化物語(下): 第五話 つばさキャット 006
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desc: 梳着麻花辫、戴着眼镜的班长 —— 羽川翼。这位曾帮助过阿良良木历的少女,究竟被何种怪异所缠身……?
初心者にも親切な、ブラック羽川のわかりやすい説明があった以上、今更回想シーンに入るのもなんだかわざとらしい感じではあるが、それでも一応、場を取りなすためという意味も含めて、ここで時間軸を、ゴールデンウィークの初日、即ち四月二十九日、今から一ヵ月半ほど前の午前中へと、セットすることにしよう。首元の咬み痕を隠すために伸ばし始めた僕の髪の毛が、まだまだ心得ない長さだった、その頃のことである。
既然黑羽川已经做了连初次见面的人也浅显易懂的亲切说明,现在再插入回想片段似乎略嫌做作:不过,姑且为了承前启后,这边先将时间轴设定在黄金周的第一天,也就是四月二十九号——距离现在约一个半月前的上午吧。当时,我为了遮掩住脖子上的齿痕而开始留长的头发,还没达到理想的长度。
四月二十九日。
四月二十九号。
午前中。
上午。
例によって、平日以外の日を嫌う僕は、その祝日、神原に破壊される前の、まだ健在だったマウンテンバイクに乗って、家を離れ、町をふらふらと、ぶらついていた。あの母の日とは違い、明確な目的地があったような気がするが、どうだろう、もうよく憶えていない。まあ目的地があったとしても、憶えていないということは、そこまで大した用事ではなかったのかもしれない。
按照惯例,讨厌节日假日的我,那天骑着当时还健在、未被神原打烂的越野脚踏车离开家里,在城镇当中闲晃。那时候和母亲节不同,我似乎有一个明确的目的地,但实际情况到底如何,我已经记不得了。唉呀,就算有目的地,我不记得的话就表示那不重要吧。
否。
不对。
道中の展開が──大ごと過ぎたということか。
或许是因为途中发生的事情……太过重要了。
僕にとって。
对我来说,
他のすべてがどうでもよくなるほどに。
与其相比,其他事情似乎都变得无所谓了。
たまたま──羽川と出会ったのだ。
因为……我碰巧遇到了羽川。
僕と羽川との馴れ初めは、それは、春休みのことである──これまでに何度も繰り返しているよう、僕はそのとき、羽川に、命を助けられた。
我和羽川开始熟起来,是在春假的事情——就像我至今不停提及的一样,在那个时候,羽川救了我一命。
肉体的にも、精神的にも。
不管是在肉体上,还是精神上。
当時不死身だった僕には、後者の方がありがたかった──とにかく、羽川は恩人だった。
对当时不死之身的我来说,后者的救赎更为可贵——总而言之,羽川是我的恩人。
命の恩人であり、心の恩人だった。
是我的救命恩人,也是我心灵的救赎者。
必要なときにそこにいてくれたこと。
在我需要帮助的时候,她陪伴在我的身边。
思う。
我觉得。
本当に、思う。
真的如此觉得。
戦場ヶ原が階段で足を滑らしたとき、踊り場で立っていたのが僕で本当によかったと思うのと、同じくらいに──あのとき、あそこにいてくれたのが、羽川翼であって、他の誰でもなかったことを、僕は本当に、よかったと思う。
就像战场原失足从楼梯上摔下来时,站在楼梯转角处的那个人是我真好一样——那时候,在我身旁的人是羽川翼而不是其他人,我真的觉得太好了。
それ以外では僕は決して救われなかっただろう。
如果是她以外的其他人,我肯定无法得救吧。
地獄からの解放はなかったはずだ。
也无法从地狱中获得解放。
春休みを終えて、僕と羽川は同じクラスになった。羽川は僕に副委員長の職を押し付けた。僕を不良だと思い込んで、それを更生させようと、自分の管理下に置こうとしたのだ。その当時は、さすがに、勉強の面倒を見ようとまでは、思ってなかったようだけれど──普段の僕なら、余計なお世話だと、突っ撥ねた1だろう。そんな誤解に満ち溢れた、押し付けがましいとも取れる行為は、僕の最も苦手とするところだ。
春假结束后,我和羽川编到同一班。她硬是要我当副班长。因为她深信我是不良少年,打算把我放在自己的监督之下,让我改过自新。当时,我实在没想到她会连功课方面都照顾到我——如果是平常的我,八成会严厉地拒绝她说:「要你多管闲事!」吧。那种充满误解,可说是强加于人的行为,是我最不擅长应付的。
しかし、受け入れた。
然而,我却答应了。
相手が羽川だったからだ。
因为对方是羽川。
以来──四月の、一ヵ月。
之后……四月这一整个月。
僕と羽川は、委員長として、副委員長として、委員長と副委員長として、色々と、学校行事や、クラスの取りまとめにあたってきて、それなりに、打ち解けても来ていた──そういった、久し振りの感覚に、僕はらしくもなく、溶け込んでいた──だから、勿論。
我和羽川以班长和副班长的身分,负责处理了各种包括学校活动和统合班级等工作,彼此也算热络了起来——我融入了那种睽违已久的感觉当中,虽然这和我的作风不符——所以,当然,
休日に、制服姿で歩く羽川を見つけたら、それは声を掛けるくらいのことはする。
我看到假日穿着制服走在路上的羽川,会出声叫她也是很理所当然的。
普通。
在正常的情况下。
だが、僕は一瞬、ひるんでしまった。
但是,我当下却畏缩了。
道を行く羽川翼の顔面に、その顔面の半分を覆い隠すような大きな白いガーゼが、施されていたからだ。
因为走在路上的羽川翼,脸上包了一块能够遮住半边脸的白色大纱布。
怪我。
受伤。
くらいは、誰でもする。
这种事情是人都会。
しかし、その部位が顔面であり、同時に、それくらいの規模のものとなると──滅多に見るものじゃない。また、ガーゼに覆われているのが、左顔面だという事実が──何かを物語っているような気がした。
但是,受伤的地方是脸部,而且还是那种规模的情况……并不多见。此外,她包着纱布的地方是左半边脸——这个事实似乎意味着什么。
考え過ぎだろうか。
是我想太多了吗。
あの暴力的な春休みが、僕にそんな野蛮な連想を強いているだけなのだろうか。大抵の人間は右利きであり、その人間が人の顔を殴ろうとした場合、その拳は、左側に当たるんじゃないのか──とか。でも、そうとでも考えないと──器用にもあの位置だけ怪我をするということは、ないと思う。三年生の羽川が、昨日の放課後、何かスポーツに身を投じたということは、まずあり得ないだろう──
是那个充满暴力的春假,逼迫我做出如此野蛮的联想吗?大部分的人都是右撇子,当右撇子要殴打人的脸部时,拳头多半会打中左半边吧——诸如此类的。可是,要是不这样思考,我想一般人不会这么刚好伤到那个地方吧。三年级的羽川,昨天放学之后还参加了某种运动——这种假设是最不可能的吧。
考えている内に。
当我陷入思考时,
羽川の方も、僕に気付いた。
羽川也注意到我的身影。
「あ」
「啊!」
と、声をあげて、僕に近寄ってくる。
她叫了一声,朝我走了过来。
いつも通りの、気さくな態度で。
态度和平常一样直爽。
「やっほー、阿良々木くん」
「呦吼!阿良良木。」
「……やっほー」
「……呦吼!」
「ん。あ」
「嗯。啊!」
と。
这时,
羽川は、そこで、失敗した、みたいな顔をした。
羽川做出了一个「真糗呢」的表情。
実際、今から考えれば、それは信じられないような話だ──一般人の感覚で処理すればやむをえないと言えるような話だが、機略縦横の羽川にしてみれば、大失敗と言っていいだろう。
事实上,现在回想起来,这话让人难以置信——不过,当下会用一般人的感觉来处理这个状况,可说是逼不得已的;但对足智多谋的羽川来说,这可以说是一个大失败吧。
いや、成功と言えるのかもしれない。
不,或许可以说是成功吧。
成功と言えば大成功だ。
如果要说成功,则是大成功。
だって、羽川はそのとき、顔面のガーゼのことを、考えたくなくて考えたくなくて、必死で考えないようにしていたはずだから──だから。
因为羽川当时应该是拼了命地,极度不想去思考脸上纱布的事情,正因如此——
僕に、いつも通り声をかけてしまったというのは、ガーゼのことを気にせずにいつも通り声をかけてしまったというのは、『本物』の羽川ならではの、大成功だったのだ。
她会像平常一样出声叫我,完全不介意纱布的事情像往常一样出声叫我,这点是羽川这个「真正的天才」独有的大成功。
しかし、無論。
不过,当然,
総合的に見て、それは失敗だった。
以整体来看,这是失败的。
僕は、それを何とか取り繕おうとした──羽川の失敗に気付かない振りをして、適当に、馬鹿な話を振ったように思う。それまでの一ヵ月、いつも羽川としていたような、馬鹿な話だ。羽川はいつも、それに合わせてくれていた。
我想要替她打圆场——想要假装没注意到羽川的失败,适当地对她瞎扯一番。就像那一个月来,我和羽川常闲聊的那些一样。而羽川总是会配合我的话题。
けれど。
然而,
このときは、さすがに無理だった。
在这个状况下,这招实在没有效果。
「優しいね、阿良々木くん」
「你好温柔呢,阿良良木。」
羽川は言った。
羽川说。
「優しくて、いい人だね」
「真是一个温柔的好人。」
そうだ。
没错。
僕はこのときもまた──そんなことを言われた。
在这个时候……也有人对我说过同样的话。
羽川から、言われていたのだ。
那人正是羽川。
「歩こっか。少し」
「陪我稍微走一下吧。」
そんな風に僕を誘った羽川。
羽川约我。
断る理由がなかった。
我没有理由拒绝。
