化物語(上): 第一話 ひたぎクラブ
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desc: 向着阿良良木历从天而降的少女・战场原黑仪,身上几乎可以说是完全没有所谓的体重这回事——!?青春里,总少不了这般荒诞离奇的事!
001
戦場ヶ原ひたぎは、クラスにおいて、いわゆる病弱な女の子という立ち位置を与えられている──当然のように体育の授業なんかには参加しないし、全校朝会や全校集会でさえ、貧血対策とやらで、一人だけ日陰で受けている。戦場ヶ原とは、一年、二年、そして今年の三年と、高校生活、ずっと同じクラスだけれど、僕はあいつが活発に動いているという絵をいまだかつて見たことが無い。保健室の常連で、かかりつけの病院に行くからという理由で、遅刻や早退、あるいは欠席を繰り返す。病院に住んでいるんじゃないかと、面白おかしく囁かれるくらいに。
战场原黑仪,在班上被定位成体弱多病的女孩子——理所当然地不参加体育课,就连朝会之类全校集合的时间,也以贫血为由,独自一人待在阴凉处休息。虽然我和战场原从一年级、二年级,到今年升上三年级,连续三年的高中生涯都同班,但我却从没见过那家伙朝气蓬勃的样子。她是保健室的常客,经常以去专属的医院看诊为理由迟到早退,或是惯性缺席。她该不会是住在医院里面吧,同学们甚至会如此开玩笑地窃窃私语着。
しかし病弱とは言っても、そこに貧弱というイメージは皆無だ。線の細い、触れれば折れそうなたおやかな感じで、それはとても儚げで、その所為だろう、男子の一部では、深窓の令嬢などと、話半分、冗談半分に囁かれたりもする。まことしやか1に、といってもいい。確かにその言葉の雰囲気は、戦場ヶ原に相応しいように、僕にも思われた。
然而她虽然体弱多病,却没有一丝弱不禁风的印象。而是给人一种线条纤细,柔弱到仿佛轻轻一碰就会折断般,感觉十分虚无缥缈。或许正因如此,某一部分男生私底下会戏称她为深闺里的千金小姐。而我也认为,那些形容确实相当符合战场原散发的气质。
戦場ヶ原はいつも教室の隅の方で、一人、本を読んでいる。難しそうなハードカバーのときもあれば、読むことによって知的レベルが下がってしまいそうな表紙デザインのコミック本のときもある。どうやら、かなりの濫読派のようだった。文字であれば何でもいいのかもしれなかったし、そうではなく、そこには明確な基準があるのかもしれなかった。
战场原总是坐在教室一角,独自一人默默地看著书。有时候是看似艰涩的硬皮精装本,有时则是封面设计看起来会让人智商下降的漫画书,她似乎是个阅读范围相当广泛的杂食派。也许只要是文字什么都好,又或许其中有着某种明确的标准。
頭は相当いいようで、学年トップクラス。
她的头脑似乎相当聪明,在全年级名列前茅。
試験の後に張り出される順位表の、最初の十人の中に、戦場ヶ原ひたぎの名前が必ず記されている。それも全教科まんべんなく、だ。数学以外は赤点ばかりの僕なんかと較べるのもおこがましい話だが、きっと、脳味噌の構造が、はなっから違うのだろう。
每次考试后张贴在布告栏的排名表上,最前面的十个人当中,肯定会出现战场原黑仪的名字。而且是全科优秀,无懈可击。这跟除了数学以外都满江红的我相比实在是天壤之别,我俩的脑袋构造想必完全不同吧。
友達はいないらしい。
她似乎没有朋友。
一人も、である。
连一个,也没有。
戦場ヶ原が、誰かと言葉を交わしている場面も、僕はいまだ見たことが無い──穿った目で見れば、いつだって本を読んでいる彼女は、その本を読むという行為によって、だから話しかけるなと、己の周囲に壁を作っているのかもしれない。それこそ、僕は二年と少し、戦場ヶ原とは机を並べているわけだけれど、その間、彼女とは恐らく一言だって口を利いたことはないと断言できる。できてしまう。戦場ヶ原の声といえば、授業中に教師に当てられて、決まり文句のように発する、か細い『わかりません』が、僕にとってのイコールなのだ(明らかに分かっている問題であろうがどうだろうが、戦場ヶ原は『わかりません』としか答えないのだ)。学校というのは不思議な空間で、友達のいない人間は友達のいない人間同士で一種のコミュニティ(あるいはコロニー)を形成するのが普通だが(実際、去年までの僕がそうだ)、戦場ヶ原はそのルールからも例外にいるようだった。勿論、かといって苛めにあっているということでもない。ディープな意味でもライトな意味でも、戦場ヶ原が迫害されているとか、疎まれているとか、そういったことは、僕の見る限り、ない。いつだって戦場ヶ原は、そこにいるのが当たり前みたいな顔をして、教室の隅で、本を読んでいるのだった。己の周囲に壁を作っているのだった。
就连战场原跟别人交谈的画面,我也从来没见过——用更敏锐的观察来看,无论何时总是在看书的她,也许是藉由看书的行为,在自己周围筑起一道墙,暗示别人不要找她说话也不一定。正因如此,尽管我和战场原同窗两年多,但我从来没和她说过半句话,这点我可以断言。说到战场原的声音,她在课堂上被老师点到时,总是千篇一律用娇弱的声音回答「不知道」。对我而言,这句话已经和她的声音画上了等号(不论问题的难易,她一律只会回答「不知道」)。在学校这种不可思议的奇妙空间里,没朋友的人彼此之间,通常会形成一种属于同类的交流方式或是小团体(事实上,去年为止我就是其中一份子)。但战场原在那规则中似乎也是例外。当然,这并不表示她受到排挤欺压。不管是从深层意义或浅层意义来看,就我的观察,战场原一概没有受到迫害或被疏离。因为无论何时,她总是一副理所当然的表情,坐在教室一隅,安静地看书。在自己周围筑起一道墙。
そこにいるのが当たり前で。
理所当然地坐在那里。
ここにいないのが当たり前のように。
仿佛自己不在这里是很正常一样。
まあ、だからといって、どうということもない。高校生活を三年間で測れば、一学年二百人として、一年生から三年生までで、先輩後輩同級生、教師までを全部含め、およそ千人の人間と、生活空間を共にするわけだが、一体その中の何人が、自分にとって意味のある人間なのだろうか、なんて考え始めたら、とても絶望的な答が出てしまうことは、誰だって違いないのだから。
不过,话虽如此,也没什么好大惊小怪的。若以高中生活三年来计算,一学年假设有两百人,从一到三年级,包含学长姐、学弟妹和同学在内,再加上老师,自己总共会和大约一千人共享一个生活空间。但这些人当中,对自己而言具特殊意义的人究竟有多少呢?一但去思索,想必不管是谁都会得到非常绝望的答案。
たとえ三年間クラスが同じなんて数奇な縁があったところで、それで一言も言葉を交わさない相手がいたところで、僕はそれを寂しいとは思わない。それは、つまり、そういうことだったんだろうな、なんて、後になって回想するだけだ。一年後、高校を卒業して、そのとき僕がどうなっているかなんて分からないけれど、とにかくそのときにはもう、戦場ヶ原の顔なんて、思い出すこともないし──思い出すこともできないのだろう。
即使有着连续同班三年的奇妙缘分,却没讲过半句话,我丝毫不觉得惋惜。毕竟说守了,日后回想起来,也只会认为这种事情也没什么大不了。等一年后高中毕业了,到时我会变成怎样虽然不得而知,不过那时候我根本不会再想起战场原的容貌——也想不起来了吧。
それでいい。戦場ヶ原も、きっとそれでいいはずだ。戦場ヶ原に限らず、学校中のみんなきっと、それでいいはずなのだ。そんなことに対し、暗い感想を抱く方が、本来的に間違っているのである。
这样就好。战场原想必也会觉得,这样就好。不止战场原,全校每一个人,想必都会觉得这样就好。对于这种事情,会感到郁闷阴沉本来就是错误的。
そう思っていた。
我始终这么认为。
しかし。
然而——
そんなある日のことだった。
就在某一天。
正確に言うなら、僕にとって地獄のようだった春休みの冗談が終了し、三年生になって、そして僕にとって悪夢のようだったゴールデンウィークの絵空事が明けたばかりの、五月八日のことだった。
正确来说,是五月八号的事情。这天,我升上三年级,对我而言有如地狱般的春假闹剧,同时也是有如噩梦般的黄金周假期刚结束的时候。
例によって遅刻気味に、僕が校舎の階段を駆け上っていると、丁度踊り場のところで、空から女の子が降ってきた。
按照惯例眼看就要迟到,我快步跑上校舍的阶梯,来到转角平台的时候,一个女孩从天而降。
それが、戦場ヶ原ひたぎだった。
那个女孩,正是战场原黑仪。
それも正確に言うなら、別に空から降ってきたわけではなく、階段を踏み外した戦場ヶ原が後ろ向きに倒れてきただけのことだったのだが──避けることもできたのだろうけれど、僕は、咄嗟に、戦場ヶ原の身体を、受け止めた。
正确来说,她并非从天而降,只不过是在楼梯上踩空了,往后倒了下来而已——尽管我应该有能力避开,但我还是在千钧一发之际,将战场原的身体给接住了。
避けるよりは正しい判断だっただろう。
这个判断应该比闪开还要正确吧。
いや、間違っていたのかもしれない。
不,或许我错了。
何故なら。
因为——
咄嗟に受け止めた戦場ヶ原ひたぎの身体が、とても──とてつもなく、軽かったからだ。洒落にならないくらい、不思議なくらい、不気味なくらいに──軽かったからだ。
战场原在千钧一发之际被我接住的身体,非常地轻盈,轻盈得没道理。轻盈到不可思议、令人毛骨悚然,让人完全笑不出来。
ここにいないかのように。
彷佛她不存在似地。
そう。
没错。
戦場ヶ原には、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかったのである。
战场原她,几乎没有可称之为体重的东西存在。
002
「戦場ヶ原さん?」
「战场原?」
僕の問いかけに、羽川は首を傾げる。
听见我的询问,羽川疑惑地偏着头。
「戦場ヶ原さんが、どうかしたの?」
「战场原同学她怎么了吗?」
「どうかっつうか──」
「也没什么——」
僕は曖昧に言葉を濁した。
我含糊其辞地回应道。
「──まあ、なんか、気になって」
「——呃,我只是有点好奇罢了……」
「ふうん」
「哦——」
「ほら、何か、戦場ヶ原ひたぎだなんて、変わった名前で面白いじゃん」
「你想想看,战场原黑仪这个名字不是很独特又有趣吗?」
「……戦場ヶ原って、地名姓だよ?」
「……战场原是地名姓喔?」
「あー、えっと、そうじゃなくて、僕が言っているのは、ほら、下の名前の方だから」
「啊——呃,不是指那个啦,我说的是,对了,是下面的名字。」
「戦場ヶ原さんの下の名前って、ひたぎ、でしょう? そんな変わってるかな……ひたぎって、確か、土木関係の用語じゃなかったっけ」
「战场原下面的名字,叫做黑仪,对吧?会很奇怪吗……黑仪在我的印象中,好像是土木用语吧。」
「お前は何でも知ってるな……」
「你还真是无所不知呢……」
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」
「我不是无所不知啦,只是刚好知道而已。」
羽川は納得しかねている風だったが、しかし特に追及してくるでもなく、「珍しいね、阿良々木くんが、他人に興味を持つなんて」と言った。
羽川虽然一脸莫名其妙,却也没刻意追问,「真难得啊,阿良良木,居然会对别人感兴趣。」她说。
余計な世話だ、と僕は返した。
少啰嗦,我回嘴道。
羽川翼。
羽川翼。
クラスの委員長である。
是本班的班长。
これがまた、如何にも委員長といった風情の女子で、きっちりとした三つ編みに眼鏡をかけて、規律正しく折り目2正しく、恐ろしく真面目で教師受けも良いという、今や漫画やアニメにおいてさえ絶滅危惧種に指定されそうな存在なのである。今までの人生ずっと委員長をやってきて、きっと卒業した後でも、何らかの委員長であり続けるのではないかと、そう思わせる風格を持つ、つまるところ、委員長の中の委員長である。神に選ばれた委員長ではないかと、真実味たっぷりに噂する者もいるほどだ(僕だけど)。
而且还是个非常符合班长形象的女孩子,绑着整齐的麻花辫加上戴眼镜,循规蹈矩品行端正,个性非常认真,而且在老师之间的风评也很好,这年头恐怕就连在动漫当中,也会被列为濒临绝种的稀有存在。她至今为止的人生都在担任班长,也许毕业以后也会继续担任某种干部——她的品格就是会让人如此联想。简而言之,她就是班长中的班长。「她根本就是被神选上的班长吧?」甚至有人会私下散播如此几可乱真的传闻(那个人就是我)。
一年次、二年次は別のクラスで、この三年次で同じクラスになった。とはいえ、同じクラスになるその以前から、羽川の存在は聞いていた。当たり前だ、戦場ヶ原が学年トップクラスの成績ならば、羽川翼は学年トップの成績なのである。五教科六科目で六百点満点なんて噓みたいなことを平気でやってのけ、そう、これは今でも明確に記憶している、二年生一学期の期末テストで、保健体育及び芸術科目まで含めた全教科で、落としたのは日本史の穴埋め問題一問のみという、とんでもなく化物じみた成果を達成したこともある。そんな有名人、知りたくなくとも勝手に聞こえてくるってものだ。
我和她一、二年级都不同班,升上三年级才分到同一个班上。话虽如此,早在成为同班同学之前,我对羽川的存在便早有耳闻。这是当然的,如果战场原的成绩算全学年名列前茅的话,羽川翼的成绩就是全学年之冠。总共五种学科六项科目,她能够轻松自若地拿下满分六百分这种天方夜谭般的分数。没错,直到现在我还记忆深刻,羽川在二年级上学期的期末考中,甚至达成过包含体育保健和美术科目在内,所有学科仅日本史一题填充题失分这种怪物级的超常成果,如此有名的人物,就算不想知道也会自动传人耳里。
そして。
然后——
たちの悪いことに、いやいいことなのだろうけれど、とにかく迷惑この上ないことに、羽川は、とても面倒見のいい、善良な人間であったのだった。そしてこれは素直にたちの悪いことに、とても思い込みの激しい人間でもあった。過度に真面目な人間にありがちなように、こうと決めたら梃子3でも動かない。春休みに、既に羽川とは、ちょっとした顔合わせが済んでいたのだが、明けてクラス替え、同じクラスになったと知るや否や、彼女は、「きみを更生させてみせます」と、僕に宣言したのである。
而且很糟糕地,呃不对,这应该是好事吧,总之让人极为困扰的一点是,羽川是个非常心地善良,喜欢照顾人的女孩。然后更糟糕的是,她同时也是个非常择善固执的人。过度认真的人都有一个共通点,就是一旦下定决心,就算是用卡车来拉也拉不动。虽然在春假期间,我已经和羽川稍微照过面,但等到学期开始重新编班,她一知道我们分到同一个班级,立刻就对我宣告说:「我会让你重获新生。」
別に不良でもなければさして問題児でもない、クラスにおける置物のような存在だと、己自身を評価していた僕にとって、彼女のその宣言は正に青天の霹靂だったが、いくら説得しても羽川の妄想じみた思い込みはとどまることを知らず、あれよあれよと僕はクラスの副委員長に任命され、そして現在、五月八日の放課後、六月半ばに行われる予定の文化祭の計画を、教室に残って羽川と二人、練っているというわけだった。
我并非不良少年,更不是问题儿童,在班上的存在就像装饰品一样,对于向来如此评价自己的我而言,她那番宣告简直是晴天霹雳。然而任凭我怎么劝说,羽川那带有妄想的信念仍旧没有停止,还莫名其妙地任命我为副班长,于是现在,五月八日放学后,为了六月中旬预定要举办的文化祭,我跟羽川两人留在教室里,正在讨论着活动企划。
「文化祭っていっても、私達、もう三年生だからね。さしてすることもないんだけれど。受験勉強の方が大事だし」
「我们也已经升上三年级了,就算是文化祭,也没必要花太多功夫吧。毕竟还是用功念书准备考试比较重要。」
羽川は言う。
羽川说道。
当然のように文化祭よりも受験勉強を優先させて考える辺り、委員長の中の委員長である。
理所当然地认为读书考试优先于文化祭,她果真是班长中的班长。
「漠然としたアンケートじゃ意見がばらけちゃって時間がもったいないから、あらかじめ私達で候補を絞って、その中から、みんなの投票で決定するっていうので、いいかな?」
「如果用主题不明确的问卷调查,只会得到杂乱无章的意见而且又浪费时间,不如我们先设定好选项,再让大家从中投票表决,这样好不好?」
「いいんじゃないのか? 一見民主主義っぽくて」。
「不错啊?乍看之下还挺民主的。」
「相変わらず嫌な言い方するよね、阿良々木くんは。ひねてるっていうか」
「你的说法还是一样让人讨厌呢,阿良良木,这就叫性格乖僻吗?」
「ひねてなんかない。やめろ、人をむやみにトンガリ4呼ばわりするな」
「我才不乖僻呢。省省吧,别动不动就说人性格扭曲。」
「参考までに、阿良々木くんは、去年一昨年、文化祭の出し物、何だった?」
「说来参考一下,阿良良木,去年跟前年的文化祭,你们班推出过什么活动?」
「お化け屋敷と、喫茶店」。
「鬼屋和咖啡店。」
「定番だね。定番過ぎる。平凡といってもいいかも」
「真普通啊,实在太普通了,可以说是平凡吧。」
「まあね」
「还好啦。」
「凡俗といってもいいかも」
「或许也可以说是俗气。」
「そこまでは言うな」
「用不着说得这么难听。」
「あはは」
「啊哈哈。」
「大体──平凡な方が、でも、この場合はよくないか? お客さんだけじゃなくて、こっちも楽しまなくちゃならねえってんだから……ん。そう言えば、戦場ヶ原は──文化祭にも、参加してなかったな」
「话说回来——在这种场合,选择平凡的做法反而比较好不是吗?毕竟不光是要让客人快乐,我们自己也要能乐在其中才行……嗯。这么说来,战场原她——就连文化祭,也从来没参加过呢。」
去年も──一昨年もだ。
去年也是——前年也一样。
いや、文化祭だけではない。およそ行事と呼べるもの──通常授業以外のものには、全くといっていいほど、戦場ヶ原は参加していない。体育祭は勿論、修学旅行にも、野外授業にも、社会科見学にも、何にも、参加していない。激しい活動は医者から禁じられている──とか、なんとかで。今から考えてみればおかしな話である。激しい運動とか言うのならまだしも、活動を禁じられているという、その不自然な物言い──
不,不止是文化祭,几乎所有可称之为活动的事项——所有正课以外的东西,战场原几乎可说是完全不参与。运动会当然不用说了,就连校外教学、户外教学、社会科见习,任何活动她一律不参与。她的理由总是因为被医生严格禁止激烈活动……等等之类的。如今仔细想想,其实这是件很奇怪的事情。假如是禁止激烈「运动」的话还说得过去,但禁止「活动」这个说法,未免太不自然——
しかし、もしも──
但是,假如说——
もしもあれが、僕の錯覚でないとしたら。
假如那件事情,并非我的错觉的话。
戦場ヶ原に、体重がないのだとしたら。
战场原她,如果真的「没有」体重的话。
通常の授業以外の、そう、不特定多数の人間と、ともすれば身体が接触する機会のある、体育の授業などは──絶対に参加するわけにはいかない、対象だろう。
在正常课程以外,没错,会和不特定多数的人群有机会接触到身体的课程——例如体育课等——对她来说,想必是绝对不能参加的活动项目吧。
「そんなに気になるの? 戦場ヶ原さんのこと」
「你很在意战场原同学的事情吗?」
「そういうわけでもないんだけど──」
「也没有啦——」
「病弱な女の子、男子は好きだもんねー。あー、やだやだ。汚らわしい汚らわしい」 からかうようにいう羽川。
「体弱多病的女孩子,果然比较讨男生喜欢呢。唉啊——讨厌讨厌,好肮脏、好污秽喔。」羽川促狭般说道。
割合珍しいテンションだった。
她这兴奋的样子还真难得一见。
「病弱、ねえ」
「体弱多病,是吗……」
病弱というなら──病弱だろう。
如果要说体弱多病——也算体弱多病吧。
いや、しかし、あれは病気なのだろうか?
不,可是那算是一种病吗?
病気でいいのだろうか?
是生病的关系吗?
身体が弱くて、それで必然的に身体が軽くなるというのは、分かりやすい説明だが──既にあれは、そういったレベルでの話ではなかった。
身体虚弱,所以身体必然也会变得比较轻,这样解释非常简单明了——然而那种轻法,已经不是那么简单的事情了。
階段の、ほとんど一番上から、踊り場まで、細身の女子とはいえ、一人の人間が落下したのだ。通常ならば、受け止めた方でさえ、結構な怪我をしかねないようなシチュエーションである。
战场原从楼梯的最顶端,摔落到转角平台,就算她是一个身材纤细的女孩子,但也是个活生生的人。一般而言,这种情况应该就连接住她的人,也可能会伤得不轻。
なのに──衝撃はほとんどなかった。
然而却——我几乎感受不到冲击。
「でも、戦場ヶ原さんのことなら、阿良々木くんの方がよく知ってるんじゃないのかな? 私なんかに訊くよりさ。なんったって、三年連続で同じクラスだっていうんだから」
「不过,战场原同学的事情,阿良良木应该比我还清楚不是吗?毕竟你和她同班了三年啊。」
「そう言われりゃ、確かにそうなんだが──女の子の事情は、女の子の方が知ってるかと思って」
「的确,你说的没错——我只是想说女生的私事,问女孩子可能会比较知道。」
「事情って……」 羽川は苦笑した。「女の子に事情なんてものがあるとしたら、それこそおいそれ5と教えてあげるわけにゃいかないでしょうが、男の子に」
「女生的私事……」羽川苦笑道。「女生假如真有什么私事,那也不能随便告诉你们男生吧。」
「そりゃそうだ」
「说得也对。」
当たり前だった。
这是当然的。
「だからまあ、クラスの副委員長が、副委員長として、クラスの委員長に質問しているんだと思ってくれ。戦場ヶ原って、どんな奴なんだ?」
「所以咯,就请你当作本班的副班长,以副班长的身份向班长提出询问。战场原这位同学,是个什么样的人?」
「そうくるか」
「来这一招吗?」
羽川は、話をしながらも進めていた走り書きを止め(お化け屋敷、喫茶店を筆頭に、クラスの出し物の候補を、書いては消し書いては消ししていた)、ふうむ、と手を束ねた。
羽川说着,便停下正在疾书笔尖(她将鬼屋和咖啡厅排在最前面,正在对班上要推出的活动选项,写了又擦擦了又写),沉吟一声,双手交叉在陶前。
「戦場ヶ原、なんて、一見危なっかしい感じの苗字だけど、まあ、何の問題もない、優等生だよ。頭いいし、掃除とか、サボらないし」
「战场原这个姓氏乍看之下感觉很危险,不过呢,她是一个很正常的优等生。头脑很聪明,扫除时间也不会摸鱼偷懒。」
「だろうな。それくらい、僕にもわかる。僕じゃわからないことが、聞きたいんだ」
「是啊,这些我也知道啊。我想问的是,自己不知道的事情。」
「でも、同じクラスになって、まだ、丁度一ヵ月くらいだしね。わかんないってのが、やっぱりかな。ゴールデンウィーク、挟んじゃってるし」。
「可是,我和她同班也才刚满一个月而已,不清楚也是应该的吧。况且中间还隔着黄金周。」
「ゴールデンウィークね」
「黄金周啊……」
「ん? ゴールデンウィークがどうかした?」
「嗯?黄金周怎么了吗?」
「どうもしない。続けて」
「没什么。你继续说吧。」
「ああ……そうだね。戦場ヶ原さん、言葉数も多い方じゃないし──友達も、全然、いないみたい。色々、声かけてはみてるけど、彼女の方から、壁作っちゃってる感じで──」
「啊啊……对了,战场原同学,是个沉默寡言的人——而且好像也没有半个朋友。我试过用各种方式和她攀谈,可是她似乎主动在自己四周,筑起了一道墙——」
「………………」
さすが、面倒見のいいことだ。
果然不愧是,喜欢照顾人的班长。
無論、それを見込んでの、質問だったのだが。
当然,我也是看准这点,才会来问她的。
「あれは──本当に難しいわ」
「那道墙还真是——相当难突破呢。」
羽川は、言った。
羽川如此说道。
重い響きで。
以沉重的语气。
「やっぱり病気の所為なのかな。中学生のときは、もっと元気一杯で、明るい子だったんだけどね」
「是因为生病的关系吗。我记得在国中的时候,他明明是个活力充沛、性格开朗的女孩子呢。」
「……中学生のときって──羽川、戦場ヶ原と同じ中学だったのか?」
「……国中的时候——羽川,你跟战场原以前是同一所国中吗?」
「え? あれ、それを知ってて私に訊いたんじゃないの?」
「咦?奇怪,你不是知道这件事情才来问我的吗?」
こっちが意外だというような表情を、羽川は浮かべる。
羽川浮现出比我还要惊讶的表情。
「うん、そうだよ。同じ中学出身。公立清風中学。もっとも、同じクラスだったことは、やっぱりないけれど──戦場ヶ原さん、有名だったから」
「嗯,对啊,我们是同一所国中毕业的,公立清风国中。其实我们以前没有同班过——不过,战场原同学非常有名。」
お前よりもか、と言いかけて、とどまる。羽川は、有名人扱いされるのを、ことのほか嫌うのだ。正直自覚が足りないとは思うが、本人は自分のことを『ちょっと真面目なだけが取り柄の普通の女の子』程度にしか捉えていないらしい。勉強なんて頑張れば誰でもできるというお題目を、本気で信じているのである。
比你还有名吗,我正想这么说,话到嘴边却止住了。羽川非常讨厌被当成名人看待。虽然我心底认为她实在缺乏自觉,但她本人似乎认为自己只是个「只有认真读书还算可取之处的普通女孩」。只要肯努力谁都可以把书念好,她对这种主张深信不疑。
「すごく綺麗だったし、運動もできたから」
「因为她非常漂亮,而且又擅长运动。」
「運動も……」
「擅长运动……」
「陸上部のスターだったんだよ。記録も、いくつか残ってるはず」
「她以前可是田径社的王牌选手喔。应该也留下一些纪录。」
「陸上部──か」
「田径社——是吗?」
つまり。
也就是说,
中学時代は、あんな風ではなかったということ。
国中时代的她,并非那个样子。
元気一杯で、明るい──というのも、正直言って、今の戦場ヶ原からは、全く想像ができない。
活力充沛,性格开朗——坦白讲,以现在的战场原来说,完全无法想象。
「だから、話だけなら、色々聞いたもんだったよ」
「所以,如果是传闻的话,我听说过不少喔。」
「話って?」
「什么样的传闻?」
「すごく人当たりのいい、いい人だって話。わけ隔てなく誰にでも優しいって、そこまで言えば言い過ぎじゃないのかってくらい、いい人で、しかも努力家だって話。なんか、お父さんが外資系の企業のお偉いさんらしくって、おうちもすごい豪邸で、すごいお金持ちなんだけれど、それでも全然気取ったところがないんだって話。高みにあって、更に高みを目指しているって話」
「听说她很擅长待人接物,是个很好相处的人。对谁都一视同仁,亲切温柔,人好到会让人觉得有点过头,而且又是个努力上进的好学生。还有,听说她父亲是外资企业的大人物,家里非常有钱,住在非常气派的豪宅,但她却连一点架子也没有。虽然她已经很优秀了,但还是不断地在精益求精。」
「超人みたいな奴だな」
「听起来简直就像超人嘛。」
まあ、その辺は、話半分なのだろうけれど。
算了,其中多半是加油添醋的吧。
噂は噂。
传闻毕竟只是传闻。
「全部、当時の話だけれどね」
「这全部都是,当时的事情。」
「……当時」
「……当时?」
「高校に入って、身体を壊した、みたいなことは、一応、聞いてはいたんだけれど──それでも、だから、実を言うと、今年、同じクラスになって、びっくりした。間違っても、あんな、クラスの隅の方にいる人じゃなかったはずだもの」
「升上高中以后,就听说她身体健康出了状况——可是,坦白说,今年我们同班,见到她本人的时候,我吓了一跳。她绝对不是那种会独自坐在教室角落的人啊。」
私の勝手なイメージの話だけれど、と羽川。
虽然这只是我个人一厢情愿的想法啦,羽川说。
確かに勝手なイメージなのだろう。
的确算是一厢情愿的印象吧。
人は変わる。中学生の頃と高校生の今じゃ、訳が違う。僕だってそうだし、羽川だってそうだ。だから戦場ヶ原だって、そうだろう。戦場ヶ原だって、色々あっただろうし、本当に、戦場ヶ原は身体を壊しただけなのかもしれない。その所為で、明るかった性格を失っただけなのかもしれない。元気を一杯、失ったのかもしれない。身体が弱っているときは、誰だって弱気になるものだ。もとが活発だったというのなら、なおさらである。だから、その推測が、きっと正しいのだろう。
人是会改变的。国中时期跟升上高中后的现在,不可同日而语。我也是,羽川也一样,所以想必战场原,也是一样的吧。战场原应该也经历过许多事情,或许她真的只是身体健康出状况而已。又或许她是因为那样,才失去开朗的性格、失去了所有的活力也说不定。毕竟身体虚弱的时候,任谁都会变得沮丧低潮。如果她原本个性活泼的话,那落差就会更明显。所以,如此推测,肯定是正确的吧。
今朝のことさえなければ。
假如没有发生今天早上那件事情的话,
そう言える。
就能够如此断定。
「でも──こんなことを言っちゃいけないんだろうけれど、戦場ヶ原さん」
「不过——虽然这样讲好像不太对,但是战场原她——」
「何」
「怎样?」
「今の方が──昔より、ずっと綺麗、なんだよね」
「现在反而——比以前又更漂亮了呢。」
「存在が──とても、儚げで」
「有一种——非常虚无缥缈的存在感。」
沈黙するに──十分な言葉だった。 それは。
这句话,足以——令人沉默。
存在が儚げ。
虚无缥缈的存在感。
存在感が──ない。
没有——存在感。
幽霊のように?
就像幽灵一样?
戦場ヶ原ひたぎ。
战场原黑仪。
病弱な少女。
体弱多病的少女。
体重のない──彼女。
没有体重的——她。
噂は──噂。
传闻只是——传闻。
都市伝説。
都市传说。
街談巷説。
街谈巷说。
道聴塗説。
道听途说。
話半分──か。
加油添醋——是吗?
