化物語(下): 第五話 つばさキャット 003
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desc: 梳着麻花辫、戴着眼镜的班长 —— 羽川翼。这位曾帮助过阿良良木历的少女,究竟被何种怪异所缠身……?
六月十三日は僕にとって記念すべき日。
六月十三号,对我来说是值得纪念的日子。
に、なるはずだ。
理当是这样才对。
それは、ブルマーやらスクール水着やらには一切合切関係なく、ことの発端は、先月の母の日、五月十四日から付き合っているところの僕の彼女、戦場ヶ原ひたぎのこんな一言だった。
这和灯笼裤、学校泳装完全无关,事情的肇始是因为上个月的母亲节——五月十四号开始和我交往的女友:战场原黑仪的一句话。
「デートをします」
「我们去约会。」
当日の昼休みのことだった。
时间就在今天的午休时间。
中庭のベンチで、見た目仲良く並んでお弁当を食べていた最中の、それは唐突な一言だった。箸で持ちかけていた卵焼きを取り落とすほど、僕は呆気に取られてしまった。
我俩在中庭的长椅上肩并肩,看似感情和睦地在吃便当时,她天外飞来一笔地突然进出这句话来。我当场傻眼,筷子夹到一半的煎蛋都掉了。
はい?
虾密?
今この女、なんて言った?
刚才这女人说了什么?
戦場ヶ原を見る。
我看战场原。
夏服──である。
她穿着夏季制服。
ブラウスの短い袖を更に折りたたんでピンで留め、ノースリーブっぽくしているのは、最近の我が校の女子の間での静かなブームである。戦場ヶ原はそういう時流に乗ることをよしとしない女生徒ではないかと、僕は勝手に思っていたが、割とそんなことはないらしい。ノンポリ1だ。これは新しい発見だった。ちなみに羽川あたりは、口うるさく言いこそしないものの、そういう時流には乗らない。同じ優等生でも、それが筋金入りかそうでないかの違いと言ったところだろう。もっとも、戦場ヶ原にしたところで、スカートの長さは、相変わらずだが。
她将上衣的短袖折得更短,然后用发夹固定住,弄成类似无袖的样子。这种穿着是最近我校的女生私下流行的一种方式。我原本以为战场原是那种不会追逐流行的女学生,但似乎不是那样。她只是没去关心而已。顺带一提,羽川她对这流行虽然没有唠叨一堆,但也不会随波逐流。这正是所谓同样是优等生,还是有固执和不固执的分别。只不过,战场原的裙子长度还是没变。
食事中ということで、後ろ髪と、最近伸びてきたらしい前髪を上向きに、戦場ヶ原はそれぞれ、赤いゴムで留めている。見ようによっては間抜けな髪型だが、綺麗な額が惜しげなく晒されているのは僕としては非常に印象がいいし、また、戦場ヶ原がそうした『油断した』みたいな姿を見せてくれるのは、なんだか打ち解けてきた感じがあって、気分的には悪くない。
现在我们正在吃饭,所以战场原把发尾和最近留长的刘海,各自用红色橡皮筋绑了起来。换个角度来看这发型还满呆的,但她不吝啬地将美丽的额头摊在阳光下,我个人认为这样感觉很好,此外,战场原这种「疏忽大意」的模样,也让我看了不由得产生一股融洽感,心情上还不坏。
「えっと……あれ?」
「耶……什么?」
なんて、僕が反応に困っていると、戦場ヶ原は、
战场原看到我不知所措的反应后,
「ふむ」
「嗯——」
と、自分のお弁当箱から、白米の部分をちょっとだけ箸で掬うようにして、それから、その白米を、僕に向けて差し出してきた。
她低吟一声,用筷子从自己便当里挖了一小口的白饭,接着将白饭拿到我的面前。
「あーん」
「啊——」
「………………!」
うわ……っ!
呜哇……!
何、このシチュエーション……!
这场景是怎么回事……!
漫画とかでよく見るラブラブな恋人同士のラブラブイベントの一つとしてよく知られているけど、なんだこれ、全然嬉しくない、嫌だっていうか、むしろ普通に怖い!
这是漫画之类的东西里头,热恋的情侣常会做的亲密举动之一,不过现在是怎么样,我却一点都不觉得高兴,与其说是讨厌,倒不如说是让我觉得毛骨悚然!
戦場ヶ原とくれば、相変わらずの平坦な無表情だし……照れくさそうなはにかみ顔とかでやってくるなら全然歓迎なんだが、相手の感情が読めないっていうのは、この状況ではかなりキツい……。
战场原也是,她虽然跟平常一样面无表情……假如她露出害羞腼腆的表情,我是很欢迎她这样做啦,在这个状况下读不出对方的感情,会让人相当难受……
ついつい何を企んでいるのかって思っちゃう。
不由得会让人心想:这家伙到底有什么企图?
ものすごく裏がありそう。
看起来似乎有很深的内幕。
ていうか裏しかなさそう。
应该说绝对有内幕。
両B面だ。
双B面!
僕がここで間抜けに口を開けたら、ひょいっとフェイントをかけて、僕のことを笑いものにする気じゃないのか。
要是我在这边像傻瓜一样张开嘴巴,她搞不好会突然做一个假动作,然后耻笑我。
「どうしたの? 阿良々木くん。あーん、てば」
「怎么了?阿良良木。我说『啊——』。」
「…………」
いや……。
不对……
自分の恋人のことを疑ってどうする。
怎么可以怀疑自己的女朋友。
戦場ヶ原は確かに意地悪だが、そこまで酷いことをする奴じゃない。付き合い始めて一ヵ月、まだまだ長い付き合いだとは言えないが、それでも、それなりにお互いのことは理解できているはずだ。信頼関係は成立しているのである。それを自ら壊すような真似をしてどうする?
战场原的确很坏心没错,不过她没有那么过分。我们才刚交往一个月,时间还不算长,但我们对彼此应该有相当程度的理解了。已经建立起一种信赖关系。我怎么能做出那种破坏彼此关系的行为呢?
僕は戦場ヶ原の彼氏なんだ。
我是战场原的男朋友。
「あ、あーん」
「啊、啊——」
口を開けた。
我张开嘴。
「えい」
「嘿!」
戦場ヶ原は白米を、開けた口のちょっと右側、僕の頰に押し付けた。
战场原将白饭压在我嘴巴右边一点的位置,也就是我的脸颊上。
「………………」
いやいやいや。
唉唉唉。
わかりきってたオチではあるけれど。
我早就知道会是这种结局了。
「ふ、ふふふ」
「呵、呵呵呵!」
笑う戦場ヶ原。
战场原露出笑容。
腹の立つ、静かな笑い方だ。
一个让人生气的文静笑法。
「ふふふ……あはは。はは」
「呵呵呵……啊哈哈!哈哈!」
「……お前の笑顔が見れて僕はとても嬉しいよ」
「……我很高兴能够看见你的笑容。」
昔は滅多に笑わない奴だったのに。
她明明以前不太常笑。
今もこういうときにしか笑わないけれど。
虽然现在也只有这种时候才会展露笑颜。
基本的にはとにかく無表情なんだよな。
基本上她还是不改面无表情的样子。
「阿良々木くん、ほっぺたにご飯粒がついてるわよ」
「阿良良木,你的脸颊上有饭粒喔。」
「お前がつけたんだ」
「是你黏上去的吧。」
「とってあげる」
「我帮你拿掉。」
一旦箸を置いて、直接手を伸ばしてくる戦場ヶ原。僕の頰から、自分で塗りつけたご飯粒を、丁寧な仕草で、一粒一粒、つまみとる。
战场原将筷子暂时放下,直接伸手过来,把自己黏上去的饭粒,细心地从我的脸颊上,一粒一粒地拿掉。
うーん。
嗯——
これはこれで……。
这种感觉还不错……
「はい、とれた」
「好,拿掉了。」
と言って。
战场原说完,
ぽいっと、脇のゴミ箱に、その米粒の塊を捨てた。
便把那团饭粒,随手丢进一旁的垃圾桶。
……捨てるんだ。
……她丢掉了。
目の前で捨てるか……。
在我面前丢掉吗……
いや、別に食べるとは思ってなかったけども。
唉呀,我是没有想过她会把饭粒吃掉啦。
「さて」
「好了。」
と、手際よく、戦場ヶ原は仕切りなおす。
战场原很巧妙地,重整好旗鼓。
なかったことにされた感じだ。
感觉刚才的事情,好像被她当作没发生过一样。
「デートをします」
「我们去约会。」
繰り返した。
她再次说道。
しかし、戦場ヶ原はそこでどうしてか、「ううん」と、悩むような仕草を見せる。首を傾げて、なんだか思案中だ。
不过,战场原不知为何接着说了声:「不。」随后露出伤脑筋的模样。她歪着头,似乎在思忖。
「違うわね。こうじゃないわ。デートを……」
「不对。不是这样。约会……」
「……?」
「デートをして……いただけませんか?」
「可以请您……跟我约会吗?」
「………………」
「デートをし……したらどうな……です……」
「一起去……约个会……怎么样……」
「……………………」
こいつ……!
这家伙……!
ものの頼み方が本気でわからないのか……!?
她真的不知道该怎么拜托别人吗……!
驚きだ。
真叫我瞠目结舌。
というか、それ以上に驚きなのが──デートの申し出が、戦場ヶ原の方から、こうもはっきりと、しかも唐突に、あったことだ。
更让我吃惊的是,约会的提议居然会如此明确、而且还是从战场原的口中突然进出来。
それこそ、付き合い始めて一ヵ月。
我们开始交往过了一个月。
僕がどれだけ露骨に、時には大胆に誘っても、食指を動かさなかったこの女が……動かざること風のごとく動かざること林のごとく動かざること火のごとく動かざること山のごとしな、戦場ヶ原ひたぎが……自ら、デートだと?
不管我再怎么露骨,有时还很大胆地开口邀约,这女人连根食指都不动……不动如风、不动如林、不动如火、不动如山的战场原黑仪,居然主动开口要跟我约会?
これまで、それこそ後輩の神原駿河が言うところの『プラトニックな関係』を頑なに、さながら暗黙の条約でもあるかの如く維持してきた僕達が、ついにデートをするというのか?
至今,我们正如学妹神原骏河所言,维持着「柏拉图式的关系」,宛如彼此的一种默契般,而现在终于要约会了吗?
どういう心境の変化なんだ?
这是什么样的心境变化啊?
さっきの『あーん』ではないが、この女、またぞろ何か企んでいるのではないだろうか……自他ともに認める彼女からデートの申し出があって、ここまで疑心暗鬼になる自分というのもどうかと思うが、しかし、これがそれに値するくらいの驚きなのは、確かだった。
除了刚才的「啊——」以外,这女人又再打什么歪主意……公认的女友对我提出约会的邀约,我居然要疑心生暗鬼到这种地步,实在也有点不妙,可是,这个邀约真的足够让我惊讶到会想歪。
「何よ」
「干么?」
戦場ヶ原は平坦に言う。
战场原平静地说。
「嫌なの、阿良々木くん」
「你不愿意吗?阿良良木。」
「いや、嫌じゃないけど……」
「没有,不是不愿意啦……」
「そう言えば、聞いたわよ」
「对了,我听说了喔。」
不敵な表情を見せる戦場ヶ原。
战场原露出目中无人的表情。
それが彼氏に見せる表情なのだろうか。
这是在男友面前该露出的表情吗。
「神原とのデートは、阿良々木くん、随分楽しかったみたいじゃない。親密になっちゃって、昨晩なんか、神原と一晩明かしたのですって?」
「你和神原的约会,还满快乐的嘛。你们变得很亲密,听说昨天晚上你还和她共度了一晚是吗?」
「ああ……なんだ、聞いたってのは、神原から聞いたってことか?」
「对……啥啊,你所谓的听说,是指听神原说的妈?」
「ええ……あの子、随分と喋り渋ったけれど」
「是啊……不过那孩子,说起话来非常吞吞吐吐就是了。」
「………………」
何故意味ありげに喋り渋る……!
好一个话中有话的吞吞吐吐……!
後ろめたいことはないんだから、包み隠さずちゃんと喋れよ! 隠すことによって、逆に何かあったみたいな感じになるだろうが! 中途半端に口が堅い奴って、一番迷惑なんだよなあ!
我们又没做什么亏心事,不用隐瞒老实说就好啦!这样一隐瞒,不就变得好像有发生过什么事一样!这种守口如瓶做一半的人,最让人困扰了!
「阿良々木先輩を責めないで欲しいと頼まれたわ」
「她希望我不要责怪你。」
「どうして僕はあいつに庇われてるんだ!? 何も悪いことなんてしてないのに!」
「为啥那家伙要帮我说话!我根本没做什么坏事情啊!」
潔白だ!
我是清白的!
無実だ!
无辜的!
濡衣2だ!
大人冤枉啊!
「ともあれ」
「不管怎么说,」
戦場ヶ原は言った。
战场原说。
「あの子と阿良々木くんが仲良くなったみたいで、よかったわ」
「那孩子和你的感情似乎变好了,真是太好了。」
「…………」
それは──どういう意味なのだろう。
这句话……到底是什么意思呢。
勿論。
当然。
戦場ヶ原が神原に対し、負い目や引け目を感じているのは事実だろう──また、戦場ヶ原を巡っての、僕と神原との恋敵同士としての争いは、戦場ヶ原も知るところだ。だから、僕と神原とが仲良くなることが、戦場ヶ原にとってそういう意味を持つことは、それなりにわからなくもないが──しかし、それだけじゃない意味合いが、今の戦場ヶ原の言葉には、あったような気がする。
战场原对神原抱有歉意和内疚是事实吧——此外,她本人也知道我和神原都喜欢她,是彼此竞争的情敌关系。所以,我和神原的感情变好,会让战场原觉得高兴这点,我也不是不能理解——可是刚才战场原的话中,似乎有言外之意。
昨日聞いた、羽川の言葉が思い出される。
这让我回想起,羽川昨天说的那番话。
戦場ヶ原さんから見たら、結構不安だと思うのよね──
站在战场原同学的角度来看,她应该会很不安吧——
その言葉が含む、その意味合いは──
那句话,所内含的意思是——
この女は。
这个女人。
一体何を、考えているのだろう。
到底在想什么啊。
「これで神原は、阿良々木くんに対して人質としての価値を持ったわね」
「这样神原对阿良良木你来说,就有人质的价值了呢。」
「凶悪なことを考えてやがった!」
「你居然在想这种穷凶恶极的事情!」
人質!?
人质?
日常会話で人質って言ったか、こいつ!
这家伙在日常对话中,也会说人质这两个字吗!
「可愛いわよねえ、神原は……ところでその可愛いあの子は私の言うことならどんなことでも喜んで従うのだけれど、それについて阿良々木くんはどう思うのかしら。関係ないけれど、可愛い女の子が下半身だけ裸になって四つん這いで校内を散歩しているところとか、見たくない?」
「神原很可爱对吧……不过那个可爱的女生,对我说的话却是言听计从,关于这一点阿良良木你觉得怎么样?我这样问已经离题了啦,不过你想不想看一个可爱的女生裸露下半身,用爬的在校内散步啊?」
わざとらしい憂鬱さをまとって、ため息混じりにそんな剣吞な台詞をはく戦場ヶ原……こんな非暴力的な、静寂をまとった脅迫が実在するだなんて、平和な国で生まれ育った僕はこれまで思いもしなかった……。
战场缘故意装忧郁,夹杂着叹息声,吐出这般危险的话语……在和平的国度中出生的我至今从未想过,原来这种非暴力、同时带着一丝平静的威胁百语,是确实存在的……
戦場ヶ原ひたぎ。
战场原黑仪。
今はっきりしたけれど、お前はツンデレでもなんでもねえ、普通に性格の悪い人間だよ……。
现在我终于弄清楚了,你不是傲娇,什么都不是,只是一个性格恶劣的人而已……
「あら失敬ね、阿良々木くん。そんなことを言われたのは、私は初めてだわ」
「唉呀!你真没礼貌,阿良良木。我是第一次听到别人对我说这种话。」
「そうなのか……?」
「是吗……?」
「どころか、それとは全く真逆のことをよく言われるくらいよ。『お前は本当にいい性格してるよ』って」
「岂止如此,我还常听到完全相反的话呢。他们都说:『你这家伙的性格还真好啊。』」
「それは嫌味で言われてるんだ!」
「那是在讽刺你吧!」
それでいいなら僕だって言ってやるよ!