というより、断れるはずもない。羽川がそんな風に僕を誘ってくることなど、それまでに一度もなかったのだ──恐らく、そのときの羽川は、人恋しかったのだと思う。
应该说我不可能会拒绝她。因为羽川从来没有那样约过我。我想大概那时候的羽川,希望有人可以陪在她身边吧。
一人じゃいられなかったのだ。
她无法独自一个人。
僕だから誘ったわけでもない、誰でも良かった。
不管对方是谁都行,并不是因为是我,她才开口邀约。
そのとき、そこにいたのが僕だっただけだ。
只是那个时候在她身边的人,刚好是我罢了。
それは、羽川にしてみれば、あまり状況に即した相手だったとは言えないだろう──少しでも羽川が冷静だったなら、僕を相手には選ばなかっただろう。後に出会うことになる八九寺真宵なんかとは違って、僕は決して聞き上手な人間ではないからだ。簡単に感情移入してしまうし、黙っていられず言われたことに口を出し、話の腰を折ってしまうこともしばしばである。
以羽川的立场来看,在这种状况下我不是一个最佳人选吧——要是羽川冷静一点的话,她绝对不会选择我吧。因为我和之后遇见的八九寺真宵不同,不是一个擅长聆听的人。我很容易就会放入私人的感情,或是忍不住开口回嘴,也常常打断她说的话。
ただし、羽川は、それを補って余りあるほどの、話し上手だった。だから、その複雑な事情も、さほどの苦労なく、飲み込むことができた。マウンテンバイクを押して、羽川と並んで歩きながら、僕は羽川翼の話を、聞いた。
但是,羽川高超的说话技巧,用来弥补我的缺点还绰绰有余。所以,那一串复杂的原因,我很轻松地就会意了过来。我牵着越野脚踏车和羽川并肩行走,同时我听了她的故事。
まず。
首先。
羽川翼には、父親がいない。
羽川翼没有父亲。
勿論生物学上の父親はいるのだろうが、社会的には、彼女は天涯孤独の母親から生まれた。父親の所在は今もって不明。調べるつもりなどないけれど、調べたところで、恐らくは推測の域を出ず、確実には絞りきれないだろうということだった。
当然在生物学上她有父亲;但在现实社会中,是由形单影只的母亲独力将她生下的。父亲所在何处,至今不明。她不打算去调查,就算查了恐怕也脱离不了猜测的框架,无法确实缩小范围。
翼。
翼。
そう名付けられた。
她被取了这个名字。
この言葉には『たすく』『たすける』という意味がある。親鳥が、卵や雛を、その羽で守るように庇うことをいう──
这个字有「辅佐」、「保护」的意思,象征母鸟用翅膀保护鸟蛋或小鸟一样——
輔翼。
辅翼。
翼々2。
翼翼。
どちらも、僕は知らなかった言葉だけど。
虽然这些都是我不知道的词汇。
しかし──助けられるべきだったのは、翼と名付けられた本人ではなかっただろうか。一体、母親は、どんな思惑を込めて──彼女にその名を与えたのだろう。
但是——最应该被保护的人,不正是被取了「翼」这个名字的她吗?究竟她的母亲是抱着什么样的心情……而给了她这个名宇的呢。
どんな役目を、彼女に与えた。
又给了她什么样的责任呢。
当時は名字が違ったらしい。
当时她的姓氏似乎和现在不同。
その名字は聞かなかった。
我没去过问。
というか、聞けなかった。
应该说,我问不出口。
羽川は言おうとしたのだが、僕が遮った。羽川はすぐに僕の意図を察し、「そう」と、話を先へと繫げたのだった。
羽川虽然想告诉我,但我打断了她。她马上就察觉了我的用意,「是吗?」她说完后,继续说了下去。
母親は、羽川を生んで、すぐに結婚した。
她的母亲在生下她之后,马上就结婚了。
再婚ではない。
是结婚,而不是再婚。
とにかく──お金が必要だったらしい。羽川を一人で育てることが難しかったそうだ。今から二十年近くも前の話だ、社会制度も、そこまで万全には整ってはいなかっただろう。母一人子一人で、誰にも頼らずに生きていくことが大変だったことは、僕でも想像に難くない。
总之——她的母亲需要一笔钱。据说当时要独力抚养羽川,是一件很困难的事情。这是距今二十年前的故事,当时的社会制度还不是很完善吧。她们母女两人想要不依靠任何人独自生活下去,是一件很困难的事情,这点我不难想象。
母親。
母亲。
父親。
父亲。
結婚後、しかし──すぐに、母親が自殺する。
但结婚后,她的母亲很快就自杀了。
お金目当ての結婚は、即座に破綻したのだった。元々精神的に際どいところのある人だったそうだ。他人と一緒に生活することに苦痛を感じる種類の人間だったとか──これで、羽川は、母一人子一人から、父一人子一人になった。
以金钱为目的的结婚,很快就宣告破灭了。据说她母亲的精神状况原本就很危险。或许她是和别人生活会感到痛苦的人吧——就这样,羽川从一母一女,变成了一父一女。
血の繫がらない父。
没有血缘关系的父亲。
しかし、父親である。
但还是父亲。
その父親の名字も──羽川ではない。
那个父亲的姓氏——也不是羽川。
その名字もまた──聞けなかった。
那个姓氏我也一样……问不出口。
母親の自殺からあまり間をあけることなく、血の繫がらない父は、再婚を決意する。当時の羽川は、それに対し何かを感じられる年齢ではなかったが──ともあれ、それで、家族はまた三人に。両親共に血が繫がっていないという、そんな立ち位置に置かれることとなった。
母亲自杀后过了不久,那位没有血缘关系的父亲决定续弦。当时羽川的年纪还小,并没有什么特别的感想——总而言之,这样一来又变成了一家三口。羽川身处的立场,和双亲都没有血缘关系。
どんな感想を抱けばいいのかわからない。
我不知道该抱持什么样的感想才好。
それは不幸なことなのだろうか。
那是一件不幸的事情吗?
僕は羽川に同情するべきだったのだろうか。
我应该要同情羽川吗?
しかし、一般的事例に沿わない流れに乗っているというだけであって、それで不幸だと、羽川を断ずることはできないだろう──羽川の生みの母親は自殺という不幸な結果で人生を終えたが、それで羽川までも、不幸の連鎖に組み込まれるわけではないのだ。むしろ、きちんと、父親の側に引き取られ、新しい母親ができたことは、幸運とも解釈できるだろう。
但是,那只是一种有别于常理的发展罢了,我无法就此断言羽川是不幸的吧——羽川的生母以自杀这种不幸的结局,结束了自己的人生;但不见得连羽川都会陷入不幸的连锁当中。她被父方收养,还有了一个新妈妈,这点反而也能用幸运来解读吧。
ことが色々起こっているということは──
虽然几经波折——
それだけではまだ、不幸ではない。
光是如此还不能算是不幸。
だから、その後、父親が過労死し、また母一人子一人になり、その一年後、再度、新しい父親ができるというような経過を辿り、ようやく名字が『羽川』に辿り着いたというエピソードがあったところで──感想を変えるべきではないのだろう。
因此,就算在那之后又发生了一连串的插曲:父亲过劳死,她有变成了一母一女的单亲家庭,随后继母又结婚而有了新爸爸,姓氏终于改成了「羽川」——我也不应该改变我的感想吧。
同情するのは筋違いだ。
我的同情是没有道理的。
この時点で哀れなのは、最初の母親と最初の父親、死んでしまったその二人だけであって、それ以外の人物ではない。
在这个时间点上,最可怜的人是最初的母亲和父亲——那两位死去的人而已,没有别人了。
けれど、何て波乱の人生だろう。
可是,她的人生是多么地坎坷啊。
それら全てが終了した時点で、羽川は三歳にもなっていない──何もわかっていない年齢だ。それこそ、流されるままに流されるしかない、馬鹿馬鹿しいほどにされるがままだっただろう。
那一连串的事情结束时,羽川还未满三岁——是一个对事物还懵懂未知的年纪。在这种情况下,她也只能随波逐流,任凭命运的摆布吧。
誤解していた。
一直以来我都误会了。
羽川みたいな善人は恵まれているのだろうと。
以为像羽川这样的善人,都有一个得天独厚的家庭环境。
神様に愛されているのだろうと。
以为他们都是被神所眷爱的。
いい人間は幸福な人間で、悪い人間は不幸な人間だと、それまで僕は思い込んでいた──しかし、そうではなかった。
至今我一直以为好人就是幸福的人;而坏人就是不幸的人——然而,事实并不是如此。
休日、家族と過ごすのが息苦しいからと言って、外に出掛けるような、そんな温い悩みを悩みと言ってしまうような、そんな僕とは段違いに──
我是因为休假,觉得和家人在一起很苦闷才会外出,和她相较之下我的烦恼只能算是半吊子的烦恼,远远比不上她家——
複雑な家庭だった。
复杂的家庭环境。
滑稽なくらいに噓臭い。羽川が言ったのでなければ、僕は決して、信じなかっただろう──一笑に付したはずである。相手が羽川だから、そんな悪質な冗談を言うはずがないことが確信できるから、僕は、言葉を失ったのだ。結局、二転三転したあげく、羽川は完全に縁のない両親を、持つに至ったわけである。
这故事像一个荒唐的谎话。假如这话不是出自羽川口中,我肯定不会相信吧——肯定会一笑置之。因为对方是羽川,我能够肯定她不会开那种恶劣的玩笑,因此我哑口无言。也就是说,经过一番颠沛流离之后,羽川有了两位完全没有血缘关系的双亲。
母一人子一人で。
她从一母一女的单亲家庭。
連れ子の連れ子の連れ子──だ。
变成了拖油瓶中的拖油瓶。
「ごめんね」
「抱歉呢。」
語り終えて。
说完,
羽川は、そんな風に、僕に謝った。
羽川向我道歉。
「今、私、意地悪なこと、言ったよね」
「刚才我说了一些坏心的话。」
果たして、僕はそのときなんと答えただろう。
究竟那个时候,我是怎么回答她的呢?