「……あー。そうだ、思い出した」
「……啊——对了,我想起来了。」
「え?」
「咦?」
「僕、忍野に呼ばれてるんだった」
「忍野叫我去找他。」
「忍野さんに? 何で?」
「忍野先生?有什么事吗?」
「ちょっと──まあ、仕事の手伝いを」
「只是稍微——呃,帮他做一点事情。」
「ふ、ううん?」
「哦,唔嗯?」
羽川は微妙な反応を見せる。
羽川露出微妙的反应。 いきなりの話題の切り替え──というか、露骨なまでの切り上げ方に、不審を覚えているようだ。仕事の手伝いという微妙な言い方も、その疑いに拍車をかけているのだろう。これだから、頭のいい奴の相手は苦手だ。
我突然转移话题——应该说,用很露骨方式结束话题,似乎她感到很可疑。帮他做一点事情这种微妙的说词,大概更提高了可疑度吧。所以说,我对脑筋太好的家伙实在很棘手。
察してくれてもよさそうなものなのに。
她应该体谅一下我的心情才对。
僕は席を立ちつつ、半ば強引に続けた。
我从座位上站起来,半强制地接着说。
「というわけで、僕、もう帰らなくちゃいけないんだった。羽川、後、任せていいか?」
「所以,我必须先离开了,羽川,剩下的就交给你可以吗?」
「埋め合わせをすると約束できるなら、今日はいいわ。大した仕事も残ってないし、今日は勘弁してあげる。忍野さんを待たせても悪いしね」
「如果你能答应我下次会补回进度的话,今天就算了。反正接下来也没什么重要的工作,今天就放过你吧。何况让忍野先生干等也不太好意思。」
羽川は、それでもとりあえず、そう言ってくれた。忍野の名前が効いたらしい。僕にとってそうであるように、羽川にとっても忍野は恩人にあたるので、不義理は絶対に有り得ないのだろう。まあ勿論、その辺は計算ずくだけれど、まるっきり噓というわけでもない。
羽川姑且这么说,没再向我追究。看样子搬出忍野的名字似乎奏效了。忍野对我而言是恩人,这点对羽川来说也是一样,因此她绝对不会忘恩负义。当然,这部分也在我的计算当中,不过我并非全都在撒谎。
「じゃあ、出し物の候補は、私が全部決めちゃっていい? 後で一応、確認だけはしてもらうけれど」
「那么,要推出的活动选项就由我全权决定咯?之后你只要形式上负责确认一下就好。」
「ああ。任せる」
「好,都交给你了。」
「忍野さんによろしくね」
「替我向忍野先生问好。」
「伝えとくよ」
「我会的。」
そして僕は教室から外に出た。
然后,我便走出了教室。
003
教室から出、後ろ手で扉を閉じ、一歩進んだところで、背中から、
我离开教室,反手将门关上,才刚踏出一步——
「羽川さんと何を話していたの?」
「你跟羽川同学聊了什么?」
と、声を掛けられた。
突然有人从身后叫住我。
振り向く。
我回过头去。
振り向くときには、まだ僕は、相手が誰だか把握できていない──聞き覚えのない声だった。しかし聞いたことのある声ではあった。そう、授業中に教師に当てられて、決まり文句のように発する、か細い『わかりません』──
转头一看的同时,我还来不及看清楚对方是谁——那声音我虽然不熟悉,但却似曾相识。对了,某人在课堂上被老师点到时,总会如口头禅般,用极其细微的声音回答「不知道」——
「動かないで」
「不准动。」
その二言目で、相手が戦場ヶ原であることを僕は知る。僕が振り向いたその瞬間、狙い澄ましたように、まるで隙間を通すように、僕の口腔内に、たっぷりと伸ばしたカッターナイフの刃を、戦場ヶ原が通したことも──知った。
凭这第二句话,我得知对方是战场原。而就在我回过头的瞬间,我也感受到战场原将一把完全推到底的美工刀片,彷佛精确瞄准过,宛如钻过缝隙一般,插进了我的口腔内部。
カッターナイフの刃が。
美工刀的刀片,
僕の左頰内側の肉に、ぴたりと触れる。 「…………っ!」
紧贴在我左边脸颊,内侧的肌肉上。 「…………!」
「ああ、違うわ──『動いてもいいけれど、とても危険よ』というのが、正しかったのね」
「啊,不对——应该这么说,你要动也是可以,只不过很危险才对。」
加減しているのでもない、しかしかといって乱暴にしているのでもない、そんなぎりぎりの強さで──刃は、僕の頰肉を、引き伸ばす。
她并未斟酌施力,却也没有粗鲁暴力,以一触即发的力道——用刀片。缓缓扯动我脸颊内侧的肌肉。
僕としては、もう間抜けのように、大きく口を開いて、微動だにせず、戦場ヶ原の忠告通り──動かずにいることしか──できなかった。
而我,就像呆子似地,张大了嘴,丝毫不敢轻举妄动,只能听从战场原的忠告——站在原地动也不敢动。
怖い。
好可怕。
と、思った。
我心想。
カッターナイフの刃が──ではない。
可怕的并不是——美工刀的刀刃。
僕にそんな真似をしておきながら、ちっとも揺るがない、ぞっとするくらいに冷えた視線で──僕を見つめる戦場ヶ原ひたぎが、怖かった。
而是对我做出如此举动,却丝毫面不改色,还以令人不寒而栗的冰冷视线——注视着我的战场原黑仪,让我感觉好可怕。
こんな──
她是这种——
こんな剣吞な目をした、奴だったのか。
这种眼神如此危险的人吗?
確信した。
我确信了一件事。
今、僕の左頰の内側に添えられているカッターナイフの刃が、潰されてもおらず、絶対に峰でもないということを、戦場ヶ原のその目を見ることで、僕は確信した。
此刻紧贴在我左边脸颊内侧的美工刀,既没有任何破损,也绝对不是刀背,看见战场原那双眼睛,我就确信了。
「好奇心というのは全くゴキブリみたいね──人の触れられたくない秘密ばかりに、こぞって寄ってくる。鬱陶しくてたまらないわ。神経に触れるのよ、つまらない虫けらごときが」
「所谓的好奇心简直就像蟑螂一样——只会偷偷爬近别人不想被碰触的秘密,烦都烦死了。就跟无聊的小虫子没两样,让人神经过敏。」
「……お、おい──」
「……喂,喂——」
「何よ。右っ側が寂しいの? だったらそう言ってくれればいいのに」
「干么,右边脸颊会寂寞是吗?那直说不就得了。」
カッターナイフを持っている右手とは反対の左手を、戦場ヶ原は振り上げる。その素早さに、平手打ちでもされるのかと僕は、歯を食いしばらないように身構えたが、しかし、違った。そうではなかった。
右手拿着美工刀的战场原,举起了反向的左手。那飞快的速度,让我以为会被打一个耳光,因此全身戒备以防自己不慎咬紧牙根。只不过,我错了。
戦場ヶ原は左手にはホッチキスを持っていた。
战场原左手拿着订书机。
それがはっきりと視認できるよりも先に、彼女はそれを、僕の口の中に差し込んだ。勿論ホッチキスの全部を差し込んだわけではない、そうしてくれていたらむしろよかった、戦場ヶ原は、僕の右頰肉を、ホッチキスで挟み込むように──綴じる形で、差し込んだのだ。
早在视线清楚捕捉到以前,她已经将那东西塞入我口中了。当然她并非把整支订书机给塞进来,要是这样反而还比较好。战场原是用订书机,将我右边脸颊给夹住——以钉东西的方式,插在我口中。
そして、緩く──挟まれる。
然后,缓缓地——夹紧。
綴じる、ように。
彷佛要,将肉钉起来。
「か……は」
「啊……呜——」
体積の大きい頭の方、つまり、ホッチキスの針が装塡されている側を入れられているため、僕の口の中は大入り満員状態で、当然のように、言葉を発することができなくなる。カッターだけなら、動けないまでもまだ喋ることはできたのだろうが──今はもう、それを試す気にもならない。考えたくも無い。
体积比较大的一边,换句话说就是装满钉书针的那一头被塞进来,因此我的口中呈爆满状态,当然无法发言了。假如只有一把美工刀,就算无法动弹或许还能说话——但现在我已经连试都不想试,想都不敢想。
まず薄くて鋭いカッターナイフを差し込むことで大口を開けさせ、そこにすかさず6ホッチキスを続ける──隅々まで計算された、恐ろしい手際の良さだった。
她先把轻薄锐利的美工刀插入我的口中,迫使我张大嘴巴,随即再趁机插入订书机——经过缜密计算,手法高明到恐怖的境界。
畜生、口の中にこんな色々突っ込まれたことなんて、中学一年生の頃に永久歯7の虫歯の治療を受けて以来だ。あれから、二度とそんなことがないように、毎朝毎晩毎食後、歯を磨き続け、キシリトール8入りのガムをかみ続けてきたというのに、それがまさかこんなことになろうとは。
可恶,口中被塞入一堆东西,这种事情从国一恒齿蛀牙去接受治疗以后,就没再发生过了。从那次之后,为了不让相同的事情再度发生,每天早晚三餐饭后,我都勤于刷牙,并且持续嚼含有木糖醇的口香糖,结果没想到居然会变成这样。
なんて足元のすくわれ方だ。
简直是阴沟里翻船。
またたく間に──この状況。
转瞬间——演变成这种情况。
つい壁一枚隔てた向こう側で、羽川が文化祭の出し物の候補を決めているだなんて、とても思えないような異常空間が、何の変哲も無い私立高校の廊下において、形成されていた。
就在一墙之隔的后方,羽川正在决定文化祭要推出的活动候选名单,而在这平凡无奇的私立高中走廊上,却形成了这种让人难以想象的异常空间。
羽川……。
羽川……
何が『一見危なっかしい感じの苗字だけど』だ。
什么叫做「乍看之下感觉很危险」。
思いっきり名前通りの女じゃないか……。
这女人根本就是人如其名好不好……
あいつも案外人を見る目がないなあ!
羽川那家伙意外地没有识人的眼光!
「羽川さんに私の中学時代の話を聞いたところで、次は担任の保科先生かしら? それとも一足飛ばしに、保健の春上先生のところへ行ってみる?」
「你向羽川同学打听完我国中时候的事情,接下来是不是要去找班导保科老师?还是要三步并两步,直接跑去找保健室的春上医师问看看?」
「………………」
喋れない。
我无法说话。
そんな僕をどう見ているのか、戦場ヶ原は、やれやれといった風に、大仰にため息をつく。
战场原不知是如何看待这样的我,一副伤脑筋的模样,夸张地叹了口气。
「全く私も迂闊だったわ。『階段を昇る』という行為には人一倍気を遣っているというのに、この有様。百日の説法屁一つとはよく言ったものだわ」
「真是的,我也太大意了。我明明在『爬楼梯』这个动作上比别人多留心了一倍,还落得这种下场。过去的努力都是屁,前功尽弃这句话说得还真好啊。」
こんな状況でも花も恥じらう十代の乙女が屁という言葉を口にすることに抵抗を覚える僕は案外いい奴なんじゃないかと思った。
即使在这种情况下,我听见一名闭月羞花的十几岁少女把屁这个字眼挂在嘴上讲,还是会感到抗拒,没想到我这家伙也挺有格调的。
「まさかあんなところにバナナの皮が落ちているだなんて、思いもしなかったわ」「………………」
「我想都没想过,居然会有香蕉皮掉在那种地方。」
僕は今バナナの皮で足を滑らす女に活殺自在。
我此刻正被一名踩到香蕉皮滑倒的女子掌握生杀大权。
ていうかなんでそんなものが学校の階段に。
重点是那种东西为什么会出现在学校楼梯上。
「気付いているんでしょう?」
「你发现了吧?」
戦場ヶ原は僕に問う。
战场原朝我问道。
つきは、剣吞なままだ。
眼神依然,充满危险性。
こんな深窓の令嬢がいてたまるか。
这种千金小姐谁受得了。
「そう、私には──重さがない」
「没错,我——没有体重。」
体重が、ない。
没有,体重。
「といっても、全くないというわけではないのよ──私の身長・体格だと、平均体重は四十キロ後半強というところらしいのだけれど」
「不过也不是完全没有——只是以我的身高体型来看,平均体重应该是比四十五公斤再多一点。」
五十キロらしい。
似乎是五十公斤。
左頰が内側から伸ばされ、右頰肉が圧迫された。
突然,我的左边脸颊内侧被扯动,右边脸颊遭到压迫。
「…………っ!」
「変な想像は許さないわよ。今私のヌードを思い浮かべたでしょう」
「不许产生奇怪的联想,刚才你脑中浮现了我的裸体对吧。」
全然違うが、結果的には鋭かった。
尽管完全不对,但就结果而论她的感觉很犀利。
「四十キロ後半強というところらしいのだけれど」
「我的平均体重应该是比四十五公斤再多一点。」
戦場ヶ原は主張した。
战场原强调。
譲らないみたいだ。
似乎不肯让步。
「でも、実際の体重は、五キロ」
「然而,实际体重却只有,五公斤。」
五キロ。
五公斤。
生まれたばかりの赤子と、そう変わらない。
与刚出生的婴儿,没差多少。
五キロのダンベルを思い浮かべれば、一概にゼロに近いといえるほどの数字ではないが、しかし五キロという質量が、人間一人の大きさに分散していることを考えれば、密度の問題──実感としては、体重がないも同然だ。
如果将这个数字想象成五公斤的哑铃,大概还不能说是几近于零;然而若将五公斤的质量,分散到一个人类的体积上,考虑到密度的问题——实际上的感觉,等于跟没有体重是一样的。
受け止めるのも、容易い。
要接住也很容易。
「まあ、正確を期すなら、体重計が表示する重量が五キロというだけなのだけれど──本人としては自覚はないわ。四十キロ後半強だった頃も、私自身は、今も、何も変わらない」
「嗯,说正确一点的话,体重计上显示的重量虽然只有五公斤而已——可是我自己察觉不出来。现在的我和四十几公斤的时候,感觉上没有任何变化。」
それは──
那是指——
重力から受ける影響が少ないということなのだろうか?質量ではなく、容積──確か、水の比重が一で、人間もほとんど水で構成されている都合上、比重、密度はおよそ一──単純に考えて、戦場ヶ原はその十分の一の密度であるということになる。
受到重力的影响其实很小的意思吗?并非质量,而是容积——没记错的话,水的比重是一,既然人类的身体几乎都是由水分构成的,比重跟密度也趋近于一——用单纯的角度去想,战场原的密度等于只有正常人的十分之一。
骨密度がそんな数字なら、あっという間に骨粗鬆症だろう。内臓だって脳髄だって、正しくは動作しないはずだ。
假如骨骼密度是这种数字的话,立刻会变成骨质疏松症吧。甚至连内脏和脑髓,也无法正常运作。
だから、そうじゃない。
所以,并非这么一回事。
数字の問題じゃ──ない。
并不是——数字的问题。
「何を考えているかわかるわよ」「…………」
「我知道你在想什么。」
「胸ばかりみて、いやらしい」 「…………っ!」
「一直盯着我胸部看,真恶心。」
断じて考えていない!
我绝对没有胡思乱想!
どうやら戦場ヶ原はかなり自意識の高い女子高生のようだった。それだけ綺麗な容姿をしていれば無理もないが──爪の垢でも煎じて、壁の向こうで仕事をしている委員長に飲ませてあげたい。
……看来战场原是个自我意识强烈的高中女生。这也难怪,毕竟有着如此美丽的容貌——真想叫墙壁另一端正埋首工作的班长,多多向她看齐。
「底の浅い人間はこれだから嫌になるわ」
「就是因为这样我才讨厌肤浅的人。」
この状況では、どうも、誤解を解くのは不可能のようだとして──ともかく、僕が考えていたのは、戦場ヶ原は、つまり、病弱とは縁遠い、与えられている立ち位置がまるで看板違いな身体であるということだ。体重が五キロだなんて、それこそ病弱どころか貧弱であるはずなのに、そうじゃない。どころか──強いて言うなら、重力が十倍の星から地球にやってきた宇宙人みたいなものだろう、かなり、運動能力は高いはずだ。元々、陸上部だったというのだから、尚更である。ぶつかり合いに向いていないのは確かだろうが……。
以眼前的状况看来,要解开误会似乎不太可能——但总而言之,刚才我脑中想的是,战场原她,和所谓的体弱多病相去甚远,拥有的身体和被赋予的形象,根本完全不符。体重只有五公斤,照理说岂止体弱多病,应该会体虚瘦弱才对,然而却不足这样。非但如此——硬要比喻的话,她就像从十倍重力的行星,来到地球的外星人一样吧,运动能力应该会非常高超。更不用说她原本还是田径社的选手了。虽然她这身体不太适合与人相互碰撞……
「中学校を卒業して、この高校に入る前のことよ」
「那是发生在国中毕业后,进入这所高中以前的事情。」
戦場ヶ原は言った。
战场原说道。
「中学生でも高校生でもない、春休みでもない、中途半端なその時期に──私はこうなったの」
「我在既不是国中生也不是高中生,更不是春假期间的模糊时期——变成了『这个样子』。」
「…………」
「一匹の──蟹に出会って」
「我遇到了——『一只螃蟹』。」
か──蟹?
螃——螃蟹?
蟹と言ったか?
她说螃蟹吗?
蟹って──冬に食べる、あの蟹?
所谓螃蟹——是指冬天吃的,那个螃蟹?
甲殻綱十脚目の──節足動物?
甲壳纲十足目的——节肢动物?
「重さを──根こそぎ、持っていかれたわ」
「全身的重量——被它彻彻底底地带走了。」
「…………」
「ああ、別に理解しなくていいのよ。これ以上かぎまわられたらすごく迷惑だから、喋っただけだから。阿良々木くん。阿良々木くん──ねえ、阿良々木暦くん」
「啊,你不了解也没关系。毕竟你如果再继续探究下去我会非常困扰,所以我只是说说而已,阿良良木。阿良良木——嘿!阿良良木历。」
戦場ヶ原は。
战场原她——
僕の名を、繰り返して、呼んだ。
反复叫着,我的名字。
「私には重さがない──私には重みがない。重みというものが、一切ない。全く困ったものじゃない。さながら『ヨウスケの奇妙な世界』といった有様よ。高橋葉介9、好きかしら?」
「我没有体重——我没有重量。我没有半点可称之为体重的东西。这完全不构成任何困扰。就好像《高桥叶介的奇妙世界》一样喔,高桥叶介你喜欢吗?」
「…………」
「このことを知っているのはね、この学校では、保健の春上先生だけなの。今現在、保健の春上先生だけ。校長の吉城先生も教頭の島先生も学年主任の入中先生も担任の保科先生も知らないわ。春上先生と──それから、あなただけ。阿良々木くん」
「知道这件事情的人,在这间学校里面,只有保健室的春上医生一个人喔。现阶段,只有保健室的春上医生知道而已。就连吉城校长、岛副校长、入中学年主任跟保科导师都不知道。只有春上医生——还有你知道而已。阿良良木。」
「…………」
「さて、私は、あなたに私の秘密を黙っていてもらうために、何をすればいいのかしら? 私は私のために、何をすべきかしら? 『口が裂けても』喋らないと、阿良々木くんに誓ってもらうためには──どうやって『口を封じれば』いいかしら?」
「所以,为了让你保守秘密,我应该怎么做才好呢?我应该为我自己做些什么呢?我该怎么做才能把你『嘴巴封住』,让你发誓『就算嘴巴裂开』也不把这件事情说出去呢?」
カッターナイフ。
美工刀。
ホッチキス。
订书机。
正気か、こいつ──同級生に対して、なんて追い込み方をするんだ。こんな人間がいていいのか? こんな恐ろしい人間と、机を並べて同一空間内に、二年以上もいたのかと思うと、素直に背筋が震える。
这家伙,神智正常吗——对待同班同学,居然如此咄咄逼人。怎么会有这种人啊?我一想到自己居然和如此恐怖的人物同窗长达了两年以上,就不由得背脊发颤。
病院の先生が言うには、原因不明──というより、原因なんかないんじゃないかって。他人の身体をあそこまで屈辱的に弄繰り回して、その結論はお寒いわよね。元から、それがそうであるように、そうであったとしかいえない──なんて」
「我去医院,医生的说法是原因不明——倒不如说,根本没有原因可循吧。他们随便玩弄别人的身体,让人饱受屈辱,最后得到的结论真是令人心寒啊。好像事情打从一开始本来就是这样,也只能解释成这样——讲得好像理所当然。」
戦場ヶ原は自嘲のように言う。
战场原自嘲似地说道。
「あまりに馬鹿馬鹿しいと思わない? 私──中学校までは、普通の、可愛い女の子だったのに」
「你不觉得太荒谬了吗?我明明——到国中毕业为止,都是个普通的可爱女孩啊。」
「………………」
手前で手前のことを可愛いと言い放った事実はひとまず置いておくとして。
姑且撇开你这家伙大言不惭地说自己可爱这件事情不管。
病院に通っているのは、本当だったか。
长期到医院看诊,原来真有其事吗?
遅刻、早退、欠席。
迟到,早退,缺席。
それに──保健の先生。
再加上——保健室的医生。
どんな気分なのだろう、と、考えてみる。
那是什么样的感觉呢,我试着想象。
僕のように──僕のように、ほんの短い、二週間程度の春休みの間だけではなく──高校生になってから、ずっとそうだった、というのは。
她不像我一样——「像我一样,只持续了短暂、仅仅两个礼拜的春假期间」——而是从升上高中以后,就「一直」都是如此。
何を諦め。
要心灰意冷。
何を捨てるのに。
要产生舍弃的念头。
十分な、時間だっただろう。
这段时间,已经十分足够了吧。
「同情してくれるの? お優しいのね」
「你在同情我吗?真是温柔呢。」
戦場ヶ原は、僕の心中を読んだのか、吐き捨てるようにそう言った。汚らわしいとでも、言わんばかりに。
战场原彷佛读透我内心的想法,一脸不屑地说道。只差没直接说真恶心。
「でも私、優しさなんて欲しくないの」
「不过,我不需要什么温柔。」
「…………」
「私が欲しいのは沈黙と無関心だけ。持っているならくれないかしら? ニキビもない折角のほっぺた、大事にしたいでしょう?」
「我所需要的只有保持沉默跟漠不关心而已。如果你有的话,可以给我吗?难得你的脸颊上没有半颗粉刺,你应该也想好好珍惜它吧?」
戦場ヶ原は。
战场原说到这——
そこで、微笑んだ。
忽然,莞尔一笑。
「沈黙と無関心を約束してくれるのなら、二回、頷いて頂戴、阿良々木くん。それ以外の動作は停止でさえ、敵対行為と看做して即座に攻撃に移るわ」
「阿良良木,如果你能答应我会保持沉默而且漠不关心的话,请点头两次。除此之外的一切动作,就算是静止不动,我也会视为敌对行为,马上发动攻击。」
一片の迷いもない言葉だった。
她的言语中没有一丝犹豫。
僕は、選択の余地なく、頷く。
我毫无选择余地,只能点头。
二回、頷いてみせる。
点头两次,向她示意。
「そう」
「是吗?」
戦場ヶ原はそれを見て──安心したようだった。
战场原见状——似乎放下心来。
選択の余地のない、取引とも協定とも言えない、こちらとしては同意するしかない要求だったにもかかわらず──僕がそれに素直に応じたことに、戦場ヶ原は、安心、したようだった。
尽管这个是一个毫无选择余地、完全称不上是交易或协议,对我来说只能同意的要求——但看见我率直地答应了,战场原似乎放下心来。
「ありがとう」
「谢谢你。」
そう言って、まずはカッターナイフを、僕の左頰内側の肉から離し、ゆっくりと、慎重というよりは緩慢な動作で、抜く。その際に、誤って口腔を傷つけないようにと、配慮の感じられる手つきだった。
她说完便将美工刀先从我左边脸颊内侧移开,慢慢地,与其说慎重不如说是以缓慢的动作,抽了出来。在过程当中,我感觉得出来她的手部动作很小心,怕会误伤到我的口腔。
抜いたカッターの、刃を仕舞う。
美工刀抽出来后,她将刀刃收起。
きちきちきちきち、と。
喀啦喀啦喀啦喀啦地。
そして、次はホッチキス。
然后,接着是订书机。
「……ぎぃっ!?」
「……噫!」
がじゃこっ、と。
喀嚓,一声。
信じられないことに。
令人难以置信地。
ホッチキスを──戦場ヶ原は、勢いよく、綴じた。そして、その激しい痛みに反応して、僕がアクションを取る前に、すいっと要領よく、そのホッチキスを、戦場ヶ原は引き抜く。
战场原——将订书机,猛力钉了下去。紧接着,她在我对剧烈疼痛产生反应以前,动作利落地将订书机抽回。
僕は、その場に、崩れるように、蹲った。
我的身体当场有如垮下般,蹲了下来。
外側から頰を抱えるように。
从外侧捧住脸颊。
「ぐ……い、いい」
「呜……噫、噫噫。」
「悲鳴を上げないのね。立派だわ」
「你居然没有惨叫,真了不起呢。」
そ知らぬ顔で── 戦場ヶ原が、上から言った。
战场原她—— 一脸事不关己的模样,在我头顶上说道。
見下すように。
宛如睥睨般。
今回はこれで勘弁してあげる。自分の甘さが嫌になるけれど、約束してくれた以上、誠意をもって応えないとね」
「这次就姑且饶你一命。我很讨厌自己的心软,不过既然你都答应我了,我也要用诚意来回应你吧。」
「……お、お前──」
「……你、你这家伙——」
がじゃこっ。
喀凛。
僕が何か言おうとしたところに、被せるように、戦場ヶ原は、ホッチキスを、音を立てて──中空で、綴じた。
正当我准备开口说话时,战场原让订书机发出声音,仿佛想盖掉我的声音一样——在半空中,订了一下。
変形した針が、僕の目の前に落ちる。
变形的钉书针,掉落在我的眼前。
自然、身が竦んだ。
我不由自主地,缩起身体。
反射という奴だ。
这是所谓的反射动作。
たった一回で──条件反射が組み込まれた。
仅仅一次——我就被植入条件反射了。
「それじゃ、阿良々木くん、明日からは、ちゃんと私のこと、無視してね。よろしくさん」
「那么,阿良良木,从明天起,就请你彻底无视我的存在喔,有劳你了。」
それだけ言って、僕の反応を確認するようなこともなく、戦場ヶ原は踵を返し、すたすたと、廊下を歩いていった。僕が、蹲った姿勢から、何とか立ち上がるよりも前に、角を折れて、その後ろ姿は見えなくなる。
战场原只留下这句话,连确认我的反应也没有,便转身迈步,啪搭啪搭地,迅速从走廊离去。在我勉强从蹲下的姿势站起来以前,她已经拐过转角,连背影都看不见了。
「あ……悪魔みたいな女だ」
「这……这女人简直是恶魔。」
脳味噌の構造が──はなっから、違う。
我俩脑袋的构造——简直有天壤之别。
あの状況にあっても、そうは言っても、実際にやったりはしないのだろうと、どこか僕は、たかをくくっていた。むしろこの場合、あいつがカッターナイフではなくホッチキスの方を選択してくれたことを、幸運と取るべきか。
我以为她在那种状况下,就算说了也不会真的动手——然而我太小看她了。以刚才的情况来说,那家伙不是用美工刀而是选择用订书机,我应该要觉得自己很幸运吧。
先刻までのように痛みを和らげるためではなく、頰の状態を確認するために、そっと、撫でる。
我轻轻抚摸脸颊,不是为了舒缓刚才的疼痛,而是为了确认脸颊的状态。
「………………」
よし。
很好。
大丈夫だ、貫通はしていない。
不要紧,没有被贯穿。
続けて僕は、口の中に、今度は自分の指を差し込む。右頰なので左の指だ。すぐに、それらしき感触に行き当たった。
接着我将自己的手指插入口中——因为是右颊所以用左手——立刻碰到疑似伤口的触感。
全然消えてなくならない、弱くもならない鋭い痛みで、分かりきってはいたことだが──ホッチキスの針は、実は一発目は装塡されていなかった、やっぱりただの脅し脅かしでしたという、平和的な線は、消滅ってわけか……正直、かなり期待していたのだが。
尖锐的疼痛完全没有消退或减弱的迹象,因此我彻底明白了一件事情。订书机其实第一次没有装针,她单纯只是在威胁我——这种和平的想法已经宣告破灭……坦白说,我对这点还颇期待的说。
まあいい。
算了也罢。
貫通していないということは、針は、極端に変形していないということだ……ほとんど、コの字形の直角状態を保っているはず。言うなら返しのついていない形、ならばそれほどの抵抗なく、力任せに引き抜けるはずだ。
既然没有被贯穿,就表示钉书针没有彻底变形……应该还维持着门字型的直角状态。换言之就是没有变成弯钩,所以只要用力应该就可以轻松地将它拔出。
人さし指と親指で摘んで、一気に。
我用食指跟拇指掐住,一鼓作气。
鋭い痛みに、鈍い味が加わった。
尖锐的痛觉,加上模糊的味道。
血が噴き出したらしい。
似乎有血喷出来了。
「……くあぁ……」
「……呃啊……」
大丈夫。
没关系。
この程度なら──僕は大丈夫。
只有这点程度的话——我没关系。
べろで、頰の内側にできた二つの傷穴を、舐めるようにしながら、僕は抜き取ったホッチキスの針を、そのまま折り曲げて、学ラン10のポケットに入れた。さっき戦場ヶ原が落とした針も、拾って、同じようにした。誰かが裸足で踏んだりしたら危険だ。もう僕にはホッチキスの針がマグナム弾と同じようにしか見えなかった。
我一面用舌头舔过脸颊内侧被刺破的两道伤口,一面将拔出来的钉书针折弯,收入制服口袋,连同刚才战场原掉落的钉书针也一并捡起,同样收进口袋内。万一有人赤着脚踩到的话会很危险。在我眼中,钉书针已经和麦格农子弹等级相当了。
「あれ? 阿良々木くん、まだいたの?」
「咦?阿良良木,你怎么还在这里?」
していると、教室から羽川が出てきた。
就在此时,羽川从教室走了出来。
どうやら作業は終わったらしい。
看样子工作已经结束。
ちょっと遅い。
她稍微晚了一步。
いや、ナイスタイミングというべきか。
不,应该说这个时机正好吗。
「忍野さんのところ、早くいかなくていいの?」
「你不是要赶去忍野先生那边吗?」
疑問そうに言う羽川。
羽川一脸疑惑地说。
何も悟ってない風だった。
似乎什么也没察觉到。
壁一枚向こう側──そう、全く、こんな薄い、壁一枚向こう側なのだ。それなのに、羽川に全く悟らせずに、あれだけの荒業をやってのけた戦場ヶ原ひたぎ、やはり──只者ではない。
一墙之隔——没错,如此薄弱的一墙之隔。尽管如此,战场原黑仪却能在丝毫下被羽川察觉的情况下,做出那样凶狠的行径,她——果然不是简单人物。
「羽川……お前、バナナ、好きか」
「羽川……你喜欢吃香蕉吗?」
「え? まあ、別に嫌いじゃないけれど。栄養価高いし、好きか嫌いかでいえば、うん、好きかな」
「咦?呃,不讨厌就是了。毕竟香蕉的营养价值很高,要说喜欢或讨厌的话,嗯。算喜欢吧。」
「どんな好きでも校内では絶対に食べるなよ!」「は、はあ?」
「就算再怎么喜欢也绝对不准在学校里面吃喔!」
「食べるだけならまだいい、残った皮を階段にポイ捨てしてみろ、僕はお前を絶対に許さない!」
「只有吃也就算了,香蕉皮敢随便丢在楼梯间试试看,我绝对不会饶过你!」
「一体何を言っているの阿良々木くん!?」
「你到底在说什么啊?」
手を口に当て、戸惑いの表情の羽川。
羽川以手掩口,一头雾水的表情。
そりゃそうだろう。
这也难怪。
「それより阿良々木くん、忍野さんの──」
「那阿良良木,忍野先生那边——」
「忍野のところへは──これから行くんだよ」
「忍野先生那边——我正要赶过去。」
そう言って。
我说。
僕はそう言って、羽川の脇を抜けるように、一息に、駆け出した。「あー! こら、阿良々木くん、廊下を走っちゃ駄目! 先生に言いつけちゃうよ!」と、後ろから羽川の、そんな声が聞こえたが、当然のように黙殺する。
我如此说完,便从羽川身旁通过,一口气往前冲。「啊——!唉呀,阿良良木,不可以在走廊上奔跑!我要跟老师说喔!」羽川的声音从背后传来,当然我充耳不闻。
走る。
奔跑。
とにかく、走る。
不顾一切地,奔跑。
角を折れたところで、階段。
拐过转角,立刻就是楼梯。
ここは四階。
这里是四楼。
まだ、そう離れていないはずだ。
她应该还没有走远。
ホップ、ステップ、ジャンプのように、二段、三段、四段飛ばしで階段を飛び下りて──踊り場で着地。
我用三级跳远 HOP、STEP、JUMP 的方式,一举跨过两阶、三阶、四阶,快速跃下阶梯——在转角平台着地。
衝撃が脚に来る。
冲击朝双脚袭来。
体重分の衝撃だ。
体重造成的冲击。
こんな衝撃も──
这样的冲击——
だから、戦場ヶ原には、ないのだろう。
战场原应该也不会有吧。
重さが無い。
没有重量。
重みが無い。
没有负担。
それは──足元が覚束ないということ。
换言之——就是脚步不踏实的意思。
蟹。
螃蟹。
蟹と──彼女は言った。
我遇到了一只螃蟹,她说。
「こっちじゃ、なくて──こっちか」
「不是这边——所以是这边吗?」
まさか今から、横に折れたりはしないだろう。追いかけてくると思っているわけもない、素直に縦に、校門に向かっているはずだ。部活も、どうせ帰宅部に決まっている、仮に何らかの何らかに属していたとしても、こんな時間から始まる活動なんて有り得ない。そう決め付けて、僕は三階から二階へ、躊躇無く、階段を降りる。飛び降りる。
战场原应该不会转进走廊吧,她没料想到我会追上来,应该会这节往下走,朝校门口前进才对。反正她一定没参加社团活动,即使有加入任何社团,也不可能到这时间才开始活动。如此判定后,我毫不犹豫地,从三楼冲下二楼,快步跑下阶梯。
そして二階から一階への踊り場。
然后来到二楼通往一楼的转角。
戦場ヶ原は、そこにいた。
战场原她,就站在那里。
どたばた音をさせながら、転がるように追いかけたのだ、既に察していたのだろう、こちらに背中を向けてはいるものの、既に、振り返っている。
我一路发出劈里啪啦的声响,快步地追了上来。她想必已经察觉到了吧,虽然仍背对着我,但已经回过头来看了。
冷めた目で。
用冰冷的眼神。
「……呆れたわ」
「……真是想不到。」
そう言う。
她这么说。
「いえ、ここは素直に驚いたというべきね。あれだけのことをされておいて、すぐに反抗精神を立ち上げることができたのなんて、覚えている限りではあなたが初めてよ、阿良々木くん」
「不,应该说实在惊人啊。被我那样恐吓,还能在第一时间兴起反抗的念头,就我记忆所及范围来说你是第一个呢,阿良良木。」
「初めてって……」
「什么叫第一个……」
他でもやってたのかよ。
她以前也干过类似的事情吗?
