていうか……」

「头痛已经停止了,应该说……」

言葉を選んでいる風の羽川。

羽川看似在选择词汇。

選ぶ──と言うより、自分の言いたいことを表現するために、新しい言葉を作らなければならないような、そんな状況に彼女はあるようだ。

与其说在选择词汇——不如说她现在身处的状况,必须创造一个新的字汇才能表达出自己想要说明的东西。

正直、

老实说,

大体、予測はついている。僕としては。

我大致上已经猜到她想说什么了。

「あの──阿良々木くん。ゴールデンウィークのこと、さ。私……思い出したんだけど」

「那个……阿良良木,黄金周的事情啊,我……想起来了。」

「そう──なのか」

「是……是吗?」

頭痛。

头痛。

頭痛の意味──だ。

头痛……所代表的意思。

「いや、そうじゃないのかな。忘れてることがあるのを、思い出したって感じだね……何があったのかは、どんなに頑張っても、ぼんやりとしか思い出せないんだけど」

「不对,不算想起来吧。这种感觉就像是我想起了自己一直忘记的东西一样……那时候发生了什么事情,不管我再怎么努力回想,都只能模糊地回想起一些事情而已。 」

「ああ──まあ、そうだろうな。究極的なところまでは、思い出すのは無理なはずだよ」

「嗯……唉呀,我想也是啦。要全部想起来应该是不可能的啦。」

と言うより、忘れていることを思い出すことさえ、無理だったはずなのだ。羽川は、あの悪夢の九日間を、想起することなど、もうないはずだったのに── 

应该说,她就连要想起自己有忘记什么都没办法才对。羽川应该不可能再次想起那恶梦般的九天才对……

それなのに。

然而,

「今までさ……漠然と、私、忍野さんと阿良々木くんに助けられたってことだけ、わかってたけど……不思議なものだよね。どんな風に助けてもらったかはおろか、何から助けてもらったのかさえ、私、憶えてなかったなんて──おかしな催眠術でもかけられてたみたい」

「至今……我只是模糊记得,忍野先生和阿良良木你救了我而已,真是不可思议呢。别说你们怎么救我的,我就连你们是从谁的手中把我拯救出来的,我都不记得了——这就好像被施了什么奇怪的催眠术一样。」

「催眠術……か」

「催眠术……吗。」

それとは全く違うものだけれど。

实情和催眠术完全无关。

しかし、その考え方がしっくりくるのも確かだ。

但是,她的思考方向完全正确无误。

「まだすっきりはしないけれど──でも、思い出せてよかったよ。忍野さんと阿良々木くんに、これでようやく、ちゃんとお礼が言えるもん」

「现在我还是有点耿耿于怀——可是,能想起来真是太好了。这样一来,我终于可以向你还有忍野先生,好好说声谢谢了。」

「そうか──でも、助けられたってのは違うぜ。忍野いわく──」

「这样啊……可是,我们没有救你喔。照忍野的说法——」

「一人で勝手に助かっただけ──でしょう?」

「我是自己救自己的……对吧?」

「そうだ」

「没错。」

その通りだ。

正是如此。

特に僕は、何もしちゃいない。

特别是我,完全没有帮上忙。

大体、羽川の猫の件に関しては、一番よく働いてくれたのは、忍だからな──もしも羽川が感謝しなければならない相手がいるのだとすれば、それは忍野メメでも阿良々木暦でもなく、金髪の少女、忍野忍だということになるだろう。

而且,羽川的猫事件中,出最多力的人是忍啊——要是羽川有必须要感谢的对象,那应该不是忍野咩咩和阿良良木历,而是金发少女﹒忍野忍才对吧。

「猫」

「猫。」

羽川は言った。

羽川说。

「猫──なんだよね」

「是……猫对吧。」

「………」

「そこは、思い出した──あのときの猫丶丶丶丶丶丶、なんだよね。阿良々木くんと一緒に埋めてあげた丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶──あの猫丶丶丶。うん……そこは、思い出した」

「那边我想起来了——是那个时候的猫,对吧。我和阿良良木你一起埋葬的……那只猫。嗯……那边我想起来了。 」

「そのときは──まだ、お前はお前丶丶丶丶丶だったからな」

「因为那个时候你还是你的关系。」

「え?」

「咦?」

「いや──でも、羽川。僕をこうして呼び出したってことは、思い出したってだけじゃ丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶──ないんだろう?」

「没事——可是,羽川。你把我找出来,不是只因为……你想起来的关系吧?」

いくら、出席日数云々の問題がクリアされていたとしても、それだけの理由で、羽川が僕に学校をサボタージュさせるわけもない。

就算出席日数等问题获得了解决,羽川也不可能因为那种理由就让我跷课。

思い出しただけじゃなく、その先の何か丶丶丶丶丶丶があって──記憶の想起は、本来、そのついででしかないはずだ。

她不光是想到而己,在那之前应该还有某件事情——记忆的恢复本来就只是附赠品而已。

「そうよ」

「对」

羽川は肯定した。

羽川肯定了我的说法。

それにしては、毅然とした態度だった──さすがに、芯の強い奴は違う。一昨日の千石との会話とは、較べるべくもない。

然而她的态度却很毅然决然——内心坚强的人就是不一样。前天我和千石的对话,根本无法与之相较。

「怪異──か」

「怪异……吗。」

怪異。

怪异。

怪異には、それに相応しい理由がある。

每个怪异的出现,都有一个适当的理由。

「そう……だから」と、僕を見る羽川。「阿良々木くんには、忍野さんのところへ、案内してもらおうと思って……忍野さんって、まだ、あの学習塾跡に住んでるんでしょう? それはわかるんだけど、そこまでの道筋が、どうも、わからなくって──」

「对……所以,」羽川望向我。 「我想要请你带我去忍野先生那边……忍野先生还住在那间旧补习班吧?这点我知道,可是我实在不知道该怎么过去——」

「…………」

わからないのではない。

不是不知道。

忘れているのだ。

而是忘记了。

場所が潰れた廃墟となれば、地図で調べるには限界があるからな……古い地図を紐解けば不可能ではないだろうが、急を要するこの事態においては、時間が掛かりすぎる。それよりも、僕にSOSを打った方が早いというわけだ。

要是地点是荒废的废墟,用地图能查到的资料也有限……如果查旧地图,要找到答案也不是不可能,可是在这刻不容缓的情况下,那样太花时间了。所以羽川才会求助于我,因为这是最快的方法。

「道案内、頼んでもいいかしら」

「可以拜托你帮我带个路吗?」

「そりゃ、勿論──」

「这当然——」

断る理由がない。

我没有拒绝的理由。

この時間、この午前中という時間、忍野は恐らく眠っているだろうから、寝込みを訪ねることになってしまうが、そんなことを言っている場合でもないのは確かだ。低血圧なのか何なのか、あんまり寝起きのいい奴じゃないんだが……やむをえまい。

这个时间,在这个还是上午的时间点,现在过去忍野恐怕还在睡大头觉吧,可是现在不是说这种话的时候。虽然那家伙因为低血压之类的缘故,刚起床的脾气不是很好……但也情非得已。

「──勿論だけど、その前に、二、三、質問させてもらっていいか?」

「——当然没问题,不过在那之前,可以让我问两、三个问题吗?」

「え……いいけど、なんで?」

「咦……可以啊,什么问题?」

「怪異に関しちゃ、何かあるたび、忍野に頼りっぱなしだからな。自分達にできることがあれば、自分達でなんとかしようとする姿勢は、保っとかなきゃならないんだ。最終的に丸投げにするにせよ、話の骨子こっし3は整理しておかないと」

「因为每次碰到怪异方面的事情,我都跑去依赖忍野。我们必须养成良好的态度,如果是自己可以解决的事情就尽量自己处理。就算最后要完全麻烦忍野去处理,我也必须先把事情的重点整理好才行。」

「あ……そうだね」

「啊……也对呢。」

納得した風の羽川だった。

羽川似乎认同我说的话。

「いいよ。じゃあ、何でも訊いて」

「好,那你就尽量问吧。」

「頭痛っつってたよな。最近よくあるみたいなことを言ってたけれど、それって、正確にはいつ頃からなんだ?」

「关于头痛的事情。你之前说最近很常头痛,正确的时间是从什么时候开始的?」

「いつ頃……」

「什么时候……」

「お前なら憶えてるだろ」

「你的话应该记得吧。」

「……一ヵ月くらい前──かな。ん、でも、最初はそれほどでもなくって──でも、一昨日と、昨日……両方、阿良々木くんの前でだったけれど、本屋さんと、学校の正門のところで、あった頭痛は……実は、かなり酷かったの」