別に──と言えただろうか。
没什么——我是这样回答她的吗?
いや、違う。
不,不对。
どうしてだ、何がだ、と──訊いたのだ。
我是反问她:为什么,怎么这样说?
罪の告白を強いているようなものだった。察しが悪いにもほどがある、真面目な羽川にとっては、それこそ、責められているにも等しい言葉だっただろう。
这番话仿佛是在逼迫她,坦白自己所犯下的罪状一般。我迟钝也要有个限度。对严肃正经的羽川而言,那句话等于是在责备她吧。
「だって、これ、八つ当たりだもん」
「因为,这是在迁怒啊。」
と、羽川。
羽川说。
「こんなこと言われたって、反応に困るでしょう? だからどうしたって感じだし、そもそも阿良々木くんには関係ないし──でも、なんだか、ちょっと同情しちゃうようで、筋違いの同情しちゃう自分に、罪悪感を覚えちゃうでしょう? 悪いことをしちゃったような、そんな……嫌な気分に、なったでしょう」
「听到我说这种话,你也不知道该做何反应吧?莫名其妙地听我说了这么多,说到底其实这些事情和你没有关系——可是,我总觉得你好像有点同情我,然后对抱着不合理同情的自己,产生了罪恶感对吧?你觉得自己好像做错了什么……心情变糟了吧?」
図星だった。
正中红心。
意地悪なのよ、と羽川は言った。
我好坏心,羽川说。
「私、阿良々木くんで、憂さを晴らした」
「我利用阿良良木,来抚平自己心中的郁闷。」
「…………」
「阿良々木くんを嫌な気分にして、すっきりしようとした──愚痴ですらないもんね、こんなの」
「我为了想让自己舒服一点,而害阿良良木心情不好——这样根本不算是在发牢骚。」
そんな気弱な羽川を見るのは、初めてだった。
我第一次看见如此懦弱的羽川。
顔面のガーゼも、手伝っているのかもしれない。
或许她脸上缠着纱布也有关系吧。
僕の中での羽川翼像というのは、とにかく、真っ直ぐで、強くて、真面目で──堅実で、賢くて、公平で──パーフェクトだった。
在我心中的羽川翼,是一个耿直不屈、严肃正经、脚踏实地、聪明且公平的完美人物。
しかし。
但是,
パーフェクトな人間など、いない。
人无完人,金无足赤。
「でも──そんなこと、よく知ってるな」
「可是……你真厉害,居然会知道那么多。」
僕は言った。
我说。
「そういうこと、本人には、教えないもんじゃないのか? 二十歳の誕生日まで、秘密にしとくとか──」
「那种事情通常不会告诉本人吧?例如在小孩二十岁生日之前,会把它当作秘密之类的——」
「あけっぴろげな両親でね。小学校に入る前から、聞いていたわ」
「因为我的父母很心直口快。在我上小学之前,他们就已经告诉我了。」
羽川は、歩くペースを落とさずに言う。
羽川没有放慢脚步,回答说。
「私のこと、本当に、邪魔みたい」
「我好像真的很多余。」
「…………」
「でも、世間体ってものがあるからね。相手が死んだからって子供を投げ出せないし、結婚するからって、子供を投げ出せないでしょう。施設に預けようともしたらしいけれど──自分のエゴで年端も行かない子供を手放したっていう批難に、堪える自信もなかったみたい」
「可是,因为他们爱面子。总不能因为对方死掉了就把小孩扫地出门,也不能因为自己要结婚就弃养小孩吧。他们原本想把我送到儿童福利设施去的——可是,他们没有自信能够承受世人谴责他们说:因为自己的缘故而弃养年幼的小孩,所以就作罢了。」
「………………」
そんなことを言われても──でも。
你这么说……可是——
血が繫がった家族でも、それはあることだ。否、全てが順風満帆な家族など、稀有もいいところだろう──どんな家族でも、不和と歪みを抱えているはずなのだ。
那些事情就算在有血缘关系的家庭之间也会发生吧。不,一切都一帆风顺的家庭,本身就是凤毛麟角吧——不管哪个家庭,都应该会有不和睦和扭曲之处吧。
「だから、私はいい子になろうとした」
「所以我才想当一个乖孩子。」
羽川は言った。
羽川说。
「小学生の頃から、ずっと真面目な委員長──なろうとしたものに、ちゃんとなれてるよね。おりこうさんじゃない、私。あはは」
「我从小学的时候开始,就一直是认真的班长——我也成功地变成了我打算扮演的角色。我还真是聪明呢。啊哈哈。」
それは、なんだか──後に聞くことになる、戦場ヶ原ひたぎのエピソードを、連想させなくもない。中学時代の戦場ヶ原ひたぎ、高校時代の戦場ヶ原ひたぎ──
这番话多少会让我和后来听到的战场原黑仪的故事,联想在一块。就像国中时代的战场原黑仪,与高中时代的战场原黑仪——
似ているのは髪型だけではない。と、いうことに、なるのだろうか。
相似的地方不只是发型吧。
しかし、違いもまた──明確だった。
然而,不同之处也很明显。
子供がやったことは親の責任だが、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから──だ。
因为……孩子犯错是父母亲的责任;可是父母亲犯的错误,孩子没有责任要去承担。
「いい子っていうか、普通の子かな」
「与其说是乖孩子,不如说是普通的孩子吧。」
僕が黙っていると、羽川は続けた。
我沉默不语,羽川又接着说。
「複雑な家庭事情を持っているとさ、それがトラウマだったりなんだったり、そんな風にとらえられて、偏見の眼で見られることがあるじゃない。そんな風には、思われたくなかった。だから──その程度のことじゃ、私は変わらないって、決めてた」
「如果有一个复杂的家庭,有些人就会有偏见,认为生活在那种环境下的小孩会有心理创伤之类的对吧。我不想被人家那样认为。所以……我早就下定决心不会因为那种程度的事情而改变自己。」
私は変わらない。
我没有变。
何があろうと。
不管发生什么事。
「普通の高校生、やってたよね。私」
「我成功地扮演了一个普通的高中生了吧。」
「いや……それはどうだろうな」
「这……那算普通吗?」
普通の高校生は全国模試で一位を取れない。
普通的高中生不会在全国模拟考拿下第一名。
そこまで徹底して品行方正な生活を送れない。
也不会过着那种品行端正至极的生活。
僕としては、場をなごますために、多少冗談めかしてそう言ったつもりだったけれど、
在我的立场,这么说原本只是想在对话中加点玩笑的成分,来缓和当下的气氛。
「そうなのかな」
「是这样吗,」
と、羽川は残念そうに言った。
但羽川却一脸遗憾地说。
「やっぱり、染み出しちゃうのかな、そういうの──普通じゃない子が普通にやろうとしてるから、無理が出ちゃうのかな。やり過ぎちゃうのかな」
「果然,我太突出了吗——一个不普通的小孩,想要让自己看起来很普通,或许太勉强了吧。我可能做过头了吧。」
「悪いことじゃ──ないだろ」
「那不是……坏事吧。」
僕は言った。
我说。
「よりよく、生きてるってことなんだから」
「因为你活得更精彩了。」
「そんなこと、ないよ。だって、わかりやすいじゃない。そういう生まれで、そういう育ちだから──だからこそいい子で、だからこそおりこうさんなんだって」
「没那种事。理由很简单不是吗。我就是因为在那种家庭出生长大,所以才会是个乖孩子,才会是一个聪明的小孩。」
不幸をバネに頑張ったとか。
把不幸当作助力而努力。
逆境をバネに頑張ったとか。
把逆境当作助力而努力……之类的。
わかりやすいよね、そういうの──
这的确很浅显易懂。
「……ん。いや、でも、実際、その通りってことになるのかな、私の場合──」
「……嗯。不过呢,实际上我就是这样吧,我的情况——」
「だとしても、それは……」
「就算是,那也……」
実際──その通りなのだろう。
事实上她说得没错吧。
皮肉にも。
很讽刺地,
そう言わざるを得ない。
我不得不这么说。
だが、それは悪いことではないはずだ。
但那应该不是什么坏事。
「阿良々木くんは、何をしてるの?」
「阿良良木,你在做什么啊?」
突然。
突然,
羽川は、話題を変えた。
羽川改变了话题。
表情も、ころっと変えている──いつもの、気さくな笑顔。
表情也为之一变,变成了平常坦率的笑容。
いつも通りなのが──逆に不気味だった。
一如往常,反而令人生畏。
こんな話をしている途中なのに。
明明我们正在聊那种话题。
「折角のゴールデンウィークなのに、勉強とかしないの?」
「难得的黄金周,你不读书吗?」
「折角のゴールデンウィークなのに、どうして勉強とかしなくちゃならないんだ……」
「难得的黄金周,为什么我非要读书不可啊……」
「あはは」
「啊哈哈。」
羽川は快活に笑う。
羽川露出快活的笑容。
「私はね──休日は、散歩の日なの」
「我啊……休假时间是散步的日子。」
「…………」
「家に、いたくないから。あのお父さんとあのお母さんと、一日、一緒に家にいるなんて──ぞっとする」
「因为我不想待在家里。和那样的父母亲,一整天都待在同一个家里……会让我浑身发抖。」
「仲……悪いのか?」
「你们……感情不好吗?」
「というか、それ以前の問題」
「那是以前的问题。」
羽川は言う。
羽川说。
「仲が冷めてるのよね。私と両親ってこともそうなんだけど──お父さんとお母さんの間も。家族なのに、会話がないの」
「现在是感情冷淡。我和父母亲之间也是……他们之间也是。明明是家人,彼此却不说话。」
「お父さんも、お母さんも──」
「你的父母也都——」
「そう。私の所為なのかな、いつからか、すっかり、お互いに愛情もなくなっちゃったみたいで。別れちゃえばいいと思うけれど、それもまた、世間体ね──大事だもんね、世間体。私が成人するまでは──だってさ。あはは、縁もゆかりもない子供なのにねえ」
「对。或许是我的关系吧,不知道从什么时候开始,他们之间就没有爱情了。我觉得他们要是离婚就好了,可是这又关系到面子问题啊——面子很重要嘛。听说他们要维持那种的关系,到我成年为止。啊哈哈,明明我和他们非亲非故的。」
笑うなよ。
你别笑啊。
そんな話を──笑いながらするなよ。
别一边笑……一边说出那种话啊。
羽川らしくもない。
这一点都不像羽川的作风。
けれど、羽川らしさって、なんだろう?