百日の説法とか言ってた癖に。
刚才还说什么前功尽弃。
でも、確かに、考えてみれば、『体重が無い』なんて、触れられればそれですぐにバレてしまうような秘密を、完全に守り通すなんてこと、現実的には不可能だよな……。
不过,仔细想想,像「没有体重」这种只要一被人摸到就立刻会曝光的秘密,要完全守住不露馅,在现实当中是不可能的吧……
そう言えば『今現在』って言ってた、こいつ。
这么说来,她刚才也说过「现阶段」这个字眼。
本当に悪魔なのかもしれない。
搞不好这家伙真的是恶魔。
「それに、口の中の痛みって、そう簡単に回復するようなものじゃないはずなのだけれど。普通、十分はその場から動けないのに」
「而且,你口中的疼痛应该没有那么容易恢复才对。正常来说,至少会有十分钟动弹不得才对。」
経験者の台詞だった。
来自经验者的台词。
怖過ぎる。
太可怕了。
「いいわ。分かった。分かりました、阿良々木くん。『やられたらやり返す』というその態度は私の正義に反するものではありません。だから、その覚悟があるというのなら」
「无所谓,我知道了。我明白你的意思了,阿良良木。『以牙还牙以眼还眼』的态度并不违反我的正义原则,所以,如果你已经有所觉悟的话——」
戦場ヶ原はそう言って。
战场原说道这里。
両腕を、左右に、広げた。
便将双手,左右展开。
「戦争を、しましょう」
「那就,开战吧。」
その両手には──カッターナイフとホッチキスを始めに、様々な文房具が、握られていた。先の尖ったHBの鉛筆、コンパス、三色ボールペン、シャープペンシル、アロンアルフア、輪ゴム、ゼムクリップ、目玉クリップ、ガチャック、油性マジック、安全ピン、万年筆、修正液、鋏、セロハンテープ、ソーイングセット、ペーパーナイフ、二等辺三角形の三角定規、三十センチ定規、分度器、液体のり、各種彫刻刀、絵の具、文鎮、墨汁。
他的两只手里——握着美工刀与订书机……等各式各样的文具。前端尖锐的 HB 铅笔、圆规、三色原子笔、自动铅笔、瞬间接着剂、橡皮筋、回纹针、不锈钢夹、打洞机、油性麦克笔、别针、钢笔、修正液、剪刀、透明胶带、针线缝纫组、拆信刀、等腰三角形的三角板、三十公分直尺、量角器、胶水、各种雕刻刀、画具、文镇、墨汁。
…………。
将来、こいつと同じクラスだったという事実だけで、世間から謂れなき迫害を受けてしまうような予感がした。
我有一种预感,光是跟这家伙同伴这件事实,将来就会让我在社会上遭受到世人无妄的迫害。
個人的にはアロンアルフアが一番デンジャラス。
就个人立场而言,瞬间接着剂是最危险的一款。
「ち……違う違う。戦争はしない」
「不……不对不对,我没有要开战。」
「しないの? なあんだ」
「没有?搞什么嘛。」
どこか残念そうな響きだった。
她的语气感觉有些遗憾。
しかし広げた両腕は、まだ収めない。
然而张开的双手,并未收回来。
文房具という名の凶器は、きらめいたままだ。
那些名为文具的凶器,仍旧闪闪发光。
「じゃあ、何の用よ」
「那你有什么事?」
「ひょっとしたら、なんだけれど」
「虽然很突兀,不过——」
僕は言った。
我说。
「お前の、力になれるかもしれないと、思って」
「我想,或许我可以帮助你。」
「力に?」
「帮助我?」
心底── 馬鹿にしたように、彼女は、せせら笑った。
仿佛—— 打从心底轻视我一般,她一阵讪笑。
いや、怒ったのかもしれない。
不,也许她已经生气了。
ふざけないで。安い同情は真っ平だと言ったはずよ。あなたに何ができるっていうのよ。黙って、気を払わないでいてくれたらそれでいいの」
「别开玩笑了,我应该说过我不要廉价的同情。你又能够做什么啊,我只需要你保持沉默,别把注意力放在我身上就好了。」
「……」
「優しさも──敵対行為と看做すわよ」
「温柔也会——被我视为敌对行为喔。」
言って。
她说着——
彼女は一段、階段を昇った。
便跨出一步,走上楼梯。
本気だろう。
战场原是认真的吧。
躊躇しない性格であることは、先程のやり取りで、もう分かり過ぎるほど分かっている。嫌というほどに、だ。
她那种毫不犹豫的性格,在刚才的对话过程中,我已经十分清楚地切身领教过了。体认得再清楚不过。
だから。
因此——
だから僕は何も言わず、ぐい、と、自分の唇の端に指を引っ掛けて、頰を伸ばして見せた。
因此我什么也没说,立刻用手指扯动自己的嘴角,将脸颊内侧掀开来给她看。
右手の指で、右頰を、だ。
用右手的手指,扯开右边的脸颊。
自然、右頰の内側が、晒される。
自然而然,右边脸颊的内侧就暴露在外。
「──え?」
「——咦?」
それを見て、さすがの戦場ヶ原も、驚いたようだった。ぽろぽろと、両手に持っていた文房具という名の凶器を、取り落とす。
即便是战场原,见状也不由得感到诧异。两手原本拿著名为文具的凶器,也啪啦啪啦地,一一掉落在地。
「あなた──それって、どういう」
「你……那是怎么回事——」
問われるまでもない。
根本无须多问。
そう。
没错。
血の味も、既にしない。
血的味道也已经消失。
戦場ヶ原がホッチキスでつけた口の中の傷は、既に、跡形も無く、治ってしまっていた。
战场原用订书机在我口中造成的创伤,已毫无痕迹地,完全愈合了。
004
春休みのことである。
那是发生在春假期间的事情。
僕は吸血鬼に襲われた。
我被吸血鬼袭击了。
リニアモーターカーが実用化し、修学旅行で海外へ行くのが当たり前みたいなこの時代に、恥ずかしくってもう表に出られないくらいの事実だが、とにかく、僕は吸血鬼に襲われたのだ。
在这个磁浮列车已经实用化、毕业旅行到海外去玩彷佛理所当然的时代中,这件事实在让我羞于启齿,但总而言之,我被吸血鬼袭击了。
血も凍るような、美人だった。
对方是一个仿佛连血液都会为之冻结的——美人。
美しい鬼だった。
美丽的鬼。
とても──美しい鬼だった。
非常——美丽的鬼。
学ランのカラーで隠れてはいるが、今でも僕の首筋には、彼女に深く咬まれた、その痕跡が残っている。暑くなる前に、どうにか髪が伸びてくれればと思っているのだが、それはさておき──普通、一般人が吸血鬼に襲われたとなれば、たとえばヴァンパイアハンターとかいう吸血鬼専門の狩人だったり、キリスト教の特務部隊だったり、あるいは吸血鬼でありながら同属を狩る吸血鬼殺しの吸血鬼だったりが、助けてくれるのがストーリーってものなのだろうが、僕の場合、通りすがりの小汚いおっさんに助けられた。
我现在虽然用制服衣领遮住,但我的脖颈上,到现在还残留着被她深深咬过的痕迹。我希望头发能在天气变热前(换季)留长以遮住咬痕,但这部分暂且不谈——一般而言,普通人假如遭到吸血鬼袭击的话,按照故事发展,应该会有譬如吸血鬼猎人,或者天主教的特种部队,或是专门猎捕同类的吸血鬼杀手前来相助才是——然而我却是被凑巧路过的邋遢大叔所救。
それで、僕は何とか、人間に戻れたが──日光も十字架も大蒜も平気になったが、しかし、その影響というか後遺症で、身体能力は、著しく、上昇したままなのだ。といっても、運動能力ではなく、新陳代謝など、いわゆる回復力方面の話だが。カッターナイフで頰を切り裂かれていたら果たしてどうだったかはわからないが、ホッチキスの針が刺さった程度ならば、回復するまでに三十秒もいらない。それでなくとも、どんな生物であれ、口の中の傷の回復は早いものなのだ。
因此,我总算才变回了人类——可以坦然面对阳光跟十字架或大蒜,只不过,或许是被吸血留下的后遗症,我的身体能力显著地提升了。话虽如此,也并非运动能力提升,而是新陈代谢——即所谓的恢复能力方面。我不清楚被美工刀割破脸颊究竟会怎样,但若只是被钉书针刺到这点程度,要恢复不用三十秒。就算不是这样,无论何种生物,口腔里的伤口要复原都很快。
「忍野──忍野さん?」
「忍野——忍野先生?」
「そう。忍野メメ」
「没错,忍野咩咩。」
「忍野メメ、ね──なんだか、さぞかしよく萌えそうな名前じゃないの」
「忍野咩咩吗——听起来很萌的名字呢。」
「その手の期待はするだけ無駄だぞ。三十過ぎの年季の入った中年だからな」
「对那部分抱持期待是没意义的喔,因为他其实是一个老练的中年大叔。」
「あっそう。でも子供の頃は、さぞかし萌えキャラだったのでしょうね」
「这样啊,不过他小时候想必是萌角的对吧。」
「そういう目で生身の人物を見るな。ていうか、お前、萌えとかキャラとか分かる奴なのか?」
「别用那种眼光去看活生生的人类。倒是你这家伙,也知道什么是萌跟角色吗?」
「これしき、一般教養の部類よ」
「这点皮毛,算普通常识吧。」
戦場ヶ原は平然と言った。
战场原表情淡然地说。
「私みたいなキャラのことを、ツンデレっていうのでしょう?」
「像我这种角色,应该是所谓的傲娇对吧?」
「………………」
お前みたいなキャラはツンドラって感じだ。
你这种角色应该叫傲霸。
閑話休題。
言归正传。
僕や羽川、戦場ヶ原の通う、私立直江津高校から、自転車で二十分くらい行った先、住宅街から少し外れた位置に、その学習塾は建っている。
从我和羽川、以及战场原所就读的私立直江津高中,骑脚踏车大约二十分钟的路程,在距离住宅区稍远的地带,有一所补习班。
建っていた。
曾经有过。
数年前、駅前に進出してきた大手予備校のあおりをもろに食らう形で、経営難に陥り、潰れてしまったそうだ。僕がこの、四階建てのビルディングの存在を知ったときには、もう見事な廃墟になった後だったので、その辺りは全て、聞いた事情という奴だけれど。
据说数年前,这所补习班受到站前新开的大型补习班的影响,陷入经营危机,结果就倒闭了。而我知道这栋四层楼建筑的存在时,整栋大楼已经彻底变成了废墟,所以那些事情全部都是听来的。
危険。
危险。
私有地。
私有地。
立入禁止。
禁止进入。
そんな看板が乱立し、安全第一のフェンスで取り囲まれてはいるものの、そこらじゅう11が隙間だらけで、出入りは自由と言っていい。
诸如此类的广告牌杂乱竖立着,虽然建筑物周围被写有安全第一的围栏围住,但上头却尽是空隙,可以说是出入自由。
この廃墟に──忍野は住んでいる。
这栋废墟里面——住着忍野。
勝手に居ついている。
他未经同意擅自入居。
春休みから数えて、一ヵ月、ずっとだ。
从春假开始算起,他已经足足住了一个月。
「それにしてもお尻が痛いわ。じんじんする。スカートに皺がよっちゃったし」
「话说回来我屁股好痛。整个都麻了。而且裙子都皱掉了。」
「僕の責任じゃない」
「又不是我的责任。」
「言い逃れはやめなさい。切り落とすわよ」
「不要找借口逃避,小心我把你切掉喔。」
「どの部位をですかっ!?」
「切掉什么部位!?」
「自転車の二人乗りなんて私は初めての経験だったのだから、もっと優しくしてくれてもよさそうなものじゃない」
「我还是第一次和人共乘脚踏车,所以请你稍微温柔一点好不好。」
優しさは敵対行為じゃなかったのか。
不是说温柔也算敌对行为吗。
言うことなすこと滅茶苦茶な女だ。
真是个言行不一、颠三倒四的女人。
「じゃあ、具体的にどうすればよかったんだよ」
「那具体来说,你要我怎么做?」
「そうね。ほんの一例だけれど、たとえば、あなたの鞄を座布団代わりに寄越すなんてのはどうだったかしら」
「这个嘛,我只是举个例子,好比说,把你的书包拿来给我当坐垫如何?」
「自分以外はどうでもいいのかお前は」
「你这家伙,只顾自己好,其它人怎样都无所谓吗?」
「お前呼ばわりしないで頂戴。ほんの一例だけれどって言ったじゃない」
「请不要用你这家伙来称呼我,刚才就说了只是举个例子而已。」
それが何のフォローになっているのだろう。
你这样讲有什么帮助吗?
はなはだ疑問だった。
我非常怀疑。
「ったく──実際、マリー・アントワネット12だって、お前よりはもう少し謙虚で、慎み深い人間だったろうよ」
「真是——说实在的,我看就连玛丽 · 安托瓦内特都比你还要谦虚有礼吧。」
「彼女は私の弟子みたいなものなの」
「她算是我的徒弟呢。」
「時系列はっ!?」
「时间顺序是怎样……」
「そんな気安く私の言葉に突っ込みを入れないでくれるかしら。さっきから、もう、本当に馴れ馴れしいわ。もしも知らない人に聞かれたらクラスメイトだと思われるじゃない」
「不要那么爱吐槽我说的话好吗?从刚才开始一直到现在,烦不烦啊,你真的很爱装熟耶。要被不认识的人听见了,人家会以为我们是同班同学咧。」
「いや、クラスメイトじゃん!」
「喂,我们本来就是同班同学吧!」
そこまで否定されるのかよ。
有必要撇得一干二净吗。
なんだか、あんまりだ。
这样说有点过分。
「たく……お前を相手にするには、どうやらとてつもない忍耐力が必要とされるようだな……」
「真是……看样子跟你这家伙相处,似乎需要有超乎寻常的忍耐力………」
「阿良々木くん。その文脈だと阿良々木くんじゃなくて私の性格が悪いみたいに聞こえるわよ?」
「阿良良木,这句话听起来,好像不是你的问题,而是我性格恶劣喔?」
そう言ったんだ。
正是这个意思。
「ていうか、お前、自分の鞄はどうしたんだ。手ぶらだけど。持ってないのか」
「对了,你的书包呢?怎么两手空空。你没带书包上学吗?」
そういえば、戦場ヶ原が、手に荷物を持っている図というのを、僕はこれまで、見た覚えがない。
这才想到,印象中我从来也没见过战场原手上拿过东西。
「教科書は全て頭の中に入っているわ。だから学校のロッカーに置きっぱなし。身体中に文房具を仕込んでおけば、鞄は不要ね。私の場合、体育の着替えなんかは、いらないし」
「教科书我已经全部记在脑袋里了,所以都放在学校的置物柜里。我只要把文具放在身上,就不需要书包咯。而且我也没有换体育服的需要。」
「ああ、なるほど」
「啊啊,原来如此。」
「両手が自由になっていないと、いざというときにどうしたって戦いにくいもの」
「双手不能自由活动的话,遇到紧急状况战斗起来会很不方便。」
「…………」
全身凶器。
全身凶器。
人間凶器。
人间凶器。
「生理用品を学校に置いたままにするのには抵抗があるから、困るのはそれくらいね。友達がいないから誰にも借りられないし」
「不过要把生理用品直接放在学校,我心里会有点抗拒,比较困扰的只有这部分而已。因为我没有朋友,所以没办法跟其他人借。」
「……そういうことをさらりと言うな」
「……这种事情不要毫无顾忌地拿出来讲。」
「何よ。文字通り生理現象なのだから、恥ずかしいことではないわ。隠す方がいやらしいでしょう」
「什么嘛。这跟字面上一样只是一种生理现象,又不是什么羞耻的事情。遮遮掩掩地反而比较猥亵吧。」
隠さないのもどうかと思う。
毫不遮掩的也很匪夷所思。
いや、個人の主義だ。
算了,这是个人的意见。
口は出すまい。
我不应该干涉。
むしろ、意識に留めておくべきなのは、よりさらりと言った──友達がいないからという、発言の方なのかもしれない。
我要留意的地方应该是,她说自己没有朋友这句话时,说得毫无顾忌。
「ああ、そうだ」
「啊,对了。」
僕は別にそういうのは気にしないけれど、先程のスカートに関する発言からも見て取れるよう、やはり戦場ヶ原も女の子だから、制服がほつれたりするのは嫌うだろうと、大きめの入り口を探し、そこに辿り着いたところで、僕は戦場ヶ原を振り向いた。
我沿着路走,找到一个比较大的入口后,转头对战场原说。我个人是不会在意衣服怎么样,不过从刚才战场原有关裙子的发言来看,她其实也是一个女生,所以应该会讨厌钻洞的时候弄乱衣服吧。
「その文房具とやら、僕が預かる」
「那些文具,由我来保管。」
「え?」
「咦?」
「預かるから、出せ」
「我会负责保管好的,通通拿出来。」
「え? え?」
「咦?咦?」
法外な要求を受けたという顔をする戦場ヶ原だった。あなたって頭おかしいんじゃないのとでも言いたげな感じ。
战场原一脸听到无理要求的表情,感觉就像在说「你脑筋是不是有问题」的样子。
忍野は、なんというか、変なおっさんだけど、一応、僕の恩人なんだ──」
「忍野他,该怎么说,他虽然是个奇怪的大叔,但好歹也算是我的救命恩人——」
それに。
而且——
羽川の恩人でもある。
也是羽川的救命恩人。
「──その恩人に、危険人物を会わせるわけにはいかないから、文房具は、僕が預かる」
「——我不能让一个危险人物去见自己的恩人,所以那些文具,交由我来保管。」
「ここに来てそんなことをいうなんて」
「都来到这里了才讲那种话。」
戦場ヶ原は僕を睨む。
战场原瞪着我。
「あなた、私を嵌めたわね」
「你根本是在算计我嘛。」
「…………」
そこまで言われるようなことかなあ?
有必要讲得那么难听吗?
しかし、戦場ヶ原は、かなり真剣な葛藤を、暫くの間、一言の口も利かずに、続けた。時折僕をねめつけながら、時折足元の一点を見つめるようにしながら。
尽管如此,战场原却很认真地在烦恼着,不发一语地,沉默了半晌。时而瞪着我看,时而又盯着脚边的一点瞧。
ひょっとしたらこのまま踵を返して帰っちゃうのかもしれないと思ったが、しかし、やがて、戦場ヶ原は、「了承したわ」と、覚悟を決めたように、言った。
我以为她搞不好会就此转身离去,然而过了一会儿,战场原却彷佛下定决心似地,说声「我了解了」。
「受け取りなさい」
「拿去。」
そして、彼女は、身体中のあちこちから、百花繚乱様々な文房具を、さながらマジックショーのように取り出し、僕に手渡した。あのとき、階段の踊り場で僕に見せたのは、あれでもまだほんの一部、凶器にして狂気の片鱗に過ぎなかったらしい。こいつのポケットの中は四次元にでもなっているのかもしれない。二十二世紀の科学なのかもしれない。預かるとは言ったものの、僕の鞄の中に入りきるかどうかも、怪しいくらいのとてつもない物量だった。
然后她便从全身上下各个地方,宛如表演魔术般,取出五花八门各式各样的文具,交到我手中。当时在楼梯间,亮出来给我看的,似乎只是冰山一角,作为凶器也不过是九牛一毛罢了。这家伙的口袋可能通往四次元空间,说不定是二十二世纪的科技。我说要保管,但这数量夸张到连我的书包装不装得下都是个疑问。
……こんな人間が何の制限も受けずに天下の公道を闊歩しているというのは、どう考えても、行政の怠慢なんじゃないだろうか……。
……这种人居然不受任何限制,大摇大摆地走在马路上,不管怎么想这都是政府的行政疏失吧……
「勘違いしないでね。別に私は、あなたに気を許したというわけではないのよ」
「你不要误会,这可不代表我已经对你解除防备了。」
全てを僕に渡し終えた後で、戦場ヶ原は言った。
将全部物品都交给我后,战场原说道。
「気を許したわけではないって……」
「什么叫不代表……」
「もしもあなたが私を騙し、こんな人気の無い廃墟に連れ込んで、ホッチキスの針で刺された件で仕返しを企んでいるというのなら、それは筋違いというものよ」
「假如你存心欺骗我,企图把我带进这栋渺无人烟的废墟里面,报复刚才被钉书针刺伤的事情,那就太不合理了。」
「…………」
いや、筋はものすごく合っていると思う。
不,我觉得这样做非常之合理。
「いいこと? もしも私から一分おきに連絡がなかったら、五千人のむくつけき仲間が、あなたの家族を襲撃することになっているわ」
「听清楚咯,只要我失去联络超过一分钟,就会有五千名莽汉,去袭击你的家人。」
「大丈夫だって……余計な心配するな」
「不用担心……你想太多了。」
「一分あればこと足りると言うの!?」
「你的意思是说只要一分钟就足够了吗!?」
「僕はどこかのボクサーかよ」
「你以为我是哪一国的职业拳击手啊。」
ていうか躊躇無く家族を標的にしやがった。
这家伙居然毫不犹豫就把我的家人当成目标。
とんでもない。
太夸张了。
しかも五千人って、大噓つきだった。
而且还说什么五千人,说谎不打草稿。
友達のいない身で大胆な噓である。
明明就没有朋友还敢撒这么大胆的谎。
「妹さん、二人ともまだ中学生なんですってねえ」
「你两个妹妹,都还是国中生对吧。」
「………………」
家族構成を把握されていた。
家族成员已经被她掌握得一清二楚。
噓ではあっても冗談ではないらしい。
她虽然在说谎,但似乎不是在开玩笑。
とにかく、多少の不死身を見せたところで、どうやら僕は全然信頼されていないようだった。忍野は、こういうのは信頼関係が大事だと言っていたから、その点から鑑みるに、この状況はあまりいいとは言えないみたいである。
我稍微露了一手不死之身,但她似乎没有完全信赖我。忍野说过,这种时候彼此的信赖是相当重要的,就这点来看,眼前的状况大概很难称得上好。
まあ、仕方がない。
算了,也无可奈何。
ここから先は、戦場ヶ原一人の問題だ。
接下来是,战场原自己的问题。
僕はただの、案内人である。
我只不过是个引路人而已。
金網の裂け目を通り、敷地内に入って、ビルディングの中に這入る。まだ夕方だけれど、建物の中だというだけで、かなり薄暗い。長期間放置されっぱなしだった建物だ、足元がかなりとっちらかっているので、うっかりしていたら躓きかねない。
我们穿过铁丝网的裂缝,进入建地范围,随后走进建筑物当中。虽然才傍晚,但因为站在大楼里面,所以四周相当昏暗。这栋大楼废弃多时,地面非常凌乱,稍不留神可能就会绊倒。
そこで気付く。
这时我忽然想到。
僕にとって、たとえば空き缶が落ちていても、それはただの空き缶だが、戦場ヶ原にしてみれば、それは、十倍の質量を持った空き缶なのだ。
假如有一个空罐掉下来,对我而言那充其量只是空罐而已;但对战场原来说,那却是一个拥有十倍质量的空罐。
相対的に考えればそうなる。
以相对的角度去想就会是这种结果。
十倍の重力、十分の一の重力という風に、昔の漫画みたいに簡単に割り切れる問題ではない。重さが軽いイコールで運動能力が高いと、単純に考えちゃ駄目なのだ。ましてこの暗闇で、見知らぬ場所である。戦場ヶ原が、まるで野生の獣のように、警戒心をむき出しにしても、それは仕方がないのかもしれない。
十倍的重力和十分之一的重力——这问题不像以前的漫画一样那么简单。因为我们不能抱持单纯的想法,认为重量轻就等于运动能力强。更何况是在这种黑暗又陌生的地方。战场原会像野生动物般充满警戒心,或许也无可厚非。
速さでは十倍でも。
因为就算她速度有十倍快,
強さは十分の一になるのだから。
强度也只有原本的十分之一。
文房具をあれほど手放したがらなかった理由も、そう考えれば、分かる気がした。
这样来想,我似乎能够明白她不肯轻易交出文具的理由了。
それに──鞄を持たない。
而且——她没有带书包。
鞄を持てない、理由も。
没办法带书包的理由,也是一样。
「……こっちだよ」
「……往这边走。」
入り口辺りで、所在なさげに踏みとどまっていた戦場ヶ原の、手首を握るようにして、僕は彼女を導いた。少し唐突だったので、戦場ヶ原は面食らったようだったが、
战场原百无聊赖地伫立在入口附近,我握住她的手腕,主动替她带路。因为有点突兀,战场原似乎吓了一跳。
「何よ」
「干么啊。」
と言いながらも、素直に僕についてきた。
她嘴上虽然这么说,仍旧老实地跟着我走。
「感謝するなんて思わないでね」
「可别以为我会感谢你。」
「わかってるよ」
「知道啦。」
「むしろあなたが感謝なさい」
「倒是你才应该感谢我。」
「わからねえぞ!?」
「这我就搞不懂了!」
「あのホッチキス、傷が目立たないようにと思って、わざと、外側じゃなくて内側に針が刺さるようにしてあげたのよ?」
「我刚才按订书机的时候,为了避免伤口太明显,还特地把针订在内侧而不是外侧对吧?」
「…………」
それはどう考えても、『顔は目立つから腹を殴れ』みたいな、加害者側の都合だろう。
这种说词就像「打脸太显眼了所以揍肚子」一样,不管怎么想都是对加害者有利吧。
「そもそも、貫通したらおんなじだったろうが」
「追根究底来说,要是贯穿过去的话,你从里面还是外面都是一样的吧。」
「阿良々木くんは面の皮が厚そうだから、なんとなく大丈夫そうだと判断したわ」
「因为阿良良木的脸皮看起来很厚,所以我凭直觉判断应该没问题。」
「嬉しくねえ嬉しくねえ。しかもなんとなくって」
「你这种说法我一点都不觉得高兴。还应该没问题勒。」
「私の直感は、一割くらいは当たるわよ」
「我的直觉准确度大概是一成左右喔。」
「低っ!」
「太低了吧!」
「まあ──」
「算了——」
戦場ヶ原は、若干間を空けて、言った。
战场原停顿片刻,又说:
「どの道、全然、無駄な気遣いだったわけだけれど」
「不管怎样,反正这些顾虑全都是多余的。」
「……だな」
「……也对。」
「不死身って便利そうねって言われたら、傷つく?」
「我如果说『不死之身还真方便呢』的话,你会受伤吗?」
戦場ヶ原の質問。
对于战场原的问题,
僕は答えた。
我如此回答:
「今は、そうでもない」
「现在已经,不会了。」
今は──そうでもない。
现在——已经不会了。
春休みだったら。 そんなことを言われたら──その言葉で、僕は死んでいたかもしれないけれど。致命傷だったかも、しれないけれど。
假如是在春假期间,听到这种话——光因为这句话,就可能会对我造成致命伤,让我伤重而死也说不定。
「便利と言えば便利だし──不便と言えば不便だし。そんなところかな」
「要说方便的确是方便;要说不便也算是不便。可以这么说吧。」
「どっちつかずね。よくわからないわ」
「真是模棱两可耶,听不太懂。」
肩を竦める戦場ヶ原。
战场原耸耸肩。
「『往来危険』が危険なのかそうでないのか、どっちつかずなのと、似たようなものかしら」
「大概就像『进退两难』到底是前进比较难还是后退比较难一样吧,很模棱两可的感觉。」
「その言葉の『往来』はオーライじゃない」
「这句话的『两难』不是在讲哪边比较难的意思。」
「あらそう」
「喔,是吗。」
「それに、もう不死身じゃない。傷の治りがちっとばかし早いというだけで、他は普通の人間だ」
「而且,也不是真正的不死之身。只不过伤口复原得稍微快一点而已,其他地方跟普通的人类一样。」
「ふうん。そうなんだ」
「嗯——这样啊。」
戦場ヶ原はつまらなそうに呟いた。
战场原一脸无趣地咕哝道。
「機会があれば色々と試させてもらう予定だったのに、がっかりだわ」
「我原本还想找个机会,对你做各种测验的说,真失望啊。」
「どうやら僕の知らないところで、かなり猟奇的な計画が立てられていた模様だな……」
「看来你在私底下,已经拟定了相当猎奇的计划……」
「失敬ね。ちょっと○○を○○して○○させてもらおうと思っていただけよ」
「太失礼了。我只不过是想要把〇〇稍微〇〇一下再让我〇〇一下而已。」
「○○には何が入るんだっ!?」
「〇〇里面是放什么东西!」
「あんなことやこんなこともしてみたかったわね」
「我原本还想试一下这个这个和那个那个的说。」
「傍線部の意味を答えろ!」
「回答我画线部分的含意!」
忍野がいるのは、大抵四階だ。
忍野大多在四楼。
エレベーターもあるが、当然のように稼動していない。となると、選択肢は、エレベーターの天井を突き破って、ワイヤーを伝って四階まで移動するか、階段を昇るかだが、誰がどう考えたって、それは後者を選ぶべきだろう。
这里虽然也有电梯,但想当然尔并没有在运作。如此一来,选项就只剩下:敲破电梯的天花板,顺着钢索爬到四楼,或者是爬楼梯上去;不管谁来,应该都会选择后者才对吧。
戦場ヶ原の手を引いたまま、階段を昇る。
我继续牵着战场原的手,爬上阶梯。
「阿良々木くん。最後に言っておくけれど」
「阿良良木,我最后再郑重声明一次。」
「何だよ」
「什么啦。」
「服の上からだとそうは見えないかもしれないけれど、私の肉体は、案外、法を犯してまで手に入れる価値はないかもしれないわよ」
「虽然隔着衣服可能看不太出来,但是我的肉体可能没有那种价值,让你不惜犯罪也要得到它喔。」
「…………」
戦場ヶ原ひたぎさんは、どうやら随分と高い貞操観念をお持ちのようだった。
看样子战场原黑仪同学,似乎有着相当强烈的贞操观念。
「遠回しな言い方ではわからなかったかしら? じゃあ具体的に言うわ。もしも阿良々木くんが下劣な本性を剝き出しにして私を強姦したら、私はどんな手段を行使してでも、あなたにボーイズラブな仕返しをしてみせるわ」
「用婉转的说法你听不懂吗?那就讲得具体一点好了。假如阿良良木露出下流卑劣的本性强奸了我,那我就会不择手段,用 BL 的方式去报复你喔。」
「…………」
恥じらいや慎みはゼロに近い。
她的羞耻心和谦虚度近乎零。
ていうかマジで恐怖。
而且她这番话真的很恐怖。
「なんか、その言葉のことだけじゃなくてさ、お前の行動、全般的に見て、戦場ヶ原、自意識過剰っつーか、ちょっと被害妄想、強過ぎるんじゃないか?」
「战场原,不光是这些话,你的行动整体看起来,好像有点自我意识过盛,或者应该说,你的被害妄想症是不是严重了点?」
「嫌だわ。本当のことでも言っていいことと悪いことがあるでしょう」
「真讨厌。就算是实话,也有分该说跟不该说的吧。」
「自覚しているっ!?」
「原来你有自觉……」
「それにしても、よく、こんな、今にも壊れそうなビルに住んでいるわね──その、忍野って人」
「话说回来,那个叫忍野的人居然敢住在这种随时可能会崩塌的大楼,还真不简单呢。」
「ああ……随分な、変わり者でね」
「啊啊……因为他是个非常奇特的怪人。」
戦場ヶ原とどちらの方がといわれたら、いまや即答の難しいところではあるけれど。
要是问我他跟战场原相比谁比较怪,我一时之间也很难回答。
「事前に連絡を入れておくべきじゃなかったかしら? 今更だけれど、こちらから相談事をしようというのなら」
「是不是应该事先联络他一下呢?虽然现在才讲也太晚了,不过毕竟是我们有事要找他谈。」
「その常識人みたいな発言には驚かされるばかりだけれど、残念ながら、携帯とか持ってないんだもん、あの人」
「我对你这句符合常识的发言感到惊讶无比,但很可惜,他没有手机。」
「どうにも正体不明ね。不審人物と言ってもいいくらい。一体、何をやっている人なの?」
「我觉得他实在来历不明,就算说他是可疑人物也不为过。他究竟是做什么的人呢?」
「詳しくはわからないけれど──僕や、戦場ヶ原みたいなのを、専門にしているんだって」
「详细情形我不是很清楚——不过他说他『专门』处理像我跟你这类的事情。」
「ふうん」
「嗯——」
全然説明になっていない説明だったが、それでも、戦場ヶ原は追及してくるようなことはしなかった。どうせもう会うのだからと思ったのかもしれないし、訊いても無駄だと思ったのかもしれない。どちらも正解だ。
这完全称不上是说明,尽管如此,战场原却并没有继续追究。她也许是认为反正等下就会见到面,又或许是认为问了也是白问吧。无论何者都是正解。
「あら。阿良々木くん、右腕に時計をしているのね」
「唉呀,阿良良木,你把表戴在右手呢。」
「ん? あ、うん」
「嗯?啊,对啊。」
「ひねくれ者なの?」
「你个性很乖僻吗?」
「先に左利きかどうかを訊け!」
「你应该先问我是不是左撇子才对吧!」
「そう。で、どうなのかしら」
「喔。所以呢,到底是怎么样?」
「…………」
ひねくれ者だった。
我是很乖僻没错。
四階。
四楼。
元が学習塾なので、教室めいた造りの部屋が、三つあるのだが──どの教室も、扉が壊れてしまっていて、廊下まで含めて一体化している状態。さて忍野はどこにいるのだろうと、まずは一番近場の教室を覗いて見たら、
这里原本是补习班,所以有三处构造类似教室的房间——只不过每间教室的门都已经毁坏,和走廊已经一体化。忍野会在哪里呢,我先从最近的教室开始看起,一探头——
「おお、阿良々木くん。やっと来たのか」 と。
「哦——阿良良木老弟,你终于来啦。」
忍野メメは、そこにいた。
忍野咩咩,就在里面。
ボロボロに腐食した机をいくつか繫ぎ合わせ、ビニール紐で縛って作った、簡易製のベッド(とも呼べないような代物)の上に、胡坐をかいて、こっちを向いていた。
他将数张破烂不堪已遭腐蚀的书桌拼凑在一起,用塑料绳绑住,制作成简易型的睡床(其实连床都称不上),盘腿坐在上头,正面向这边。
僕が来ることなど分かりきっていたという風に。
彷佛早已料准我的到来。
相変わらず──見透かしたみたいな男だ。
他仍旧是个——宛如能洞悉一切的男人。
対して、戦場ヶ原は──明らかに、引いていた。
相对地,战场原则是——明显地,退缩了。
一応事前に伝えてあったとはいえ、忍野のその汚らしい風体が、今を生きる女子高生の美的基準を大きく逸脱しているのだろう。こんな廃墟で暮らしていたら、誰だってあんなボロボロのナリにはなるのだろうけれど、それでも、確かに男子の僕から見ても、忍野の見てくれは、清潔感に欠けているとは言えた。清潔感に欠けていると言うしかない、もしも、正直であろうとすれば。そしてそれより何より、サイケデリック13なアロハ服というのが致命的だ。
尽管我事前已大略提过,但忍野那副邋遢的德性,想必远远脱离了时下高中女生的审美标准吧。虽说住在这种废墟里面,大概任谁都会变成那副肮脏模样,不过就连身为男性的我,看到忍野的外观,只能说是缺乏清洁感……假如真要我老实说的话,也只能用缺乏清洁感去形容了。然后除此之外最要命的是,他还穿着带有迷幻色彩的夏威夷衫。
いつも思うことだけれど、全く、この人が自分の恩人だっていうのは、なんか、ショックだよな……。羽川あたりは人間ができているので、そんなこと、毛ほども気にしないようだけれど。