那样也行的话,那我也可以说给你听!
お前は本当にいい性格をしてるよ!
你这家伙性格还真奸啊!
「なんですって……? あの人達が私のことを騙していると言うの。彼らの言葉を疑うなんて、いくら阿良々木くんの言うことでも聞き捨てならないわね……」
「你说什么……?你是说他们在骗我啰。没想到阿良良木居然会怀疑他们说的话,就算是你我也无法假装没听到喔……」
「自分の悪口を言ってる奴らを庇うなー!」
「不要帮说自己坏话的人说话!」
とか。
如此云云。
この辺りの会話は、ただの冗談だ。
到此为止的会话,只是在开玩笑。
互いのセンスが試されている。
考验彼此的吐槽感。
「というわけで」
「就是这样,」
何がというわけでなのか知らないが、戦場ヶ原はそこで再度、仕切り直した。
什么东西「就是这样」我不晓得,但战场原说到这里,又再度重整旗鼓说:
「私とデートをしなさい、阿良々木くん」
「跟我约会,阿良良木。」
「最終的に、そう落ち着くか……」
「最后你决定用这种说法吗……」
妥当と言えば妥当なところだった。
要说妥当,的确很妥当。
らしいと言えば、これ以上なくらしい。
要说风格,没有比这更符合她的风格了。
「何か文句……いえ、何か質問はある?」
「你有什么不满……不,你有什么问题吗?」
「ありません……」
「没有……」
それじゃあ私は、今日の放課後、適当に口実を作って先に帰って用意をしておくから、阿良々木くんは文化祭の準備が終わり次第、私の家まで来て頂戴──と、戦場ヶ原はまとめて、それから、まるで何事もなかったかのように、食事へと戻った。
那我今天放学后,会随便编一个理由先回去做准备,阿良良木你结束文化祭的准备工作后,马上来我家一趟——战场原做完结论后,仿佛什么事情都没发生过一样,继续吃她的饭。
デートを優先して文化祭の準備を当然至極のようにサボろうとする辺りが戦場ヶ原ひたぎだったが、勿論、僕の立場として、戦場ヶ原とデートできることが、嬉しくないわけもない。しかも、時間にして夜からのデートというのが、なかなかどうして意味深長だ。どこに行くか、何をするのか、どういうプランニングなのかは私に任せておいて、と戦場ヶ原は言った。取り立てて追及するような場面でもないと思ったので、そこはそれ、お楽しみということにしておいて、僕は心の中で、ガッツポーズを決めたのだった。
有如理所当然一样跷掉文化祭的准备工作,优先准备约会的事情这点,的确很像战场原黑仪,当然站在我的立场,能够和她约会当然让我心花怒放。而且,以时间来看还是从晚上开始,反倒让我觉得意义深远。战场原说要去哪里,要做什么,有什么计画全都交给她来决定。当时我觉得不太适合追问她,所以我决定期待她做的安排,同时在心中双手抱拳,大喊一声:「YES!」
長い道のりだった……。
这一路走来好漫长……
まさか彼女からデートの約束を取り付けるというだけの行為が、ここまでの労力を伴うものだなんて、ついぞ思いもしなかった……。勢い余って彼女の後輩と先にデートをしてしまうほどだったが、結果よければ全てよし。
我完全没有想过光是和她说好要约会,竟会如此地费力……我甚至还顺势和她的学妹先约会过了,不过只要结果好一切都好。
ともあれ。
无论如何。
六月十三日は、恋人と初めてデートをした、僕にとって記念すべき日になるはずだった──
六月十三号,我和女友第一次约会。对我而言这天本来应该会成为一个值得纪念的日子。
のだが。
然而,
その数時間後。
午休结束后过了几个小时。
放課後、文化祭の準備を終え、帰ろうとしたところ、正門で、下の妹の昔の友達であるところの千石撫子に待たれていて、ブルマーとスクール水着を受け取り、そこを羽川に見つけられ、「頼む! 五万円払うからこのことは誰にも言わないでくれ!」なんてリアルで切実な懇願をし(勿論その後、羽川から『尊厳ある人間を買収しようだなんて、恥を知りなさい』とマジ説教を食らった。学校の正門でブルマーとスクール水着を抱えたまま同級生に叱られる僕)、自転車のペダルを気持ちいつもより速めに漕ぎながら家に帰って、制服からそれなりの服に着替え、財布と携帯電話だけを持って、折り返し、戦場ヶ原の家へと向かった。
放学后,我结束了文化祭的准备,正打算离校返家时,在正门碰到小妹以前的朋友——久候我多事的千石抚子,并从她手中接过灯笼裤和学校泳装,最后被羽川看见,于是,「拜托!我给你五万块,这件事情你千万不要跟其他人说!」我用非常真实并殷切的语气恳求她(当然在那之后,羽川很认真地教训了我一顿说:「你居然想收买拥有尊严的人类,知不知耻啊!」而我则在学校正门前,手上拿着灯笼裤和学校泳装,被同学训斥),接着我愉悦轻快地踩着脚踏车的踏板回到家后,把制服换成一身适合约会的衣服,拿着钱包和手机,随即往战场原家出发。
到着する頃には七時半を越えていた。
当我抵达时,时间已经过了晚上七点半。
ちょっと遅かったかなと思ったが、しかし、戦場ヶ原は、「思ったより早かったわね」と言った。そして「まあいいわ」とも。どうも、あんまり早く来られても、困るようだった。
我原以为稍微晚到了一些,但战场原却说:「比我想象中的还早呢。」接着,她还说了一句:「算了没关系。」看来我要是太早过来,她似乎会很困扰。
戦場ヶ原も私服。
战场原也穿着便服。
髪は後ろで二つに振り分けている。学校では、食事中と体育の時間以外はストレート(最近は、体育にも普通に参加するようになった戦場ヶ原である)、校外では原則として髪を縛るというのが、戦場ヶ原の中のルールである。二つに振り分けると、どことなく委員長・羽川とイメージがかぶるのだが、それも含めて、動きやすそうな、お洒落なファッションだった。
头发在身后分成两撮。她在学校,除了吃饭和体育课外都是直发(最近战场原也可以像普通人一样上体育课),而在校外原则上都会把头发束起,这似乎是战场原个人的规则。分成两撮给人的印象,总觉得和班长羽川一模一样,但她的装扮整体来说包含发型,都很时髦且容易活动。
これからどこかに出掛ける感じの服だ、と思ったら、案の定、
这衣服好像待会要外出一样,我如此心想。不出所料,
「じゃあ行くわよ。ついてらっしゃい」
「那我们走吧。跟我来。」
と、彼女は言った。
她开口说。
しかし、案の定なのはそこまでだった。
但我的不出所料,也只到这边为止。
そこからは予想外の展開が待っていた。
接下来的事情发展,完全在我的意料之外。
戦場ヶ原ひたぎは、自身の住処であるアパート民倉荘の前に駐車されていた一台のジープへと、僕を導いたのだった。
战场原黑仪,带领我坐上停在她家公寓——民仓庄前的一辆吉普休旅车。
クルマで移動。
我们开车移动。
それはいい。
这还没关系。
この車社会において、何の質問も何の文句もない。
我对这辆车的厂牌,没有任何的疑问和意见。
問題は、僕も戦場ヶ原も、校則によって免許の取得を厳格に禁じられており、四輪免許はおろか原付免許すらも持ち合わせていないというところだった。必然、僕が乗り込むのも戦場ヶ原が乗り込むのも、ジープの後部座席だったのだ。
问题是我和战场原两人,因为校规严禁学生考取驾照,所以别说是汽车驾照,我们连轻型机车的驾照都没有。所以当然,我和战场原是坐进吉普车的后座。
では運転席にいるのは誰か。
那在驾驶座上的人是谁呢?
戦場ヶ原ひたぎの父親だった。
是战场原黑仪的父亲。
「…………………………」
初デートに、彼女の父親が同伴って……。
第一次约会,女朋友的父亲陪伴同行……
拷問みたいなデートだ……。
约会就跟在拷问一样……
何の記念だよ、これ。
这算什么纪念啊。
車内全体にどう好意的に見ても気まずい雰囲気が漂う中、挨拶もそこそこに、ジープは出発した。そこに至っても、僕はまだ目的地を聞くことはできなかった。というか、目的地など、今となってはどうでもいい。
车内整体的感觉,即便站在善意的角度来看,也依旧飘散着一股尴尬的气氛,我连打招呼也显得匆忙,随后吉普马上就发车了。状况演变成这样,我却连目的地是哪里都没有机会问。应该说,事到如今目的地根本不重要了。
当然、戦場ヶ原父とはこれが初対面。
当然,这是我和战场原父亲第一次见面。
これで戦場ヶ原父があけっぴろげで気さくなお方だったならまだしも、千石の例を引き合いに出すまでもなく、僕にとっては最も対応しづらい相手である、寡黙なお方だった。年下の女の子で寡黙ならともかく、年上の男性で寡黙とは……。仕事帰り──いや、まだ仕事中であるかのようなきっちりした格好で、戦場ヶ原父は、静かにハンドルを操作している。確か、外資系の企業に勤めているとか、そんな話だったっけ……。
假如战场原父亲的个性坦率直爽那倒也罢;然而他却是一个沉默寡言的人。我最不擅长应付这一类的人,这点不用拿千石来引证也可一目了然。比我年幼的女生沉默寡言也就算了,居然连比我年长的男性都……战场原父亲一身严谨的穿著,有如刚下班回家——不,仿佛还在工作一样,只见他静静地在操纵方向盘。之前有听说,她父亲好像是在外资企业工作的样子……
見るからに堅そうな人だ。被害妄想もここに極まれりという感じだが、僕なんか、この人からはどんな理由で怒られても仕方がないような空気がある。
外表看起来很严肃。我感觉自己的被害妄想已经到达了极限,在这气氛下不管她父亲怎么骂我,似乎都是情有可原。
それにしても……そういう事情をさておいてみれば、この人、ロマンスグレーの総髪で、僕らの年代の男親としては年配といった風だが、やけに格好いい。俳優さんみたいだ。まさしく、ナイスミドルという言葉が相応しい。のろけになりかねないようなことを言わせてもらえれば、戦場ヶ原ひたぎはクラスにおいて深窓の令嬢と言われるほどの美人なのだが、なるほど、こういう娘にはこういう父親がいるものなのか。
话说回来……先不看现在的状况,她父亲一头高雅的后梳发型,在我们这一辈的父亲当中,感觉比较年长,但却十分有型。就像演员一样。确实符合英俊潇洒的中年男子这个形容词。我这么说听起来可能像是在炫耀,不过战场原黑仪在班上是一个人称深闺大小姐的美人,原来如此,有其女必有其父吗。
うーん。
嗯——
父親が格好いいというのは本人が格好いいよりポイントが高いよな……。
与其直接称赞她父亲本人很帅,倒不如说战场原的爸爸很帅,这样听起来分数比较高……
「どうしたの、阿良々木くん」
「你怎么了?阿良良木。」
しばらく距離を進んだところで、隣に座っている戦場ヶ原が、僕に話しかけてきた。
移动了一段距离后,坐在我身旁的战场原主动开口向我搭话。
「随分と無口じゃないの」
「你还满安静的嘛。」
「あのな……お前、今の状況、わかってんのか?」
「我说……你知道现在是什么状况吗?」
「わからないわね。今とはいつ。状況とはどんな漢字を書くのかしら」
「我不知道耶。『现在』是指什么时候?『状况』两个字怎么写?」
「そんなところからわかってねえのかよ!」
「你从那种地方就不懂了吗!」
とぼけやがって、この女。
这女人在装傻。
人の気も知らずに。
不懂得善解人意。
「阿良々木くん。初めてのデートだから緊張するのはもっともだけれど、でも、そんなことじゃ、持たないわよ。夜は長いのだから」
「阿良良木。我们是第一次约会,你会紧张也是很正常的,不过你要是这样可撑不久喔。因为长夜漫漫啊。」
「ああ……」
「是啊……」
僕は今初めてのデートだから緊張しているわけじゃない……!
我会紧张不是因为第一次约会的关系……!
夜のデートが意味深長だとか考えていた頃の自分が本気で懐かしい。あの頃の僕は幸せだった。夜が長いという事実が、正直、ただただ恐ろしい。どうして夜は長いんだ。今はただ、この時間が一刻も早く終わってくれればと、僕は願っている……。
当时我居然会觉得晚上约会的意义深远,真怀念那时候的我啊。那时候的我真是幸福。而现在长夜漫漫的事实,老实说只会让我感到害怕。为什么夜晚这么漫长。我现在只希望这段时间,能够尽早结束……
「ねえ阿良々木くん」
「我说,阿良良木。」
戦場ヶ原が平坦な口調で言う。
战场原用平静的语气说。
しかし、こいつには緊張はないのだろうか。
这家伙都不会紧张吗。
「私のこと、好き?」
「你喜欢我吗?」
「…………!」
ものすごい嫌がらせを受けてる!
她现在摆明故意要恶整我!
毒舌以外にも、こんなことができるのかこいつ!
这家伙除了毒舌以外,还会玩这种把戏吗!
「答えてよ。私のこと、好き?」
「回答我啊。你喜欢我吗?」
「…………」
「何よ。答えてくれないの? 阿良々木くん、まさか私のこと、好きじゃないのかしら」
「干么。你不回答我吗?阿良良木,难道你不喜欢我吗?」
嫌がらせだ……。
这是恶整……
この上ない嫌がらせだ……。
登峰造极的恶整……
「す、好きです……」
「喜、喜欢……」
「そう」
「是吗。」
にこりともしない戦場ヶ原。
战场原迤个笑容也没有。
無表情この上ない表情だった。
登峰造极的面无表情。
「私も好きよ。阿良々木くんのこと」
「我也喜欢你喔,阿良良木。」
「どうも……ありがとう」
「非常……感谢。」
「いえいえ」
「哪里哪里。」
……ていうか。
……话说。
お前は平気なのか。
你不在乎吗?