可是羽川的作风又是什么呢?
普段の羽川もれっきとした羽川翼であるように──この羽川もまた、れっきとした羽川翼ではないのだろうか?
就像平常的羽川也是羽川翼一样;眼前的羽川,不也无庸置疑地是羽川翼吗?
だけど、そのとき、僕はわかった。
但是,那时我明白了。
わかってしまった。
完全明白了。
羽川と、春休みに、出会えた理由。
我会在春假遇见羽川的理由。
休日が散歩の日だというのなら、ゴールデンウィークは言うまでもなく、春休みや夏休みもまた、散歩の日だろう──あのとき、あの場所で羽川と出会ったのは、それは勿論偶然の産物だったのだろうが、その偶然には、きちんと理由があったというわけのようだ。
如果假日是散步日的话,那黄金周就不用说了,春假和暑假也是散步日吧——那时候我会在那里遇见羽川,当然是偶然之下的产物,但那个偶然,似乎有一个具体的理由。
「だから、休日は散歩の日」
「所以,假日是散步日。」
「……気ィ遣い過ぎだと、思うけどな」
「……我觉得你顾虑太多了吧。」
当たり障りのない感想を漏らす僕。
我说了一个无伤大雅的感想。
それくらいしかいうことがなかった。
我只能说出这种话。
自分の薄さが嫌になる。
我厌恶自己的浅薄。
冷めた家族──それもまた、珍しくもない。
关系冷淡的家庭——那也不怎么稀奇。
羽川のような子供が、そこで育っているという事実が、珍しいだけだ──けれど、そんな色眼鏡で見られることさえ、羽川は嫌がるのだろう。
像羽川这样的孩子在那种环境下长大,是一件很稀奇的事情——但是就连这样的偏见,羽川都很讨厌吧。
有名人扱いされるのを、羽川が殊更嫌う理由が、そのとき、なんとなくわかったような気がした。自分のことを、頑なに、『ちょっと真面目なだけが取り柄の普通の女の子』と思い込んでいる理由もだ。それもまた、気のせいで、わかったつもりになっただけで、あるいは、同情のような感情なのかもしれなかったが──
羽川极度讨厌被人当作名人来看待的理由,那时我似乎有点明白了。也明白她为何一直很顽固地认为:「自己是一个稍微认真,也只有这点可取的普通女孩。」的理由。那或许是我的错觉,只是我自己以为自己懂了,抑或是一种同情的感情也说不定。
「………………」
しかし。
但是。
そこで、はたと気付く。
再次,我突然注意到一件事情。
優等生、委員長の中の委員長、羽川翼が抱えていた、誰にも想像がつかないような、複雑な家庭事情──それはわかった。僕の頭で理解するにはちょっと複雑過ぎたくらいだったが、羽川の理路整然とした説明のお陰で、正確に把握できた。羽川の、過剰なほどに真面目な性格のバックボーンが、そこにあるのかもしれないということ(そして羽川自身は、そうは思って欲しくないということ)も、得心いった──しかし。
优等生、班长中的班长:羽川翼有一个任何人都想象不到的复杂家庭——这些我已经知道了。对我的脑袋来说,那番话略嫌复杂了些,但多亏羽川条理分明的说明,让我能够正确地掌握事情的原委。羽川会有过度认真的性格,或许就是因为有一个复杂家庭的缘故(还有羽川本人不希望别人这么想),这我也明白了。但是——
しかし、である。
但是。
それは、顔面の半分が、ガーゼによって隠されている説明にはなっていない。
那没有办法说明,为什么她半边的脸会包着纱布。
全く、なっていない。
完全无法解释。
そもそもはその話ではなかったか。
一开始我们是在谈那个吧。
「……そうだね」
「……是啊。」
羽川はここでも──失敗した、という顔をした。
羽川在此也露出了「真糗呢」的表情。
これは本当に、ただの失敗だったのだろう。
这真的只是普通的失败出糗吗?
「私、何を言ってるんだろう──これじゃ本当に、阿良々木くんで憂さを晴らしただけじゃない」
「我刚才在说什么啊,这样一来,我不就真的好像在利用阿良良木,来抚平自己心中的郁闷吗。」
「いや、それは別にいいんだけどな──」
「不会,那不要紧啦——」
「誰にも言わないって、約束してくれる?」
「你能答应我不要告诉任何人吗?」
そんなことは言わなくてよかったのだ。
你不用这么说。
たまたま出会っただけの僕に、本来なら、そんなことまで言う必要はない──なんなら、本当に、憂さを晴らしただけでも、よかったのだ。
对偶然在路上巧遇的我,你本来没必要开口求我的——若可以的话,你真的可以把刚才的那些,都当作是一种情绪的抒发。
けれど、誰に対しても品行方正であろうと、誰に対しても正しくあろうと、誰に対しても誠実であろうとする羽川翼は、これで、僕に、顔面のガーゼの理由を、説明しないわけにはいかなくなった。
但是,想要以品行端正、正直和诚实的态度,去对待任何人的羽川翼,这样一来,就不得不向我说明脸上包纱布的理由了。
言う必要なんかないのに。
她明明没有说明的必要。
聞く資格なんかないのに。
我也没有发问的资格。
「約束……する」
「我……答应你。」
「今朝、お父さんに殴られたの」
「今天早上,我被我爸打了。」
あっけなく、笑顔で言った。
她带着笑容,十分简单明了地告诉我说。
照れたような、はにかみの笑顔。
那是一个害羞腼腆的笑容。
それもまた──いつも通り。
那也和……平常一样。
結局、いつも僕は後からしか気付くことができないのだが、あるいはこれが、羽川翼にとって、最後のトリガーだったのかもしれないと思う。父親に殴られたことではなく──僕にそれを話してしまったこと。
到头来,每次我都只能当一个事后诸葛;但我想或许那对羽川翼来说,是压死骆驼的最后一根稻草吧。她被父亲打的事情并不是主要的原因——她把自己被父亲打的事情告诉我,才是压垮她的最后一根稻草。
僕にそれを知られてしまったこと。
她让我知道了那件事情。
それが、ストレスでなくて──なんだろう。
这不是精神压力的话……又是什么呢。
「殴られたって……それは」
「那是被打的吗?」
けれど、そのときの僕は気付かない。
然而,当时我却没有发现。
ただ──驚いていた。
只有惊讶的份。
いや、怯えていたと言ってもいい。
不,要说我吓到了也行。
父親が娘を殴るなんてこと──あるわけないと思っていた。いや、考えたこともなかった。ドラマや映画の、作り事だと思っていた。そんなことに、血の繫がりや家庭事情なんて、一切関係ないだろう──あってはならないことだ。
我一直以为……父亲打女儿这种事情是不可能发生的。不,我根本想都没想过。我以为那些都是连续剧或电影虚构出来的东西。那种事情和血缘关系、家庭状况根本毫无关系吧——那是不应该发生的。
羽川の顔を見る。
我看羽川的脸。
覆われた左半分。
被包住的左半边。
じゃれあって、スキンシップでできた怪我なんかじゃない──
那不是因为和父亲玩闹,以及亲密接触时所受的伤——
「それは、駄目だろう──!」
「那是不对的吧!」
家庭に不和と歪みを抱えている。
家庭不和睦和扭曲。
それ自体は不幸じゃない。
这本身并不是不幸。
何も背負っていない人間なんているわけがない──生まれや育ちで人を差別することがあってはならないのと同様に、生まれや育ちで、人に同情したり、逆に人を羨んだりすることがあってはならない。わかりやすい、目に付きやすい事情があったとしても、それはわかりやすいだけで、目に付きやすいだけで、不幸でも何でもない──のかもしれないけれど。
只要是人都会背负着某种东西——我们不能因为出身和教养的缘故,去歧视别人;同样的,也不能因为出身和教养的缘故,就去同情或是反过来去羡慕他人。就算对方背负的东西非常醒目易懂,也不代表他是一个不幸的人,可能单纯只是因为那些东西很浅显易懂、容易发现而已。
殴られたら、それは駄目だろう。
但是打人是不对的吧。
羽川は、理由を説明した。
羽川对我说明了理由。
自分が殴られた理由を。
自己被打的理由。
それは、第三者の僕としては、とても、納得いくようなものではなかった──他人の家庭に口を挟むべきではないのは重々承知している。僕が納得いくかどうかなんて、僕の気分なんて、それこそ関係ないだろう。
那个理由就连身为局外人的我,都觉得难以接受——别人家的事情轮不到我这个外人来插嘴,这点我很清楚。我能不能接受,还有我的心情怎么样,根本无关紧要吧。
要は、学校でもたまにあることだった。
简单来说,那是一件在学校也偶尔会发生的事情。
常に正しくあろうとする羽川は、少なからず、誰かと衝突することもある──今回はその相手が、父親だっただけに過ぎない。
为人耿直的羽川,多多少少会和其他人起冲突——只不过这次的对象,是她的父亲罢了。
暴力をもって応えられたに過ぎない。
对方只不过是用暴力来响应她罢了。
「冷めた家族じゃ──なかったのかよ」
「你家里的关系……不是很冷淡吗。」
「ちょっと、冷め過ぎちゃったのかな──それとも、私が、今更ながら、歩み寄ろうとか、思っちゃったのかしら。折角バランスが取れてたのに。だったら、私が悪いってことだよね。ほら、だって、考えてみてよ阿良々木くん。もしも、阿良々木くんが、四十歳くらいでさ──見も知らぬ十七歳の子供から、知ったような口をきかれたとして? ちょっと腹が立っちゃっても、かちーんときちゃっても、それは仕方ないと、思わない?」
「可能稍微冷淡过头了吧——或许是因为我事到如今,还想要拉近彼此关系的缘故吧。我们的关系好不容易才保持平衡的说。要是这样就是我的错了。因为,你想想嘛,阿良良木。假如你四十几岁了,还被一个毫无关系的十七岁丫头,用一副好像什么都知道的口吻说东道西的话,你会有点光火或者是大发脾气,也是无可奈何的吧?」
「だけど!」
「可是!」
見も知らぬ十七歳の子供?