「……大概一个月前左右……吧。嗯,刚开始还不是很痛——可是,前天和昨天……在书店和学校正门口的头痛,就是阿良良木你刚好都在场的那两次……其实痛得很厉害。 」

「言えよ。そのとき」

「那时候你应该跟我说一声吧。」

「ごめん。阿良々木くんに心配かけたくなかったし」

「抱歉。因为我不想让你担心。」

「……まあ、いいけどさ。じゃあ……ゴールデンウィークが終わって以来、猫に関するエピソードってのはあるか?」

「……过去的事情就算了。那……黄金周结束之后,你有遇到和猫有关的事情吗?」

「猫に関するエピソード?」

「和猫有关的事情?」

「黒猫が目の前を横切ったとか、そういうレベルでいいんだけど」

「例如黑猫从眼前走过之类的小事也行。」

「…………」

眼を閉じて、記憶を探る仕草をする羽川。

羽川闭上眼,举止似乎在回想。

正直、そんなことが、思い出そうとして思い出せるものなのかどうか、わからないが……、まあ、あの戦場ヶ原をして、世界が違うと言わしめるような『本物』だからな……。

老实说,我不清楚那种事情是不是只要回想就能想得起来不过呢,她是连那位战场原都开口承认彼此世界不一样的「天才」啊……

常識で計れば怪我をする。

用常识去衡量她可是会受伤的。

だからこそ丶丶丶丶丶彼女は──怪異に見舞われたのだ。

正因如此,她才会被怪异缠上。

「五月二十七日、夜頃に聞いていたラジオ番組で、ラジオネーム『大熊猫大好き』さんの葉書が読まれていたけれど、それが何か関係あると思う?」

「五月二十七号,我在晚上听了一个广播节目,里面念到一位笔名叫作『超爱大熊猫』的人寄来的明信片,这点是不是有什么关系?」

「……いや、ないと思う」

「……不,我想应该没有。」

すげえ。

太强啦。

わかってたけど、すげえ。

虽然我已经知道她很猛,但这真是太强啦。

「ちなみに葉書の内容はこうだったわ。『漫画やアニメなんかでは気楽そうにもてはやされていますけれど、メイドっていうのは、意外と大変な仕事なんですよ。萌え萌え言っていればいいってものじゃないんです。本当、休む暇なんて全然ないらしいですから。この間、合コンで会ったときに聞いたから間違いありません』」

「附带一提,那个明信片的内容写道:『女仆这种工作,在漫画和卡通里面看起来很轻松又很有人气,其实却意外地辛苦呢。不是那种只要把萌挂在嘴边就可以的工作。事实上,她们好像是全年无休的样子。这些是我上次在联谊过到她们的时候听来的,绝对错不了。』」

「いや、そこまで説明しなくていいから!」

「你不用说明得这么详细!」

「ところで、阿良々木くん、この葉書、何が面白いんだと思う? 私にはちょっとわからないんだけど」

「对了,阿良良木。那张明信片,你觉得哪里有趣啊?我听不太懂呢。」

「えーっと、だから、メイドは休む暇なんて全然ないとか言っておきながら、ちゃっかりお気楽な合コンに参加してるじゃんってところが笑える──って、なんで僕がそんな見も知らぬ『大熊猫大好き』さんの、言葉が足りないギャグのフォローをしなくちゃならねえんだよ!」

「这个嘛,就是啊,那些女仆明明说自己没空休假,结果还很悠哉老练地跑去参加联谊,这里算是一个笑点吧——等一下,为什么我要帮那位素未谋面的『超爱大熊猫』,补充他笑点说明不足的地方啊!」

「ああ。『合コンで会ったとき』の会った相手がメイドだってことなんだ。なるほど、そう聞けば面白いのかもしれないけれど、やっぱり、一回聞いただけじゃ、ちょっとわかりにくいかな」

「啊啊!『在联谊遇到她们的时候』,原来她们是女仆啊。原来如此,这样听起来还挺有趣的,不过只听一次果然还是有一点难懂。 」

「そもそも、よく考えてみりゃ大熊猫は猫じゃなくてパンダだろうが」

「话说回来,仔细想想大熊猫不是猫,是熊吧。」

「うん。そう言えばそうだね」

「嗯。这么说也对呢。」

「他には?」

「还有其他的吗?」

「ん? 他? えっとね、同じ番組で、ラジオネーム『すぶりをするそぶり』さん。『この間、友達三人とトランプで大富豪をしていたときの話です。カードが配られたあとで、そのうちの一人が言い出しました。「あたしの中学校じゃ、4が一番強いカードだっていうルールだったんだけど」』。ふつおた4のコーナーだから多分実話だと思うんだけど、これはどこが面白いの?」

「嗯?其他的?这个嘛,在同一个节目里面,还有一个笔名叫『挥棒的姿势』的人。他来信说:『这是前阵子,我和三个朋友用扑克牌在玩大富豪时的事情。牌发完之后,其中一个朋友突然开口说,以前在他们国中的玩法,最强的牌是 4。』因为那是普通来信闲聊环节,我想八成是真的吧,可是这个哪里好笑了?」

「いや、他にはっていうのは、面白さがわかりにくかった葉書は他にはなかったかって意味で訊いたんじゃねえよ! ちなみにその葉書は、大富豪は8切り5だったり都落みやこおちだったり、ローカルルールが非常に多いという前提条件を理解した上で聞かなくちゃならない話で、そのローカルルールシステムをタテにとって、自分の手元に配られたカードに都合のいいルールをでっち上げた友達がいたっていうのが笑いどころだ!」

「不对,我不是在问你还有没有其他笑点很难懂的明信片!顺便再告诉你,要听懂那封明信片,必须要先知道大富豪有很多例如:8 切牌或一落千丈之类的地方规则,笑点就在于他想说自己有一个朋友,企图拿那种地方规则来当挡箭牌,配合手上的牌捏造出对自己有利的规则!」

「ああ、なるほど。さすが阿良々木くん」

「啊!原来如此。真不愧是阿良良木。」

「こんなことで感心されても嬉しくない……ああ、あと、『すぶりをするそぶり』っていうラジオネームも、『すぶり』と『そぶり』が、漢字で書いたら同じだっていう細かい洒落になってるから」

「因为这种事情被你佩服,我根本高兴不起来……啊,还有『挥棒的姿势』这个笔名也是,『挥棒』和『姿势』两个汉字写起来都一样。这也算是一个小小的俏皮话吧」

「あ、でも、阿良々木くん、その番組、そんなわかりにくい葉書ばかり読まれてるわけじゃないんだよ。普通に面白い、こんな葉書もあったわ。さっきのと同じふつおたのコーナーだからこれも実話ね、ラジオネーム『林檎をむいて歩こう』さん。『先日、友達と二人でレンタルビデオ店に行きました。わたしは三年ほどまえに放映された某連続ドラマのDVDを借りようとしたのですが、全十三巻のそのドラマ、八巻が他の人に借りられていたので、七巻までしか借りることができませんでした。最終回近くが面白いと聞くドラマだったので、とても残念でした。ないのは八巻だけで、九巻から十三巻まではちゃんと揃っているのに。「七並べで八を止められている気分だよー」と言うと、友達は言いました。「今頃、八巻を借りてる人はほくそ笑んでるんだろうね」』。なんて、あはは、八巻を借りてる人の方は七並べみたいだなんて思ってないって」

「啊,不过阿良良木,那个节目念的明信片也不是全部都很难听懂喔。也有这种还不错笑的来信。有一封信和刚才那两封是同一个节目的东西,所以也是真实的故事吧。有一个笔名叫『削苹果前进』的人来信说:『前几天,我和朋友两个人去录影带出租店。我原本想要借大约三年前电视演过的一部连续剧的 DVD,可是那部全十三集的连续剧,第八集被其他人借走了,所以我只好先借到第七集。听说那部连续剧越是接近尾声越精彩,所以我觉得很可惜。被借走的只有第八集,九到十三集明明都还摆在架上的说。所以我就说:「这就跟玩牌七的时候,在七就断尾的感觉一样啊。」我说完后,朋友就接着说:「现在借走第八集的人大概在暗爽吧。」』啊哈哈!借走第八集的人根本不觉得自己在玩牌七啊。 」