実の父親の前で、そんな会話をすることが本当に平気の平左3なのか……いや、違った、こいつは僕に嫌がらせをするためなら、自分が傷を負うことをためらわない性格なのだった。
在自己的亲生父亲面前,你真的可以满不在乎地聊这种话题吗……不对,这家伙就是这种个性,为了恶整我可以不惜伤害自己。
ならばそれよりも、と、僕は恐る恐る、運転席の方を、横目でうかがう(恐る恐る過ぎて、とてもじゃないが正面向きには見れない)。戦場ヶ原父は、しかし、全くと言っていいほどの無反応だった。一心不乱に、運転に集中している。クールな人だ……。どうやらこの方向、ジープは高速道路に向かっているらしい。高速道路……かなりの遠出という感じなのか。まあ、そうでなければ、さすがにさすがの戦場ヶ原も、デートに父親を連れ出そうとは思わないだろうが……。
既然这样——我诚惶诚恐地,斜眼瞄了驾驶座的方向一眼(由于太过诚惶诚恐,让我无法正眼直视)。但是,战场原父亲可说是毫无反应。只是一心专注,集中精神地在开车。好酷……从这个方向看起来,吉普似乎正往高速公路驶去。高速公路……看来我们好像要去很远的地方啊。如果要不是这样,我想战场原也绝对不会想带她的父亲一起来约会吧……
十分後には、予想通り、ジープは高速道路に入った。もう逃げられない。いや、そうでなくとも、最初から、さすがに逃げるつもりはないけれど。
十分钟后,正如我所料,吉普开上了高速公路。已经逃不掉了。虽然,我打从一开始就没有打算要逃跑。
「阿良々木くん、本当に静かね。とても口数が少ないわ。いつもはもっとお喋りしてくれるのに、今日は機嫌が悪いのかしら?」
「阿良良木,你真的很安静呢。话真少。平常你都会一直陪我聊天,今天你心情不好吗?」
「機嫌がどうとかじゃなくてな……」
「不是心情怎么样的问题啊……」
「ああ。頭が悪いのね」
「对,是头脑不好的关系。」
「混乱に乗じて言いたいだけのことを言ったな!」
「你不要趁机口无遮拦地大说特说!」
「阿良々木くんは突っ込みだけはいつだって腕白なのね。いいわ。じゃあ親切にも、私から話を振ってあげます。阿良々木くんはそれに応えてくれればいいわ」戦場ヶ原は言った。「私のどういうところが好き?」
「阿良良木你只有在吐槽的时候,总是特别精神呢。好吧。那我就亲切一点,由我来找话题。你只要回答我就行了。」战场原说。「你喜欢我哪一点?」
「好きじゃないところははっきりしてるよ!」
「我很清楚知道自己讨厌你哪一点!」
何がしたいのだろう、こいつは。
这家伙到底想干什么。
というか、そもそも今回のこのデート自体が、僕を陥れるために仕組まれた壮大な嫌がらせなのではないかという気すらしてきた。
应该说,我甚至开始在想,这次约会是不是为了陷害我而设计的超级恶整计划吧。
逃げたくなってきたぞ。
我想要逃离这里了。
「くそう……本気で楽しみにしてたのに……夢が叶ったくらいの気持ちでいたのに……!」
「该死……我真的很期待地说……我还以为梦想终于实现了说……!」
「夢だなんて、大袈裟な」
「什么梦想,你真夸张。」
戦場ヶ原は無表情で言う。
战场原面无表情地说。
「知っている? 阿良々木くん。人に儚いと書いて……あれ、なんだったかしら」
「你知道吗?阿良良木。人字旁加一个儚……咦,是什么来着。」
「多分僕だな……」
「大概就是我吧……」
人に儚いと書いて『あららぎ』と読む。
人字旁加一个儚,读作「阿良良木」。
儚。
儚(阿良良木)
新しい漢字の誕生だった。
一个新的汉字诞生了。
「困っているのね、阿良々木くん……ああ、そんな阿良々木くんに、頑張ってと応援することしかできない自分がもどかしいわ」
「你好像很伤脑筋呢,阿良良木……唉!看到你这么伤脑筋,我只能在一旁帮你加油打气,真是急死人了。」
「いや、ごめんなさいと謝罪することもできると思うけれど……」
「不,你还可以跟我道歉说一声对不起……」
しかし。
不过。
謝ってもらってもどうにもならない。
就算她道歉也没用。
謝って済むなら警察はいらないのだ。
如果道歉就可以解决,那还需要警察干么。
「困ってるっていうよりは、僕は今、とてもとても疲れてる感じだよ」
「说我伤脑筋,倒不如说我现在觉得很疲惫比较贴切。」
「確かに、いろはにへとへとみたいね」
「看起来的确像一颗缺乏弹性的皮球。」
「いろはにへとへと? 面白いな、それ……」
「缺乏弹性的皮球?这比喻真是有趣……」
しかし、笑ってやる気になれない。
但是我没心情笑。
心に余裕がないのだった。
因为我心中没有这么从容不迫。
ともかく。
总之。
「おい戦場ヶ原……お前、本当にどういうつもりなんだよ」
「喂,战场原……你到底在打什么主意啊?」
「戦場ヶ原? それは私のことを指しているのかしら。それとも、お父さんのことを指しているのかしら」
「战场原?你是在叫我呢,还是在叫我爸?」
「………………」
この女……この女だけは……。
这个女人……唯独这种女人……
いや、落ち着け、僕……今思っていることをそのまま口にしたら別れ話になってしまうぞ……。
不对,冷静点,我……要是把现在脑中想的东西直接说出口的话,我们两人的爱情就会破局了。
「お父さん。阿良々木くんが呼んでいるわよ」
「爸爸,阿良良木在叫你喔。」
「ひたぎさん! 僕が呼んだのはひたぎさんです!」
「黑仪同学!我叫的人是黑仪同学!」
さすがに呼び捨てにはできなかった。
要我直呼她的名字实在做不到。
ひたぎさん。
黑仪同学。
つい先日、神原と行なった『下の名前で呼び合う』イベントを、実際の恋人とはこんな風に迎えることになるなんて、一体誰が予想しただろう……。
就在前几天,我才和神原发生过「用名字称呼彼此」的事件,没想到现在居然和正牌的女友以这种方式触发,这点有谁能预料到呢……
「何かしら。阿良々木くん」
「什么事?阿良良木。」
「…………」
お前は呼ばないのな。
你不叫我的名字啊。
別にいいけどさ。
也没差啦。
「で、ひたぎさん。改めて訊くけど……聞かせてもらうけれど。お前、どういうつもりなんだよ。何を企んでいるんだ」
「那么,黑仪同学。我重新再问一次……再请教你一下。你到底打算做什么,有什么企图?」
「何も企んでなんていないわよ。そんなことより阿良々木くん。黒岩涙香という高名な推理作家がいるんだけれど、この人の名前、分解すると『黒い』『悪い』『子』になるのよ。これってわざとやってるんだと思う?」
「没有什么企图啊。这种事情不重要,阿良良木。以前有一个很有名的推理小说家叫黑岩泪香,他的名字拆开来看就变成『邪恶』『恶劣的』『小孩』。你觉得他是故意取这种笔名的吗?」
「どうでもいいよそんな話題! 黒い子も悪い子もお前のことだ!」
「那种事情怎样都无所谓吧!邪恶和恶劣的小孩都是在说你!」
「親の前で酷いことを言うわね」
「你在我爸爸面前,怎么说这么过分的话。」
「うっ……!」
「呜……!」
トラップだった!
是陷阱!
引っかかっちゃった!
我中计了!
「お父さん。あなたの娘は黒い子で悪い子らしいわ」
「爸爸,你的女儿好像是一个邪恶又恶劣的小孩喔。」
報告してるし……。
她还跑去报告……
戦場ヶ原父は、それに対して相変わらずの無反応。
战场原父亲对此依旧毫无反应。
黒い子で悪い子のこういった所業には、戦場ヶ原父は案外、慣れっこなのかもしれなかった。そうだよなあ、考えてみれば、自分の子供なんだもんな……。
邪恶又恶劣的小孩所做的这种行为,战场原父亲搞不好早就习惯了吧。是啊,仔细想想,毕竟是自己的小孩……
じゃあ、僕があまり取り乱しても仕方ないか。
那我也不用太过惊慌失措。
いいように踊らされてばかりでも曲がない。
一直被她牵着鼻子走就不好玩了。
「あら。また静かになっちゃったわね。少しいじめ過ぎたかしら」
「唉呀,你又变安静了呢。我是不是欺负得有点过头了呢。」
戦場ヶ原は僕の方を向いて言う。
战场原对着我说。
「阿良々木くんって反応がいいから、ついつい凹ましたくなっちゃうのよ」
「阿良良木的反应很好玩,所以我才会忍不住想要让你消沉一下。」
「その台詞に何より凹むよ……」
「这句话更让我消沉……」
全く。
真的是。
よし、反撃を試みよう。
好,换我来反击吧。
たまには戦場ヶ原の凹んだところを見てみたい。
偶尔我也想看看战场原消沉的模样。
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「那你喜欢我什么地方?」
「優しいところ。可愛いところ。私が困っているときにはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ」
「你的温柔。你的可爱。还有每当我遇到困难的时候,你就会像王子一样跑来救我的地方。」
「僕が悪かった!」
「我错了!」
何故反撃しようなどと思ってしまったのだろう。
为什么我会想要反击呢。
この分野に関しては一日の長どころか千年の長があるこの性悪女に対し、こともあろうか嫌がらせで対抗しようだなんて……。
在这个领域方面,这个恶劣女的道行不止胜我一日,而是胜我千年。我居然想要用恶整和她对抗……
平坦そのものの戦場ヶ原。
战场原平静依旧。
この女に感情はないのだろうか。
这女人没有情绪起伏吗?
こっちは、ただの嫌がらせ返しだとわかっていても、そんなことを言われて、心臓がばくばくになっていると言うのに……。
我知道那只是她的反击而已,可是听到她说那种话,心脏还是会怦怦跳的说……
「わからない……どうしてなんだ……どこでどう選択肢を間違えてしまって、僕はこんな茨の道を歩んでるんだ……」
「我搞不懂……这是为什么……我是在哪里做了错误的选择,才会走上这种布满荆棘的道路啊……」
「いいじゃないの、茨の道。綺麗な薔薇の花が一杯咲いている道を優雅に歩いているイメージで、とてもゴージャスでビューティフルよ」
「有什么不好,布满荆棘的道路。感觉好像在美丽蔷薇盛开的道路上,优雅漫步一样,非常灿烂又完美。」
「いい解釈をしてんじゃねえ!」
「你不要往好的方向去解释!」
「薔薇の花言葉は──愚かな男」
「蔷薇的花语是……愚蠢的男人。」
「噓をつけ! 適当なことほざいてんじゃねえ!」
「你骗鬼啊!不要随便鬼扯啦!」
「そういえば」
「对了。」
と、戦場ヶ原は言った。
战场原说。
自分の都合でぽんぽん話題を変える奴だ。
这家伙总是照自己的方便,不停改变话题。
「そういえば、ゴミ……いえ、阿良々木くん」
「对了,垃圾……不对,阿良良木。」
「今お前、自分の彼氏をゴミと言いかけたか?」
「你刚才是不是差点叫自己的男朋友垃圾?」
「何を言っているの、いわれのない言いがかりはやめて頂戴。そんなことより阿良々木くん、この前の実力テスト、どうだったの?」
「你在说什么啊,麻烦你不要没头没脑地随便找别人的麻烦。那不重要,阿良良木。你的实力测验考得怎么样?」
「あん?」
「嘎?」
「ほら、私が、私の家で、二人きりで、昼となく夜となく、散々面倒見てあげたじゃない」
「就是啊,我不是在我家里,单独两个人,没日没夜地拼命教你功课吗?」
「………………」
何故わざわざそんな言い方をする……。
为什么故意用这种说法……
父親のいるところで、父親不在のときに家で二人きりになった話題など……。
为何要在令尊面前,谈论他不在的时候,我们两人在你家独处的事情……
「テストは先週末には全て返ってきたというのに、阿良々木くんはその話題には触れたがらないから、これは酷い散々な結果だったのかしらと思って今日まで興味のない振りをしてきてあげたのだけれど、でも、今日、羽川さんに少し聞いたところ、そんな悪くはなかったらしいじゃない?」
「考卷上周末就全部发回来了,可是阿良良木却完全不提那个话题,所以我在猜结果应该很凄惨,一直到今天都装作不感兴趣没去问你,不过,我今天稍微问了羽川同学一下,你的成绩好像也不是很糟嘛?」
「羽川?」
「羽川?」
「あの子、さすがに口が堅いから、具体的には聞き出せなかったけれど、赤点だったとするなら教えてくれたはずだもの」
「她的嘴巴真的很牢,所以我也问不出具体的答案来,不过如果你有不及格的话,她应该会告诉我才对。」
「………………」
そりゃあ嫌な訊き方をしたみたいだな。
看来你问话的方式很讨人厌。
校門のところで、羽川が、戦場ヶ原についてなんだか不自然な話の振り方をしてきたと思ったが、なるほど、あのやり取りにはそういう伏線があったわけか。
今天在校门口,羽川提到战场原的时候很不自然,原来我们那时候的对话,藏有伏笔啊。
実力テストの結果については、昨日、あの本屋で、羽川には話したからな……しかし、戦場ヶ原の物言いはともかくとして、あれだけ世話になっておいて一言の報告もなしというのは、確かに礼を欠くかもしれなかった。それこそ羽川に相談した、大学受験のことがあるから、なんとなく言えてなかったんだよな……。
实力测验的结果,昨天我在那间书店已经和羽川说过了……不过,姑且不论战场原的说话方式,我受到她那么多的照顾,居然没跟她报告一声,或许真的有欠礼数。因为成绩关系到考大学的事情(就是我和羽川提到的那个),所以我才会觉得说不出口啊……
「何を言い惜しんでいるの。早く具体的な点数を教えなさい。勿体ぶっているようだと、身体中の関節を全部反対向きに折り曲げて、なんだか逆に格好いいみたいな体型にしてあげるわよ」
「有什么不舍得说的。快点把具体的分数告诉我。要是你再装模作样的话,我会把你全身上下的关节全部往反方向折,让你的体型变得比较帅一点。」
「その体型に格好いい要素はひとつもねえ!」
「那种体型一点都不帅!」
「格好悪い?」
「很丑吗?」
「格好悪いなんてレベルの話じゃない!」
「不是很丑就可以解决的问题!」
「(笑)?」
「很搞笑?」
「笑えねえー!」
「我笑不出来!」
「さあ、ブリッジでしか歩けない身体にされたくなかったら、早く教えなさい」
「好了,如果你不想变成只能用反弓的方式走路的话,就快点告诉我。」
「いや、関節を全部反対向きに折り曲げられたら、それどころじゃすまないから!」
「不对,要是关节全部被往反方向折的话,不是那种程度就能了事的!」
死にます。
我会死。
作業が終わるまでに五回くらい死にます。
在你全部折完之前,我会先死个五次左右。
「まあ、そうだな、もっと早く言っておくべきだったな。悪い悪い。うん、思ってた以上の点が取れたよ。元々得意教科であったはずの数学ですら、いつもより伸びてたくらいだった。お前のお陰だ、ありがとう、戦場ヶ原」
「也对啦,我应该早一点告诉你一声的。抱歉、抱歉。嗯,成绩考得比我想象的还要好。就连我原本很擅长的数学,成绩也比平常还要好。这都是托你的福,谢谢你,战场原。」
「お父さん、阿良々木くんがお父さんにお礼を言っているみたいなのだけれど、聞いてあげてくれないかしら」
「爸爸,阿良良木好像在跟你说谢谢呢,你能不能听一下。」
「ありがとうひたぎさん!」
「谢谢你,黑仪同学!」
もう何がなんだか。
什么跟什么啊。
ともあれ、僕は戦場ヶ原に、五教科六科目の、それぞれの点数を、詳細に告げた。戦場ヶ原は「ふむふむ」と頷きながら、どの問題を間違えたのか、どこがわからなかったのかなどを、僕から聞き出した。……この女は、受けた試験の問題を全部憶えているのかと、ちょっと驚かされた。
总之,我把五课程六科目的成绩,详细告诉了战场原。她点头附和的同时,还一边问我是哪题写错、有哪里不会……这女人记得所有考试的题目吗,我稍微有些惊讶。
まあ、僕の勉強の面倒を見ながら学年七位の総合得点を取るような秀才だからな……実際のところ、その程度では驚くには値しないのかもしれない。
唉呀!毕竟她是一边教我读书,总分还能拿到学年第七名的秀才——老实说,这种程度的小事,或许不值得我惊讶吧。
なんだか、ようやく、学生らしい会話だった。
总觉得,我们的对话终于比较像学生了。
これなら父親の前でも、安心してできる。
这样一来就算在她父亲面前,我也能够松一口气。
真面目さをアピールするならこの場面だった。
要强调自己认真的一面,就是现在了。
「本当は答え合わせは、試験が終わった直後にやるのがいいのだけれどね」と、戦場ヶ原。「まあ、今の阿良々木くんにそこまで求めるのは酷よね……でも、それなりの点数が取れているじゃない。自分で教鞭をとっておいてなんだけれど、ちょっと意外だわ」
「真的要对答案的话,考完试之后马上对最好。」战场原说。「不过对现在的阿良良木做出那种程度的要求,可能太残酷了吧……可是,你考得都还不错嘛。虽然是我亲手教出来的啦,还是让我有一点意外。」
「意外か」
「意外吗?」
「ええ。阿良々木くんにしては面白くもなんともないオチね」
「对。这个结果对阿良良木来说,一点都不有趣。」
「僕は笑いを取りたくてお前に勉強を教えてもらったわけじゃねえんだよ!」
「我不是为了想博君一笑,才请你教我功课的!」
「てっきり、『あんなに勉強したけれど、いつもよりむしろ点数は悪かったです』的な展開になると期待していたのに、ある意味がっかりだわ」
「我原本还期待最后会变成『读一大堆书,结果却考得比平常还要烂』之类的结局的说,在某个层面上还满失望的。」
「そんな展開を求める方がよっぽど酷だ!」
「你要求那种结局反而更残酷!」
「あらそう」
「喔,是吗。」
とか言って。
战场原说完,
戦場ヶ原は、ぽん、と僕の脚の上に手を置いた。
把手轻放到我的腿上。
太ももの辺り。
大腿附近。
…………?