毫无关系的十七岁丫头?
なんだそれは。
这算什么。
どうして、そういう風な言い方をする。
为什么你要用这种说法。
血は繫がってないのかもしれないけれど、それでも、三歳の頃から、同じ家で育ってきた──家族のはずだろうが。
或许你们没有血缘关系,可是你们从三岁开始就生活在一起……应该是家人才对吧。
「暴力が仕方ないなんて……お前がそんな言葉を吐いちまっていいのか? それは、お前が、最も許せないことじゃ──」
「暴力是无可奈何的……你说这种话可以吗?那应该是你最不能允许的事情——」
「い……いい、じゃない。一回くらい」
「有……有什么关系。也才一次而已。」
僕は──とても短絡的に、怒っていた。
我非常不经大脑就发火了。
どうしてかは、わからない──恐らくは、自分の恩人である羽川が、そんな目に遭ったことに対し、怒っていたのだとは思う。しかし、僕の怒りは、その羽川を追い詰めることだけだった。羽川が、何とかして折り合い3をつけようとしているところに──無粋な正論を振りかざしたに過ぎない。
我不知道为什么——我想或许是因为自己的恩人羽川,受到这种对待让我觉得很愤怒吧。但是,我的愤怒只会把羽川逼死罢了。我只不过是在羽川想要设法找出一个妥协点时,大肆宣扬自己那种不解风情的正论。
正論は人を傷つける。
正论总是会伤害人。
いつだって。
不管什么时候。
いいじゃない、一回くらい──なんて。
说什么「有什么关系,也才一次而已」。
それこそ、言わせていい言葉じゃなかったのに。
那才是最不应该让她说出口的话啊。
友達が相手であろうとも教師が相手であろうとも、悪いことは悪い、駄目なものは駄目とはっきり言うのが、羽川翼のスタイルだ。だから、たとえその結果殴られることになろうとも、親に対して、悪いことは悪い、駄目なものは駄目とはっきり言ったこと──それは、それだけなら、羽川はまだ、立派に羽川翼のままでいられたのだ。
不管对方是朋友还是老师,错就是错,不行就是不行,她总是会清楚地表达出来,这就是羽川翼的风格。所以,就算最后会被打,她对自己的父母也一样清楚地表达出是非善恶——倘若是这样,那羽川依旧是令人钦佩的羽川翼。
それなのに。
但是,
僕は言わせてしまった。
我却让她说出那种话。
いいじゃない、一回くらい──
有什么关系,也才一次而已——
その言葉は──人生の否定だ。
那句话……是一种人生的否定。
自分自身の否定だ。
是一种对自我的否定。
「約束したよね、阿良々木くん。誰にも言わないって──約束してくれたよね」
「我们说好了喔,阿良良木。你答应过我……不告诉任何人的。」
学校にも。
不告诉学校。
警察にも。
不告诉警察。
いや、誰より、羽川自身に対して──
不,最重要的是在羽川面前——
二度と、この話題を持ち出さないと。
不再提起这个话题。
「で、でも──そんな、約束なんて──」
「可、可是……那种约定——」
「……お願い、阿良々木くん」
「……拜托你,阿良良木。」
羽川は言った。
羽川说。
約束では足りないと思ったのか──頭を下げた。
或许她觉得约定还不够吧——她低下了头来。
「このことは、誰にも言わないでください。黙っててくれたら、私、なんでもするから」
「这件事情,请你不要告诉别人。如果你能保持沉默的话,我什么都愿意做。」
「…………」
「お願いします」
「拜托你。」
「……ああ。わかったよ……」
「……好。我知道了……」
詰め寄られて──僕は、そう言うしかなかった。
在羽川的逼迫下,我只能够说出这种话。
そんな理不尽なことを、お願いされてしまって──そんな理不尽なことをお願いさせてしまって、それ以上、踏み込むことができなかった。
我受到了这种不合道理的请求——是我害她做这种不合道理的请求,既然如此,我便无法再深入去干涉这件事情。
拒絶されたからだ。
因为我被她拒绝了。
拒絶されては──協力することはできない。
她拒绝了我……我就无法帮助她。
人は、一人で勝手に助かるだけ──
人只能够自己救自己。
「でも、病院には行け。そのガーゼ、自分でやったんだろ? お前の器用さは認めるけど、さすがにちょっと不自然だぜ」
「可是,你要去医院一趟才行。那个纱布是你自己包的吧?我承认你的手很巧,可是包成那样实在有点不自然。」
「うん……わかった。そうね、どうせすることのないゴールデンウィークだし、診てもらってこようかな。たまには保険証も、使わないと」
「嗯……我知道了。也对,反正黄金周也没别的事情可以做,我就去看一下医生好了。偶尔也要用一下健保卡才行。」
「それから──何かあったら、いつでも僕に電話しろ。どこにいようが、なにをしていようが、いつでもお前の力になる」
「还有……如果有什么事情,你随时都可以打电话给我。不管我在哪里,在做什么,随时都可以助你一臂之力。」
「あはは、何それ、格好いい」
「啊哈哈!什么啊,好帅哦。」
羽川は笑った。
羽川笑了。
いつも通りの笑顔で。
用一如以往的笑容。
「何かって、何よ」
「有什么事情,是指什么啊?」
「それは、だから──」
「就是说——」
「うん、わかったよ、阿良々木くん」
「嗯,我知道了,阿良良木。」
そして、言った。
接着,她开口说。
「何かあったら、すぐに電話するから。メールでもいいよね?」
「如果有什么事情,我会马上打电话给你的。传邮件也可以吧?」
言った。
她说。
そう言ったものの──
话虽如此——
結局、ゴールデンウィークの間中、僕の携帯電話に、羽川からの着信も羽川からのメールも、ただの一回たりともなかった。
到头来,黄金周那段期间,我的手机始终没有接到羽川的电话或她发出的邮件,连一次也没有。
必要なときにそこにいるということ──ただし。
在必要的时候陪伴在她身边……可是,
僕はこのとき、命の恩人である羽川から、全く必要とされていなかったということだ──人恋しかったけれど、それは単に、八つ当たりする、憂さを晴らす、そんな相手が欲しかっただけ──必要とされてもいないのに、僕は無様にも、そこにいたのだった。
在那个时候,我的救命恩人羽川,可说是完全不需要我——她虽然希望有人陪伴,但那只是单纯希望有一个人可以让自己迁怒,抚平自己的郁闷而已——在她不需要我的时候,我却狼狈地出现在她的身旁。
必要とされていたのは、猫だ。
她所需要的东西,是猫。
猫。
怪異には、それに相応しい理由がある。
每个怪异的出现,都有一个适当的理由。
それから僕達は、それまでの会話には一切触れず、蒸し返すことなく、これからのクラスの予定について、話し合うことになった。主として文化祭についての話だ。している内に、クルマに轢かれて死んでいる猫を見つけた。首輪がないところを見れば、野良猫だろう。尻尾のない、白い猫だった。元々尻尾のない種なのか、路上生活の末に千切れてしまったのか、それはわからない。白い猫──見方によっては銀色のようにも見えるが、しかし、どちらにしたって、自身の血の色に染まって、その地毛の色は台無しだった。一度轢かれた後、何度も後続車に轢かれたのだろう、酷い有様である──羽川は迷わず、当たり前のように歩道から車道へと出て、その猫を拾い上げた。
接着,我们没去触碰那个话题,也不再重提,开始讨论班上之后预定要处理的事情。主要是针对文化祭。在谈论之间,我们发现了一只被车子辗死的猫。从颈部没有项圈这点来看,那应该是只野猫吧。它是一只没有尾巴的白猫。它是原本就没有尾巴的品种,还是在流浪生活时不慎弄断的呢,这点我不清楚。白猫——因看法而异,它看起来也像是银色的,但不管是哪种颜色,它身上被自己的血给染红,糟蹋了那原本的毛色。它大概是被车辗过一次后,又接二连三地被后续车辆给辗过吧,死状相当凄惨——羽川毫不犹豫,宛如理所当然一般,从人行道往车道走去,将那只猫拾起。
「手伝ってくれる?」
「你能帮我一下吗?」
羽川にそう聞かれて、頷かない奴はいない。
被羽川这么一问,没有人会拒绝。
僕達は、近くの山にその猫を埋めてやって──こうして、四月二十九日、羽川と僕にとって悪夢の九日間の最初の一日、プロローグとしての一日は、幕を閉じたのだった。
我们把那只猫埋在附近的山里——就这样,四月二十九号,对羽川和我而言,有如恶梦般的九天中的第一天——身为序章的第一天就此落幕了。
この初日のことを、この初日に僕と交わした会話のことを、羽川がどこまで憶えているのかは、わからない──羽川は羽川のままだったから、猫を埋めたことくらいは憶えているにせよ、しかし細かいところまでは、記憶を失うときに、まとめて失っている可能性は高い。残念ながら確認のしようがない──確認をした途端に、頭の切れる羽川には露見してしまうからだ。
