化物語(下): 第五話 つばさキャット 007
audio from Amazon Audible
desc: 梳着麻花辫、戴着眼镜的班长 —— 羽川翼。这位曾帮助过阿良良木历的少女,究竟被何种怪异所缠身……?
あっという間に、夜になった。
时间转眼间,就到了深夜。
自転車で、町中を走り回って──心当たりを全部当たって、それでも足りず、同じコースを繰り返し二周、文字通り走り回って、それでもまるで成果を挙げられなかったところで──僕はようやく、疲れを自覚した。
我骑上脚踏车,跑遍了城镇各角落——找遍了所有我想得到的地方,这样还嫌不够,我还重复骑了同样的路线两次,名副其实骑遍了各角落,但依旧没有任何的成果,这时我才终于觉得自己累了。
何も食べず、何も飲まず。
一路上,我不吃不暍,
休まず、ペダルを漕ぎ続けて──九時間。
也不休息,不停踩着脚踏车——连续九个小时。
正直、驚いた。
老实说,我自己也感到惊讶。
ここまでしないと、疲れない自分の身体というものに──確かに先日、忍に血をやったばかりだが、その効用は、おおよそ、腕と脚の回復に、費やされてしまっているはずである──
居然要把自己累到这种地步,身体才会感觉到疲惫。前几天我才刚喂血给忍,但那效力大概都被拿来恢复手脚的体力了吧。
人間もどきの吸血鬼。
类人的吸血鬼。
吸血鬼もどきの人間。
类吸血鬼的人类。
もう、どっちがどっちなのかも、わからない。
我已经不知道自己是属于哪边了。
忍野忍。
吸血鬼が家出など、滑稽にも程がある。それも、お金を一円も持たず、着の身着のままで、突然いなくなるなんて──それはもう、失踪の域だろう。どんな吸血鬼だ、それは。
吸血鬼会离家出走,实在是荒唐至极。而且还身无分文,除了身上的衣物别无他物,就这样突然不见人影——这已经算是失踪了吧。那算哪门子的吸血鬼啊。
悪いときには悪いことが重なる。
屋漏偏逢连夜雨。
不幸は友達を連れてくる。
不幸会呼朋引伴。
正にその言葉の通りだった。
这两句话实在说的很贴切。
忍がいないことに、忍野が気付いたのは、今朝になってからだそうだ──そして改めて思い出してみれば、昨日の昼から、忍とは顔を合わせていないとのことだった。
忍野说他发现忍不见,是在今天早上——后来他又回想起,好像从昨天中午开始,他就没看到忍了。
八九寺の証言によれば、昨日、八九寺が国道沿いのミスタードーナツの辺りに金髪の子供を見たのが、夕方五時頃──つまり、そのときにはもう、それは失踪中の忍野忍だったということなのだろう。
根据八九寺的证词,昨天她在国道上的 Mister Donut 附近看到金发女孩,是在傍晚五点左右——也就是说,那个女孩就是当时已经失踪的忍野忍吧。
子供の足だ、そう遠くまでいけるはずもない。
以小孩的脚程,不可能跑太远。
たかが一日──まして今の忍は伝説の吸血鬼でも何でもない、ほとんどがただの子供である、体力という意味では、僕よりずっと下なのだ。ただの子供──いや、僕がそばにいなければ、ただの子供以下のはずである。わずかに残された能力もほとんどが制限されてしまう。
不过才这么一天——何况现在的忍已经不是传说的吸血鬼,几乎只是一个普通的女孩。从体力方面来看,她远比不上我。只是一个普通的小孩……不,我不在她身边的话,她的能力连一个普通的小孩都不如。身上仅存的能力,也几乎受到了限制。
疲れもすれば、お腹も空く。
她会觉得疲惫,也会感到饥饿。
……って、おい。
……喂,慢着。
そうだよ、ミスタードーナツのそばを歩いていようがどうしようが、お金を一円も持っていないんだ──
是啊,不管她有没有走到 Mister Donut 还是怎么样,她都身无分文。
じゃあ、あいつ、お腹をすかしているのかよ。
这么说来,她现在正在饿肚子吗?
この町の中──どこかで、一人で。
在这个城镇当中的某处……一个人饿着肚子。
「……………………」
自転車で駆け回っている途中──正午過ぎくらいだったか、道を歩いていた八九寺真宵と、ぶつかりそうになった。本日、二回目の遭遇だった。偶然でしか会えない八九寺に一日の内に二回も会えた幸運を嚙み締めたいところだったが、そんな場合でもなかった。大体、一度目もそうだし、この二度目の遭遇だって厳密には偶然とは言えない──僕はとにかく闇雲に、町中を走り回っていたのだから、そりゃ、いつかは会う。
我骑着脚踏车东奔西跑的时候——大约过了正午左右吧,我差点撞到走在路上的八九寺真宵。这是本日第二次的巧遇。能够在一天之内,和见面机会可遇不可求的八九寺见上两次面,让我很想细细品尝这股幸运感,但现在不是做那种事情的时候。况且,这次严格来说算不上是巧遇(当然第一次也是),因为我像只无头苍蝇一样在城镇中四处乱骑,迟早会遇见她的。
「何良々木さん」
「何良良木哥哥。」
「遂にただの誤植になってしまったか……」
「终于变成单纯的印刷错误了吗……」
「失礼。嚙みました」
「抱歉。我口误。」
そんな挨拶を交わしてから、僕は八九寺に、昨日忍を見かけたときのことを、もっと詳しく教えてくれるように頼んだ。
就这样打过招呼后,我拜托八九寺将昨天看到忍的事情,再说得更详细一些。
「そう言えば」
「这么说来,」
と、八九寺は言った。
八九寺说。
「どことなく、寂しそうに、見えました」
「总觉得,她看起来好像很寂寞。」
「寂しそうに──」
「看起来好像很寂寞——」
「はい」
「对。」
八九寺は真剣な面持ちで言う。
八九寺神情严肃地说。
「まるで、迷子のようでした」
「就像一个迷路的小孩。」
迷子。
迷路的小孩。
それは──八九寺が言うと、説得力が違う。
这句话——从八九寺口中说出来,说服力就是不一样。
ずっと道に迷い続けていた、彼女が言うと。
从过去一直在迷路的她口中……
「わかりました」
「我知道了。」
と、頷く八九寺。
八九寺点头说。
「わたしも、できる限り、その子を探してみます」
「我也会尽我所能,去找那个女孩子的。」
「そうしてくれるか」
「你愿意帮我吗?」
「ええ。阿良々木さん、迷子のお子さんを捜すには、細心の注意と人手が必要です。全部一人でなんとかしようとすれば、ミイラ取りがピラミッドということもありますからね」
「对。阿良良木哥哥,要找迷路的小孩,谨慎的心和人手是不可缺少的。要是你想要全部都一手包办的话,有时候去找木乃伊,结果自己也变成了金字塔喔。」
「ピラミッド!? スケールでかっ!」
「变成金字塔?格局好大!」
「阿良々木さんもマイナスチック1にならず、心を強くもってことにあたってください」
「阿良良木哥哥也不要太 Minustic,请坚强地去面对吧。」
「マイナスチックはさすがに間違い過ぎだ!」
「Minustic 实在是错很大!」
「迷子探しとなると確かに一国一城を争う事態ですが、冷静さを失ってはいけません」
「找迷路的小孩,的确是『城池必争』的紧急事态,可是你要冷静一点才行。」
「その通りだが正しくは一刻一秒だな!」
「你说得没错,但是正确的说法应该是『分秒必争』。」
「見かけたら、近付くことはやっぱりできませんけれど、公衆電話からでも、阿良々木さんの携帯電話に連絡を入れさせてもらいます」
「我要是看到她的话,虽然我无法靠近她,不过我会用公共电话打手机联络你的。」
「……お前、公衆電話は使えるのか?」
「……你会用公共电话吗?」
「当たり前です。わたしはメカに強いのです」
「那还用说。机械方面的东西可是我的强项。」
「今朝と言っていることが逆だが……」
「怎么和今天早上的说法完全相反……」
「何を言うのです。わたしは二〇一一年以降もテレビを見続けることができる逸材ですよ?」
「你在说什么啊。我可是二〇一一年以后还能够继续看电视的天才喔。」
「どっち道、地上デジタル放送が見られる程度の強さなのか……」
「不管怎么样,你再强也只能到看地上数字放送的程度吗……」
「ワンセグって、犬の何かですよね?」
「单波段 One Seg 是一种狗对吧?」
「馬鹿だ!」
「你是白痴!」
冗談はともかく。
玩笑姑且不论。
いくらなんでも、強かろうが、弱かろうが、公衆電話が使えないということはないだろう。こういうときだけは、公衆電話がまだまだ健在の、田舎町に感謝だ。さすが、点在するコンビニには必ず駐車場が完備されている、パチンコ店でさえもはやらず潰れたというちょっと悲しい伝説を持つ我が町である。
不管她对机械擅不擅长,应该都会用公共电话吧。唯独这种时候,我才会想感谢这个公共电话还健在的乡下城镇。我的故乡有一个悲哀的传说:「零星分布在镇内的便利商店必会有停车场,甚至连柏青哥店也盛行不起来而倒闭。」这可不是浪得虚名。
さておき、八九寺と別れた。
传说就先不管,随后我和八九寺分开了。
八九寺とも会えたのだ、忍を見つけることだってきっとできるはず、と少し前向きになったところで、僕は考える。
我都和八九寺见到面了,所以肯定也找得到忍——我的心情稍微乐观了点后,脑中开始思考。
手伝いの申し出はありがたかったが、そうは言っても、忍と(外見年齢は)そう変わらない八九寺である、過度の期待は禁物だ。子供ならではの探し場所、隠れ場所、子供しか入れないような空間というのもあるだろうから、そっち方面には期待できるが、並の子供よりはずっと広いとはいえ、八九寺の行動範囲にも限度があるはずだ。子供としての活動限界もあるだろう。
八九寺愿意帮忙让我很感谢没错,可是她和忍(年纪看起来)没差多少,不能对她抱有过度的期待。某些地方是小孩子才会去寻找、去躲藏的,抑或是有些空间只有小孩子才进得去,所以这方面可以期待她的帮助;虽然八九寺的活动范围比一般的小孩大上许多,但应该也有其限度。以一个小孩来说,活动能力也是有极限的吧。
しかし──人手が必要。
但是,我需要人手。
それは、八九寺の言う通りだった。
八九寺说得没错。
だから。
因此,
四時が近付いた頃、僕は千石の家に電話をかけた。千石は、僕の出身中学に通っているから、どこにも寄り道していなければ、そろそろ家に帰っているはずだ──確か、帰宅部という話だったし──
在接近四点的时候,我打了通电话到千石家里。她读的国中和我以前一样,所以只要她放学后不在外闲逛,现在差不多已经到家了。印象中她好像没参加社团活动。
正直言って、それは高い可能性とは言えなかったが、しかし、幸運なことに、彼女は在宅だった。
老实说,她在家的可能性不算高;不过很幸运的是,她正好在家。
「暦お兄ちゃん」
「历哥哥。」
そういう千石の声は、弾んでいるように思えた。
千石说话的声音,听起来很高兴。
面と向かわずに済む電話では、どうやら千石のテンションもまた、違うようだ。この子は早く携帯電話を持った方がいいと思った。
看来在不用面对面的电话中,千石情绪起伏也会不一样。我觉得这孩子快点办支手机比较好。
「暦お兄ちゃん。早速撫子に電話してきてくれたの? ……嬉しい」
「历哥哥。你这么快就打电话给抚子了?……抚子好高兴。」
「ああ……昨日の今日で、悪いな。えっと……」
「嗯……昨天刚问到电话今天就打给你,真是不好意思。那个……」
ううん、どこから説明したものか……。
嗯——该从什么地方开始说起呢……
八九寺のときとは違って、千石に対しては、一から説明しなくちゃいけないから……。
因为这次和八九寺的时候不一样,我必须从头对千石做说明……
「……? どうしたの? 暦お兄ちゃん」
「……?怎么了吗?历哥哥。」
「あ、いや……その」
「啊,没什么……那个……」
「落ち着いて。何かあったの?」
「冷静下来,发生了什么事?」
歯切れの悪い僕に、心配そうな千石だった。
听到我口齿不清,千石似乎很担心的样子。
「何かあったって言うか──」
「要说发生了什么事——」
「と、とにかく、落ち着いて。落ち着いてよ、暦お兄ちゃん。そ、そうだ、今から撫子が、面白い話をしてあげるから」
「总、总之你先冷静下来。冷静下来喔,历哥哥。对、对了。抚子先说一件有趣的事情给你听。」
「………………」
すげえことを言い出した。
真是语出惊人啊。
面白い話をすると言ってから面白い話をしようとは、ものすごい自信だ……。
事先作出宣言,说待会说的事情会很有趣,这还真是自信满满啊。
「えっとね、漫画やアニメなんかでは気楽そうにもてはやされてるけれど、メイドっていうのは、意外と大変な仕事なんだよ」
「就是啊。女仆这种工作,在漫画和卡通里面看起来很轻松又很有人气,其实却意外地辛苦呢。」
「『大熊猫大好き』さんはお前かよ!」
「那个『超爱大熊猫』就是你吗!?」
どうりでわかりにくかったわけだ!
难怪笑点会那么难懂!
お前絶対合コンなんか参加したことないだろ!
你绝对没有参加过联谊吧!
葉書の中では別の自分になってんじゃねえ……。
不要写个明信片就变成另一个人了……
「お、落ち着いた? 暦お兄ちゃん」
「你、你冷静一点了吗?历哥哥。」
「おお……一周して、なんか落ち着いちゃったよ」
「嗯……绕了一圈之后,我觉得冷静一点了。」
最初から落ち着いてなかったわけでもないのだが。
虽然我打从一开始就没有在慌张。
でもまあ、言い方を選んでも仕方ない。
可是呢,现在怎么表达并不重要。
「それで? 撫子に用事があったんでしょう?」
「然后?历哥哥找抚子有事吧?」
「うん……千石。頼みたいことがあるんだ」
「嗯……千石。我有件事情想拜托你。」
「頼みたいこと……何?」
「想要拜托抚子……什么事情?」
「忍を探して欲しい」
「我想请你帮我找忍。」
僕は、結局、単刀直入にそう言った。
最后,我决定开门见山地说。
「忍を直接見たことがある人間は、お前を含めてもそうはいないんだ──お前が手伝ってくれると、正直、助かる」
「有直接看过忍的人,包含你在内也没有几个……要是你能帮我,那可真是帮了我一个大忙了。」
「探してって……いなくなったの? あの……えっと、忍ちゃん」
「要找她……她不见了吗?那位……嗯——小忍。」
「ああ」
「对。」
「出掛けてるだけ……じゃなくて?」
「不是单纯的……外出吗?」
「一晩戻ってない」
「她一整晚都没有回来。」
「そ、そうなんだ……」
「这、这样啊……」
電話の向こうから──
我感觉到话筒的另一头——
躊躇するような気配が感じられた。
传来了一股踌躇的气息。
ああそうだ、うっかりしていたが、千石は、忍にずっと睨まれていたと言っていた──忍のことを、千石は、本能的に、怖がっていたのだった。
啊!对喔,我太粗心了,千石之前说忍一直猛瞪她——所以她本能性地对忍感到害怕。
そうだな、と僕は判断する。
八成是这样吧,我在内心下了判断。
どんな間接的な形であっても、千石はもう、怪異とかかわるべきではないと──僕はそう考えていたはずだ。それを僕の方から引き込んでどうする──いくら、状況が状況だとは言え……。
不管是哪种间接的方式,千石都不应该再和怪异扯上关系——这是我先前的想法才对。现在我怎么能主动把她拉进这个世界呢,就算现在的状况需要人手……
「悪い、千石。甘えだったな。僕は──」
「抱歉,千石。我这样太强求了。我——」
「う、ううん。暦お兄ちゃん。そうじゃないの」
「不、不会。历哥哥,不是这样的。」
「そうじゃないって──」
「不是这样的是指——」
「ここで即答したら、なんだか噓臭くなっちゃうんじゃないかって、思っただけ……手伝わせて。お願い」
「抚子只是觉得如果马上回答的话,听起来好像有点假……请让抚子帮忙。拜托。」
「ああ……でも、本当に、いいのか?」
「嗯……可是,真的可以吗?」
「うん」
「嗯。」
珍しく。
很难得的,
力強く──千石は言った。
千石强而有力地回应说。
それは、果たして、電話だからだろうか。
这是因为电话的关系吗?
面と向かってないからだろうか。
因为我们没有面对面的缘故吗?
「暦お兄ちゃんにお返しができるなら──それでいい。暦お兄ちゃんは、撫子を手伝っててくれたように──忍ちゃんを、探してるんだよね?」
「抚子没关系……只要能够回报历哥哥的恩情。历哥哥现在在找忍吗?就跟帮抚子的时候一样。」
「? ……まあ、そうだ」
「嗯?……是啊。」
「だったら、手伝わないわけにはいかないよ」
「既然这样,那我就不能不帮忙了。」
そう言って──くれるのか。
你愿意为我说出这样的话吗?
手伝わないわけにはいかない、と。
我就不能不帮忙了。
「……滅多なことはないとは思うけれど……でも、安全を完全には保証できないぞ。力はほとんど失っているとは言え、吸血鬼なんだから……」
「……我想应该是不会有危险啦……可是我没办法完全保证你的安全喔。虽然忍的力量几乎已经消失殆尽,但是她还是吸血鬼……」
「いい」
「没关系。」
千石は言った。
千石说。
あの内気な千石が、本当に力強く。
那位内向的干石,语气当真强而有力。
「大丈夫。やらせて」
「我不要紧的。请让我帮忙。」
最終的には頼んだこちらが気が引けるくらいだったが──千石は、その後、すぐに忍探しに出張ってくれたようだった。
那强而有力的感觉,让开口拜托的我都觉得不好意思——之后,千石似乎马上就出门去找忍了。
僕は、そのとき、胸を撫で下ろしたい気分だった。やはり直接忍を知っている人間の協力は、かなり有り難かった。けれど──それでも、胸を撫で下ろすには、まだ足りない。
我那时候,原本很想就此松一口气。有当面看过忍的人愿意帮忙,让我觉得非常感激——但光是这样,还无法让我放下心中的大石头。
千石は自転車に乗れないのだ。
因为干石不会骑脚踏车。
と言うより、持っていないらしい。
应该说,她似乎没有脚踏车。
先日、例の廃神社までの道程、千石が途中まででも自転車という交通手段を使っていなかった理由が、それである。となると、捜索手段はやはり徒歩、機動力においては八九寺同様、頼りにならない。
几天前去那间废弃神社时,千石没有骑脚踏车过去的理由就在于此。这样一来,她只能用徒步的方式寻找,机动力方面和八九寺一样,不能抱太大的期望。
機動力か……。
机动力吗……
機動力なあ。
机动力啊。
本当に連続の続けざまで気が引けるが、こうなってしまうとあいつの助けは、不可欠だった。土台、今現在の忍の姿を直接知っている人間は、僕も含めて六人しかいないのだ──その内二人、羽川翼は今ブラック羽川となって縛り上げられているし、忍野メメは、そのブラック羽川の見張り役である。
虽然一直拜托人会让我不好意思,可是事到如今,那家伙的帮助不可或缺。因为目前直接看过忍的人,连我在内只有六个人而已——其中,羽川翼变成了黑羽川被绑了起来;而忍野咩咩要负责看守她。
残る四人、僕と千石を除けば二人。
剩下的四个人,除了我和千石以外还有两人。
その二人に声を掛けないわけにはいかない。
那两个人也要问她们一下才行。
まずは、まだ与しやすい、神原駿河からだった。
首先,先从比较好说话的神原骏河开始。
携帯電話のアドレス帳から、彼女の名を選択する。もう放課後になっているから、学校にいても携帯電話の電源は入っているはずだ──いや、つい数日前に携帯電話を持ったばかりの神原が、そういう校則を正確に把握しているかどうかは、怪しいところだったが──
我在手机的电话簿中选了她的名字。现在已经放学了,她在学校手机应该也会开机——不对,几天前才刚办手机的神原,会知道学校有规定放学后可以开手机吗?
「神原駿河だ」
「我是神原骏河。」
相変わらずの、フルネームでの名乗りだった。
她还是一样报上全名。
どうやら、杞憂だったようだ。
看来是我杞人忧天了。
「神原駿河。得意技はBダッシュだ」
「神原骏河。拿手绝活是 B 键冲刺。」
「…………」
本人的にはそうなんだ。
那的确是她本人的拿手绝活。
達急動でも縮地法でもなく。
不是达急动,也非缩地法。
まあ、これに対して噓をつけとは言えないな。
看来,这点我不能说她是在唬烂了。
「神原駿河。職業は阿良々木先輩のエロ奴隷だ」
「神原骏河。职业是阿良良木学长的性奴。」
「それに対しては断固噓をつけと言うぞ!」
「这点绝对是在唬烂!」
「ん。その声と突っ込みは阿良々木先輩だな」
「嗯。这个声音和吐槽方式是阿良良木学长吧。」
「僕だとわからないままにそんなとんでもねえこと言ったのかてめえは!」
「你连是谁都不知道,就不要说出那种没经过大脑的话啦,王八蛋!」
「エロ奴隷ではお気に召さなかったか? まあ、確かに私も、最初はもっと私にふさわしい、もっと別の肩書きを考えていたのだが、ちょっと過激だったので自主規制したのだ」
「性奴学长不喜欢吗?刚开始我有想到了另一个更适合我的头衔,可是那实在有点过了,所以我就自主规制掉了。」
「お前が自主規制するような肩書きなんて、想像するだけで恐ろしいよ!」
「连你都自主规制掉的头衔,我光想就觉得很可怕!」
ていうか。
还有,
早くアドレス帳の機能を使えるようになれ。
你快点学会用电话簿的功能吧。
「神原。今、学校か?」
「神原。你现在在学校?」
「いや、もう下校している」
「没有,我已经离开学校了。」
「あれ? そうなのか? 文化祭の準備は?」
「咦?是吗?文化祭的准备呢?」
「今日は当番ではないのだ」
「今天不是轮到我。」
「そっか。当番制なのか……うまく統制のとれたクラスなんだな。羨ましいよ」
「这样啊。轮班制吗……你们班还真团结啊。我真羡慕。」
なるほど。
原来如此。
学校にいなきゃ、電源も何もないな。
不在学校的话,那就无关有没有开机了。
「えっと、神原、じゃあ、今、家ってことか?」
「那个,神原,那你现在在家吗?」
「いや、それも違う。どうした、阿良々木先輩にしては珍しい、二度も予想を外すとは。鬼の霍乱2とはこのことだ。阿良々木先輩、私は今近所のスーパーのゲームコーナーで、オシャレ魔女ラブandベリー3に興じているところだ」
「不,我也不在家。怎么了,以阿良良木学长来说还真稀奇啊,居然连续猜错两次。所谓智者千虑必有一失啊。学长,现在我在附近超级市场的游戏区,正在玩『时髦魔女 Love&Berry』呢。」
「予想できるか、そんなもん!」
「那种东西谁想得到啊!」
常に予想を裏切りやがって!
每次都出乎我意料之外!
少しは思った通りの動きをしてくれよ!
你偶尔也照我的预测去行动吧!
「いやしかし、僕はまあよく知らないんだけど、大体、それって高校生がやって面白いゲームなのか……?」
「可是这就奇怪了,我是不太清楚啦,不过那是高中生会玩得兴高采烈的游戏吗……?」
「何を言う。優れたゲームに年齢など関係あるまい。今日だけで既に私は三千円近く費やしているぞ。後ろに何人も子供が並んでいるが、少しも譲ってやる気にならない」
「学长在说什么啊。好玩的游戏没有年龄之分。光是今天我已经花了快三千块了。后面还有好几个小孩子在排队,不过我完全没打算要让给他们玩。」
「金にものを言わせてなんて酷いことをしてんだお前は! 今すぐゲームを中止して、さっさと子供達に替わってやれ!」
「仗着钱多霸占机台实在太过分了吧你!你现在马上停止游戏,让给那些小孩子玩!」
「むう。阿良々木先輩ともあろうお方が、さっき私が追い返した店員と同じことを言うんだな」
「呜。像阿良良木学长这样的大人物,居然会跟刚才被我轰回去的店员讲一样的话。」
「追い返しちゃったのか!?」
「你把店员轰回去了?」
「本気で怒られたら本気で怒り返すしかあるまい」
「对方真的发火了,我也只好来真的凶回去。」
「違う! 本気で怒られたら本気で謝れ!」
「不对!对方真的发火了,你就应该认真地道歉才对!」
「しかし同じことであろうとも、それが阿良々木先輩の命令とあれば是非もない。ではこれからは隣に置いてあるムシキングを……」
「不过就算是同一句话,假如那是阿良良木学长的命令,那我也只能听从了。那我接下来就玩旁边的甲虫王者……」
「遊んでばっかいんじゃねえよ!」
「不要光只是在玩!」
「遊び心を失ってはいかんぞ、阿良々木先輩。学ぶことより遊ぶことで、人間は成長し、歴史を築いてきたのだからな。そうそう、遊びと言えば、この間、友達三人とトランプで大富豪をしていたときの話なのだが」
「失去玩乐的心是不可以的,阿良良木学长。玩乐比学习更重要,所以人类才会成长,编织出历史。对了对了,说到玩,前阵子我和三个朋友用扑克牌在玩大富豪的时候啊——」
「『すぶりをするそぶり』さんはお前かよ!」
「原来『挥棒的姿势』就是你吗!?」
本当にもう、この後輩は。
这个学妹真是够了。
可愛いにも程があり過ぎる。
可爱的程度已经破表了。
可愛さ余って可愛さ百倍。
爱之深而爱之切啊。
「それでは、阿良々木先輩。電話の用件を聞こう」
「那么,阿良良木学长。说说你找我有什么事情吧。」
「ああ……」
「嗯……」
こいつとは馬鹿な掛け合いをしてからでないと真面目な話ができないからな。ここまでのやり取りは、前置きとして必要だったと割り切ろう。
我和这家伙要是不先玩一下相声,就没办法说正经话。就把至今的对话,当作是必不可少的开场白吧。
「神原。お前の力を借りたい」
「神原,我想要借助你的力量。」
「借りるなどと、これはおかしなことを言う。私の力は最初から阿良々木先輩のものだ。阿良々木先輩はただ、私が何をすればいいのか、指示を出してくれればそれでよい」
「说什么借啊,这话太奇怪了。我的力量打从一开始就是阿良良木学长的。我该做什么,学长只要给我一个指示就好。」
「…………」
格好いい……。
好酷……
大人格好いい。
酷得好成熟。
子供向けゲームに興じている癖に……。
明明刚才还在玩小孩子玩的游戏……
ふと思ったけれど、なんでこいつ、こんなハードボイルドな性格なんだろう……こればっかりは、戦場ヶ原の影響じゃないよなあ?