「確かにそれは面白い話だけど、ラジオの話はもういいんだよ!」

「这的确还满有趣的,不过广播的事情已经够啦!」

閑話休題。

言归正传。

とにかく。

总而言之。

猫に関する記憶を探って、その程度のことしか思い当たらなかったということは、やはり、今回の件は、前回の残滓だと、そう考えるべきか。

她回想有关于猫的记忆,只能回想起那种程度的事情,就表示这次的事件我应该要把它当作是,上次的余灰来思考吗。

べきだろう。

八成没错吧。

「じゃあ、羽川。次の質問だ」

「好,羽川。下一个问题。」

「うん」

「嗯。」

「その帽子」僕は言った。「脱いでくれるか?」

「那顶帽子,」我说。「你可以把它脱掉吗?」

「……それは──」

「……那——」

羽川の顔つきが変わる。

羽川的表情骤变。

「それは、質問じゃないよ、阿良々木くん」

「那不是问题吧,阿良良木。」

「そうだな」

「说得对。」

「そうだよ」

「就是啊。」

「羽川様。帽子を、こちらでお預かりします」

「羽川大小姐。您的帽子,请交由我来保管。」

「阿良々木くん」

「阿良良木。」

「はい」

「小的在。」

「怒るよ」

「我会生气喔。」

「怒れよ」

「你就生气啊。」

羽川の剣幕にひるまずに、僕は言う。

我不畏惧羽川气势汹汹的样子。

「怒りたきゃいくらでも怒ればいい。なんなら、嫌ってくれても構わないぜ。僕にとってはお前との友情よりもお前に恩返しをすることの方がずっと大事だ」

「你想生气就尽管生气。要不然你要讨厌我,我也不在乎。对我来说,我能不能报答你这件事,比我们之间的友情还要来得重要。 」

「恩返しって……」

「什么报答……」

羽川の声が少し小さくなる。

羽川变得轻声细语。

僕の言葉に気まずさを感じているかのようだ。

我说的话似乎让她觉得尴尬。

「何のことを言ってるのよ」

「你在说什么啊。」

「春休みのことを言ってるんだ」

「我在说春假的事情。」

「あれは──でも、あんなの、やっぱり……それこそ、阿良々木くんが、一人で勝手に、助かっただけ──なんでしょう?」

「那件事——可是,那件事情才是……怎么看都是阿良良木你自己救自己的吧?」

「違う。それでも忍野はそういうかもしれないけれど、僕は、お前に助けられたと思っている。お前は、命の恩人だ」

「不对。忍野可能会这么说吧,可是我一直觉得是你救了我。你是我的救命恩人。」

僕は言った。

我说。

やっと言えた、そんな感じだった。

总算说出口了——这句话正是我此刻的感觉。

そうだ。

没错。

ちゃんとお礼が言えるのは──僕の方だ。

要好好道谢的人……是我才对。

「その恩が返し切れるなんて思ってない。だけど、お前のために何かさせて欲しいんだ。お前のためにできることは、僕は全部やるんだよ。その結果だったら、怒られても嫌われても、我慢できるさ」

「我不认为你的大恩我可以报答得了。可是我想要为你做些什么。只要是为了你,能做的我都会去做。就算最后你会骂我、讨厌我,我都可以忍受。 」

「我慢ね」

「忍受吗——」

羽川は──少しだけ、笑った。

羽川……微微莞尔。

いや、泣いたのかもしれない。

不,或许她在哭泣吧。

わからなかった。

我也不明白。

「生意気なこと言うじゃない」

「你说这话还真臭屁呢。」

「そうか?」

「是吗?」

「阿良々木くんの癖に、生意気だぞ」

「明明是阿良良木,还敢这么臭屁。」

「……それはガキ大将の台詞だぜ?」

「……你那是孩子王的台词吧?」

優等生の言うようなことじゃない。

优等生不应该说这种话。

そうね、と言って羽川は──

也对——羽川说。

「笑わないでよ」

「你不要笑我喔。」

と。

接着,

帽子を脱いだ。

她脱下了帽子。

「……………………………………………………………………………………………………………………」

猫耳だった。

是猫耳。

羽川の小さな頭から、可愛い猫耳が生えていた。

羽川小小的头上,长了一对可爱的猫耳。

僕は、黙って、下唇を嚙む。

我沉默不语,咬住下唇。

血が滲むほどに。

紧咬到快要渗出血来。

……笑うな……。

……不准笑……

シリアスに決めたばかりなんだ、絶対に笑うな……。もっともらしい綺麗ごとを言って相手をその気にさせた挙句、いざ相手が乗ってくると大爆笑して笑いものにするという、漫画などでは定番のギャグがあるが、僕はそういうことだけはするまいと、堅く誓っているんだ……。

我才刚决定要严肃看待这件事情,绝对不能笑……说一些很正经的好听话让对方开心,再趁对方当真的时候,一阵大爆笑把对方当成笑柄——这是漫画之类的东西常见的搞笑方式,但我已经在内心发过誓,唯独这类的举动自己绝对不会做……

しかし、この猫耳、羽川の、きっちりと揃えられた前髪と、本当にあつらえたように、よく似合っている。ゴールデンウィークのときにも思ったけれど、なんというか、猫耳をつけるために生まれてきたような女だ……。

可是那对猫耳真的就宛如订做的一般,和羽川平整修齐的浏海十分相配。黄金周的时候我也有想过,该怎么说呢,她仿佛就是为了戴猫耳而出生的女性……

もっとも。

话虽如此。

ゴールデンウィークの悪夢の際には、羽川のままで猫耳だったことはないから丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶──この破壊力は絶大だった。そうか、この場合丶丶丶丶、猫耳の毛色は、髪と同じ、黒になるんだな……。

这次和黄金周的恶梦时不同,是羽川本尊配上猫耳——这股破坏力可说是绝大无比。原来,在道状况下,猫耳的毛色和头发一样是黑色啊……

だからと言って笑うなよ。

可是我千万不能笑啊。

本気で嫌われるぞ。

她真的会讨厌我。

構わないといいはしたものの、やっぱりできることなら、羽川からは嫌われたくはない。命の恩人に、そうでなくとも善良な人間に嫌われるというのは、かなり凹む事実だ。

虽然刚才我说自己不在乎被讨厌,但如果可以的话,我还是不希望羽川讨厌我。被自己的救命恩人——就算不是,她也是一个心地善良的人——讨厌,会让人备感挫折。

「も、もういい?」

「可、可以了吗?」

恥ずかしそうにいう羽川。

羽川害羞地说。

頰を染めて、割とレアな表情だった。

她羞红着脸颊,表情相当难得一见。

しかも猫耳!

而且还是猫耳!

「あ、ああ……うん。ありがとう」

「可、可以了……嗯。谢谢。」

「なんでお礼なのよ」

「你干么说谢谢啊。」

そう文句を言いながら、帽子をかぶり直す羽川。目深にかぶって、僕の方を見ようともしない。神原の左腕を見せてもらったときや、千石の身体を見せてもらったときと、状況は似ているが……でも、羽川の猫耳は、そういうものとは次元が違った。

羽川一面抱怨,一面将帽子戴了回去。她将帽沿深戴,不肯多看我这里一眼。神原和千石让我看左手与身体的时候,也是类似的状况……不过,羽川的猫耳和她们是不同次元的。

お礼を言いたくもなってしまう。

会让我不由得想要道谢。

本当にありがとう。

真的很感谢。

「けど……うん、わかったよ。やっぱ、ゴールデンウィークの続きって感じだな。終わってなかったっていうか……」

「可是……嗯,我知道了。果然,这是黄金周的延续吧。还是应该说事情还没解决呢……」

頭痛は、猫耳が生えてくる痛みだったんだな。

头痛是猫耳长出来时的痛楚。

わかりやすいといえばわかりやすい。

要说浅显易懂,的确很浅显易懂。

親知らず6が生えてくるようなものだ。

这状况就跟智齿长出来的时候一样。

「ゴールデンウィークの続き……私が忘れている──こと、よね」

「黄金周的延续……是我忘记的……事情对吧。」

「忘れたまんまの方がいいよ」

「你还是忘掉比较好。」

「うん、そうなんだとは思う……けど、記憶の辻褄があわないっていうのは、なんていうか、とても気持ちが悪いの。すっぽり抜け落ちてる、欠落感があって」

「嗯,我也是这么想……可是,记忆前后矛盾的感觉,该怎么说呢,让我觉得很不舒服。有一种完全脱节的,欠缺感。 」

それは欠落感じゃなく。

那不是欠缺感。

喪失感──だと思う。

我想……那应该是丧失感。

「まあ、言っちゃ何だけど、僕はちょっと安心したよ。それならそれで──対処のしようがある。羽川の記憶にはなくとも、僕にとっちゃ、既に一度経験したことだからな。それを繰り返せば、無事に解決する。今度はより念入りに、入念に──だ」

「我这样说也很奇怪啦,不过我稍微放心了。如果是上次的延续……那就有办法处理了。就算羽川你已经不记得了,但对我来说,我已经有过一次处理的经验了。只要再用一次那个方法,事情就能平安解决。这次我会更谨慎、更细心的。」

「そう──なんだ」

「这样……啊。」

そう聞いた途端、露骨な安堵を見せる羽川。

羽川听我说完后,明显露出了放心的神情。

まあ、そりゃ、記憶も一緒にいくらか戻っているとは言え、朝起きたら突然頭から猫耳が生えていたりしたら、誰だってパニックに陥るよな……。パジャマのまま家を飛び出しても無理はない。

就算她稍微想起了一些东西,早上一起床发现头上突然长了一对猫耳,不管是谁都会陷入恐慌状态吧……她会穿着睡衣夺门而出,也不无道理。

そういうとき──

因为,过到这种状况时——

羽川は、家にこもれないのだ。

羽川无法在家闭门不出。

「よし。じゃあ、話も整理できたし、忍野のところにゆくとしよう。……まさか羽川、自転車の二人乗りは法律違反だなんて、そんなこと、言わないよな?」

「好。那么前因后果也已经整理好了,我们去忍野那边吧……羽川你该不会说脚踏车双载是犯法的之类的话吧?」

「言いたいところだけれど」

「我是很想这么说啦。」

羽川はベンチから立った。

羽川从长椅上站起。

「見逃してあげる。阿良々木くんに学校サボらせたのと、これとで、チャラね」

「不过这次就放过你吧。我害阿良良木你跷课的事情,这样就扯平了。」

いや、それでチャラになるのはおかしくないか?