其实我常会想,这个人居然是自己的救命恩人,总觉得很受打击……而羽川则因为品行敦厚,丝毫不会将这种事情放在心上。
「なんだい。阿良々木くん、今日はまた違う女の子を連れているんだね。きみは会うたんびに違う女の子を連れているなあ──全く、ご同慶の至りだよ」
「怎么,阿良良木老弟,今天又带不同的女孩子过来啊。每次见面你都会带着不同的女生——还真是,可喜可贺啊。」
「やめろ、人をそんな安いキャラ設定にするな」
「别消遣我了,不要随便给人设定那种轻浮的角色属性。」
「ふうん──うん?」
「哦——嗯?」
忍野は。
忍野他——
戦場ヶ原を、遠目に眺めるようにした。
目光深远地,遥望着战场原。
その背後に、何かを見るように。
彷佛正端详着,她背后的某样东西。
「……初めまして、お嬢さん。忍野です」
「……小姐,你好,敝姓忍野。」
「初めまして──戦場ヶ原ひたぎです
「你好——我叫战场原黑仪。」
一応、ちゃんと挨拶をした。
战场原姑且算是有礼貌地打了声招呼。
無意味に毒舌というわけでもないらしい。少なくとも年上の人間に対する礼儀礼節は弁えているようだ。
看样子她不是那种会随便毒舌的人。至少对年长的人她还懂得基本的礼节。
「阿良々木くんとは、クラスメイトで、忍野さんの話を教えてもらいました」
「我和阿良良木是同班同学,从他口中听说了有关忍野先生的事情。」
「はあ──そう」
「喔——这样啊。」
忍野は、意味ありげに頷く。
忍野若有所思地轻轻颔首。
俯いてから、煙草を取り出し、口に咥えた。ただし、口に咥えただけで、火はつけない。窓も、既に窓として機能していない、ただの中途半端な硝子の破片だが、忍野は煙草の先で、その向こうの景色を示すようにした。
接着他低头取出香烟,叼在嘴里。但却只是用嘴叼着,并没有点火。窗户早已失去窗户的功能,只剩下不成形的玻璃碎片,忍野将香烟前端,朝向窗外的景色。
そして、たっぷり間を空けてから、僕を向く。
然后隔了好一阵子,才转过来看我。
「前髪が直線な女の子が好みかい、阿良々木くん」
「你喜欢直浏海的女生是吗,阿良良木老弟。」
「だから人を安く見積もるなって言ってるだろ。前髪直線が好きって、そんな奴普通に考えりゃただのロリじゃねえかよ。思春期と共に『フルハウス14』があったてめえの世代と一緒にするな」
「就说不要把人说得那么轻浮。什么喜欢直浏海,那种家伙听起来就是单纯的萝莉控吧,别把我跟你那一辈青春期在『天才老爸俏皮娃』陪伴中度过的世代混为一谈」
「だね」
「是吗。」
忍野は笑った。
忍野笑了笑。
その笑い声に、戦場ヶ原は眉を顰める
听见他的笑声,战场原蹙起眉头。
ロリという単語に気分を害したのかもしれない。
也许是萝莉控这个字眼让她感到不舒服。
「えっと──まあ、詳しい話は本人から聞いてもらえばいいとして、とにかく、忍野──こいつが、二年前くらいに──」
「呃,详细情形由她本人来说就行了,总而言之,忍野——这家伙大约在两年前——」
「こいつ呼ばわりもやめて」
「不要叫我这家伙。」
戦場ヶ原は毅然とした声で言った。
战场原用毅然的语气说道。
「じゃあ、何て呼べばいいんだよ」
「那我应该怎么称呼你才对啊。」
「戦場ヶ原さま」
「战场原大人。」
「…………」
この女、正気か。
这女的脑袋没问题吧。
「……センジョーガハラサマ」
「……jàn-chǎng-yuán-dà-rén。」
「片仮名の発音はいただけないわ。ちゃんと言いなさい」
「我无法接受汉语拼音式的发音,给我好好说。」
「戦場ヶ原ちゃん」
「战场原小妹。」
目を突かれた。
我的眼睛被她用力一戳。
「失明するだろうが!」
「会失明耶!」
「失言するからよ」
「谁叫你先失一言。」
「何だその等価交換は!?」
「这算什么等价交换……」
「銅四十グラム、亜鉛二十五グラム、ニッケル十五グラム、照れ隠し五グラムに悪意九十七キロで、私の暴言は錬成されているわ」
「铜四十公克、锌二十五克、镍十五公克、腼腆五公克,再加上九十七公斤的恶意,我的谩骂就是这样提炼出来的。」
「ほとんど悪意じゃねえかよ!」
「几乎全部都是恶意嘛!」
「ちなみに照れ隠しというのは噓よ」
「顺便告诉你腼腆那部分是骗人的。」
「一番抜けちゃいけない要素が抜けちゃった!」
「最不可缺的要素居然被你删掉了!」
「うるさいわねえ。いい加減にしないとあなたのニックネームを生理痛にするわよ」
「真啰唆耶。再不收敛一点我就把你的绰号取作生理痛喔。」
「投身モンのイジメだ!」
「你不惜贬低自己,也要霸凌我吗?」
「何よ。文字通り生理現象なのだから、恥ずかしいことではないわ」
「什么嘛。这就像字面上一样只是一种生理现象,又不是什么羞耻的事情。」
「悪意がある場合は別だろう!」
「带着恶意的话另当别论了吧!」
その辺で満足したらしく、戦場ヶ原は、ようやく、忍野に向き直った。
至此,战场原似乎感到满足了,终于重新转向忍野。
「それから、何よりもまず、私としては一番最初に訊いておきたいのだけれど」
「接下来,首先最重要的是我想要先问清楚。」
忍野にというより、それは僕と忍野、両方に問う口調で、戦場ヶ原はそう言って、教室の片隅を指さした。
战场原的语调与其说是对着忍野,不如说是同时对我和忍野发问,她说完,伸手指向教室的一角。
そこでは、膝を抱えるようにして、小さな女の子、学習塾というこの場においてさえ不似合いなくらいの小さな、八歳くらいに見える、ヘルメットにゴーグル15の、肌の白い金髪の女の子が、膝を抱えて、体育座りをしていた。
在那里,有个双手抱膝的小女孩,看上去才八岁左右,年纪小到即使在补习班这种场所也显得格格不入,她一头金发,头戴防风眼镜帽,皮肤白皙,正抱膝坐在地上。
「あの子は一体、何?」
「……那女孩,到底是什么?」
何、というその訊き方からして、少女が何かであることを、戦場ヶ原も察しているのだろう。それに、この戦場ヶ原ですらそこのけの、剣吞な目つきで、少女がただ一点、忍野を鋭く睨み続けていることからも、感じる者は、何かを感じるはずだ。
从「是什么」这个问法来看,战场原想必也已经察觉到,那女孩是某种存在了吧。更何况,女孩始终以一种连战场原都瞠乎其后的锐利眼神,集中视线死瞪着忍野,这点稍微有感觉的人,应该都能感觉到有些不对劲。
「ああ、あれは気にしなくていいよ」
「啊,不用在意那个。」
忍野よりも先に僕が、戦場ヶ原に説明した。
我抢在忍野之前,先向战场原说明道。
「ただあそこで座っているだけで、別に何もできないから──何でもないよ。影も形もない。名前もなければ存在もない、そういう子供」
「她只是坐在那边而已,什么也没办法做——所以什么也不是。既没有影子也没有形体。没有名字也没有存在,她就只是这样的一个孩子。」
「いやいや、阿良々木くん」 そこで忍野が割り込むように言った。 「影と形、それに存在がないのはその通りだけれど、名前は昨日、つけてやったんだ。ゴールデンウィークにはよく働いてくれたし、それにやっぱり呼び名がないと、不便極まりないからね。それに、名前がないままじゃ、いつまでたっても彼女は凶悪なままだ」
「不不不,阿良良木老弟。」这时忍野插嘴说。「没有影子跟形体,而且没有存在,这些你说的没错,不过名字我昨天帮她取好了。毕竟她在黄金周有好好为我工作,而且没有一个可以称呼的名字说真的实在非常不方便。再加上,要是一直没有名字的话,无论经过多久她还是会一样凶恶。」
「へえ──名前をね。なんて名前で?」
「咦——取了名字啊,叫什么名字呢?」
戦場ヶ原を置いてけぼりの会話だったが、興味があったので、僕は訊いた。
虽然这话题会把战场原冷落在一旁,但出于兴趣,我还是问了。
「忍野忍、と名付けてみた」
「取名叫,忍野忍。」
「忍──ふうん」
「忍——嗯。」
思い切り日本の名前だな。
充满日本风味的名字。
この場合、どうでもいいことだけれど。
不过这种时候,叫什么其实都无所谓。
「刃の下に心あり。彼女らしい、いい名前だろう? 苗字は僕のをそのまま流用させてもらった。そっちにも幸い、忍の一文字は入っているしね。二重にすることで三重の意味を持つ。我ながら、悪くないセンスだと、結構気に入っているんだが」
「心字头上一把刀,很适合她的好名字对吧?姓氏就直接用我的,正好当中也有个忍字,双重的忍字带有三重的意义。以我来说,这名字取得感觉还不赖,我相当中意呢。」
「いいんじゃないのか?」
「挺好的不是吗?」
というか、本当にどうでもいい。
其实,真的叫什么都无所谓。
「色々考えて、最終的には忍野忍か、それか忍野お志乃か、どっちかにすることにしたんだけれど、言語上の統制よりも語呂の良さを優先してみた。漢字の並びが、ちょっとばかしあの委員長ちゃんっぽいところも、僕的にはポイント高いんだよ」
「我左思右想,最后决定就从『忍野忍』或『忍野志乃』两者当中选一个。不过比起言语上的统一,我更优先考虑了语感的好坏,而汉字的排列稍微有点像那位班长妹的调调,对我来说分数更高。」
「いいと思うよ」
「感觉不错啊。」
絶対的にどうでもいいんだって。
我发誓真的叫什么都无所谓。
いや、まあ、お志乃はないと思うが。
呃,当然,志乃应该不包括在内。
「だから」」 いい加減業を煮やした感じで、戦場ヶ原が言う。 「あの子は一体何なのよ」
「所以——」战场原终于感到不耐烦地说:「那个女孩子到底是什么啦。」
「だから──何でもないってば」
「所以刚才就说了——什么都不是啊。」
吸血鬼の成れの果て。
吸血鬼的落魄下场。
美しき鬼の搾りかす。
美丽吸血鬼的空壳。
なんて言っても、そんなの、仕方がないだろう? どうせ、戦場ヶ原には関係ない、これは、僕の問題なのだから。僕が、これから一生、付き合っていかなくちゃならない程度の、ただの業なのだから。
跟她说这些也没用吧?反正这跟战场原无关,是我个人的问题。是我从今以后一辈子,都必须继续背负的业障。
「何でもないの。ならいいわ」
「什么也不是吗,那就算了。」
「…………」
淡白な女だ。
真是个淡泊的女人。
「私は父方のお祖母ちゃんから、淡白でもいい、わくましく16育ってくれればと、よく言われていたものよ」
「我的祖母经常说,性情淡泊一点也没关系,只要能长得身强嘴贱就好。」
「わくましくってなんだ」
「身强嘴贱是什么东西。」
入れ替わってる入れ替わってる。
张冠李戴乱造成语。
オーソドックスをオードソックスっていうみたいな感じ。
就像把危地马拉讲成瓜地喇嘛一样的感觉。
「そんなことより」
「重点是——」
戦場ヶ原ひたぎが、元吸血鬼、肌の白い金髪の少女改め忍野忍から、忍野メメに、視線を移した。
战场原黑仪将视线从原吸血鬼、肌肤白皙,现名忍野忍的金发少女身上,转向忍野咩咩。
「私を助けてくださるって、聞いたのですけれど」
「听说你可以帮我。」
「助ける? そりゃ無理だ」
「帮你?怎么可能。」
忍野は茶化すような、いつもの口調で言った。
忍野以惯用的语气,开玩笑似地说道。
きみが勝手に一人で助かるだけだよ、お嬢ちゃん」
「是你自己救自己的,小姐。」
「…………」
おお。
喔喔。
戦場ヶ原の目が半分くらいに細くなった。
战场原眼睛瞇成一半了。
あからさまにいぶかしんでいる。
露骨地在表示怀疑。
「私に向かって──同じような台詞を吐いた人が、今まで、五人いるわ。その全員が、詐欺師だった。あなたもその部類なのかしら? 忍野さん」
「截至目前为止——已经有五个人对我说过相同的话了。而那些家伙全部都是骗徒。你也跟他们同类吗?忍野先生。」
「はっはー。お嬢ちゃん、随分と元気いいねえ。何かいいことでもあったのかい?」
「哈哈——这位小姐,精神相当好呢。是不是发生了什么好事啊?」
だからなんでお前もそんな挑発するような言い方をするんだ。それが効果的な相手も、たとえば羽川のように、いるのだろうけれど、しかし戦場ヶ原に限っては、それはない。
怎么连你也用那种挑衅的方式说话。这招用在羽川之类的对象,或许会有效果,然而对战场原却完全无效。
挑発には先制攻撃を以って返すタイプだ。
她是遇到挑衅会先发制人直接还击的类型。
「ま、まあまあ」
「哎呀,好了好了。」
やむなく、僕が仲裁に入った。
逼不得已,我只好出面调停。
二人の間に、強引に割り込むようにして。
强行介入两人之间。
「余計な真似を。殺すわよ」
「别多管闲事,我会杀了你喔。」
「…………」
今、この人、ごく普通に殺すって言った。
刚才这个人,非常若无其事地说要杀死我。
何故僕に火の粉が飛ぶかな。
为何怒火会波及到我身上来啊。
焼夷弾みたいな女だ。
这女人简直就像一颗烧夷弹。
全く、形容するに暇がない。
可以用来形容她的方式,真是多得不胜枚举。
「ま、何にせよ」
「算了,不管怎样——」
忍野は対照的に、気楽そうに言った。
忍野相形之下,显得轻松自在。
「話してくれないと、話は先に進まないかな。僕は読心の類はどうも苦手でね。それ以上に対話ってのが好きなんだ、根がお喋りなもんでね。とはいえ秘密は厳守するから、平気平気」
「如果不告诉我详细经过,就没办法继续说下去吧。我可不擅长读心术之类的东西。我非常喜欢聊天,因为我本性是个长舌公嘛。不过我会严守秘密的,放心放心。」
「…………」
「あ、ああ。まず、僕が簡単に説明すると──」
「呃,啊,那就由我先来,做个简单的说明——」
「いいわ、阿良々木くん」
「不用了,阿良良木。」
戦場ヶ原が、またも、大枠を語ろうとした僕を、遮った。
战场原再度出声,打断了正准备说明大致情况的我。
「自分で、するから」
「我自己来讲。」
「戦場ヶ原──」
「战场原——」
「自分で、できるから」
「我自己可以讲。」
そう言った。
她如此说道。
005
二時間後。
两小时后。
僕は、忍野と吸血鬼改め忍の居ついている学習塾跡を離れ、戦場ヶ原の家にいた。
我离开了忍野和吸血鬼忍所居住的补习班废墟,来到战场原的家。
戦場ヶ原の家。
战场原的家。
民倉荘。
民仓庄。
木造アパート二階建て、築三十年。トタン17の集合郵便受け。かろうじて、シャワーと、水洗のトイレは備え付け。いわゆる1K、六畳一間、小さなシンク。最寄のバス停まで、徒歩二十分。家賃は概算、三万円から四万円(共益費18・町内会費・水道代込み)。
木造的两层楼公寓,屋龄三十年。有白铁皮钉制的公用信箱。附设简陋的淋浴间和冲水马桶。有所谓的一房一厨,空间约三坪大,附带小型流理台。距离最近的公车站牌,要步行二十分钟。房租平均三万至四万日币不等(含公设费、管理费、水费)。
羽川から聞いた話とは随分違った。
这和之前我从羽川那边听到的传闻相差甚远。
それが表情に出たのだろう、戦場ヶ原は、 「母親が怪しい宗教に嵌ってしまってね」 と、訊いてもいないことを、説明した。
或许是因为我的疑惑全写在了脸上的缘故,战场原主动解释了我连问都还没问的事情。 「因为我母亲迷信奇怪的宗教。」
言い訳でもするように。
仿佛在找借口般。
まるで、取り繕うように。
宛如在掩饰什么一样。
「財産を全て貢いだどころじゃ済まなくて、多額の借金まで背負ってしまってね。驕る平家は久しからず19というわけよ」
「她不但把全部财产都拿去进贡,最后还背负了高额债务。正所谓骄者必败啊。」
「宗教って……」
「宗教吗……」
悪徳な、新興宗教に嵌った。
沉迷于敛财的新兴宗教,
それがどんな結果を招くのか、なんて。
那将会招致多么可怕的后果。
「結局、去年の暮れに、協議離婚が成立して、私はお父さんに引き取られ、ここで二人で暮らしているわ。もっとも、二人で暮らしているといっても、借金自体はお父さんの名前で残っていて、今もそれを返すために、あくせく働いているから、お父さん、滅多に帰ってこないけれどね。事実上の一人暮らしは、気楽でいいわ」
「结果在去年年底,他们达成离婚协议,我由父亲抚养,两个人一起住在这边。虽然说是两人一起生活,不过因为借款是用爸爸的名字去借的,所以现在爸爸为了还钱,每天奔波劳碌忙于工作,所以不常回家。事实上等于我一个人独居,真是轻松自在啊。」
「…………」
「まあ学校の住所録には前の住所を登録しているままだから、羽川さんが知らないのも無理もないわね」
「唉呀,学校通讯簿上登记的还是以前的地址,也难怪羽川同学会不知道咯。」
おい。
喂喂,
いいのかよ、それ。
这样好吗?
「いつか敵になるかもしれない人間に、なるべく住んでいる場所を知られたくはないもの」
「我不想让将来有一天可能会变成敌人的人,知道我现在的住所。尽可能不要。」
「敵、ね……」
「敌人吗……」
大袈裟な物言いだとは思うが、人に知られたくない秘密を持つ者としては、有り得ないというほどの警戒心では、ないのかもしれない。
虽然觉得这个说法太夸张,但既然有着不欲人知的秘密,会抱持高度警戒,或许也不是没有道理。
「戦場ヶ原。お母さんが宗教に嵌ったって──それって、ひょっとして、お前のためにか?」
「战场原,令堂之所以会沉迷于宗教——该不会是为了你的关系吧?」
「嫌な質問ね」
「真是讨人厌的问题啊。」
戦場ヶ原は笑った。
战场原笑了笑。
「さあね。わからないわ。違うのかも」
「天晓得,我也不知道,也许不是吧。」
それは──嫌な答だった。
真是——讨人厌的回答。
嫌な質問をしたのだから、当然かもしれない。
因为我问了讨厌的问题,或许这也是理所当然吧。
実際嫌な質問だった、思い出して自己嫌悪に陥るほどに。するべきじゃなかったし、あるいは、戦場ヶ原は、ここでこそ、十八番20の毒舌で、僕を𠮟り飛ばすべきだっただろう。
这确实是个很讨厌的问题,回想起来甚至会让我陷入自我厌恶当中。我不该问出口,也许战场原这时候才正应该发挥最擅长的毒舌,将我痛骂一顿。
一緒に暮らしている家族だ、娘の重みが無くなったなんて事実に、気付かないはずがない──まして母親が、気付けないはずがない。机を並べて授業を受けていればいい学校とは訳が違う。大事な一人娘の身体に、とんでもない異常が起こっていることくらい、簡単に露見する。そして、医者も事実上匙を投げ、検査を続けるだけの毎日となれば、心に拠り所を求めてしまっても、それは誰かに責められるようなものではないだろう。
既然是在一起生活的家人,女儿的体重消失了这么大的事情,他们不可能会没发现——更何况身为母亲,绝对会发现到才对。这跟只要同班上课就好的学校不一样,最重要的独生女,身体发生了如此异常的现象,她母亲肯定能轻易地察觉到。况且,医生实际上也束手无策,每天只能反复持续地检查,事情要是演变成这样,她母亲会转而寻求心灵的寄托,也不应该被任何人责怪吧。
いや、責められるべきなのかもしれない。
不,也许应该要被责怪。
僕にわかる話じゃない。
那不是我能了解的事情。
知ったような口を叩いてどうする。
何必不懂装懂。
ともかく。
总之。
ともかく、僕は──戦場ヶ原の家、民倉荘の二〇一号室で、座布団に座って、卓袱台21に用意された湯のみに入ったお茶を、ぼおっと、見つめていた。
总之我现在——在战场原她家,民仓庄二〇一号室里,端坐在坐垫上,盯着矮桌上泡好茶的茶杯发呆。
あの女のことだから、てっきり『外で待っていなさい』とか言うと思ったのだが、すんなりと抵抗なく、部屋に招き入れてくれた。お茶まで出してくれた。それはちょっとした衝撃だった。
原本以为这个女人,肯定会叫我「待在外面等」,没想到她毫不犹豫地,直接邀我进屋,甚至连茶都端出来了。还真是有些意外。
「あなたを虐待してあげる」
「我会好好虐待你的。」
「え……?」
「呃……?」
「違った。招待だったわね」
「不对,是招待才对。」
「………………」
「いえ、やっぱり虐待だったかしら……」
「不,还是要用虐待才对吗……」
「招待で完璧に正解だ! それ以外にはない! 自分で自分の間違いを正せるなんてなかなかできることじゃない、さすがは戦場ヶ原さん!」
「用招待才是无懈可击的正确答案!除此之外没有别的答案了!能够自己纠正自己的错误可不是件容易的事情,真不愧是战场原同学!」
……などと、精々そんなやり取りがあった程度なのだから、僕としてはもう、戸惑うしかない。まして、知り合ったばかりの女の子の家に入るなんて、とか、そんなウブな文言を吐ける状況でもなかった。ただ、お茶を、見つめるだけである。
……如此这般,我们顶多只有这种程度的对话,对我而言实在伤脑筋到极点。况且,我要说什么「竟然进到才刚认识的女孩子家里」之类的青涩台词,这场合也不太对。所以只好,一直盯着杯子里的热茶看。
その戦場ヶ原は今、シャワーを浴びている。
而战场原她,此刻正在淋浴。
身体を清めるための、禊ぎ22だとか。
为了洁净身体所做的除秽仪式。
忍野いわく、冷たい水で身体を洗い流し、新品でなくともよいから清潔な服に着替えてくるように──との、ことだった。
忍野方才交代她,要用冷水冲洗身体,再换套衣服,不是全新的也没关系只要干净就好。
要するに僕はそれにつき合わされているというわけだ──まあ、学校から忍野のところまで僕の自転車で向かってしまった都合上、それは当然のことでもあったのだが、それ以上に忍野から、色々言い含められているので、仕方がない。
简单来说,我是被迫要陪她一起回来——嗯,毕竟从学校到忍野那边是坐我的脚踏车去的,这也算理所当然的事情,而且除此之外忍野还交代了许多细节,所以我也无可奈何只好配合了。
僕は、とても年頃の女の子の部屋とは思えない、殺風景な六畳間をぐるりと見、それから、背後の小さな衣装簞笥にもたれるようにして──
我环顾这间很难想象是年轻女孩房间、单调简陋的三坪住处,接着把背靠在身后的小衣橱上——
先刻の、忍野の言葉を、回想した。
开始回想,方才忍野所说的话。
「おもし蟹」
「重蟹。」
戦場ヶ原が、事情を──というほど、長い話ではなかったが、とにかく、抱えている事情を、順序だてて語り終わったところで、忍野は、「成程ねえ」と頷いた後、しばらく天井を見上げてから、ふと思いついたような響きで、そう言った。
当战场原将事情的来龙去脉——虽然内容并不长,但总而言之,她将事情的背景经过,按照时间顺序叙述完之后,忍野点了点头,说声「原来如此」,又抬头望了天花板片刻,接着便像忽然想到什么似地,说出这两个字。
「おもしかに?」
「重蟹?」
戦場ヶ原が訊き返した。
战场原反问道。
「九州の山間あたりでの民間伝承だよ。地域によっておもし蟹だったり、重いし蟹、重石蟹、それに、おもいし神ってのもある。この場合、蟹と神がかかっているわけだ。細部は色々ばらついているけど、共通しているのは、人から重みを失わせる──ってところだね。行き遭ってしまうと──下手な行き遭い方をしてしまうと、その人間は、存在感が希薄になる、そうだ、とも」
「那是九州岛山间一带的民间传说。随着地区不同而有重力蟹、重石蟹以及重石神等称呼,将螃蟹跟神灵连结在一起。细节部分众说纷纭,不过共通点都是——会让人类失去重量。我还听说一旦遇上了——运气不好遇上的话,那个人的存在感就会越来越薄弱。」
「存在感が──」
「存在感——」
儚げ。
梦幻。
とても──儚げで。
非常——梦幻的存在感。
今の方が──綺麗。
现在反而——很美。
「存在感どころか、存在が消えてしまうって、物騒な例もあるけれどね。似たような名前じゃ中部辺りに重石石ってのもあるけど、ありゃ全くの別系統だろう。あっちは石で、こっちは蟹だし」
「岂止存在感,还有发生过就连存在本身都消失的可怕例子喔。类似的名称在中部一带也有所谓的重石石,不过那应该是完全不相干的系统。毕竟那边是石头,我们现在是说螃蟹。」
「蟹って──本当に蟹なのか?」
「所谓螃蟹——是指真正的螃蟹吗?」
「馬鹿だなあ、阿良々木くん。宮崎やら大分やらの山間で、そうそう蟹が取れるわけないだろう。単なる説話だよ」
「别傻了,阿良良木老弟。宫崎或大分那一带的山间,根本不可能捉得到螃蟹吧。只是单纯的民间故事罢了。」
心底呆れ果てたように言う忍野。
忍野一副打从心底傻眼的样子说道。
「そこにいない方が話題になりやすいってこともある。妄想や陰口の方が、盛り上がったりするもんだろう?」
「当地没有的东西比较容易成为话题,空穴来风或背后造谣本来就比较好炒作不是吗?」
「そもそも蟹って、日本のもんなのか?」
「螃蟹是日本原来就有的东西吗?」
「阿良々木くんが言っているのはアメリカザリガニのことじゃないのかい? 日本昔話を知らないのかな。猿蟹合戦。確かに、ロシアの方にゃ、有名な蟹の怪異ってのがあるし、中国にも結構あるけれど、日本だって、そうそう負けてばかりもいないさ」
「阿良良木老弟想讲的是美国螯虾吧?你不知道日本传说『猿蟹合战』吗?的确,俄罗斯有很著名的螃蟹怪谈,中国也不少,但是日本也毫不逊色啊。」
「ああ。そっか。猿蟹合戦ね。そういやそんなのもあったな。でも、宮崎やらって──どうしてそんなところの」
「啊啊,原来如此,猿蟹合战是吧,这样一讲的确是有这回事。不过,你说宫崎一带——为什么会在那种地方呢?」
「日本の片田舎で吸血鬼に襲われたきみがそれを僕に訊くなよ。場所そのものに意味があるんじゃないからね、別に。そういう状況があれば──そこに生じる、それだけだ」
「在日本乡下被吸血鬼袭击的你不要拿那种问题来问我啦。反正地点本身并没有意义可言吧。只要有那样的情况——就会在那里发生,仅此而已。」
勿論、地理気候も重要だけれど、と付け加える忍野だった。
当然,地理和气候也很重要,忍野又补上这一句。
「この場合、別に蟹じゃなくてもいい。兎だって話もあるし、それに──忍ちゃんじゃないけれど、美しい女の人だっていう話もある」
「这类的故事,不是螃蟹也没关系。也有对方是兔子的传说,除此之外——虽然跟小忍无关,但提到美丽女子的传说也不少。」
「ふうん……月の模様みたいだな」
「嗯……就好像月亮的图案一样呢。」
ていうか、忍ちゃん呼ばわりだった。
话说,忍野怎么随便叫人家小忍。
筋ではないが、少し同情してしまう。
虽然这跟故事无关,但我稍微同情起她来了。
伝説の吸血鬼なのに……。
她明明是传说中的吸血鬼……
切ないなあ。
真悲哀啊。
「まあ、お嬢ちゃんが行き遭ったのが蟹だっていうんなら、今回は蟹なんだろう。一般的だしね」
「好了,既然这位小姐说她遇到的是螃蟹,那这回就是螃蟹了吧。这也算是普通的案例。」
「なんなんですか、それは」
「那到底是什么意思?」
戦場ヶ原は強気な調子で、忍野に問う。
战场原用强势的态度,向忍野问道。
「名前なんて、そんなのは何だって構いませんけれど──」
「叫什么名称,那种事情根本不重要——」
「そうでもないさ。名前は重要だよ。阿良々木くんにさっき教えてやった通り、九州の山奥で蟹はないからね。北の方じゃ、そういうのもあるみたいだけれど、九州じゃやっぱり珍しいよ」
「没那回事,名称是很重要的喔。就像我刚才告诉阿良良木老弟的一样,九州岛深山里并没有螃蟹,在北方或许有,但出现在九州岛仍属相当罕见。」
「サワガニなら取れんじゃねえの」
「河蟹的话应该捕得到不是吗?」
「かもね。でも、それは本質的な問題じゃない」
「也许吧,不过那无关乎本质上的问题。」
「どういうことですか」
「怎么说?」
「蟹じゃなくて、元は神なんじゃないのかってことさ。おもいし神から、おもし蟹へ派生したって感じ──もっとも、これは、僕のオリジナルの説だけどね。普通は、蟹がメインで神が後付けだと思われている。真っ当に考えると、確かに、最低でも同時発生ってことになるんだけれども」
「它在本质上并非螃蟹,原本可能是神灵。感觉就像从重石神,衍生为重石蟹一样——不过,这是我个人独创的理论。一般都认为螃蟹才是主角,神灵是后来添加的。但认真来想,的确,这两个说法至少也应该是同时产生的。」
「普通も真っ当も何も、そんな化物は知りません」
「不管你是一般认为的还是认真想都好,那种鬼怪我根本就不知道。」
「知らないってことはないよ。何せ──」
「哪有不知道的道理,毕竟——」
忍野は言った。
忍野说。
「遭っているんだから」
「你已经遇上了。」
「…………」
「そして──今だってそこにいる」
「而且——它现在也还在那里。」
「何か──見えるっていうんですか」
「意思是——你看得到什么吗?」
「見えないよ。僕には何も」
「我什么也看不到啊。」
そう言って、忍野は快活に笑った。爽やかさが過ぎるその笑い方は、矢張り、戦場ヶ原の気に障るようだった。
忍野说着,便愉悦地笑了起来。那种过度爽朗的笑声,似乎仍旧让战场原感到不舒服。
それは僕も同感だ。
我也有同感。
茶化しているようにしか思えない。
那只会让人觉得他在嘲弄人。
「見えないなんて、まるで無責任ですね」
「说什么看不到,简直是推卸责任嘛。」
「そうかい? 魑魅魍魎の類ってのは、人に見えないのが基本だろう。誰にも見えないし、どうやっても触れない。それが普通だ」
「会吗?魑魅魍魉之类的东西,人类基本上都是看不到的吧。这点谁都一样,而且怎样也摸不到,这才是正常的。」
「普通──ですけれど」
「是正常没错。」
「幽霊は足がないとか言ってさ、吸血鬼は鏡に映らないとか言ってさ、でもそもそもそういう問題じゃなく、ああいうものは、そもそも同定できないのが基本──しかし、お嬢ちゃん。誰にも見えないし、どうやっても触れないものってのは、この世に果たして、あるんだろうか?」
「大家说幽灵没有脚,或是吸血鬼不会倒映在镜子上,可是这些根本都不是问题所在,基本上那种东西,原本就是无法确认、无法定义的——只不过,小姐,谁都看不到,而且怎样也摸不到的东西,究竟有没有可能存在于这个世界上呢?」
「あるんだろうかって──あなたが、今、そこにいると、自分で言ったんじゃないですか」
「究竟有没有可能存在于这个世界上?你自己刚才不是说过就在那里吗?」
「言ったよ? でも、誰にも見えないし、どうやっても触れないものなんて、いてもいなくても、そんなの、科学的にはおんなじことだろう? そこにあることと、そこにないことが、全く同じだ」
「我是说过啊。可是没人看得到,而且怎样也碰触不到的东西,不管存在或不存在,这点就科学上来讲都是一样的吧?无论在那里或不在那里,全都是一样的。」
そういうこと、と忍野は言った。
总之就这么回事,忍野说。
戦場ヶ原は納得いかないような顔をしている。
战场原一脸难以接受的表情。
確かに、納得できる理屈ではない。
的确,这不是一个可以接受的解释。
彼女の立場からすれば。
从她的立场来看。
「ま、お嬢ちゃんは、運の悪い中じゃあ運のいい部類だよ。そこの阿良々木くんなんて、行き遭うどころか襲われたんだから。それも吸血鬼に襲われた。現代人としてはいい恥晒しだよ」
「其实,小姐,你已经是不幸中的大幸了喔。在你旁边的阿良良木老弟,不光是遇上还被袭击呢。而且还是被吸血鬼袭击,身为现代人真是一大耻辱啊。」
放っとけ。
少啰唆。
かなり放っとけ。
不用你管。
「それに較べればお嬢ちゃんは全然マシだ」
「相较之下,小姐你简直好太多了。」
「どうしてですか」
「为什么?」
「神様なんてのは、どこにでもいるからさ。どこにでもいるし、どこにもいない。お嬢ちゃんがそうなる前からお嬢ちゃんの周りにはそれはあったし──あるいはなかったとも言える」
「所谓的神灵,其实无所不在。既无所不在,又不存在于任何地方。早在你变成那样以前,它们就存在于你的周围——也可以说都不存在。」
「禅問答ですね。まるで」
「真像在说禅呢。」
「神道だよ。修験道23かな」
「这是神道啊,算修验道吧。」
忍野は言う。
忍野说:
「勘違いするなよ、お嬢ちゃん。きみは何かの所為でそうなったわけじゃない──ちょっと視点が変わっただけだ」
「可别误会喔,小姐。你并非因为什么的关系才变成这样子——只是立场稍微不一样了而已。」
最初から、そうだった。
事情从一开始,本来就是这样。
それは──それじゃあ、匙を投げた医者と、言っていることがほとんど、変わらない。
忍野现在这样说——说法和放弃诊治的医师一样,几乎没有两样。
「視点が? 何が──言いたいんですか?」
「观点不一样?你究竟——想要说什么?」
「被害者面が気に食わねえっつってんだよ、お嬢ちゃん」
「意思就是我看不惯你摆出那种自己是受害者的模样啦,大小姐。」
唐突に、辛辣な言葉を、忍野は放った。
忍野突如其来地,呛出犀利的言词。
僕のときと同じように。
就像我那时候一样。
或いは、羽川のときと同じように。
或者说,像羽川那时候一样。
戦場ヶ原のリアクションが気になったが──しかし、戦場ヶ原は、何も、返さなかった。
我留意着战场原的反应——然而她却没有反唇相讥。
甘んじて受けたようにも思えた。
仿佛坦然接受了。
そんな戦場ヶ原を、忍野は、 「へえ」 と、感心したように見た。
看见这样的战场原,忍野「哦——」地一声,似乎感到佩服。
「なかなかどうして。てっきり、ただの我儘なお嬢ちゃんかと思ったけど」
「挺意外的,我还以为,你只是个任性骄纵的大小姐罢了。」
「どうして──そう思ったんですか」
「为什么——你会那样认为?」
「おもし蟹に遭うような人間は、大抵そうだからだよ。遭おうと思って遭えるもんじゃないし、通常、障るような神でもない。吸血鬼とは違う」
「因为会遇上重石蟹的人,大抵来说都是那种型的。毕竟它不是想遇就可以遇到的,通常也不是会危害人类的神灵,跟吸血鬼并不一样。」
障らない?