我突然想到,为何这家伙回事这种冷硬派的性格呢……唯独这一点,不是受到战场原的影响吧?
「忍を探して欲しいんだ。あのガキ、家出しやがった」
「我希望你帮我找一下忍。那个小鬼离家出走了。」
「家出?」
「离家出走?」
「要するには失踪だよ」
「简单来说就是失踪了。」
「そうか。わかった。そこまで聞けば、もう十分だ。つまり、私は脱げばいいんだな?」
「这样啊。知道了。我听到这边就足够了。简单来说,我只要脱光就行了吧?」
「そんなに脱ぎたいなら今度二人きりのときにいくらでも脱がしてやるから、なあ! なんなら脱ぎ合いっこして見せ合いっこしようぜ、なあ! はは、僕は脱いだらすごいぞう! だから神原、頼むからここは堪えて、普通に忍を探してやってくれ! 残念ながら僕はお前には他の誰よりも期待してるんだよ! お前の自転車よりも速い脚を、僕に貸してくれ!」
「你这么想脱的话,下次我们两个人独处的时候我会把你全身扒光的!要不然我们两个脱光光坦诚相见也行!哈哈,我要是脱了可是很壮观的喔!所以拜托你了神原,这边你就忍耐一下,用普通的方法去找忍吧!很遗憾我现在最期待的人就是你了!把你那双比脚踏车还要快的脚借给我吧!」
「貸すなどと、これはおかしなことを言う。私のふくらはぎや太ももや膝の裏や脛や小股や足首は、最初から阿良々木先輩のものだ」
「说什么借啊,这话太奇怪了。我的小腿肚、大腿、膝盖后方、小腿、踁股和脚踝,打从一开始就是阿良良木学长的啊。」
「それはあんまりハードボイルドじゃないなあ!」
「你那种说法不怎么冷硬喔!」
「何? 足の裏だと? さすが阿良々木先輩、神をも恐れぬマニアックな行為を……」
「什么?学长说脚底吗?真不愧是阿良良木学长,胆敢说出那种不畏惧神明的癖好……」
「言ってねえー!」
「我没说吧!」
やっぱお前エロエロだよ!
你果然是个大色女。
戦場ヶ原のフォローがたった今無駄になった!
战场原之前还帮你说过话,现在完全泡汤了!
「それは買いかぶりだ。阿良々木先輩、所詮は私のエロさなど、女性専用車両という言葉の響きにいやらしさを感じる程度だぞ」
「你太看得起我了。阿良良木学长,我的这种色情度,听到『女性专用车辆』这个词都会让我觉得很猥亵呢。」
「そんな奴は日本にお前だけだ!」
「那种人现在全日本只有你一个而已!」
「そうか、なんだかんだ言って、阿良々木先輩も私をエロ奴隷だと認めてくれていたのか」
「这样啊,我们说了这么多,阿良良木学长终于承认我是你的性奴隶了吗?」
「いや、僕は奴隷とは言ってないから!」
「不对!我从头到尾没说过奴隶这两个字!」
「ああそうだ、阿良々木先輩。マニアックな行為といえばだが」
「啊!对了,阿良良木学长,说到癖好啊——」
「マニアックな行為という言葉から話を拡げて掘り下げていくつもりなのか、お前は……? 僕達はまだ高校生なんだぞ……?」
「你这家伙,还想继续聊『癖好』这个话题,对它深入探讨吗?我们还是高中生喔……?」
「いかがわしい行為と言い換えてもいい。阿良々木先輩、昨夜、戦場ヶ原先輩といかがわしい行為に及んだそうだな」
「把它换成伤风败俗的行为也行。阿良良木学长,听说你昨天晚上对战场原学姊做了伤风败俗的行为对吧。」
「………………」
何故知っている。
你为什么会知道。
いや、何故も何も、この場合……。
不,也没为什么,在这个状况下答案只有一个……
「うん。戦場ヶ原先輩から直接聞いた。阿良々木先輩と星空の下いかがわしい行為に及んだと」
「嗯。是学姊亲口告诉我的。她说,她和学长在星空下做了伤风败俗的事情。」
「キスはいかがわしい行為じゃねえだろ!?」
「接吻不是什么伤风败俗的行为吧!」
まあ、その延長線上なのかもしれないけれども、なんとなくそう思いたくないのは、それは僕がお子様だということなのだろうか……。
或许也在其延伸范围内啦,但我就是不想那么认为,这是因为我还是个小鬼的缘故吗……
「ていうか戦場ヶ原さん、喋っちゃうんだ、そういうこと……」
「那是战场原小姐告诉你的吗……」
あけっぴろげな奴だなあ……。
那家伙还真是毫不隐瞒啊……
彼氏彼女なのだから、とりたてて疚しいところがあるわけでもないのだが……デリカシーに欠けるって気はしなくもない。
我们是男女朋友,所以我不会觉得自己做了亏心事——可是我觉得她那样有点没神经。
「今日、学校で聞いたのか?」
「你是今天在学校听她说的?」
「いや、聞いたのは昨夜だ。聞いたというか……、真夜中にいきなり電話が掛かってきて、五時間ほど自慢話を聞かされた」
「不是,我是昨天晚上听到的。该说听吗……学姊在凌晨突然打电话给我,结果我被迫听她炫耀了五个多小时。」
「迷惑な先輩だー!」
「这种学姊还真让人头痛!」
天文台から帰ってすぐに電話したんだとしても、ほとんど完徹じゃねえか、あいつ。朝会ったとき、眠そうな素振りなんて見せていなかったけど……鉄仮面でもかぶってるのかよ、あいつは。感情が外に出ないにもほどがある。
就算她从天文台回去之后马上打电话,这样算下来也几乎是通宵没睡吧。早上遇到她的时候,她看起来一点都不困啊……那家伙的脸上是戴着铁面具吗。喜怒哀乐不形于色也要有个限度吧。
しかし、自慢話って……それって自慢話なんだよなあ、やっぱり。戦場ヶ原ひたぎ、あんまりそういう自分アピールみたいなことをしそうな奴には全然見えないけれど、まあ戦場ヶ原と神原じゃ、先輩後輩という以前に、言っても、女の子同士だからなあ。
可是,炫耀……那应该可以算是炫耀吧。我完全看不出来战场原会做出那种自我炫耀的事情;不过她和神原除了是学姊学妹外,更是女生啊。
喋っちゃうのか。
原来战场原会把这种事情说出去吗。
ちょっと意外な一面。
她的这一面让我略感意外。
「おめでとうと言わせてもらおう」
「让我向学长说一声恭喜吧。」
「ああ……ありがとう」
「嗯……多谢了。」
「だが、これで勝ったと思わないで欲しいな」
「不过,希望学长不要因为这样就以为自己赢了。」
「宣戦布告っ!?」
「你在向我宣战吗!」
「愛は惜しみなく奪うもの……その辺から!」
「爱就是毫不保留地夺取……先从接吻开始!」
「その辺からでいいのか!?」
「从接吻开始可以吗!」
話が逸れ過ぎている。
对话完全偏离主题了。
それでも、この話が逸れた分の時間を補ってあまりあるほどの機動力を持ってるんだよ、こいつは……。
但是,这家伙拥有的机动力,要弥补这段浪费掉的时间还绰绰有余……
力がある奴って根本的に得だよな。
有能力家伙,基本上就是占便宜。
好き勝手できるもん。
因为他们可以随心所欲。
「ともあれ、うむ。要するにあの金髪の可愛い子を探せばいいのだな。しかと了解した。阿良々木先輩の頼みとあらば私は本気で走らせてもらう。ふふふ、世間広しと言えど、私を本気で走らせることができるのは、阿良々木先輩と、戦場ヶ原先輩と、BL小説の発売日だけだ」
「总之,嗯。简单来说,我只要去找那个可爱的金发女孩就行了吧。学长的话我确实了解了。如果这是阿良良木学长的请求,那我就使出全力来奔跑吧。呼呼呼!这个世界虽然很大,但是能够让我使出全力来奔跑的,只有阿良良木学长、战场原学姊,还有 BL 小说的发售日而已。」
「誤解を怖れずに言わせてもらえれば、そこに並べられたことで、いまいち嬉しくない台詞になってるぞ……!」
「要我不怕别人误会直接说的话,把我和 BL 小说排在一起,实在让我有点高兴不起来啊……!」
というか嫌だ。
应该说我很排斥。
最後の一つには別枠を設けて欲しい。
最后一项希望你能另外分类。
「しかし阿良々木先輩、私はBLならば大抵のジャンルはいける口だが、中には不得手なものもあってな……そういう小説の場合は、本気で走ることはできない」
「不过阿良良木学长,我只要是 BL 几乎所有类型都吃得下去喔,可是里面也是有我不喜欢的类型啦……遇到那种小说的话,我就没办法全力奔跑了。」
「訊いてねえー!」
「谁问你这个啦!」
しかも。
而且,
本気で走らないだけで、結局は買うらしい。
你只是没有全力奔跑而已,到头来还不是会买。
「そもそも神原、引退する前、バスケットボールの試合とかでは、お前は本気で走っていたはずだろうが」
「而且神原,你在退出篮球社之前,比赛的时候应该都是全力在奔跑的吧。」
「いや、言わせてもらえるなら存外そうでもなかったぞ。私が本気で走ると体育館の床が抜けてしまうからな」
「真要我说的话,其实没有喔。因为我要是全力奔跑的话,体育馆的地板会被我踩得坑坑洞洞的。」
「お前の身体は戦車か何かか!?」
「你是战车之类的吗!?」
「それに、ほら、狭い範囲であんまり速く動き過ぎると残像が生じてしまうだろう? バスケットボールは五人でするスポーツだからな、分身の術は反則なのだ」
「而且,学长你想想,在一个狭窄的范围内,移动速度要是太快会有残像吧?篮球是五对五的运动,分身术是犯规的。」
「この世界のリアリティレベルを大した意味もなく滅茶苦茶にかき乱すな! 怪異だけで十分なんだよ、人間の動きに残像なんか生じるか!」
「你不要随便把这个世界的常理,弄得乱七八糟的好吗!有怪异来捣乱就已经够了,人类的动作最好是会有残像啦!」
「まあ人数がどうこう言うより、まずトラベリングを取られてしまうのだけどな」
「人数怎么样不是重点啦,最重要的是会先被判走步。」
「コート内で選手が分身してるってときに審判さんもそんな初心者向けの反則を取っている場合じゃねえだろ!?」
「球场里面如果有选手分身的话,裁判还会那么冷静地去抓那种初学者才会犯的规吗?」
「一人で九人まで分身が可能だ。あと一人分身を作り出すことができれば、一人で試合のイメトレができる」
「我最多可以分身成九个人。要是还可以再多一个人的话,我就可以自己做比赛的想象练习了。」
「できないできないできない! そんなことができてたまるか! どんな具体的に説明されたって僕は騙されないぞ!」
「不可能、不可能、不可能!你做得到的话,谁受得了啊!就算你说明得再怎么具体,我都不会被你骗到的啦!」
「しかし、やはり阿良々木先輩の頼みとあらば話は別だ、今日は、久し振りにリミッターを解除し、精一杯走らせてもらう」
「不过,如果阿良良木学长的请求,那就另当别论了。今天我就解除好久没有解开的限制器,使出全力奔跑吧。」
「どうだろうな、僕は今、それを止めたい気持ちがないでもないが!」
「该怎么说呢,我现在突然有点想要阻止你了!」
どこまで冗談なのかわからない。
我不知道哪个部分是开玩笑的。
危険極まりない後輩だった。
这学妹真的是一个超级危险人物。
弾道ミサイルみたいな奴だ。
就跟洲际弹道飞弹一样。
「止めても無駄だ、阿良々木先輩。私は阿良々木先輩の命令を受けたのだ、こんなに嬉しいことはない。体力尽きるまで走り続けると誓おう」
「你阻止我也没用,阿良良木学长。我已经收到学长的命令了,我从来没这么高兴过。我发誓我会奔跑到精疲力尽为止。」
「いや、無理はしなくていいんだぞ? 足が速いっつっても、お前、長距離走は苦手みたいなことを言ってたじゃないか」
「你不用那么勉强自己吧?你是跑得很快没错,可是你之前不是说过自己很不擅长跑长距离的吗?」
「ん? ああ、それはまだキャラが固まっていない最初の段階での設定だからあんまり気にしなくてよい」
「嗯?啊啊!那是在角色性质尚未成型的最初阶段所做的设定,所以学长不用太在意。」
「設定とか言うな!」
「扯什么设定啊!」
「どうしても気になるようだったら、初期設定に戻すのもやぶさかではないが」
「如果学长真的很在意的话,我也可以变回初期的设定啦。」
「ゲームのオプション画面みたいなこと言ってんじゃねえよ!」
「别说得好像是游戏的设定画面一样!」
まあ。
算了。
神原の言う苦手は、僕が言うところの苦手とは、全然違うもんだから、確かにあんまり配慮するほどの点ではないか。
神原的不擅长和我所说的不擅长,是完全不同类的东西,所以我不用太过担心吧。
「ふふふ。しかし、阿良々木先輩の命令を受けた今の私が、それ以前の私と同じ名を名乗っているというのは、どうにも不自然な感はあるな。進化した私は、違う名を名乗るべきだろう。そう、私はもう神原駿河ではない──神原Ωだ」
「呼呼呼呼!不过,现在收到阿良良木学长命令的我,名字要是和以前一样,似乎有点不自然啊。进化过的我,应该要换一个名字才对。没错,我已经不是神原骏河了——我是神原 Ω。」
「恋に落ちてしまいそうだ!」
「我都快爱上你了!」
「ちなみに海浜公園が進化すると海兵公園になる」
「顺便说一下,海浜公园进化之后,就会变成海兵公园。」
「偉くなったら近寄りがたくなっちゃった!」
「那座公园顿时变得好伟大,让我完全不想靠近了!」
「落石注意は隕石注意になったりして」
「注意落石会变成注意陨石。」
「進化し過ぎたー!」
「进化得太夸张了吧!」
僕が進化したらどうなるのだろう。
我要是进化的话,会变成什么样子咧。
ちょっと考えてみたくなくもない。
这让我有点好奇。
「じゃあ、神原、忍を見つけたら──えっと、お前の場合はどうなんだろうな、左腕のことがあるし、大丈夫か……いや、しかし、左腕だけじゃやっぱり危険だな、神原、忍を見つけたら、あくまで近寄らずに、僕に連絡をくれ」
「那就先这样,神原你要是找到忍的话……那个,你的话该怎么办呢,你还有左手应该没问题吧……不对,只有左手还是满危险的,你要是找到忍的话不要太靠近她,马上跟我联络。」
「うん? 抱きしめちゃ駄目なのか?」
「嗯?我不能冲过去抱紧她吗?」
「駄目だ!」
「不行!」
二重の意味で駄目だ。
带有双重否定的不行。
どちらも無事では済まない。
不管她是冲过去抱她,或者是靠近她都会惹来麻烦。
「あいやしばらく。私を見くびってもらっては困るな、阿良々木先輩。小さな女の子を抱きしめられるのなら、命を惜しむ私ではない」
「且慢。你要是看扁我的话,会让我很伤脑筋的,阿良良木学长。只要能够抱到小女孩,我连命都可以不要。」
「それは惜しめよ……大体、小さな女の子を抱きしめたからって、それがなんだってんだ」
「拜托你珍惜生命吧……况且,就算抱到小女孩又能怎样?」
「小さな女の子が可愛かったらそれだけで幸せではないか!」
「只要小女孩够可爱,就会让人觉得很幸福了不是吗!」
「怒られた!」
「我被凶了!」
後輩に怒られた!
我被学妹凶了!
小さな女の子が可愛かったらそれだけで幸せだということを知らなかったという理由で!
理由是因为我不知道「只要小女孩够可爱,就会让人觉得很幸福」这个道理!
「お前の主義主張はともかくとしてだな……現実的に、忍に対抗できるのは、この世の中で今のところ、僕だけだ──忍野も訳ありで、今は動けない。だから」
「你的主张主义先不管啦……现在能和忍抗衡的人,在这个世界上目前只剩下我而已——忍野因为一些缘故脱不了身。所以……」
「わかった」
「我知道了。」
「千石にも協力してもらってるから、途中で出会うことがあったら情報交換しといてくれ。……ああそうだ、神原、僕、千石から、ブルマーとスクール水着、預かってるから」
「我也有拜托千石帮忙,要是你们在路上遇到的话,记得交换一下情报……啊!对了,神原,千石把灯笼裤和学校泳装拿给我了。」
「ああ、そうか。洗濯はしていないだろうな?」
「喔喔,是吗。她应该没有洗吧?」
「いや、してるらしいけど」
「没有,她好像已经洗过了。」
「なんてことを!」
「怎么会这样!」
絶叫されてしまった。
神原放声大叫。
こいつのキャラって……本当にもう。
这家伙的个性……真是够了。
「愚かな……洗濯してしまったら何の意味もないではないか……そんな暴挙を許してしまうとは、阿良々木先輩らしくもない」
「愚蠢啊……洗干净不就没有任何意义了吗……没想到阿良良木学长居然会原谅那种暴行,实在太不像学长的风格了。」
「神原、お前にとっての僕らしさって一体なんなんだ……? 女子中学生に自分が着たブルマーとスクール水着を洗濯させないことなのか……?」
「神原,在你心目中我的风格到底是什么……?就是不让国中女生洗自己穿过的灯笼裤和学校泳装吗……?」
「酷い……何故そんなむごいことができる……希望を与えて、その直後に奪うような真似を……手元に青酸カリがあれば、私は間違いなく自殺しているだろう……」
「太过分了……怎么可以对我这么残忍……先给我希望,最后再让我绝望……要是我手边有氰酸钾的话,我肯定会自杀吧……」
「手元に青酸カリがあるなんて仮定が、そもそも荒唐無稽のようだが……」
「手边有氰酸钾这种假设,打从一开始就很荒唐无稽……」
自殺するほどのことなのか。
有需要到闹自杀的地步吗。
それがお前らしさなのか。
这就是你的风格吗?
「阿良々木先輩相手にこんなことを言わなくてはならないのは誠に遺憾ではあるが、仕方があるまい、阿良々木先輩にはこの失態の償いをしてもらわなければならないようだ」
「没想到我必须要对阿良良木学长说出这种话,我真的觉得很遗憾,不过没办法,我必须要请学长为这个失态赎罪。」
「………………」
筋合いねえ。
简直莫名其妙。
しかし、ここで神原のやる気を損ねてしまってもまずい……。
可是,要是在这边折损了神原的干劲就不妙了……
力がある奴って本当に得だな……。
有能力的家伙真的是占便宜啊……
「よろしいか」
「可以吧?」
「はいはい……なんでも言えよ」
「好啦、好啦……要我干么你就说吧。」
「恋は一回だ、阿良々木先輩」
「爱只要说一次就可以了,阿良良木学长。」
「何だそのロマンチックな台詞!?」
「这罗曼蒂克的台词是怎么回事!」
もうわけがわからない。
我已经搞不清楚状况了。
「とにかく、償う償う。償わせてもらいますとも。僕は何をすればいいんだ?」
「总之,我赎罪、我赎罪。我一定赎罪啦。我该怎么做才是?」
「そうだな。そのスクール水着とブルマーを阿良々木先輩が着用して、一晩眠って、たっぷり寝汗をしみこませてから、洗濯せずに私に返してくれればそれで許す」
「这个嘛。就请学长穿上灯笼裤和学校泳装,然后睡一个晚上,让衣服上面吸满汗水之后不要洗直接拿来还给我,这样我就原谅学长。」
「その行為を実行したら僕もお前も比類なき変態になっちまうぞ!? いや、多分僕よりもお前の方が危険だ……!」
「要是我真的照做的话,我和你都会变成无与伦比的大变态喔!不对,你的程度大概会比我还要危险吧……!」
「阿良々木先輩と共に歩むなら、その道もまた面白いさ」
「能够和阿良良木学长走在同一条道路上,不亦乐乎。」
「ごめん神原! 僕はお前とそこまで心中してやるつもりにはなれない!」
「抱歉,神原!我没有打算陪你一起去死!」
「心中が無理なら無理心中という手がある」
「不想和我一起死的话,我还有强迫自杀这个方法。」
「それは殺人事件だ!」
「那是杀人吧!」
「まあ、その件については改めて考えよう」
「那就请学长重新考虑一下吧。」
「いや、お前は考えを改めろ!」
「不对,是你要改变想法!」
「ともかく、千石ちゃんも協力してくれているわけか。その様子だと、他にも──何人かいる感じだな」
「总之,千石也要帮忙找吗?这样看来,除了我们之外……应该还有几个人会帮忙吧。」
「ああ。これだけ壮大に無駄話をしておいて説得力はないかもしれないが──一刻一秒を争うんだ。協力してくれ、神原」
「是啊,我们在这边说了一堆废话后,现在我这样说可能没有说服力啦——现在是分秒必争。帮我一把吧,神原。」
「勿論だ。了解過ぎて涙が出る。ここで協力せずして私が私であるものか。全てを阿良々木先輩のいいように」
「当然。我清楚到都快飙泪了。这边要是不帮忙我就不是我了。一切都遵照学长的指示。」
そう言って、神原は電話を切った。
说完,神原挂上了电话。
近所のスーパーと言っていたが、近所も何も、スーパーと言えば、この辺りには一軒しかないのだが……この田舎町の生命線とも言うべきそのスーパーの床を、神原のBダッシュが抉っていないかどうか、結構真剣に心配だったが──まあしかし、そういうわけのわからない非現実的な心配を除けば、神原は、心強い味方だった。
她刚才说人在附近的超级市场,这附近说到超级市场也就这么一问而已……那间超市可说是这个乡下城镇的生命线,我真的开始担心神原的 B 键冲刺会把那边的地板踩得坑坑洞洞的——不过呢,扣掉这既莫名其妙又非现实的担心,神原是一个可靠的伙伴。
そして、最後の一人。
再来是最后一个人。
忍を直接知る、最後の一人──
最后一个曾经亲眼看过忍的人——
戦場ヶ原ひたぎに、僕は電話を掛けた。
战场原黑仪,我拨了一通电话给她。
呼び出し音がやけに長かった──二十秒くらいは待ったのではないだろうか。このまま留守番電話サービスに転送されるのではないかと危ぶんだ矢先、ようやく繫がったようだった。
铃声响了非常久……我差不多等了二十秒左右吧。正当电话差点转入语音信箱的前一刻,她终于接起了电话。
「行かないわよ」
「我不去。」
「………………」
一言目で断られた。
开口第一句话就让我吃了闭门羹。
エスパーかこいつは。
这家伙是超能力者吗。
しかも、断るんだ……。
而且她还拒绝我……
「……えらく電話に出るまでに時間が掛かってたみたいだけど、何かあったのか?」
「……你好像响了很久才接电话喔,出了什么事吗?」
「いえ? 別に? 電話に出るのが面倒臭かったから発信者も確認せずにポケットに入れたまま放っておいたのだけれど、あんまりしつこいから諦めて発信者を確認したら阿良々木くんだったから、じゃあやっぱり出なくてもいいかと電源ボタンを押して呼び出し音を切ろうとしたら間違って通話ボタンを押しちゃったので、仕方なく出たのよ。ところで何か用かしら?」
「嗯?没啊?我只是觉得接电话很麻烦,手机就一直放在口袋里,也没看是谁打来的,可是铃声实在很烦所以我就看了一下,结果发现是阿良良木你,我就想说不用接也没差吧,然后想要按下电源键把铃声停下来的时候,不小心按到通话键,没办法我才接电话的。对了,你找我有什么事?」
「そんな奴に用なんかあるか!」
「这种人谁还会有事情找你啊!」
酷い奴だ。
这家伙好过分。
電話越しでも全く衰えを見せない。
就算隔着电话,火力也不逊色。
「さておき、戦場ヶ原──話、聞いてくれよ」
「那先不管了,战场原……你听我说。」
「嫌よ。それよりも私の話を聞きなさい。先日、友達と二人でレンタルビデオ店に行ったのだけれど」
「不要。你才要听我说。前几天,我和朋友两个人去录像带出租店啊——」
「『林檎をむいて歩こう』さんはお前かよ! そしてここ数年友達が一人もいなかったお前がそんな風な『友達と仲良し』的エピソードをでっち上げてふつおたのコーナーに送ったんだと思うと面白かったはずの葉書が悲しく思えてくるよ!」
「原来那个『削苹果前进』就是你吗!还有,这几年连一个朋友都没有的你,居然会捏造出那种『和朋友很和睦』的故事,还寄信到那种听众来信的节目去,一想到这点,我就觉得那封原本很有趣的明信片,突然变得很可悲!」
ていうかなんなんだその聴取率の高い番組!
话说回来,那个广播节目收听率这么高是怎么样!
みんな聞いてるのか!?
大家都在听吗?
僕だけが聞いてないのか!?
没在听的人难道只有我一个?
畜生、時流に乗り遅れちまった!
该死,我太落伍了!
「あのな、戦場ヶ原。いいから僕の話を聞いてくれ」
「我说,战场原。你听我说啦。」
「土下座されちゃあしょうがないわね」
「你都跪下来求我了,我也没办法不听吧。」
「してねえよ!」
「谁下跪啦!」
「で、なに」
「是什么事情?」
「……忍がいなくなったんだ」
「……忍不见了。」
「忍って──あの、金髪の子供ね?」
「忍?是那个金发女孩对吧?」
「そう」
「对。」
「ふうん」
「嗯。」
感想なしか。
她没有任何感想吗?