何やってんだ、こいつ。
这家伙在做什么?
そう言えば、ジープと言ってもこのクルマはそんな大きな車体ではないから、こうして後部座席に並んでいると、戦場ヶ原と僕は、結構、かなり近い距離になってるんだよな……。言うなら、カーブでクルマが傾けば、それで身体が触れ合ってしまうくらいには。
话说回来,这辆车虽然是吉普,但车体也不是很大,我和战场原像这样并肩坐在后座,距离就已经靠得很近了……要说有多近,只要车子一个转弯倾斜,我俩的身体就会靠在一起。
だからと言って、自ら身を乗り出して積極的に太ももに触れてこられても、こちらとしては挨拶に困るのだが……。
然而,她这样积极主动地探身摸我的大腿,我也不知该做何反应……
「でも、本当に大したものだわ。褒めてあげる」
「不过,你真的很厉害。我要夸奖你一下。」
当の戦場ヶ原は、まるで構わず、右手のその動きは全く自分の管轄外であるかのように、それまで通りに会話を繫げる。こいつはどうして、こうも表情が変わらないんだ。よくできたお面でも被ってるんじゃないのかと思わせる。
战场原本人却不以为意,彷佛右手的动作不在自己的管辖内般,照常接着话说。为何这家伙现在也能够面不改色。这让我觉得她的脸上是不是戴着一个精致的面具。
「私が人を褒めるなんて滅多にないことよ。前に人を褒めたのはどれくらい前になるかしら。そうね、小学六年生のとき、隣の席の子がオセロで三連勝していたときかしらね」
「我可是很少夸奖别人的喔。上次夸奖别人是多久以前的事情呢。对了,是小学六年级,坐在我旁边的人玩黑白棋三连胜的时候。」
「本当にかなり前だし、しかもそれにしてはそんな大したことじゃないところで褒めてるな!」
「那还真的满久的,而且还是因为那种鸡毛蒜皮的小事!」
「噓よ」
「我骗你的。」
「まあ、噓だろう……」
「我想也是啦……」
「でも、私が人を滅多に褒めないのは、本当」
「不过,我很少夸奖别人是事实。」
「うん……それはわかる」
「嗯……这我知道。」
「とはいえ、今回にしたって、遠回しに自分のことを褒めているのだけれどね。阿良々木くんみたいなお馬鹿さんをそこまで教導できた自分自身を、とっても誇らしく思うもの」
「话说回来,这次我也是拐着弯在夸奖自己啦。我真为自己感到骄傲啊,居然可以把阿良良木这种呆瓜教导到这种地步。」
「…………」
まあ。
唉。
一応、それも、事実は事実。
毕竟这也是事实。
「印象と書こうとして印度象と書いてしまうほどお馬鹿な阿良々木くんを、我ながらよくぞここまで育て上げたものだわ」
「我居然可以把阿良良木这种,想要写『印象』两字都会误写成『印度象』的笨蛋,栽培到这种地步。」
「そんな間違いはしたことねえ!」
「我没犯过那种错误好吗!」
「失点も、どうやらケアレスミスが多いようだし……ふうむ。その調子なら、阿良々木くん、もっと上を目指せるかもしれないわよ」
「失分的地方也都是粗心大意的成分居多……嗯。照这样下去,阿良良木你搞不好可以再更上一层楼喔。」
「上を──ね」
「更上一层楼啊。」
大学受験。
大学考试。
進路、か。
升学吗?
「阿良々木くんさえよければだけれど、これからも、私がお勉強、教えてあげてもいいのよ」
「只要阿良良木你愿意,以后我也可以继续教你功课喔。」
「それは──」
「这真是——」
実際。
老实说。
戦場ヶ原が推薦を受けようとしている国立大学を、こっそりと視野に入れていることを、今はまだ、とてもじゃないけれど、彼女に言えるような段階ではないが──だからと言って、ここでその申し出を断る理由はない。
我有偷偷想过,要去报考战场原打算推荐的国立大学,虽然现在这个阶段还没办法告诉她——不过,我也没理由拒绝她的提议。
「──願ってもない話だな」
「求之不得的事情。」
「あらそう」
「喔,是吗。」
おすまし顔で、それだけいう戦場ヶ原。
战场原的表情一本正经,只简短地响应道。
口の堅い羽川には、重ねに重ねて口止めをしておいたこともある、僕の思惑があいつから戦場ヶ原に伝わっていることはないだろうが、案外、僕の思惑なんて、この女にはお見通しなのかもしれない。
我曾经再三要求守口如瓶的羽川,对大学的事情要保密,所以她应该不会把我的企图告诉战场原才对,不过,搞不好我眼前的这个女人,已经全都看透了也说不定。
そう思った。
我如此心想。
まあ、それはそれで、いいだろう。そうだとしても、僕が僕の口からそれを出すまで、戦場ヶ原は、待っていてくれるつもりのようだし──
唉呀,这样也好。如果真是这样,战场原似乎打算等我亲口告诉她——
以心伝心って感じで、悪くない。
这种心灵相通的感觉也不坏。
「…………」
それよりこいつ、右手で僕の太ももを、触るだけじゃ飽き足らず、内ももにかけてまで撫で繰り回し始めたんだが、これはどういう意味を持っているのだろう?
话说回来,这家伙的右手触摸我的大腿似乎还不够,还开始在我大腿内侧反复游移,这到底是什么意思?
痴漢行為じゃねえのか、これ。
这应该算是痴汉行为吧。
父親のいる前でするようなことなのか?
在令尊面前可以做这种事情吗?
……まあ、正確には父親の後ろだけどさ。
……正确来说,应该是在令尊身后啦。
「じゃあこれからは毎日、私の家でお勉強ね」
「那么,你以后每天都来我家读书吧。」
「ま、毎日っ!?」
「每、每天!」
そんなの、以心伝心してねえぞ!
这样我们根本没有心灵相通!
え、いや……?
咦,不对……?
でも、それくらいはしなくちゃ駄目なのか? でも毎日って……毎日? 僕は一応、学校でも勉強してるんだぜ? 更に放課後も、日曜日もってことなのか?
可是,要做到那种地步才行吗?可是每天……每天?我在学校多少也会看书喔?然后在放学后,连礼拜天都要读书吗?
「何よ。どうしたの? 阿良々木くん」
「干么。你怎么了?阿良良木。」
「い、いや……頭のいい奴は、やっぱそれくらい勉強してるもんなんだなあって」
「没、没事……我只是在想原来头脑好的人,读书都会读到那种地步啊。」
「いえ? 私はそこまではしてないわよ、面倒臭い。そんなの、阿良々木くん向けのプログラムに決まってるじゃないの」
「不对喔?我才没做到那种地步呢,麻烦死了。那当然是专程为阿良良木所准备的计划啊。」
「………………」
天才肌……。
天才其实……
学年七位の人間が、今、勉強をするのが面倒臭いって言った……。
学年第七名的人,刚才说读书很麻烦……
「頭のいい人間は勉強する前から頭がいいのよ。成績って言うのは、要するに理解力と記憶力のことなのだから」
「聪明的人不用读书就已经很聪明了。因为成绩这种东西,简单来说就是理解力和记忆力。」
「はあ……あ、でも、それでいうなら羽川は、勉強しなかったら頭が痛くなるとかなんとか、そんなことを言ってたけれどな」
「是喔……啊,可是,你这么说很奇怪,羽川好像有说过她不读书就会头痛之类的。」
「羽川さんがしている『勉強』は、阿良々木くん、私達がいうところの『勉強』とは、残念ながらランクが違うのよ」
「很遗憾阿良良木,羽川同学的『读书』,和我们说的『读书』等级是不一样的。」
戦場ヶ原は言った。
战场原说完后,
あえて少し間を空けて。
刻意停顿了一下。
「羽川さんは、本物よ。私達とは世界が違う」
「羽川同学是真正的天才。和我们所处的世界不一样。」
「……ふうん」
「……嗯。」
お前から見ても──そうなのか。
在你眼中也是这样吗?
隔絶があるのか。
学年第七和第一之间——
学年七位と、学年一位。
有着隔阂的吗?
同じ一桁なのに、そこにはそれほどの差異が。
明明同样是一位数,却有如此不同的差异。
「本物──な」
「真正的天才……吗。」
「化物──と、言ってもいいかもしれないわ。だって、はっきり言って気持ち悪くない? あそこまで頭が切れる人間って。機知に長けているなんてものじゃないわ──」
「或许……你要说她是怪物也行。不过老实说,你不觉得很不舒服吗?居然会有人聪明到那种地步。那种程度已经不算是机智过人了——」
戦場ヶ原の、いつもの毒。
战场原跟平常一样毒舌——
という感じではなかった。
不,感觉似乎不是那样。
羽川に対しては──この女、常にどこか、そうだ。
她对羽川……总是这样。
嫌っているわけではなさそうなのだが──
她看起来不是讨厌羽川——
変な距離を置いている。
但总是和她保持着一种奇怪的距离。
「私達──って言ったな」
「你刚才说……我们是吧。」
「ええ。私達、よ。阿良々木くんから見れば、私と羽川さんが同様に見えるみたいに──羽川さんから見れば、私も阿良々木くんも同じレベルだと思うわ」
「对。我们。就跟在阿良良木你眼中,我和羽川同学是同一种人一样:我想在羽川同学眼中,我和你都是同一种程度的人。」
「そうなのか」
「是吗。」
「そう。この上なく屈辱的なことにね」
「对。没有比这还要更侮辱人的事情了。」
「屈辱的なんだ……」
「侮辱人吗……」
しかも、この上なく。
而且,还是用最高级的表现方式。
本当に僕を凹ますのが好きなんだな。
你真的很喜欢让我消沉啊。
「けど、羽川だって常に満点ばかり取れるわけじゃないだろ? いや、まあ、大抵は満点ばかりみたいだけど……」
「可是,羽川也不是一直都考满分吧?不对,虽然大致上都是满分啦……」
「羽川さんが満点を取れない場合、それは試験問題の方が出来損ないなのよ。……ただ、どうなのかしらね。それって、どれくらいのプレッシャーになるのかと思うと……あまり素直に羨ましいとは言えないわね」
「羽川同学会考不到满分,是因为试题出得太差劲的关系……只不过,该怎么说呢。她那样不知道会有多少的压力……我一想到这点就很难真心去羡慕她。」
「プレッシャーか……」
「压力吗……」
「あるいは、ストレス」
「或者是精神压力。」
「ストレスね」
「精神压力啊。」
羽川翼。
羽川翼。
異形の羽を、持つ少女──
拥有一对异形翅膀的少女——
「かと言って、そんな理由で私達が羽川さんに同情するのも、筋違いだけれど」
「不过,我们因为那种理由去同情羽川同学,也没有道理。」
と、戦場ヶ原は「それはそれとして」なんて、話の筋を元に戻した。
接着,「先不说那个。」战场原又言归正传。
「そんな本物に及びもつかない、底辺を這い蹲る阿良々木くんは、こつこつと努力に努力を重ねるしかないのよ。だから、これからは毎日、私の家でお勉強ね」
「完全比不上那种真正的天才,只能在底边匍匐的阿良良木,只能够孜孜不倦地拼命努力了。所以,你以后每天都来我家读书吧。」
「はいはい……そうさせてもらうよ」
「好好……我会这么做的。」
「はいは三回よ、阿良々木くん」
「『好』要说三次,阿良良木。」
「はいはいはい! ……って、なんでそこまでノリノリのテンションを要求されるんだよ!」
「好好好!……等一下,为什么你要我回答得这么兴高采烈啊!」
「それくらいのやる気は見せて欲しいわ。なんといっても勉強場所として私の家を提供するのだから」
「我希望你至少拿出这点程度的干劲来给我看。毕竟,我把我家提供给你当读书的地方。」
「そうなのか……」
「是吗……」
「なんなら、阿良々木くんの家でもいいけれど」
「不然,去你家也行。」
「僕の家って、あんまり勉強しやすい環境じゃないんだよな……妹がうるさいから」
「我家不是一个读书的好环境……因为我两个妹妹很吵。」
「たまになら、神原の家でもいいわね」
「偶尔我们也可以去神原家。」
「何故ここで神原が出てくる?」
「为什么这里会提到神原?」
「阿良々木くんの勉強を見てあげるのと同じように、あの子とも少しは遊んでやらなくちゃいけないのよ。そういう約束をしたから」
「就像我要监督你读书一样,我也要和那孩子稍微玩一下才行。因为我们约好了。」
戦場ヶ原は、強いて平坦な口調でいった。
战场原刻意用平静的口吻说。
強いて平坦にしたと、わかる口調だった。
我听得出来她是刻意的。
……こいつ、僕に対してはあくまで性格の悪い人間だけれど、神原に対してだけは本当にツンデレだと言えるかもしれないな……。
……这家伙,在我面前是个彻头彻尾的恶劣女;唯独对神原,才真的称得上是傲娇吧……
まあ、人質なんだけど。
唉呀,因为她是人质。
神原駿河。
神原骏河。
「あの子は勉強面の心配はいらないみたいだけれど……阿良々木くんだって、神原とは遊びたいって思うでしょう?」
「那孩子的功课方面,我似乎不必去担心……不过,阿良良木也想要和神原一起玩吧?」
「そりゃな。面白い奴だし」
「当然。因为她很有趣。」
ちょっと面白過ぎるけれど。
稍微有趣过头了就是。
それに。
而且,
「度が過ぎるくらいに僕のことを慕っているのが、どうしてなのかよくわからないけどな……あいつ、ちょっと僕のことをいい風に捉えすぎている感じがあるぜ」
「我不知道她为什么会那么仰慕我,而且还仰慕得很夸张……我觉得那家伙有点把我太过美化了。」
「それについては私の責任もあるかもしれないわね」戦場ヶ原は言う。「阿良々木くんが溺れている子供を助けたことや、日曜日にはいつも老人ホームへボランティアに行っていることを、教えたから」
「这一点或许我也有责任吧。」战场原说。「因为我告诉她说,阿良良木以前有救过一个溺水的小孩,而且礼拜天还常常去老人之家当义工。」
「噓ばっか教えてんじゃねえか!」
「你告诉她的那些都是假的吧!」
「冗談よ。ありのまましか伝えてないわ」
「我开玩笑的。我只有告诉她实情而已。」
「ふうん……そうなのか」
「喔……是吗。」
「私がいうありのままとはつまり悪口ということだから、神原が阿良々木くんを慕うのはあくまで神原の判断ということになるわね」
「我所谓的实情,简单来说就是指坏话,所以神原会仰慕阿良良木你,全都是因为自己个人的判断吧。」
「………………」
悪口を吹き込んでるんだ……。
原来你对神原说我的坏话。
やめてくれないかなあ。
可以请你不要那样吗。
「気心の知れた後輩が相手とはいえ、自分の彼氏のことを褒めるのなんて気恥ずかしいから、私なりの照れ隠しよ」
「神原这个学妹和我很要好,可是我还是不好意思在她面前夸奖自己的男朋友,所以这是我掩饰害羞的一种方式。」
「照れ隠しなら、普通に恥ずかしいって言って欲しいところだけどな……あ、そうだ、戦場ヶ原」
「要掩饰害羞的话,我倒是希望你直接说自己会不好意思就好……啊,对了,战场原。」
僕は声を潜めて、運転席の戦場ヶ原父に聞こえないよう配慮をしながら、戦場ヶ原に話題を振る。
我压低声音,小心不让驾驶座上的战场原父亲听见,一边对战场原说:
「じゃあもう一つ、神原のことなんだけど……」
「那我再问你一个有关神原的事情……」
「お父さん。阿良々木くんがお父さんに内緒話があるらしい──」
「爸爸。阿良良木好像要找你说悄悄话的样子——」
「ひたぎさん!」
「黑仪同学!」
目敏いな、こいつはもう!