不会危害人类?
障らないし──襲うこともない?
既不会危害——也不会攻击?
「憑くのとも違う。ただ、そこにいるだけだ。お嬢ちゃんが何かを望まない限り──実現はしないんだ。いや、もっとも、そこまで事情に深入りするつもりはないけれどね。僕はお嬢ちゃんを助けたいわけじゃないんだから」
「也和会附身的妖怪不一样。它仅仅只是存在于那里而已。只要你不去期望些什么——愿望就不会实现。唉呀,我本来没打算管这么多的。因为我没有想要帮大小姐你啊。」
「…………」
勝手に助かる──だけ。
只有自己——才能够救自己。
忍野はいつも、そういうのだった。
忍野总是这么说。
「こんなのは知っているかな? お嬢ちゃん。海外の昔話なんだけどね。あるところに、一人の若者がいたんだ。善良な若者さ。ある日、若者は、町で不思議な老人と出会う。老人は若者に、影を売ってくれるように頼むんだ」
「你知道吗?小姐。这是国外的一个民间故事:某处有个年轻人,心地非常善良,某天,年轻人在街上巧遇一名奇特的老人。这名老人拜托年轻人将影子卖给他。」
「影を?」
「影子?」
「そう。お日様に照らされて、足元から生じる、この影だ。金貨十枚で売ってくれ、とね。若者は、躊躇無く、売った。金貨十枚で」
「没错。就是在太阳下,会出现在脚边的影子。老人说请用十枚金币的价格卖给我。而年轻人就毫不犹豫地卖了。以十枚金币的价格。」
「……それで?」
「……然后呢?」
「お嬢ちゃんならどうする?」
「如果是你会怎么做?」
「別に──その状況になってみないと、わかりません。売るかもしれないし、売らないかもしれない。そんなの、値段次第ですし」
「很难说——没有实际面临那种状况,是不会知道的。也许会卖,也许不会。这种事情,也要看价格才能决定。」
「正しい答だね。たとえば、命とお金とどっちが大切なんだって質問があったりするけれど、これは質問自体がおかしいよ。お金と一口に言っても、一円と一兆円じゃ、価値が違うんだし、命の価値だって、個々人によって平等じゃない。命は平等だなんて、それは僕が最も憎む、低俗な言葉だよ。まあ、それはともかく──その若者は、自分の影なんてのは、金貨十枚の価値よりも大事だとは、とても思えなかったんだ。だってそうだろう? 影なんかなくても、実質、何も困りやしないんだから。不自由はどこにも生じない」
「很正确的答案。好比说,有人会问金钱跟性命哪个比较重要,这种问题本身就很奇怪。即使讲起来同样是钱,一圆和一兆圆的价值也大不相同,就连生命的价值,也因人而异。什么生命一律平等,那是我最憎恶的低俗言论。算了,这不重要——总之那个年轻人,并不认为自己的影子比十枚金币还要有价值,这也难怪,毕竟影子这东西,就算没有了,实际上也不会造成任何困扰嘛,不会产生任何的不便。」
忍野は身振りを加えながら、話を続けた。
忍野比手画脚地,继续讲下去。
「しかし、その結果、どうなったか。若者は、住んでいた街の住人や家族から、迫害を受けてしまうんだ。周囲と不調和を起こすことになる。影がないなんて不気味だ──と言われてね。そりゃそうだよ。不気味だもん。不気味な影という言葉もあるけれど、影がない方がよっぽど不気味さ。当たり前のものがないなんて──ね。つまり、若者は、当たり前を金貨十枚で、売ったってことなのさ」
「可是,结果呢,年轻人却遭到了镇上群众与家人的迫害,和周围格格不入。大家都说他没有影子感觉好诡异。这也难怪,的确很诡异啊。虽然有时候也会用阴影来形容诡异的事物,但没有影子更加诡异吧。理所当然存在的东西居然会没有——也就是说,年轻人将理所当然的东西,用十枚金币的价格卖掉了。」
「…………」
「若者は、影を返してもらおうと老人を探したけれど、いくら探しても、どんなに探しても、その不思議な老人を、見つけることはできませんでした──とさ。ちゃんちゃん」
「年轻人为了拿回影子,四处寻找老人的下落,然而却不管怎么找,不管找多久,始终都无法找到那名奇特的老人——就这样,锵锵。」
「それが──」
「那究竟——」
戦場ヶ原は。
战场原她——
表情を変えずに、忍野に応えた。
表情不变地,对忍野响应道。
「それが一体、どうしたっていうのですか」
「这故事究竟代表着什么意思?」
「ううん、別にどうもしないよ。ただ、どうだろう、お嬢ちゃんには身につまされる話なんじゃないかと思ってね。影を売った若者と重みを失ったお嬢ちゃん、だから」
「嗯,没有什么意思啊。我只是觉得这故事可能会让小姐感同身受,产生共鸣吧。卖掉影子的年轻人与失去体重的小姐,就这样。」
「私は──売ったわけじゃありません」
「我并没有——卖掉自己的体重。」
「そう。売ったわけじゃない。物々交換だ。体重を無くすことは、影を無くすことよりは、不便かもしれないけれど──それでも、周囲との不調和ということなら、同じだしね。でも──それだけなのかな」
「对啊,没有卖掉,而是以物易物。失去体重,也许会比失去影子更不方便——尽管如此,论起和周围的格格不入,这两者是大同小异。不过——只有这么单纯吗?」
「どういう意味です?」
「什么意思?」
「それだけなのかなという意味だ」
「就是『只有这么单纯吗』的意思。」
忍野はこの話はこれでおしまい、と言った風に、胸の前で両手を打った。
忍野一副话题到此结束的模样,在胸前击掌道:
「いいよ。わかった。体重を取り戻したいというのなら、力になるさ。阿良々木くんの紹介だしね」
「好,我了解了。如果想要取回体重,那我就助你一臂之力吧。毕竟是阿良良木老弟介绍来的。」
「……助けて──くれるんですか」
「……你愿意——救我吗?」
「助けない。力を貸すけど」
「不是救你。只是助你一臂之力。」
そうだね、と左手首の腕時計を確認する忍野。
这个嘛,忍野看看左腕的手表确认时间。
「まだ日も出ているし、一旦家に帰りなさい。それで、身体を冷水で清めて、清潔な服に着替えてきてくれる? こっちはこっちで準備しておくからさ。阿良々木くんの同級生ってことは、真面目なあの学校の生徒ってことなんだろうけれど、お嬢ちゃん、夜中に家、出てこられる?」
「现在太阳还没下山,你先回家一趟吧。然后用冷水清洗身体,换上干净的衣服再过来好吗?我这边也要先做个准备。你是阿良良木老弟的同学,这就表示你也是那间高中的模范学生吧,小姐你可以半夜从家里出来吗?」
「平気です。それくらい」
「没问题,小事一桩。」
「じゃ、夜中の零時ごろ、もういっぺんここに集合ってことで、いいかな」
「那么,午夜十二点左右,重新在这里集合,可以吗?」
「いいですけれど──清潔な服って?」
「可以是可以,只不过——你说要换干净的衣服?」
「新品じゃなくてもいいけど。制服ってのは、ちょっとまずいね。毎日着ているものだろう」
「不用全新的也没关系。穿制服的话,会有点糟糕,毕竟每天都在穿对吧。」
「……お礼は?」
「……谢礼呢?」
「は?」
「啥?」
「とぼけないでください。ボランティアで助けてくれるというわけではないんでしょう?」
「请不要装傻。你不是义务帮忙我的吧?」
「ん。んん」
「嗯,嗯嗯——」
忍野はそこで、僕を見る。
这时候,忍野转过来看着我。
まるで僕を値踏みしているようだった。
彷佛在估算我的价值般。
「ま、その方がお嬢ちゃんの気が楽だっていうなら、貰っておくことにしようか。じゃ、そうだね、十万円で」
「嗯,如果这样会让你心情轻松点的话,那我就收点谢礼吧。这个嘛,好,就十万日币。」
「……十万円」
「……十万——」
その金額を、戦場ヶ原は反復した。
战场原复诵这个金额。
「十万円──ですか」
「十万圆——是吗?」
「一ヵ月二ヵ月、ファーストフードでバイトすれば手に入る額でしょ。妥当だと思うけれど」
「这个金额只要在快餐店打工一、两个月就能赚到手了吧。我认为很妥当。」
「……僕のときとは随分対応が違うな」
「……这跟我那时候的价码差很多耶。」
「そうだっけ? 委員長ちゃんのときも、確か十万円だったと思うけれど」
「是吗?我记得在帮班长妹处理的时候,也是收十万圆啊。」
「僕のときは五百万円だったって言ってんだよ!」
「你当时跟我开口要了五百万耶!」
「吸血鬼だもん。仕方ないよ」
「没办法,因为是吸血鬼嘛。」
「何でもかんでも安易に吸血鬼のせいにするな! 僕はそういう流行任せの風潮が大嫌いだ!」
「不要随便把理由都推到吸血鬼身上!我最讨厌那种盲目跟随流行的风潮!」
「払える?」
「你付得起吗?」
思わず横槍を入れてしまった僕を片手であしらうようにしながら、忍野は、戦場ヶ原に問うた。
忍野一边敷衍着忍不住插嘴吐槽的我,一边朝战场原问道。
戦場ヶ原は、 「勿論」 と、言った。
「当然。」战场原说:「不管用什么方法,我一定会付给你。」
そして──
于是——
そして、二時間後──今現在、だ。
于是,两小时后——的现在。
戦場ヶ原の家。
我在战场原的家。
もう一度──見回す。
再一次——环顾四周。
十万円という金銭は、普通でも少ない額ではないが、戦場ヶ原にとっては、通常以上に、大金なのだろうと、そう考えさせる、六畳一間だった。
十万日币的金额,对普通人而言也不算小数字,对战场原来说更是超乎寻常的巨款吧。看着三坪大的房间,我不禁心想。
衣装簞笥と卓袱台、小さな本棚の他には何も無い。濫読派のはずの戦場ヶ原にしては、本の冊数も少なめなので、その辺は恐らく、古書店や図書館で、うまくやりくりしているのだろう。
除了衣柜与矮桌、小型书柜以外这里什么也没有。以战场原杂食性的阅读习惯来看,屋内书本的数量略少,这方面恐怕都是靠着善加运用旧书店和图书馆来补足的吧。
まるで昔の苦学生だ。
简直就像以前的穷苦学生。
いや、実際、戦場ヶ原はそうなのだろう。
不,战场原实际上就是这样子吧。
学校にも奨学金で通っていると言っていた。
据她所说,学校方面也是靠奖学金就读的。
忍野は、戦場ヶ原のことを、僕よりも全然マシ──みたいな風に言っていたけれど、それはどうなのだろうと、思ってしまう。
忍野刚才说,战场原比我好运多了——虽然讲起来好像是这样,实际上究竟如何呢,我不由得陷入沉思。
確かに──命の危険という意味や、周囲に及ぼす迷惑という意味では、吸血鬼に襲われるなんてのは、冗談じゃない話だ。死んだ方が楽だと何度も思ったし、今だって、一歩まかり間違えば、そう思ってしまうこともある。
的确——就生命危险的层面,或是给周围带来的困扰而言,被吸血鬼袭击可不是开玩笑的。我好几次都觉得死了还比较轻松,即使到现在,我有时也忍不住会去想:要是当时有个万一的话该怎么办。
だから。
所以——
戦場ヶ原は、運の悪い中では、運のいい方なのかもしれない。けれど──羽川に聞いた中学時代の戦場ヶ原の話を思えば、単純にそうまとめ、そう認識するのには、無理があるような気がする。
战场原也许算是,不幸中的大幸。然而——想想我从羽川那边听到、有关战场原国中时候的事情,又觉得要这样简单地下定论或认定,似乎有些牵强。
少なくとも、平等ではないだろう。
至少,这样是不公平的吧。
ふと思う。
我忽然想到。
羽川は──羽川翼はどうなのだろう。
羽川她——羽川翼又是如何呢。
羽川翼の場合。
羽川翼——自己的情况。
翼という、異形の羽を、持つ女。
名为翼——拥有一对异形翅膀的女人。
僕が鬼に襲われ、戦場ヶ原が蟹に行き遭ったように、羽川は猫に魅せられた。それが、ゴールデンウィークのことだ。あまりに壮絶で、終わってしまえば遥か昔の出来事のようだが、つい、数日前の事件である。
就像我遭到吸血鬼袭击,战场原遇到螃蟹一样,羽川也曾受到猫的魅惑。那是发生在黄金周的事情。过程极为悲壮凄绝,结束后回想起来,彷佛久远的往事般,然而那一切只是数天前的事件而已。
とはいえ、羽川は、そのゴールデンウィークの際の記憶をほとんどなくしているので、羽川本人は、忍野のお陰でそれがなんとかなったことくらいしか分かっちゃいないのだろうけれど、ひょっとしたら何も分かっちゃいないのかもしれないが、それでも、僕は──すべてを覚えている。
话虽如此,但羽川却几乎完全丧失了黄金周那段时间的记忆。她本人可能只知道托了忍野的福事件才得以解决,也或许根本什么都不知道,然而我却——记得一清二楚。
何しろ、厄介な話だった。
总之那是,相当棘手的事件。
既に鬼を経験していた僕がそう思った。鬼よりも猫の方が怖いなんてことがあるとは、よもや24考えたこともなかったけれど。
已经有过吸血鬼体验的我都这么认为了。猫居然会比鬼更恐怖,这种事情我根本连想都没想过。
やっぱり、命の危険だったりの観点から見れば──戦場ヶ原より羽川の方が悲惨だったと、単純に言えるのだが、しかし──戦場ヶ原が一体どれほどの思いで今に至っているかを考えると。
从生命危险的角度来看,单纯来说羽川比战场原要悲惨得多了,但是我一想到——战场原究竟以什么样的心情走到现在这点。
現状を考えると。
一想到现状。
考えてしまうと。
一深入思考。
優しさを敵対行為と看做すまでに至る人生とは、一体、どのようなものなのだろう。
就连温柔也会视为敌对行为的人生,究竟是一种什么样的感觉呢?
影を売った若者。
卖掉影子的年轻人。
重みを失った彼女。
失去体重的她。
僕には、わからない。
我,无法理解。
僕にわかる話じゃ──ないのだ。
这并不是——我能理解的事情。
「シャワー、済ませたわよ」
「我冲好澡了。」
戦場ヶ原が脱衣所から出てきた。
战场原从浴室走了出来。
すっぽんぽんだった。
一丝不挂地。
「ぐあああっ!」
「咕哇啊啊啊!」
「そこをどいて頂戴。服が取り出せないわ」
「麻烦让开一下,你这样我没办法拿衣服。」
平然と、戦場ヶ原が、濡れた髪を鬱陶しそうにしながら、僕が背にしていた衣装簞笥を指さす。
战场原泰然自若地,不耐烦地拨弄湿答答的头发,一边指着我背后的衣柜。
「服を着ろ服を!」
「衣服!快把衣服穿上!」
「だから今から着るのよ」
「所以说我现在正要穿啊。」
「なんで今から着るんだ!」
「为什么现在才要穿!」
「着るなって言うの?」
「你的意思是叫我不要穿吗?」
「着てろって言ってんだ!」
「我是叫你先穿好再出来!」
「持って入るのを忘れていたのよ」
「我刚才忘了带进去啊。」
「だったらタオルで隠すとかしやがれ!」
「那你好歹用毛巾遮一下啊!」
「嫌よ、そんな貧乏くさい真似」
「才不要咧,那种小家子气的作风。」
澄ました顔で、堂々としたものだった。
她用一脸坦然的表情,大大方方地说道。
議論が無駄なことは火を見るよりも明らかだったので、僕は這いずるように衣装簞笥の前から離れ、本棚の前に移動し、並んでいる本の冊数でも数えているみたいに、そこに視点と思考を集中させた。
很显然这时候争论也没意义了,所以我匍匐着从衣柜前爬开,移动到书柜前方,彷佛在细数架上排列的书本般,将视线和思考集中在书架上。
ううう。
呜呜呜。
女性の全裸を、初めて見てしまった……。
第一次看到了,女性全裸的身体……
だ……だけれどなんか違う、思っていたのと違う、幻想なんか持っていたつもりは全然ないけれど、僕が望んでいたのは、僕が夢見ていたのは、こんな、裸ん坊万歳みたいな、あけっぴろげ25な感じじゃなかったはずだ……。
可……可是总觉得好像不太对,跟我原本想的不一样。尽管我并未抱持任何幻想,但我所期望的,我梦想中的,应该不是这种裸体万岁的完全开放感才对……
「清潔な服ねえ。白い服の方がいいと思う?」
「要干净衣服吗,穿白色的是不是比较好?」
「知らねえよ……」
「我不知道啦……」
「ショーツとブラは、柄ものしか持っていないの」
「我的内裤跟胸罩,全部都是有花纹的耶。」
「知らねえよ!」
「我不知道啦!」
「相談しているだけなのに、どうして大声で喚いたりするの。訳がわからないわ。あなた、更年期障害なんじゃない?」
「我只是征求一下意见而已,为什么你要大声嚷嚷啊,莫名其妙,你有更年期障碍是不是?」
簞笥を開ける音。
打开衣柜的声音。
衣擦れの音。
衣服摩擦的声音。
ああ、駄目だ。
啊啊,不行。
脳裏に焼きついて離れない。
烙印在脑海里面挥之不去了。
「阿良々木くん。まさかあなた、私のヌードを見て欲情したのではないでしょうね」
「阿良良木,你该不会是,看见我的裸体而欲火焚身了吧。」
「仮にそうだったとしても僕の責任じゃない!」
「就算真的是那样也不是我的责任!」
「私に指一本でも触れて御覧なさい。舌を嚙み切ってやるんだから」
「你敢碰我一根手指头试试看,我会马上咬断舌头的。」
「あーあー、身持ちの堅いこったな!」
「哎呀——真是个守身如玉的女孩子呢!」
「あなたの舌を嚙み切るのよ?」
「我是说咬断你的舌头。」
「マジでおっかねえ!」
「太可怕了你!」
なんていうか。
什么跟什么啊。
土台26、この女を僕の視点で理解しようという方が、無理があるのかもしれなかった。
也许要以我的角度去理解这个女人,根本是异想天开。
人間が人間を理解できるわけがない。
人类是没办法理解人类的。
そんなのは、当たり前のことなのに。
这明明是天经地义的事情。
「もういいわよ。こっちを向いても」
「好了,你可以转过来咯。」
「そうかよ、ったく……」
「确定吗,真是的……」
僕は本棚から、戦場ヶ原を振り向いた。
我从书柜前转身,面向战场原。
まだ下着姿だった。
她还穿着内衣裤。
靴下も穿いていない。
连袜子也没穿。
やたら扇情的なポーズを取っていた。
还摆出非常煽情的姿势。
「何が目的なんだお前は!」
「你这家伙到底有何目的!」
「何よ。今日のお礼のつもりで大サービスしてあげてるんだから、ちょっとは喜びなさいよ」
「什么嘛,我是为了答谢今天的事情才特别大放送的说,你至少也高兴一下吧。」
「………………」
お礼のつもりだったのか。
这是为了答谢吗。
意味が分からない。
搞不懂她在想什么。
どちらかというとお礼よりお詫びを求めたい。
真要说的话,比起道谢我更希望你能道歉。
「ちょっとは喜びなさいよ!」
「你至少也高兴一下吧!」
「逆切れされたっ!?」
「你恼羞成怒了吗?」
「感想くらい言うのが礼儀でしょう!」
「礼貌上你应该要说一点感想吧!」
「か、感想って……っ!」
「感、感想……」
礼儀なのか?
基于礼貌吗?
なんて言えばいいんだ?
该说些什么才好呢?
えーっと……。
呃——这个……
「い、いい身体してるね、とか……?」
「你身、身材不错嘛,类似这种话吗……?」
「……最低」
「……低级。」
腐敗した生ゴミを見るように唾棄された。
战场原彷佛在看腐坏的厨余般表示唾弃。
いや、むしろ憐憫の入り混じった感じ。
不,应该说她的语气当中夹带着怜悯。
「そんなことだからあなたは一生童貞なのよ」
「就是因为这样你才会当一辈子处男。」
「一生!? お前は未来から来た人なのか!?」
「一辈子!你是未来人吗?」
「唾を飛ばさないでくれる? 童貞がうつるわ」
「别乱喷口水好不好,处男会传染耶。」
「女に童貞がうつるか!」
「女生会被传染处男才怪!」
いや、男にもうつらないけれど。
不对,就算是男生也不会被传染。
「ていうかちょっと待て、さっきから僕が童貞であることを前提に話が進んでるぞ!」
「慢着,怎么从刚才开始就以我是处男为前提在进行对话啊!」
「だってそうでしょう。あなたを相手にする小学生なんていないはず」
「因为本来就这样啊。应该没有小学生肯跟你交往吧。」
「その発言に対する異議は二つ! 僕はロリコンじゃないというのが一つ、そして探せばきっと僕を相手にしてくれる小学生だっているはずというのが二つだ!」
「我对这句发言有两项异议!第一我不是萝莉控,然后第二,只要我认真去找肯定会有愿意跟我交往的小学生才对!」
「一つ目があれば二つ目はいらないのでは」
「第一点如果成立,第二点就没有存在的必要吧。」
「…………」
いらなかった。
的确没必要。
「でもまあ、確かに偏見でものを言ったわね」
「不过算了,我的确是说了有偏见的话。」
「わかってくれればいいんだ」
「你知道就好。」
「唾を飛ばさないで。素人童貞がうつるわ」
「别乱喷口水,会传染别人处男耶。」
「認めましょう、僕は童貞野郎です!」
「我就承认吧,我是处男没错!」
恥辱に満ちた告白をさせられた。
我被迫说出充满耻辱的告白。
戦場ヶ原は満足そうに頷く。
战场原一脸满意地点点头。
「最初から素直にそう言っておけばいいのよ。こんなこと、残りの寿命の半分に匹敵する幸運なのだから、余計な口を叩くべきではないの」
「一开始先老实承认就好了嘛。这样的好运,足以匹敌你剩余寿命的一半呢,所以你不应该做无谓的争辩。」
「お前、死神だったのか……?」
「你是死神吗……?」
取引すると女の裸が見えるのか。
只要用寿命交换,就能看见女性的裸体吗?
すげえ死神の目だな。
真是了不起的死神之眼呢。
「心配しなくとも」
「你用不着担心——」
言いながら、簞笥から取り出した、白いシャツを、水色のブラジャーの上から羽織る戦場ヶ原。もう一度本棚を見つめ本の数を数えるのも馬鹿馬鹿しいので、僕はそんな戦場ヶ原を、ただ、眺めるようにする。
战场原边说边从衣柜取出白衬衫,穿在水蓝色的胸罩上。这时候要是我再转头看书柜、数上面有几本书的话也实在很蠢,所以我决定看着她的动作。
「羽川さんには内緒にしておいてあげるのに」
「羽川那边我会替你保密的。」
「羽川って」
「这跟羽川有什么关系?」
「彼女、阿良々木くんの片恋相手じゃないの?」
「她不是你单恋的对象吗?」
「それは違う」
「才不是。」
「そうなんだ。よく話しているから、てっきりそうなんだと思って、鎌をかけてみたのだけれど」
「这样啊。因为你常常和她说话,我以为绝对是那样没错,所以才想套你的话看看。」
「日常会話で鎌をかけるな」
「不要在闲聊当中套别人的话。」
「うるさいわね。処分されたいの」
「真啰唆耶,你想被我处分掉吗?」
「何のどんな権限を持ってんだよ、お前は」
「你哪里来那种权力啊。」
しかし、戦場ヶ原も一応、クラスの中のこととか、見てないようで見てるんだな。僕が副委員長であることすら、ことによっては知らないんじゃないかと思っていたが。いや、それも、いつか敵になるかもしれない──からなのだろうか。
不过,原来战场原也会不动声色地暗中观察班上的事情吗?原本以为她可能连我是副班长这件事情都不知道咧。只不过,她会做观察也是因为大家将来有一天可能会变成敌人的缘故?