平坦で、冷淡な奴。
真是一个态度平静又冷淡的家伙。
まあ、見知りはしていても、会話をしたわけでもなければ、付き合いがあったわけでもないからな──それは戦場ヶ原に限らず、神原も、千石も。忍の中身を知っているのは、中でも、僕と忍野と──それから、羽川だけなのだ。
唉呀,她们虽然见过面,但从没聊过天,也没打过交道——这点不只是战场原,神原和千石也一样。六个人当中知道忍个性的,只有我和忍野……还有羽川而已。
「それで──阿良々木くんは、学校をサボタージュしてまで、その子を探しているというわけなのかしら?」
「因为这样……阿良良木才不惜逃课跑去找她的吗?」
「そう。だから、お前にも手伝って欲しいんだ──忍を直接知っているのは……」
「对。所以我希望你也能帮我的忙,有亲眼看过忍的人——」
「でも」
「可是,」
戦場ヶ原は、僕の言葉を遮った。
战场原打断了我的话。
「今朝、阿良々木くんの言ったところの『人道支援』は、それではないわよね──阿良々木くんはあの子のことを、決して『人』とは称さないものね」
「今天早上你说的『人道救援』,不是指这件事吧——因为阿良良木你绝对不会称呼地为『人』的。」
「羽川さんが、学校を休んでいるわ」
「羽川同学,今天没来学校呢。」
戦場ヶ原は平坦に続ける。
战场原语气平静地接着说。
何の感情も滲ませない。電話越しにもいつもの無表情が、目に浮かぶようだった。本当にこいつが、神原に自ら電話をかけて夜通しの自慢話をしたのだろうか……。
话中没有流露出任何的感情。电话的另一头,她总是面无表情的脸蛋,似乎浮现在我的眼前。主动打电话给神原臭屁了一整晚的人,真的是这家伙吗……
「それは、関係あるのかしら──ああ、答えなくてもいいのよ。阿良々木くんの沈黙は、十分に答としての意味を持つから」
「这两者有关系吗——啊啊!你不用回答我没关系。你的沉默已经给我答案了。」
「だとしても、答えさせろよ。ああ、その通りだ。羽川の──」
「就算是这样,我还是要回答。对,你说得没错。羽川的——」
「そう言えば、忍野さんが言っていたわね──羽川さんのときには、あの子がよく働いてくれたとか、なんとか。つまり、そういうこと? 羽川さんのためにあの子の力が必要だけれど、その子が別の事情で、失踪中──と」
「对了,忍野先生之前好像有说过……羽川同学的事情,那孩子帮了很多忙之类的。简单来说,事情是这样吗?为了要帮助羽川同学,需要那孩子的力量,可是她因为其他的原因现在失踪了。」
「いい勘してるな……それに、いい記憶力だ」
「你的直觉还真敏锐啊……而且记忆力也真好。」
「記憶力には自信があるのよ。鎌倉幕府が成立した年のことだって憶えているわ」
「我对自己的记忆力很有自信的。我连缣仓幕府创建的时间,都还记得呢。」
「それはただの年号暗記じゃないのか……」
「那只不过是普通的年号背诵吧……」
「いい国作れず、鎌倉幕府」
「无法建立一个好国家,镰仓幕府。」
「やな憶え方4だな!」
「好讨人厌的背诵方式啊!」
「阿良々木くんは」戦場ヶ原は言う。「羽川さんのことも、その子のことも、同じくらい心配なのね──どちらも公平に心配なのね。どちらを優先するべきなのかなんて、明白なのに──本当に、阿良々木くんらしいわ」
「阿良良木上战场原说。「羽川同学和那孩子的事情,你都一样很担心呢——没有偏颇,一样公平呢。应该先担心哪一边,明明就一目了然的说……这真的很像你的作风呢。」
「…………?」
何を言ってるんだ?
她在说什么?
優先?
优先?
これは別に、そういう状況じゃないだろう?
这状况不是谁优先的问题吧?
千石のときとは違って、助けるべき相手を、選ばなければならない状況では──ないはずだ。
这次和千石的情况不同,我不用去选择应该先救谁才对。
「行かないわよ」
「不去。」
そして、戦場ヶ原は同じ言葉を繰り返した。
接着,战场原重申。
「私は行かない」
「我不去。」
「おい、戦場ヶ原──」
「喂,战场原——」
「だって、私には文化祭の準備があるもの」
「因为我要准备文化祭的东西。」
「いや……それはわかるけれど、今は──」
「不是……那我知道啦,可是现在——」
「羽川さんに、任されたのよ」
「是羽川同学交代我处理的。」
それは、強い言葉だった。
那是一句强而有力的话。
意志を伴った──抜き身の刀のような、強い言葉。
话中伴随着意志——就像一把出鞘的刀一样,强而有力。
「投げ出せるわけがないじゃない──羽川さんが、窮地であれば窮地であるほど、私はこの役目を、果たさなければならない」
「我不能丢下这边的工作不管……羽川同学越是被逼到困境,我就更要完成我的任务。」
そうだった──
没错——
ただの文化祭の準備じゃないのだ。
那不是普通的文化祭准备工作。
それは、羽川が、怪異に追い詰められながらも、戦場ヶ原に託したものだ。それをサボタージュして、忍を探してくれだなんて、言えるわけがない。
那是羽川在杯怪异逼到绝境的时候,还不忘交代战场原去处理的事情。我不能要她翘掉那个工作,跑去找忍。
「羽川さんがいないから、はっきり言って、命令系統が滅茶苦茶よ──何一つうまく回転しない。あの人、こんなことを処理していたの? こんな無茶苦茶なタイムテーブルを組むなんて、正気じゃないわ。それをサポートしていた阿良々木くんまでいないものだから──正直、こうしている時間さえも勿体ないわ」
「羽川同学不在,老实说命令系统整个就是乱七八糟……没一件事情能够顺利处理的。她真的一直在处理这种事吗?居然弄了一个这么非比寻常的时间表,她真是疯了。现在就连负责协助的你都不在——老实说,光是现在这样讲电话我都觉得是在浪费时间。」
「まあ、ほとんど羽川一人でやってたようなもんだからな──」
「那些几乎都是羽川一个人在弄的啦。」
クラスのために、どれだけあいつが、身を粉にしていたか。そして──それを、どれだけ、クラスの連中に、悟らせなかったか。苦労を周囲に見せなかったか。忙殺されてもおかしくない仕事量なのに、忙しそうな素振りなど、微塵も見せず──愚痴一つ零さず。何でもそうなんだ──頑張ることがすごいんじゃない。頑張っていることを、周囲に悟らせないのがすごいのだ。あいつのそばにいた、羽川のサポートに徹していた僕でさえ、羽川の苦労を全て把握していたとは言いがたい。
那家伙为了班上,到底付出了多少心血呢。而且……她又是费了多大的努力,才让班上的人无法察觉到她的忙碌,不让周围的人看到她的辛苦呢?那些工作量就算让她忙到不可开交也不奇怪,她却从未展现出忙碌的一面,也不说半句抱怨的话。她做任何事情都一样——努力本身不算厉害。厉害的是,她可以不让周围的人察觉她很忙碌。就连一直在旁辅佐她的我,都很难完全掌握羽川辛苦的程度。
全く。
真是的。
本当に本物だ、あいつだけは──
那家伙是真正的天才,只有她——
…………。
でも、彼氏と電話している時間が勿体ないとまでは言わないで欲しいな、ひたぎさん……。
不过,我真希望你不要说和男朋友讲电话是在浪费时间啊,黑仪同学……
「今日は、かなり遅くまで帰れないでしょうね──下校時刻なんて、守れそうにないわ。家に持って帰って、やることになりそう。本当、これだけの作業を規則内に終わらせていたなんて、驚嘆の域よ。ねえ、阿良々木くん。阿良々木くんはいつも通り、阿良々木くんのやり方を貫けばいいわ──私はいつも通り、私のやり方を貫く」
「看来,今天我大概要弄到很晚才能回家吧——离校时间我看是没办法遵守了。有可能还要带回家弄吧。这么庞大的工作量,她之前居然能在规定的时间内全部处理好,这已经达到让人惊叹的水平了。我说,阿良良木,你就照平常一样贯彻自己的作风吧;我也会这么做的。」
「そうだな……じゃあ」
「也好……那么,」
僕は言った。この状況をはっきりと認識した上で。
在清楚认识到目前的状况后,我说。
「学校は、任せた。いい文化祭にしようぜ」
「学校那边就拜托你了。办一个快乐的文化祭吧。」
「そうね。そうしたいわ」
「是啊。我会的。」
いつも通りの平坦な口調。
她的语气一如往常地平静。
全く、感情を滲ませないけれど。
完全没流露出任何感情。
それでもそれは、確かに戦場ヶ原の言葉だった。
但是,这话确实是从战场原的口中说出来的。
「じゃあ──また連絡する」
「那先这样……我会再跟你联络的。」
「ああ、阿良々木くん。一つだけ、いいかしら」
「啊,阿良良木。我想说一句话,可以吗?」
「なんだよ」
「干么?」
「ツンデレサービス」
「傲娇服务。」
最後に、戦場ヶ原は言った。
最后,战场原开口说。
平坦な口調で。
以平静的语调。
「勘違いしないでよね、別に阿良々木くんのことが心配なわけじゃないんだから──でも、帰ってこなかったら、許さないんだからね」
「你可不要误会喔,我可不是在担心阿良良木你——不过,要是你没有回来的话,我可饶不了你喔。」
ぶちっと、電話は向こうから切られた。
语毕,她就挂断了电话。
意識まで切れそうになったが、何とか堪えた。
我差点连意识都跟着中断,但还是设法招架了下来。
ああ、もう、本っ当……、本っ当、言葉にならない。いちいち、話すたびに、あいつは……、いや、たとえ語彙が足りないと言われようと……本当にもう、言葉にならない。
啊咧!真是的,我真的……真的真的,无法用言语来形容现在的心情。就算她会说我词汇贫乏也罢,每当我们说话的时候,她总是……会让我无法用言语来形容。
あいつのことが、好き過ぎる。
我真的太喜欢她了。
どうしようもないくらい。
喜欢到无法自拔的地步。
全く──帰るに決まっているだろう。
真是……我绝对会回来吧。
そうして、待たれているのなら。
如果有你在等待我的话。
「……安心して、任せられるよ」
「……你尽管放心,包在我身上吧。」
とにかく。
总之。
これで、呼べる限りの助けは呼んだ。
我已经拜托完所有能求助的对象了。
所詮は高校三年生程度のネットワークだ、大局的に見れば、気休め程度の助けにしかなってないのかもしれないが──状況はそれほど動いていないのかもしれなかったが、それでも──
我的联络网络只有高中三年级生的程度,也没多了不起,从整体大局来看,这点程度的帮助或许只能求个心安,状况不会因此有多大的改变,但是——
心強さは、桁違いだった。
她们让我有恃而无恐。
ペダルを漕いで、ペダルを漕いで、ペダルを漕いで、ペダルを漕いで、ペダルを漕いで、ペダルを漕いで──それから、更に三時間。
我踩着踏板、踩着踏板、踩着踏板、踩着踏板、踩着踏板、踩着踏板——在那之后,又过了三个小时。
捜索時間、ここまで九時間。
搜索的时间,至今共花了九个小时。
夜七時。
现在是晚上七点。
あっという間の──夜だった。
时间一转眼,就入夜了。
何も食べず、何も飲まず。
我一路上不吃不喝,
休まず──
没有休息——
僕はようやく、疲れたのだった。
现在终于感觉到疲惫了。
「それにしても、忍の奴……何考えてんだ」
「可是,忍那个家伙……到底在想什么啊。」
家出なんて。
居然会离家出走。
失踪なんて。
居然会失踪。
自分探しの旅──だなんて。
居然会踏上寻找自己的旅途。
お前はどこにも行けるはずなんてないのに──
你明明无处可去啊——
この僕と、同様に。
就跟我一样。
「……………………」
全ては──春休みから始まった。
一切的肇始,是在春假。
二年生の終業式から、始まった。
从二年级的结业式开始的。
今となっては、随分前の話だ。
事到如今,已经一段时间前的事情了。
僕は怪異の存在を知って──
我知道怪异的存在,
怪異そのものになってしまって──
变成了怪异本身……
以来、ずっと、そんなことが続いている。
而后,不停遇到这一类的事情。
鬼。
蟹。
蝸牛。
猿。
蛇。
そしてまた……猫。
然后又是……猫。
化け猫──障り猫。
妖猫——障猫。
ブラック羽川──もう一人の羽川翼。
黑羽川——另一个羽川。
化け猫というのは、大抵の場合、人間に化けるものだ──まず老婆を食い殺し、その老婆に化けて、家に這入って来たものを更に食い殺してしまう伝説など、枚挙に暇がない。
妖猫那一类的东西,大多数的情况下都会化身成人类。先把老婆婆咬死后,化身成老婆婆的模样,再把来到家里的人咬死——这类的传说多得不胜枚举。
猫は人間に化けるのだ。
猫会化身成人类。
そして──人を食う。
然后……吃人。
しかし、障り猫は、それとは逆──いや、同じ伝説の、別角度からの解釈ということなのだろう。猫が人になるのではなく──人が猫になるという事例。人に化けた化け猫は、その不自然な所作から、正体が露見することになるが──障り猫はその不自然な所作を、多重人格的な解釈で処理する。その部分だけを切り取って言うなら、狐憑きのようなものだ。障り猫自体の民間伝承は、多くこんな形を取っている──貞淑な妻が、夜な夜な町に出歩いて淫婦と化す──これは化け猫の仕業なりと、旅の僧侶(あるいは武士だったり、猟師だったりする)が、一刀両断するも──それは妻そのものだったという話。
但是,障猫的情况却和传说完全相反——不对,是同样的传说,只不过是从别种角度去解释而已吧。不是猫化身成人类……而是人类变成猫。化身成人类的妖猫,会因为举止不自然而露出马脚;但是,障猫却能将那种不自然的举止,当做是多重人格来解释。若针对这点来看,障猫就像是被狐狸魅惑了一样。许多有关障猫的民间传说,多半是以下的模式:贤慧的妻子,每晚都化身成淫妇到镇上闲逛,最后云游的僧侣(或武士及猎人)认定那是妖猫在作怪,一刀砍死了妖猫后,结果发现那只妖猫就是妻子本人。
そのオチからだけ判断するなら、そう、その伝承に、猫はそもそも、登場しないのだ。ただの意匠5として、または話を盛り上げる要素として、尻尾のない白い猫は少し姿を覗かせるだけ──あくまでも主題、あくまでも主軸は、人間そのものである。
若光从这结果来判断,没错,这个传说当中,猫本身从未出现过。无尾白猫成了一种装饰,或是炒热故事的一种要素,只是稍微点到为止罢了——故事的主题和主轴,从头到尾都是人类本身。
人間の表裏。
人类的表里。
裏の羽川──黒くて悪い、羽川翼。
里层的羽川——黑暗邪恶的羽川翼。
いや──むしろ白いのか。
不对……颜色上来说应该是白色的吧。
どちらにしたって、食われていることには、違いがないのだけれど──
无论如何,羽川的人格被吞噬掉这点,是千真万确的。
神原の意見を聞いてみたいな。
我真想听听神原的意见。
こうなってみると確かに、障り猫と、神原のときの猿は、似ているのかもしれない──あくまでも似ているだけで、似て非なるものではあるのだろうけれど。一番の違いは、猿はあくまでも、正当なる契約に基づいて、神原駿河の願いを叶えただけだったけれど──障り猫は、徹底的に徹底して、無条件で無制限に羽川翼の味方であるという点だろう。ゴールデンウィークには、最終的に悪意と敵意をもって僕や忍野、それに羽川自身を襲ったが──それだって羽川のためではあったのだ。それが望んだ結果でも願った結果でもなかったとしても──猫は羽川の味方なのだった。
事情演变成这样后,障猫和神原的猿猴,或许很类似也说不定——然而只是类似,其实似是而非。两者最大的差异在于:猿猴只不过是基于正当的契约,去实现神原的愿望:但障猫却是彻彻底底,无条件、无限制地和羽川翼站在同一阵在线。黄金周的时候,最后她虽然带着恶意和敌意,袭击了我和忍野以及羽川本人——但那一切也都是为了羽川。就算那不是羽川希望或祈愿的结果,猫依旧是羽川的盟友。
味方どころか──本人なのだから。
岂止是盟友,猫就是她本人。
神原の猿とは、そこが違う。
猫和神原的猿猴之间的差异,就在于此。
今頃、走ってくれているはずの神原。
神原目前应该还在为我奔跑。
しかし──連絡はない。
然而……却没有联络。
誰からも、連絡は入らない。
我没有收到任何人的联络。
まだ、手がかりどころか足がかりさえ見つからない。糸口でさえ皆無だ。
别说是头绪了,我连半点线索都找不到。没有半点蛛丝马迹。
どういうことだろう。
这到底是怎么回事?
金髪の子供なんて、この町で今、一番目立つ存在とも言えるはずなのだが──目撃証言すら得られないなんて。
金发的小孩在这个城镇中,应该可说是最引人瞩目的存在才对——但我却没打听到半点目击证词。
ひょっとして、もうこの町にはいないのか?
该不会,忍已经离开这座城镇了?
いや、子供の足だ……そのはずなんだ。
不对,光凭小孩子的脚程……没错。
僕がそばにいなければ──忍は、何もできないはずなんだ。
忍不在我的身旁……理当什么都做不到。
空を見上げる。
我抬头仰望天空。
夜。
夜晚。
とっぷりと暮れている。
夜幕低垂。
星空──昨夜見た、天文台の空とは、やはり、較べるべくもないが……それでも、十分綺麗な、星空。なんだか、これからは、こうして空を見上げることが、習慣になりそうだ──それが、戦場ヶ原との思い出だから。
星空,虽然完全比不上昨晚天文台的景象,但还是一片十分美丽的星空。我总觉得以后这样仰望夜空,似乎会成为一种习惯——因为这是我和战场原共同的回忆。
全部。
她说——
と、言った。
全部。
阿良々木くんにあげられるものは、これくらい──
她说:我能够给阿良良木你的,只有这些——
でも違う、そうじゃない。
可是不对,不是那样的。
こうして、思い出を、しっかり、もらっている。
现在我的心中,还有满满的回忆。
星空のことだけじゃない──最初の、階段でのコンタクトから、今まで、ずっと。
不光是星空的回忆——从最初在楼梯上的接触开始,直到现在的一切。
思い出……記憶。
回忆……记忆。
羽川の記憶は──もう、消えない。僕としては、怪異とかかわった記憶など、消えてしまった方がいいと、それでも思うけれど──でも、やっぱり、それについては、忍野の言う通りなのだろう。
羽川的记忆……已经不会消失了。但我还是希望,她能够忘记和怪异有关的所有记忆——然而,其实关于记忆方面,忍野说得没错吧。
忍野の言うような意味だけでもなく。
不光是他话中的含意。
僕も──やっぱり、忘れたくない。
我自己其实也不想忘记。
あの春休みのことを。
不想忘记春假的事情。
あの地獄を。
不想忘记那个地狱。
だって、全てはあそこから始まったのだから──
因为,这一切都是从那里开始的——
「……忍──忍野忍」
「……忍,忍野忍」
絶対に、見つける。
我绝对要找到你。
見つけてみせる。
肯定要把你找出来。
僕はお前のことを、一生背負うって、決めてるんだ──
因为我已经决定这辈子,都要背负着你的事情活下去了。
「よし……そろそろ、休憩、終了だ」
「好……休息时间差不多结束了。」
僕は、ペダルを再び、漕ぎ出した。ちょっと休んだだけで、体力は大部分、回復している──全くもってとんでもない身体である。
我再次踩动脚踏板。稍微休息片刻后,我的体力已经恢复了大半——这副身体实在是无法用常理来衡量。
星空はともかくとして──深い時間である。
星空先不去理会——现在夜己深了。
もうしばらくしたら、中学生の千石には家に帰ってもらわないとならない。そうなると、ただでさえ少ないこちらの戦力は、更に削減されることになる。事情が事情なだけに、警察に迷子の届けを出すなんて、とんでもないし……。
再过一会儿,就必须请还是国中生的千石先行返家。这样一来,我方仅存的战力又会被削弱。正因为情况特殊,我没办法请警方帮忙协寻……
それに、夜というのも、少しまずい。
而且,夜晚也有些不妙。
吸血鬼は言うまでもなく夜歩く──だ。忍は今や吸血鬼とはいえないが、それでも、夜の方が活動制限が少ないのは確かである──夜が深まれば夜が深まるほどその力は増す。
吸血鬼想当然耳是夜行者。忍现在虽然称不上是吸血鬼,但她在夜晚活动方面的限制的确比较少——夜幕越深越沉,她的力量也会随之增强。
危険も増す。
危险度也会增高。
今が夜の七時過ぎ……あと二時間くらいが勝負だ。
现在已经过了晚上七点……还剩下两小时左右,是决定胜负的关键。
急がなければ、と、僕は立ち漕ぎに切り替え、ペダルを思い切り踏み込む──と、がくん、と、急に、急ブレーキを掛けたがごとく自転車のペースが落ち、左右のペダルが重くなった。
要加紧脚步才行——我换成站姿,想要猛力踩动踏板时,突然吭啷一声,脚踏车有如紧急刹车般,速度随即降了下来,左右的踏板也变得很沉重。
最初、あんまりにも無茶な駆動をさせすぎて、自転車が壊れたのかと思った。チェーンが切れたか、パンクしたか……、しかし、そうではなかった。
起初我以为是我太操脚踏车,结果害车子故障了。可能是车链断掉,或是爆胎吧……然而,答案却不是如此。
後部座席に人間が飛び乗ってきたのだ。
真相是因为,有人跳上了我脚踏车的后座。
いや、人間とは言えないのかもしれない。
不,对方应该不能算是人。
強いて言うなら、猫だった。
硬要说的话,应该是猫才对。
「…………」
「にゃおん」
「喵呜!」
「…………」
そうか……。
对了……
吸血鬼と同じく、猫も……夜行性だったな。
猫和吸血鬼一样……也是夜行性动物。
白い髪の、猫耳の、パジャマ姿の──
对方一头白发、猫耳,身穿睡衣——
よく知った、女だった。
是一位我非常熟识的女性。
眼鏡は外している──夜目が利くのだ。
她脱下了眼镜,因为晚上她的视力极佳。
その目つきが非常に悪い……目がどうとかいうより、表情そのものが、元の造りからは考えられないくらい、悪そうだった。
那眼神非常地邪恶……与其说是眼神如何,倒不如说是因为她的表情看起来邪恶到,让人无法从她原本的五官来作联想。
上着は脱いでいた──暑かったのだろう。北風と太陽の話は、正しかったということか……期せずして、こうして羽川のパジャマ姿、その全貌を僕は目にしたわけだが、しかし、羽川が今の状態の羽川では、その喜びは半減と言った感じだった。
她的外套脱掉了——大概是因为太热的关系吧。这代表北风与太阳的故事是正确的吧……我在如此偶然的情况下,将羽川穿着睡衣的身姿一览无遗;然而,羽川现在身处这个状态,也让我心中的喜悦跟着打了对折。
そんなわけで。
如此这般。
ブラック羽川が、そこにいた。
黑羽川出现在我的身后。
「……何故いる」
「……你怎么会在这里?」
「ごろにゃん」
「喵噜噜!」
「答えろ」
「快回答我。」
そんな噓臭い鳴き声が聞きたいわけではない。
我不想听你那种假惺惺的猫叫声。
あの学習塾跡で厳重に縛り上げられた末、忍野によって厳重に見張られているはずの、ブラック羽川が──
黑羽川在那栋旧补习班被五花大绑后,应该受到忍野的严密监视才对。
「そういうにゃよー、人間。ごろごろ」
「别这样说喵,人类。呼噜呼噜。」
「猫撫で声を出しても無駄だ」
「你发出那种撒娇的声音也没用。」
「ふん。べっつにー。睨むんじゃねーよ、人間。にゃんか知らねーけど、俺が適当に暴れ続けてたら、ついさっき、勝手に縄の方から解けたにゃん」
「哼。也没为什喵啊。别那样瞪我嘛,人类。我也不知道为什喵,只不过是随便挣扎一下,刚才绳子就自己松掉了喵。」
「ついさっき……?」
「刚才……?」
ああ──そうか。
啊!原来如此。
夜行性──だ。
是因为夜行性。
ゴールデンウィークのときも羽川としての意識がわずかとは言え戻っていたのは、決まって、昼間だった──夜はこの怪異、圧倒的に力と、それに、支配力が増すのだ。なるほど、そういうところも、神原のときの猿に近い。
黄金周时,羽川也曾短暂地恢复意识过,但那只限于白天。这个怪异在晚上,力量和支配力会获得压倒性地提升。原来如此,这一点也和神原的猿猴十分类似。
「にゃはははは」
「喵哈哈哈哈!」
ブラック羽川は快活に笑う。
黑羽川快活地笑了。
多分、何の意味もない。
这笑声八成没有任何意义。
意味なく笑っている。
单纯只是笑而已。
知能も猫並み──忍野は、大本が委員長ちゃんだからどうとか言っていたけれど、僕はそんなことはないと思う……この状態の羽川翼には、何の裏もなさそうだ。
她的智商也跟猫一样——忍野说她的真面目是班长妹,所以要多加小心之类的,但我却不那么认为……这个状态下的羽川翼,看起来没什么心机。
いや、違う。
不对。
この状態の羽川翼が、既に裏なのだ。
这个状态下的羽川翼,已经是内在的人格。
あるとすれば、表である。
要是有心机,应该会表现出来才对。
「でも、忍野の見張りはどうした……」
「可是,忍野的监视怎么了……」
「俺は猫だにゃ。音を立てずに移動するにゃんて、お茶の子さいさいだにゃん」
「我可是猫耶。要悄悄移动不发出声音,根本是轻而易举喵。」
「そうだったな……そう言えば」
「的确是……这么说来——」
忍野……今回のお前はやけに役立たずだぞ。
忍野……你这次很没用喔。
どうも、らしくない。
实在有点不像你。
学習塾跡を訪れた際、なんだか様子がおかしかったこと、終始歯切れが悪かったことは、あれは忍が失踪していたからと、それらしき理由を説明することができるが(屋外に出ていたのは忍を探していたのだろう)、ブラック羽川の逃亡を、こうもあっさりと許してしまうなど……、考えられない。
我们跑到旧补习班时,他的样子看起来很奇怪,嘴里也一直含糊其词,这些都可以用「因为忍失踪了」来作说明(他跑到屋外也是为了找忍吧);但我无法想象他会如此轻易地就让黑羽川脱逃……
忍を逃がした直後のことだ。
他才刚让忍跑掉而已。
二度も続けて馬鹿なヘマをやる男ではない。
他不是一个会接连两次犯下相同错误的男人。
と、言うことは……ひょっとして、忍野の奴、わざと、つまり故意に、ブラック羽川を解放したのか……? あらかじめ夜になれば解ける程度の強度で拘束しておいて(『勝手に縄の方から解けた』という障り猫の言い方が、それを裏付ける)、建物からの脱出も見て見ぬ振りをして見逃して……。
这样一来……难道忍野那家伙是别有用心,也就是故意要放走黑羽川的……?他在捆绑的时候,事先将绳索弄成到了晚上就会被解开的程度(障猫的说法:「绳子就自己松掉了。」也印证了这一点),接着黑羽川逃出大楼时,他也刻意视若无睹……
ブラック羽川が僕の居場所を突き止めたのは、単純な嗅覚と聴覚だろう。
黑羽川会知道我在哪里,单纯只是靠嗅觉和听觉吧。
猫はそれで、狩りをする。
猫就是靠这两种武器来狩猎。
ただ、問題は、解放されたブラック羽川が、どうして僕のところへやってきたかだ──方法ではなく理由である。もしも忍野が故意にブラック羽川を逃したのだったら、当然、この動きもまた、あの見透かしたような男の思惑通りということになるはずだが……。
但问题是,为何重获自由的黑羽川要跑来找我?我要的不是方法,而是理由。假设忍野真的故意让黑羽川跑掉,那个有如看透一切的男人,当然也预料到黑羽川之后会采取的行动……
だとすれば、何のために?
假如真是如此,那用意何在?