那天发生的事情,以及和我之间的交谈,羽川记得多少呢——这我不知道。羽川那时候还是羽川,所以就算把猫埋葬的事情她还记得,但是比较详细的部分,很有可能在她丧失记忆的时候,也一并忘记了。可惜我没办法去确认——因为在确认的过程中,聪明的羽川可能就会看出端倪。
ともあれ。
总而言之。
枕は終了、ここからの話は単純だ。
序章结束之后,接下来的故事就很单纯了。
翌日、僕は、特に用はなかったのだけれど、なんとなく暇を持て余して忍野の住む学習塾跡へと足を向け、忍(当時はまだ忍野忍という名を与えられてはいなかったが)の様子を見て、忍野とは適当に雑談をした。
隔天,我没有要做什么,只是因为太闲了而跑到忍野住的补习班废墟。去看了一下忍——当时她还没有忍野忍这个名字——同时和忍野随便闲聊了一会。
その内に、昨日埋めた猫の話を含めた。
话中,包含了昨天埋葬猫的事情。
なんとなく──ではない。
这不是我无意间说出口的。
嫌な予感は、していたからだ。
而是因为我有不祥的预感。
春休みの地獄に──近い気配。
当时我感觉到春假的地狱,正在步步靠近。
「阿良々木くん。それは──」
「阿良良木老弟,那只猫——」
忍野は、目を細めながら、確認した。
忍野瞇眼,同时向我做确认。
「まさか、銀色の猫じゃなかっただろうね──」
「该不会是银色的猫吧……」
最終的には、この雑談が効を奏した。
从结果来看,这个闲聊发挥了功效。
白い髪、白い猫耳で、ブラック羽川(命名・忍野メメ)と化し、夜な夜な町で好きなだけ暴虐の限りを尽くしていた怪異──障り猫を、ゴールデンウィークの最終日、五月七日に、捕らえることができたからだ。
白发、白猫耳,化身为黑羽川(命名:忍野咩咩),在夜深人静的城镇当中大肆妄为,尽其暴虐之能的怪异——障猫,我们最后终于在黄金周的最后一天,五月七号将它捕获。
九日目。
刚好是第九天。
十日を迎えていれば危なかった。
要是到第十天,情况就会很危险。
らしい。
似乎是这个样子。
スピード解決──とも言えたが、この場合、ぎりぎりとしか言う他なかった。
这整件事情……可以说是速战速决,但这种情况下,只能说是勉强安全上垒。
忍の協力もあって(この手柄で、彼女は忍野から、忍野忍の名を頂戴することになる)、羽川が魅せられた障り猫を封じることには成功し──
忍在过程当中也有协助我们(因为此功绩,忍野赐给了她忍野忍这个名字),最后我们成功封印了魅惑羽川的障猫——
問題は解決した。
解决了问题。
言うならば、あっさりと。
要说的话,其实很简单。
複雑な問題ほど、あっさりと解決するものだ──何故なら、解決したからと言って、問題が消えてなくなってしまうわけではないからである。
越是复杂的问题,就越能简单解决——因为就算解决了,也不代表问题会就此消失。
トランス状態。
催眠状态。
羽川に、ブラック羽川の間の記憶はない──だから。
羽川没有黑羽川时候的记忆。
ブラック羽川が、最初に襲った相手が、自分の今の両親であることを、彼女は知らない──
所以她不知道黑羽川最初袭击的对象,就是自己现在的双亲。
その記憶も戻ったのだろうか。
那段记忆也恢复了吗?
僕は、それが、心配だった。
我很担心这一点。
「記憶の問題はねえ」
「记忆方面没问题啦。」
と。
随后,
ゴールデンウィークから数えて一ヵ月一週間ぶりに姿を見せたブラック羽川を、一瞬の手際で縛り上げて(前回の教訓が活かされている)、一通り話を聞き出したところで(とは言え、例によって、ブラック羽川の言うことはにゃーにゃーうるさいばかりで僕にとってはまるで要領を得なかったのだが)、縛り上げたブラック羽川をその教室に放置して(『彼女』は僕達を言葉汚く罵ったが、それは無視)、僕と忍野は、四階に三つある教室の内、さっきの教室から離れている方の一室へと移動した直後に──火のついていない煙草をくわえてから、忍野は、そう切り出した。
我们立刻将自黄金周算起,间隔一个月又一周不见的黑羽川紧紧上绑(这边活用了上一次学到的教训),大致上盘问了她一下(话虽如此,但黑羽川跟先前一样说起话来只会喵来喵去,我完全听不懂她在说什么),随后我和忍野把黑羽川丢在教室里(「她」用脏话臭骂了我们,但我们只当作耳边风),移动到其他的教室去。四楼有三间教室,我们选了离刚才那间最远的一间进去后,忍野叼着没点火的香烟开口说。
向かい合い。
我俩面对面。
今度は、忍野と二人で話す番だった。
现在轮到我和忍野对谈了。
「フェイタルなところは、問題ないっちゃ問題ないとは思うよ──どうしたって、ブラック羽川の間の記憶は、委員長ちゃんとは相容れないものだから、さ。ただし、委員長ちゃんとしての記憶の方は、厳しいね。そっちは、今回は、消えてなくなったりしないと思う。今回は、前回とは事情が違う──委員長ちゃんが完全に自覚しちゃっている」
「只要最关键的地方没问题,我想应该就没问题啦——你要问为什么的话,是因为黑羽川期间的记忆,和班长妹是水火不容的。但是,班长妹本身的记忆可就很严重了。我想这次她的记忆不会消失吧。因为这次和上次的情况不一样,班长妹全部都自觉到了。」
「自覚してたら、まずいのか?」
「自觉到了会很不妙吗?」
「自覚自体はそれほどまずくはない。問題は『委員長ちゃんが』って方だよ、阿良々木くん。阿良々木くんも知っての通り──委員長ちゃんは、ちょっとばかり、聡明過ぎる。普通の人間の百倍くらい、頭の回転が速い。材料があれば、それを繫ぎ合わせて、記憶を構成することくらいは容易だろうと思う」
「自觉本身不是不好。问题是『班长妹』这个人啊,阿良良木老弟。你也知道班长妹她……稍微有点聪明过头了。脑袋瓜转的速度比普通人还要快一百倍。只要有素材,她要把它们串起来构成一个记忆,我想应该很轻松吧。」
「記憶を──構成」
「构成……一个记忆。」
「前回は、ブラック羽川の記憶も委員長ちゃんの記憶も、完全消去できた──ノーヒントだ。怪異を丸ごと封印できたから、必然的に、怪異に関する記憶もなくなった。結果がなくなれば原因もなくなるってことさ。だから、記憶の辻褄が合わなくても、辻褄が合わないこと自体に気付かない。けれど、今回は、言うなら穴埋め問題になってしまうということだ。文章から、ところどころ、肝要な部分が抜け落ちているという感じ──正確無比にと言われれば完答は無理だろうけれど、どういうニュアンスの言葉がそこに入るかくらいは、勘のいい人間ならわかるだろう?」
「上一次,黑羽川和班长妹的记忆,都消失得一乾二净——没有留下半点提示。把怪异完全封印起来,很必然地和怪异有关的记忆也会消失。结果消失的话,原因也会跟着消失。所以就算记忆前后矛盾,她也不会发现。但是,这次的情况要比喻的话,就像是填充题一样。感觉就像一篇文章,四处挖掉了几个重要的地方——要正确无比地全部答对,应该是没办法啦;可是直觉敏锐的人,应该会知道里头要填哪些字进去吧?」
「国語のテスト──みたいなものか」
「就像……国文考试一样吗。」
国語は苦手だ。
国文不是我擅长的科目。
だけれど──羽川に苦手な教科はない。
但是,羽川可是样样精通。
「仕方ないか──前回の記憶までは戻らないってんなら、それを不幸中の幸いとするべきだろう。羽川にとっちゃ、辛いところだけど」
「这是无可奈何的吧——她没有连上次的记忆也恢复,应该算是不幸中的大幸吧。不过对羽川来说,她会很难受吧。」
前回は、怪我の功名4と言えたけれど。
上次可说是歪打正着。
今回は、不幸中の幸い、だ。
这次则是不幸中的大幸。
「いやあ、僕としては、委員長ちゃんにとっては、いいことなのかもしれないと思うよ──怪異に曵かれた人間は、その後も怪異に曵かれやすくなってしまう。それは阿良々木くん自身が、今もって体験していることだ──委員長ちゃんも、これからそうなると言うのなら、怪異について、知っていることは重要だ」
「不对喔,我觉得那样对班长妹来说,或许是一件好事吧——被怪异吸引的人,之后会变得很容易遇到怪异。这点阿良良木老弟是过来人吧——要是班长妹以后也变成那样的话,早一点了解怪异是很重要的。」
自覚は必要だよ、と、忍野は言った。
自觉是必要的,忍野说。
それは──その通りかもしれなかった。
或许……他说的没有错吧。
知っていなければ、対応できないこともある。知っていても、手に負えないことはあるが──それでも知ってさえいれば、逃げることくらいは、できるのだ。
有些时候,要事先知道才有办法去应对;而有些事情就算知道了,自己也应付不来——但是,要是知道的话至少还可以逃跑。
そうやってバランスを取る──ということだった。
这样和怪异之间就能取得平衡。
「でも──忍野」
「可是……忍野。」
僕は言った。
我开口说。