「よく話しているのは、向こうが僕に、勝手に話しかけてきているだけだよ」
「每次都是她主动来找我说话的。」
「身の程知らずな口振りね。羽川さんの方が、あなたに片恋だとでも言いたいの?」
「好大的口气。你想说是羽川在暗恋你吗?」
「それは、絶対、違う」 僕は言う。 「羽川のあれは単純に面倒見がいいだけだ。単純に、そして過剰に、な。あいつは一番駄目な奴が一番可哀想だって、そんな愉快な勘違いをしているんだ。駄目な奴が、不当に損をしているって、そんな風に、思ってるんだ」
「绝对不是那样。」我接着说:「羽川只是单纯地喜欢照顾人罢了。单纯,而且过度地。她有一种令人啼笑皆非的误解,认为最没用的家伙同时也是最可怜的。她觉得没用的家伙都很容易吃闷亏。」
「それは本当に愉快な勘違いね」
「那的确是令人啼笑皆非的误解。」
戦場ヶ原は頷いた。
战场原点头道:
「一番駄目な奴は一番愚かなだけなのに」
「最没用的家伙明明就只是最愚蠢而已。」
「……いや、僕はそこまでは言ってません」
「……呃不,我并没有说得那么严重。」
「顔に書いてあるわ」
「你全都写在脸上了啊。」
「書いてねえよ!」
「我才没有!」
「そういうと思ってさっき書いておいたわ」
「我知道你会这么说,所以刚才事先帮你写好了。」
「そんな手回しがありえるか!」
「你最好是准备得这么周到!」
大体──
其实——
僕が釈明するまでもなく、戦場ヶ原だって、羽川の性格は、よくわかっているはずだ。放課後、戦場ヶ原のことを訊いたとき、羽川は随分──戦場ヶ原のことを、気にかけている様子だった。
无须我多做解释,战场原自己应该也非常清楚羽川的个性才对。今天放学后,当我询问战场原的事情时,羽川似乎——十分关心战场原的样子。
あるいは、だからこそなのかもしれない。
或许正因为羽川的个性就是这样也说不定。
「羽川さんも──忍野さんの、お世話になったのね?」
「羽川她也——受过忍野的帮助是吗?」
「ん。まあな」
「嗯,对啊。」
戦場ヶ原は、シャツのボタンを最後まで留めると、その上から、白いカーディガンを着るようだった。どうやら、下半身より先に上半身のコーディネートを済ませてしまうつもりらしい。なるほど、服には一人一人、別々な着衣順があるものだと思った。戦場ヶ原は、僕の視線なんて全く気になっていないのか、むしろ僕に自分の身体の正面を向けて、着衣を続けるのだった。
战场原将衬衫最后一颗钮扣给扣好,再套上白色针织毛衣。看样子她似乎打算先穿好上半身再来决定下半身的搭配。原来如此,每个人都有各自习惯的穿衣顺序。战场原毫不在意我的视线,将身体正对着我,继续穿衣服的动作。
「ふうん」
「嗯——」
「だから──一応、信頼して、いいとは思うぜ。ふざけた性格で、根明で軽薄な調子者だけれど、それでも、腕だけは確かだから。安心していい。僕一人の証言じゃなく、羽川もそうだっていうんだから、間違いないだろ」
「所以——你姑且可以相信忍野吧。虽然他很爱开玩笑,个性轻浮,是个喜欢逗人开心又容易得意忘形的家伙,不过他的能力值得肯定。你可以放心,毕竟不光是我一个人,还有羽川可以作证,这点应该错不了吧。」
「そう。でもね、阿良々木くん」
「是吗。不过,阿良良木。」
戦場ヶ原は言う。
战场原说:
「悪いけれど、私はまだ、忍野さんのことを、半分も信頼できてはいないのよ。彼のことをおいそれと信じるには、私は今まで、何度も何度も、騙され続けているわ」
「很抱歉,我对忍野先生,连一半的信任都没有。到目前为止,我已经被骗了好几次,没办法这么轻易地相信别人。」
「…………」
五人──同じことを言って。
有五个人——说过同样的话。
全員が、詐欺師だった。
五个人,都是骗徒。
そして。
而且——
それが全てでも──ないのだろう。
那还不是——全部吧。
「病院にも、惰性で通っているだけだし。正直、私はもう、この体質については、ほとんど諦めているのよ」
「就连医院,也只是例行公事地去复诊罢了。坦白说,我对这种体质,几乎已经放弃了。」
「諦めて……」
「放弃……」
何を──諦め。
心灰意冷。
何を、捨てた。
舍弃某些事物。
「この奇妙な世界には、決して、夢幻魔実也27も九段九鬼子28も、いてはくれないということ」
「这个奇妙的世界,绝对不会有梦幻魔实也或九段九鬼子存在的。」
「峠弥勒29くらいなら、ひょっとしたらいてくれるのかもしれないけれどね」
「咔美勒之类的,搞不好真的存在也不一定。」
ありったけの嫌味を込めて、戦場ヶ原は言った。
战场原用充满讽刺的语气说:
「だから阿良々木くん。私は──だからね、たまたま階段で足を滑らせて、たまたまそれを受け止めてくれたクラスメイトが、たまたま春休みに吸血鬼に襲われていて、たまたまそれを救ってくれた人が、たまたまクラスの委員長にも関わっていて──そして更に、たまたま私の力にもなってくれるだなんて、そんな楽天的な風には、どうしたって、ちっとも思えないの」
「我偶然在楼梯上滑倒,偶然被你接住,而你偶然在春假被吸血鬼袭击,偶然被忍野这个人所救,而他也偶然和班长扯上关系,然后这次他又更偶然地想要助我一臂之力——这个天真乐观的状况我实在没办法想象。」
言って── 戦場ヶ原は、カーディガンを脱ぎ始めた。
战场原开始脱起针织毛衣。
「折角着たのに、なんで脱ぐんだよ」
「你好不容易穿好了,为什么要脱掉啊。」
「髪を乾かすのを忘れていたわ」
「因为我忘记要吹头发了。」
「お前ひょっとしてただの馬鹿なんじゃないか?」
「你该不会只是一个普通的笨蛋吧?」
「失礼なことを言わないでくれるかしら? 私が傷ついたら大変じゃないの」
「你说话不要那么失礼好吗?万一我心灵受创的话可就糟糕了。」
ドライヤーはやたら高そうなものだった。
那把吹风机看起来非常昂贵。
身だしなみには気を遣う方らしい。
她似乎是个注重仪容的人。
そういう目で見れば、確かに、今戦場ヶ原が着用している下着も、結構お洒落なそれであるようだったが、しかし、なんだか、昨日まではあれほど魅惑的に僕の人生の大半を支配していたその憧憬の対象が、今となってはもうただの布きれにしか見えない。なんだかものすごい心の傷を現在進行形で植えつけられている気がする。
以这个角度来观察,战场原现在身上所穿的内衣裤,确实是相当时髦的款式,然而我总觉得,直到昨天为止还极度魅惑地影响着我大半人生让我心生憧憬的内衣裤,如今看来却只是一块布料而已。我莫名地感觉到,内心的创伤正以现在进行式逐渐向下深植。
「楽天的ねえ」
「我想得太乐观啊……」
「そうじゃなくて?」
「难道不是吗?」
「かもしんね。でも、いいんじゃねえの?」 僕は言った。 「別に、楽天的でも」
「也许吧。不过,又有何不可呢?」我接着说:「就算想得乐观一点,又何妨。」
「…………」
「悪いことをしてるわけじゃないし、ズルしているわけでもないんだから、堂々としてりゃいいんだよ。今みたいに」
「反正又不是在做什么坏事,也没有投机取巧,只要能堂堂正正的不就好了。就像你现在一样。」
「今みたいに?」
「像我现在一样?」
きょとん30とする戦場ヶ原。
战场原愣了一下。
自分の器のでかさに気付いていないご様子だ。
她似乎没注意到自己的器量有多大。
「悪いことを──しているわけじゃない、か」
「并没有——在做什么坏事,是吗?」
「だろ?」
「不对吗?」
「まあ、そうね」
「嗯,也对。」
戦場ヶ原は、しかし、そう言ったあとで、
然而,战场原她说完这句后——
「でも」
「不过——」
と、続けた。
紧接着,又说:
「でも──ズルはしているかも」
「不过——或许有投机取巧也说不定。」
「え?」
「咦?」
「なんでもないわ」
「没事。」
髪を乾かし終え、ドライヤーを仕舞い、戦場ヶ原は、再び、着衣を開始する。濡れっぱなしの髪で着た所為で、湿ってしまったシャツとカーディガンはハンガーに干して、別の服を簞笥の中から探していた。
战场原吹干头发,将吹风机收好,又重新开始着装。她把刚才被头发沾湿的衬衫和针织毛衣用衣架吊起晾干,从衣柜翻找别的替换衣物。
「今度生まれ変わるなら」 戦場ヶ原は言う。 「私は、クルル曹長になりたいわ」
「如果下辈子再投胎转世的话——」战场原说:「我想要变成 KURURU 曹长。」
「…………」
脈絡がない上に、もう半分くらいなっているような気もするが……。
没头没脑的发言,而且不用等转世,我个人认为已经有半分像了……
「言いたいことはわかるわ。脈絡がない上にわたしにはなれっこないっていうんでしょう」
「我知道你想说什么,你是不是觉得我这句话没头没脑,而且凭我是绝对没办法变成他的对吧。」
「まあ、半分くらいはそんな感じだ」
「呃,差不多意思,对了一半。」
「やっぱりね」
「果然。」
「……せめてドロロ兵長くらいのことは言えないのかよ」
「……你起码也说想要变成 DORORO 兵长吧。」
「トラウマスイッチという言葉は、私にとってあまりにもリアル過ぎるのよ」
「心灵创伤开关这个词汇,对我来说太过写实了。」
「そうかい……でもさ」
「是吗……不过——」
「でももなももないわ」
「没什么口不可是的。」
「なもってなんだよ」
「什么叫『口不可是的』。」
何と間違ったのかもわからない。
我连这句话错在哪里都摸不着头绪。
勿論、何が言いたいのかよくわからない。
当然我也不知道她想说什么。
そう思っている内に、戦場ヶ原は話題を変えた。
我正如此心想时,战场原又忽然改变话题问道:
「ねえ、阿良々木くん。一つ訊いていい? どうでもいいことなのだけれど」
「对了,阿良良木,可以问你一个问题吗?虽然是无关紧要的小事。」
「何」
「什么事?」
「月の模様みたいって、どういうこと?」
「月亮的图案,是指什么东西?」
「え? 何の話だ?」
「呃?什么意思?」
「言っていたじゃないの。忍野さんに」
「刚才在忍野先生那边,你不是有提过吗?」
「えーっと……」
「我想想……」
ああ。
啊。
そうだ、思い出した。
对了,我想起来了。
「ほら、蟹のことで、兎だったり美人だったりするって、忍野の奴、言ってただろ。あれのことだよ。月の模様って、日本からだと兎が餅をついているように見えるけれど、海外からだと蟹だったり、美人の横顔だったりするっていうから」
「忍野那家伙不是说,那个螃蟹有时候也会变成兔子或美女的版本吗?就是那个意思。有关月亮的图案方面,日本认为看起来像是月兔在上面捣麻糬,但国外则认为月亮的图案看起来像螃蟹,或是美女的侧脸。」
まあ、僕も実際に見たわけじゃないけれど、そうだという話だ。それを聞いて戦場ヶ原は、「そうなんだ」と、新鮮そうに相槌を打った。
当然,我也没有亲眼见过,只是民间故事都这么讲。战场原听了,说声「原来如此」,一脸新奇地附和道:
「そんなくだらないことをよく知っているわね。生まれて初めてあなたに感心したわ」
「你居然知道那么无聊的事情,我有生以来第一次对你感到敬佩呢。」
くだらないって言われた。
她说是无聊的琐事,
生まれて初めてって言われた。
又说对我有生以来第一次感到敬佩。
ので、僕は見栄を張ることにした。
于是,我决定趁机炫耀一番。
「なあに、僕は天文学や宇宙科学には詳しいんだよ。一時期熱中したことがあってね」
「没什么,我对天文学和宇宙科学可是懂很多喔,因为我有一阵子很迷这些东西。」
「いいのよ、私の前では格好つけなくとも。もう全部わかってるんだから。どうせそれ以外は何も知らないんでしょう?」
「算了吧,少在我面前要帅。反正我已经彻底看穿了,反正你除此之外根本一无所知对吧?」
「言葉の暴力って知ってるか」
「你知道什么叫言语暴力吗?」
「なら言葉の警察を呼びなさいよ」
「那你就去叫言语的警察来啊。」
「…………」
現実の警察でも対処できない気がした。
感觉就算是现实中的警察也没办法对付她。
「何も知らないってことはないぞ、僕だって。えーっと、たとえばそうだな、日本じゃやっぱり、月の模様といえば兎なわけだけれど、なんで月に兎がいるか、知ってるか?」
「我可不是知识贫民喔。嗯——对了,好比说,在日本境内,提到月亮的图案自然就想到兔子,不过你知道为什么月球上会有兔子吗?」
「月に兎はいないわ。阿良々木くん、高校生にもなってそんなことを信じているの?」
「月球上没有兔子喔,阿良良木,你都已经是高中生了还相信那种故事吗?」
「いるとして、だ」
「假设,曾经有的话。」
あれ、いるとして、じゃないか?
咦,不应该用现在式吗?
いたとしたら?
假设曾经有过的话?
何か違うな……。
这样说好像不太对……
「その昔、神様がいてだ、仏様だったかな、まあそんなのどっちでもいいや、神様がいて、兎はその神様のために、自分から火の中に飛び込んで、その身を焼いて、神様への供物にしたという話があるんだ。神様はその自己犠牲に心打たれて、皆がいつまでもその兎のことを忘れないようにと、空の月に、その姿を留めたと言うんだな」
「很久很久以前,有一位神明,又或者是佛祖,唉呀,是什么都好,总之故事在说兔子为了神明,自己跳入火堆中,当成把身体烤熟,献给神明的供品。而神明被兔子的自我牺牲所感动,为了要让众人永远不忘记兔子的奉献,便在夜空中的月亮留下兔子的身影。」
子供の頃テレビで見ただけの、記憶が曖昧な話なのでいまいち知識として脇が甘い感じだが、まあディテール的にはこんな感じだったはずだ。
这只是小时候在电视上看过的模糊记忆,要称为知识稍嫌松散,不过故事大纲应该八九不离十。
「神様も酷いことをするわね。それじゃあ兎はまるで晒しモノじゃない」
「神明也很过分呢,那样一来兔子不就像斩首是示众一样,死后还要让人观赏。」
「そういう話じゃないんだが」
「故事不是那个意思。」
「兎も兎よ。そうやって自己犠牲の精神を見せれば神様に認めてもらえるだろうという計算が見え透いて、浅ましいわ」
「兔子也真是的,以为只要表现出自我牺牲的精神,就可以得到神明的认同,它的心机实在耍得太明显了,真是肤浅。」
「そういう話じゃ絶対にないんだが」
「故事绝对不是那个意思。」
「いずれにせよ、私辺りには分からない話ね」
「不管怎么样,对我来说都是无法理解的故事。」
そう言って。
战场原如此说着,
着かけた新しい上着を、再び脱ぎ出す戦場ヶ原。
又开始着手脱下刚穿好的新上衣。
「……お前、実は自慢の肉体を僕に見せびらかしたいだけなのか?」
「……你这家伙,其实只是想要向我炫耀自己引以为傲的肉体对吧?」
「自慢の肉体だなんて、そんなに自惚れていないわ。裏返しで、しかも後ろ前だっただけよ」
「什么叫引以为傲的肉体,我才没有那么自恋。我只是不小心把衣服穿反,而且还前后颠倒了。」
「器用なミスだな」
「真是巧妙的失误哪。」
「でも確かに、服を着るのは得意じゃないの」
「不过我的确不擅长穿衣服。」
「子供みたいな奴だ」
「简直像小孩子一样。」
「違う。重たいのよ」
「不是。是因为太重了。」
「あ」
「啊!」
迂闊だった。
我太疏忽了。
そうか、鞄が重いなら、服だってそうだろう。
原来如此,既然书包会太重,想必衣服也是一样的吧。
十倍の重さとなれば、服であれ、馬鹿にならない。
一旦重量变成十倍,即便是衣服也非同小可。
反省する。
我要反省。
気遣いの足りない──不用意な発言だった。
刚才的发言实在是不够贴心,有欠谨慎。
「こればっかりは、飽きることはあっても慣れることはないわ──けれど、意外と学があるのね、阿良々木くん。びっくりしたわ。ひょっとしたら頭の中に脳味噌が入っているのかもしれないわね」
「只有这件事情,就算做到再烦也没办法适应——不过话说回来,没想到你还满有学问的呢,阿良良木。我太惊讶了,搞不好你的头壳里面真的有脑浆也不一定。」
「当たり前だろ」
「那是当然的吧。」
「当たり前って……あなたのような生物の頭蓋骨に脳味噌が入っているというのは、それはそれは、もう奇跡のような出来事なのよ?」
「是当然的吗……像你这种生物的头盖骨里面居然会有脑浆,这个现象简直就跟奇迹一样耶。」
「酷い言われようだなおい」
「喂,不要太过分喔。」
「気にしないで。当然のことを言ったまでよ」
「别介意,我只是说出事实罢了。」
「この部屋の中に死んだ方がいい奴がいるみたいだな……」
「这间屋子里面好像有人活得不耐烦了……」
「? 保科先生ならいないわよ」
「嗯?保科老师人不在这里啊。」
「お前今尊敬すべき人生の先導者である担任の先生のことを死んだ方がいいって言ったのか!」
「你这家伙竟然说值得尊敬、开拓你人生的导师活得不耐烦了吗!」
「蟹もそうなの?」
「螃蟹也是一样的吗?」
「え?」
「咦?」
「蟹も兎と同じで、火の中に自ら飛び込んだの?」
「螃蟹也跟兔子一样,是自己跳入火堆当中的吗?」
「あ、ああ……いや、蟹の話は知らない。なんか由来があるのかな。考えたこともなかったけれど……月にも海がある31からじゃないのか?」
「啊,这个……螃蟹的故事我不知道。应该也是有什么由来吧,虽然我连想都没想过……是不是因为月球上也有海洋的关系呢?」
「月に海はないわ。得意顔で何を言っているの」
「月球上没有海洋喔。你一脸得意地讲什么蠢话啊。」
「え? ないのか? なかったっけ……」
「咦?没有吗?确定没有吗……」
「天文学が聞いて呆れるわね。あれは名前だけよ」
「天文学家听了会傻眼,那只是个名称而已。」
「そうなんだ……」
「这样啊……」
うーむ。
嗯——
やはり、本当に頭のいい奴には敵わない。
我果然还是敌不过真正头脑好的家伙。
「やれやれ、馬脚を露わしたわね、阿良々木くん。全く、あなたに知識というものを少しでも期待してしまった私が軽率だったわ」
「哎呀呀,你露出马脚咯,阿良良木。真是的,我居然对你的知识抱有些许的期待,我实在太轻率了。」
「お前、僕の頭がすごく悪いと思っているだろう」
「你这家伙是不是觉得我笨得跟头猪一样。」
「何故気付いたのっ!?」
「你怎么会知道!」
「真顔で驚かれた!」
「你居然还真的摆出一脸惊讶的样子!」
隠しているつもりだったらしい。
她似乎自以为隐藏得很好。
本当かよ。
真的假的啊。
「私のせいで、阿良々木くんが、自分の頭のお粗末さ加減に気付いてしまった……責任を感じるわ」
「因为我的缘故,阿良良木发现到自己脑筋有多笨了……这都是我的错。」
「おい、ちょっと待て、僕はそんな深刻なレベルの頭の悪さなのか?」
「喂,等一下,我有笨到那么严重的地步吗?」
「安心して。私は成績で人間を差別したりしないわ」
「你放心,我不会因为成绩的好坏去歧视别人的。」
「その言い方が既に差別的じゃねえかよ!」
「你讲这种话就已经是一种歧视了好不好!」
「唾を飛ばさないで。低学歴がうつるわ」
「别乱喷口水,你的低学历会传染给我。」
「同じ高校だ!」
「我们是念同一所高中吧!」
「でも最終学歴となればどうかしら」
「可是最终学历还不知道喔。」
「う……」
「唔……」
確かに、それは。
这样一说,确实没错。
「私は大学院卒。あなたは高校中退」
「我会是研究所毕业;而你则是高中肄业。」
「三年生になってまで辞めるか!」
「都念到三年级了谁要休学啊!」
「すぐに辞めさせてくださいと、自分から泣いて頼むことになるわ」
「到时候你会哭着求我说:请马上让我休学。」
「漫画でしか聞いたことのない悪党発言を平然と!?」
「你居然面不改色地,说出这种只会在漫画上出现的恶棍发言!」
「偏差値チェック。私、七十四」
「偏差值鉴定。我,七十四。」
「くっ……」 先に言いやがった。
「呜……」
「僕、四十六……」
「我四十六……」
「四捨五入すればゼロね」
「四舍五入以后等于零。」
「はあ!? 噓つけ、六だから……あ、お前、さては十の位を! 僕の偏差値になんてことをするんだ!」
「啥?骗人,尾数明明是六……啊!你这家伙,竟然用十位数来四舍五入!你居然对我的偏差值做出这么过分的事情!」
三十近くも勝ってる癖に、死者を鞭打つような真似を!
都已经赢了将近三十分,还做出近乎鞭尸的行径!
「百、差をつけないと、勝った気がしないのよ」
「如果不以百位数为差距,我就没有赢的感觉啊。」
「自分の数値も十の位を……」
「你自己的偏差值也用十位数去四舍五入吗……」
容赦ねえ。
毫不手下留情。
「そういうわけで、これからは半径二万キロ以内には近寄らないでね」
「基于这个理由,从现在开始请你不要靠近我半径两万公里内。」
「地球外退去を命じられた!?」
「你是在命令我滚出地球吗?!」
「ところで神様は、その兎さんをちゃんと食べてあげたのかしらね?」
「所以说,神明后来真的有将那只兔子给吃下去吗?」
「え? あ、また話が戻ったのか。食べたかどうかって……そこまで話を進めたら猟奇的になるだろうが」
「呃?啊,话题又绕回来了吗。你问这种问题……假如故事进行到那种地步就会变得很怪诞吧。」
「進めなくても十分猟奇よ」
「就算没到那种地步也已经很怪诞了。」
「さあね。知らないよ、頭が悪いから」
「这个嘛,我怎么知道,反正我脑筋不好。」
「すねないでよ。私の気分が悪くなるじゃない」
「别闹别扭啦。我会觉得很不舒服耶。」
「お前、僕が可哀想になってこないのか……?」
「你这家伙,难道就不会可怜我一下吗……?」
「あなた一人を哀れんでも、世界から戦争はなくならない」
「就算可怜你一个人,战争也不会从世界上消失。」
「たった一人の人間も救えない奴が世界を語るな! まずは目の前のちっぽけな命を助けてみろ! お前にはそれができるはずだ!」
「连区区一个人都救不了的家伙还讲什么世界!先救救你眼前的弱小生命吧!你应该做得到!」
「ふむ。決めたわ」
「嗯。我决定了。」
戦場ヶ原は、白いタンクトップに白いジャケット、そして、白いフレアのスカートを穿き、ようやく着衣を終えたところで、言った。
战场原穿上白色小可爱背心配上白色外套,然后再套上白色荷叶裙,好不容易着装完毕后,冷不防地说道:
「もしも全てがうまく行ったら、北海道へ蟹を食べに行きましょう」
「假如一切顺利解决的话,就到北海道去吃螃蟹吧。」
「北海道まで行かなくても蟹は食えると思うし、全然季節じゃないと思うけれど、まあ、戦場ヶ原がそうしたいって言うんなら、いいんじゃないのか?」
「不用特地跑去北海道应该也能吃到螃蟹吧,而且现在季节好像完全不对。算了,既然你说想去,又有何不可呢?」
「あなたも行くのよ」
「你也要一起去喔。」
「なんでっ!?」
「为什么!」
「あら、知らなかったの?」
「唉呀!你不知道吗?」
戦場ヶ原は微笑した。
战场原露出一抹微笑。
「蟹って、とっても、おいしいのよ」
「北海道的螃蟹,非常美味喔。」
006
ここは地方の、更に外れの町である。
这里是地方上偏僻的小镇。
夜になれば、周囲はとても暗くなる。真っ暗な、暗闇。それこそ、廃ビルの中も外も、ほとんど区別がなくなるくらいの、昼間からの落差だ。
一到夜里,周围就变得十分黑暗。漆黑到伸手不见五指。此刻的废弃大楼,几乎无法区别室内室外,与日间有着明显的落差。
僕にしてみれば、生まれてからずっと住んでいる町のことだ、それに違和感を覚えたり、不思議に思ったりすることもまずないが、それに、むしろそっちの方が、本来の自然であるのだろうけれど、流れ者の忍野辺りに言わせると、その落差が──概ね、問題の根っこに絡まっていることが、多いそうだ。
我从呱呱落地开始就一直居住在这个城镇,在我眼中,并不会觉得这景象很突兀,或感到不可思议,倒不如说这才像原本的自然风貌。然而据流浪者忍野所说,这昼夜的落差——大概与问题的根源息息相关。
根っこがはっきりしている分やりやすい──
根源十分清楚简单明了——
そうも言っていた。
他如此说过。
ともかく。
总之,
夜中の零時、少し過ぎたところで。
刚过午夜十二点的此刻,
僕と戦場ヶ原は、例の学習塾跡に、自転車で、戻ってきた。後部座席用の座布団には、戦場ヶ原の家にあったものをそのまま使用した。
我和战场原又骑着脚踏车,回到那栋废弃的补习班大楼。后座上的坐垫,是从战场原她家直接拿出来用的。
何も食べていないので若干空腹である。
此外,我完全没有进食,稍微觉得有些饥饿。
自転車を夕方と同じ場所に停め、同じ金網の裂け目から敷地内に入ったら、入り口のところで、忍野はもう待っていた。
我将脚踏车停在跟傍晚相同的地方,穿过相同的铁丝网裂缝,走进建地后,发现忍野已经在入口处久候。
ずっとそこにいたという風に。
他彷佛一直站在那里的一样。
「……え」
「……咦!」
その忍野の服装に、戦場ヶ原が驚く。
看见忍野的服装,战场原有些惊讶。
忍野は、白ずくめの装束──浄衣に身を包んでいた。ぼさぼさだった髪もぴったりと整えられて、夕方とは見違えてしまうような、少なくとも見た目だけは小綺麗な格好になっていた。
忍野穿着一袭全白装束——全身包裹在素白的净衣底下,一头蓬松散乱的头发也梳理得整整齐齐,几乎和傍晚时分判若两人,至少视觉上变得比较整洁美观。
馬子にも衣装。
真是佛要金装,人要衣装。
それなりに見えてしまうのが、逆に不快だ。
看起来煞有其事的模样,反而令人不快。
「忍野さんって──神職の方だったんですか?」
「忍野先生你——是神职人员吗?」
「いや? 違うよ?」
「嗯?不是喔。」
あっさり否定する忍野。
忍野爽快地否认了。
「宮司32でもなければ禰宜33でもないさ。大学の学科はそうなんだけれど、神社に就職はしていない。色々思うところがあってね」
「我不是宫司也不是弥宜。虽然我大学念的是相关科系,不过并没有任职于神社。因为基于各种的考虑。」
「思うところって──」
「各种考虑是指?」
「一身上の都合だよ。馬鹿馬鹿しくなったってのが真相かもね。何、この服装は、単純に身なりを整えただけだよ。他に綺麗な服を持っていなかっただけ。神様に遭うんだから、お嬢ちゃんだけじゃなく僕だって、きっちりしておかないとね。言ってなかったっけ? 雰囲気作り。阿良々木くんのときは、十字架持って大蒜下げて、聖水を武器に戦ったもんさ。大切なのは、状況なんだ。大丈夫、作法はいい加減だけど、これでも付き合い方は心得ている。無雑作に御幣振って、お嬢ちゃんの頭に塩撒くような真似はしないさ」
「都是一些私人的理由啦。或许是因为我觉得太无趣了才是真的也不一定。这身服装,纯粹是端正仪容罢了。只是因为我没有其他干净的衣服而已。毕竟待会要面对神明,不光是小姐,包括我也必须准备齐全才行。我之前没说过吗?这是营造气氛。我在帮助阿良良木老弟的时候,还拿着十字架挂着大蒜,用圣水当武器作战呢。重要的是制造情境,别担心,虽然仪式的做法比较随便,不过应对处理的方法我已经很熟练了。我不会随便挥动法器,做出在小姐的头上洒盐那种行为的。」
「は、はあ……」
「喔,好……」
戦場ヶ原が、少し吞まれていた。
战场原有点被震慑住。
確かに、面食らう格好でもあるが、しかしなんだか、彼女にしては若干過剰反応のようにも思えてしまう。どうしてだろう。
尽管忍野的装扮确实出乎意料,但我总觉得以她而言,这反应似乎稍嫌过度。这是为什么呢?
「うん、お嬢ちゃん、いい感じに清廉になっているよ。見事なもんだね。一応確認しておくけれど、お化粧はしていない?」
「嗯,小姐准备得不错,整体感觉清新素雅,很好。先确认一下,你有没有化妆?」
「しない方がいいかと思って、していません」
「我想不要化可能比较好,所以就没化妆了」
「そう。ま、とりあえず正しい判断だ。阿良々木くんも、ちゃんとシャワー、浴びてきたかい?」
「这样啊,嗯,总之这算是正确的判断。阿良良木老弟也仔细沐浴过了吗?」
「ああ。問題ないよ」
「嗯,都准备好了。」
僕もその場に同席する以上、それくらいは仕方のないことだったが、その際戦場ヶ原が僕のシャワーを覗こうとしてひと悶着あったことは、秘密にしておこう。
既然我也要在场陪同,这些细节就只好配合照做。但当时战场原企图偷窥我淋浴而起了点冲突,这事情就姑且保密吧。
「ふうん。きみは代わり映えしないねえ」
「唔——你洗得再干净还是没差呢。」
「余計なことを言うな」
「废话少说。」
というか、同席するとはいえあくまで部外者なので、戦場ヶ原のような着替えまでは行っていないのだから、代わり映えしなくて当然だ。
虽然我要在场陪同,但充其量只是个局外人,所以没有像战场原那样连衣服都换过,因此当然没有么太大改变。
「じゃ、さっさと済ませてしまおう。三階に、場を用意しているから」
「那么,我们就迅速解决这件事情吧。我已经在三楼准备好场地了。」
「場?」
「场地?」
「うん」
「嗯。」
言って、忍野はビルディングの中の暗闇に消えていく。あんな白い服なのに、すぐに見えなくなってしまう。夕方と同じように、僕は戦場ヶ原の手を引くように、忍野を追った。
忍野说完,逐渐消失在大楼里的黑暗之中。明明穿着那种显眼的白衣,却随即不见踪影。而我则和傍晚时一样,牵起战场原的手,追了上去。
「しかし、忍野、さっさとなんて、えらく気楽に構えてるけど、大丈夫なのか?」
「可是忍野,你说要迅速解决,一副胸有成竹的模样,这样没问题吗?」
「大丈夫って、何が? 年頃の少年少女を、夜中に引っ張り出すなんて真似をしているんだ、早く終わらせたいっていうのは、大人として当たり前の人情だろう」
「什么东西没问题?三更半夜将年纪轻轻的少男少女叫出来做这种事情,会想要尽早结束,也是身为大人理当要懂的人情世故吧。」
「その、蟹だかなんだかって、そんな簡単に退治できるもんなのかって意味だよ」
「我的意思是说,那个螃蟹什么的,以这么简单就可以消灭它吗?」
「考え方が乱暴だなあ、阿良々木くんは。何かいいことでもあったのかい?」
「你的想法还真暴力啊,阿良良木老弟。是不是发生了什么好事啊?」
忍野は振り向きもせず肩を竦める。
忍野头也不回地耸耸肩道:
「阿良々木くんのときの忍ちゃんや、委員長ちゃんのときの色ボケ猫とは、場合が違うんだよ。それに忘れちゃいけないよ、僕は平和主義者だ。非暴力絶対服従が、僕の基本方針。忍ちゃん達は、悪意と敵意を持って、阿良々木くんと委員長ちゃんを襲ったわけだけれど、今回の蟹は、そうじゃないんだから」
「这次的情况跟阿良良木老弟那时候的小忍,或是班长妹那时候的魅猫不一样。而且你不要忘了,我可是和平主义者喔。非暴力的绝对服从,是我的基本方针。当初小忍她们,是怀着恶意与敌意去袭击你跟班长妹的,可是这次的螃蟹,却不是那么一回事。」
「そうじゃないって──」
「不是那么一回事?」
事実、被害が出ている以上、そこには悪意なり敵意なりがあると、そう判ずるべきじゃないのだろうか?
实际上螃蟹已经对战场原产生了伤害,既然这样不就应该要认为它有敌意或恶吗?
「言ったろ? 相手は神様なんだよ。そこにいるだけ、何もしていない。当たり前だから、そこにいるだけ。阿良々木くんだって、学校が終われば家に帰るだろう? そういうこと。勝手にお嬢ちゃんが、揺らいでいるだけなのさ」
「我说过了吧?对方可是神灵喔。只是存在着,什么也没做,只是理所当然地存在于那里。就像阿良良木老弟放学之后会回家吧?就是这么理所当然。纯粹是小姐自己意志不坚招惹来的。」
障らない、襲わない。
螃蟹不会危害人,也不会攻击人。
憑かない。
更不会附身。
勝手にというのは酷い言い草だと思ったが、しかし、戦場ヶ原は、何も言わなかった。思うところがないのだろうか、それとも、今からのことを考えて、忍野の言葉に、あまり反応しないよう心掛けているのだろうか。
虽然我觉得自己招惹来的这个说法有些过分,但战场原却一声不吭。她是没有任何感想吗?还是说她顾虑到接下来要麻烦忍野,所以提醒自己不要对他的话有过多的反应呢?