それも──理由がわからない。
这点……我也不明白。
ただ、あいつは、『時間がない』と言って、外法とやらを使ってまで、障り猫を強制的に呼び出した──本人に話を聞くために。僕と同じようにわけがわからなかったと言ってこそいたが、それは奴一流の韜晦であり、本当は、ブラック羽川の脈絡のない言葉の中から、手がかり足がかりとは言わないまでも、せめて何らかの糸口くらいは、つかんでいたのかもしれない……。
不过,那家伙说「没时间」,而不惜用旁门左道的方法,强制性地把障猫给叫出来——只为了听她本人说明原因。他那时候说自己和我一样听完之后也一头雾水,其实那只是他的韬晦之计,从黑羽川的那番毫无脉络可循的话语中,虽然不至于找到什么头绪和线索,但他其实也听出了一点蛛丝马迹吧……
「おい、猫……」
「喂,猫……」
「んにゃ?」
「干喵?」
「…………」
自転車から降りて、ハンドルを片手で支えつつ、後部座席に座ったブラック羽川へと向かい合って、僕は、投げ掛けようとしていた言葉を思わず飲み込んだ。
我从脚踏车上下来,单手撑着龙头,转头面向坐在后座的黑羽川,顿时,我不自觉地将原本想要提出的问题,吞回了肚子里。
言葉を失った。
我瞠目结舌。
うわ……上着を脱いだら、身体の形がはっきりわかる。女の子のパジャマ姿とかぶち上げたところで、そんなもの、冷静になってみればあくまでもただのパジャマのはずなのに、それがわかっていても、限りなくエロい。喜びも半減というあれは、取り消しだ。だってちょっと動けば、胸がたふんたふん揺れるんだもん。たふんたふんだぜ。そんな擬音は人間の身体から発せられていい音じゃないぞ。もうなんだかストーリー展開とか物語の筋とか全部投げ出して、夜を徹してこいつと縄跳びをして遊びたい感じだった。
呜哇……脱掉外套之后,她的身型清楚地展露了出来。女生穿睡衣的样子,其实冷静想想,那种东西只不过是普通的睡衣罢了;但就算我心里明白,还是觉得她无比地性感。我要收回刚才喜悦打对折的那句话。因为她现在稍微动一下,胸部就会「弹摇摇摇~」。是弹摇摇摇~喔。人类的身体发出这种拟声词可不妙啊。总觉得我现在,已经不想去管之后的故事发展和剧情脉络,只想和这家伙通宵玩一整晚的跳绳。
神原は言動がエロいが、羽川は身体がエロい……。
神原是言行很色;羽川是身体很色……
しかも猫耳だし。
而且还是猫耳。
これで髪が黒かったらと思うと、ぞっとする。
如果她现在是黑发的话——一想到这点,就会让我兴奋得浑身发抖。
種の存続という観点から見れば外見上のセックスアピールは絶対的に必要不可欠なものだが、しかし、果たしてそれって、ここまで過剰に必要なものなのだろうか。
从繁衍物种观点来看,外观上的性感是绝对必要的,但有必要性感到这种地步吗。
「どうしたにゃん?」
「你怎喵啦?」
「あ、ああ──えっと」
「啊、啊啊!那个……」
まあ、ゴールデンウィークのときは、こいつ、下着姿で暴れてたんだからなあ……それに比べれば、いくらかマシってものか。どこまで記憶が戻ったところで、その記憶だけは、羽川の脳内から永遠に削除されておくべきだろう。
这家伙在黄金周的时候,还穿着内衣裤胡作非为呢……和之前比起来,穿睡衣算好多了吧。不论羽川的记忆恢复到哪种程度,唯独那个部分,我觉得应该永远从她的脑中消失才对。
「……えーっと、猫、僕が今から言う文章を復唱しろ。斜め七十七度の並びで泣く泣くいななくナナハン七台難なく並べて長眺め」
「……那个,猫。我现在念的东西,你跟着覆诵一遍。斜七十七度的排列,哭哭马嘶叫,把七百五十 CC 摩托车七台轻松地排成一列眺望远方。」
「にゃにゃめにゃにゃじゅうにゃにゃどのにゃらびでにゃくにゃくいにゃにゃくにゃにゃはんにゃにゃだいにゃんにゃくにゃらべてにゃがにゃがめ」
「斜喵十喵度的喵列,喵喵马喵叫,把喵百喵十 CC 喵托车喵台喵喵地排成喵列喵望远方。」
「かぁーわぁーいーいー!」
「好——可——爱!」
猫言語に萌えることで、縄跳びに代えた。
我藉由萌猫语言,来取代玩跳绳。
我ながら天才的な機転である。
随机应变这方面,我真是一个天才。
じゃなくて。
不对!
「何をしに来たって、訊こうとしたんだ」
「我是想问你跑来这里做什么。」
「何をしに来たとは、ご挨拶だにゃ」
「你问我做什喵,我是来打招呼的喵。」
ブラック羽川は茶化すような口調で言う。
黑羽川用开玩笑的口吻说。
「そりゃもう、人間を手伝ってやろうと思って、来たに決まってるにゃん」
「我会出现在这里,当然是因为我想要帮助人类喵。」
「手伝い──に?」
「帮助人类……?」
「誤解するにゃよ、人間──俺はもう、お前と戦おうという気はにゃいんにゃ。さっきもそう言ったはずにゃよ?」
「你可别喵会喔,人类——我已经不打算再跟你打啦。刚才我就喵过了吧?」
「さっき……?」
「刚才……?」
ああ……午前中のことか。
啊……是在说中午的时候吗。
半日近く前のことを、さっきと言うか。さすが怪異、時間の把握が……いや、この場合、猫の知能が時間観念を把握できていないだけと見るべきかもしれない。
她把接近半天前的事情,称作「刚才」。真不愧是怪异,对时间方面的掌握……不对,这个情况下,或许只是因为猫的智商无法掌握时间观念而已。
それに。
况且,
「言ってた……か?」
「你有……说过吗?」
「あー、言ってにゃかったかもしれんにゃ。まあどっちでもいいにゃん。今、言ったんだから。今回の俺は暴れようというつもりはにゃい──そういうテンションじゃにゃいからにゃ」
「啊!我可能没喵过吧。喵呦,怎样都没差啦。因为我刚才已经喵过啦。这次我不打算乱来啦——因为我没有那种心情喵。」
「………………」
信用して……いいのか?
我能……相信她吗?
前回のことを考えれば、信用などできるわけがないが……しかし、それは普通に考えればという話であって、この猫を相手にするときは、深読みする方が馬鹿を見る。
若从上次的事情来思考,我绝对不可能相信她……但那是指「正常情况下」,跟这只猫较劲的时候,想太多反而才是傻子呢。
つもりがないというなら──つもりはないのか。
既然她说不打算……那就是不打算吧。
そして──
还有——
手伝いに来たというのなら、こいつは、本当に手伝いに来たのだ。
她说是来帮我的,那就应该是真的来帮我的吧。
「けれど──なんでだ。お前は、羽川のストレス……みたいなもんなんだろう? 羽川のストレスを解消するために現れた、羽川の第二の人格──」
「可是……这是为什么?你就像是……羽川的精神压力吧?你是为了消除羽川的精神压力,而出现的第二个人格——」
それが──悪夢の発端だった。
那就是……恶梦的开端。
両親を襲い、町行く無辜の人々を襲い──とにかくこの猫は、暴れまくった。傍若無人もはなはだしかった。被害という意味でいうなら、それは春休みの地獄に及ぶべくもないが──その恐ろしさで言うならば、障り猫は吸血鬼をすら、凌駕していたかもしれない。衝動を持て余した思春期の子供が夜中に学校に忍び込んでガラスを割るくらいの勢いで、無差別に人々を襲っていたのだ──とんでもないストレス解消法である。
这只猫曾经袭击过她的双亲,以及无辜的行人——总而言之,她四处作恶,目中无人到了极点。从受害规模来看,她造成的伤害虽不及春假的地狱;但若从她所带来的恐惧来看,障猫甚至已经凌驾于吸血鬼之上。因为她无差别地袭击人们,其气势就像一个血气方刚的青春期少年,半夜潜入学校将玻璃打烂一样。那种消除精神压力的方法,简直是毫无道理。
「だから誤解するにゃよ──俺はこれでも、お前には感謝してるんにゃ。普通にやってりゃ、一年はかかったであろう、ご主人のストレス解消を、ただの九日間で終わらしてくれたんだからにゃ──」
「所以你不要喵会喔——我虽然这样,还是很喵谢你的。在普通的情况下,我可能要花上一年吧,多亏了你才让我只花了九天,就喵除了主人的压力——」
ああ……、
啊啊……!
そういう見方も、できるわけか。
还能用那种角度来看事情吗。
そうだ、障り猫の方から見れば──こいつは、羽川のストレスが発散できれば、それでよかったわけで──それがどんな短絡的な手段であろうと、あるいは、効率のよい手段であろうと──関係はないのだ。
没错,站在障猫的角度来看,这家伙只要能够抒发羽川的精神压力即可,不管是采取不经大脑的方式,还是最有效率的手段,对她来说都没有关系。
怪異はどこまでも──合理主義。
怪异永远都是合理主义。
「そっか……お前にとっても、忍がさっさと見つかってくれた方が、都合がいいってことなんだな。僕とお前で、利害は一致している──と」
「原来如此……能够快点找到忍,对你来说也有好处。所以我和你现在是利害关系一致——」
「そういうことだにゃん」
「就是这样喵。」
「……よし」僕は頷いた。
「……很好。」我点头回应。
疑問が残らないわけではないが、迷っている暇はない。
虽然我心中还有些许的疑问,但现在不是犹豫的时候。
「そういうことなら、お前の手を借りよう」
「既然这样,那就请你助我一臂之力吧。」
「にゃはは。これが本当の、猫の手も借りたい状況って奴だにゃ!?」
「喵哈哈!这个情况就是名副其实的『连猫的手都想借』吗?」
「…………!」
僕の羽川は、そんなくだらないギャグで得意満面になったりはしない……。
我的羽川不会因为那种无聊的玩笑,而露出志得意满的表情……
でもこれが羽川の裏人格なんだよ。
不过她是羽川的里层人格。
なんだか凹むなあ。
我总觉得有点泄气啊。
「手っつーか、嗅覚と聴覚な。お前は一度バトってんだ、あいつの匂いや声は、わかるはずだろう。それを追ってくれればいい」
「不是手,应该说是嗅觉和听觉比较贴切。你曾经和忍交手过,应该知道她的味道和声音吧。你只要帮我寻找她的味道和声音就好。」
「ふーむ。わかったにゃ」
「嗯——我喵道了。」
「じゃ、適当に走らすから、何か気付いたら、教えろよ──」
「那我就四处骑一下,你要是有什么发现的话,就告诉我一声吧。」
僕は自転車に跨り直した。
我重新跨上脚踏车。
後部座席に、ブラック羽川。
后座载着黑羽川。
このときの僕に、よこしまな気持ちが一切なかったというと、それは噓になるかもしれない。というか噓だ。午前中、羽川と二人乗りをしたときのふくよかな感触は、まだ記憶に新しかった。ただし、そんな下世話な思惑には、これ以上ない天罰が覿面にくだることになる。
此时,要是说我心中没有一丝的邪念八成是骗人的。应该说绝对是骗人的。上午我载羽川时的那股丰满触感,我依旧记忆犹新。然而,我这低级下流的企图,将会让我遭受到无可匹敌的现世报。
「ぐあっ……!」
「呜哇……!」
反射的に、僕は自転車から転がり落ちた。その勢いで、自転車も音を立てて倒れる。ただ一人、否、一匹、ブラック羽川だけが、器用にぴょんと飛び跳ねて、空中で回転し、華麗に着地した。
我反射性地自脚踏车上滚落。脚踏车也顺势发出声响倒了下来。唯独一个人,不对,是一只猫——黑羽川灵巧地跳起,腾空翻转了一圈后,华丽地着地。
さすが猫だ。
真不愧是猫。
が、感心している場合ではない。
不过现在不是佩服的时候.
「ん? どうしたにゃ? 人間」
「嗯?你怎喵啦?人类。」
「……あ、ぐあ……あ」
「……啊,呜啊……啊。」
障り猫は、触り猫。
障猫,即是触猫。
その化け猫の際立った特徴は、今風に横文字で言うなら、そう、エナジードレインである。その意味では一般的な化け猫よりも、夢魔や色魔、呪霊に近い。色ボケ猫──である。人をやつれさせる怪異──その怪異に触れられた人間は──体力も精力も、根こそぎ吸収される。死に至るというほどの例はないが──ゴールデンウィークには、少なからず、入院者も出たくらいだった。
这妖猫最明显的特征,若用时下流行的洋文来说,就是 Energy Drain。也因此,与其说他是一般的妖猫,倒不如说他比较接近梦魔、色魔或咒灵。即是魅猫。一种会让人类憔悴的怪异——被那种怪异碰到的人类,体力和精力会被完全吸干。虽然没有让人致死的案例,但黄金周的时候,有人因此被送进了医院。
二名の入院者。
入院者两名。
羽川の、両親。
就是羽川的双亲。
まあ──三日くらいで退院できたらしいけれど。
唉呀,不过他们三天左右就出院了。
僕はそんな怪異に、後部座席から思い切り抱きつかれたのだった……一瞬だったから、それに、ある程度の抵抗は無視できるとは言え、ゴールデンウィークとは違ってブラック羽川は、パジャマではあるが、きちんと服を着ていたから──瞬間で精根吸い絞られるとまでは行かなかったが、しかし、こちらもこちらで、薄着だったからな……とんでもないダメージを受けた。折角回復したはずの体力が、あっという間に消失してしまった。
我被那种怪异,猛然地从后座来一个熊抱……因为只有短短一瞬间,而且那招能够无视某种程度的抵抗,然而现在的黑羽川和黄金周时不同,身上有穿着衣服(虽然是睡衣),因此我的能量没被她瞬间吸干;可是,我现在身上穿的也是单薄的衣物,所以元气大伤。刚才好不容易才恢复的体力,瞬间就蒸发殆尽。
エナジードレイン。
能量吸取。
しかし敢えて言わせてもらう。
可是我敢说一句话。
倒れて悔いなしと!
就算倒下,我也无怨无悔!
「……………………」
あんまりこういうことばっかり言ってると、そろそろ本気で誤解されそうな気もしてきた……誰に慮るというわけでもないけれど、しかし、あれはあれで戦場ヶ原の奴、やけに勘がいいところがあるしな……。
要是一直说这种话,我可能真的会被人误会……虽然我没必要顾虑别人在想什么,不过战场原那家伙,别看她那个样子,第六感可是很神准的……
用心に越したことはない。
一切小心为上。
「あ、わかった。人間、お前、ご主人のおっぱいが気持ちよ過ぎて悶絶したんだにゃ!?」
「啊!我喵道了。人类,你因为主人的肉弹太舒服,所以窒息昏倒了吧!」
「僕も馬鹿だがお前も相当な馬鹿だな……」
「我是一个白痴,不过你也挺白痴的……」
自分の能力を把握していないのか。
难道她不知道自己的能力吗。
障り猫のエナジードレインは直接接触タイプの常時発動型だから、猫自身の意思とか関係ないんだよな……。
障猫的能量吸取是直接碰触型的常驻能力,所以和猫本身的意志无关吧……
「まあ人間、お前がそこまで望むんにゃら、条件さえ折り合えば、このおっぱい、揉ましてやってもいいんにゃ」
「喵呦人类,如果你这么想摸的话,只要条件谈得拢,我可以让你揉一下这两颗肉弹喔。」
「ご主人の貞操を売ろうとするな、この色ボケ猫」
「别把你主人的贞操拿来卖,你这魅猫。」
「一回につき一カツオブシにゃ」
「揉一次,一片鲤鱼干。」
「安っ!」
「好贱价!」
羽川翼の貞操、安っ!
羽川翼的贞操,好贱价!
もしも本当にそんな値段だというんだったら、僕は前払いで六十年の専属契約を結ぶぞ!
如果真的是这种价格的话,我马上就用预付的方式,和你签下六十年的专属契约!
「にゃにおう。だったら一マタタビ……いや、一キャットフードにゃ!」
「什么嘛。不然一个木天蓼……不,一罐猫罐头!」
「単位を幾ら変えても無駄だ、一という数字の方からまず離れろ! それともお前は一までしか数を数えられないのか!」
「就算你换东西也没用,你要先离开『一』这个数字才行!还是说你只会数到一而已!」
うーん。
嗯——
変な感じだ。
好奇怪的感觉。
つい最近とも言えるゴールデンウィーク、それこそ命懸けで戦った相手と、こんな風に普通に会話をしている……。
黄金周可说是不久前的事情,现在我居然可以和当时拼得你死我活的对手,像这样普通地聊天……
怪異は──所詮、接し方次第ということか。
怪异的态度……取决于你对应的方式吗?
対応……なんだよな。
对应……是吗。
「俺を馬鹿扱いしやがって、にゃんだか不愉快な奴にゃ……こうにゃったら、人間、どっちがより馬鹿か、勝負にゃん!」
「你居然把我当成笨蛋,让我喵点不愉快喔……既然这样,人类,我们就来比谁比较笨吧喵!」
「そんな非生産的な勝負、したくねえ!」
「那种毫无意义的比赛,我才不想比勒!」
「勝負種目は将棋にゃ!」
「比赛的项目是将棋!」
「馬鹿と馬鹿が将棋で真剣勝負したら、目もあてられねえショボさになるぞ!」
「两个笨蛋要是真的用将棋来决胜负的话,那个场面可能会逊到让人不堪入目吧!」
将棋。
将棋。
ルールは誰でも知ってるけど極めるのは難しい競技という意味では、この国では恐らく野球と並ぶだろう。
一种任何人都知道规则,却很难玩得好的竞技——从这个层面来看,在这个国家恐怕可以和棒球相提并论吧。
「んー。じゃあ、こういうのはどうにゃ。ストップウオッチで、先に一秒ジャストで停めた方が勝ちというゲームにゃん!」
「嗯——那这样怎喵样?我们拿一个马表,看谁刚好停在一喵钟谁就赢了喵!」
「地味ぃー!」
「好朴素!」
というか。
应该说,
それで知力は測れまい。
那样测不出智商吧。
僕は、倒れた自転車を起こす……さすがはママチャリ、よくわからない丈夫さがある、この程度ではカゴが歪む程度で、どこも壊れていない。
我拾起倒地的脚踏车……不愧是菜篮车,坚固到莫名其妙的地步,这点程度的撞击只能让它的菜篮歪掉,其他地方毫发无伤。
「じゃ、チャリはどっかその辺に停めて、二人で歩いて探すってのが、よさそうだな……ペースは落ちるけど、じっくり探すって意味じゃ、そっちの方がいいだろ」
「那菜篮车我就随便找个地方停,我们两个人用走的去找人比较好……速度上虽然会比较慢,不过用走的可以找得比较仔细。」
「にゃ」
「喵。」
「こう暗くなってくると、人の眼じゃ、金髪っていう探しやすさが、意味をなくしてくるからな……期待してんぜ」
「周围变得这么暗,就算金发很醒目,用人的眼睛还是看不太清楚……就靠你啦。」
「期待されてやるにゃん」
「包在我身上喵。」
僕は自転車を押しながら、歩き出した。ブラック羽川はその後ろをついて……いや、僕を追い越して、先導するように、前を歩き始めた。本当に頭の悪い猫だ……動くものを見ると追い越したくなるという本能なのかもしれない。
我牵着脚踏车,迈出步伐。黑羽川跟在我身后……不对,她超越了我,开始往前走,有如在前导一般。这只猫真的很笨……一看到会动的东西就会想要超过他,这或许是本能吧。
猫と怪談は切り離せない──らしい。
猫和怪谈……似乎密不可分。
その意味では、化け猫は一番わかりやすい怪異と言えるのだろう──吸血鬼を除けば、僕がこれまでかかわってきたあらゆる怪異の中で、一番メジャーであるのは確かだ。まあ、化け猫というくくりならともかく、障り猫という個体識別名は、ゴールデンウィークまで、僕なんかは寡聞にして知らなかったけれど。
从这层意思上来看,妖猫可说是一种最浅显易懂的怪异吧——除了吸血鬼以外,我至今遇到的各种怪异中,猫确实是最主流的一种。唉呀,妖猫这个总称姑且不论,障猫这个单独个体名在黄金周之前,孤陋寡闻的找可说是从未听过。
うーん、でも、どうだろうなあ……、パジャマ姿のブラック羽川を連れ歩くって、客観的に見たら、どうなんだろうなあ……。うら若き猫耳の乙女を連れ歩く男子高校生……一体どういう風に見えるのだろう。まさか猫耳を本物だと思う人はいないだろうし、パジャマ姿で歩いているのは下着姿に較べれば全然マシだけれど……一旦学習塾跡に帰って、帽子と上着を取ってきた方がいいのかな。
嗯——可是该怎么说呢……现在我带着穿睡衣的黑羽川走在路上,从客观的角度来看,会是什么感觉呢……一个高中男生带着涉世未深的猫耳女走在路上……看起来到底会像什么样子啊。应该不会有人觉得猫耳是真货吧,而且穿睡衣也比只穿内衣裤好上几百倍……不过我看还是回旧补习班一趟,拿一下帽子和外套比较好吧。
でも、猫に限らず、ケモノに服着せるのって至難の業だよな……今、パジャマを脱がずにいること自体、奇跡のようなものなんだし……。
可是,要让野兽穿衣服是非常困难的事情,这点不只限于猫……现在她没把睡衣脱掉,已经可以算是奇迹了……
まあいいか。
算了,没差吧。
今更気にするのはよそう。
事到如今也无须在意。
後輩のスター、神原駿河と腕を組んで歩いているのがもう噂になってしまっているんだ、今更、猫耳の美少女を連れて歩いているくらいの噂が流れたところで、大して変わらない。神原や八九寺ならまだしも、千石辺りと遭遇してしまったときの言い訳が大変そうだが、そうなってしまえば、もうなるようになれだ。今は、忍を見つけることが、何よりも最優先である。
我和二年级的明星——神原骏河挽着手走在街上的事情,已经谣言满天飞了,现在再多一条带着猫耳美少女走在街上的谣言,我也不痛不痒。神原和八九寺倒是还好,待会要是遇到千石的话,要解释黑羽川的事情似乎会花上一番功夫,但既然事情已经演变成这样,那就听天由命吧。眼前的当务之急,是把忍找出来。
心配なのは羽川の名誉の方だけれど、パジャマはぎりぎり私服に見えなくもないレベルのものだし、眼鏡は外しているし、髪型も違うし、何より髪が黒から白に変わってるんだ、事情を知らなければ誰もこいつが羽川だとは思わないだろう。染めても抜いても、ここまで色が綺麗には変わるはずがない。また、表情も全然違うしな……。僕だってゴールデンウィークに、初めてこのブラック羽川を見たときは、誰だかわからなかった。かろうじて腰の形で──いや、羽川が僕の命の恩人だったからこそ、なんとか正体を見抜けたようなものだ。
我比较担心的是羽川的名誉问题,不过她身上的睡衣,看起来勉强可以算是便服,而且眼镜也拿掉,发型也不一样了,最重要的是发色还从乌黑变成了雪白,不知道前因后果的话,肯定没有半个人会觉得这家伙是羽川吧。不管是染是拔,发色都不可能白得如此彻底。还有,她的表情也判若两人……就连我在黄金周初次遇见黑羽川时,也认不出她是何方神圣.我是勉强用腰的形状——不对,因为羽川是我的救命恩人,所以我才有办法看穿黑羽川的真面目。
それに。
而且,
これもまた──羽川翼なのだ。
眼前的她……也是羽川翼。
もう一人の羽川。
另一个羽川。
表裏一体の、裏側だ。
表里一体,表里当中的里层。
「おい人間」
「喂!人类。」
前方から、ブラック羽川が言った。
黑羽川在前方开口说。
「俺は今、どんにゃことをしにゃければにゃらにゃいんだったかにゃん?」
「我现在要做什么事情啊喵?」
「………………」
猫並みの知能……。
智商跟猫一样……
本当にこいつをアテにしていいのだろうか……。
这家伙真的靠得住吗……
しばらく行ったところに、本屋があった──この間、羽川と一緒に参考書を買いにきた、この町一番の大きさを誇る書店。まだ営業時間なので開いている……買い物をするわけでもないのに駐輪をするのは心苦しかったが、やむをえない。自転車はここに置いていくことにしよう。
走了一段路后,我们来到了书店——以本地最大为豪、之前我和羽川一起来买参考书的书店。现在是营业时间所以店门还开着……没进去光顾就把脚踏车停在这里,实在让人有点过意不去,但我情非得已。脚踏车就放在这边吧。
そして再出発。
接着,我们再度出发。
忍の匂いは、まだない。
忍的味道,现在还闻不到。
……そういえば、猫の嗅覚が人間よりも鋭いだろうことは想像がつくけれど、実際に数値に置き換えると、それはどれくらいになるのだろう……? 犬ほどじゃないんだよな、多分。
……这么说来,猫的嗅觉比人类敏锐这点我可以想象,但要是换算成实际的数值,究竟是多少呢……?应该比不上狗吧。
「おい人間」
「喂!人类。」
「なんだ化け猫」
「干么?妖猫。」
「お前さ、俺とバトったあとも、色々あったらしいじゃにゃいか──俺らとよ」
「你和我打完之后,好像又发生了许多事情吧?和我们。」
「……なんだ、忍野に聞いたのか?」
「……啥啊,是忍野告诉你的吗?」
見張りをしつつ、話していたのか。
他在看守的时候说的吗?
あいつらしいと言えばあいつらしい。
真要说的话,这的确很像他的作风。
お喋りだもんなあ。
因为他是大嘴巴嘛。
「ああ。蟹と、蝸牛と、猿と、蛇だ」
「是啊。有螃蟹、蜗牛、猿猴和蛇。」
「鵺6だにゃ!」
「是鵺吗?」
「猿と蛇だけに反応するな……蟹と蝸牛はどこに行ったんだよ。っていうか、思いついたことをそのまんま言うな」
「不要只对猿猴和蛇有反应……螃蟹和蜗牛跑哪去啦。还有,你不要脑子里想到什么就说什么啦。」
羽川のイメージがガンガン悪くなっていく。
羽川给人的印象越来越恶化了。
あいつの知性の片鱗でも見せて欲しい。
真希望你这只猫可以让我看看她的知性面,就算是一点也好。
「そして僕は──鬼だ」
「然后我是……鬼。」
「ふん。にゃ」
「嗯。喵。」
ブラック羽川は言う。
黑羽川说。
「人間──お前らが怪異と呼んでいる俺らのことだけどにゃ……お前はどういう風に考えているんにゃ?」
「人类……你们称呼我们为怪异……关于这一点你怎喵想啊?」
「どういう風にって……」
「我怎么想……」
やっぱり、さすが夜行性のことだけあって、夜に話すと、多少は話が通じるな……。前回もそういうところはあったけれど──でも、やっぱり、根本的なところは変わらない。
猫不愧是夜行性动物,晚上说话似乎多少可以沟通……上次也有这种情况——可是,最根本的地方还是没有改变。
どういう意味の質問なのだろう。
这个问题到底是什么意思?