不对喔,这种扯平方式很奇怪吧?

両方お前の都合じゃん。

这两件事都是因为你的关系吧。

意外とあざといことをするな、こいつ……。

这家伙很意外地也会耍小聪明呢……

というより、これは羽川一流のジョークだろう。

或许应该说,这是羽川流的玩笑吧。

照れ隠しと言ってもいいかもしれない。

要说这是一种遮羞的方式也行吧。

「肩でも貸そうか? 疲れてるみたいだけど」

「我把肩膀借给你吧?看你好像很累的样子。」

「大丈夫。言ったでしょ? 頭痛はもうないから……疲れてるのは、精神的に疲れてるだけよ。身体の方は、いつもより調子がいいくらい」

「没事的。我刚才说了吧?我的头已经不痛了……会累是因为精神上的疲劳。身体方面的状况,甚至比平常还要好呢。 」

「あっそ」

「是吗。」

まあ、猫だからな。

毕竟是猫嘛。

神原の猿のときも、そうだった。

神原的猿猴那次,也是同样的情况。

自転車置き場まで移動して、かけておいた鍵を外し、まずは僕がサドルに跨り、続いて羽川が、後部座席に座った。

我们走到脚踏车停车场,解开车锁后,我先行跨上坐垫,接着羽川坐上了后座。

羽川の腕が僕の胴に回されて、ぎゅっと。

然后,羽川的手环住了我的身体,

密着する。

身体和我紧紧密合。

「………………」

げえ……。

耶……

柔らかい……!

好柔软……!

そして大きい!

而且好硕大!

背中に感じる二つの感触が、僕の心を容赦なく攻め立て、搔き立てる……、白状してしまえば、相手が命の恩人の羽川翼でなければ、そして僕に彼女がいなければ、更にその彼女が戦場ヶ原ひたぎでさえなかったら、この場で理性を失っていたと断言できるくらいの衝撃だった。

背后传来的两粒触感,毫不留情地挑动了我的心灵,对其穷追猛打……说实话,倘若对方不是我的救命恩人羽川翼,而我没有女友,再加上女友不是战场原黑仪的话,我敢断言这股冲击会让我当场失去理性。

隠れ巨乳、羽川翼。

隐性巨乳,羽川翼。

そうだ、こいつ、校則通りの至って地味な扮装ふんそうしているから気付かれにくいけれど、すごい身体してんだよな……僕はゴールデンウィークに、嫌というほど、それを知ったのだ。以前、戦場ヶ原を、同じこの自転車の後部座席に座らせたものだったが、さすがにあの女は心得たもので、その位置に座りながら、持ち前の絶妙のバランス感覚で、ほとんど僕に触れていなかったから……。

原来,这家伙总是遵照校规打扮得很素雅,所以旁人不易察觉,其实她的身材非常惊人啊……这点在黄金周,我已经清楚到快要生厌的地步。先前,我也让战场原坐过后座,不过她实在很小心,坐在后座时凭借着天生的绝妙平衡感,几乎没有碰触到我……

当時は付き合ってもなかったし。

毕竟我们当时还没交往。

そこへいくとこの羽川翼は、その所有する倫理観・道徳観の下、交通安全を遵守じゅんしゅするために、全身を僕に任せてくるから、はっきり言って、洒落にならない。

从这一点来看,这位羽川翼则是因为自身的伦理和道德观,为了遵守交通安全的规范,而将整个身体托付给我,老实说,这可不是开玩笑的。

そして、戦場ヶ原のときは僕は詰襟を着ていた。今は夏服、半袖のカッターシャツである。この違いは、実際問題、かなり大きいだろう。しかし、それでも、それだけのことで、こんなに柔らかく感じるものなのか……? 夏服というなら、一昨日、千石を後ろに乗せたときも僕は夏服だったのに……いや、千石の場合は、元々の身体の凹凸が地味だというのもあるんだろうけれど。

而且,战场原的时候我是穿立领装。现在是夏季服装,短袖衬衫。这个差异所衍生出的实际问题,相当地大。可是,光是这样就会有如此柔软的触感吗……?要说夏季服装的话,前天我载千石的时候明明也是穿这样啊……不,或许这和千石的身材,原本凹凸的程度就很不起眼也有关系吧。

あ、と僕は気付く。そうだ、僕がカッターシャツの下に何も着ていないように、上着の下はパジャマだから……、ひょっとして羽川さん、ブラジャーつけてないんですね。

啊!此时我注意到一件事。对了,就跟我的衬衫下什么都没穿一样,而她的外套下是穿睡衣……所以羽川同学该不会没穿内衣吧。

うわあ……。

呜哇……

人間、生きてればこんなことがあるんだ……。

人类只要活着,就会遇到这种好康的事情……

「阿良々木くん」

「阿良良木。」

「ん?」

「嗯?」

「自転車降りたら、話があるからね」

「等一下到了之后,我要跟你聊一聊。」

「………………」

戦慄の台詞だった。見抜かれまくっている……。

好一句令人战栗的话语。完全被她看穿了……

薄いなあ、僕。

我还真是肤浅啊。

「ま、まあ、それはさておき、行くぞ。落ちないようにしっかりつかまって……」

「总、总之那个先不管,我要骑啰。你抓紧一点,不要掉下去了……」

って!

等一下!

なんで誤魔化そうとして墓穴掘ってんだ!?

我原本想打马虎眼,怎么会变成自掘坟墓呢!

駄目だ、この状況でいつもの調子は出せない!

没办法,在这种状况下我无法拿出平常的风格!

自らあり地獄に嵌っていく僕に対し、羽川は静かだ。

和主动让自己陷入泥沼中的我相比,羽川则是很安静。

静か過ぎる。

安静过头了。

もう何も言わない。

她不再开口说话。

「……じゃ、じゃあ、出発します」

「……那、那我们出发吧。」

結局、そんなおどおどした言葉で、僕は自転車のペダルを漕ぎ始めることになった。二人分の体重なので、ペダルが幾分重くなる。まあ、こういうケースで、定番のやり取りといえば、それを『意外と重いんだね』なんて羽川に指摘して、彼女を怒らせるという例のあれだが、それも僕はやらないことに決めている。

最后我丢下这句战战兢兢的话语后,开始踩动踏板。现在是两人份的体重,所以踏板也重了几分。这种状况下说到基本款的对话嘛,就是故意对羽川说:「原来你还满重的嘛。」逗她生气,不过我也已经决定不用这一招。

それに、重いというほどではない。

况且,也还没到重的地步。

忍野と忍が住む学習塾跡までは、それほど時間はかからない──二人乗りでも、僕が全力でとばせば、一時間とかからないだろう。……段差があるたびに、僕の背中がものすごいことになるのだが、それについてはなるたけ意識しない方向で行く。アスファルトの地面、わざと段差のある部分を選んでハンドルをコントロールしたりはしない、僕は紳士しだ。いや、しかし、どうだろう、わざと段差を選ぶのはよくないが、進んでいるコースにたまたまある段差をあえて避けないというのは、紳士としてはセーフなのか……?

要到忍野和忍居住的旧补习班,不会花太多的时间——就算是双载,只要我全力疾驶,应该花不到一个小时吧……每过到凹凸的路面,我的背后就会开始天人交战,但我决定尽可能不去意识它。骑在柏油路上,我也不会刻意选择凹凸不平的地方走,我是一个绅士。不对,可是该怎么说呢,故意选不平的地方走的确不好;但是在行进路线上,偶然碰到不平的地方我也不会去闪避,这样还能算是绅士吗……?