背後を──二つ向こうの教室で縛り上げられたままのブラック羽川を、思いながら。
脑中一面想着两间教室外,被我们紧紧绑住的黑羽川。
「なんで『あいつ』──また、出てきたんだ? ゴールデンウィークに、しっかり封じたはずじゃないか。二度と現れないんじゃなかったのか?」
「为何『那家伙』……又出现了啊?黄金周的时候,我们应该确实把她封印住了才对啊。她应该不会再出现了吧。」
「そんなことは言っていないよ」
「我可没那么说。」
と、忍野は首を振る。
忍野摇头说。
「障り猫ってのはさ──阿良々木くんが知っている他の怪異とは、またちょっと種類が違うんだよ。そうだね、強いてどれかと言うなら、百合っ子ちゃんのときの、猿に近いのかもしれない──」
「障猫这种东西啊……和阿良良木老弟知道的怪异,类型又稍微不一样了。这个嘛,硬要归类的话,障猫或许比较接近百合妹那时候的猿猴——」
「ああ……両方、ケモノだもんな」
「是啊……两边都是兽类嘛。」
「うん。ただ──前も言ったろう? 障り猫ってのは、現実に即した言い方をするなら、多重人格障害だからね──言わばブラック羽川は、裏の委員長ちゃんだ。怪異ってのは、そこにいるしどこにでもいるもの──けれど、障り猫の場合、究極的には、委員長ちゃんの中にしかいない。障り猫は、あくまでただのきっかけであって、媒介であって──問題は委員長ちゃんの中にある、ストレスだ」
「嗯,只不过——之前我也说过吧?障猫这种东西,按照现实的说法就是多重人格障碍——所以黑羽川说起来,就是班长妹的黑暗面。怪异这种东西是无所不在的——可是,障猫这种怪异很极端,只存在于班长妹的体内。障猫只不过是一种契机,一个媒介……真正的问题是班长妹内心的,精神压力。」
ストレス。
精神压力。
学者に言わせれば、それはどんな質問にも答えようとする身体の反応──であるらしい。
照学者看来,那是似乎一种想要去响应一切问题的身体反应。
「前回は、僕と相対した段階では、ブラック羽川、暴れるだけ暴れまくって、大体のストレスを解消していたと言ってもよかったからね──封じるのも容易かった。けれど、あくまで、封じた、さ。消えてなくなったわけじゃない。怪異を消してもストレッサーを消したわけじゃないからね。ストレスが溜まれば、また浮き上がってくるさ──泡のように」
「上次黑羽川和我对峙的时候,因为她先前已经尽情发泄过了,精神压力可说是大多得到了消解,我要封印她也变得很容易。可是,到头来那只不过是封印而已。她没有消失。因为我就算可以消灭怪异,也无法消除压力源。只要精神压力累积起来,她又会浮出台面了……就像气泡一样。」
「ストレス……」
「精神压力……」
「問題は、今回のストレッサーは何なのか、だ」
「问题在于,这次的压力源是什么。」
ストレスの原因をストレッサーという。
精神压力的原因,称作「压力源」。
当然、羽川にとってのそれは、家族だろう。
当然,对羽川来说,压力源应该是家庭吧。
と、思うのだが。
我是这么想的。
「いや、僕も最初はそう思ったんだけどさ──阿良々木くん、どうなんだろうね? 十七年間自分を律してきて、ついに解放されたストレス──それが解消されたばかりだというのに、ただの一ヵ月程度で、また同じレベルのストレスが溜まるもんなのかな?」
「不对,我一开始也是这么想的啦——可是阿良良木老弟,真的是这样吗?班长妹在十七年间一直压抑自己,最后精神压力才终于爆发出来。现在那个压力明明才刚解决,她会在短短一个月的时间,又累积相同程度的压力吗?」
「あ──それは」
「啊——这……」
「幸い、あれ以来、委員長ちゃんが親から暴力を受けたってこともないんだろう?」
「幸好,在那之后,班长妹就没遭到父母家暴了吧?」
「まあ──ない、みたいだが」
「这个嘛……好像是没有啦。」
最初に襲った相手。
她一开始袭击的对象。
お父さんとお母さん──両親。
是父亲和母亲——也就是自己的双亲。
今現在、結局は元の鞘だ──冷めた家族、ろくに口も利かない、一緒に住んでいるだけの人間である──それが羽川にとってストレスでないわけがない。
现在,他们又恢复到原本的样子——冷淡的家庭、不说半句话、只是住在同一个屋檐下的人而已——那对羽川来说,不可能会成为精神压力。
だけど、確かに──一ヵ月は早過ぎる。
可是,的确……一个月实在太快了。
またぞろ殴られたというのならまだしも。
要是她又被家暴的话,那就另当别论了。
「一応、首に鈴をつけておいたからね──それが効を奏したって感じか。障り猫の、早期発見に繫がった。用心はしておくもんだ。けど、正直、それが作用するとは僕は全く思っていなかった。これは僕が迂闊だったよ。僕としては、どんな最悪でも、委員長ちゃんが二十歳になるまでは、持つと考えていたんだ。聞いた話じゃ、ご両親は委員長ちゃんが成人したら離婚するつもりらしかったし、委員長ちゃんは当然、家を出るつもりだろうから──だからあえて、委員長ちゃんにも阿良々木くんにも、何も言わなかったんだけど」
「基本上,我有事先给她挂上铃铛啦——这次好像发挥功效了。让我们能够早期发现障猫的出现。小心驶得万年船嘛,不过老实说,我完全没想到那个铃铛真的会响。这点是我太大意了。我原本以为,不管情况有多糟,班长妹至少可以撑到二十岁。我听说,班长妹的父母等到她成年之后打算离婚,当然班长妹也打算搬到外面去住——所以这件事情,我才没跟班长妹和阿良良木老弟你说。」
「二十歳か……それは、神原の逆なんだな」
「二十岁吗……那就跟神原相反了呢。」
「わかりやすい基準だからね、『成人』は」
「因为『成年』是一个很容易理解的基准嘛。」
苦笑する風の忍野。
忍野苦笑。
「その頃になれば、委員長ちゃんも怪異に魅せられない十分な強さを備えていただろうしね──うん」
「而且到那个时候,班长妹大概也够坚强了,不会被怪异给魅惑了吧……嗯。」
「そうか……で、忍野。鈴ってのは、なんだ?」
「这样啊……话说回来,忍野。你所谓的铃铛是什么?」
「頭痛だよ。ゴールデンウィークの間も、委員長ちゃんは、頭痛を訴えていただろう? その辺を含んで、仕掛けを打っておいたのさ──でも、せめて阿良々木くんにだけは言っておくべきだったな。で、委員長ちゃんの頭痛は、いつからだっけ?」
「就是头痛啊。黄金周的时候,班长妹也有说她会头痛吧?包含那时候在内,都是我事先做好的预防措施——可是,我好歹也应该跟老弟你说一声才对。话说,班长妹的头痛是从什么时候开始的?」
「確か──一ヵ月くらい前とか」
「好像是……一个月前左右吧。」
「ふうん……最初はそんなに酷くなかったけど……か。どうしたもんかね──けれど、そのストレッサーを突き止めている時間は、ちょっとなさそうだな。複数の要因が絡んでいる可能性があるし、色ボケ猫は色ボケ猫で、相変わらず何言ってんだかわからないし──」
「嗯……一开始没有痛得很厉害……吗。这究竟是为什么呢——不过,看来我们似乎没什么时间去追查那个压力源了。那个压力源,可能有复数的要因纠结在一起,而且魅猫还是那副猫样,我一样听不懂她在说什么。」
「……お前でもわからないのか」
「……连你也不懂吗?」
本人に聞いた方が手っ取り早いとか言っといて。
刚才你还说问魅猫本人最省事。
「わからないよ。ヒントは色々あったけど、確実なところはねえ──デリケートな話だから、適当な推測でものを言うわけにもいかないし──ふふん、所詮は猫の脳味噌ってことだ。ただ、あれ、わざととぼけてる感じもあるんだよね──大本が委員長ちゃんなだけに、油断できない」
「我搞不懂啊。是有很多提示没错,但是都不可靠。精神压力是一种很纤细的问题,我也不能凭空猜测。哼哼,对方只不过是颗猫脑。不过我感觉她好像是故意在装傻。正因为她的本尊是班长妹,所以不能小看她。」
「敵に回したくない女だからな──あいつは」
「因为那家伙是你最不想与之为敌的女人。」
「敵に回ったわけじゃないさ」
「也不是与之为敌啦。」
ブラック羽川。
黑羽川。
羽川の心が作り出した、もう一人の羽川翼。
羽川的内心,制造出来的另一个羽川。
対照的──というより、対をなす人格。
是对照的——应该说,是成对的人格。
翼には、『たすける』の他に、また、『対をなす』という意味もある──正しく異形の羽だ。
翼除了「辅佐」以外,还有「成对」的意思在里头——诚然是一对翼形的翅膀。
「しかし、忍野、原因を突き止めたところで、そんなの、大した意味はないんじゃないのか? 家族のことにせよ、それ以外のことにせよ──そりゃ、ストレッサーを取り除くことができれば一番の解決方法なんだろうけれど、そんなの、僕やお前に、なんとかできるわけがないんだし──」