文意がどうにも曖昧だ。
文意上实在暧昧不清。
「いや、もしも、人間、お前が俺らに慣れたつもりでいるんにゃら──そこは一咬みしといてやらにゃきゃいけにゃいと思ってにゃあ。怪異は怪異、人間は人間──にゃ。一緒にはにゃらにゃいにゃ。何があっても相容れにゃいにゃ」
「不是,要是你自以为已经和我们很熟的话,那我就要咬你一口才行喵。怪异是怪异,人类是人类……喵。不能混为一谈喵。不管发生什么事情,我们都是水火不容的喵。」
「よく……わからねえな。お前、僕に何を言おうとしてるんだ?」
「我……听不太懂。你到底跟我说什么?」
「わからにゃいのはお前の頭が悪いからにゃ」
「听不懂是因为你太笨啦,喵。」
「お前に言われたら誰に言われるよりも傷つく!」
「这话从你嘴巴里头跑出来最伤人了!」
「ふっ。これが文字通り傷だらけの……にゃ? うーん、にゃんだろう」
「哼。你这句话真的是伤痕累累的……喵?喵——怎喵说的来着?」
「何も思いついていないなら勢いで喋ろうとするんじゃねえ! うまいこと言えない奴がうまいこと言おうとしている図ほど痛ましいものはこの世にはないんだよ!」
「要是你什么都没想到的话,就不要乘着兴头乱说话!不会说话的人还想要说好听的话,这世界上没有比这画面还要更让人心痛了!」
話が一向に進まない。
对话完全没有进展。
そもそも、何の話をしていたのだっけ。
说到底,我们现在到底在说什么来着?
「要するに、怪異に慣れるなんて無理って話か? まあ、その辺りは、実感していることでもあるよ……一匹ごとに、いちいち格好悪くおたおたしちゃってよ……情けない限りだ。忍野みたいにゃ、いかねえさ」
「简单来说,要习惯怪异是没办法的事情吗?这一点我自己也有实际的体会啦……我每次遇到的时候都会很狼狈,慌慌张张地不知道该做什么才好……实在是没出息到了极点。没办法像忍野那样。」
忍野メメ。
忍野咩咩。
専門家──妖怪変化のオーソリティ。
专家——妖怪变化的权威。
考えてみれば、不思議だ。あいつはどうやって、あの道に足を踏み入れたのだろう──僕はあいつの背景を、ほとんど知らない。そう言えば、神道系の大学に通っていたとか、そういう話だっけ……けれどそれも、どこまで鵜吞みにしていい経歴なのか、わかったものじゃない。あいつは割と、その場のノリや思いつきで噓をついてしまう人間だ。
现在想想,还真是不可思议。他到底是怎么踏进这一行的——我对他的背景几乎一无所知。这么说来,他好像说过以前是读神道系的大学来着……可是,那个经历到底有多少可信度,我也搞不清楚。他是那种会看心情,想到什么就随便乱说的人。
「いや、俺が言いたいのはそういうことじゃにゃくてだにゃ──たとえば人間、お前、あの吸血鬼が失踪した理由とか、想像つくのかにゃ?」
「不是,我想说的不是那个喵。比如说人类,你能想象那个吸血鬼失踪的理由吗喵?」
「……全然」
「……完全想不到。」
「だろう? つまり、お前はその程度にしか、俺らのことをわかってにゃかったってことだにゃ。……それこそ、多分、あのアロハには、おおよその察しはついてると思うのにゃん。あいつは──弁えているからにゃ」
「对吧?也就是说,你对我们只有那点程度的了解。我想那个夏威夷衫大概已经猜到了吧喵。因为……那家伙知道。」
「弁えて──」
「知道——」
「分を、弁えて、にゃ」
「知道自己的身分,喵。」
「………………」
下手に手を出すと──火傷する。
随便乱出手……就会吃到苦头。
そういうことなのだろうか。
是这个意思吗?
僕の場合、手どころか、首を出したのだから、それなら本当に始末に負えないということになる。波に攫われるままに右往左往しているだけで──慣れたなどと、言えるわけもない。
别说是手,我连脖子都伸出去了,如果事情真如她所说,那我已经吃不完兜着走了。我只不过是被浪卷走,顺着浪头随波逐流而已——根本称不上是习惯了。
まして──忍が相手となれば。
更何况,对方是忍。
伝説の吸血鬼──貴族の血統。
她是传说中的吸血鬼,有贵族血统。
「お前──忍野から、僕と忍のことを聞いたのか? 僕と忍の関係を、ちゃんと理解して、そういうことを言っているのか?」
「你……从忍野那边,听到了有关我和忍的事情吗?你是清楚明白我和忍之间的关系,才说那种话的吗?」
「そこまでは聞いていにゃいにゃ──聞いたかもしれにゃいけれど、もう忘れちゃったにゃ。少にゃくとも理解はしていにゃいにゃん」
「我没听到那么详细的地步……可能有听到啦喵,不过我已经忘啦。我应该有最低限度的理解啦喵。」
「適当だな、おい」
「你的说法还真随便啊,喂。」
「適当でも、概ねわかるにゃ──おっと、『おおむね』と言ってもそれはご主人のおっぱいのことじゃにゃいんだぞ!」
「随便归随便,大致上的情况我还是知道喵……喵呦,我说『大致上』可不是在说主人的肉弹喔!」
「…………」
知性の欠片も感じさせないギャグだ……。
这个玩笑我实在连半点知性美都感觉不到……
エロいっていうか下品なだけだ。
要说是黄色笑话,倒不如说是低级笑话比较贴切。
「怪異のことは怪異が一番よくわかる──にゃんったって、俺らは同じだからにゃ」
「怪异的事情,怪异最清楚了——因为,我们都一样喵。」
「同じ……」
「一样……」
怪異としての種類は、大分違うと思うけれど。
我觉得以怪异的种类来看,你们差很多就是了。
人外ということでは同じ──否、そうでもない。
虽然同样是「非人之物」……不对,也不见得是如此。
「怪異として──同じ」
「一样是……怪异。」
「難しいことを言ってるんじゃにゃいにゃ──俺はどうせ、難しいことは言えにゃいしにゃん。いいか、人間──そもそも、その怪異って言葉が、全てを表しているんにゃよ」
「我不是在说什么难懂的事情喵——反正那种困难的东西,我也不会说。你听好了,人类,打从一开始怪异这个词,就已经说尽了一切。」
ブラック羽川は言う。
黑羽川说。
「怪異──怪しくて異にゃるもの、にゃ。人間とは違うもの──だからこそ、俺らは慣れられてしまっちゃあおしまいだにゃ。そうにゃってしまえば、怪しくもにゃいし異にゃってもいにゃい。俺らは、信じられ、怖れられ、怖がられ、疎まれ、奉られ、敬われ、嫌われ、忌まれ、願われにゃくてはにゃらない──だからこそ存在しうるんにゃ」
「怪异——就是奇怪而异常之物,喵。和人类不一样的东西。正因为这样,要是人类习惯我们,那我们可就完蛋啦喵。如果变成那样,我们就不奇怪也不异常了。我们必须被信仰、被畏惧、被害怕、被疏远、被供奉、被尊敬、被厌恶、被忌讳、被祈求才行——就是因为这样,我们才会存在。」
「………………」
「慣れられるだにゃんて──とんでもにゃい」
「要是被人习惯,那就太不象话啦。」
友達感覚で接しられたら、いい迷惑にゃ──
要是被当成朋友对待,会让我们很困扰的。
と、ブラック羽川はまとめた。
黑羽川总结说。
なんだか、釘を刺されたような気分だ。しかし、言われてみればその通り……僕自身が半分以上、怪異そのものへと変貌していたこともあって、その辺りの境界が曖昧になっていたかもしれない。過剰に意識することも問題だが──まるっきり意識しないことも、また問題なのだ。
我总觉得她是在叮咛我。可是她说的确实没错……我自己曾经有一半以上变成怪异过,两者的分界因而变得暧昧不清。过度去意识他们会产生问题;但若完全不去管他们,也同样会跑出问题来。
忍を。
我是不是把忍——
ただの子供として、扱っていたのではないか?
当成了普通小孩在对待呢?
僕は──いつの間にか。
不知不觉间,
『人』とは称さない。
我虽然不称呼她为「人类」,
けれど──そう思っていたんじゃないのか?
但是在心中,是不是一直认为她是普通的小孩呢?
「え……でも、ちょっと待てよ、お前……ひょっとしてだけど、だから、か?」
「咦……可是,等一下,你……该不会想说这就是理由吧?」
「にゃ?」
「喵?」
「僕が忍を、そういう風に認識してしまったから──怪異としての忍が姿を消してしまったということなのか?」
「因为我那样看待忍的缘故,所以身为怪异的忍才会消失不见?」
吸血鬼。
しかし──吸血鬼もどき。
但是……她现在是类吸血鬼。
それは、アイデンティティに関する問いかけだ。
那是一个有关身分的问题。
奇しくも忍野は言っていた、自分探しの旅と。
神奇的是忍野也有说过:小忍踏上寻找自己的旅途。
今の忍には──自分が認識できないのか?
现在的忍,无法认识自己吗?
自分で自分が──わからない。
她不知道自己是谁。
「そうかもしれにゃいし、そうじゃにゃいかもしれにゃい。そんな深いところまではわからにゃいにゃ──俺らは同じだけれど、また別のものでもあるからにゃ。ただ、人間、これだけは憶えておいた方がいいにゃ……にゃんだっけ?」
「或许是,又或许不是吧喵。那喵深入的地方我不清楚——我们虽然一样,不过是不同种的东西喵。可是,人类,你最好记住这一点……是哪一点来着?」
「お前が忘れてんじゃねえかよ」
「连你自己都忘了吗!」
「そうそう、思い出したにゃん。人間。俺らは当たり前のようにそこにいるものだけれど──いることが当たり前だと思われた瞬間に、ただの現実とにゃってしまうということにゃ」
「对了对了,我想起来啦喵。人类。我们是很自然地存在于此——但是如果我们的存在被认为是一种理所当然的话,就会变成普通的现实喵。」
鬼は──ただの血液異常に。
鬼只是……普通的血液异常。
猫は──ただの多重人格に。
猫只是……普通的多重人格。
蟹は──ただの病気に。
螃蟹只是……普通的病。
蝸牛は──ただの迷子に。
蜗牛只是……普通的迷路小孩。
猿は──ただの通り魔に。
猿猴只是……普通的拦路魔。
蛇は──ただの疼痛に。
蛇只是……普通的疼痛。
怪異は──ただの現実になる。
怪异……会变成普通的现实。
「結局のところ、科学万能の世の中に、怪異の入り込む余地はないって、ああいうつまらない言い方をすることになってしまうってことか?」
「到头来,你是想说这个科学万能的世界中,没有怪异的容身之处,所有的东西都可以用那种无聊的说法来解释啰?」
「違うにゃ。それまでの形じゃいられにゃいというだけで──俺らはいつでもどこにでもいるにゃん。お前達、人間がいる限りにゃ」
「不对喵。只是不能以至今的型态继续存在罢了——我们是无时无刻、无所不在的喵。只要有你们人类存在。」
「そうやって──人間と共に歩んできたか」
「你们一路上……就是那样和人类一起定过来的吗?」
「そういうことにゃ」
「没错喵。」
そういうことらしい。
似乎是这样。
障り猫──だ。
障猫。
「しかしそれにしても──全然匂わにゃいにゃ」
「不过话说回来……我完全闻不到耶喵。」
「ん? ああ、忍の匂いな……痕跡もないのか?」
「嗯?啊,忍的味道吗……没有半点气味吗?」
「特徴的にゃ匂いだから、あったらすぐにわかるはずにゃんだけど……にゃあ人間、本当にあの吸血鬼は、外に出たのか?」
「她的味道很特别,要是闻到我马上就会喵道啦……我说人类,你确定那个吸血鬼真的外出了喵?」
「うん……それは間違いないと思う。少なくとも一回は、目撃されてるからな」
「嗯……这点我想错不了。至少,她有被人目击到一次。」
「そうか。外に出た振りをして、あの廃墟の中に潜んでいるという線は、にゃいのか……」
「是吗。她会不会假装外出,其实是潜伏在那栋废墟里头啊……?」
「お前にしちゃ頭を使ったな……その発想はなかった」
「以你来说,这个脑筋动得不错嘛……我都没有想到呢。」
「一旦外に出たけれど、またあの建物に戻ったという線は? あそこはあの吸血鬼の匂いが充満しているから、まぎれることが可能だにゃ」
「有没有可能她出去之后,又回到那栋建筑物里面?那里都是那个吸血鬼的味道,有可能会分辨不出来。」
「さすがにそれなら、忍野が気付くはずなんだが……」
「如果是那样的话,忍野应该会发现吧……」
まぎれる──か。
味道分辨不出来……吗。
……ん、今、何か、思いつきそうになったが……なんだっけ? わからない……おいおい、これじゃあ、この化け猫のことを、とやかく言えないじゃないか。本当に、どちらがより馬鹿かという勝負になってしまう。
……嗯,我刚才好像想到什么事情……是什么来着?我不知道……喂喂,这样的话,我不就没资格批评这只妖猫了吗。这样真的会变成在比赛谁比较笨了。
猫並みの知能か、僕は。
我的智商跟猫一样吗。
えーっと。
这个嘛……
「ああ、そうだ──じゃあ、一度、忍が目撃された地点に、先に行ってみようか。コースは外れちゃうけれど、ミスタードーナツに……そこから、忍の匂いを追えばいい」
「啊,对了——那我们先到忍之前被目击到的地方去吧。虽然会偏离路线,不过只要从 Mister Donut 那边……去追忍的味道就好。」
「うーん。匂いを追うって感じじゃにゃいんだよにゃ──俺の場合、厳密には匂いの薄い濃いで判断してるわけじゃにゃいからにゃ」
「嗯——追味道这个说法感觉有点奇怪——严格来说,我不是靠味道的浓度来判断的喵。」
「そうなのか?」
「是吗?」
「実を言うと、あの建物から抜け出して、俺は最初、単独であの吸血鬼を追おうとしたんにゃ──だから、多分、そのミスタードーナツって店のそばにも、行っていると思うんにゃ」
「老实说,溜出那栋建筑物后,我刚开始原本打算自己去找那个吸血鬼的……所以,那问叫作 Mister Donut 的店大概我也有去过吧。」
「なんだよ。そんな大事なことは早く言えよ」
「搞屁啊。那么重要的事情你早点说嘛。」
コースの変更が必要じゃないか。匂いを探るという方法を取るならば、一度探したところを探しても意味がない。
这样就没必要变更路线了。如果要用味道追人,找过一次的地方再去就没意义了。
「すまん、忘れていたにゃ」
「抱歉,我忘啦喵。」
「………………」
同じコースを執拗に何度も何度も繰り返して巡る必要を切実に感じた。
我现在深切地觉得,我们有必要将同样的路线,反反复覆不停定个几趟。
「でも……匂いは途中で、ぷっつり途切れてたにゃ」
「可是……她的味道途中就突然消失了。」
「途切れて──」
「消失——」
「追うのが無理ににゃったってことにゃんだが……だから人間、質問にゃ。あの吸血鬼は、今、どのくらい吸血鬼としての能力を発揮できるんにゃ? 消えたり現れたり、影ににゃったり闇ににゃったりできるんにゃら──はっきり言って、俺には見つけることはできにゃいにゃん」
「也就是说,我没办法追到她的人喵……所以人类,我要问你。那个吸血鬼现在能发挥出多少吸血鬼的能力喵?要是她能神出鬼没,或者是化身成影子或黑暗的话,老实说我没办法找到她。」
「吸血鬼としての能力っていうなら、ほぼ発揮できないと考えてもらっていいよ。今のあいつはその能力のほとんどを制限されているし──よしんば発揮できるとしてもそれは僕がそばにいるときに限っての話だ。今週の頭に血を飲ませたから、ある程度の活動はそりゃ可能だろうけれど、僕がそばにいなければ、ただの──」ただの、子供だ。
「吸血鬼方面的能力,你可以当作她几乎完全无法使用。现在的她,能力方面几乎都受到了限制——就算她能使用,也必须要待在我身旁才行。这个礼拜一我才刚喂她喝过血,所以她能进行某种程度的活动,可是如果我不在她身边的话,她就只是一个只是一个普通的小孩。
怪異ではなく。
不是怪异。
現実──だ。
而是……现实。
でも、そういう認識が──間違っていたのか。
但是这种认知……是错误的吗。
「ふうむ。だとすれば……」
「嗯——这样一来的话……」
ぶつぶつと呟く、ブラック羽川。
黑羽川小声呢喃。
無駄に頭を使っているらしい。
她似乎在浪费自己的脑力。
「しかし、そう考えると、あんまり……」
「可是这样想的话,实在太……」
「なんだよ。一人で考えるなよ。人間の世界にゃこういう諺があるんだぜ? 三人よれば文殊の知恵ってな──」
「干么啊。你不要一个人思考啊。在我们人类的世界有这么一句成语:『三个臭皮匠胜过一个诸葛亮』。」
「ほう。文殊とは何にゃ」
「喔?诸葛亮是什么东西?」
「………………」
何だろう?
是什么东西呢?
知らずに使っている言葉だった。
我知其然,而不知其所以然。
「そもそも、俺らは三人じゃないにゃん」
「而且,我们又不是三个人,喵。」
「まあ、そりゃそうだが」
「是没错啦。」
「一人と一匹──にゃ」
「是一个人和一只猫……喵。」
ブラック羽川はそう言った。
黑羽川说。
二人、ではなく──一人と一匹、と。
不是两个人,而是一个人和一只猫。
一までしか数を数えられないから──ではないだろう。
这不是因为……她只会数到一的缘故吧。
「ともかく──人間。こうにゃってくると、あの吸血鬼は一筋縄じゃ見つからにゃいんじゃにゃいかと思うにゃん」
「总之……人类。事到如今,我想用普通的方法是找不到那个吸血鬼的喵。」
「町の外に出てる可能性か? しかし、さっき言ったことの逆の側面ってことだけれど、今のあいつは、僕からそこまで離れて活動することは──」
「她有没有可能已经离开城镇了?可是,刚才我说的话反过来想想,现在那家伙的活动范围,没办法离我那么——」
厳密には、できない──わけじゃない。
严格上来说……也不是不行。
ただ、それをやると、存在できなくなってしまう可能性があるということだ。
只是那么做的话,她的存在有可能会灰飞烟灭。
「吸血鬼が血を吸う意味──にゃ」
「吸血鬼吸血的意义……喵。」
「は?」
「嗄?」
「吸血鬼は、人の血を吸う──しかし、食料として吸うときと、仲間を作るために吸うときとでは、その意味合いが違うにゃ」
「吸血鬼会吸食人血——可是,填饱肚子的吸血和制造同伴的吸血,两者的意义是不一样的。」
「…………」
それは知っている。
这点我知道。
春休みに、聞いた──しかし、この猫、なんでそんなことを知っているんだ? 猫並みの知能の癖に……ああ、そうか、知能と知識は違うんだ。羽川とブラック羽川は、知能に格差はあれど、知識はあくまでも、ある程度のレベルで共有しているということなのだろう。
我在春假的时候有听过——可是,这只猫怎么会知道那种事情?明明智商就跟猫一样……啊,原来如此,智商和知识是不一样的。羽川和黑羽川在智商方面虽有差距,但在知识方面却有某种程度的共通吧。
「あるいは、だからこそ逃げたと言うことも、できるのかもしれにゃいにゃ──」
「或许也可以说,就是因为那样她才会逃走的吧喵——」
「あん? どういうことだ?」
「啊?那是什么意思?」
「……鈍感な奴にゃん」
「……你真是迟钝。」
呆れたように、ブラック羽川。
黑羽川一脸惊愕地说。
「鈍感て、何だよ」
「我哪里迎钝了?」
「察しの悪い奴だと言ってるんにゃ」
「我说你察觉力很差喵。」
「まあ、確かに察しのいい方ではないが……」
「我的察觉力的确不算好啦……」
「サッシの立てつけが悪い奴だと言ってるんにゃ」
「我说你这扇金属窗框关不紧喵。」
「いや、僕、窓枠じゃねえし」
「我又不是窗框。」
「あの吸血鬼は、春休みとやらに自分と知り合ってから、次から次にのべつ幕なし7に、お前が俺らとかかわり続けてるのを見て、いい気分とは言えにゃかったんじゃにゃいかと言ってるんにゃ」
「那个吸血鬼,从那个叫春假的时候和你认识之后,就一直看着你和我们不停扯上关系,我想她的心情应该不是很好受吧。这就是我想说的。」
「色々な怪異、お前も含めて色々な怪異と並列されることによって、自身の特異性が薄れていったという意味か? だから、あそこにい続けられなかったって──」
「你的意思是说,她因为被拿来和包括你在内的怪异排在一起,自己的特异性逐渐变淡了?所以她才没办法继续待在旧补习班——」
「鈍感、にゃ」
「你真是迟钝。」
ブラック羽川は繰り返した。
黑羽川重复说道。
鈍感……なんだか、嫌な言葉だ。
迟钝……总觉得,这句话让我有点反感。
「ケモノは、死期を悟ると人前から姿を消すというが──吸血鬼もそうにゃのかにゃ?」
「听说野兽在察觉到自己的死期之后,会从人前消失不见——吸血鬼也是这样吗喵?」
「縁起でもないことを言うなよ」
「别说那种不吉利的话。」
「怪異に向かって、縁起でもにゃいこと、とか言われてもにゃあ。しかし、お前、このまま、吸血鬼が見つからにゃかったら、どうするんにゃ?」
「在怪异面前,哪有什么吉利不吉利的。不过,要是之后找不到吸血鬼的话,你要怎么办?」
「どうするって……そりゃ、困るよ。羽川は元に戻らないし──」
「什么怎么办……那样我会很伤脑筋的。而且羽川也会无法复原——」
「問題にゃのは、しかし、そこだけだろう? 俺のご主人のことを除けば──お前にとって、あの吸血鬼はもう、いにゃくにゃっちまった方がいいんじゃにゃいのか?」
「问题只有那里吗?扣掉我主人的事情不谈……对你来说,那个吸血鬼最好是消失不见比较好吗?」
「…………?」
何を言ってるんだ?
这只猫在说什么啊?
意味がいまいちわからないが。
意思我有点听不太懂。
「お前が中途半端に吸血鬼の匂いを残しているのは、あいつが存在するためにゃんだろう? 血を飲ませるとか、にゃんとか──言ってたじゃにゃいか。つまり、もしもここで吸血鬼の存在が消えてしまえば、お前はただの人間に戻れるんにゃ」
「你身上还残留有不完全的吸血鬼味道,那是因为她的关系吧?你刚才不是有说过喂她喝血之类的吗。也就是说,要是那个吸血鬼就此消失的话,你就能够变回一个普通的人类。」
鬼は──ただの人間に。
能够从吸血鬼——
戻れる。
变回普通的人类。
忍を見捨てさえすれば。
只要弃忍于不顾。
「そんなこと──できるわけないだろ。あいつを見捨てるなんてことは、僕にはできない。僕は──」
「那种事情……我不可能做得到吧。我没办法丢下她不管。我——」
羽川が恩人なのだとすれば。
倘若羽川是我的恩人,
忍は僕の被害者だ。
忍就是我的被害者。
「あいつには、殺されたって文句は言えないんだ。それだけのことを、した」
「我就算死在她手上,都不能有半句怨言。我犯下的罪孽就是如此地深重。」
「そんにゃこと言って、本当は不死身の肉体を手放すのが惜しいだけじゃにゃいのか?」
「说的那么好听,其实你只是舍不得放弃不死之身吧喵?」
「それは違うよ」
「那你就错了。」
僕は言った。
我说。
「あいつが明日死ぬのなら、僕の命は明日まででいい」
「要是那家伙明天就死去,我的生命也可以在明天就画下句号。」
「……ふん。にゃるほどにゃ」
「……嗯。原来如此喵。」
それは感情移入にゃ。
那是一种感情栘入喵。
と、ブラック羽川は言う。
黑羽川说。
それは、そう言われれば、その通りだろう──僕からの一方的な感情だ。忍にしてみれば、それこそ迷惑、鬱陶しいと思われていても仕方がない。
或许她说得没错吧——那是我单方面的感情。站在忍的角度来看,她会觉得困扰或是讨厌也是无可厚非的。
あるいは、だからこそ──
或许就是因为这样——
忍は出て行ったのかもしれない。
忍才会离开也说不定。
「それに、猫、お前のその仮定は前提が成り立たないぜ。お前のご主人のことを除くなんて、あり得ない話だ。悪いがお前には、ずっと奥に、引っ込んでおいてもらわないと──ゴールデンウィークの二の舞だけは御免だ」
「而且,猫,你的假设前提不成立。扣掉你主人的事情不谈?那是不可能的。不好意思,我必须要请你回去,永远都不要再出来了——我可不想重蹈黄金周的覆辙。」
そうか。しかし人間──それは決して、あり得にゃい仮定じゃにゃいんだぞ? 吸血鬼に頼らにゃくても、俺を奥に引っ込める方法はあるにゃ」
「这样啊。但是人类,那不是绝对不可能的假设喔。有一个方法就算不用依靠吸血鬼,也可以让我回去。」
「……? あるのか?」
「……?有吗?」
そんな方法が……?
有那种方法吗……?