「大変だよね、阿良々木くんは」

「你还真辛苦呢,阿良良木。」

羽川が、しばらくしたところで──恐らくは人生初めての、そうでなくとも六歳を過ぎて7からは初めてだろう二人乗りに、ある程度慣れただろうところで、僕に向かって、そんなことを言ってきた。

羽川过了一会后——恐怕这是她人生首次,就算不是也是在过了六岁以后的第一次双载——等到她稍微习惯后,对我如此说道。

「色んな人の、色んな面倒、見なくちゃいけなくって」

「因为你要照顾许多人的各种事情。」

「色んな人?」

「许多人?」

「戦場ヶ原さんとか、真宵ちゃんとか、神原さんとか、昨日の女子中学生、千石ちゃんとか……、あはは、女の子ばっかし」

「像是战场原同学、真宵小妹妹、神原同学,还有昨天的国中女生千石……啊哈哈,都是女生呢。 」

「うるせえよ」

「你啰嗦。」

「全部──怪異がらみだったんだね。思い出した」羽川は言った。

「全部……都跟怪异有关吧。我想起来了。」羽川说。

それは、思い出したというより、思い至った、のだろうけれど。

那与其说是「想起」,毋宁说是「想到」比较贴切。

「なんだか、まだ中途半端な感じだけど……、そうよね。戦場ヶ原さん、そんな急に、病気が治ったりするわけないよね……」

「虽然还不是很彻底……也对。战场原同学的病,不可能好得那么突然吧……」

「…………」

「始まりは、春休みに阿良々木くんが吸血鬼に襲われたところ、か……あそこから全部が始まったんだね」

「一开始是春假的时候,阿良良木被吸血鬼袭击吗……从那时候一切就开始了对吧。 」

「怪異自体はずっと、当たり前のようにそこにあるものであって──ある日突然、現れたわけじゃない、らしいけどな」

「怪异本身,似乎是一种理所当然的存在;而不是某天突然跑出来的东西。」

専門家、忍野メメに言わせれば、だけど。

让专家——忍野咩咩来说的话,就是如此。

「阿良々木くん……知ってる?」

「阿良良木……你知道吗?」

「知ってるって、何を」

「知道什么?」

「吸血鬼の特性の一つなんだけどね──魅了って言って、吸血鬼は人間をとりこにしちゃうんだ」

「吸血鬼有一个特性啊,叫做夺魄,可以把人类变成自己的俘虏。」

「虜?」

「俘虏?」

魅了という言葉は知らないが、えっと……、それは、血を吸って、仲間を作るという話か? 僕が忍からされたように?

夺魄这个词我不知道,不过,我想想……就是吸血制造同伴的那个吗?就跟忍对我做的一样?

そう言うと、

我说完,

「ううん」と、羽川は首を振る。

「不是。」羽川摇头。

首を振ったのが、背中の感触でわかる。

藉由背后的触感,我可以知道她在摇头。

「その有名な特性とは、似ているけどちょっと違って……、血は吸わないの。それこそ、催眠術みたいなものなのかな……、その目で見つめることによって、異性を虜にするのよ。吸血鬼と人間って種族が違うから、異性っていう言い方が、この場合適切かどうかはわからないけれど」

「它和吸血那个有名的特性很像,可是有点不一样……夺魄不用吸血的。那就像催眠术一样吧……光是用眼睛凝视对方,就能够把异性变成俘虏。吸血鬼和人类是不同种族,所以我不知道这个场合,用异性这个词是否恰当啦。 」

「ふうん。けれど、それがどうした?」

「嗯——可是那有什么关系吗?」

「別に。でも、ちょっと思ったの」

「没有啊。不过,我稍微想了一下。」

声を沈めて、羽川は言った。

羽川用低沉的声音说。

「ここのところ、阿良々木くんが、女の子にモテモテなのは、そういうのも関係してるのかなーって」

「最近,阿良良木会受女生欢迎,会不会和那个特性有关呢。」

「………」

魅了。

夺魄。

吸血鬼の特性。

吸血鬼的特性。

そうか、僕は、もう吸血鬼じゃないとは言え、それは十分に考えられるかもしれない。いつか八九寺と話した、ギャルゲーの主人公云々の話ではないが……そういう現実的な理由付けは、可能だ。

这样吗,虽然我已经不是吸血鬼,但这点或许十分有可能吧。这和先前八九寺举的例子:美少女游戏的主角之类的不同……而是一个可以用实际的理由来说明的例子。

さてこそ羽川。

真不愧是羽川。

ものの見方が違う。

看待事物的观点就是不一样。

けれど──だとすると、それは嫌な話だ。

但是……如果真是如此,那还真是讨厌啊。

だって、それが本当だとすると、今僕が、戦場ヶ原ひたぎと付き合っていることの意味が、全く様変わりしてしまいはしないか──

因为,如果她说的是事实,那现在我和战场原黑仪交往的意义,不就完全变了一个样吗——

八九寺とあんなに楽しく話せるのも。

和八九寺之间的欢谈也是。

神原があんなになついてくるのも。

与神原之间变得如此亲近的事情也是。

それに千石のことだって──

还有千石的事情也——

「……ごめんね」

「……抱歉。」

羽川が言う。

羽川说。

「今、私、意地悪なこと言ったよね」

「我刚才说了很坏心的话呢。」

「別に──そうでもないだろ。むしろ納得したくらいだぜ。なるほど。考えてみれば、去年までの僕は、かなり本気で一人も友達がいないくらいだったしな──思い出すぜ、携帯電話のアドレス帳に、誰も登録されていなかったあの時代を……」

「没……那种是吧。你反而让我恍然大悟了。原来如此。现在想想,到去年为止,我真的连半个朋友都没有——现在我想起来了,有一段时间我手机的电话簿里面,连一支电话都没有呢……」

全部覚えてられたんだもんな。

真亏我还能记得。

今はもう、ちょっと無理。

现在要我变回那样有点没办法了。

「魅了ね。なるほど。お前は何でも知ってるな」

「夺魄吗。原来如此。你真是无所不知呢。」

「何でもは知らないわよ」

「我不是无所不知。」

羽川は言った。

羽川说。

「何でもは知らないわよ──何にも、知らない」

「我不是无所不知——我什么都不知道。」

「…………?」

あれ?

咦?

なんか、いつもの台詞と、違う?

这句话好像跟平常不太一样喔?

しかしその疑問を口にする前に、

不过,在我要发出疑问之前,

「春休みに私と会ったときには、もう、阿良々木くんは吸血鬼──だったんだよね」

「我们在春假相遇的时候,阿良良木你已经是……吸血鬼了对吧。」

と、羽川は言ってきた。

羽川又接着说。

「ああ。正にその渦中、もどきでもなんでもない、正真正銘、真性のリアル吸血鬼だった頃だな。はは、じゃあ、お前も案外、僕に魅了されちゃってたりして──痛い!」

「是啊。那时我正身处事件的漩涡之中,不是什么类吸血鬼,而是货真价实的正牌纯吸血鬼。哈哈,那你搞不好也被我夺魄了——好痛!」

僕の胴に回された羽川の腕が圧力を増した。

羽川环住我的双手,突然施加了力量。

これはサバ折りという相撲の技じゃないのか!?

这招不就是名为「鲭折」的相扑招式吗?

「いいえ阿良々木くん。サバ折りは正面から掛ける技だし、相手に膝をつかせるのが目的であって、内臓を潰すことを目的とはしてないわ」

「不对,阿良良木。鲭折是从正面施展的招式,而且主要目的是让对手跪下,不是捣烂对方的内脏。 」

「そうなのか、物知りだな……って、内臓を潰す!?」

「原来如此,你还真是万事通呢……等一下,捣烂内脏!」

今羽川が戦場ヶ原みたいなこと言った!

刚才羽川说了一句战场原才会说的话!

女は怖い!

女人真可怕!

この上、でもこの技、背中に大きな二つのクッションがあるからそこまでの威力はないという事実にまで羽川が気付いてしまったら、僕は一体どうすればいいんだ!?

而且,要是羽川发现她这招因为我背上的两颗安全气囊,而没有发挥太大的威力的话,那我该怎么办才好!

というか、これは僕が悪かった。

话说回来,这是我的错。

状況も弁えず、不謹慎なことを言った。

因为我分不清楚状况,说了不经大脑的话。

現在、羽川の心理状態は、かなり不安定なはずなのだ──中途半端に記憶が戻ってしまった所為で、その欠落とその喪失を埋め合わせようと、色んな、本来考えなくてもいいようなことを、考えてしまっているはずだ。

现在,羽川的心理状态应该非常不稳定——由于记忆恢复得不够完全,她为了要填补欠缺和丧失的部分,而想了一堆本不用去伤脑筋的事情。

まともに頭が働かなくても無理はない。

就算她的脑袋会转不过来也是很正常的。

さっきは、そんな状況にありながらも、僕の出席日数や文化祭の準備などを気に掛ける、羽川の計算高さに感心したが、しかし、よくよく考えてみれば、僕に忍野の住む廃墟、学習塾跡への道案内を頼みたいだけだったなら、それはメールのやり取りだけで十分なのだ。道順をメールで送って欲しいと要請するだけでいい──何も僕に学校をサボらせてまで、遠く離れた公園にまで、呼び出すことはないのである。

刚才她处于那种状况下,还能够挂心我的出席日数和文化祭的准备,羽川的计算能力之高令我佩服;不过,仔细来思考的话,如果她只是想拜托我带她去忍野住的旧补习班,那靠邮件联系就足够了。她只要拜托我把路线用邮件传给她即可——根本没必要让我跷课,也不用把我叫到位于远处的公园。