这家伙眼睛真尖!
僕の苛めどころを決して見逃さないもんなあ!
绝对不会让欺负我的机会溜掉!
「神原がどうかしたの?」
「神原怎么了?」
「あいつはどうしてあんなにエロいんだ」
「那家伙为什么那么色啊?」
口元を手で隠しながらの会話。
我用手遮住嘴巴说。
野球のバッテリー4みたいだが、戦場ヶ原父からバックミラーの後方確認で唇を読まれることまで考えると、こうせざるを得ない。
就像棒球的投手和捕手在对话时一样,因为我顾虑战场原的父亲用后照镜看后面的情况时可能会读我的唇,因此不得不这么做。
「エロい? 神原が?」
「色?神原吗?」
「ああ。中学生の頃からああだったのか?」
「对。她国中的时候就是那样吗?」
「うーん。中学生がどうとか言うより……そもそも、神原って、エロいかしら」
「嗯——你问她国中的时候怎么样……说起来,神原她很色吗?」
「違うってのか? あの忍野ですら、神原のことはスポーツキャラじゃなくてエロキャラだと認識していたぞ」
「她不色吗?就连忍野都认为神原很色,而不觉得她是运动少女。」
「そうかしら。それは忍野さんや阿良々木くんと言った、女性に対して貞淑さを求める男性側の視点から見るからそう映るんじゃない? 男の理論ね。あの子はただ、自分に正直なだけよ。度を越しているとまでは思わないけれど」
「是吗?那是因为忍野先生和阿良良木你是站在男性的观点上,想要要求女性贞洁贤慧,所以看起来才会是那样吧?男性的理论啊。那孩子只是对自己比较老实而已,我不觉得她有太超过。」
「そうなのか……」
「是这样吗……」
そういうものなのかなあ。
真是她说的这样吗。
よくわからん。
我也搞不太清楚。
「阿良々木くんも、機会があれば、中学生以上を対象とした少女漫画やBL小説を読んで御覧なさい。神原程度をエロいなどとは言っていられなくなるわよ」
「阿良良木你有机会的话,也看一下以国中生以上为对象的少女漫画和 BL 小说。以后你就不会说神原那种程度叫作色了。」
「そうか……いや、読むことはないと思うけど」
「是吗……不了,我应该不会去看吧。」
特にBL小説。
特别是 BL 小说。
読んだら色々と終わりそうな気がする。
总觉得我看了之后,有很多东西都会破灭。
「そうなの? でも、私としては、私の可愛い後輩がエロいなどという偏見に見舞われているのを、看過できないわね」
「是吗?可是,站在我的立场,有人抱有偏见的眼光说我可爱的学妹很色,我可无法坐视不管。」
「看過できなきゃどうするんだよ」
「无法坐视不管那你打算怎么办?」
偏見っつーかさ。
你说偏见。
僕が被害者くらいの気持ちでいたんだが……駄目だ、こいつに神原のことで相談しても、戦場ヶ原は無条件で無制限に神原の味方をするらしい。
我几乎可以说是一个被害人了……看来跟这家伙商量神原的事情是没用的,她会无条件、无限制地站在神原那边。
人質なのに……。
明明她是人质……
ていうか、こうなると僕が人質なんじゃないか?
话说回来,这样一来我才是人质吧?
「どうするかって? 阿良々木くんの中の判断基準、価値基準を揺るがせておくのよ。そうすれば神原のことなんて、むしろ純粋無垢な女の子に見えてくるわ」
「打算怎么办?我要先动摇你心中的判断和价值标准。这样一来,以后神原在你眼中,反而会变成一个纯洁无邪的女孩子。」
そう言って、戦場ヶ原は、そっと身体を僕の方へと寄せてきて、声を潜めるどころではない、露骨な内緒話をするように、僕の耳元へと、その唇を近付けてきた。
战场原如此说完,轻轻地将身体靠近我,她不是压低声音,而是很明显要讲悄悄话似地,将嘴唇靠近我的耳朵旁。
手で口元を隠すようにして。
一手遮住嘴巴。
「──××××」
「…………!」
ぐあっ……!
呜哇……!
こいつ、今、何て言った……!
这家伙,刚才说了什么……!
「××××を××××に××××するから××──××で××××──×××に××──」
「我要把 XXXX 放到 XXXX 里面 XXXX,再用 XX 来做 XXXX,把 XX 放到 XX——」
「う……うう!」
「呜……呜呜!」
戦場ヶ原ひたぎ……
战场原黑仪……
な、なんて恥ずかしくもいやらしいことを!
你说这什么可耻又猥琐的东西!
××に××だと!?
什么把 XX 放到 XX!
まさかそんな組み合わせが!?
居然会有这样的组合!
しかもあえて平坦で事務的な口調で!
而且,你还刻意用那种平静的事务性口吻!
信じられない……ただの単なる言葉だけで、人はこうも情欲を刺激されるものなのか!?
难以置信……不过是单纯的言语,居然能够如此刺激人类的情欲!
「や、やめ──」
「住、住口——」
う……駄目だ、大声は出せない!
呜……不行,我不能太大声!
すぐ前に戦場ヶ原父がいる!
战场原的父亲就在眼前!
不自然な動きを見せるわけにはいかない!
不能让他看到我有不自然的动作!
「×××──××で×××──」
「XXX……用 XX 来 XXX——」
「くっ……」
「呜……」
で、でも、耳元に、息を吹きかけられるようなくすぐったさもあいまって……おい、なんだこの状況! 恋人に太ももを撫で回されながら嫌らしい言葉を囁ささやきかけられている──恋人の父親の前で! もうこれ、拷問みたいっていうか、明らかにただの拷問だろ! 僕は一体何を白状したら、この拷問から解放されるんだ!
可、可是,加上她吹吐在我耳边的气息所带来搔痒感……喂,现在是什么状况!我女友的手在我大腿上游移,还一边对我呢喃猥琐的话语——而且还是在令尊面前!这像是拷问,应该说根本就是拷问了吧!我到底要招出什么,才能够从这拷问中解放出来!
僕は何も知らない!
我一无所知!
本当に何も知らないんだ!
真的一无所知!
そうか……そういうことだったんだな、謎が解けたぞ、神原のエロの師匠はお前だったんだな! 考えればわかりそうなことだよな、あれだけ戦場ヶ原から影響を強く受けている後輩なんだから……! 畜生、マジで僕の中の判断基準、価値基準が揺るがされ、崩されていく……ああ、神原はエロくない、神原は全然エロくない……。
原来……原来是这样吗,谜底全都解开了,原来神原的色情老师就是你吗!这种事情只要仔细思考就可以发现的说,因为她受到战场原的影响甚剧……!畜生,我心中的判断和价值标准真的被动摇了,而且逐渐崩毁……啊啊!神原不色,神原真的一点都不色……
「はむ」
「啊呣。」
耳を嚙まれたー!
我的耳朵被咬了!
唇で挟む感じ!
一种被双唇夹住的感觉!
NGNGNG、それはもう完全なエロ行為だ!
NGNGNG,这已经完全是一种色情行为了!
「といった感じで」
「就是这种感觉。」
平然とした仕草で、何事もなかったかのように、僕から離れる戦場ヶ原。
战场原的举止平静,若无其事地从我身边离开。
「どうかしら、阿良々木くん」
「怎么样啊,阿良良木。」
「もう好きにしてくれ……ひたぎさん」
「要杀要剐随你高兴了……黑仪同学。」
僕はもう駄目だ。
我已经不行了。
決して僕はこんなデートがしたかったわけじゃない……本当、僕の期待とか幻想とか、一個一個順番に打ち砕いてくれるよな、お前は……。
这种约会绝对不是我所期待的……你真了不起,我的期待和幻想之类的东西,都被你一个接着一个依序打碎了……
している内に、時間は経過。
在我们交谈当中,时间依旧不停流逝。
気付けば高速道路を降りていた。車窓から外を窺う限り、僕らが住んでいる町よりも更に田舎の、田園風景だった。
当我发觉时,车子已经下了高速公路。据我从车窗的观察,外头的景象是比我们居住的城镇还要更乡下的田园风景。
どこだここは。
这里是哪里?
どこに連れてこられてきた。
我被带到什么地方了?
馬鹿な会話をしている内に……。
当我们在说那些傻话的时候……
「もう少しね」
「再一下就到了。」
同じように窓の外を確認し、戦場ヶ原は言った。
战场原也确认窗外的景象说。
「あと三十分くらい──かしら。時間的にも、丁度いい……か。さすが私ね」
「大概再三十分钟左右吧。时间上来说,应该算刚刚好……吧。我真厉害。」
「…………」
何が丁度いいのか知らないけれど、時間的なことは、それは全面的に戦場ヶ原父の手柄だと思うのだが──お前は礼も言わないのか。
什么东西刚刚好我不知道,可是说到时间上怎样的话,那完全是令尊的功劳吧——你连声谢谢也不说吗?
ううん。
不。
仲、あんまりよくないのかなあ。
或许他们的感情不太好。
そういえば、戦場ヶ原と戦場ヶ原父、あんまり会話らしい会話をしていない。出発前に簡単なやり取りがあった程度だ。
这么说来,战场原和她父亲,一路上没有什么象样的对话。只有在出发前简单地交谈两句而已。
いや──でも、不仲ってことはないはずだ。だって、戦場ヶ原が忍野に怪異絡みで世話になった謝礼金、十万円を支払うにあたって、彼女は父親の仕事を手伝うことで、それだけの金銭を得たはずなのだから。
不对——可是,他们的感情应该不会太差吧。战场原因为怪异的事情受到忍野的关照后付了十万块的谢礼,那笔钱是她帮忙她父亲工作才赚到的。
まあ。
唉呀。
親子関係がややこしいのは、僕らの年頃では当たり前か──僕もそうだし、戦場ヶ原には、普通ではない家庭の事情もあったことだし。
以我们的年纪来说,亲子关系会很复杂也是很正常的吧——毕竟我自己也一样,而且战场原的家庭状况也不普通。
羽川だって。
羽川也是。
…………。
あー、思い出しちゃった。
啊——我想起来了。
羽川の頭痛だ……その後の、ブルマー&スクール水着騒動によってなんだか有耶無耶になってしまったが……、そんなことで有耶無耶になってしまったというのもどうかと思うが……、頭痛。
羽川的头痛……在那之后,因为灯笼裤和学校泳装的骚动,最后整个被含糊带过……因为那种事情而被含糊带过也很奇怪啦……可是头痛。
頭が痛い。
她的头痛。
忍野に相談した方がいいのかな。
还是和忍野商量一下比较妥当吧。
でも、あんまり安易に忍野を頼るのもよくないか──この前言われたことではあるが、あいつだって、いつまでもあの廃ビルに住んでいるわけじゃないのだから──
可是,这么简单就去依赖忍野也不太好——之前他也这么说过,而且那家伙不会永远住在那栋废弃大楼。
別れは来る。
天下无不散的筵席。
いつかはわからないけれど、遠くない未来。
我不知道确切的时间,但就在不远的将来。
「なあ、せんじょ──ひたぎさん」
「我说,战场——黑仪同学。」
「黙りなさい」
「嘴巴闭上。」
途中で気付いて言い直したのに、そんな姿勢を評価するでもなく、戦場ヶ原はぴしゃりと、僕の発言を封じた。
我说到一半意识到自己叫错而改口,然而战场原却没有夸奖我的态度,不容分说地禁止了我的发言。
「ぴーちくぱーちくぽーちく、うるさいわね」
「叽叽喳喳地,吵死人了。」
「ぽ、ぽーちく?」
「叽、叽叽喳喳?」
「もうすぐ到着するのだから、少しくらい静かにしたらどうなの」
「就快要到了,你稍微安静一下会怎么样吗?」
「…………」
勝手な言い分だ……。
好任性的理由。
「私は阿良々木くんの馬鹿話に付き合ってあげるほど、暇人でもなければ火星人でもないのよ」
「我可不是闲人也不是火星人,没那种美国时间陪阿良良木你说蠢话。」
「火星人は僕の馬鹿話に付き合ってくれるのか?」
「火星人可以陪我说蠢话吗?」
大体、到着するって、どこになんだよ。
而且你说快到,是要到哪里啊。
そろそろ教えてくれてもよさそうなものなのに。
应该也差不多可以告诉我了说。
お楽しみっていうなら、もう十分に楽しんだぞ?
如果你想让我期待的话,我已经十分期待啰?
しかしまあ、そうは言っても、戦場ヶ原の父親の前で、拷問トークを続けるのにもいい加減限界を感じていたところだったので、戦場ヶ原のその言葉は、考えてみれば願ったり叶ったりといった感じだった。僕は「わかったよ」と言って、車のシートに、ゆったりと体重を預けた。
不过话又说回来,我感觉在战场原父亲面前,所进行的这一串拷问对话也差不多到了极限。所以战场原那句话,仔细想想也正如我所愿吧。「我知道了。」我说完,舒服地深坐在车子的座椅上。
「うるさいわね」
「你吵死了。」
「え? 何も言ってないじゃん」
「诶?我没说半句话吧。」
「呼吸音や心音がうるさいと言っているのよ」
「我说你的呼吸和心跳声很吵。」
「いや、それは死ねと言ってるんだ」
「不对,你是在叫我去死。」
なんて、その会話を最後に。
以这句话当休止符。
戦場ヶ原も、もう喋らない。
战场原之后不再开口了。
何でだろう。
为什么呢。
心なし、緊張している──ようにも見えるけれど。
是我心理作用吗,我觉得她看起来……很紧张。
緊張するような場所に連れて行くつもりなのか?
她想带我去的地方,会令她感到紧张吗?
クルマは、山道に入ったようだった。
车子似乎开进了山路。
山──それも、昨日一昨日、神原と登ったような、小さな山じゃない、本格的な山だ。大きく螺旋を描くような道路を、ジープの馬力で、登っていく。道路がきっちり整備されているのも、昨日一昨日の山と違うところだ。
山——不是昨天和前天,我和神原爬的那种小山,而是一座真正的山。吉普藉由马力,沿着描绘出大螺旋状的山路,攀爬而上。这座山的道路整备得相当完善,这点也和先前那座山不太一样。
山の上……?
山上……?
また神社か?
又要去神社吗?
初デートがお参りって……。
初次约会去参拜神社……
噓だろ?
骗人的吧?
「今更聞くのも遅きに失した感じだけどさ……一体、どこに行くつもりなんだ?」
「事到如今我这么问好像已经太迟了啦……不过我们到底要去哪里啊?」
「いいところ」
「一个好地方。」
「…………」
「い・い・と・こ・ろ」
「一·个·好·地·方。」
「………………」
そんな色っぽく言われても……。
就算你语带性感地说……
絶対噓じゃん。
肯定是骗人的吧。
「というか、阿良々木くん、行くつもりも何も、既についたわよ。ほら、そこ、もう、駐車場だもの」
「应该说,阿良良木,没有什么想去哪里,因为我们已经到了喔。你看,那边已经是停车场了。」
言われて正面を見れば、その通りだった。
听她这么一说,我往正前方一看,确实没错。
到着。
我们抵达目的地了。
現在時刻が十時近くだから……二時間以上のドライブだったというわけだ。息詰まるような恐るべきドライブだったが、これでようやく、一息らしい一息がつけるというわけだ。戦場ヶ原父は見事な駐車技術で、がらすきの駐車場の端っこの方へ、ジープを停める。やれやれと、クルマから降りようとしたところ、ところが、その動作を戦場ヶ原に止められた。手を握って止められたとかじゃなく、撫で回していた太ももに爪を突き立てるという、驚異の止め方だった。
现在时刻接近晚上十点……所以我们等于开了两个小时以上的车。令人喘不过气的恐怖车程结束,现在我终于可以好好喘一口气了。战场原父亲以漂亮的停车技巧,将吉普停放在空荡的停车场边端。当我放下心中大石,正想下车时,没想到战场原却阻止了我的动作。她不是握住我的手,而是用指甲猛力掐了她刚才游移的大腿处一把。这种阻止方式让我为之一惊。
ケモノかこいつは。
这家伙是野兽吗。
猫じゃねえんだから。
又不是猫。
「な……なんすか?」
「怎……怎么了吗?」
「阿良々木くんはここで少し待っていて」
「阿良良木你在这边稍等一下。」
戦場ヶ原は言った。
战场原说。
「私が一人で先に行って、準備してくるから」
「我先一个人过去准备一下。」
「準備って……」
「你说准备……」
準備が必要なのか?