短期間でそれができるなら──望むところだが。
如果短时间之内做得到的话,那倒是正合我意。
十日が限度──つまり、最悪でも前と同じように、九日以内に解決に導くことができれば、それでよしとできる。
以十天为限——也就是说,最糟的情况下只要和上次一样,在九天以内解决这件事情即可。
「それこそ、ゴールデンウィークのときにもあったことじゃにゃいか。俺はご主人のストレスの権化にゃん──つまり、ストレスの大本が解消されれば、俺もまた消えるのにゃ」
「黄金周的时候不也是一样吗喵。我是主人压力的化身——也就是说只要解决压力的根源,我也会消失喵。」
「ふうむ……」
「嗯……」
前回、この障り猫が、羽川の両親を、エナジードレインで入院に追い込んだ際、わずかな間だけ、羽川としての意識が戻っていた──それは、彼女のストレスが少なからず、そのことによって緩和されたからだろう。結局、溜まりに溜まっていたストレスはそれだけでは済まず、ブラック羽川はすぐに戻ってきてしまったのだが──
上次这只障猫,用能量吸取把羽川的双亲送进医院之后,羽川曾经短暂恢复意识过——那是因为她的压力,藉由那样而得到大幅纾解的缘故吧。不过羽川经年累积的压力并没有因此而抒发完,最后又马上变回黑羽川了。
ストレスの大本──か。
压力的根源……吗。
「それは、忍野も考えてたみたいだけれど……そのストレスの大本を突き止めている時間がないだろうが。今回は、家族のことじゃないって感じみたいだし──」
「这一点忍野也有想过……可是我们没时间去找压力的根源吧。感觉上这次不是因为家人的关系——」
「突き止める必要がどこにあるにゃ? 俺が知っているにゃん」
「有必要去找吗喵?问我不就知道了。」
「……あ、そっか」
「……啊,对喔。」
うっかりしていた。
我太大意了。
こいつが羽川のストレスの権化だというなら、そのストレスの正体、それにストレッサーは、こいつ自身が誰よりも、本人である羽川よりも、詳しく知っているということになるのだ。だからこそ、こいつはまず、羽川の両親を襲ったわけだし──
既然这家伙是羽川压力的化身,那她应该比任何人都还要清楚——甚至比羽川本人清楚——那精神压力的真面目以及压力源。就是因为这样,这家伙之前才会第一个拿羽川的父母开刀。
「いや、猫、それでもまだ問題は残るぞ。ストレッサーが判明したところで、僕らにはそれを解消する術がない。そこから先は羽川本人の問題になってしまうから──」
「不对,猫,这样还是有问题。就算我们知道压力源,也没办法去消除它。因为那是羽川本人自己的问题——」
他人に他人の悩みを解決できるわけがない。
烦恼无法经他人之手,只能靠自己解决。
羽川の両親のことも──僕にはどうしようもない。
羽川双亲的事情……我无能为力。
他の悩みだって、同じことだ。
其他的烦恼也是一样的。
「そのストレッサーが何だったとしても……まあ、それが何かは、気になるところではあるけれどな。タイミングから見て、進路のことなのかな? そう言えば本屋でも、進路の話をしているときに、頭痛がしていたみたいだし──迷いはないみたいな感じだったけど、案外内心では──」
「不管那个压力源是什么……唉呀,是什么我是有点在意啦。从时间点来看,应该是未来出路的事情吧?现在想想,之前我们在书店聊到未来的事情时,她的头就开始痛了。当时她的外表看起来没有犹豫,不过内心其实——」
「進路のことじゃにゃいにゃ」
「不是未来出路的事情喵。」
「そうなのか?」
「是吗?」
「それに──この悩み、このストレスは、お前にゃら簡単に解決することができると思うにゃ」
「而且……这个烦恼,这个精神压力,我觉得你可以轻松解决喵。」
「簡単?」
「很简单?」
「簡単にゃん」
「很简单喵。」
「簡単なことで羽川が悩むか? いや、簡単だからこそってこともあるのか……ん? しかし、猫、お前ならって、そりゃどういう意味だよ」
「羽川会因为简单的事情而烦恼吗?不对,有些事情就是因为简单才会烦恼……嗯?不过,猫,你刚才说『我可以轻松解决』,那是什么意思啊?」
僕にできるなら──誰にでもできるだろう。
我做得到的话,任何人都做得到吧。
しかし、それこそ誰にでも解決できるようなことで──羽川が悩むだろうか? 僕にできることが、羽川本人にできないわけがないはずで──
但是,羽川会因为一件任何人都能解决的事情……而心烦吗?我做得到的事情,羽川本人没理由做不到——
ふと、右手首の時計を確認する。
我偶然看了一下右手的手表。
更に時間は経過していた。
夜又更深了。
さすがに、戦場ヶ原はもう学校から帰っているだろう──しかし、仕事を家に持ち帰るつもりみたいなことを言っていたから、大変なのはむしろこれからのはずだ。羽川の抱えていた仕事を処理できるのは、考えてみれば、うちのクラスでは実力的に戦場ヶ原だけなのか……頭に猫耳を生やした状態でも、やはり羽川の人選に間違いはなかったということらしい。
这个时间战场原再怎么样,也应该从学校返家了吧——不过,她好像说过要把工作带回家做之类的,所以真正辛苦的可能是从现在开始吧。能够处理羽川手边工作的人,仔细想想我们班上只有战场原有那种能耐吧……就算羽川的头上长出猫耳,在人选方面似乎也不会出错。
人選ねえ。
人选啊。
しかし、もしそうだとすれば、僕をクラスの副委員長に据えたことは、やっぱり人選ミスだよな……そのせいで、羽川の仕事量はほとんど倍に増えているようなものなんだから。まあ、あいつなら、仕事量が十倍になったところで、余裕でこなしてしまうのかもしれないけれど──
但假设真是这样,她提拔我当班上的副班长,实在是所选非人啊……因为这样,羽川的工作量几乎等于倍增了。唉呀,如果是她的话,就算工作量变成十倍,她也能轻松完成吧。
「いやにゃあ、人間。俺のご主人」
「真是的喵,人类。我的主人——」
ブラック羽川は若干、歯切れ悪そうに言った。
黑羽川有些支支吾吾。
「お前のことが、好きにゃんだにゃん」
「她喜欢你啊喵。」
「……あ?」
「……嗄?」
「だから、お前がご主人と恋仲ににゃってくれりゃあ、俺は引っ込むことができると思うんだが──にゃ? どうした?」
「所以,我想只要你和主人交往,我就会消失吧——喵?你怎么啦?」
「………いや」
「…………没事。」
僕は歩みを停めた。
我停下了脚步。
というか──思考も停まった。
应该说……我连思考也停住了。
なんだそりゃ?
那是什么鬼?
「それはどういう冗談だ? 僕だって全てのボケに突っ込めるってわけじゃないんだぞ……つうか、冗談だとしても、悪質過ぎるぞ。この世にはついていい噓とついて駄目な噓が──」
「你那是哪一国的玩笑?我也不是什么话都可以吐槽的喔……还有,以玩笑来说,那也太过恶质了吧。这个世界上有些谎可以说,有些谎不能——」
「馬鹿だにゃあ、人間。俺に噓をつけるような頭があると思うのか?」
「你很笨耶,人类。你觉得我有那种脑袋可以说谎吗?」
「………………」
ねえよなあ。
的确没有。
つくとしたらもっとマシな噓をつく、というお決まりの台詞は、正直言ってあまり好きじゃないのだが(こちらがそう思うことを見込んでつかれる噓というのもあるだろう)、この場合、そもそも噓をつく能力が障り猫には備わっていない。噓をついたことがない──と、羽川は言っていたけれど、それとは真逆の意味である。
如果要说谎的话,我会编得更好——老实说,这句惯用句我不是很喜欢(有时候对方就是看准你会有这种想法,才会撒那种谎的),但是这个情况下,障猫本身就不具备说谎的能力。我从来没说过谎——羽川曾经这么说过,不过障猫的情况是完全相反。
障り猫に噓はつけない。
障猫是不会说谎。
だとすれば。
既然这样,
「で、でも……猫、そりゃ、噓じゃないとするんなら、お前の勘違いだよ。そんなことが、あるわけがない」
「可、可是……猫,如果那不是谎话的话,就是你搞错了。不可能有那种事。」
「どうしてそう思うにゃ? 俺がご主人のことを誤解するわけがにゃいにゃん。他にゃらぬご主人のことにゃんだからにゃ」
「为啥你会这样想?我不可能误解自己的主人吧喵。因为她是我最重要的主人喵。」
「羽川は……」
「羽川她……」
誰にでも見境なく優しい。
她对任何人都很温柔。
相手が駄目な人間であるほど、同情する。
对方越是不中用,她就会越同情他。
だから──僕なんかに。
所以……她才会对我那样。
それに──春休みも。
而且……春假的时候也是。
「お前にわかるのは、ストレスに関することだけのはずだろう? いや、知識は共有しているんだろうけれど、引き出せる知識と引き出せない知識が、そこにもあるはずだ。ありえないよ、羽川が、なんて──」
「你知道的只有和精神压力有关的事情吧?不对,就算你们的知识是共有的,应该有些部分可以自由运用,有些则不行。那是不可能的,羽川她为什么——」
いや。
不对。
でも、いつか、戦場ヶ原に、鎌を掛けられたことがあったか──あの当時の、自己防衛意識と危機意識の集合体のようだった戦場ヶ原がああいう風に鎌を掛ける以上、そこには何らかの根拠があったのではないか?
可是,有一次战场原好像有套过我的话——当时,战场原就像是自我防卫意识和危机意识的集合体,她会那样套我的话,就表示她已经从某处看出端倪了吧?
「だからよお」
「所以啊喵,」
と、出来の悪い子供に計算機の使い方を教えるような口調で、ブラック羽川は言う。
黑羽川的口吻,彷佛在教导不成器的小孩如何使用计算器一样。
「それこそがストレスだって言ってんだよ──ご主人はお前のことが好きにゃのに、お前は別の相手と付き合ってんだろ? そして、それをまざまざと──見せ付けている」
「那就是精神压力啊——主人喜欢你,可是你却和别人交往了对吧?然后,你还在她面前炫耀。」
「………………」
一ヵ月前くらいから──頭痛。
羽川说——
そう言っていた。
她从一个月前开始……头痛。
今から一ヵ月前といえば──そうだ、母の日だ。
说到一个月前——是的,母亲节。
僕と戦場ヶ原が、付き合うことになった日──そして、羽川は、その当日に、その事実を、知っていた──
我和战场原开始交往的日子——然后,羽川在那一天知道了这个事实。
知らないことはない──委員長。
无所不知的班长。
何でも知っている。
她什么都知道。
「しかし、羽川はそんな素振り──むしろ、僕と戦場ヶ原のことを、応援してくれてる感じっつーか、相談に乗ってくれたり──」
「但是,羽川的表现……感觉好像很支持我和战场原在一起,而且还会听我商量事情——」
「だからこそどんどんストレスが溜まっていったんだにゃ。お前よ、ご主人の性格で、略奪愛にゃんてできると思うのか? 公明正大、清廉潔白、何よりも和を重んじる──他人のために自分が犠牲ににゃることを当然だと思っているのにゃ。おくびにも出すわけがにゃいんだにゃん」
「就是因为那样,她的精神压力才会不停累积。我说你啊,你觉得以主人的个性,她会横刀夺爱吗?她光明正大、清正廉洁、凡事以和为贵,觉得为了别人而牺牲自己是很理所当然的事情喵。她绝对不会把自己的心情表露出来的喵。」
愛は惜しみなく奪うもの──
爱就是毫不保留地夺取。
けれど。
但是,
それができない者もいる。
也有人做不到。
じゃあ、僕は、そんな人間に対して、相談を持ちかけて、応援してもらっていたというのか──?
那意思就是说,我一直以来都是和那样的人在商量烦恼,让对方为我加油吗……?
神原のときもそうだったし、そうだ、本屋のときも、進路のことじゃなく、むしろ、話は戦場ヶ原のことで──僕が戦場ヶ原のために、進学を選ぼうとした話をして──
神原的时候也是一样,对了,在书店的时候不是因为未来出路的事情,而是因为话题转到战场原身上——我告诉她自己为了战场原而想要升学……
頭痛はとどまることを知らず──
最后,她的头痛没有停止的迹象——
どんどん酷くなる一方。
反而不停恶化。
「………………」
気分が──悪い。
我的心情,很糟糕。
僕はなんてことをしてしまったんだ……?
我到底做了什么蠢事……?
けれど、そんなの、気付けるわけがない……羽川が、なんて……あの女が本気で自分の感情を隠そうとしたなら、それは、戦場ヶ原でさえ、わかるわけがないのだ。
但是,那种事情我不可能会注意到……羽川她实在太厉害了。因为要是她真的要隐藏自己的感情,就连战场原也察觉不到吧。
でも。
可是,
鈍感──か。
迟钝……吗。
じゃあ、進路のことも……忍野の影響というのも勿論あるだろうが、それは羽川翼の、壮大な失恋旅行とも、考えられる──羽川が頭痛を催したのは、進路の話をした、その直後だ。
这么说来,出路的事情也一样……忍野的影响当然不容忽视,但是那个决定也可以解释成是羽川翼宏伟的失恋之旅——在说完未来出路的事情之后,羽川马上就开始头痛了。
そして。
然后,
あいつは、あのとき、目を閉じて、僕に唇を──
她在那个时候,闭上了眼睛向我献出嘴唇——
「いつから──だ?」
「从什么时候开始的?」
「春休みからだにゃ。俺が現れるよりも前のことににゃるから、心の機微とかはよくわかんねーけど、常に逼迫した環境に生きていたご主人にとって、人間と吸血鬼の物語は、いかにも荒唐無稽で、自身の置かれている立場を打破してくれるパワーを持っていそうにも見えただろうにゃ」
「从春假的时候。比我出现的时间还要早,所以主人心中的微妙之处我也不太懂啦喵;可是对一直生活在紧绷环境下的主人来说,人类和吸血鬼的故事简直是荒谬无稽,似乎让她觉得当中有一种力量,能够让她打破自己身处的立场吧喵。」
「打破なんて──」
「什么打破——」
そんなこと。
那种事情。
僕はあのとき、一杯一杯で──
我那个时候,根本无暇顾及——
「でも、まるっきり兆候がにゃかったというわけじゃにゃいと思うにゃん。ご主人は、そういうところ、ほとんど完璧だったけれど──話が恋愛関係だったから緩むところもあったんだろうにゃ。お前、おかしいとは思わにゃかったのか? 真面目一徹の委員長が、副委員長にお前みたいにゃ奴を選ぶか? それは普通に考えれば人選ミスだろうにゃ」
「可是,我觉得也不是完全没有征兆吧喵。主人虽然隐藏得很完美——但是,她在恋爱方面还是有些地方太松懈了吧。你不觉得奇怪吗?认真顽固的班长,为什么会选像你这样的人来当副班长?一般来看,那应该是所选非人吧。」
「あ……いや」
「啊……不是。」
人選ミスだけど。
的确是所选非人。
でも、それには理由があった。
不过那是有理由的。
「お前を不良と思い込んで更生させようとしたというのは、理由ににゃってるようで、あんま理由ににゃってにゃいようにゃ気がするにゃあ?」
「因为主人认定你是不良少年,想要让你改过自新——这种说法算是理由,但是好像不成理由喔喵?」
「それは──」
「那是——」
あのとき──四月の初め、羽川は、多少はあった反対案を、半ば強引に押し切るように僕を推薦し、副委員長に任命した──
当时——四月初,羽川不顾班上零星的反对意见,半强硬地推荐我当上副班长——
その人選は、少なからず、クラスから反発を買ったはずだ。僕は当事者だからそうは思わなかったし、『責任のある立場につけば人間は成長する』といった羽川の言葉を鵜吞みにしていたけれど、そういった権力による力押しを、そういえば、羽川は何より嫌ったはずではなかったのか──
这个人选决定,应该多少会受到班上同学的反弹吧。我是当事人所以不会那么认为,对羽川的说法:「责任会使人成长。」也全部照单全收。不过现在想想,羽川应该最厌恶那种,靠权力去向人施压的事情吧。
「じゃあ、どうして」
「那又是为什么?」
「お前と少しでも一緒にいたかったからに決まっているにゃ。三年生前半の委員長副委員長と言えば、高校生活最後の文化祭を、一緒に準備することににゃるもんにゃあ……まあ、そういったアピールが続いたのも、一ヵ月前までにゃ。ご主人にゃりに、ちょっとずつ、ちょっとずつ積み重ねていた恋愛は──そこで終わった。にゃはは、いや、そこからが本番だったというべきにゃのかにゃ?」
「当然是因为主人想要多跟你在一起啊喵。三年级上学期的班长和副班长,可以一起准备高中生活最后的文化祭喵……不过呢,主人的那种攻势也只持续到一个月前为止喵。一点一滴慢慢累积的爱……在一个月前结束了。喵哈哈!不对,应该说是从那个时候才正式开始的吧喵?」
「………………」
あのとき羽川は──喜んでくれた。
那时候,羽川她……为我高兴。
そう思っていた。
我是这么认为的。
けれど──それも、噓か。
但是,那也是谎言吗?
噓なんかついたことがない──違う。
我从来没说过谎——才怪。
だとすれば、お前の言うことは噓ばっかりだ、羽川翼──!
如果黑羽川说得没错,那你的话全都是谎话啊,羽川翼!
「正直、俺に言わせりゃ、ご主人の油断もあったと思うんだよにゃあ。ご主人は、ライバルの出現にゃんて、まるで予想だにしてにゃかったんだから。ゴールデンウィークにご主人がそうされたように、お前が誰にでも優しいということを知っていれば──自分と同じように、お前に救われる人間も出てくるということを考えてさえいれば、賢いご主人のことにゃ、もっと早く手を打っていたはずにゃん。そこへ行くと、お前が今付き合ってる女は電光石火だったよにゃあ?」
「老实说,真要我说的话,我觉得主人也太大意了。因为主人完全没想到会有情敌出现。就像在黄金周时你为主人做的一样,要是主人可以早点知道你对任何人都很温柔的话——要是能够早一步想到会有人和自己一样,因你而获救的话,聪明的主人应该早就做好对策了吧。说到这点,现在和你交往的那个女生,动作简直就是迅雷不及掩耳吧?」
「確かにそうだな……」
「的确是这样没错……」
戦場ヶ原は──迷わなかった。
战场原她……毫不犹豫。
決意をすると、一気に攻めて来た。
一旦下定决心后,就一鼓作气攻了过来。
普通なら引くくらいの手際で、だ。
用那种普通人会退避三舍的方法。
「冷めた家庭に育った女の子。彼女が春休みに衝撃的な出会いをした、非日常の存在は同級生だった。運命的なものを感じる。ほのかに募る恋心。そして今度は自らの命を助けられ──恋は確信へと変わる。とか。にゃはははは、にゃんつって、これが少女漫画だったにゃら、確実にご主人が主人公にゃのに──見事にというか、無様にというか、とんびに油揚げを攫さらわれた格好にゃ」
「主人是在冷淡家庭中长大的女孩。她在春假,冲击性地遇见了超常的同学,因而感觉到命运的存在。爱情一点一滴地累积。然后这次换自己被对方所救——她转而确信了自己心中的爱。之类的。喵哈哈哈哈!这如果是少女漫画的话,主人肯定就是女主角了——是那个女人厉害呢,还是主人输得太难看呢,煮熟的鸭子就这样被人家抢走了。」
「先制攻撃にかけて、戦場ヶ原の右に出る者はいないから──スタートが遅れたことなんて、あいつにとっちゃハンデにもならないだろう」
「在先发制人方面,没有人能够赢得了战场原——所以就算起跑慢了点,对那家伙也不会有任何的影响吧。」
あるいは──
或者是——
戦場ヶ原は、羽川のそういう気配を、僕に鎌を掛けてくる程度には気付いていたからこそ、あの母の日、あれほど性急とも言えるような速さで、ことを進めたのかもしれない。そう考えれば、戦場ヶ原が羽川に対して置いている、変な距離の説明がつかなくもない──でも。
战场原向我套话时已经察觉到羽川喜欢我,所以在母亲节才会用那种可说是猴急的速度,向我告白吧。若这样来看,也能够说明为何战场原会对羽川,刻意保持一种奇怪的距离,可是……
それは戦場ヶ原が悪いわけじゃない。
那不是战场原的错。
そんなこと、そもそも勝負じゃないのだ。
爱情本来就不是谁输谁赢的问题。
「ま、どうだったとしても後の祭りにゃ。ご主人は人のものを盗れるような性格ではにゃいのに、純粋にゃ、少女漫画みたいにゃ恋愛だったはずが、ただの横恋慕に早変わり。仕舞いには横恋慕、岡惚れ……そういう自分に罪悪感を覚える始末にゃ」
「喵,不管怎样都为时已晚了。主人在个性上不会去抢别人的东西,原本像是少女漫画般纯洁的恋爱,最后摇身一变成了一种不正当的爱。最后她开始对那种不正当的爱、无法说出口的单相思……产生罪恶感。」
「真面目な──奴だから」
「因为她是一个……很正直的人。」
千石の件のときにあったような、惚れた腫れたの話を、躊躇なく実践できる奴じゃない。だからといって都合よく、自分の中で折り合いをつけられる人間でもない。自分自身に対して、妥協や譲歩ができる人間ではない。
碰到那种爱来爱去的事情(像千石那时候一样),羽川不是那种会毫不犹豫就付出行动的人。但是她也不是那种会在心中,巧妙地和自己妥协的人。她不是那种会对自己妥协或让步的人。
「後悔もあっただろうにゃ──自分がもっと早く告白していれば、とか。でも、そんにゃ早い者勝ちみたいにゃ話じゃにゃいのは事実だし、そんにゃ風に考えること自体が、卑小で、滑稽で、つまらにゃい人間だにゃ──」
「主人大概也很后悔吧——如果自己能够早点向你告白的话,之类的。不过那种事情不是谁先出手谁就赢的问题,人类就是因为会有那种想法,所以才显得卑微、可笑、无趣啊喵——」
でも。
可是,
そんなことは、おくびにも出さず。
她不把自己的心情表露出来。
応援してくれ──相談に乗ってくれ。
还替我加油,替我出主意。
そうだったのか。
原来是因为这样吗?
応援してくれているときも、相談に乗ってくれているときも、あいつはいつだって、自分のことを言っていたのだ──
所以她不管是替我加油的时候,还是出主意的时候,总是会有自己的想法。
男女間の機微に関して一家言あるのは当然だ。
男女之间的微妙之处,她会有自己独到的见解是很正常的。
あいつ自身が、恋する女の子だったなら──誰よりも、戦場ヶ原の気持ちが、あいつにはわかったのだろう。
假如她自己也是恋爱中的女性——她应该会比任何人都还要明白战场原的心情吧。
「まあ、そうだったからこそ、お前はゴールデンウィークのときも、ご主人のストレスのトリガーににゃったんだろうけどにゃ。お前にだけは知られたくにゃかったのかも──にゃ」
「喵呦,就是因为这样,你在黄金周的时候,才会变成主人压力爆发的一个契机吧。大概是因为主人不希望你知道她家里的问题吧……喵。」
「じゃあ──」
「那——」
必要なときにそこにいる──どころか。
我根本不是在必要的时候陪在她身边——
僕はあのとき、もっとも必要とされていない、邪魔な人間だったということだ。
那个时候,她根本就不希望我陪伴,我在她身边只会给她添麻烦。
「鈍いお前はご主人の好意にも葛藤にも気付く気配もにゃく、ご主人のストレスは溜まりに溜まる一方──まあ俺に言わせれば、一ヵ月、よく持った方だと思うにゃん」
「迟钝的你,完全没发现主人的好感和内心的挣扎,让主人的精神压力不停地累积——喵呦,要我说的话,真亏主人还能够撑一个月呢喵。」
「いや、猫、ちょっと待てよ。それって──おかしくないか? 確かにお前の言う通り、僕がストレスの原因だったとして──」
「不对,猫你等一下。那样是不是……有点奇怪?假设你说得没错,我是她形成精神压力的原因——」
ゴールデンウィークのようにトリガーであったというだけでなく──そのもの羽川の内腑をえぐる弾丸だったとして。
就算这次我跟黄金周时一样,变成了一个契机——不仅如此,这次我还成了搅动羽川内脏的一颗子弹……
「それだけではお前は出てこないだろう? 僕のことはあくまでも一部であって、他にも有力なストレッサーが──」
「光是这样你不会出现吧?我的事情充其量只是其中一部分,还有其他更强大的压力源——」
「違うにゃ。お前のことだけにゃ」
「你错了喵。只有你而已。」
ブラック羽川は、きっぱりと断言した。
黑羽川干脆地断言说。
「少なくとも家族のことは──ゴールデンウィークで、ご主人の中では、ある程度決着がついているにゃん。お前にはわからにゃいことかもしれにゃいけれどにゃ」
「至少家庭方面的事情——黄金周的时候,在主人心中已经有某种程度的解决了喵。这点或许你不知道吧。」
「でも、それなら、おかしいじゃないか。お前は羽川が、家族のことでずっと積み重ねてきたストレスの権化なのだろう? そのお前が──たかが数ヵ月の恋愛のことで」
「可是,那样不是很奇怪吗。羽川因为家庭问题一直以来不停累积压力,而你是那股压力的化身吧?你怎么可能因为充其量不过几个月的恋爱就——」
「たかが?」
「充其量?」
猫の眼が──妖しく光る。
黑羽川的猫眼……发出了奇异的光芒。
苛立ちを隠そうともせずに。
毫不隐瞒自己的焦躁。
「十数年積み重ねてきた家族の苦しさが、数ヵ月募らせた恋愛の切にゃさに劣っちゃいけにゃい理由でもあるのかにゃ?」
「为什么数个月累积而成的恋爱烦恼,就一定会输给数十年累积下来的家庭痛苦?理由何在?」
これまでの私の人生はあんまり幸福とは言えないものだったけれど……だからこそ阿良々木くんと知り合えたのだと考えると、それを、全部、チャラにしてもいいと思えるのよ。
就如同你所知道的一样,我至今的人生称不上是幸福……可是就是因为这样,我才能够认识阿良良木你,一想到这一点,我想过去的不幸都能够一笔勾销了
不幸だったからこそ、阿良々木くんの気を引けたというのなら──それで、よかったと思うの。
就是因为不幸,才能够吸引你的注意的话……我想就算不幸又何妨呢。
戦場ヶ原の言葉だ。
这是战场原说过的话。
けれど──でも。
但是,可是——
そんなことが、本当にあるのか……?
真的会有那种事情吗……?