「だから、退治するとかやっつけるとか、そんな危険思想は捨てなさい、阿良々木くん。今から僕達はね、神様にお願いするんだよ。下手に出てね」
「所以,什么消灭或打倒啦,诸如此类的危险思想请你全部舍弃掉。阿良良木老弟,接下来我们要做的,可是向神灵祈愿喔,要采取低姿态啊。」
「お願い──か」
「祈愿吗?」
「そう。お願い」
「没错,是祈愿。」
「お願いしたら、それではいどうぞと返してもらえるもんなのか? 戦場ヶ原の──重み。体重は」
「只要祈求,它就会轻易地把体重还回来,恢复战场原的体重吗?」
「あえて断言はしないけれど、多分ね。年末年始の二年参りとは訳が違うんだから。切実な人間の頼みを断るほど、彼らは頑なじゃないさ。神様っていうのは、結構、大雑把な連中なんだ。日本の神様は特に適当なんだよ。人間という群体そのものならともかく、僕達個々人のことなんて、連中、どうでもいいんだ。本当にどうでもいいんだよ? 実際、神様の前じゃ、僕も阿良々木くんもお嬢ちゃんも、区別なんかつかないよ。年齢も性別も重みも関係なく、三人とも、同じ、人間、ってことでね」
「我不敢断言,不过应该可以吧。毕竟有别于新年参拜,它们还不至于会顽固到拒绝人类恳切的请求。所谓的神明,其实是一群相当草率的家伙,尤其日本的神明特别随便。姑且不论人类整个群体,就我们个体的事情而言,它们根本无所谓。真的是怎么样都无所谓喔。实际上,在神明面前,我也好、阿良良木老弟也好、小姐也好,通通没有差别。无关乎年龄、性别或重量,三个人全都一视同仁,同样都是人类。」
同じ──
一视同仁——
同じような、ではなく、同じ、か。
并非相似,而是相同吗。
「ふうん……呪いとかとは、根本的に違うんだな」
「嗯……这和诅咒之类的东西,有着本质上的差异呢。」
「ねえ」 意を決したような口調で、戦場ヶ原が言った。「あの蟹は──今も私のそばにいますか?」
「请问——」战场原的口吻有如下定决心一般,开口问:「那只螃蟹——现在也在我身边吗?」
「そう。そこにいるし、どこにでもいる。ただし、ここに降りてきてもらうためには──手順が必要だけどね」
「对。既存在于那里,也存在于任何地方。只不过,为了请它降临此处——必须有一些步骤。」
三階に到着した。
我们抵达三楼,
教室の中の、一つに入る。
进入其中一间教室。
入ると、教室全体に、注連34囲いが施されていた。机と椅子は全て運び出され、黒板の前に、神床──祭壇が設けられている。三方折敷に神饌、供物が備えられているところを見れば、今日あれから、急遽作られた場というわけではないのだろう。四隅に燈火が設置されていて、部屋全体がほのかに明るい。
我一踏进去,发现整间教室,都被用结界绳围了起来。桌椅全被搬到外面,黑板前方还设置了神桌——祭坛。带底座的木制方盘上备妥了祭物供品,由此可见,此处应该不是今天傍晚商量完后才匆忙筹备的场地。房内的四个角落设置了灯火,朦胧地照亮了整个房间。
「ま、結界みたいなものだよ。よく言うところの神域って奴ね。そんな気張るようなもんじゃない。お嬢ちゃん、そんな緊張しなくったっていいよ」
「这是类似结界的东西,讲得好听一点就是神域咯。不过也没有那么隆重,小姐妳可以不用那么紧张啦。」
「緊張なんて──していないわ」
「我没有……紧张。」
「そうかい。そりゃ重畳35だ」
「是吗,那真是太好了。」
言いながら、教室の中に入る。
忍野边说边往教室里面走。
「二人とも、目を伏せて、頭を低くしてくれる?」
「两位可以低下头来,把视线压低吗?」
「え?」
「咦?」
「神前だよ。ここはもう」
「这里已经是神明的面前咯。」
そして──三人、神床の前に、並ぶ。
接着——我们三人各自站定,并列在神桌前。
僕のときや、羽川のときとは、全然対処法が違うので──緊張しているというのなら、僕が緊張していた。堅苦しい雰囲気というか──この雰囲気そのものに、おかしくなってしまいそうな感じだ。
这次的处理方式,跟我和羽川的时候截然不同——因此要说紧张的话,我确实很紧张。该说是气氛庄严吗——这种气氛本身,会让人产生奇异的感觉。
身が竦む。
我全身紧绷。
自然、構えてしまう。
自然而然地严阵以待。
僕自身は無宗教、神道も仏教も、区別がつかない最近の若い奴だけれど、しかしそれでも、こういう状況そのものに、反応する、本能的な何かが、心の中にある。
我本身没有宗教信仰,是一个分不清楚神道和佛教差异的时下年轻人。尽管如此,面对这种情况,我心中还是有一些东西,出于本能地做出了反应。
状況。
情境。
場。
场地。
「なあ──忍野」
「对了忍野。」
「なんだい? 阿良々木くん」
「什么事,阿良良木君。」
「考えたんだけれど、これ、状況とか場とかっていうなら、僕、ここにいない方がよくないか? どう考えても、邪魔者って感じなんだけれど」
「我想了想,这个情况我不要在场会不会比较好呢?不管怎么想,我都觉得自己碍手碍脚的。」
「邪魔ってことはないさ。多分大丈夫だけれど、一応、いざってこともあるからね。いざってことも、あるにはあるさ。そのときは、阿良々木くん、きみがお嬢ちゃんの壁になってあげるんだよ」
「没那回事,不会妨碍的。我想应该没问题,不过总要以防万一嘛。不怕一万只怕万一。真有个万一的话,到时候,阿良良木老弟,你要成为小姐的肉盾啊。」
「僕が?」
「我?」
「その不死身の身体は何のためにあるんだ?」
「不然你那个不死之身是用来做什么的?」
「…………」
いや、それはなるほど格好いい台詞ではあるけれど、少なくとも戦場ヶ原の壁になるためではないと思う。
呃,虽然这句台词的确很帅气,但我的身体应该不是为了当战场原的肉盾而存在的吧。
大体、もう不死身じゃないし。
况且,我也已经非不死之身了。
「阿良々木くん」
「阿良良木君——」
戦場ヶ原がすかさず言った。
战场原立刻逮住机会说:
「わたしのこと、きっと、守ってね」
「你一定要好好保护我喔。」
「何故いきなりお姫さまキャラに!?」
「妳干么突然转换成公主的角色!」
「いいじゃない。どうせあなたみたいな人間、明日くらいには自殺する予定なんでしょう?」
「有什么关系,反正像你这样的人,大概明天就会自杀了吧?」
「一瞬でキャラが崩れた!」
「角色瞬间崩坏!」
しかも、生きている内は陰口でだって言われないであろう言葉を面と向かって普通に言われてしまった。僕は一体前世でどんな悪いことをして、こんな毒舌を受けているのか、どうやら真剣に考える必要があるのかもしれなかった。
而且还把那种有生之年就算在背地里也不该讲的话,当着我的面若无其事地说了出来。我到底前辈子造了什么孽,才会遭受这样的毒舌对待,这点我也许有必要认真思考一下。
「勿論只とは言わないわ」
「当然不会让你做白工咯。」
「何かくれるのかよ」
「难道妳会给我什么报酬吗?」
「物理的な報酬を求めるとは、浅ましい。その情けない言葉一つに、あなたの人間性の全てが集約されていると言っても過言ではないわね」
「要求实际上的报酬,未免太过肤浅了。这句丢脸的话,可以说是你全部人格的缩影也不为过。」
「…………。じゃあ、何をしてくれるんだ?」
「…………那妳能回报我什么?」
「そうね……阿良々木くんがドラクエⅤで、フローラに奴隷の服を装備させようとした外道であることを、言いふらす予定だったのを中止してあげる」
「这个嘛……我原本打算要四处散播阿良良木曾经试图在勇者斗恶龙五代里面,让弗洛拉穿上奴隶服的糟糕行径,就取消掉好了。」
「そんな話、一生で一回も聞いたことねえよ!」
「那种事情,我这辈子连听都没听过!」
しかも言いふらすことが前提だった。
何况还是以散播谣言为前提。
酷い女だ。
真过分的女人。
「装備できないことくらい、考えたらわかりそうなものなのに……これぞ猿知恵ならぬ犬知恵といったところかしら」
「她根本就不能装备奴隶服嘛,这种小事只要用点脑子想就知道了说……这点别说猴子的智商,连狗的智商都能懂吧。」
「ちょっと待て! うまいこと言ってやった、してやったりみたいな顔してるけど、僕が犬に似ているなんて描写がこれまでに一度でもあったか!?」
「等一下!妳讲得一脸得意,好像自己说的很有道理一样,但是到目前为止,书中有出现过任何我很像狗的描述吗?」
「そうね」
「也对。」
くすりと笑う戦場ヶ原。
战场原窃笑。
「一緒にしたら、犬に失礼かしら」
「把你跟狗相提并论,对狗也未免太失礼了吧。」
「………………っ!!」
ともすればありふれているとも取られかねない定型句を、ここで織り込んでくるか……この女、暴言ってものを、完全に使いこなしてやがる。
已经将谩骂两个字发挥得淋漓尽致。
「じゃあ、もう、いいわよ。そんな臆病者は、尻尾を巻いてさっさと家に帰って、いつも通り一人スタンガンごっこでもやってなさいよ」
「没关系,不必了。你这种胆小鬼,还是赶快夹着尾巴滚回家,像平常一样一个人玩电击枪游戏吧。」
「なんだその倒錯した遊びは!?」
「那是什么乱七八糟的鬼游戏!」
ていうか、お前さっきから、僕に関して悪質なデマをばらまき過ぎだ。
说起来,妳这家伙从刚才开始,就一直在散播中伤我的恶质流言。
「私くらいになれば、あなたのような薄っぺらい存在のことなんて、全て完璧に、お見落としなのよ」
「到了我这种境界,像你这种肤浅的存在,早就已经完完全全、彻彻底底地被我忽视①了。」
「台詞を嚙んだのに、結果としてより酷い暴言になってる!? お前一体何に愛されてるんだ!?」
「明明口误讲错了,结果却变成更过分的毒舌谩骂!妳这家伙究竟受到什么牛鬼蛇神的恩宠啊!」
そこはかとなくはかりしれない女だった。
真是个捉摸不定、高深莫测的女人。
ちなみに正しくは、お見通し。
顺带一提,正确说法应该是被「看穿」才对。
「そもそも、忍野。僕なんかに頼らなくても、あの吸け──忍じゃ無理なのか? 羽川のときみたくさ」
「话说回来,忍野,你不用找我帮忙,让那个吸血——让忍来帮忙不行吗?就像羽川那时候一样。」
すると忍野はさっぱりと答えた。
结果忍野爽快地回答:
「忍ちゃんなら、もうおねむだよ」
「小忍这时间已经睡觉咯。」
「………………」
吸血鬼が夜に寝るのかよ……。
吸血鬼晚上也要睡觉吗……
本当に切ない。
真的很可悲。
忍野は供物の内からお神酒を手にとって、それを戦場ヶ原に手渡した。
忍野从供品中拿起神酒,递给战场原。
「え……何ですか?」
「呃……请问这是什么?」
戸惑った風の戦場ヶ原。
战场原一脸困惑。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる──そうだよ。ま、ちょっと気を楽にしてってくらいの意味で」
「喝下这个酒,就能缩短和神明之间的距离——据说是这样子。当然,也有稍微放松心情的意思。」
「……未成年です」
「……我还未成年。」
「酔うほどの量は飲まなくていいさ。ちっとだけ」
「不用喝到会醉的量啦,意思一下就好。」
逡巡した後で、結局、戦場ヶ原はそれを一口、飲み下した。それを見取って、戦場ヶ原から返還された杯を、元あった場所に、忍野が返す。
犹豫片刻之后,战场原喝下一小口。忍野看着她喝下,再从战场原手中接过酒杯,放回原来的位置。
「さて。じゃあ、まずは落ち着こうか」
「好了,那么,先让心情平静下来吧。」
正面を向いたまま──
忍野朝向正前方——
戦場ヶ原に背を向けたままで、忍野は言う。
背对着战场原说道。
「落ち着くことから、始めよう。大切なのは、状況だ。場さえ作り出せば、作法は問題じゃない──最終的にはお嬢ちゃんの気の持ちよう一つなんだから」
「从舒缓心情开始吧。最重要的,就是情境。只要能创造出情境,仪式做法就不是问题——最后只剩下小姐的心理状态了。」
「気の持ちよう──」
「心理状态——」
「リラックスして。警戒心を、解くところから始めよう。ここは自分の場所だ。きみがいて、当たり前の場所。頭を下げたまま目を閉じて──数を数えよう。一つ、二つ、三つ──」
「妳放轻松。先从解除戒心开始吧。这里是属于自己的地方,是妳理所当然存在的地方。低着头闭上眼睛——来数数吧。一,二,三——」
別に──
虽然——
僕がそうする必要はないのだが、ついつい、付き合って、目を閉じ、数を数えてしまう。そうしている内に、思い至った。
我没必要跟着做,但不知不觉间,我也配合起来,闭上眼睛,数起数字。在默数的过程当中,我忽然想到一件事情。
雰囲気作り。
制造气氛。
その意味では、忍野の格好だけではない、この注連囲いも神床も、一旦家に帰っての水浴びも、全て、雰囲気作り──もっと言うならば、戦場ヶ原の、心のコンディション作りに、必要なものだったのだろう。
就这层意义而言,不光是忍野的装扮,包括现场的围绳也好神桌也好,以及回家净身,这些全都是为了制造气氛——说得更明确点,这些是为了让战场原营造出心理状况所不可或缺的东西吧。
言うならば暗示に近い。
简单来说就类似暗示。
催眠暗示。
催眠暗示。
まずは自意識を取っ払い、警戒心を緩め、そして、忍野との間に信頼関係を生じさせること──それは、やり方は全然違えど、僕や羽川のときにも、必要だったことだ。信じる者は救われるなんていうけれど、つまり、まず戦場ヶ原に、認めさせることが──不可欠なのだ。
首先是抽除自我意识,舒缓警戒心,然后与忍野之间,培养出信任关系——我和羽川的时候,尽管和现在的做法完全不同,但这点同样是必备的条件。所谓侰者得永生,换言之,首先要让战场原产生认同——这是不可或缺的条件。
実際、戦場ヶ原自身も言っていた。
实际上,战场原自己也说过。
忍野のことを、半分も信頼できていない、と。
自己对于忍野,连一半的信任都没有。
しかし──
然而——
それでは駄目なのだ。
那样是不行的。
それじゃあ、足りないのだ。
那样子,是不够的。
信頼関係が大事──なのだから。
因为——信任关系非常重要。
忍野が戦場ヶ原を助けられず、戦場ヶ原が一人で助かるだけ──という言葉の真意は、そういうところにある。
忍野没办法救她,战场原只能自己救自己——这句话的真正含意,便在于此。
僕は、そっと、目を開けた。
我悄悄地睁开双眼,
周囲を窺う。
窥视四周。
燈火。
灯火。
四方の燈火が──揺らぐ。
四方的灯火——随风摇曳。
窓からの風。
从窗户吹进的风。
いつ搔き消えてもおかしくない──頼りない火。
就算随时熄灭也不奇怪的——幽微的灯火。
しかし、確かな明かり。
然而,那光亮又确实地存在着。
「落ち着いた?」
「心情平静了吗?」
「──はい」
「——是的。」
「そう──じゃあ、質問に答えてみよう。きみは、僕の質問に、答えることにした。お嬢ちゃん、きみの名前は?」
「是吗——那么,试着回答问题吧。我问妳答。小姐,妳的名字是?」
「戦場ヶ原ひたぎ」
「战场原黑仪。」
「通っている学校は?」
「就读的学校是?」
「私立直江津高校」
「私立直江津高中。」
「誕生日は?」
「生日是?」
「七月七日」
「七月七日。」
一見、意味のわからないというよりは全く意味のなさそうな、質問と、それに対する回答が、続く。
乍听之下,与其说意义不明,更像是毫无意义的问题和回答,一直持续着。
淡々と。
淡然地。
変わらぬペースで。
以不变的速度。
忍野は、戦場ヶ原に背中を向けたままだ。
忍野仍然背对着战场原,
戦場ヶ原も、目を閉じた上で、顔を伏せている。
战场原也始终闭着眼睛,垂下脸孔。
頭を下げ、俯いた姿勢。
维持低头俯首的姿势。
呼吸音や、心臓の鼓動すら、響きそうな静寂。
房内寂静无声,就连呼吸声或心跳声也能够听到似的。
「一番好きな小説家は?」
「最喜欢的小说家是?」
「夢野久作」
「梦野久作。」
「子供の頃の失敗談を聞かせてくれる?」
「可以聊聊小时候的糗事吗?」
「言いたくありません」
「我不想说。」
「好きな古典音楽は?」
「喜欢的古典音乐是?」
「音楽はあまり嗜みません」
「我不是很喜欢音乐。」
「小学校を卒業するとき、どう思った?」
「小学毕业的时候,有什么感想?」
「単純に中学校に移るだけだと思いました。公立から公立へ、行くだけだったから」
「觉得只是单纯地升上国中罢了。只是从公立小学升到公立中学,如此而已。」
「初恋の男の子はどんな子だった?」
「初恋的对象是个怎么样的男生?」
「言いたくありません」
「我不想说。」
「今までの人生で」
「妳到目前为止的人生当中——」
忍野は変わらぬ口調で言った。
忍野用一成不变的语调说道:
「一番、辛かった思い出は?」
「最痛苦的回忆是什么?」
「………………」
戦場ヶ原は──ここで、答に詰まった。
战场原的回答——在这里,停顿住了。
言いたくない──でもなく、沈黙。
她没有回答「我不想说」,选择了沉默。
それで、忍野が、この質問だけに意味を持たせていたことを、僕は知る。
于是,我才知道忍野只有这个问题,才是真正有意义的。
「どうしたの? 一番──辛かった、思い出。記憶について、訊いているんだ」
「怎么了?最痛苦的——回忆。我在问妳关于记忆的事情。」
「……お」
「……母亲——」
沈黙を守ることのできる──雰囲気ではなかった。
这气氛让人无法保持沉默。
言いたくないと、拒絶も出来ない。
也无法拒绝,回答不想说。
これが──状況。
这就是——情境。
形成された、場。
被塑造出来的,场景。
手順通りに──ことは進む。
事情会按照步骤——进行下去。
「お母さんが──」
「母亲她——」
「お母さんが」
「母亲她?」
「悪い、宗教に嵌ったこと」
「沉迷于恶质的宗教。」
性質の悪い新興宗教に嵌った。
沉迷于恶质的新兴宗教。
そう言っていた。
战场原先前曾经提过。
財産を全て貢いで、借金まで背負って、家庭が崩壊するまでに至ったと。離婚した今でも、父親は、そのときの借金を返すために、夜も寝られないような生活を、続けていると。
她的母亲把全部财产都拿去进贡,甚至背负高额债务,毁了整个家庭。即使是离婚后的现在,父亲为了偿还当时借的钱,仍持续过着不眠不休的忙碌生活。
それが──一番、辛かった思い出なのだろうか?
这就是——她最痛苦的回忆吗?
己の重さが──失われたことよりも?
比自己失去体重——更加痛苦吗?
当たり前だ。その方が辛いに、決まっている。
这是当然的。
でも──それは。
但——那是因为——
それは。
那是因为——
「それだけかい?」
「只有这样吗?」
「……それだけって」
「……什么意思?」
「それだけじゃ、大したことではない。日本の法律じゃ、信仰の自由は認められている。否、信仰の自由は、本来的に人間に認められている権利だ。お嬢ちゃんのお母さんが、何を奉ろうと何に祈ろうと、それはただの方法論の問題だ」
「只有这样的话,没什么大不了的。在日本的法律当中,保障了信仰的自由。不,应该说,信仰的自由原本就是人类被公认的权利。小姐的母亲要信奉什么、祈求什么,只不过是方法不同而已。」
「………………」
「だから──それだけじゃない」
「所以——不是只有这样。」
忍野は──力強く、断定した。
忍野他——强而有力地断定道。
「言って御覧。何があった」
「告诉我,还发生了什么事情?」
「何がって──お、お母さんは──私のために、そんな宗教に、嵌ってしまって──騙されて──」
「发生什么事……母、母亲她……为了我,沉迷在那种宗教……结果被骗——」
「お母さんが悪徳宗教に騙されて──そのあと」
「母亲被恶质的宗教欺骗——然后呢?」
そのあと。
然后——
戦場ヶ原は、下唇を強く嚙む。
战场原紧咬下唇。
「う──うちに、その宗教団体の、幹部の人が、お母さんに連れられて、やってきて」
「母亲她——把那个宗教团体的一名干部,带回家来。」
「幹部の人。幹部の人がやってきて、どうした?」
「一名干部。那个干部来到家里,做什么?」
「じょ──浄化、だと言って」
「说是要净……净化。」
「浄化? 浄化だって? 浄化だと言って──どうした?」
「净化?他说净化吗?说要净化……然后做了些什么?」
「儀式だといって──私──を」
「说是做仪式……就把我——」
戦場ヶ原は、苦痛の入り混じった声で言った。
战场原夹杂着痛苦的声音说:
「わ──私に、乱暴を」
「对、对我,施暴。」
「乱暴──それは、暴力的な意味で? それとも──性的な意味で?」
「施暴——那是指暴力层面的含意?还是……性方面的含意?」
「性的な──意味で。そう、あの男は、私を──」
「性方面的……含意。没错,那个男的——」
色んなものに耐えるように、戦場ヶ原は続ける。
战场原彷佛忍耐着诸多痛苦,继续说下去:
「私を──犯そうとしたわ」
「企图——侵犯我。」
「……そうかい」
「……是吗。」
忍野は静かに──頷いた。
忍野沉静地——点了点头。
戦場ヶ原の──
战场原那种——
不自然な形での貞操観念の強さや──
强烈到不自然的贞操观念和——
警戒心の強さ。
强烈的警戒心。
防衛意識の高さと攻撃意識の過敏さ。
以及高度的防卫意识与过度的攻击意识。
説明が、ついた気がした。
似乎都有了解释。
浄衣姿の忍野に、過剰に反応したことも。
她对净衣装扮的忍野,会有过度反应也是一样。
素人の戦場ヶ原にしてみれば、神道もまた、宗教であること自体には──変わりない。
在战场原这个外行人眼中,神道的本质不变,也同样是一种宗教。
「あの──生臭」
「那个——」
「それは仏教の観点だろう。身内の殺人を推奨する宗教だってあるさ。一概に言ってはならない。でも、犯そうと──ということは、未遂だったんだろう?」
「那是佛教的观点吧。甚至也有宗教会提倡杀死亲人,不能一概而论。不过,你说企图侵犯——意思应该就是未遂吧?」
「近くにあったスパイク36で、殴ってやったわ」
「我用身旁的钉鞋,打了那个人。」
「……勇敢だね」
「……真勇敢。」
「額から血を流して──もがいてた37」
「那人额头上流出血来……痛得在地上打滚。」
「それで、助かった?」
「所以,妳获救了?」
「助かりました」
「我得救了。」
「よかったじゃないか」
「这不是很好吗?」
「でも──お母さんは私を助けてくれなかった」
「可是——母亲并没有来救我。」
ずっと、そばで見てたのに。
她明明一直都在旁边看。
戦場ヶ原は──淡々と。
战场原她——淡淡地。
淡々と、答える。
淡淡地,回答说:
「どころか──私を詰った38わ」
「非但如此——她还责怪我。」
「それ──だけ?」
「只有——这样吗?」
「違う──私が、その幹部に、怪我をさせたせいで──お母さんは」
「不——因为我的缘故,让那名干部受了伤——结果母亲——」
「お母さんは、ペナルティを負った?」
「母亲为此,承担了处罚?」
忍野が、戦場ヶ原の台詞を先回りした。
忍野抢先一步,替战场原把话说完。
ここは忍野でなくとも次の予想ができる、そんなシーンではあったが──戦場ヶ原にとって、それは効果的であったらしい。
这种场面,就算不是忍野也能预料到下一句台词是什么——但这招对战场原来说,似乎颇为奏效。
「はい」
「是的。」
と、彼女は、神妙に──肯定した。
她老实地点头肯定。
「娘が幹部を傷つけたんだから──当然だね」
「毕竟女儿弄伤了干部——这是当然的咯。」
「はい。だから──財産。家も、土地も──借金までして──私の家族は、壊れたわ。完全に壊れて──完全に壊れたのに、それなのに、まだ、その崩壊は、続いている。続いています」
「是的。所以——她交出全部财产,包括房子,跟土地——甚至还去借款——我的家庭,整个都毁了,完完全全毁了——明明都全毁了,明明已经这样了,崩坏却还是依然持续着。没有停止。」
「お母さんは、今、どうしている?」
「妳的母亲,现在怎么样了?」
「知らない」
「我不知道。」
「知らないということはないだろう」
「不可能不知道吧。」
「多分、まだ──信仰を続けているわ」
「大概还在——继续她的信仰吧。」
「続けている」
「还在继续着吗。」
「懲りもせず──恥ずかしげもなく」
「既没有得到教训——也没有感到羞愧。」
「それも、辛いかい?」
「这也让妳感到痛苦吗?」
「辛い──です」
「是的——很痛苦。」
「どうして、辛い? もう関係ない人じゃないか」
「为什么会痛苦?妳们已经形同陌路了不是吗?」
「考えてしまうんです。もしも私があのとき──抵抗しなかったら、少なくとも──こんなことには、ならなかったんじゃないかって」
「因为我会忍不住去想:假如当时我——没有抵抗的话,至少——事情就不会演变成这样吧。」
壊れなかったんじゃないかって。
家庭也许就不会崩坏了吧。
壊れなかったんじゃないかって。
也许就不会毁于一旦了吧。
「そう思う?」
「妳会这么想吗?」
「思う──思います」
「……真的这么想。」
「本当に、そう思う?」
「真的这么想吗」
「……思います」
「…是的。」
「だったらそれは──お嬢ちゃん。きみの思いだ」
「既然如此——小姐,那就是妳的想法。」
忍野は言った。
忍野说道:
「どんな重かろうと、それはきみが背負わなくてはならないものだ。他人任せにしちゃあ──いけないね」
「无论多么沉重,那都是妳必须背负的东西。丢给别人去承担——是不行的喔。」
「他人任せに──し」
「丢给……别人去承——」
「目を背けずに──目を開けて、見てみよう」
「不要移动视线——张开眼睛,仔细看看吧。」
そして──
然后——
忍野は目を開けた。
忍野睁开了眼睛。
戦場ヶ原も、そっと──目を開けた。
战场原也悄悄地——睁开双眼。
四方の燈火。
四方灯火。
明かりが、揺らいでいる。
光线正随风晃动。
影も。
影子也是。
三人の影も──揺らいでいる。
三人的影子也正在——晃动着。
ゆらゆらと。
轻轻缓缓地。
ゆらり──ゆらりと。
轻轻地——缓缓地。
「あ、ああああああっ!」
「啊,啊啊啊啊啊啊!」
戦場ヶ原が──大声を上げた。
战场原她——发出了尖叫。
かろうじて、頭は下げたままだが──その表情は、驚愕に満ち満ちていた。身体が震え──一気に汗が噴き出している。
她勉强维持着低头的姿势——但表情却充满了惊愕,身体不停颤抖,冷汗一口气冒了出来。
取り乱していた。
她仓皇失措了。
あの──戦場ヶ原が。
那个战场原,居然……
「何か──見えるかい?」 忍野が問う。
「妳看到了——什么吗?」忍野问道。
「み──見えます。あのときと同じ──あのときと同じ、大きな蟹が、蟹が──見える」
「我看——看到了。跟那时候一样,跟那时候一样的巨大螃蟹,大螃蟹——出现在我的眼前。」
「そうかい。僕には全く見えないがね」
「是吗。我可是完全看不到喔。」
忍野はそこで初めて振り返り、僕を向く。
忍野这时候才回过头来,面向着我。
「阿良々木くんには、何か見えるかい?」
「阿良良木老弟,你有看见什么吗?」
「見え──ない」
「没——看见。」
見えるのは、ただ。
能看见的,只有——
揺らぐ明かりと。
摇晃的光线,
揺らぐ影。
及摇晃的影子。
そんなのは──見えていないのと同じだ。
这跟什么都没看见,画上了等号。
同定できない。
无法确认。
「何も──見えない」
「我什么也——没看见。」
「だそうだ」
「我想也是。」
戦場ヶ原に向き直る忍野。
忍野再度转向战场原。
「本当は蟹なんて見えて、いないんじゃない?」
「其实没有看到螃蟹不是吗?」
「い、いえ──はっきりと。見えます。私には」
「不、不对——我看得很清楚。我看得到。」
「錯覚じゃない?」
「不是错觉吗?」
「錯覚じゃありません──本当です」
「不是错觉——是真的。」
「そう。だったら──」
「是吗,既然如此——」
忍野は戦場ヶ原の視線を追う。
忍野顺着战场原的视线望去。
その先に、何かが──いるように。
彷佛前方,有着——某种存在。
その先に、何かが──あるように。
彷佛前方,有着——某种物体。
「だったら言うべきことが、あるんじゃないか?」
「既然如此,妳应该有什么话要说吧?」
「言うべき──こと」
「有话——要说。」
そのとき。
这时候,
特に、何か考えがあったわけでも、
也许她并没有特别的想法——
何をするつもりだったのでもないだろうけれど、
也没有任何念头——
戦場ヶ原は──顔をあげてしまった。
然而,战场原她却——抬起了头来。
多分、状況に──
她大概是无法忍受四周的情境——
場に、耐え切れなかったのだろう。
以及这个场景吧。
それだけだろう。
理由就这么简单吧。
けれど、事情なんて関係ない。
然而,理由如何,无关紧要。
人間の事情なんて、関係ない。
人类的理由如何,无关痛痒。
その瞬間──戦場ヶ原は、後ろに跳ねた。
同一瞬间——战场原向后弹飞。
跳んだ。
飞跃起来。
まるで重みなんて無いかのごとく、一度も床に足を着くことも擦ることもなく、ものすごいスピードで、神床とは反対側の、教室の一番後ろ、掲示板に、叩きつけられた。
宛如重量毫不存在似地,她的双脚连一次也没有碰过或踩过地板,便以惊人的速度,弹飞到与神桌相反方向、位于教室最后方的布告栏,整个人被用力砸了上去。
叩きつけられ──
被砸了上去——
そのまま、落ちない。
就这样贴在墙壁上。
落ちない。
没有掉下来。
張り付けられたがごとく、そのままだ。
宛如被钉在布告栏上,停住不动。
磔刑のごとく。
犹如遭受钉刑一样。
「せ、戦場ヶ原──!」
「战、战场原——!」
「全く。壁になってやれって言っただろう、阿良々木くん。相変わらず、肝心なときに使えない男だね。それこそ壁みたいにぼーっとしているだけがきみの能じゃないだろうに」
「真是的,刚才不是有说过叫你要当肉盾吗,阿良良木老弟。你还是老样子,在紧要关头总是派不上用场啊。你的功能应该不是像墙壁一样站在那边发呆吧。」
忍野は落胆39したみたいに言った。そんなことで落胆されても、目で追える速度ではなかったのだから、仕方がない。
忍野失望说道。他失望也没用,因为那根本不是肉眼能追上的速度,我也无可奈何。
戦場ヶ原は、まるで重力がそのベクトルに働いているかのように、ぐいぐいと、掲示板に押し付けられているようだった。
战场原仿佛受到重力向量的作用牵引,被紧压在布告栏上。
壁に──身体が食い込んでいく。
身体——正逐渐陷入墙壁当中。
壁が罅割れ、崩壊するか。
是因为墙壁龟裂,开始崩毁吗。,
あるいは、戦場ヶ原が、潰れそうだった。
还是因为战场原的身体要被压碎呢?