なのに、呼び出した。

然而,她却把我叫出来了。

それは、頭が回らなかったからじゃない。

这不是思虑不周使然。

不安だったからだろう。

而是因为她内心不安吧。

僕でも時間をかければわかることに、羽川がすぐに気付かないわけがない──だから、気付かなかったわけではない。つまり、一人で怪異に立ち向かうことに、羽川はきっと、怖気おじけづいたのだ。

我只要花上一些时间就能明白的东西,羽川不可能没注意到——所以,她也发觉了吧。总而言之,羽川肯定很害怕一个人独自去面对怪异。

ありがたいと思う。

这让我觉得很感激。

結局、僕では、今回もまた、何の役にも立てないだろう──忍野メメと忍野忍に頼って、猫の怪異を解決してもらうしか、すべはないはずだ。羽川に対し、僕にできることなど、何もない。できることは全部やるなんて言っても──僕にできることなんて、最初から何もないのだ。

到头来,我这次大概也帮不上什么忙吧——只能够拜托忍野咩咩和忍野忍,来解决这个猫怪异。我没办法为羽川做任何事情。我做得到的事情,我都会去做——话虽如此,打从一开始就没有我能力可及的事情。

それでも、そばにいることはできる。

但是,我可以陪在她的身边。

必要なときにそこにいてくれたという事実は、ただそれだけのことで、何にも増して、ありがたいものだ──とは、戦場ヶ原父の言葉。

在必要的时候能陪伴在她身边,光是这么一个事实,就比任何东西都还要来得可贵——战场原的父亲曾如此说过。

それを言うなら、僕にとって、本当に必要なときにそこにいてくれたのは、誰でもない、羽川翼だった。

要那么说的话,对我来说在我需要帮助的时候,陪伴在我身边的人,不是别人,正是羽川翼。

だから僕は決めているのだ。

所以,我在心中早已做了决定。

羽川にとって必要なときに、たとえ何もできなくたって、僕は絶対に、そこにいる、と──

在羽川需要人陪伴的时候,就算我什么都做不到,我也绝对会待在她的身旁。

私は変わらないもん。

因为我没有变啊。

羽川は昨日、そう言った。

羽川昨天如此说过。

けれど、やっぱり、変わらないものなんてないと思う──実際、羽川にしたって、僕から見れば、結構、変わっている。

但是,我想她不是没变——老实说,照我的看法,就连羽川也变了许多。

怪異にかかわってから──変わっている。

和怪异扯上关系后——她变了。

本屋で聞いた進路のことが、その最たるものだ。

这点在书店问她未来的出路时,最能具体地感受到。

二年くらいかけて──世界を放浪。

她说要花上两年左右的时间……在世界各地流浪。

旅に出る。

踏上旅途。

少なくとも昨年度までの羽川なら、そんな夢みたいな進路は選ばなかったはずだ──明確に定められていた、お決まりの、優等生としてのレールがあったはずだ。

至少去年的羽川,不会选择那种如梦似幻的未来出路——她应该会选择被人安排好、惯例的优等生道路吧。

どちらが正しいとかどちらが間違っているとかじゃない──ただ、やっぱり、羽川翼は、変わったのだ。

这不是哪边对、哪边错的问题——只不过,羽川翼确实变了。

それがゴールデンウィークが終わってからのことなのか、それとも、春休みが終わってからなのか──そこまでは、僕にはわからないけれど。

这个改变是在黄金周结束后发生的,还是在春假结束后发生的——详细的部分我并不清楚。

けれど。

可是……

そこからは大した会話もなく、僕と羽川は、忍野と忍が現在の根城としている、数年前に潰れた学習塾跡の廃ビルへと、到着した。ぼろぼろのフェンスで囲まれた、まごうことなき廃墟。立入禁止の看板が乱立するこんな建物を、二人は不法占拠しているのだった。この三ヵ月で、僕は一体何回、この廃墟を訪れただろうと、ふと思う。すっかり、ここを訪問することに、慣れてしまっている自分に気付く。怪異が、決して非日常でなくなってしまっている、そんな自分に──

在那之后,我和羽川几乎没什么交谈,直接抵达了忍野和忍目前的大本营——几年前倒闭的某间旧补习班的废弃大楼。大楼四周被破旧的铁丝网围绕,是一处货真价实的废墟。他们两人目前非法占据了这栋,「禁止进入」的看板杂乱林立的建筑物。我突然想到:这三个月来,我到底造访过这栋废墟多少次了呢。我发觉自己已经很习惯来这个地方。同时我也察觉到,怪异已经融入了我的日常生活当中。

「おや。阿良々木くんじゃないか」

「唉呀!这不是阿良良木老弟吗?」

急に。

突然,

そんな風に、正面から、声を掛けられた。

有人在前方出声叫我。

「それに、委員長ちゃん……だよね。僕は女性に髪型を変えられると誰だかわからなくなっちゃうんだけど、うん、その眼鏡は間違いなく委員長ちゃんだ。はっはー、委員長ちゃんは久し振り、阿良々木くんは一日振り」

「还有,班长妹……对吧。女性要是改变发型的话,我就会认不出是谁了,不过,嗯,那副眼镜绝对是班长妹吧。哈哈!班长妹好久不见,阿良良木老弟则是一天不见。」

忍野メメだった。

是忍野咩咩。

破れかけのフェンスの向こう側に、サイケデリックなアロハ服の中年男が、飄々とした仕草で、立っていた。相変わらずの薄汚い姿だが、そう言えば、こいつがこんな風に、建物の外に出て活動している姿を、僕は久し振りに見る。廃墟に引きこもっている、一風変わったタイプの引きこもりの癖に、何をしていたのだろうか。

在破洞的铁丝网对面,有一位中年男子穿着奇幻色彩的夏威夷衫,举止悠然地站在那里。他还是一副邋遢的模样,这么说来,我好久没看到这家伙在建筑物外头活动了。明明他总是窝在废墟里,是个别具一格的闭门族,他在这里做什么啊?

「ん……あれ? 忍野。いつもはお前、見透かしたみたいに、僕が来るたんびに『待ってたよ』とか『待ちくたびれたよ』とか、そういう風なことを言うのに、どうしたんだ、このたびはそういうの、言わないのか?」

「嗯……奇怪?忍野。平常你都会一副好像看透一切的样子,每次我来你都会说『我等你很久了』或『我都快等得不耐烦了』之类的话啊,这次是怎么回事,你不说那些话吗?」

「あー、え? そうだっけ?」

「啊——咦?是这样吗?」

何故か不自然な態度の忍野。それを誤魔化すように、

忍野的态度不知为何有些不自然。

「委員長ちゃん」

「班长妹。」

と、自転車の後ろの羽川に、話題を振った。

他似乎想要打马虎眼,而开口对脚踏车后座的羽川说。

「委員長ちゃんは、本当に久し振りだね。どうしたんだい? 今日は平日だろう。阿良々木くんならともかく、委員長ちゃんがサボタージュってのは考えにくいねえ。はっはー、そうか、これがあれだ、噂に聞く創立記念日って奴か」

「班长妹真的好久不见了耶。怎么啦?今天是平常日吧。阿良良木就算了,我很难想像班长妹会跷课呢。哈哈!对了,这就是那个,传说中的创校纪念日吗?」

「あ、その……違います」

「啊,那个……不是的。」

「あ、その……違います」

「嗯?帽子很适合你喔……那顶帽子。」

忍野は、すぐに、羽川のかぶる帽子に目をつける。

忍野随即盯上了羽川头上的帽子。

この辺りは──専門家の手際だ。

这就是……专家的本领。

「……はい」

「……是的。」

「ふうん──そういうことかい。阿良々木くん」

「嗯——原来是这样啊。阿良良木。」

今度は、話を僕の方に戻してきた。

这次,他把话题的焦点转回我身上。

表情は──へらへらしている。

一脸轻浮的笑容。

いつもの忍野だ。

是平常的忍野。

「本当にきみは、三歩歩けば面倒ごとを引き込んでくるな──ある意味才能だよ、それ。大事にしてみる? はっはー、とりあえず、這入れよ。うん、阿良々木くん──実を言うと、今は僕、珍しく取り込んでいてね。忙しくって、あんまり時間がないんだよ」

「你真的是,出外走个三步就会遇到麻烦事——这在某种意义上,算是一种才能呢。要栽培它一下吗?哈哈!总之你们先进来吧。嗯,阿良良木老弟……老实说,我现在难得手忙脚乱呢。忙到都没时间了。 」

「そう──なのか?」

「是……这样吗?」

取り込んでいる?

手忙脚乱?

忙しい?

忙?

時間がない?

没时间?