有需要准备吗?
て言うか、戦場ヶ原、この状況で、僕がここで待っていて、お前が一人で先に行っちゃったりしたらさ──
话说战场原,这种状况下你要我在这边等,然后自己一个人先离开的话——
「お父さんと歓談でもしておいて頂戴」
「你跟我爸爸好好地畅谈一下吧。」
とんでもないことを軽く言い捨てて。
轻松地丢下这句要不得的话后,
本当に戦場ヶ原は、一人でジープを降りていった。
战场原真的一个人离开了吉普车。
行ってしまった……。
她走掉了……
まさか自分のことをそんな風に描写する日が来るとは思わなかったが、しかしこうなってしまえば、そう描写する他あるまい……飼い主に置き去りにされた捨て犬の気分だった。
我没想到有一天会用这种方式来形容自己,然而事到如今,除此之外没有更贴切的描述方式了——我感觉自己的心情,就像被饲主丢弃的弃犬一样。
何て奴だ、戦場ヶ原。
我真是猜不透你啊,战场原。
この苦境に僕を取り残すだなんて……。
竟然把我一个人丢在这种苦海里头……
裏切ったのか、寝返ったのか。
你这是背叛?倒戈?
それとも裏返ったのか!
还是叛变!
……混乱で何を言っているのかもわからない。
……我一片混乱,连自己在说什么都搞不清楚。
大体、裏切ったも寝返ったもない、考えてみれば、そもそも最初から、この苦境に僕を引きずり込んだのは、戦場ヶ原ひたぎ本人じゃないか。
而且她根本没有背叛或倒戈,仔细想想,一开始把我拖进这片苦海里的,就是战场原本人吧。
しかし、それにつけても信じられない……。
但是,我还是难以置信……
狭い車内に、彼女の父親と二人きり……。
现在我在狭窄的车内,和女友的父亲两人独处。
これはもう拷問ですらない。
这根本已经不算拷问了。
刑罰だろ。
而是刑罚吧。
こんな過酷な経験をしている高校三年生なんて、日本中探しても多分僕しかいないぞ……なんて地味にリアルな不幸なんだ。
经过这种残酷考验的高中三年级生,找遍全日本大概也只有我吧……这是一个多么朴素又真实的不幸啊。
か、歓談ねえ?
畅、畅谈是吗?
なんか、黙りっぱなしっていうのも、感じ悪いだろうし……そうは言っても、戦場ヶ原の父親から、悪印象は持たれたくないよなあ。けれど……親戚でも教師でもない、軽く自分の倍以上生きていそうな人と会話する機会なんて、僕はこれまでほとんど持っていないからな……。
总觉得一直不作声,感觉会很差吧……可是,我不想让战场原的父亲对我有坏印象啊。不过……对方既不是亲戚也不是老师,我至今几乎没什么机会和年纪看起来随便就大上我一倍的人说话啊……
なんて。
就这样。
迷っている内に、あにはからんや5、戦場ヶ原父の方から、口火6を切っていた。
当我正在犹豫时,没想到战场原的父亲居然先开口说话了。
「阿良々木くん──とか言ったね」
「你叫阿良良木……来着对吧。」
「…………」
とかって……。
来着……
いきなり高い壁を感じる……。
我感觉眼前突然出现一道高墙……
けど、それにしてもこの人、本当に俳優さんみたいに、いい声をしているな……声が格好いいと思える人って、案外いないものなのだが。
不过,这个人的声音真的很好听,就像演员一样……能让我觉得声音很酷的人,或许并不存在吧。
「は、はい……阿良々木、暦です」
「是、是的……我叫阿良良木历。」
僕がそう答えると、
我如此回答完,
「そうか」
「这样啊。」
と、頷く戦場ヶ原父。
战场原父亲点头说。
「娘を、よろしく頼む」
「我女儿就拜托你了。」
えええっ!?
诶诶诶!
いきなり何言っちゃってんのこの人!
这个人没头没脑地在说什么!
「なんちゃって」
「我开玩笑的啦。」
と。戦場ヶ原父は続けた。
战场原的父亲又接着说。
……なんちゃってって……。
……开玩笑的是吗……
親父ギャグ?
老头子笑话?
これが本当の親父ギャグなのか!?
这是正牌的老头子笑话吗!
けれど、にこりともせずにそんなことを言われても──僕が反応に困っているのを見て楽しんでるって風でもないし……どうしろというのだ。どうしろと言われても、どうにもできないぞ。
可是,他说这种话连个笑容都没有——看来他似乎不是要看我不知所措的反应,来取悦自己的样子……他到底想要我怎么做。就算要我做什么,我也做不到啊。
「阿良々木くん。聞いているとは思うが──僕は絵に描いたような仕事人間でね。ひたぎと過ごす時間なんて、ほとんど持てていない」
「阿良良木。我想你应该听说了吧——我是典型的那种工作狂。几乎没什么时间陪黑仪。」
「はあ──」
「嗯——」
ひたぎ、か。
黑仪吗。
当然だけど、娘のことを呼び捨てにするんだな。
他直呼自己女儿的名字,这很正常。
しかもそれに、とても自然な感じがある。
而且感觉非常自然。
これが親子か。
这就是亲子吗。
「だから、そんな僕に言われても説得力を感じないかもしれないが──あんなに楽しそうなひたぎは、久し振りに見たよ」
「所以,我这样说感觉没什么说服力——不过,我很久没看到黑仪这么高兴了。」
「…………」
あんた、自分が何言ってるかちゃんとわかってるのか……? 自分の娘が同級生を苛めているの見て、楽しそうだったって言ってんだぞ……?
你知道自己在说什么吗?你是在说自己的女儿在欺负同学的样子,看起来很快乐喔……?
そこで、戦場ヶ原父は、「あ、えっと」と口ごもる。言葉を選んでいる風だ。どうやら、戦場ヶ原父は、娘とは違い、口達者と言うわけではないらしい──むしろ、かなり口下手な方であるようだ。
说到这,「啊,那个。」战场原的父亲嗫嚅了一下。他似乎在选词的样子。看来战场原的父亲和女儿不同,不是那种口若悬河的人:反而是比较笨口拙舌的人。
「ひたぎの母親のことは、もう聞いているね」
「黑仪母亲的事情,你已经听说了吧?」
「……はい」
「……是的。」
「じゃあ、ひたぎの病気のことも」
「那,黑仪的那个病你也知道吧?」
戦場ヶ原ひたぎの病気──病気という物言いでこそあるが、それはこの場合、例の怪異のことを指している。
战场原黑仪生的病——虽然他是说生病,不过在这个情况下,应该是指那个怪异的事情。
蟹。
螃蟹。
蟹の──怪異。
螃蟹的……怪异。
忍野の協力によって、それはもう治った病気だ──しかし、治ったとは言え、それで済まされるような、程度の低い問題ではない。
在忍野的协助下,那个病已经治好了——然而,虽然治好了,但问题却不是那么简单就能获得解决。
家族にしてみれば、尚更だろう。
从家人的角度来看,更是如此吧。
「まあ、それだけじゃないし──無論、仕事ばかりにかまけていた僕の責任も少なからずあるが……ひたぎはすっかり、心を閉ざした人間になってしまった」
「不光是那些缘故啦——当然,只忙于工作的我多少也有一点责任……黑仪她已经完全封闭了自己的心。」
「ええ──知ってます」
「对——我知道。」
よく知っている。
我非常清楚。
高校生活、ずっと同じクラスだったのだ。
因为我们高中一直都同班。
一年次と二年次。
第一年和第二年。
三年次の一ヵ月。
然后第三年过了一个月。
どれほど閉ざしていたか──僕はよく知っている。
她有多么封闭自己这点……我非常地清楚。
「その辺りのことについては、言い訳のしようがないな──子供がやったことは親の責任だが、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから」
「关于那方面的事情,我无从辩解,孩子犯错是父母亲的责任:可是父母亲犯的错误,孩子没有责任要去承担。」
「責任、ですか……」
「责任吗……」
「心を閉ざした人間が、言いたいことを言いたいように言う対象は、二種類だけだ。ひとつは、嫌われても構わない相手。もうひとつは──嫌われる心配のない相手だ」
「封闭自己内心的人,能够畅所欲言的对象只有两种人。第一种是就算被对方讨厌也无妨的人。另一种则是……不必担心被对方讨厌的人。」
「…………」
ホッチキスを振りかざし、最初、接触してきたときの戦場ヶ原は──間違いなく僕を前者と看做していたのだろう。深窓の令嬢の仮面を脱ぎ捨て、その恐るべき本性を僕の前に晒したのは、彼女にとって、僕がただの、己の秘密を知った『敵』だったからに過ぎない。
战场原一开始挥舞着订书机接近我……她肯定把我当作前者吧。她会把深闺大小姐的假面具脱掉,在我面前露出那种可怕本性,是因为对她而言,我只不过是知道她秘密的「敌人」而已。
でも今は。
可是现在。
僕は彼女に、そこまで信頼を置かれているのだろうか。そうだったとして、しかし、それだけの資格が、僕にあるのか──
她有那么信赖我吗?倘若有的话,我有那种资格接受她的信赖吗——
「母親のことがあるからな。それに──病気のこともある。あの子は人を愛する側の人間だが──愛し方がわからない」
「因为她母亲的关系啊。而且……还有生病的事情。那孩子是会主动去爱人的那种人——可是她却不知道该如何去爱。」
戦場ヶ原父は、独り言のように言う。
战场原的父亲,有如喃喃自语般说。
よく考えるとそんな突飛なことは言っていないのだが、如何せん声が格好いいため、とても詩的なことを言われているような気分になる。
这内容仔细想想,并不是什么稀奇古怪的东西,可是因为他的声音富有磁性,因此听起来就像在吟诗一般。
「阿良々木くん。きみはそんなひたぎに、よく対応していると思うよ」
「阿良良木。我觉得你和黑仪的相处方式很好。」
「できてると思いますか……?」
「很好吗……?」
いちいち、ちゃんと傷ついてるんだぜ?
她说的每句话都会刺伤我喔?
切り刻まれてる気分だぜ?
我感觉自己好像被她凌迟一样喔?
心から血が流れるなら、とっくの昔に出血多量だ。
要是我的心会淌血的话,早在很久以前就已经出血过多了。
「いつもあんな調子ですからね。僕を凹ますためだけに、お父さんを連れ出してきたんじゃないかとさえ思いますよ」
「她每次都那个样子啊。我刚才甚至还以为她是为了让我意志消沉,才故意带爸爸你一起来的。」
あ。
啊!
つい、お父さんって言っちゃった。
我不小心说了「爸爸」两个字。
じゃ、じゃあ、こうなると僕はあの台詞を言われるのか……? 伝説の、『きみにお父さんと言われる筋合いはない!』を!
这、这样的话,他会用那句话反驳我吗……?传说中的那一句:「不准叫我爸爸!」
「そんなことはないさ」
「没那种事。」
言われなかった。
他没有说。
ジェネレーションギャップだ……。
这是年纪产生的代沟……
「まあ、僕に対するあてつけというのは、あるかもしれないが」
「她可能是故意做给我看的吧。」
「あてつけ……?」
「故意做给你看……?」
……ん?
……嗯?
ああ──そうか。
啊——原来如此。
普通に考えてみれば、実の娘が後部座席で初対面の男といちゃついているという図は、父親としては気分のいいものではない──はずだよな。当たり前のことで、だからこそ、僕はいっぱいいっぱいになったのだが、そこに嫌がらせの意図があるとすれば、僕よりも、父親が相手……なのか?
正常情况下,自己的亲生女儿和初次见面的男生在后座卿卿我我,站在父亲的立场来看,内心肯定不太好受……吧。正因为这样我才会被她那样玩弄,而她想要恶整的对象,与其说是我,倒不如说是她父亲……吗?
「いや、そんなことないと思いますけれど……いくら、その、ひたぎさんでも、父親にあてつけなんて……」
「不会,我想没有那种事情……就算,那个、黑仪再怎么样,也不会故意做给自己的父亲看……」
「嫌われても構わない相手──だからね。僕は」 戦場ヶ原父は言う。「嫌われようが嫌われまいが、父親は父親だからね。ひたぎの母親との醜い言い争いを、あいつの前では随分、繰り返していたから……仲のいい両親像なんて、今のひたぎには思いつきもしないだろう」
「因为……我是就算被讨厌也没关系的人啊。」战场原的父亲说。「因为不管会不会被讨厌,父亲都是父亲啊。我以前一直在黑仪面前,和她的母亲不断重复着丑陋的争吵……什么父慈母爱的,现在的黑仪连想都想象不到吧。」
「ああ──」
「嗯——」
協議離婚。
离婚协议。
父子家庭。
单亲家庭。
そうだった。
没错。
この人は、さっきから、『家内』とも言わず『妻』とも言わず、一貫して──『ひたぎの母親』と言っている。
这个人从刚才开始,从未说过「内人」或「妻子」等字眼,自始至终都用……「黑仪的母亲」。
「だから──あてつけさ。私はあなた達みたいにはならないという、ひたぎの声が聞こえてくるかのようだったよ。実際に──そうなんだろうな。きみ達は、本当に、楽しそうだった」
「所以……她是故意做给我看的。我彷佛听到黑仪的声音在说:我不会变成像你们两个一样呢。事实上……也没错吧。你们两个看起来真的很开心。」
「そりゃ、まあ……全く楽しくなかったといえば、噓になりますけれど……あいつの滅茶苦茶は、なんだか、いつものことですし」
「这个嘛……要是说我一点都不开心是骗人的……可是,她平常也是那样爱胡闹。」
あれ?
咦?
この言い方は失礼になるのか?
这种说法会很失礼吗?
額面通りに娘の悪口と受け取られてしまったら……僕としてはむしろ褒めているくらいのつもりだけど、言われる側の気持ちになってみれば、こんな、親しいがゆえの憎まれ口みたいなのって、場合によっては不愉快な言動と受け取られるかも……ううん、基準がわからない。
假如父亲照字面上的意思,解读成我在说他女儿坏话的话——我这么说其实是在夸奖她,不过站在听者的心情来看,这种因为亲密而说出来的贫嘴话语,有时反而会让对方不愉快……呃,我还搞不懂该如何拿捏。
ていうか、なんだこの独り相撲。
话说,我干么一个人在这边唱独角戏。
今の僕、ものすごく格好悪くない?
现在的我,是不是逊到爆?
「ひたぎは愛する側の人間だから」
「因为黑仪是会主动去爱人的那种人。」
戦場ヶ原父は言う。
战场原的父亲说。
「だから、しかるべき相手には、全体重をゆだねる。全力で甘える。愛するっていうのは、求めるってことだからね。自分の娘のことでなんだが、恋人にするには、重過ぎる子だと思うよ」
「所以,对她该爱的人,她会将心灵托付给对方。竭尽全力地去撒娇。因为爱是一种索求。我这样说自己的女儿可能很奇怪,不过我觉得她以一个恋人来说,给对方的负担太过沉重了。」
「重過ぎる──ですか」
「太过沉重……吗?」
それも、なんだか。
总觉得这一点也——
皮肉な話だな。
听起来很讽刺。
「情けない限りだが、僕じゃ、ひたぎを支えきれなかった。だから、あの子は随分と前から、僕に甘えようとはしなくなったよ」
「实在很遗憾,我没办法让黑仪依靠。所以,那孩子从很久以前开始,就不再和我撒娇了。」
「…………」
「いつだったか、ホッチキスを振り回して暴れた……あれが最後だな」
「曾经有一次,她还对我挥舞订书机胡闹……那是她最后一次和我撒娇了吧。」
父親に対してもそんなことをしていたのか。
她对自己的父亲也做过那种事吗?