「但是,忍野,就算找出原因也没什么意义吧?不管那原因是家庭的问题,还是其他东西……消除压力源是最好的解决方法没错,可是那种事情我和你是做不到的吧。」
前回もそうだった。
上次也是一样。
羽川の家庭の問題など──解決できるわけがない。
羽川的家庭问题,我们不可能代为解决。
どういう状態になれば解決したことになるのかさえ、想像もつかない。他人が個人的に抱える事情になど、どうあっても踏み込めるわけがないのだ。
就连那个问题要在什么状况下才能获得解决,我也无从想象。别人私人的问题,外人不管怎么样都不应该去干涉。
それこそ、傲慢である。
随便去干涉,是一种傲慢的行为。
「戦場ヶ原や千石のときとは違って他に被害が出るタイプの怪異なんだし……怪異のタイプは似てても、神原のときともケースが違う。結局、前回と同じで、その場しのぎの対症療法を取るしか、道はないと思うけれど──」
「而且这个怪异和战场原跟千石的情况不一样,会危害到其他人……类型虽然和神原的时候很像,可是案例却不一样。到头来,我想我们只能和上次一样,用治标不治本的对症疗法了——」
「そうだね。その通りなんだけれど、うん」
「是啊。你说得没错啦,嗯。」
どうにも歯切れが悪かった。
他说起话来,实在是不干不脆。
なんだか忍野らしくない。
总觉得很不像忍野。
障り猫に関して、まだ何かあるのだろうか──いや、忍野は今日、話をする前から、ずっと、様子がおかしかったような気がする。こんな太陽の出ている午前中から、屋外で活動していたというのが、もう異常と言っていい──
障猫的事情,他还有什么东西没说吗——不对,总感觉忍野今天从说话前开始,样子就一直很奇怪。在这种太阳高挂的上午,他就已经在屋外活动这点,已经可以算是异常了——
「なんだよ、忍野──言葉を濁すじゃないか。また、なんだかんだと難癖をつけるつもりか? そりゃ、ケースがケースだし、千石のときほど協力的になれないのはわかるけどさ──」
「你干么啊,忍野。讲话怎么这么模棱两可。你该不会又想要刁难人了吧?毕竟是这种事情,我知道你不会像千石的时候那么爽快啦——」
いい加減、付き合いも長い。千石のように、羽川が被害者なだけではないことは、よくわかる──この場合、羽川が、怪異に依存してしまっている形であることは、よくわかる。忍野メメが、そういうのを、嫌う性格であることも。
我和他打交道,也不是一天两天的事情了。我很清楚羽川和千石不同,她不只是一个被害者。我很清楚这种情况下,是羽川在依赖怪异。我也知道忍野咩咩的个性最讨厌这种事情。
頼るだけ頼っておいて──
要依赖的时候就尽情依赖——
必要なくなったら邪魔者扱い。
不需要的时候,就把怪异当成麻烦。
それは敬意が足りないだろう──と。
那样对怪异太缺乏敬意了。
「──でも、今回は、お前の責任でもあるわけだろう? 羽川からは、きっちり十万円、受け取ってるじゃないか。それなのに、こんな前回の続きみたいなことが起こってしまったんだから──専門家として、違約金をお前が払わなくちゃいけないくらいだと思うぞ。アフターケアが足りないよ。お前の言う通り、羽川に鈴をつけていたことを、僕に教えておいてくれれば──」
「——可是,这次的事情你也有责任吧?你已经从羽川那边收了十万块日币吧。结果这次又延续上次,又发生了同样的状况。我觉得你身为一个专家,应该要付违约金吧。你的售后服务没做好。就跟你刚才说的一样,要是你把羽川挂铃铛的事情,事先告诉我的话——」
「まあ、そういう風にも言えるよね──」
「你要这样说也对啦——」
意外なことに、反論しない忍野。
忍野很意外地,居然没有反驳。
それは、あり得ない反応だった。
这个反应太不可思议了。
「いや、しかし、阿良々木くん、委員長ちゃんはそれにしても、猫耳が似合うねえ。はっはー、僕は『ねこ・ねこ・幻想曲』を思い出したよ。読んでるかい? ほら、あの、猫部ねこ先生の──」
「不过呢,阿良良木老弟,班长妹虽然变成那样,可是她和猫耳很速配呢。哈哈!我想起《猫咪幻想曲》这本书了。你看过吗?就是那个猫部猫老师的——」
「猫部ねこ先生は『きんぎょ注意報!』だろうが。猫ってだけで混同すんじゃねえよ。……お前、忍野、ひょっとして、何か誤魔化そうとしてないか?」
「貓部貓老師是《金魚注意報!》的作者吧!不要因為都是貓就把他們混在一起好嗎……你、忍野,你該不會是想隱瞞什麼吧?」
「何を言っているんだい、僕が誤魔化すなんて不実な行為をするわけがないだろう。猫耳と言えば、そう言えば、則巻アラレ5ちゃんもよく装着していたよね。いやあ、振り返ってみるに、あの漫画は時代を先取りしていたなあ。猫耳でロリでロボで眼鏡で妹で髪の色は紫で変な口癖てんこ盛りだぜ?」
「你在說什麼啊。我不可能会做出隐瞒那种不实的行为吧。说到猫耳,这么说来则卷阿拉蕾好像也常常戴猫耳对吧!唉呀,现在回想起来,那部漫画当时是走在时代的尖端呢。她是猫耳、萝莉、机器人、眼镜女、妹系再加上紫色头发,还有一堆奇怪的口头禅喔。」
「言われなきゃ気付かないことだが、まあ、その通りだな……よく気付いたと褒めてやりたいところだが、忍野、しかしそれが羽川のケースと何か関係があるのか?」
「你不说我倒是没注意到,这么说的确没错啦……我原本是很想称赞你观察入微的啦;可是忍野,那和羽川的事情有什么关系吗?」
「ん、ん、んー」
「嗯、嗯、嗯——」
誤魔化そうとしている……。
他在隐瞒什么……
絶対に誤魔化そうとしている……。
他绝对在隐瞒什么……
「おい忍野、いい加減に──」
「喂!忍野,你也差不多——」
「くぴぽ」
「噗呸啵!」!
「それが世の中の酸いも甘いも嚙み分けた大人の誤魔化し方なのか!?」
「这是能够分辨世间酸甜苦辣的大人,该用的打混方式吗?」
「んー。まあ、大人って大体こんなもんだよ」
「嗯——基本上大人就是这样啦。」
「大人になんかなりたくねえ!」
「那我不想长大了!」
まあ、くぴぽで誤魔化されることはないとして。
算了,就当作他没有用「噗呸啵」来打混好了。
しかし、誤魔化そうとしているならば、何をだ?
要是他真的有东西要隐瞒我的话,又会是什么?
わからない。
我不知道。
わからないことを考えてもしょうがないので、やむなく僕は、半ば強引にであっても、話を進めることにした。
不知道的东西想破头了还是不知道,因此我没办法,只好半强制地将话题继续往前推。
「とにかく、忍野──早く忍を連れて来いよ。相手は化け猫だ、どの道、忍に解決してもらうしかないんだろう? 勿論、忍だって、そう簡単には動いてくれないだろうが、僕の血と引き換えだって言えば──」
「总之,忍野,你把忍带过来吧。对方是妖猫,我们只能请忍帮忙解决了吧?当然忍不会那么简单就帮我们吧,不过只要用我的血来交换的话——」
「んー。そうかもねえ。しかし、悪いときには悪いことが重なるということもあるしねえ──不幸は友達を連れてくるとか──」
「嗯——或许吧。可是呢,有时候真是屋漏偏逢连夜雨啊,不幸会呼朋引伴——」
「………………」
言葉に鞘があるにもほどがある。
话中有话也要有个限度吧。
いい加減にして欲しい、こっちは焦っているんだ。
拜托你适可而止,我可是急得像只热锅上的蚂蚁。
ことは、羽川のことなのに。
况且,这次又和羽川有关。
前回は必要とされなかった僕だけれど、今回は、僕は羽川に、はっきりと名指しで必要とされたんだ──絶対に、僕は、そこにいなければならない。
上次她不需要我:但是这次,她清楚地指名要我帮助她。我绝对要陪在她身边。
必要なときに、そこにいる。
在她需要我的时候,我要陪伴在她的身边。
「……あれ?」
「……奇怪?」
と。
此时,
僕は、そこで、再び、思い出した──そうだ、さっき忍野に訊こうとしたんだ。今朝、八九寺から聞いた、忍の話──今となっては、嫌な予感しかしない話だけれど。
我再次想起了那件事——没错,刚才我原本想问忍野的。今天早上,八九寺告诉我的有关忍的事情,事到如今,我只有一种不祥的预感。
ていうか、いい予感なんかしたことねえ!
应该说,我从来没有好的预感过!
「忍野……訊きたいことがあるんだが」
「忍野……我有事情想要问你。」
「奇遇だねえ。僕も阿良々木くんから、訊かれたいことがあったんだよ」
「还真巧呢。我也想要阿良良木老弟你问我一个问题。」
「忍はどうした」
「忍她怎么了?」
「うん、それそれ」
「嗯,就是这个、就是这个。」
ついに罪の自白を許された罪人のような、誰かに聞いてもらうことで楽になったというような、爽やかな笑顔と共に、忍野は答えた。
忍野脸上挂着爽朗的笑容,回答说。他像一个终于能够为犯行自白的罪人,又像是因为对方的发问而获得解脱一样。
「忍ちゃん、自分探しの旅に出ちゃった」
「小忍她,踏上寻找自己的旅途了。」