「わかんねーってツラしてるにゃあ、人間。……お前、ひょっとして、真剣に人を好きににゃったこととか、ねーんじゃにゃいのか?」
「你的嘴脸看起来一脸莫名其妙啊,人类……你该不会从来都没有认真去喜欢过一个人吧?」
「なっ……!」
「什……!」
「今、その女と付き合ってることだって、ただ単に押し切られただけじゃにゃいの? だとしたら、さっさと別れて、ご主人と付き合ってやればいいにゃん。そうすれば、俺は消えるし。どうせ、お前は相手にゃんて誰でもいいんだろ?」
「现在你和那个女人交往,单纯只是因为对方硬逼你的关系吧?既然这样,你赶快和她分手,跟主人交往就好啦。那样一来我也会消失。反正你不管对方是谁都无所谓吧?」
「…………」
ここはあるいは、怒るべき場面だったのかもしれない──こうも露骨に挑発されて、黙っているべきではなかったのかもしれない。実際、相手が、羽川翼の形でさえなければ──僕だってそうしていただろう。
或许这里我应该生气才对——遇到这种露骨的挑衅,我不应该沉默以对吧。事实上,如果对方不是羽川翼的话,我恐怕就已经勃然大怒了。
でも──それを言うのが羽川だから。
可是……因为说这话的人是羽川。
僕には、怒る資格はないように思えた。
让我感觉自己没有生气的资格。
「……でも、それはできないよ、猫」
「……可是,那种事情我做不到,猫。」
「ああん? どうしてにゃ? お前、ご主人のこと、恩人だと思ってるんじゃにゃいか──だったら、ここは、その恩義に報いるべきところじゃにゃいのか? にゃんだかんだ言って、結局は恩よりも自分の恋愛の方が優先か?」
「啊啊?为什么喵?你不是把主人当成恩人吗——既然这样,这边应该是你回报主人恩情的时候吧?说来说去,到头来自己的爱情还是优先于恩情吗?」
「それをやると──羽川に、恩に対して付け込ませることになってしまう。羽川にそんなことはさせられない。……いや、違うな。これは都合のいい言い訳だ。単純に、僕の戦場ヶ原に対する気持ちを偽ることはできない。噓なんかついても、羽川にはどうせお見通しだろ?」
「要是我那样做的话,就会害羽川假借报恩之名,行趁人之危之实。我不能强迫羽川做那种事情……不,不对。这样只是我自私自利的借口。其实单纯只是因为,我没办法改变自己对战场原的心情。我要是说谎的话,羽川一定会看穿吧?」
僕は噓をつくのも下手だし、隠し事も下手だ。
我不擅长说谎,也不擅长隐瞒事情。
薄くて弱い。
肤浅又脆弱。
羽川を騙すことは、したくてもできない──勿論、したくなんてないけれど、できることならしたいという気持ちも、ないではないが、でもできない。
就算我想骗羽川也没办法——当然,我根本不想欺骗她,倘若有那个本事的话,我也想骗一次看看啦,可是我还是做不到。
「僕が我慢すればいいって話じゃない。そればっかりはどうにもならないこと──なんじゃないのか。羽川だって、そんな僕と付き合うのが──」
「这不是我委屈一点就能解决的事情。这种事情是无可奈何的吧。羽川也不会想和那样的我——」
「そうかあ? 実際、今、俺が、ご主人の気持ちをお前に伝えたことで、俺の存在は、ちっと薄くにゃったぜ──確実にストレスは解消されているにゃん。ご主人だって、底の底まで綺麗な部分で出来てるわけじゃにゃいにゃ。裏には俺がいるように。案外、さらっと、気にせずに楽しくやれるんじゃねーの? 最初は心苦しいかもしれにゃいけど、慣れりゃどうってことねーかもしれないにゃん」
「是吗?说实话,刚才我把主人的心情告诉你之后,我的存在稍微变淡了一些——压力确实得到了消解。主人也不是从头到尾都是一个完美的人。就像她的内心还有我一样。搞不好主人会和你相处得很融洽,不会去介意那些喔?刚开始内心或许会有点过意不去,可是只要习惯了也没什么了不起吧,喵。」
「慣れればって──お前がそれを言うのかよ。そんな単純な問題だったら、羽川は、お前を生み出すほどに、悩まなかっただろう? 誰かを押しのけてまで自分を優先できる奴じゃない。自分を他人より優先できる奴じゃない。そんな羽川だから──僕は恩を感じてるんだ。母の日以前なら、多分、応えたと思うよ。僕が羽川のことを友達として憎からず思っていたのは確かだ。でも、今はもう、無理だよ。僕の気持ちは、戦場ヶ原に向けて、完全に固まってしまっている。恩よりも恋愛の方が優先かと訊かれたが──どちらかを優先することなんて、できないよ。ダブルバインドだ。だから、羽川を選ぶことはできない」
「什么只要习惯的话……你怎么会说这种话。如果是那么单纯的问题,那羽川就不会烦恼到让你跑出来的地步吧?她不是那种会去排挤对方,让自己优先的人。也不是那种会优先考虑自己的人。就是因为羽川是这样的人……我才会觉得她有恩于我。如果是在母亲节之前的话,我大概已经回应她的心情了吧。我对羽川这个朋友确实有好感。可是,现在我做不到。因为我的心,已经完全放在战场原身上了。你刚才问爱情是不是优先于恩情——我没办法让其中一方优先啊。这是一个进退两难的问题。所以,我不能够选择羽川。」
普通、あの二人だったら、羽川さんの方を選ぶんじゃないか──と、八九寺は言った。どうして阿良々木さんは羽川さんじゃなくて戦場ヶ原さんとお付き合いなされているのか、ふと、不思議に思ってしまいました──と。
如果是那两位的话,通常都会选择羽川姊姊才对——八九寺曾经这么说过。她还说:为什么阿良良木哥哥会选择和战场原姊姊交往,而不是羽川姊姊呢,我突然觉得很不可思议。
どうして。
为什么?
そんなことを訊かれても。
要是有人这样问我……
「僕はあの性格を含めて──戦場ヶ原のことが、好きなんだ」
「我就是连同战场原的那种个性在内,全部都很喜欢。」
文末まで、きちんと言った。
句末,我断然地说道。
そう。
没错。
全部好きだ。
我全部都喜欢。
好きじゃないところはない。
没有不喜欢的地方。
「生まれて初めて、真剣に人を好きになったんだよ」
「我这辈子第一次认真喜欢上一个人。」
「ふうん。そうかにゃ」
「嗯——这样啊喵。」
あっさりと──ブラック羽川は退いた。
黑羽川很干脆地……退让了。
僕の答が最初からわかっていたかのように。
彷佛一开始就知道我的答案似的。
そうかもしれない──こいつは羽川なのだから。
也许是吧——因为这家伙就是羽川。
全部、お見通しなのかもしれない。
她可能已经看透一切了。
何でも知っている。
她无所不知。
いや──何でもじゃないのか。
不对……也不是无所不知。
知っていることだけ、だ。
只是刚好知道而已。
「それにさ、猫──たとえ、十数年積み重ねてきた家族の苦しさに、数ヵ月募らせた恋愛の切なさが匹敵するとしても……それでも、羽川は、お前を出すべきじゃなかったんだよ。頭痛は、是が非でも、我慢するべきだったんだ。今回のことだけじゃない、ゴールデンウィークのときだって──お前に頼ったのは、羽川の弱さなんだ」
「而且啊,猫。就算数个月累积而成的恋爱烦恼,可以和数十年累积下来的家庭痛苦匹敌……羽川还是不应该让你跑出来吧。头痛,她不管怎么样都应该忍耐下来才对。不只是这一次,黄金周的时候也一样……羽川会依赖你,是因为她太脆弱了。」
薄くなくとも──弱いは弱い。
就算她不肤浅,还是一样很脆弱。
願った結末──ではなくとも。
就算这不是她所希望的结果——
頼った弱さは、加害者のそれだ。
去依赖怪异的脆弱,反而让她成了加害者。
「さっきの言葉は、お前じゃなくて羽川が僕に言うべき言葉だった──苦しい役目をお前に押し付けたに過ぎない」
「刚才那些话,应该是要羽川亲口告诉我,而不是由你代言——她只不过是把痛苦的工作推给你而已。」
千石の蛇のとき。
就像千石的那一次——
僕が神原にしたように。
我对神原做的事情一样。
苦渋の決断を先延ばしにして──他人に委ねる。
把痛苦的决定先摆在一边……交给其他人来决定。
それはただの──いいとこ取りだ。
那样只是一种自私的行为。
「障り猫──怪異。けれど、その怪異が現れた理由は羽川の弱さにある。望んだから与えられたんじゃなくとも──お前から与えられたものは、羽川の欲していたものだった。お前がやったことは羽川のやったことだ。勿論……羽川にだって理由はある。それに、どちらの件でも少なからず責任の一端を担っている以上、僕が言っていいようなことではないけれど──同じ環境でだって、怪異に頼らず自分ひとりでその環境を生き抜いている奴もいるはずさ。羽川がお前みたいなのに頼ったのは、そういう連中に対する冒瀆だ」
「障猫是怪异。可是,怪异出现的原因是因为羽川太脆弱了。你不是因为羽川有求才赐予她……可是你给羽川的东西,全部都是她想要的东西。你做的事情都等于是羽川所为。当然……羽川也有自己的理由。不管理由是什么我多少都有一点责任,所以我也没资格说什么啦——可是在同样的环境下,也有些人不用去依赖怪异,靠自己独力在大环境中活了过来。羽川去依赖像你这样的东西,对那些人来说是一种冒犯。」
「言うじゃにゃいか」
「说的真好听。」
ブラック羽川は、僕を揶揄するように、嘲る。
黑羽川有如在挪揄我一般,讥笑说。
「まあ、お前にはそれを言う資格はあるんだろうよ──言っていいようにゃことにゃんだと思うにゃん。お前は、こともあろうか、我が身を犠牲にして瀕死の吸血鬼を助けてしまうくらいの、お人よしにゃんだからにゃ」
「唉呀,你有那个资格吧——我觉得你可以那么说啦喵。毕竟你是那种,不惜牺牲自己也要去救濒死吸血鬼的滥好人嘛,喵。」
「…………」
「誰にでも優しいっていうのは、特別な人間がいにゃいってことだにゃあ──ご主人も誰にでも優しかったから、俺にはそれがわかるにゃ。ふん。じゃあ、まあ、仕方にゃいか。人の気持ちを変えることはできにゃいにゃ──それは前回、よく学んでいるにゃ。学んで──懲りているにゃん」
「能够对任何人温柔,是因为你心中没有一个特别的存在——主人也是一样对谁都很温柔,所以我能够明白喵。嗯。那就没办法啦喵。人类的心意是无法改变的——这是我上次学习到的东西喵。学习到……也尝到了苦头。」
「そりゃ助かるよ」
「那可就太好了。」
ならば、結局は忍を探すしかないということだ。
既然这样,最后我们还是只能去找忍。
都合のいい方法など、あるわけがない。
不可能会有什么轻松解决的方法。
「しかし……やっぱり、羽川もそうなのかな。だとしたら、さっきみたいに、責めるようなことをいうのは酷なのかもしれないな……」
「可是……其实羽川也是一样吧。如果真是那样的话,刚才我那样骂你,可能太过分了也说不定……」
「あん? 何の話だにゃ?」
「嗄?你在说什么?」
「いや、その話だよ──僕って、まあもどきとは言え、吸血鬼みたいなところがあるだろ? で、吸血鬼の特性に魅了ってのがあって……それで春休み以降、僕は女の子にモテモテになっているって話。羽川から聞いたんだぜ、だからお前も知っているだろう」
「就是那个啊——我有些地方很像吸血鬼吧?虽然只是类吸血鬼啦。然后吸血鬼的特性中有一种叫作夺魄的能力……所以我在春假之后,就一直很受女生欢迎。这是羽川告诉我的,所以你应该也知道吧。」
「知識は共有していても、記憶を共有しているわけじゃないにゃ。お前が言った通り、俺にわかるのはストレスに関することだけにゃん」
「我和主人的知识是共有的,不过记忆可不是。你刚才说得对,我知道的只有和精神压力有关的事情。」
「ああ、そうだっけ」
「啊,对喔。」
でも──羽川と会った段階で、僕は吸血鬼だった。それも、もどきでもなんでもない、人間に戻る以前の、正真正銘の吸血鬼時代だ──魅了とやらの効力も、今の比ではないだろう。羽川は、もろにそれに、当てられてしまったはずだ。
可是……我遇到羽川的时候还是吸血鬼。而且是还未恢复成人类的正牌吸血鬼,不是类吸血鬼——那个叫夺魄的能力,效果大概不可同日而语的吧。羽川理当完全中了我的夺魄吧。
「羽川は真面目な奴だから、それで思いつめちゃったっていうんなら、百パーセント被害者だよなと思ってさ──」
「羽川是一个很认真的家伙,要是因为那样害她苦恼的话,那她就是百分之百的被害者了啊——」
「………………」
「どうした? 急に黙り込んで」
「你怎么了?干么突然安静下来。」
「いや──それは違うにゃ」
「不是的……你错了喵。」
ブラック羽川は言った。
黑羽川开口说。
「確かに、吸血鬼の特性に魅了ってのがあるのは本当だけれど──それが使えるのは純粋にゃ吸血鬼の中でも、限られた種だけにゃ。だから、そもそも、お前みたいに人間から吸血鬼ににゃったパチモン8の吸血鬼には、魅了は使えにゃいにゃ」
「吸血鬼的确有一种特性叫作夺魄——但是能用那个能力的,就算在纯种吸血鬼里头,也只有少数的血统能用而已。所以,像你这种从人类变成吸血鬼的假吸血鬼,不可能会用夺魄的。」
「え……でも」
「咦……可是——」
「大体、魅了ってのはそんにゃ漫画に出てくる惚れ薬みたいにゃ便利にゃ能力じゃにゃいにゃん。その能力を行使された側は、自意識が消失しちゃうにゃ。ただの操り人形を作る能力にゃん」
「况且,夺魄不像漫画里头出现的,那种跟媚药一样方便的能力喵。中了夺魄的人会失去自我意识喵。那个能力让对方变成被操控的人偶。」
「操り──人形。虜じゃないのか」
「被操纵的……人偶。不是俘虏吗?」
「たとえば人間、お前の周りの女の子は、お前の言うことに絶対服従するか? 何一つ逆らうことにゃく、お前の言う通りに動く奴がいるか?」
「打个比方来说,人类你周围的女生,有人对你说的话绝对服从吗?有人完全不反抗你,一切都照你说的话去行动的吗?」
「………………」
そんな奴は一人もいねえな。
那种人连半个都没有。
間違いなく一人もいない。
绝对没有。
一番大人しい千石でも、僕に高校前の正門でブルマーとスクール水着を託すという常識では考えられない暴挙を行なっている。
就连最温顺的千石,也对我做出了超乎常识的暴举——跑到高中正门口,把灯笼裤和学校泳装交给我。
でも、羽川の知識で──それを言うのか?
可是,魅猫是藉由羽川的知识,才说出这种话的吗?
だって、僕はその羽川の口から──
因为夺魄的事情是羽川亲口告诉我的——
──意地悪なこと言ったよね。
——我刚才说了很坏心的话呢。
ああ……そういうこと。
啊……原来是这样吗!
噓か。
那是谎话吗?
つかないはずの──噓。
不应该会说谎的她……所说的谎。
だったら、戦場ヶ原は勿論──羽川も。
既然这样,战场原当然没有被我夺魄……羽川也是。
しかし、それは意地悪というよりも、現状から見る限り、悲鳴のようなものだったのではないだろうか──つまり、そうであればよかったのにという、羽川翼の切ない願望。そうであれば、自分のストレスも、少しは緩和できるのに──何かの所為にできるから。
但是从现状来看,与其说那是坏心,倒不如说那像是一种悲鸣吧——也就是说,那是羽川翼的一种苦闷愿望,她希望如果一切是那样就好了。如果是那样的话,那自己的精神压力也能够稍微得到缓解——因为有了怪罪的对象。
けれど、何の所為にもできない。
但是,她却无法怪罪任何人事物。
「人の気持ちは変えられにゃい──にゃ。しかし、にゃるほど。そりゃあまあ、ご主人らしくもにゃかったにゃ。ふん、俺は噓をつく頭がにゃいからバラしちゃったにゃ」
「人的心意是无法改变的……喵。可是,原来是这样喵。那样还真不像主人的作风呢喵。哼,我没有说谎的脑袋,所以不小心揭穿主人的谎言了喵。」
「それもまた、辛い役目を押し付けた──ってことになるんだろうな」
「这应该算是……羽川又把痛苦的工作推给你了吧。」
いいことではないだろう。
这不是好事。
でも、今の僕は違ってよかったと、安堵する気持ちの方が大きかった。吸血鬼の、怪異の力ではなく、僕は僕として──
不过,现在我心中的安心感却比较大。我不是靠怪异,不是靠吸血鬼的力量,而是因为我是我——
阿良々木暦だから。
因为我是阿良良木历。
「じゃあ──僕は、誇っていいんだな」
「那……我可以感到自豪吗?」
「あん?」
「嗄?」
「羽川に、好きになってもらえたことを──」
「羽川喜欢上我的事情……」
それが栄誉でなくて何だろう。
这不是荣誉是什么呢。
その事実だけで生きていられる気さえする。
我感觉光靠这个事实,自己就有活下去的动力。
しかし全く、こんなことになってしまって……本当に、僕は一体何をすれば羽川に対して、恩返しをしたことになるんだろうか──
但是,事情居然会变成这样……我到底该做些什么,才能回报羽川的恩情呢。
「まあ、とりあえずはお前を引っ込めることなんだよな──畜生、忍は本当にどこに行っちまったんだ。協力してもらってるみんなからも、一個の連絡も入らないし……、ああ、そろそろ、千石の奴には撤収命令を出さないと……」
「总之呢,我要先请你回去——该死,忍到底跑到哪去了。帮忙寻找的大家都没有任何消息啊……啊!差不多要请千石先撤退了……」
って、どうすればいいんだ?
可是,我该怎么做?
あいつ、携帯電話持ってないじゃん。
那家伙没有手机啊。
しまった、向こうからこちらへの連絡手段は公衆電話でいいとしても、こちらから向こうへの連絡手段がない……。どうする? あいつもあいつで変なところで強情だから、見つからないとなればどんな深夜に及んでも、自分からは帰らないぞ……。
惨了,她可以用公共电话打给我;但我却没办法联络到她……该怎么办?那家伙的个性在某些奇怪的地方很执着,要是没找到人,不管找到多晚她都不会自己回去……
神原……かなあ?
拜托神原……吗?
あいつに、一旦、忍の探索を中止してもらって、暫定的に千石探しをしてもらう……そんなところか。ああ、なんで僕、肝心のところで、あいつに頼ってばっかりなんだろう……このままじゃ本当に、神原に対して頭が上がらないよ。あの後輩のいうことなら、なんでもきいちゃいそう。
请她先停止找忍,暂时先去找千石……要用这个方法吗?啊啊!为何每次我在最关键的时候,都会去依赖她啊……这样下去,我真的会在神原面前抬不起头来啊。对那个学妹说的话,我觉得自己以后似乎会言听计从。
「にゃあ、人間」
「喵,人类。」
と。
这时,
ブラック羽川は、携帯電話を取り出した僕に、そんな風に、話しかけてきた。なんだか、それまでと、違う感じの口調だった。
黑羽川对拿出手机的我,如此说道。总觉得她的口吻,有别于刚才。
「もう一つ──あるんだがにゃ」
「还有……一个方法啦。」
「もう一つ?」
「还有一个方法?」
「吸血鬼に頼らず、俺を迅速に効率よく引っ込める策──お前がご主人と付き合ってくれりゃ、それが一番手っ取り早かったんだけど、二番目くらいには手っ取り早い策にゃ」
「不依靠吸血鬼,快又效率地让我消失的方法——你如果愿意和主人交往,那就是最省事的方法啦,不过还有第二个方法。」
「お前の頭脳でどういう策が思いつくのか、疑問だが……一応聞こうか。どういう策だ?」
「凭你的猫脑能够想出什么好主意,我觉得很怀疑……不过你说看看吧。是什么方法?」
「お前、ちょっと歩くにゃん。その街灯の下辺りまで」
「你稍微往前走一下。走到那个路灯下面。」
「こうか?」
「这样吗?」
言われた通りにする僕。
我照她的吩咐做。
あまり期待はできないがこのような状況だ、取れるべき策は何であれ、試してみるべきだろう。しかし、僕がほんの数メートル移動してどうなるというのだ。
虽然不能太过期待,但是现在这种状况下,不管是什么方法都应该尝试看看吧。可是,我这样移动个几公尺会有什么作用吗?
「あー、もうちょっと前にゃ。そこだと、真下ににゃっちゃうにゃん」
「啊——!稍微再往前走一点。你站在那边,不就在正下方了吗喵。」
「真下?」
「正下方?」
相変わらずの意味のわからない言葉に首を傾げながら、とりあえずもう一歩、僕は前に出た──そこで。
她的话还是一样让我丈二金刚摸不着头绪,总之我又再往前踏出了一步。就在此时——
背後から、抱きつかれた。
有个东西,突然从身后抱住了我。
足音もなく──物音もなかった。
那东西没有脚步声,也没有发出任何声响。
狩りをする猫の動き。
就像狩猎时的猫。
両腕で、僕の両脇を通して胴に巻きつくように──抱きつく。サバ折り、いや違う、サバ折りは正面から掛ける技だし、相手に膝をつかせるのが目的であって、内臓を潰すことを目的とはしてない──それに。
对方的双手穿过我的两腋,有如盘绕住我的身体般,将我紧紧抱住。这是鲭折,不对,鲭折是从正面施展的招数,主要目的是让对手跪下,而不是捣烂对方的内脏。而且——
エナジードレインを目的とはしていない。
也不是用来施展能量吸取的招数。
一気に──吸われる。
我的能量一口气被吸走。
多少の衣服など関係ない。
这和多穿了几件衣服没有关系。
二つの大きなクッションも関係ない。
也和那两颗大型的安全气囊无关。
全身が急速に衰弱していくのを感じる。
我感觉到全身急遽地衰弱。
「ね、猫──てめえ」
「猫、猫……你这家伙!」
首だけで後ろを振り返る体力もない。今朝、僕が八九寺に同じようなことをしたとき、あの彼女がそうしたように、悲鳴を上げることさえも、まるでできなかった。
我甚至连转动脖子回头的体力也没有。今天早上我对八九寺做过相同的动作,但是我现在完全无法像当时的她一样发出尖叫声。
小指一本、動かせない。
就连一根小指头都动不了。
しかし、振り返って確認するまでもなかった──僕に背後から抱きついているのは、ブラック羽川だった。僕をその場から移動させたこと自体には、何の意味もなかったのだ──単に、僕を歩かせて、自分に背中を向けさせれば、それでよかった──
不过,我不用回头确认。从身后抱住我的人就是黑羽川。她要我走到路灯下没有任何意义,单纯只是要让我往前走,让我背对她而已——
油断させて。
让我大意。
吸い取るために。
只为了吸取我的能量。
「だからよ──慣れたつもりににゃってんじゃねーって、言ったろ? 俺らと人間は、どうあっても相容れるもんじゃねーんだからにゃん」
「所以嘛——刚才我有说过吧?不要自以为和我们混熟了。我们和人类是水火不容的。」
「ぐ……う、うう──」
「喀……呜、呜呜——」
「人間にゃんかと和気藹々とするほど、俺は落ちぶれちゃいにゃいんだよ──どっちがより馬鹿かって結論は、どうやら出たみたいだにゃ」
「我没有落魄到会和你们人类和平相处——看来谁比较笨的答案,已经有结果了喵。」
確かに──悔しいが、障り猫の言う通りだった。
的确……虽然我很不甘心,不过障猫是对的。
既に、状況はどうしようもない。そもそも、正面から向かい合っても、僕と障り猫とでは勝負にはならないのだ。怪異の後遺症しか残していない僕が、怪異本体を相手にして、抗えるすべがあるわけもない。まして、背後からなんて──
眼前的状况我已经无力回天。打从一开始,我就算正面对决也赢不了障猫。现在我身上只有怪异遗留下来的后遗症,根本无法对抗怪异本身。更何况对方还是从后方偷袭——
馬鹿馬鹿しい。
我太愚蠢了。
馬鹿馬鹿しいにも程がある。
要愚蠢也要有个限度。
「だ、だけど──なんのつもりだ。こんなことを、今ここでして、どうなるってんだ──僕一人吸ったくらいで、羽川のストレスは──」
「可、可是……你想做什么。你这样做有什么意义。光是吸走我一个人的能量,羽川的精神压力——」
「だから、もう一つの策にゃ──二番目くらいには手っ取り早い策にゃん。まあ、俺からしてみれば、一番冴えてる案にゃんだが」
「所以说,这是另一个方法。第二个方法应该才是最省力的喵。喵呦,以我来说,这算是最聪明的点子吧。」
ブラック羽川はそう言って──べろりと、僕のうなじの辺りを舐めた。舐めると言っても、それはそんな官能的な感触とはなりえない──猫の舌は猫舌で、肉を削ぐための鉤舌だ。首の皮と肉がめくれて、どばっと出血したのがわかる。
黑羽川说完之后,伸舌头舔了我的颈部。虽然是用舔的,但却不构成官能上的感触——因为,猫舌上有用来削肉的刺状物。我知道自己颈部的皮肉卷起,流出了鲜血。
その血を飲んで──化け猫は笑う。
妖猫喝下我的血液,露出笑容。
「ストレスの大本──ストレッサーそのものであるお前がいにゃくにゃってしまえば、俺がいる必要もにゃくにゃるんにゃ。お前一人吸ったくらいで──じゃにゃい、お前一人にゃら、それで十分にゃんにゃ。人の気持ちを変えることはできにゃくとも──人の存在を消すことはできるにゃん」
「只要精神压力的根源——也就是身为压力源的你消失的话,我就没有存在的必要了喵。光是吸走你的能量也没用?你错了,我只要吸干你一个人就足够了喵。我无法改变人类的心意,但是我可以让人类的存在消失喵。」
「そ、そんな──」
「什、什么——」
エナジードレイン。
能量吸取。
死に至るというほどの例はなくとも──けれど、それは決して殺せないということではないのだ。精も根も尽き果てて──生き続けられる人間なんて、いるわけもない。
目前没有人因此而死亡——但是,这绝对不代表能量吸取无法取人性命。能量被完全吸干之后……没有人可以活得下来。
でも、お前……ブラック羽川、そんなことをして、ご主人が喜ぶとでも。
可是,你……黑羽川,这么做你的主人就会高兴吗?