それはもう家庭内暴力じゃ……。
那已经是家暴了吧……
「でも──この間、久し振りに、本当に久し振りに、ひたぎから、頼みごとをされたよ。仕事を手伝わせて欲しい──と」
「不过——前阵子,黑仪久违地,真的是很久违地开口拜托我。她说……希望可以帮忙我工作。」
思い入れを込めて、静かに語る戦場ヶ原父。
战场原的父亲感触良多,静静地说道。
「そして、今回だ。両方──きみが絡んでいる。あの子を変えることができるなんて、阿良々木くんは本当に大したものだと思うよ」
「然后是这一次。这两件事情……都和你有关。我觉得阿良良木你真是了不起,居然有办法改变那孩子。」
「……随分高く買ってもらっているようで、恐縮ですけれど……、でも、そんなの、たまたまだと思いますよ」
「……你似乎太看得起我了,实在是不敢当……可是,我觉得那只是碰巧的。」
堪えきれず、とうとう、僕は言った。なんだか、誤解を基準にして褒められているような気分になったのだ。間違えた高評価。正直それは、いい気分とは言いがたい。
我按捺不住,到头来还是说出口了。总觉得她父亲会这样称赞我,是因为他误会了。是一个错误的高帽子。老实说,那让我听了很难觉得舒服。
「そうかい? ひたぎの病気を治すのにも、きみが一役買ってくれたと聞いているが」
「是吗?我听说黑仪的病会治好,你也有帮上忙……」
「だから──別に、それは僕じゃなくても、よかったんだと思います。たまたま僕だっただけで……、僕以外の誰でもよかったし、それに、ひたぎさんは、あくまで一人で助かっただけで、僕はそれに立ち会ったに過ぎません」
「我想……就算帮她的人不是我也没关系吧。只不过那个人刚好是我而已……就算是其他人来也行,而且,黑仪同学自始至终都是自己救了自己的,我只不过是当时在场陪她而已。」
「それでいいんだよ。必要なときにそこにいてくれたという事実は、ただそれだけのことで、何にも増して、ありがたいものだ」
「那样就够了。在必要的时候陪伴在她身边,光是这么一个事实,就此任何东西都还要来得可贵。」
戦場ヶ原父は。
战场原的父亲在此——
そこで初めて、笑ったようだった。
似乎第一次露出了笑容。
「僕は役目を果たせなかった父親だ──今だって、自分が娘の面倒を見ているとは思えない。あの子は一人で生活しているようなものだ。僕はあの子が必要としてくれているときに、そこにいることができなかった。正直言って、僕はひたぎの母親の作った借金を返すだけで手一杯だ──このジープだって、友人に借りたものさ。だが、こんな父親でも、あれは自慢の娘でね。僕は娘の見る眼を信用している。あれが連れてくる男なら、間違いないだろう」
「我是一个没尽到责任的父亲……即便是现在,我也不觉得自己有在照顾女儿。那孩子就像独自一个人在生活一样。我在那孩子需要我的时候,没办法陪伴在她身边。老实说,我光是要还黑仪的母亲欠下的债务,就已经分身乏术了——就连这辆吉普车,也是向朋友借的东西。可是就算我是这种父亲,那孩子还是我引以为傲的女儿。我相信自己女儿的眼光。如果是他带来的男生,那就绝对错不了吧。」
「…………」
「娘をよろしく頼むよ──阿良々木くん」
「我的女儿就拜托你了……阿良良木。」
「……お父さん」
「……爸爸。」
それこそ──変なやり取りになってしまったが。
这种对答的方式……实在很奇怪。
それでも、僕は思った。
不过,我还是心有所思。
多分──あてつけなんかじゃないだろう、と。
我想……那些大概不是故意要做给她父亲看的吧。
むしろ戦場ヶ原は、自分はもう大丈夫だと、父親に教えたくって、この度、初デートだというのに、戦場ヶ原父に同伴を願ったのではないだろうか。
倒不如说,战场原是想告诉自己的父亲,说她已经不要紧了,所以这一次——明明是初次约会——她才会请自己的父亲同行吧。
私はあなた達みたいにはならない──ではなく。
她不是想说:我不会变成像你们那样。
私のことはもう心配いらないから──と。
而是想表示:已经不用再担心我了。
そんな声が、僕には聞こえる気がする。
我感觉自己似乎能听到那样的声音。
……けれど、それは、僕が言うようなことじゃないのだろう。他人の家庭環境に首を突っ込むべきじゃない──という常識的な判断以上に、戦場ヶ原と戦場ヶ原父、この二人の間に、僕に立ち入る余地はないように思えたからだ。
……可是,这种事情不是我应该多嘴的吧。我不应该去干涉别人家的事情——基于这种常识上的判断,我想战场原和她父亲之间,没有我能够介入的空间。
だから、言うようなことじゃない。
所以,这种事情不是我应该多嘴的。
どう考えてもあなたは、嫌われても構わない相手じゃなく、嫌われる心配のない相手だろう──なんて。
不管我怎么想,你都是「不必担心被对方讨厌的人」,而不是「被讨厌也无妨的人——」
言えるわけがない。
这种话我根本说不出口。
それを言うべきなのは、この世に一人だけだ。
应该亲口说出这句话的人,在这个世界上只有一个人而已。
「……ところで、ここ、どこなんです?」
「……对了,请问这里是哪里?」
「ひたぎが秘密にしていることを、僕が教えるわけにはいかないな。けれど──ここは……、昔、何回か、三人で来た場所なんだ」
「黑仪在保密的事情,我没办法告诉你啊。不过,这里是……以前我们三个人来过好几次的地方。」
「三人……?」
「三个人……?」
三人って……戦場ヶ原と、戦場ヶ原父と──
三个人是……战场原和战场原的父亲——
戦場ヶ原母、か?
还有战场原的母亲,吗?
「恋人との初デートの場所に、ここを選ぶとは、あいつも、なかなか──おっと。お姫様が帰ってきたみたいだぞ」
「没想到她和男朋友的第一次约会,居然会选择这里,那家伙也满——哦。公主似乎回来了呢。」
その言い回しは親父臭いな。
这种说法真像老头子。
と、相手が同世代なら、声に出して突っ込みをいれているところだけど、ここは自重。
如果对方和我同年龄层,我应该已经出声吐槽了吧,不过这边我要自重。
それよりも、戦場ヶ原が戻ってきただと……、本当だ、フロントガラス越しに、悠然と歩いてくる彼女の姿が見える。ああ、さっきまで、今度顔を合わせたらこんな状況に僕を置き去りにしたことについて恨み言を言ってやろうとばかり思っていたのに、今はもう、天上から救いの天使が舞い降りたかのような心境だった。
重要的是他说战场原回来了……是真的,隔着前方的挡风玻璃,我看到她的身影悠然走近。啊啊!刚才我还在想待会看到她,要针对她把我丢在这种状况下自行离去的事情,好好跟她抱怨一番;然而,现在我却觉得自己的心境,彷佛看见救赎的天使从天而降一样。
騙されてる……。
我被她迷惑了……
「お待たせ、阿良々木くん」
「让你久等了,阿良良木。」
後部座席のドアを開けて、こっちの気も知らず、平坦な口調でそう言ってくる戦場ヶ原。そして、すぐさま運転席の方を向き、
战场原打开后座车门,完全不明白我的心情,以平静的口吻对我说。接着,她随即面向前方的驾驶座,
「お父さん」と言う。「ここから先は若い二人の時間ということで。送ってくれてありがとう。二時間ほどで戻ると思うから、仕事に勤しんで頂戴」
「爸爸,」她说,「接下来是年轻人的时间了。谢谢你载我们过来。我们大概两个小时左右就会回来了,请努力工作吧。」
「ああ」
「好。」
言って、携帯電話を、戦場ヶ原に示す、戦場ヶ原父。予想通りではあるが、どうやら多忙な中、送迎を引き受けてくれたらしい……これから電話で、仕事の続きというわけだ。
战场原的父亲说完,拿着手机对战场原示意。正如我所料,看来她父亲是在百忙之中,抽空来接送我们的……待会,他还要用电话继续工作。
ん。
嗯。
ということは……父親同伴は、ここまでか?
也就是说……她父亲的同行到此为止吗?
「さ。阿良々木くん」
「来,阿良良木。」
僕に手を差し伸べる戦場ヶ原。僕は恐る恐る、その手を取る。そして、戦場ヶ原に引き出されるように、僕は車外に出た。
战场原对我伸出手。我战战兢兢地握住她的手。接着,战场原把我拉出车外。
すぐに手を離す戦場ヶ原。
随后,她马上把手放开。
やはりお堅い。
她果然很矜持。
「ありがとう、お父さん」
「谢谢你,爸爸。」
ここでようやく──お礼を言って。
战场原在此终于……开口道谢。
戦場ヶ原は、ジープのドアを閉めた。
接着,她关上了吉普的车门。
いや──勿論、だからと言って、どうということではないのだけれど……ともあれ、これでやっと、普通のデートというわけだ。こんな平日の夜に山中まで送ってくれた戦場ヶ原父を駐車場に残していくのはいささか気が引けるが、仕事があるようなので、そこはよしとしておくとしよう。
唉呀,这也不代表什么……不管怎么说,现在终于是普通的约会时间。在这种平常日的晚上,把送我们来山里的战场原父亲一个人留在停车场,让我觉得有点过意不去,不过他似乎有工作,所以这样也好吧。
「……で、ここはどこなんだ、ひたぎさ──」
「……对了,这里是哪里啊,黑仪同——」
おっと。
唉呀。
これも、もういいんだ。
现在已经不用那样称呼她了。
まあちょっと名残惜しくはあるが。
虽然有一点可惜啦。
「戦場ヶ原。ここはどこだ」
「战场原,这里是哪?」
「ふん」
「哼。」
ぷいっと横を向いてしまう戦場ヶ原。
战场原不耐烦地将头别向一旁。
「これまで私が一度でも阿良々木くんの質問に答えたことがあったかしら?」
「我从以前到现在,有回答过阿良良木你的问题吗?」
「…………」
いや。
不对。
あったとは思うぞ?
应该有喔?
僕の方こそ、嫌われても構わないと思われているんじゃないかと思わせる、戦場ヶ原からの冷淡な態度だった。
战场原的冷淡态度,不禁让我认为:其实被讨厌也无妨的人是我才对吧。
「私に質問をしようだなんて、思い上がるのもほどほどにしておくことね」
「居然想要我回答你的问题,你得意忘形也要有个限度吧。」
「僕は質問すら許されていないのか……?」
「我连发问的资格都没有吗……?」
「ひざまずくことさえ許した覚えはないわ」
「我不记得有允许你下跪过喔。」
「ひざまずくつもりなんかねえよ!」
「我没打算要下跪!」
「ひれ伏すつもりがあるというの?」
「那你打算跪下来磕头吗?」
「僕は立ってちゃ駄目なのか!?」
「我就不能站着吗……」
もう父親の前じゃないから思う存分突っ込める。
现在已经不是在她父亲面前了,所以我可以尽情地吐槽。
阿良々木暦フル回転だった。
阿良良木历,马力全开。
つかつかと、気持ち早足で歩く戦場ヶ原に、その後ろをついて歩く僕。山中とは言え、駐車場にはまばらに街灯が設置されているので、暗いという感じではない。……でも、街になくても街灯っていうんだろうか? そんなどうでもいいことを考えてしまう。
战场原愉悦地大步快走,而我则跟在她身后。这里虽然是山中,停车场却布满了路灯,因此没有阴暗的感觉——不过,这里不是马路,可以叫做路灯吗?我的脑中开始在想这种无所谓的问题。
「でも、いい天気になってよかったわ」
「不过,幸好今晚是个好天气。」
「いい天気? 天気が重要なのか?」
「好天气?天气很重要吗?」
「ええ」
「对。」
「ふうん……まあ、僕は晴れ男だからな」
「嗯……唉呀,因为我是晴天男孩嘛。」
「え? 脳天晴れ男?」
「咦?脑残男孩?」
「そんな聞き違いがありうるか!」
「会有人会听错到这种地步吗……」
「ほら」
「你看。」
駐車場を出るあたりで、戦場ヶ原は言った。
快走出停车场时,战场原示意说。
「そこに看板が出ているでしょう。読みなさいな」
「那边有一块广告牌吧。你念一下。」
「あん?」
「嘎?」
そんな投げやりな、一種拗ねたみたいな口調で言われても……と思いつつ、とりあえず言われた通りに、戦場ヶ原の指さした方向を見ると、そこには確かに看板があり、『ほしのさと天文台』の文字が記されていた。
就算你用那种草率、像是在闹别扭的语气这么说……我一边心想,同时依照指示,往战场原手指的方向看去。那边的确有一块广告牌,上头写着:「星之里天文台」。
天文台……?
天文台……?