「う……う、うう」悲鳴ではなく──うめき声だった。
「呜……呜,呜呜——」
苦しいのだ。
因为她很痛苦。
けれど──僕には、変わらず、何も見えない。
尽管如此——我却仍然,什么也看不见。
戦場ヶ原が、一人で壁に張り付いているようにしか見えない。だけど、だけどしかし──戦場ヶ原には、見えているのだろう。
在我看来,她是一个人钉在墙壁上。然而,话虽如此——战场原自己看得见吧。
蟹が。
螃蟹。
大きな──蟹が。
巨大的——螃蟹。
おもし蟹。
重蟹。
「仕方がないな。やれやれ、せっかちな神さんだ、まだ祝詞も挙げてないっていうのに。気のいい奴だよ、本当に。何かいいことでもあったのかな」
「唉呀呀,真没办法,好急性子的神明啊,我连祝词都还没念诵呢。实在是个脾气温和的家伙,是不是发生了什么好事啊?」
「お、おい、忍野──」
「喂、喂,忍野——」
「わかっているよ、方針変更だ。やむをえん、まあ、こんなところだろう。僕としては最初から、別にどっちでもよかったんだ」
「我知道啦。逼不得已,计划改变了。没差,就见机行事吧,反正对我来说打从一开始怎么样都无所谓啦。」
ため息混じりにそう言って、つかつかと、しっかりした足取りで、忍野は磔刑の戦場ヶ原に近付いていく。
忍野夹杂着叹息如此说完,便毫不犹豫地以坚定的步伐,朝被钉在墙上的战场原走近。
こともなげに近付いていく。
若无其事地走近。
そして、ひょいっと手を伸ばし。
接着,他迅速伸出手。
戦場ヶ原の顔の辺りのやや前方をつかみ。
在战场原脸部稍前一点的位置,伸手一抓。
軽く──引き剝がした。
轻松地——将某样东西扯开。
「よっこらせっと」
「喝啊——」
そのまま、柔道の投げのような形で──つかんだ何かを、忍野は、勢いよく──思い切り、床に叩きつける。音もしないし埃も舞わない。しかし、戦場ヶ原がされたのと同じように、それ以上に強く──叩きつけた。そして、一拍の呼吸もおかない素早さで、叩きつけたそれを、踏みつけにした。
接着以类似柔道摔技的方——将手中抓住的某样东西,猛一用力——狠狠地摔到地板上。既未发出声音也没扬起尘埃,但这重摔,力道就如同战场原聊才所承受的一样,甚至更为强劲。紧接着,忍野又以呼吸都来不及的飞快速度,将摔在地上的东西,一脚踩住。
神を、踏みつけにした。
将神灵踩在脚下。
至極乱暴に。
举止极度粗暴。
敬意も信仰もない、不遜な扱いで。
他毫无敬意或信仰,态度桀骜不驯。
平和主義者は、神を蔑ろに、した。
和平主义者,亵渎了神灵。
「…………っ」
それは、僕からすれば、忍野が一人で、パントマイム40を──とんでもなく成熟したパントマイムを演じているようにしか見えないのだが、今も、器用にバランスよく、片足で立っているだけのようにしか見えないのだが、しかし、それがはっきりと見えている戦場ヶ原にしてみれば──
这一幕,在我眼中看来,只像是忍野一个人在演哑剧——而且技巧相当精湛。就连此刻在我眼中,他看起来只是手脚灵巧、平衡感极佳地在施展金鸡独立而已。然而这一切,在能够清楚看见那东西的战场原眼中——
目を丸くするような、光景だったらしい。
似乎是足以令人瞠目结舌的光景。
光景であるらしい。
似乎是如此。
しかしそれも一瞬、支えを失ったのだろう、壁に張り付いていた戦場ヶ原は、べちゃりと、あっけなく、床に落ちる。そんな高さでもないし、戦場ヶ原には重みがないので、落下の衝撃自体は大したことないだろうとはいえ、完全に意表を突かれる形で落ちたので、受身を取れなかったようだ。足を強く打ったらしい。
但那也不过才一瞬间,或许是失去支撑力的关系,原本紧贴在墙壁上的战场原,啪搭一声,虚脱无力地坠落在地板上。由于位置没有很高,加上战场原又没有体重,所以坠落的冲击本身应该没有太大,话虽如此,因为是完全出乎意料的坠落,她来不及采取防护动作,双脚似乎受到很强烈的撞击。
「大丈夫かい?」
「不要紧吗?」
一応、忍野は戦場ヶ原にそう声をかけて、それから、己の足元を見遣る。それこそ──純粋に、値踏みするような目で。
忍野姑且向战场原如此搭话,随后垂眸望向自己脚下——那目光彷佛在衡量东西的价值一般。
「蟹なんて、どんなでかかろうが、つーかでかければでかいほど、引っ繰り返せば、こんなもんだよな。どんな生物であれ、平たい身体ってのは、縦から見たところで横から見たところで、踏みつけるためにあるんだとしか僕には考えられないぜ──といったところで、さて、どう思う? 阿良々木くん」
「螃蟹这玩意儿,无论有多大,应该说体积越大越明显,一旦被翻过来,就会像这样子。无论何种生物,只要是扁平的身体,不管横看竖看都是用来让人踩的,除此之外我想不到其他用途——好了,阿良良木老弟,你有何看法?」
そしていきなり、僕に声をかけてきた。
他冷不防向我问道。
「始めからもういっぺんやり直すって手も、あるにはあるんだけれど、手間がかかるしね。僕としては、このままぐちゃりと踏み潰してしまうのが、一番手っ取り早いんだけど」
「要从头再来过一遍,也不是不行,只不过太花时间啦。对我来说,就这样啪滋一声直接把它踩烂,是最省事的了。」
「手っ取り早いって──ぐ、ぐちゃりって、そんなリアルな音……たかだか一瞬、頭、上げただけじゃないか。あんな程度で──」
「什么最省事——还什么啪、啪滋一声,用那么逼真的状声词……刚才战场原只是稍微抬起头来而已吧。就因为那点小事——」
「あんな程度じゃないんだよ。あんな程度で十分というべきかな。結局、こういうのって心の持ちようの問題だからさ──お願いできないなら、危険思想に手ェ出すしかないんだ。鬼や猫を相手にしたときのようにね。言葉が通じないなら戦争しかない──のさ。この辺はまるで政治だね。ま、このまま潰しちゃったところで、それでも一応、お嬢ちゃんの悩みは、形の上では解決するからさ。形の上ってだけで、根っこのところは残っちゃう姑息療法で、草抜きならぬ草刈りって感じで、僕としては気の進むやり方じゃないけれど、この際それもありかなって──」
「那可不是小事喔。光是那点程度就够了吧。毕竟这种事情是心理状态的问题——如果没办法祈求,只能动手铲除危险思想咯。就像对付吸血鬼跟猫的时候一样,假如言语无法沟通就只能靠武力解决——这道理就和政治一样呢。当然,直接踩烂它,小姐的烦恼可以得到形式上的解决,仅止于形式上,根源还残留着,属于治标不治本的姑息疗法,有种斩草不除根的感觉,我个人不是很想这么做,不过眼前先将就一下吧——」
「あ、ありかなって──」
「什、什么叫先将就一下——」
「それにね、阿良々木くん」
「而且,阿良良木老弟。」
忍野は、嫌な感じに頰を歪め、笑った。
忍野用讨人厌的表情,歪起脸笑道:
「僕は蟹が──とてつもなく嫌いなんだよ」
「我对螃蟹——可是讨厌到了极点。」
食べにくいからね、と。
因为吃起来很麻烦。
忍野はそう言って──
忍野如此说完——
そう言って、足を。
如此说完,便动了脚。
足に──力を。
对脚下——施力。
「待って」
「慢着——」
忍野の陰から声がした。
从忍野背后传出声音。
言うまでも無く──戦場ヶ原だった。
不用说也知道——是战场原。
すりむいた膝をさすりながら、身を起こす。
她一边轻揉擦破皮的膝盖,一边站起身来。
「待って──ください。忍野さん」
「慢着——请等一下,忍野先生。」
「待つって──」
「叫我等一下——」
僕から、戦場ヶ原に、視線を切り換える忍野。
忍野的视线从我这里切换到战场原身上。
意地悪な笑顔のままで。
带着坏心眼的笑容。
「待つって、何をさ。お嬢ちゃん」
「叫我等一下,是要等什么呢,小姐。」
「さっきは──驚いただけだから」 戦場ヶ原は言った。 「ちゃんと、できますから。自分で、できるから」
「我刚才——只不过是吓了一跳而已。」战场原说:「我会做好的。我可以自己来。」
「……ふうん」
「……哦——」
足を引いたりしない。 踏んだままだ。
忍野没有收脚。仍踩住不放。
しかし忍野は、踏み潰すこともせず、
但他也没有一脚踩烂螃蟹。
「じゃあどうぞ、やって御覧」
「那好,你来试试看吧。」
と、戦場ヶ原に言った。
他对战场原说。
言われた戦場ヶ原は──
战场原听到之后——
僕の視点からでは、とても信じられないことに、足を正座に組み、姿勢を正して──手を床について、忍野の足元の何かに対して、ゆっくりと──丁寧に、頭を下げた。
做出了一件从我眼中看来,非常难以置信的事情。她双脚跪坐,端正的姿势——双手贴在地板上,对着忍野脚下的某样东西,缓缓地——恭谨地,低下头去。
土下座の──形だった。
这是下跪的动作。
戦場ヶ原ひたぎは──自ら、土下座をした。
战场原黑仪——自己主动下跪了。
進んで、誰にも言われないのに、その形を。
没有人要求她,她却主动这么做。
「──ごめんなさい」
「——对不起。」
まずは、謝罪の言葉だった。
首先是道歉的话语。
「それから──ありがとうございました」
「然后——谢谢你。」
そこに、感謝の言葉が続いた。
接着是,感谢的话语。
「でも──もういいんです。それは──私の気持ちで、私の思いで──私の記憶ですから、私が、背負います。失くしちゃ、いけないものでした」
「不过——已经够了。那些都是——我的心情,我的思念——是属于我的记忆,所以我要自己背负。我不能失去它们。」
そして、最後に──
而最后——
「お願いです。お願いします。どうか、私に、私の重みを、返してください」
「在此有一个请求。求求你,请将我的体重,还给我。」
最後に、祈りのような、懇願の言葉。
最后是,犹如祈愿般的恳求话语。
「どうかお母さんを──私に、返してください」
「求求你——请将我的母亲还给我。」
だん。
砰——
忍野の足が──床を踏み鳴らした音だった。
忍野的脚——踏在地板上发出声响。
無論、踏み潰した──のではないだろう。
当然,不是他真的把螃蟹给踩烂。
そうじゃなく、いなくなったのだ。
而是对方消失了。
ただ、そうであるように──当たり前のようにそこにいて、当たり前のようにそこにいない形へと、戻ったのだろう。
它只是单纯地,仿佛本来就是这样——变回了仿佛理所当然地存在着,又仿佛理所当然不存在的状态。
還ったのだ。
它已经离去了。
「──ああ」
「——啊啊。」
身じろぎもせず、何も言わない忍野メメと。
忍野咩咩身体动也没动,不发一语。
全てが終わったことを理解しても、姿勢を崩すことなく、そのままわんわんと声を上げて泣きじゃくり始めてしまった戦場ヶ原ひたぎを、阿良々木暦は、離れた位置から眺めるように見ていて。
而战场原黑仪虽然知道一切都已结束,却还是维持磕头的姿势,抽抽搭搭地开始放声大哭。而我,阿良良木历则是从稍远的位置,眺望着他们两人。
ああ、ひょっとしたら戦場ヶ原は、本当は本当の本当に、ツンデレなのかもしれないなと、そんなことを、ただぼんやり、考えていた。
啊啊,搞不好战场原真的是一个货真价实的傲娇女。我茫然地如此想到。
007
時系列。
时间顺序。
時系列の捉え方を、僕は間違っていたらしい。
我之前似乎误解了时间排列的顺序。
てっきり、戦場ヶ原が蟹に行き遭って、重みを失い、その後で戦場ヶ原の母親が、それを心に病んで、悪徳宗教に嵌っていった──のだと思っていたけれど、そうではなく、戦場ヶ原の母親が悪徳宗教に嵌ったのは、戦場ヶ原が蟹に行き遭い重みを失う、随分と前だと、いうことだった。
我原本一直以为是战场原遇到螃蟹,失去了重量,之后战场原的母亲为此耿耿于情。才会沉迷于恶质宗教——然而并非那么回事,据说早在战场原遇到螃蟹失去体重前,她母亲就已经沉迷于恶质的宗教。
考えれば分かりそうなものだ。
仔细想想其实不难理解。
カッターナイフやらホッチキスなどの文房具と違って、スパイクなんてものは偶然、手を伸ばしたらそれで届くような、身近にあるようなものではない。スパイクという単語が出てきた以上、それは、戦場ヶ原が陸上部だった頃──中学生だった頃の話であると、あの時点で僕は、察しているべきだった。間違っても、体育の時間にも参加できない、帰宅部の高校時代では、ありえないのだ。
不同于美工刀或订书机之类的文具用品,钉鞋这种东西,并非近在身边、随手可得的物品。既然出现钉鞋这字眼,就表示那件事是发生在战场原参加田径社的时候——是国中时代的事情,当下我应该立刻察觉到才对。那绝不可能是发生在她无法参加体育活动,不属于任何社团的高中时代。
正確には、戦場ヶ原の母親が悪徳宗教に嵌ったのは──それを信奉するようになったのは、戦場ヶ原が小学五年生のときだったらしい。羽川ですらも知らない、小学生の頃の、話だったのだ。
正确来说,战场原的母亲开始沉迷——信奉恶质宗教,应该是在她小学五年级的时候。小学时代,连羽川也不知道的故事。
聞いてみれば。
一问之下才晓得——
その頃戦場ヶ原は──病弱な女の子だったらしい。
当时的战场原——似乎是个体弱多病的女孩子。
立ち位置ではなく、本当にそうだったのだ。
那并非人们赋予她的形象,而是真有其事。
そして、あるとき、名前を言えば誰でも知っているような、酷い大病を患った。九割方助からないというような、それこそ医者が匙を投げるような、病状だったそうだ。
然后,某一阵子,她罹患了一种只要说出名称便众所皆知的重病,据说那病症的死亡率高达九成,病情连医生也束手无策。
そのとき──
那段时间——
戦場ヶ原の母親は、心の拠り所を求めた。
战场原的母亲,开始寻求心灵的寄託。
つけ込まれたというべきか。
或者该说被趁虚而入吧。
恐らくはそれとは何の関係もなく──「本当に関係ないかどうかは誰にもわからないよ」なんて知った風なことを、忍野は言ったが──戦場ヶ原は、大手術の結果、九死に一生を得たそうだ。これもまた、戦場ヶ原の家で、戦場ヶ原の裸を、もっと細部までじっくりと観察していれば、背中にうっすらと残っているという手術の痕跡を、僕はあるいは見つけられていたのかもしれないが、しかしそこまでを僕に要求するのは酷というものだろう。
恐怕与此没有任何关系吧——虽然忍野装模作样地说:「实际上有没有关系谁也不晓得啊。」——总之最后,战场原经过大手术,九死一生地得救了。关于这点也是,我在战场原家,看见她的裸体时,假如更仔细去观察的话,或许我就能发现她背上隐约残留着淡淡的手术痕迹。只不过,要求我做到那种地步,未免也太严苛了吧。
こちらに身体の正面を向けて、上半身から服を着る彼女に対し──見せびらかしたいだけなのかとは、やっぱり、酷い物言いだったけれど。
当时我对正面向着我,从上半身开始穿衣服的她——说出「你只是想要炫耀肉体对吧」这种话,实在是很过分的言词。
感想くらい──か。
至少该说点感想——是吗。
ともあれ、戦場ヶ原が一命を取り留めたことで、戦場ヶ原の母親は──ますます、その宗教の教義に、のめりこんでしまった。
无论如何,战场原保住一命存活下来,因而让她的母亲——对那个宗教的教义,更加深信不疑。
信仰のお陰で──娘が助かったのだと。
托了信仰的福——女儿才能得救。
完全に、型に嵌った。
这想法非常老套。
典型的症例という奴だ。
可说是典型的宗教迷信病例。
それでも、家庭自体は──かろうじて保たれていた。それがどのような宗派のどのような宗教だったのか、僕には知りようもないけれど、少なくとも基本方針としては、信者を生かさず殺さず──だったのだろう。父親の稼ぎが大きかったことも、元々戦場ヶ原の家が素封家41であったことも、その助けになっていたけれど──しかし、年を追うにつれ、母親の信仰具合、のめりこみ具合は、酷くなっていったらしい。
尽管如此,家庭本身——还能勉强维持住。那究竟是什么宗派或什么宗教,我压根不想知道,但我想至少他们的基本方针,应该是——让信徒陷入水深火热当中。父亲的高额收入,以及战场原家本来就是豪门巨富的背景,才让整个家庭不至于破灭——然而,随着年复一年,她母亲的信仰和沉迷宗教的程度,更是变本加厉了。
家庭は保たれているだけだった。
家庭只剩下一个空壳。
戦場ヶ原は、母親とは不仲になったそうだ。
战场原与母亲之间,感情破裂了。
小学校を卒業するあたりまではともかく──中学生になってからは、ほとんど口をきかなかったらしい。だから、羽川から聞いた、中学時代の戦場ヶ原ひたぎの姿が──それを知ってからもう一度見ると、どれほど歪んでいたかが、理解できる。
小学毕业前姑且不论——据说她在升上国中以后,两人几乎没开口说过话。因此,在得知内情后,我再重新回顾战场原在国中时的形象(羽川告诉我的),便能理解到那是一个多么扭曲变形的状态。
本当に──まるで釈明だ。
她那个时候的样子——简直就像是在替自己辩护。
超人。
超人。
まるで超人だった、中学時代の戦場ヶ原。
国中时代的战场原,宛如一个超人。
それは──ひょっとしたら、母親に、その姿を見せるためだったのかもしれない。そんな宗教なんかに頼らなくても、自分はちゃんとできるんだから──と。
或许她是特意做给母亲看的。想要告诉她,就算不用靠那种宗教,自己也能够健健康康地活着。
不仲なりに。
虽然她和母亲感情不和睦。
根本が活発な性格では、なかったのだろう。 小学生のとき病弱だったなら、尚更だ。
但她原本就不是那种活泼的个性。尤其小学时代体弱多病,那就更不用说了。
無理をしていたんだと思う。
我想,她一直在勉强自己吧。
でも、それは、多分、逆効果だった。
只可惜这些,大概都成了反效果。
悪循環。
变成了恶性循环。
戦場ヶ原が、ちゃんとすればちゃんとするほど、模範であれば模範であるほど──戦場ヶ原の母親は、それを、教義のお陰だと、そう思ったに違いないのだから。
战场原越是努力表现,越是成为模范生——她的母亲就越会认为这一切,肯定都是宗教的庇荫。
そんな逆効果の悪循環を繰り返し──
这样的反效果一再地恶性循环——
中学三年次。
到了国中三年级。
卒業を間近にして、ことは、起きた。
战场原即将要毕业的时候,事情发生了。
娘のために入信したはずなのに、それはどこかで主客転倒を起こし、悪徳宗教の幹部に娘を差し出すところにまで、戦場ヶ原の母親は至った。否、それすらもまだ、娘のためであったのかもしれないと思うと、やりきれない。
战场原的母亲走火入魔,明明原本应该是为了女儿才去伦敦的,却不知从何时起本末倒置,甚至将女儿献给恶质宗教的干部。不,或许就连这件事情,她母亲也觉得是为了自己的女儿好吧,一想到这里我心里就一阵抽痛。
戦場ヶ原は抵抗した。
而战场原反抗了。
スパイクで幹部の額を、流血するほど傷つけた。
用钉鞋打伤了干部的额头,让他头破血流。
その結果──
结果就是——
家庭は崩壊してしまった。
家庭彻底崩毁了。
破局した。
破灭了。
全てを根こそぎ、奪われて。
他们家被夺走了一切,完全不留。
財産も、家も土地も失い──借金まで背負い。
失去了财产、房子和土地——甚至还负债。
生かさず殺さず──殺された。
让他们陷入水深火热之后,将其毁灭。
離婚が成立したのは去年だと言っていたし、あのアパート、民倉荘で暮らすことになったのも、戦場ヶ原が高校生になってからなのだろうけれど、全ては中学生の頃に、もう終わっていたのだ。
战场原说过父母离婚是去年的事情,而开始在那栋公寓——民仓庄的生活,应该也是战场原升上高中以后的事吧,一切在国中时代就已经结束了。
終わっていたのだ。
一切都落幕了。
だから。
所以。
だから戦場ヶ原は──中学生でもない高校生でもない、そんな中途半端な時期に──
所以战场原——是在既非国中生也非高中生,处于过渡期的那段时间——
行き遭った。 一匹の蟹に。
遇到了,一只螃蟹。
「おもし蟹ってのはね、阿良々木くん。だからつまり、おもいし神ってことなんだよね」忍野は言った。
「所谓的重蟹呢,阿良良木老弟,其实换句话说,就是『意念之神』的意思。」
「分かる? 思いし神ってことだ。また、思いと、しがみ──しがらみってことでもある。そう解釈すれば、重さを失うことで存在感まで失ってしまうことの、説明がつくだろう? あまりに辛いことがあると、人間はその記憶を封印してしまうなんてのは、ドラマや映画なんかによくある題材じゃないか。たとえて言うならあんな感じだよ。人間の思いを、代わりに支えてくれる神様ってことさ」
「明白吗?所谓的『意念之神』,又可以解释为思念与执念——也就是羁绊的意思。这样一解释,因为失去重量而导致失去存在感这件事情,应该就讲得通了吧?只要发生太过痛苦的事情,人类会将那段记忆封印起来,这不是在戏剧或电影当中常见的题材吗?简单讲就类似那样的感觉。他是代替人类,承担思想的神灵。」
つまり、蟹に行き遭ったとき。
换言之,在遇到螃蟹的时候。
戦場ヶ原は──母親を切ったのだ。
战场原她——切断了与母亲的关系。
娘を生贄のように幹部に差し出し、助けてくれもせず、そのせいで家庭も崩壊し、でも、あのとき自分が抵抗しなければ、そんなことはなかったのかもしれないと、思い悩むことを──やめた。
母亲将女儿像祭品一样献给干部,没有伸出援手,还因此导致家庭崩毁。可是,假如自己当时没有抵抗的话,事情也许就不会演变成这样子——她把烦恼的思想给停止了。
思うのを止めた。
停止去想。
重みを、無くしたのだ。
舍去重量。
自ら、進んで。
自己,主动地。
ズルを──した。
选择了——投机取巧的做法。
心の拠り所を──求めたのだ。
寻求——心灵的寄託。
「物々交換だよ。交換、等価交換。蟹ってのは、鎧を身に纏って、いかにも丈夫そうだろう? そういうイメージなんだろうね。外側に甲羅を持つ。外骨格で、包み込むように、大事なものを保管する。すぐに消えてしまう泡でも吹きながらね。食えないよねえ、あれは」
「那是以物易物,是一种交换啊,等价交换。螃蟹这玩意儿,全身裹着铠甲,看起来非常坚固对吧?它给人的印象就是如此,外层包覆着甲壳,保护着重要的东西,还一边吹出马上就会消失的泡泡。那种玩意儿,根本不能吃嘛。」
蟹が嫌いなのは本当らしい。
看来他真的很讨厌螃蟹。
忍野は軽いようで案外──不器用な男なのだ。
忍野看似轻浮——没想到却是个笨拙的男人。
「蟹ってのは、解ったような虫って書くだろう? 解体する虫ってことでもあるのかな。いずれ、水際を行き来する生物ってのは、そういうところに属するものなんだよね。しかも連中──大きな鋏を、二つ、持ってやがる」
「蟹这个字,写起来就是解体的虫类对吧?也可说是解开纠结的虫啊。不管怎样,只要出没在水边的生物,都属于那种类型。更何况这些家伙——还有着两只巨大的钳子呢。」
結論として。
就结论而言。
戦場ヶ原は重みを失って──重みを失って、思いを失って、辛さから、解放された。悩みもなく──全てを捨てることができた。
战场原失去重量——也因为失去重量,失去思念,而从痛苦当中得到了解放。能够毫无烦恼地舍弃一切。
できたせいで。
因为能够舍弃。
かなり──楽になったらしい。
所以变得相当——轻松自在。
それが本音だそうだ。
这是她的真心话。
重みを失ったことなど──戦場ヶ原にとっては、本質的な問題ではなかったのだ。しかしそれでも──そうでありながら、戦場ヶ原は、金貨十枚で影を売った若者のように、そのことを、楽になってしまったことを、後悔しない日は、一日だって、なかったのだという。
失去重量的事情——对战场原来说,并非本质上的问题。话虽如此——尽管如此,战场原她,就像那名用十枚金币的价格卖掉影子的年轻人一样,对于自己变得轻松自在这件事情,可以说是没有一天不后悔的。
でも、周囲との不調和からではない。
但是,这不是因为与周围环境格格不入的缘故。
生活が不便になったからでもない。
也不是因为生活产生不便。
友達を作れなかったからでもない。
更不是因为没办法交朋友。
全てを失ったからでもない。
并不是因为失去了一切。
思いを失ったから──それだけだそうだ。
而是因为失去了思念——仅此而已。
五人の詐欺師。
五个骗徒。
それは、母親の宗教とは関係ないところの五人だったそうだけれど──それでも、忍野を含めて、半分も信用していないそんな奴らを、半分足らずとはいえ信頼してしまったのも──それがそのまま、戦場ヶ原の悔やみを表していると言える。惰性でずっと、病院に通い続けたことといい──
据说那五个人和她母亲的宗教没有任何关系,而战场原虽然半信半疑,对他们连一半信任都没有,却还是相信了他们(包含忍野在内)。这点可说是将战场原内心的懊悔表露无遗。就算她去医院复诊只是例行公事也好——
何のことは無い。
这也不代表什么。
僕は最初から最後まで全く見当はずれだった。
我自始自终都完全判断错误。
戦場ヶ原は重みをなくしてからもずっとの間。
战场原失去重量之后,
何も、諦めず。
从来没有放弃任何东西。
何も、捨てていなかったのだ。
也没有舍弃任何东西。
「別に悪いことじゃないんだけれどねえ。辛いことがあったら、それに立ち向かわなければならないというわけじゃない。立ち向かえば偉いというわけじゃない。嫌なら逃げ出したって、全然構わないんだ。それこそ娘を捨てようが宗教に逃げようが、全然勝手だ。特に今回の場合、今更思いを取り戻したところで、何にもならないんだから。そうだろう? 悩まなくなっていたお嬢ちゃんが、悩むようになるだけで、それで母親が帰ってくるわけでも、崩壊した家族が再生するわけでもない」
「这其实不算什么坏事啊,如果有痛苦的事情,并不代表一定要去面对才行。去面对它也不代表自己很了不起。讨厌的话,就算逃避也完全没关系。不管要舍弃女儿也好或遁入宗教也好,都是个人的自由。尤其像这次的情况,事到如今就算你取回了自己的思念。也于事无补,对吧?这么做只不过是让原本抛开烦恼的你,又开始烦恼罢了,而你的母亲并不会因此而回来,破碎的家庭也不会复合。」
何にもならない。
不会有任何改变。
忍野は揶揄でも皮肉でもなさそうに、言った。 「おもし蟹は、重みを奪い、思いを奪い、存在を奪う。けれど、吸血鬼の忍ちゃんや色ボケ猫とは訳が違う──お嬢ちゃんが望んだから、むしろ与えたんだ。物々交換──神様は、ずっと、そこにいたんだから。お嬢ちゃんは、実際的には、何も失ってなんかいなかったんだよ。それなのに」
忍野既非挖苦也不带讽刺地说:「重蟹会夺取重量,夺取思想,夺取存在,但却和吸血鬼小忍或魅猫不一样——因为这一切是小姐你自己期望的,所以倒不如说是你自愿交给牠的。以物易物——神明始终存在着。小姐实际上,什么也没有失去啊,话虽如此——」
それなのに。
话虽如此。
それでも。
尽管如此。
それゆえに。
正因如此。
戦場ヶ原ひたぎは──返して欲しかった。
战场原黑仪才——希望要回来。
返して欲しがった。
希望对方还给她。
もう、どうしようもない、母親の思い出を。
将那早已无法挽回的母亲回忆,
記憶と、悩みを。
记忆,与痛苦。
それがどういうことなのかは僕には、本当のところはわからないし、これからもわからないままなのだろうけれど、そして、忍野の言う通り、だからどうということもなく、母親も戻らず家庭も戻らず、ただ戦場ヶ原が一人、ひたすら、辛い思いをするだけなのだろうけれど──
那到底是一种怎样的感情,我是一点都不明白,以后大概也永远不会明白。并且,正如忍野所言,于事无补,母亲不会再回家,只有战场原独自,怀着那份一味痛苦的感情——
何も変わらないのだろうけれど。
虽然什么都没改变。
「何も変わらないなんてことはないわ」
「并不是什么都没改变。」
戦場ヶ原は、最後に言った。
战场原,在最后说到。
赤く泣き腫らした目で、僕に向かって。
用哭得红肿的眼睛,面对我。
「それに、決して無駄でもなかったのよ。少なくとも、大切な友達が一人、できたのだから」
「而且,绝对不是无意义。因为,至少,交到了一个重要的朋友。」
「誰のことだ?」
「是谁?」
「あなたのことよ」
「就是你哟。」
反射的にとぼけてみせた僕に対して、照れもなく、それに、遠回しにでもなく、堂々と──戦場ヶ原は、胸を張った。
对于反射性地装糊涂的我,战场原毫无羞涩地,而且,毫不委婉地,堂堂——挺起胸膛。
「ありがとう、阿良々木くん。私は、あなたにとても、感謝しているわ。今までのこと、全部謝ります。図々しいかもしれないけれど、これからも仲良くしてくれたら、私、とても嬉しいわ」
「谢谢你,阿良良木同学。对于你,我非常感谢。至今为止的事,我全部道歉。虽然有点厚脸皮,若今后能与我好好相处的话,我、会非常高兴。」
不覚にも──
大意了——
戦場ヶ原からのその不意打ちは、僕の胸に、深く深く、染み入ったのだった。
战场原这句抽冷子般的话,深深地,渗入我的心坎里。
蟹を食べに行く約束は。
约好一起去吃螃蟹。
どうやら、冬を待つことになりそうだけれど。
看来,冬天的到来似乎值得期待呢。
008
後日談というか、今回のオチ。
该说是后日谈吧,补一下漏。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされると、やけに身体がだるかった。無理矢理にその身体を起こし、それから立ち上がるだけでも一仕事。酷い熱でもあるときのように、ずっしりと、節々が痛い。僕のときや羽川のときとは違って、取っ組み合いや大立ち回りがあったわけでもないのだから、筋肉痛なんてこともないだろうのに、とにかく、一歩一歩が苦しい。階段を降りていても、ふと気を抜けば、そのまま転がり落ちてしまいそうだった。意識ははっきりしているし、インフルエンザの季節でもないだろうに、一体どういうことだろう。
翌日,和往常一样被两个妹妹,火憐和月火叫醒后,发现身体倦得要命。硬逼着自己起了床,结果就连站起身都成了大事。就像严重高烧时一样,身体沉沉的,所有关节都在痛。这次与我或者羽川事件时不同,并没有扭打成一团或激烈的武斗场面,所以不至于会弄到肌肉痛吧?反正,就连一步一步地挪动都很辛苦。即使是下楼梯,一个不留神,好像就会这样滚下去。意识有正常地运转,如今也不是流感的季节,到底是怎么回事呢?
考えて、まさかという考えが、脳裏をよぎる。
想了想,该不会是因为那样吧——
ダイニングに行く前に、洗面所に向かった。
去餐桌之前,先去卫生间。
そこにはヘルスメーターがある。
在那里有一部体重秤。
乗った。
站了上去。
ちなみに、僕の体重は五十五キロ。
顺便说一下,我的体重是五十五公斤。
メーターの数値は、百キロを指していた。
而计量表的数值,指向了一百公斤。
「……おいおい」
「……喂喂。」
なるほど。
原来如此。
神様ってのは、確かに、大雑把な連中らしい。
所谓的神明,看样子果真是一群相当草率的家伙。
Footnotes
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まことしやか:[形動]いかにも本当らしく見せるさま ↩
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折り目:[名]立ち居振る舞い ↩
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梃子:[名]棒の途中に置いた支点を中心に棒が自由に回転して、小さい力を大きな力に、小さい動きを大きな動きに変える仕組み ↩
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トンガリ: 藤子・F・不二雄的漫画《奇天烈大百科》(キテレツ大百科) 中的登场人物 ↩
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おいそれ:[名・形動]即座に物事が行われること ↩
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すかさず:[副]機を逸することなく、直ちに対応して行動するさま ↩
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永久歯:[名]乳歯が抜け落ちた後に生えてくる歯 ↩
-
キシリトール (xylitol): 木糖醇 ↩
-
高橋葉介 (1956 - ): 日本男性漫画家,代表作《学校怪谈》 ↩
-
学ラン:[名]詰め襟の学生服の俗称 ↩
-
其処等中:[名]あたりいちめん ↩
-
マリー・アントワネット (Marie-Antoinette): 法国国王路易十六的王后,在法国大革命中被处决 ↩
-
サイケデリック (psychedelic):[形]幻覚的 ↩
-
フルハウス (Full House): 1987 - 1995年播出的美国影集 ↩
-
ゴーグル:[名]目の部分をすっぽりおおう大形の眼鏡 ↩
-
わくましく: 腕白(わんぱく)中的 わ 和たくましい中的 た 交换了位置 ↩
-
トタン:[名]亜鉛のこと ↩
-
共益費:[名]マンション、団地などの居住者が、外灯やエレベーターなどの生活上の共用部分を維持するために負担しあう費用 ↩
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驕る平家は久しからず: 骄兵必败。源自《平家物语》,特指曾经盛极一时但最终迅速衰亡的平氏家族 ↩
-
十八番:[名]得意の芸 ↩
-
卓袱台:[名]和室で用いる、足の短い食卓 ↩
-
禊ぎ:[名]身に罪または穢れがあるとき、また、重要な神事などの前に、川原などで、水で身を洗い清め穢れを落とすこと ↩
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修験道: 日本一种包含佛教、道教、阴阳道、禁咒道等各派融合体的综合型宗教 ↩
-
よもや:[副]万が一にも ↩
-
開けっ広げ:[名・形動]心の中や物事を包み隠さず、すべてを明らかにすること ↩
-
土台:[名]物事の基礎 ↩
-
夢幻魔実也: 高桥叶介的漫画《梦幻绅士》的主角 ↩
-
九段九鬼子: 高桥叶介的漫画《学校怪谈》的主角 ↩
-
峠弥勒: 上中学时没有朋友的九段九鬼子幻想出的人 ↩
-
きょとん:[副]びっくりして声が出ない様子 ↩
-
月にも海がある: 月海,指月球月面上比较低洼的平原 ↩
-
宮司:[名]神職の一つ。神社の造営、収税のことなどをつかさどった者 ↩
-
禰宜:[名]神社で、宮司ぐうじ・権ごん宮司を補佐する職 ↩
-
注連:[名]神を祭る神聖な場所を他の場所と区別するために張る縄 ↩
-
重畳:[名]この上もなく満足なこと ↩
-
スパイク:[名]野球や陸上競技などで、滑り止めのため、靴底に打ちつける釘などの突起物 ↩
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踠く:[動カ五(四)]もだえ苦しんで手足をやたらに動かす ↩
-
詰る:[動ラ五(四)]相手を問いつめて責める ↩
-
落胆:[名](スル)期待や希望どおりにならずがっかりすること ↩
-
パントマイム (pantomime):[名]せりふがなく、表情やしぐさだけで表現する演劇 ↩
-
素封家:[名]大金持ち。財産家 ↩