「俺のやったことはご主人の記憶には残らにゃい──だろう? 自分でやったことだとは思わにゃいにゃ。勿論、お前がいにゃくにゃってしまえば、ご主人は悲しむだろうが、それでも──今よりはマシにゃ。俺は感じるにゃん──こうしてお前を吸うことで、自分の存在が薄れていくのを──」
「我做的事情主人是不会记得的,对吧?她不会觉得自己是刽子手吧。你要是死了主人当然会很难过吧,可是总比现在这样好。我感觉得到喵……这样吸取你的能量,我的存在也逐渐变薄弱了。」
「こ、懲りたんじゃねえのかよ──ゴールデンウィークに、羽川の両親を襲って……それだけじゃ済まなかっただろうが。人間のストレスは、そんな単純なものじゃ──」
「你、你根本没学乖吧——黄金周的时候,你袭击羽川的父母……可是事情没有因此而落幕吧。人类的精神压力,不是那么单纯的东——」
「それは違うにゃ──俺のあのときの失敗は、ご主人の両親を殺さにゃかったことにあるにゃ。変にご主人に気を遣ったのが悪かった──死人を出すまいとしたのが悪かったにゃ。それに俺は懲りた。同じ轍は、二度と踏まにゃい──確実に殺す」
「那你就错了。那个时候我会失败,是因为我没有杀死主人的父母。对主人有奇怪的顾虑是我不对——不想闹出人命是我不对。这点我学乖了。我不会再犯同样的错误。这次我会确实杀了你!」
「殺す──」
「杀——」
なんて言葉だ。
怎么会这样。
そんな言葉が、羽川の口から出るなんて──でも、それもまた、羽川の裏面で、羽川の言葉であるとも、言えるのかもしれない。
那种话,居然会从羽川的口中跑出来——可是,或许这是羽川的真心话吧。
ひっくり返せば、裏もまた表。
颠倒过来看的话,里层也是表层。
それならば。
既然这样。
存外、羽川は──喜んでいるのかもしれない。羽川がそんなことを望むはずがない──なんて、やっぱりただの幻想の押し付けなのかもしれない。願った結果──なのかもしれない。望んだから与えられた──のかもしれない。さっきの、噓をついてでも羽川と付き合ってくれればという障り猫の提案だって、羽川の裏面であることは間違いがないのだ。
黑羽川这么做,羽川其实很开心吧。羽川不可能会希望这种事情发生——这种话,搞不好只是我一厢情愿的幻想吧。或许这就是羽川希望的结果。因为她希望,障猫才替她实现。刚才障猫的提议:「就算说谎也好,只要你跟羽川交往。」肯定也是羽川的内心话。
それならば。
既然如此,
「……はねかわ」
「……羽川。」
それならば──これは確かにいい手段だ。
既然如此……这的确是一个好方法。
命の恩人。
为了救命恩人,
羽川のためなら、何だってする。
为了羽川,我什么都愿意做。
気持ちを変えることはできないけれど──
我无法改变自己的心意——
死んでもいいって、思えるんだ。
不过我可以献出自己的生命。
「まあ、幸せに思えよ──ご主人のいやらしい身体に抱かれて昇天できるんだからにゃ。最上の幸福を味わいにゃがら、干乾びろ」
「喵呦,你要觉得自己很幸福——因为你可以被主人猥亵的身体抱着,然后升天啊喵。你就一边品尝这种至高无上的幸福,一边干掉吧。」
「…………」
身体中の感覚が消えていく中で、さすがにそんな感触を楽しんではいられないし──そもそも、どちらかと言えば、胴に回されたそれぞれの腕手の、鋭い鉤爪が僕の腹筋に突き刺さって、その痛みだけがやけにリアルなのだけれど──それでも。
现在我身体的感觉正逐渐消失,实在无法去享受那种触感——况且真要说的话,她抱住我的双手上,带刺的钩爪正刺着我的腹肌,眼前只有这个痛楚才是最真实的。但是——
羽川のために、死ねるのなら。
如果能为羽川而死的话。
「………………」
いや──駄目だ。
不,不行。
それは駄目だ。
我不能这样做。
戦場ヶ原のことがあった──だから僕は、羽川に殺されるわけにはいかないのだ。羽川が僕を殺せば──そうでなくとも羽川の身体であるものが僕を殺せば、戦場ヶ原は確実に羽川を殺す。それは幻想でも押し付けでもなんでもない、あいつは確実にそれをやる。僕はもうわかっている、戦場ヶ原は躊躇しない。そしてそのときの羽川に、それを防ぐ手立ては皆無だ。戦場ヶ原は羽川にストレスを溜める暇も与えないだろうから。
因为有战场原在……所以我不能死在羽川手上。羽川要是杀了我——至少下手的是她的身体——战场原肯定会杀掉羽川的。这可不是幻想或是我一厢情愿的想法,她肯定会付诸行动。这点我早就已经知道了,战场原不会有任何的犹豫。而事后的羽川没有任何防备的方法。因为战场原不会让羽川有时间累积精神压力。
だから──それは駄目だ。
所以……这么做不行。
これは最低最悪の手段だ。
这是最差劲、最糟糕的手段。
「は……離せ」
「放……放开我。」
「ああん?」
「嗄嗄?」
「とにかく──離せ」
「反正……你快放开我。」
説明している余裕はない。障り猫は戦場ヶ原を知らない──いや、知識としては知っているだろうが、羽川が知る戦場ヶ原の知識では弱い。僕か、せめて神原クラスの知識がないと、戦場ヶ原ひたぎの危険性は認識できない……だが、それをここで逐一説明していたら、そんな間に僕がぺらぺらの紙みたいになってしまう。
我没那个闲功夫说明原因。障猫不认识战场原——不对,她藉由羽川的知识,或许知道有这号人物的存在;但羽川对战场原的认识太浅。至少要有我,或者是神原等级的认知,否则不可能会明白战场原黑仪的危险性……不过,现在如果要是我逐一说明的话,恐怕说明到一半我就会变成薄薄的纸片人了。
「命乞いかにゃん? それもいいにゃ──もしも今からでもご主人と付き合うっていうんにゃら、離してやってもいいにゃん」
「你要求我饶你一命吗?那样也行啦喵——要是你愿意现在就和主人交往的话,我就放开你喵。」
「ぐ……だから、それは無理だって──」
「呜……就跟你说我做不到——」
「だろうにゃあ」
「我想也是喵。」
ブラック羽川は言う。
黑羽川说。
やはり──あっさりと。
语气依旧很干脆。
「じゃあもういい。お前死ねよ」
「那就算了。你去死吧。」
「………………」
「それとも、誰かに助けでも求めてみるかにゃ? 今まで散々、色んな奴を助けてきたお前にゃ──誰かが助けてくれるかもしれにゃいにゃ」
「还是说,你想要求别人来救你啊喵?到目前为止你救了很多的人,应该会有人愿意来救你吧。」
「誰かって──」
「什么会有人——」
誰だよ。
会是谁啊。
八九寺か? 千石か? 神原か? 戦場ヶ原か?
八九寺吗?千石吗?神原吗?还是战场原?
「助けなんて──無理だ」
「没人可以……救我。」
「無理? どうして」
「没人可以?为什么?」
「だって、人は一人で、勝手に助かるだけだから──」
「因为,人只能自己救自己。」
「それはお前の意見じゃにゃいだろう?」
「那不是你的主张吧喵?」
静かに──そう言われた。
黑羽川静静地说。
「それはただの言葉だ──お前の気持ちじゃにゃい。言葉を真似しただけじゃあ、そんにゃものは幾らでも変わる──問題はお前がどういう気持ちでいるのか、にゃ」
「那只不过是一句话罢了,不是你现在的心情。如果只是拾人牙慧的话,那种东西要多少有多少。现在的问题是,你的真心话到底是什么喵?」
「……ぐ、ぐぐ──」
「……喀、呜呜——」
「そりゃ、人は一人で勝手に助かるだけだけれど──助ける側に、そんにゃ事情が関係あるのかにゃ? 人を何人助けようが──それは勝手というものだろう」
「还有,人的确只能自己救自己——但是帮助别人的那一方,有必要去管那些东西吗喵?要不要去救人,那是对方的自由吧。」
猫は言う。
猫一边发出喉鸣,
喉を鳴らしながら。
一边说。
「お前を助けたいと思っている奴が──一体、どれだけいると思っている? それをお前は一人残らず、拒否するのかにゃあ──」
「到底会有多少人愿意来救你,这点你能想象吗?你有办法拒绝所有的帮助吗喵?」
力が──抜ける。
我的力量不断消失。
もう、立っていられない。
我已经无法站稳脚步。
胴に回されたブラック羽川の腕で、支えられているようなものだ──完全に、身体を預けてしまっているようなものだ。
现在是由黑羽川环抱住我的双手,支撑着我的身体。我的身体等于完全靠在她的身上。
意識も朦朧としている。
意识也变得朦胧不清。
どうにもならない。
我束手无策。
自分一人では──どうにもならない。
凭我一个人的力量,完全一筹莫展。
笑ってしまいそうになるが、その力もない。その力もないが──やっぱり、それでも笑ってしまいそうになる。
我想要笑,却没有那个力气。虽没有那个力气——但是,我还是想要露出笑容。
そうだよなあ。
是啊。
やっぱり……悲しむだろうな。
她们……大概会难过吧。
羽川も……戦場ヶ原も。
羽川,还有战场原。
神原も、千石も。
神原和千石。
八九寺だって、ひょっとしたら。
八九寺或许也会吧。
僕が死んだら。
要是我死掉的话。
「……助けて」
「……救我。」
僕は、声を振り絞った。
我拚命挤出声音。
振り絞って──言った。
挤出声音……开口说:
「助けて……忍」
「救我……忍。」
瞬間、だった。
就在一瞬之间。
僕の影から──一人の少女が飛び出した。
从我的影子当中——有一位少女跳了出来。
金髪。
金发。
ヘルメットにゴーグル。
戴着防风眼镜帽。
小さな体軀で──しかし、ブラック羽川の僕に対するハグを、瞬間だけで、引き剝がした。続けて一息にブラック羽川の身体を吹っ飛ばす。吹っ飛ばされた猫は、身体を回転させることもできず、そのまま道を挟んだ反対側の街灯にぶつかった。その街灯がひん曲がるほど──とまではいかなかったが、大きく揺れるほどの、衝撃だった。
但是,她用娇小的身体,瞬间就将黑羽川从我身上扒开。接着她一股作气,使劲将黑羽川的身体打飞出去。被打飞的猫连身体都无法翻转,迎头撞上了马路对面的路灯。那股冲击,虽然没让路灯歪曲变形,但也大幅撼动了它。
そして着地する。
接着,少女降落地面。
影から飛び出した忍野忍は──
从影子中跳出来的人,正是忍野忍。
金髪を思いのままに振り乱しながら、着地する。
她任凭金发随意飞舞,同时降落地面。
忍。
こいつ……そんなところにいたのか?
这家伙……原来躲在我的影子里吗?
しかし、確かに、考えてみれば──それくらいしか、もう隠れ場所はないのだった。これだけの時間、この町を探して、目撃証言さえも得られないなんてことがあるわけがない──障り猫の嗅覚でさえ、まるでまるっきり追尾できないということがあるわけがない。
不过仔细来思考的话,她能够躲藏的地方,的确也只剩下那里而已。我花了那么多时间,找遍这个城镇,不可能连半个目击者都找不到。也不可能连障猫的嗅觉都完全无法追踪她。
だから。
所以,
当然のように、何らかの、吸血鬼としての能力を発揮していると考えるべきだった──しかし、能力を制限されている忍にそれができるわけがないと、僕は勝手に思い込んでしまっていた。
理所当然,她应该是使用了某种吸血鬼的能力才对——但是,我却擅自认为,能力受到限制的忍无法那么做。
違う。
我错了。
その考えには隙があった。
我的想法有一个破绽。
僕のそばにいればある程度の能力は発揮できる、それはわかりきっていたじゃないか──だったら、僕のそばに潜めばいいのだ。それだけのことじゃないか。
她只要待在我的身边,就能够使用某种程度的能力,这一点我不是早就知道了吗。既然这样,她只要潜伏在我身旁即可。答案就这么简单不是吗。
心理的盲点──推理小説の基本だ。
心理上的盲点——这是推理小说的基本要素。
隠したいものはもっとも目立つ場所に隠せ。
想要藏东西,就把它藏在最显眼的地方。
しかも、この隠れ場所は、猫の嗅覚に対しても非常に有効だ──忍の匂いは僕の匂いにまぎれてしまうから。
而且,这个藏身之处,对抗猫的嗅觉非常有效。因为忍的味道会和我的味道混在一起。
僕の影の薄さ──
忍利用了——
それを忍は、利用した。
我的影子。
多分、昼間だ──それも午前中だ。僕がまだ、一人で忍を探しているときに──忍の方が先に僕を見つけたんだ。あてずっぽでものを言えば、ミスタードーナツの辺りじゃないだろうか。そこで忍は──僕の影に潜んだ。元々が闇の世界の住人だ、吸血鬼にとって影に潜むのはお手の物──というのは昔の話で、今となっては、忍が潜むことのできる影は僕の影だけなのだろうが──
时间大概是在白天——而且还是中午前,我独自一人在找忍的时候——忍先发现了我。要我凭空推测的话,地点应该是在 Mister Donut 附近吧。于是,忍躲进了我的影子里。她原本就是黑暗世界的居民,对吸血鬼来说躲进影子当中是轻而易举——不过那是以前的事情,现在忍能够躲藏的只有我的影子而已。
あ。
啊!
真下とは──それか。
正下方……原来是那个意思吗。
影が真下になるという意味で──そして、じゃあ、そもそも、街灯の下に行けと言ったのも……そうだ、障り猫と人間もどきの僕との戦力差は歴然としている、わざわざ手間をかけて、背後から襲う必要なんかない。細かい策など弄さずに正々堂々、襲えばいいのだ。だったら──
影子会在正下方的意思——这么说来,要我去路灯下面也是……是啊,障猫和类人类的我,战力上的差距可说是一目了然,她没必要大费周章地从后面偷袭我。不需要耍心机,只要光明正大地从正面袭击我即可。既然这样——
僕は、街灯の下でうずくまるブラック羽川に目をやる。
我看了蹲在路灯下的黑羽川一眼。
ブラック羽川は──にやりと笑った。
黑羽川一个冷笑。
しかし、それもまた、一瞬だった。
但那也只是一瞬间。
忍に容赦は一切ない──着地した次の呼吸には障り猫に対して、飛び掛かり、襲い掛かっていた。短い手足を精一杯に伸ばしブラック羽川の身体に絡みつき──首元に、がぶりつく。
忍毫不留情,落地的下一秒随即对障猫发动攻势,猛扑了上去。只见她拚了命地伸长短小的四肢,缠住黑羽川的身体——接着,朝她的颈部一口咬下。
抵抗する暇もなかった。
黑羽川没有反抗的余地。
そのまま──吸う。
忍直接开始吸食。
障り猫の特性がエナジードレインなら──吸血鬼の特性もまたエナジードレインなのだ。目には目を、歯には歯を、怪異には怪異を、エナジードレインにはエナジードレインを。今現在も、忍が触っているというだけで、忍の精力は障り猫に吸い取られているが──それ以上の精力を忍は障り猫から、吸い取っている。
要说障猫的特性是能量吸取的话,吸血鬼的特性也同样是能量吸取。以牙还牙,以眼还眼,以怪异制怪异,以能量吸取制能量吸取。忍现在碰到障猫的身体,能量也同样被她吸收;但是忍能够吸取的份量,却比障猫还要多更多。
純然たる、食料として。
纯粹吸取来当作食粮。
障り猫と吸血鬼では怪異としての格が違う。
同样身为怪异,障猫和吸血鬼的等级不同。
障り猫と吸血鬼では怪異としての核が違う。
同样身为怪异,障猫和吸血鬼的本质不同。
この光景はゴールデンウィークの焼き直しだった──まるっきりの、再現だった。あのときは、この状況に追い込むまでに、相当の、それ相応の苦難があったわけだが……、今回はブラック羽川が抵抗しないから。
眼前的景象是黄金周时的翻版——完完整整的再现版。当时,要把障猫逼到这个地步,可是付出了相当的辛劳……不过,这次黑羽川完全没有反抗。
抵抗する暇も抵抗する意志もないから。
她没有时间,也无心想要反抗。
常時発動のエナジードレインだけは防ぎようがないとは言え──今の障り猫に、忍と戦う気はない。体力や腕力、機動力で、その気になれば今の忍(つまり今に限っての忍)なら、翻弄できるというのに──
光靠她身上常驻的能量吸取,无法防御忍的吸取——然而就算如此,现在的障猫却完全不打算和忍战斗。凭障猫的体力、腕力和机动力,明明只要她愿意,随时都可以将现在的忍(仅限于现在的忍),玩弄在股掌之间——
羽川のために。
她是为了羽川。
ご主人のために──だ。
为了主人。
勿論、これでわかったような気になってはいけない。ブラック羽川の言う通りに、慣れてしまって、馴れ馴れしく思ってしまっては、いけないのだ──最初からこうなることだけを、ブラック羽川が狙っていたとは思えない。
当然,我不能因为这样,就认为自己明白一切。黑羽川说得对,我不能习惯他们,和他们装熟——我不认为黑羽川打从一开始,就希望事情发展成这样。
猫並みの知能でありながら、障り猫が僕の影に忍が潜んでいる可能性に気付いたのは確かだろう──そんな忍を誘い出すには、一辺倒の方法ではいかないという判断をしたことも間違いがない。そのために、言うなら僕を囮、人質にして、夜の中でも影がはっきり孤立する、街灯の下に誘導してから、エナジードレインを決行したことは、今となっては歴然だ──しかし。
虽然她的智商和猫一样,不过障猫确实有可能注意到,忍躲藏在我的影子里吧。她肯定是下了如此的判断:如果要把忍引诱出来,就不能让战况一面倒。为此,简单来说她把我当作诱饵和人质,为了让我的影子在黑暗中也能清楚地孤立出来,她把我诱导到路灯下方,然后断然使出能量吸取。事到如今,她的意图十分明显,但是——
ブラック羽川としては本当に、僕をあのまま殺してしまっていてもよかったのだろう。忍は僕の影に潜んでいなくて、真実はただ、忍はもう町の外に出てしまっていただけで、そうだったとしても、あのまま僕という存在を吸い尽くしてしまって一向に構わなかったのだろう。
以黑羽川来说,她就算直接杀了我也无妨吧。要是忍没有躲藏在我的影子当中,而是真的离开这座城镇的话,她会直接把我这个存在吸干,不会在乎我的死活吧。
結果としてこうなったというだけだ。
只是结果变成了这样而已。
噓をつける頭はない。
她没有说谎的脑袋。
障り猫の言ったことは──全部本音だ。
障猫说的话——全部都是真心话。
本当の気持ちだ。
都是真正的心情。
そして──それもまた、羽川の裏面なのだ。
而那也是……羽川的里层。
嫌な役割を──障り猫に押し付けている。
她把讨厌的工作,推给了障猫。
確かに。
的确是这样。
どちらがより馬鹿かの結論は──出たようだ。
谁比较笨的问题,似乎有了结论。
「……ああ」
「……啊啊。」
ブラック羽川の髪が──徐々に色素を含む。
黑羽川的头发,慢慢地出现了颜色。
灰色になり、茶色になり──黒色に。
先是灰色、茶色,然后是黑色。
猫耳も、少しずつ、形を失っていく。
猫耳也一点一点地,逐渐消失。
怪異という存在を──忍が吸い取っているのだ。
因为忍正在吸取……怪异的存在。
怪異殺し。
怪异杀手。
それが忍の春休みまでの蔑称だった。
那是忍在春假前的蔑称。
障り猫だろうが何だろうが、牙を突き立て吸い取って──存在そのものを世界から切り取ってしまう、正真正銘の、怪しくて異なる存在──
不管是怪猫还是任何东西,只要她牙齿一咬吸取能量,就能够将对方的存在从这个世界中抹除。她是货真价实的,奇怪而异常的存在——
怪異の王──ノーライフキング、吸血鬼。
怪异之王,不死之王——吸血鬼。
「そろそろやめろ──やめてくれ、忍。それ以上吸ったら羽川までいなくなってしまう。それは──嫌だ」
「差不多该住手了——停下来吧,忍。再吸下去的话,连羽川也会消失。我不要那样。」
言うと。
我说完,
忍は、思いのほかあっさりと、羽川の首元から離れてくれた。羽川の首元──くっきりと牙の痕が、そこに刻まれているが──それについては心配はいらないだろう。僕のうなじにある咬み痕とは違う。僕のときとは違って、忍はあくまで食料として障り猫を吸ったに過ぎない──食ったに過ぎない。
忍意外干脆地,离开了羽川的颈部。羽川的脖子上,留下了清楚的齿痕——但是,这点无须担心吧。那和我脖子上的咬痕不同。忍只不过是把障猫当作食粮在吸取——只是把她吃掉而已,这和我的情况不一样。
吸血鬼は、人の血を吸う──しかし、食料として吸うときと、仲間を作るために吸うときとでは、その意味合いが違う。
吸血鬼会吸食人血——可是,填饱肚子的吸血和制造同伴的吸血,两者的意义是不同的。
だからこそ忍は逃げたのかもしれない。
或许正是因为这样,忍才会逃走吧。
障り猫は、そう言った。
障猫曾经如此说过。
たった今吸い取られきった、一匹の怪異は。
那个就在几秒前被吸掉的一只怪异。
食事を終えた忍は、てくてくと、僕のところに戻ってきて──そのまま、僕の影に沈み込んだ。
进食结束后,忍一步一步走回我的身旁……随后直接躲进了我的影子里。
気に入ったのだろうか。
她很喜欢吗?
僕の影の中。
喜欢躲在我的影子里头。
そして──
于是——
場には、黒髪の羽川と、僕とが、残された。
现场只留下了黑发的羽川,和我两个人。
羽川に意識はない──眼を瞑って、眠っている。
羽川没有意识——她闭着双眼,身处梦乡当中。
恐らく明日の朝まで起きないだろう。
她恐怕会一觉到天明吧。
「………………」
これでこの騒ぎは解決した。
如此一来,这场骚动获得了解决。
しかし──勿論、問題が消えてなくなったわけでは、やはりない。結局のところ、障り猫を祓ったというだけで、その他の部分は、何一つ動いていないのだから──障り猫を消したというだけで、ストレスそのものが消えてなくなったわけじゃない。しかも、今回のストレスはほんの数ヵ月で形成されたものだった──つまり、同じ理由で再現されてしまう可能性も、決して低くない。それでなくとも、羽川には、ずっと昔から抱えている家族の問題があるというのに──
然而,这当然不代表问题会就此消失。从结论来看,我们只是赶走了障猫罢了,其他地方完全没有任何的改变——我们只是让障猫消失,精神压力本身并没有因此而消失。而且,这次的精神压力是短短几个月之间所形成的东西——也就是说,它会因为同样的理由而再次出现的可能性,绝对不算低。长久以来明明已经有家庭问题在困扰羽川了说,现在又多了这个问题——
いや。
不。
違う。
不对。
家族のことはともかく。
家庭的问题姑且不论。
今回のことは──僕がなんとかできる問題だ。
这次的问题,我有办法能够处理。
明日からの僕の振る舞い次第で、羽川を、ある程度は楽にしてあげることができる。勿論、やっぱり気持ちを変えることはできないけれど──それでも、羽川に恩返しをしたいという気持ちも、やっぱり、僕の気持ちなのだから。
我可以让羽川的心情稍微舒服一点,这完全取决于明天开始我对她的态度。当然,我没办法改变自己的心意——尽管如此,我想要回报羽川的心情,绝对没有半点的虚假。
羽川を助けたいと、僕は思う。
我想要帮助羽川。
翼という名を負わされた彼女を、助けてはならないという法はないだろう。
没人规定我,不能帮助拥有「翼」这个名字的她吧。
助けるのは──僕の勝手だ。
要帮别人……是我的自由。
誰が何と言おうと、勝手にさせてもらう。
不管别人说什么,我都不会去理会。
「はあ……」
「呼……」
ため息が漏れた。
我叹了一口气。
しかし、それにしても、今回は疲れた……限界近くまで、エナジードレイン、されちまったからな……吸血鬼もどきのこの身体でも、体力が回復するまで、相当の時間を要しそうだ。これでは僕も、明日の朝までここから動けそうにないな……。やれやれ、手伝ってくれたみんなに、お礼を言わなくちゃならないっていうのに……。
话说回来,这次真的有累到……毕竟我差点被能量吸取给变成人干啊,就算是这具类吸血鬼的身体,要恢复体力似乎也需要一段相当长的时间。照这样看来,我要明天早上才有办法离开这里啊……唉呀呀!我还要向帮忙我的大家,说声谢谢的说……
まあいいか。
也没差啦。
こうして羽川のパジャマ姿も、拝めたことだし。
毕竟,我也拜见到羽川穿睡衣的模样。
北風と太陽でいうなら、どっちかというと北風の方だったけれど……街灯の下、スポットライトでも浴びているかのように照らされる、黒髪の、寝息を立てている羽川のパジャマ姿はこれ以上なくいい眺めだった。半減を取り消したけれど、そこから更に喜びも倍増って感じかな。本日の労力の代価としては、至福と言ってもいい。まあ、こうして道端で、羽川を見ながら、羽川と共に夜を明かすのも悪くはない……。
要用北风与太阳来比喻的话,脱掉她外套的应该是一阵北风吧……在路灯下方,黑发、吐着鼻息的羽川,宛如沐浴在聚光灯当中,穿着睡衣的身影可说是美妙绝伦。折半这句话先前我取消了,而现在我更感觉到心中的喜悦倍增。用这做为我今天劳动的报酬,可说是一件非常幸福的事情。唉呀,就这样在路边看着羽川,和她一起到天明也不坏……
星空は。
因为星空——
こんなにも、綺麗なのだから。
是如此的美丽。
「う、ううん」
「呜、呜呜!」
と。
这时,
羽川が声を立てた。
羽川发出了声音。
寝言らしい。
她似乎在说梦话。
「阿良々木くん……」
「阿良良木……」
あるいは──それは寝言というよりは、意識が朦朧として、言葉がただ漏れているだけなのかもしれない。障り猫の存在だけが忍によって吸い取られて、だから、ブラック羽川と羽川の意識がまだ整理整頓しきれず、両者が混在した状態に、今の羽川はあるのかもしれない。
或许——倒不如说那是她在意识模糊之中,下意识流露出来的话比较贴切吧。可能是因为障猫的存在被忍吸收掉了,所以现在的羽川和黑羽川之间的意识尚未整顿好,两者处于混淆不清的状态。
だから、寝言ではなく──本音だ。
所以那不是梦话,而是她的真心话。
羽川翼の飾り気ない本音が、漏れている。
羽川翼赤裸裸的真心话,正脱口而出。
「私との友情よりも私に恩返しをすることの方がずっと大事だなんて──そんな寂しいこと、言わないでよ」
「什么『报答我的恩情,比我们之间的友情还要重要』——别再说那种会让人寂寞的话了。」
「…………」
目を閉じたままで──羽川は呟く。
羽川闭着双眼,喃喃说道:
「阿良々木くん……きちんとしなさい」
「阿良良木……你怎么不答话!」
そして再び──深い眠りに落ちる彼女。
接着,她又再度陷入沉睡。
いやはや、寝てるときまで、この女は。
唉呀唉呀!这个女人就连睡着的时候——
とことん──真面目が堂に入っている。
也是一丝不苟到登堂入室的境界了。
人のことを構っている場合じゃあるまいに。
她现在根本不是关心别人的时候啊。
しかし僕はそれでも、即座に、素直に、条件反射のように、羽川のその言葉に答えた。三年生になってから、伊達に二ヵ月、羽川に躾けられてきたわけじゃない。こういうときにどう答えるべきかは、これでもわかっているのだ。
然而,我还是立即、乖乖地,有如条件反射一般回答了羽川。升上三年级之后,这两个月我可不是白受羽川调教的。别看我这样,我早就知道这种时候该如何回答了。
「はい」
「遵命。」
Footnotes
-
マイナスチック:八九寺以为 Minus 加上 tic 就会变成悲观的,这个词不存在 ↩
-
鬼の霍乱:ふだんきわめて健康な人が珍しく病気になることのたとえ ↩
-
オシャレ魔女ラブandベリー:世嘉 2004 年推出的少女向街机卡片时尚 × 节奏游戏 ↩
-
やな憶え方:镰仓幕府创建于 1172 年,谐音相当于「好国家」,一般的背诵方式是「建立一个好国家吧,镰仓幕府」 ↩
-
意匠:[名]絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと ↩
-
鵺:日本传说中的神秘生物,最早记载于《平家物语》。通常被描述为猿首、狸身、虎足、蛇尾的无翅飞兽,叫声类似虎鸫,被视为不祥之兆 ↩
-
のべつ幕なし:絶え間なく続くこと ↩
-
パチモン:[名]にせもの ↩