どれ一つとっても、忍野に似合わない言葉だ。

这些字眼,不管哪一个都和忍野不搭轧。

「仕事中──だったのか?」

「你在……工作吗?」

「まあ、仕事と言えば仕事かな。でも、いいよ。阿良々木くんならともかく、委員長ちゃんの一大事とくれば、ある程度の融通は利かせるよ」

「要说是工作也是工作啦。不过没关系。阿良良木老弟就算了,要是班长妹有重要的事情,我可以给你们某种程度的通融。」

「さっきから、僕の扱いが偉く荒いな……」

「从刚才开始,你对我还满不客气的嘛……」

「阿良々木くんだって、別に僕に好いて欲しくはないだろう。気持ち悪いことを言わないでくれよ、不愉快だなあ」

「阿良良木老弟自己也不希望我喜欢你吧。别说那些恶心巴拉的话啦,很不愉快呢。呿、呿!」

しっし、と、冷たくあしらう仕草をする忍野。

忍野做出要我去一边的冷淡动作。

少なくとも、この男には吸血鬼の魅了は通じないらしい……ああ、異性を虜にするってことは、異性にしか通じないってことか。

至少,吸血鬼的夺魄对这个男人没用……对啊,既然是把异性变成俘虏,就表示只对异性有用吧。

「くだらないこと言ってないで、早く這入っておいでよ、阿良々木くんも、委員長ちゃんも。そこのフェンスの破れ目からさ。いつものように、四階で話をしよう」

「无聊的事情就别说了,快进来吧,阿良良木老弟和班长妹两个人都是。就从那边的铁丝网破洞。就跟平常一样,我们去四楼聊吧。」

「ああ……わかったよ」

「嗯……我知道了。」

とりあえず、言われた通りにする。

总之,先照他的指示做吧。

何にせよ、忍野が屋外にいてくれたお陰で、自転車から降りた途端に羽川から説教をされるという展開は、回避することができた。それは本当に僥倖ぎょうこうだったが、驚異の記憶力を持つ羽川相手のこと、単に説教が後回しになっただけの話だから、手放しでは喜べない。後回しになった分だけ利子がつくかもしれないと思うと、憂鬱になるくらいだった。

不管怎么说,多亏忍野在屋外的关系,我免去一下脚踏车就被羽川说教的命运。这真的是侥幸逃过一劫,不过对方是拥有惊人记忆力的羽川,说教的时间只是延后了而已,所以我无法尽情欢喜。延后了搞不好还会额外加算利息,一想到这点我就忧郁不已。

フェンスをくぐり、夏が近付き、際限なく育つ草木を搔き分けながら、廃墟の中へ。廃墟の中の散らかり具合は、羽川の記憶に残っている範囲内のことなので、羽川は何も言わない。悪質な冗談みたいな話だが、羽川は本気で忍野を尊敬の眼で見ている節があるので、忍野の社会不適合的行動に、度を越して非常に甘いのである。

穿过铁丝网后,我们拨开接近夏季而无限丛生的杂草,同时往废墟内前进。废墟内散乱的模样,也在羽川的记忆范围当中,所以她只字未提。我这么说听起来或许像一个恶质的玩笑,不过羽川在某些地方是真的对忍野抱以尊敬的眼光,因此她太过度纵容了忍野那般和社会脱节的举止。

そう。

对。

そもそも、世界を放浪するという、羽川翼の目指す進路とも言えないような進路も、道なき道を歩む忍野メメの影響が、少なからずあるはずなのだ。最終的に、羽川自身が決めたことだし、だからどうというわけではないけれど──

因为追根究抵来说,羽川未来会选择在世界各地流浪,这种称不上是出路的出路,多少是受到了走在非正规道路上的忍野咩咩的影响。但毕竟最后是羽川自己所做出的决定,我也不能从旁插嘴——

それは、なんだか、思うところがないでもない。

但关于这点,我总觉得心中还有一些疙瘩在。

さわり猫」

「障猫。」

階段を昇りながら──忍野は言った。

爬着楼梯的同时,忍野开口说。

猫。

猫。

食肉目ネコ科の哺乳ほにゅう類。

食肉目猫科的哺乳类动物。

しなやかな肉体、鋭い歯、ざらざらの突起が生えた舌に鉤爪かぎづめが特徴──能あるたかは爪を隠すなどと言うが、爪を隠すという点に関しては、この生物だって引けを取らない。何せ、その鉤爪は、さやに収納することができるのだ。人間が気持ちいいと触りまくる手足の肉球も、獲物を狩るために足音を消す役割を果たす、実際的な器官である。

柔韧的身体、锐利的牙齿、粗糙的舌头以及钩爪是其特征——俗话说:「有能力的老鹰会将爪子藏起来。」在藏爪子这方面,猫这个生物也丝毫不逊色。因为它的钩爪能够收入鞘中。脚底人类摸起来觉得很舒服的肉球,在持猎时能够消除脚步声,也是一个相当实用的器官。

「あるいはしろがねこ。白銀猫、ね。猫の舞とも言うけれど、これは同名の妖怪がいるからややこしいので、あんまり採用されない。やっぱり、障り猫というのが、通例だね。障りに、猫で、障り猫だ。尻尾のない猫──尾を引かない猫。怪異だ。日本に猫が入ってきたのは、奈良時代だって聞くよね。三味線の材料としても有名だけど──うん、今となっては、猫は、完全に、犬以上に、愛玩あいがん動物なんだよね。ネズミも取らないし。警察猫や盲導猫ってのは、いないもんなあ。怪異ということでいうなら、有名な三大化け猫伝説には触れておくべきだろうね……はっはー、いやいや、なんて、こんなこと、阿良々木くんならともかく、委員長ちゃんには、言うまでもないことかな?」

「或者称作白银猫。也称作猫之舞,不过有其他妖怪也叫这个名字所以容易搞混,最后不怎么通俗。障猫这名称才算是通称吧。障碍加上猫,障猫。没有尾巴的猫——无尾猫。是一种怪异。据说猫是在奈良时代开始出现在日本,是一种很有名的三味线材料——不过到了现代,猫已经变成了一种比狗还要没用的观赏动物。不会抓老鼠嘛。而且也没听说有警猫和导盲猫。要说有关怪异方面的话,我必须先提一下三大妖猫传说才行吧……哈哈,不对不对,这种事情阿良良木老弟就算了,班长妹肯定知道吧?」

「おい、羽川のことを言うときに、枕詞まくらことば8のように『阿良々木くんならともかく』と言うのをやめるんだ、忍野。それ、じわじわと効いてくるぞ」

「喂,你在说羽川的时候,前面不要像在修饰一样多加一句『阿良良木老弟就算了』好吗,忍野。我越听越刺耳耶。 」

「いやあ、僕もわざと言ってるわけじゃないんだけど、真実ってのは口をついちゃうんだよねえ」

「唉呀,我也不是故意的啦,实话这种东西就是会不小心道出口嘛。」

「夜道に気をつけろよ、てめえ」

「你走夜路的时候给我小心一点,王八蛋。」

「心配ご無用、僕は夜行性でね。はっはー、夜行性というなら、猫もそうだっけ」

「不用你担心,我是夜行性的。哈哈,说到夜行性,猫好像也是吧。」

言いながら、四階に到着。

闲聊的同时,我们到了四楼。

フロアが進むに従って、羽川の口数は少なくなっていった。実際のところ、忍野の言う通り、羽川には、怪異の説明など、本来ならばするまでもない──何故なら、ゴールデンウィークに一度、羽川はそれを、全く同じ内容を、既に忍野の口から聞いているからだ。

随着楼层的推进,羽川的话变得越来越少。实际上,忍野说得没错,按理来说怪异方面的事情,的确没必要对羽川多作说明——因为在黄金周时,羽川已经从忍野口中听过完全相同的内容。

だが、そこの記憶丶丶丶丶丶は──戻っているのだろうか?

但是,那边的记忆——她恢复了吗?

案外、今の忍野の振りは、それを確認するためだったのかもしれない。何も考えていないようで、一応ものを考えてはいる男、忍野メメである。

或许忍野刚才的提问,是为了确认也说不定。忍野祥祥是一个外表看似没在思考,但私底下却会做估算的男人。

教室に這入った。

我们进到了教室内。

忍野、僕、羽川の順で這入り──

依照忍野、我、羽川的顺序——

戻って、忍野が扉を閉める。

接着,忍野回头把门关上。

昼間なので、窓(割れたガラスが嵌っているそれを窓と呼ぶことには抵抗があるが)から太陽光が入ってくる、教室の中は、それなりに明るい。

时值白昼,射进窗户——我在心理上,很难把那些装着破玻璃的东西称作窗户——的太阳光,让教室内维持了一定的光亮。

ん……、忍が、いないな。

嗯……忍不在呢。

どうも最近、あいつ、四階にいることが少ないようだけれど……あ、そうだ、羽川のことがあってすっかり忘れていた、八九寺から聞いた昨日の忍のこと、忍野に確認しないと……もしもそれが八九寺の見間違いじゃないのだとすれば──

那家伙最近好像很少在四楼呢……啊,对了,羽川的事情让我全都忘了,关于八九寺昨天看到忍的事情,我要向忍野确认一下才行……要是八九寺没有看错的话——

と。

我转过身来想发问,

僕が振り向いたのと、忍野が、不意打ちで羽川の頭を帽子の上から軽くはたいたのとは、ほぼ、同時だった。

几乎在同一时间,忍野冷不防地轻拍了羽川戴着帽子的头。

軽くはたいた。

轻轻一拍。

だけなのに──羽川は崩れ落ちた。

仅仅如此——羽川就倒了下来。

両膝をつき、かくんと、うつ伏せに倒れる。

她双膝跪地,碰一声趴倒在地上。

糸が切れたようだった。

就像断了线一样。

「は、羽川!?」

「羽、羽川!」

「慌てるなよ、阿良々木くん。元気いいなあ、何かいいことでもあったのかい? 委員長ちゃんの猫耳が見れたとか、委員長ちゃんのパジャマ姿が見られたとか」

「不要紧张嘛,阿良良木老弟。你还真有精神啊,是不是发生了什么好事啊?比方说看到了班长妹的猫耳,或者是看到班长妹穿睡衣的样子。」

「お決まりの口癖に具体的な推測を付け加えるな! 誤解を招くだろうが!」

「你不要在惯用的口头禅后面,加上那种具体的推测好吗?这样会被人误会吧!」

「誤解じゃないだろう、別に。むしろ、委員長ちゃんを自転車の後部座席に乗せて彼女から抱きつかれていたことにここまで一切触れずにやっている僕に、感謝の言葉があってもいいくらいだ」

「这算不上是误会吧。班长妹坐在脚踏车后座抱着你的事情,我到现在提都没有提过呢,你反而要对我说声谢谢吧。」

忍野は言う。

忍野说。

倒れた羽川を、見下ろすようにして。

一面俯视着倒地的羽川。

「どうもどうやら、阿良々木くんが既に事情聴取は終えていてくれたらしいからね──阿良々木くんも心得てきたじゃないか。ツンデレちゃんや迷子ちゃん、百合っ子ちゃんや照れ屋ちゃんとの経験も無駄じゃなかったって感じかな。特に、一昨日の照れ屋ちゃんの件は、阿良々木くんにとっていいパンチだったみたいだね」

「阿良良木老弟似乎已经帮我问完事情的经过了——你还满得心应手的嘛。看来傲娇妹、迷路小妹、百合妹和腼腆妹的经验不是白费的。特别是前天腼腆妹的事情,对老弟你来说,应该是一个不错的教训吧。」

千石は照れ屋ちゃんになったのか。

千石变成了腼腆妹吗。

あれは照れ屋なんてものじゃないと思うが……。

我想那个应该不是腼腆吧……

まあいいや、訂正を入れるほどのことじゃない。

不过算了,这也不到需要订正的地步。

今は、それより。

当务之急是——

「それより、羽川だよ……何をしたんだ?」

「现在最重要的是羽川……你对她做了什么?」

「だからさ、阿良々木くんが心得てきたお陰で、僕がすることはほとんどなかったからね。ちょっと手順を省略した」

「所以说啊,多亏老弟你得心应手了起来,我几乎没事情可以做了,所以我稍微省略了一下步骤。」

「省略?」

「省略?」

なんだそれ。

那是什么。

そんなことができるのか?

那种事情可行吗?

「これはこれで外法なんだけれどね。時間がない──って言ったろ? それに、この場合……阿良々木くんも十分にわかっていると思うけれど、委員長ちゃんに話を聞くよりは、本人に話を聞いた方が、いくらか手っ取り早い」

「这算是一种旁门左道啦。我刚才不是说过吗?我没什么时间。而且这个状况……我想阿良良木老弟也很清楚,与其问班长妹倒不如直接问本人比较省事。」

「……本人、か」

「……本人,吗。」

「委員長ちゃんは、突き詰めれば、いくら記憶が戻ったところで憶えていないんだからね丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶丶──話してもラチがあかんさ。不意打ちで女の子を叩いちゃったのは、そりゃ阿良々木くんが顔色を変えるのもわかるけれど、今のは不意をつかないと意味のない作法だから、さ。堪忍してくれよ」

「因为班长妹再怎么思考,就算她的记忆恢复,也记不得吧——和她聊下去会没完没了。我冷不防打昏一个女孩子,阿良良木老弟你会变脸我能理解啦,可是这次的方法就是要趁其不备才有意义嘛。你就忍耐一下吧。」

いやあ、この娘、全然油断しないから、精神の隙を探るのに苦労したよ──と、忍野は言った。

唉呀唉呀,这个小妞完全不肯放松警戒,要找到她心理上的破绽可费了我一番功夫呢——忍野说。

まあ、羽川はそうだろうな。

是啊,羽川的确是那样吧。

じゃあ忍野は、さっきからずっと、その『隙』とやらを、羽川の動向の中から窺っていたということなのか……。

也就是说,忍野打从刚才开始就一直在羽川的动作当中,寻找那个「破绽」啰……

「でも、本人って言っても……」

「可是,你说本人……」

「説明する必要はないだろ。手際よく行こうぜ、阿良々木くん。委員長ちゃんみたいな頭のいいのを相手にするんだ、こっちもこっちで、覚悟を決めないとな──ゴールデンウィークには、この僕でさえ、不覚を取ってしまったくらいなんだ。同じ轍は二度と踏まない。おっと、なんて言ってるそばから、ほら、もう、来たぜ、阿良々木くん。色ボケ猫のお出ましだ」

「我没必要说明了吧。把这件事漂亮地处理掉吧,阿良良木老弟。要和班长妹这种头脑好的人对抗,我们这边可要先做好觉悟才行——毕竟黄金周的时候,连我也都马失前蹄了。我不会重蹈覆辙。哦,话一说完,你看,对方已经来了,阿良良木老弟。魅猫大驾光临。」

見れば。

我注意一看。

うつ伏せに倒れた羽川の、その、普段は三つ編みに結われている長い髪が──変色していく。

趴倒在地上的羽川,平常绑着麻花辫的长发……正逐渐在变色。

変色。

变色。

いや──退色か。

不对……应该说是褪色吧。

純粋な黒から、白に近い銀へ。

颜色从乌黑,变成了接近雪白的银色。

すうぅーっと、生気が抜けていくように。

一鼓作气,就像空气逐渐外漏般。

「………………」

言葉もない。

我无言以对。

忍野を訪ねる時点で、こうなること丶丶丶丶丶丶を、僕はある程度予測していて、それなりに覚悟を決めていたつもりだったが──しかしそれでも、こうも唐突に再会するとなると、動揺は隠せなかった。

要来找忍野之前,我心中早有某种程度的预测,知道事情会演变成这样,也有了相当的觉悟才对——话虽如此,如此唐突的再会,还是让我藏不住心中的动摇。

全く、薄い。

我真是单薄。

薄くて弱い。

单薄而脆弱。

羽川にとって必要なときに、絶対にそこにいると──ちゃんと誓ったはずなのに。

当羽川需要我的时候,我一定会陪在她身边——我明明发过誓的。

がばっと──

猛然地——

彼女は、飛び起きた。

她自地板一跃而起。

その勢いで、かぶっていた帽子が飛ぶ。

戴在头上的帽子,因为这股冲劲而飞掉。

飛んで──あらわになる。

飞掉之后——帽子遮掩住的部分全显露了出来。

前髪の揃った白い髪が。

刘海修齐的白发——

小さな頭から生えた白い猫耳が。

以及小小的头上长出的白色猫耳。

「にゃははは──」

「喵哈哈哈——」

そして彼女は──

接着她——

猫のように目を細め、猫のようににたりと笑う。

像猫一样瞇起眼睛,宛如猫一样发出了狞笑。

「また会えるとは驚いたにゃあ、人間──懲りもせずに俺のご主人のおっぱいに欲情してやがったみたいで、相変わらずお前は駄目駄目にゃ。食い殺されたいのかにゃん?」

「没想到还能再见面,真叫我惊讶啊喵,人类——你好像还学不乖,又对我家主人的奶子起了色心,你还是一样废废废,喵。你想要被老娘咬死吗喵?」

「………………」

自分のキャラ設定とポジショニングを、一つの台詞の中でとてもわかりやすく説明しながら──

她用一个对话框,就十分浅显易懂地说明了自己的角色设定和定位。同时——

ブラック羽川は、再臨した。

黑羽川,再次降临了。

Footnotes#

  1. ワン切り:[名](スル)電話で1回だけ着信音を鳴らして切ること

  2. チラリズム:[名]ちらっと見せること

  3. 骨子:[名]全体を構成するうえでの重要な部分

  4. ふつおた:ふつうのおたより

  5. 8切り:在大富豪中,出 8 可以强行截断牌局,跳过下家,自己重新出牌;都落ち指一局垫底的人,下一局会被降级,还要给上游玩家进贡手牌

  6. 親知らず:[名]親知らず歯、知恵歯

  7. 六歳を過ぎて:日本的脚踏车原则上禁止双载,但如果后座有装儿童座椅,就能够载六岁以下的儿童

  8. 枕詞:[名]修辞法の一つ。文意全体とは直接には無関係に一語のみを一般的に修飾する用法をいう

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永雏多氢菲
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