ってことは……、
也就是说……
「えい」
「嘿。」
反射的に、上空を確認しようとした僕の頭を、戦場ヶ原の右手が遮った。こう、上からつかむような感じで、僕の頭部の動きを押さえつけ、封じる。
我反射性地想要抬头看天空时,战场原用右手遮住了我的头。感觉就像是从上方一把抓住一样,按住了我的头,封住了我的动作。
「何をする」
「你干嘛。」
結構屈辱的だぞ……。
这还挺侮辱人的喔……。
この歳で、上から頭をつかまれるのって……
我都几岁了,还被人从上方抓住头……
「阿良々木くん、まだ上を見ちゃ駄目。前を見ても駄目ね。目線を下げて、足元だけ見て歩きなさい。これは命令よ」
「阿良良木,你还不能往上看。也不能看前面。你只能把视线压低,看着自己的脚走路。这是命令喔。」
「そんな理不尽な命令に従えるか!」
「这种不讲理的命令谁理你啊!」
「もし従えないなら、私は声をあげて泣き叫びながら、お父さんの待つあのジープに駆け込むことになるけれど」
「要是你不听我的话,我就尖叫一声,然后一边哭着朝我爸爸的吉普车跑过去。」
「…………」
「あるいは、明日あたり、神原がちょっとばかし可哀想な目に遭うかもしれないわね。幼稚園児のコスプレをして授業を受ける女子高生と、『私はとてもいやらしい子だから罰を受けている最中です』と書かれたプラカードを首から提げて廊下に立たされてる女子高生、阿良々木くんはどちらの方が好きかしら?」
「或者呢,明天可能会有一些不幸的事情,降临在神原身上喔。一个扮装成幼儿园小孩模样上课的高中女生;和脖子上挂着一块写着:『我是非常淫乱的女孩,正在接受处罚』的牌子,在走廊上罚站的高中女生,阿良良木你比较喜欢哪一种啊?」
「……従います」
「……遵命。」
硬軟織り交ぜた戦略とはよく聞く言い回しだが、こいつには硬しかないんだな……と、呆れながら、僕は頭をむしろ下げ、足元に視線をやる。戦場ヶ原ひたぎは、しかし、それでも、僕の頭から手を離さず、そのまま、「では行きましょう」と、歩みを再開する。
软硬兼施的战术是一种很常听到的说话技巧,但这家伙只会来硬的……我感到傻眼的同时,将头更往下低,视线看着脚边。然而,战场原黑仪的手还是抓着我的头不放,「那我们走吧。」她说完再度迈开脚步。
うわあ。
呜哇。
犬の散歩みたい。
这样好像在遛狗。
「……お前には本当におどろおどろかされるな」
「……我每次都会被你『吓一跳跳』呢。」
「おどろがひとつ多いわよ。まあ、阿良々木くんを少しでもおどおどろかせたいと思う、私のサービス精神の賜物ね」
「跳多了一个喔。唉呀,这些都是拜我想要让你更『惊讶讶惶恐不安』的服务精神所赐。」
「おどがひとつ多いんだよ! 本当、ひでえことばっか言いやがって。お前に慈悲はないのかよ」
「你的讶多了一个吧!你说话每次都很超过。你就没有一点慈悲心吗?」
「茲非ならあるわよ」
「兹非的话我有。」
「心がねえ!」
「少了心部!」
「全く、大袈裟な。会話に多少のエスプレッソをきかすのは、礼儀のようなものでしょう」
「你真的很夸张呢。在对话里面加入一点『espresso』,是一种礼貌吧。」
「高校生には苦過ぎる……」
「那对高中生而言太苦了……」
無論、正しくはエスプリである。
当然,正确的用词是机敏才对。
苦過ぎると荷が過ぎるもかかっているのだ。
太苦和负担过重也有关系呢。
駐車場から離れると、途端、暗くなる。
一离开停车场后,四周就暗了下来。
しかしそれでも──山の上の天文台というこのシチュエーションの所為だろう、空を見上げるまでもなく、ある程度は星々の光で、真っ暗闇とはならない。僕らの住んでいる町も相当な田舎だから、夜になれば星座を確認することくらいはできるが、さすがにこんなところまで出向いてしまえば、較べるべくもなさそうだ。
话虽如此——或许是身处山上的天文台这个环境使然吧,我不用抬头仰望也能知道,现在天空有某种程度的星光,使得周围不至于灰暗无光。我们住的城镇算是非常的乡下,入夜要抬头观察星座不是问题,不过似乎还是无法和此地相提并论。
あ、と。
这时,
そこで僕は、ようやくのこと、思い至る。
我才终于想到一件事。
「そう言えば、神原の奴」
「对了,神原她啊。」
「何? 神原を可哀想な目に遭わせる相談?」
「什么事?你想和我商量如何让神原不幸吗?」
「誰がそんなこと相談するか!」
「谁会跟你商量那种事情啊!」
「さすが阿良々木くん。神原を可哀想な目に遭わせるのならば、一から十まで全部、自分一人で決めると言うのね」
「真不愧是阿良良木。你是说如果要让神原遭遇不幸的话,你会自己一个人从头到尾决定该怎么做啰。」
「神原を可哀想な目に遭わせる奴はこの僕が許さねえよ! それがたとえお前でもだ! そんなこと言ってんじゃねえ!」
「让神原遭遇不幸的家伙我绝对不会原谅他的,就算那个人是你也一样!我不是在说那种事情啦!」
「じゃあ何」
「不然是什么?」
「一昨日だったか、神原と星座の話をしたんだよ」
「大概是前天吧,我有和神原聊到星座的事情。」
へびつかい座。
蛇夫座。
あんまり詳細に触れると、戦場ヶ原の誕生日の件まで含む話なので、さわりだけで済まさなければならないが。
要是说得太详细,就会触及到战场原生日的事情,所以必须要点到为止。
「そのとき、神原が言ってたんだ。年に二度くらいは、他県の天文台で開かれるイベントに参加している──って。それって、ひょっとして、ここのことなのか?」
「那时候神原有说过,她一年有两次,会去参加外县市的天文台举办的活动。该不会是这里的活动吧?」
あれだけ──エロさにおいてさえ、戦場ヶ原から影響を受けている神原駿河のことだ。その線は十分に考えられる。すると、案の定、戦場ヶ原は、「多分、そうでしょうね」と、そんなことを言った。
神原骏河受到战场原的影响很深(包含色情方面)。这个可能性相当高。果然,「我想大概是吧。」战场原回答说。
「私自身は、ここに来るのは久し振りだけれど……、あの子には、いつか、話した覚えがあるわ。ふむ……、そうだったの。神原がね……」
「我自己也很久没来了……我记得之前不知道是什么时候,有跟那孩子说过这里的事情。嗯……原来是这样。神原她吗……」
「らしくないと思うか──とか言ってたな、そう言えば。そういう意味か。可愛い後輩じゃねえか、全く」
「这么说来,那时候我好像有说那不太符合她的形象之类的话。原来是因为这个缘故吗。真是一个可爱的学妹呢。」
「そうよね。やっちゃいたいくらい」
「对啊。让人想要搞她一下。」
「何をだ!?」
「搞什么一下!」
ああ……そう言えば、ついでにもう一つ、思い出したぞ。初めて戦場ヶ原の家を訪ねた日のこと……、僕、戦場ヶ原を相手に、僕は天文学に詳しいとか何とか、大法螺を吹いた7ことがあったな。月の模様がどうとか言って……生半可な知識を披露して、戦場ヶ原にひっくり返された記憶がある。
啊……这么说来,我又附带想到了一件事情。先前第一次去战场原家的时候……我还跟战场原吹嘘说,自己对天文学很懂之类的。还说了什么月亮的图案怎么样之类的……献了一手半吊子的知识,结果被战场原反驳。
うわ、恥ずかしい。
呜哇,好丢脸。
これは忘れててよかったな。
这件事还是忘了比较好。
そりゃひっくり返されるさ。
会被反驳是当然的。
僕、天文台なんか来るの、これが初めてだ。
因为我今天还是第一次来天文台。
「……しかし、誰もいないんだな」
「……可是,这里没有半个人呢。」
「今は取り立てて観測の時期じゃないもの。平日だしね。来ている人は、全員、あの天文台の中でしょう」
「因为现在不是什么特别的观测时期。而且还是平常日。来这里的人,都在那座天文台里吧。」
「あの?」
「哪座?」
顔を上げようとして、押さえつけられる。
我正想抬头时,又被她按住。
ていうか、頭皮に爪を突き立てられる。
应该说,被她用指甲掐住头皮。
「なあ、戦場ヶ原……お前今、絶対、自分で考えている以上に酷いことをしてるんだぞ?」
「我说,战场原……你现在的所作所为,肯定比你自己想的还要过分喔?」
「そうかしら」僕からの親切な諫言に、しかしどこ吹く風の戦場ヶ原ひたぎ。「私の白魚のような手で頭をつかまれるなんて、むしろ幸運の部類に入るんじゃない?」
「是吗。」战场原把我的谏言当成耳边风。「你能被我白皙纤细的玉手抓住头,应该算是幸运吧?」
「白魚は白魚でも、お前の場合はホホジロザメって感じなんだけど……グレートホワイトシャークな」
「白皙是白皙啦,不过我觉得你的手比较像是大白鲨吧……Great White Shark。」
「あら嬉しい。私の頰が透き通るような白さだなんて、阿良々木くんもなかなかお上手ね。優しくしてあげたくなっちゃった」
「唉呀,我好高兴。居然把我的脸颊形容得那么白皙透明,阿良良木也满会说话的嘛。我对你温柔一点才行。」
頭皮に爪が更に食い込んだ。
她的指甲更使劲地刺进了我的头皮。
地味だけど効果的な痛みだった。
这招虽然平淡无奇,不过却很有效果。
本当にホホジロザメか、こいつは……そう言えば、あの生物の洞のような感情を感じさせない眼は、戦場ヶ原の無表情を如実に連想させるよな。
这家伙真的是大白鲨吗……大白鲨空洞、毫无感情的双眼,真的会让我联想到战场原的面无表情。
そうか、僕の彼女はホホジロザメなのか……。
原来,我的女朋友是大白鲨吗……
ひたぎシャーク。
黑仪鲨。
「要するに、天文台があるんだな?」
「总之,这边有天文台吧。」
「ええ。大型の反射望遠鏡があるわ」
「对。里面有大型的反射望远镜。」
「ふうん。そのすごさってのは、ちょっとわからないけれど……そこに這入るのか?」
「嗯——我是不太清楚那东西有多厉害啦……我们要进去里面吗?」
「いいえ」
「不是。」
戦場ヶ原はあっさりと首を振る。
战场原很干脆地摇头说。
「入場料がかかるもの」
「因为进去要花钱啊。」
「…………」
「私は貧乏なのよ」
「我可是很穷的。」
胸を張って言われても……。
就算你说得那么自信满满……
まあ、そうだったな。
嗯,也对啦。
「天文台の入場料くらいなら、僕が出してもいいけれど……それくらいの手持ちはあるぞ」
「天文台的门票,我可以帮你出啊……那点小钱我手头上还有。」
「私のためにお金を使いたいとは、いい心がけね。でも、今回のところは、遠慮しておくわ。建物の中で望遠鏡を覗くより、私的にはお勧めのスポットがあるから──と。こっちよ」
「想要替我出钱,这种观念很不错喔。不过,这次就不用了。因为我有一个独家推荐的地方,比在里面用望远镜看还要好。往这边走。」
戦場ヶ原は、道から外れ、丘を登るように移動する。短く刈られた草を踏み分けながら、僕は戦場ヶ原の足取りを追う。
战场原离开道路,往山丘上爬去。我踏开被割断的杂草,追寻战场原的脚步前进。
中腹辺りで、戦場ヶ原は足を止めた。
在半山腰一带,战场原止住了脚步。
そこにはビニールシートが敷かれていた。
那里铺着一张塑料布。
なるほど、準備とは、このことか。
原来如此,准备是指这个吗。
「目を閉じて、横になりなさい」
「你闭上眼睛,躺在那边。」
ここまで来れば、もう逆らう理由も抗う必要もない。戦場ヶ原の意図も読めた。僕は言われるがままに目を閉じて、ビニールシートの上に横たわった。頭から手が離れる。そして、僕の隣に、誰かが寝転ぶ気配があった。誰かと言って、これで戦場ヶ原以外の人間だったら、とんでもないイリュージョンだけれど。
既然已经来到这里,也没理由反抗她,我也明白战场原的意图了。我照她的指示闭上眼,躺在塑料布上。她的手从我的头上离开。接着,我感觉有人躺在我的身旁。我虽然用「有人」这种说法,但如果对方是战场原以外的人,那可就是不得了的幻觉了。
「目を開けていいわよ」
「你可以张开眼睛了。」
言われるがまま。
我遵照她的指示。
そして、満天の星だった。
接着,满天的繁星映入我的眼帘。
「………………………………………………うおお」
「……………………………………………………呜喔喔!」
正直。
老实说。
綺麗な星空よりも、星空を見て綺麗だと思うような感性が、まだこの年齢になっても残っている自分自身に、驚いた。
比起美丽的星空,我更惊讶自己已经这个年纪了,心中遗留有一丝的感性,会因为看见星空而觉得绮丽。
人間、こんなに感動するものなのか。
原来人类会如此地感动吗。
降るような星々。
满天的星辰。
野暮な分析をすれば、寝転がっているからというのも、あるのだろう……視界の全てが、余すところなく星空というのが、普通に素晴らしい。こんな風に、自分が感動する理由を探して、なんとか自意識を保とうとする辺りが、もう素直じゃなくなってるなあと思うが、ともかく、戦場ヶ原が、爪を突き立ててまで、僕に上を見せようとしなかった理由がわかった。まず最初に、この空を、こういう視界で、戦場ヶ原は見せたかったのだ。
假如要做不解风情的分析的话,我们是躺着的也有关系吧……我眼前的视野被星空完全埋没,不留余地,令我非常感叹。像这样寻找自己感动的理由,想要保持自我意识这一点,我想就已经缺少纯朴之心了吧。总之,我明白战场原不惜用指甲掐我,也不让我抬头仰望的理由了。因为她希望我第一眼能够用这样的视角,欣赏这片夜空。
いいところ。
好地方。
確かに、こんなにいいところはない。
真的没有比这更好的地方了。
あー……なんだか、ものすごく報われた感じだ。
啊——总觉得,这个回报似乎已经超值。
ここまでの苦労が水に流されていくのを感じる。
我感觉至今的辛苦,都能够既往不究。
「どうかしら──阿良々木くん」
「你觉得如何呢?阿良良木。」
隣の戦場ヶ原が、僕にそう訊いた。
一旁的战场原开口问。
彼女も──同じ空を眺めているのだろう。
她也……同样在眺望这片夜空吧。
「すげえ──正直、言葉にならない」
「太棒了……真的让我无法用言语来形容。」
「語彙が足りないのね」
「你的词汇还真是贫乏呢。」
感動に水を差す毒舌だった。
对我的感动泼冷水的毒舌。
しかし──その程度で。
但是……那种程度。
彼女の吐く毒ですら、この空の下ではその程度で。
她吐出来的毒舌,和这片夜空相比也不过如此罢了。
「あれがデネブ。アルタイル。ベガ。有名な、夏の大三角──ね。そこから横にすーっと逸れて、あの辺りがへびつかい座よ。だからへび座は、あの辺りに並んでいる星になるわね」
「那个是天津四,还有牛郎星和织女星。是著名的夏季大三角。那个的旁边,再往旁边延伸一下,就是蛇夫座。所以巨蛇座,就是排列在那附近的星星。」
戦場ヶ原が、夜空を指をさして、滔々と説明する。
战场原指着夜空,滔滔不绝地说明道。
ライトもなければ星座盤もない解説。
没有灯光也没有星座盘的解说。
それでも何故か、わかりやすかった。
然而不知为何,却浅显易懂。
「あそこのひときわ明るい星がスピカ……だから、あの辺りはおとめ座ね。あっちにかに座……は、ちょっと判別しづらいかしら」
「那边特别亮的星星就是角宿一……所以,那边是处女座。那一边则是巨蟹座……哈,有点难分吧。」
「北斗七星くらいはわかるな」
「北斗七星的话我倒是认得出来。」
「そう。北斗七星はおおぐま座の一部ね──そのすぐそばに、やまねこ座」
「对。北斗七星是大熊座的一部分……再旁边一点的地方,就是天猫座。」
「猫か」
「猫吗?」
「そう」
「对。」
戦場ヶ原はそうやって、一つ一つ、見える限りの星座と、それにまつわるエピソードとを、語ってくれた。まるでそれは、御伽噺を聞いているかのようで、心地よく、僕の内面へと染み込んでくる。
战场原就这样一个个地为我说明眼前看得见的星座,以及其相关的逸闻。那些话语很愉快地渗入了我的心,彷佛在听神话故事一般。
許されることなら。
如果可以的话,
このまま、眠ってしまいたい。
我希望就这样进入梦乡。
「寝たら駄目よ」
「你不能睡着喔。」
しっかり駄目出しが入った。
她坚决地禁止我这么做。
鋭い奴だ。
这家伙真是敏锐。
「吹雪く雪山で遭難した登山家風に言うのなら──寝るな、寝たら殺すわよ」
「如果借用在风雪交加的雪山中遇难的登山家的话来说……不准睡着,睡着了会被杀死的。」
「殺しちゃうの!?」
「会被杀死!」
「そんなこんなで、なにはともあれ」
「如此如此、这般这般,总而言之。」
あらかた、星座の解説を終えて──
星座讲解大致上告了一个段落后——
戦場ヶ原は、平坦に言った。
战场原平静地说。
「これで、全部よ」
「这些,就是全部了。」
「ん……? 何がだ?」
「嗯……?什么全部?」
「私が持っているもの、全部」
「我现在拥有的东西,全部。」
星空を見上げたままで言う戦場ヶ原。
战场原仰望着星空说。
「勉強を教えてあげられること。可愛い後輩と、ぶっきらぼうなお父さん。それに──この星空。私が持っているのは、これくらいのもの。私が阿良々木くんにあげられるのは、これくらいのもの。これくらいで、全部」
「能够教你读书。可爱的学妹和生硬的父亲。还有……这片星空。我现在拥有的东西,只有这样。我能够给阿良良木你的,只有这些。这些就是,全部。」
「全部……」
「全部……」
なんだ……そういうことだったのか?
原来……是这样吗?
一昨日の神原のことも……いや、そもそも、付き合い始めたあの母の日から一ヵ月、ずっとこいつは、そんなことを考えていたのか? 僕からのデートの誘いにも、全く乗ってこなかったことと言い……神原との仲直りのことはイレギュラーとして、あれは、実力テストが終わり、父親と時間が合うのを、待っていたということなのか?
前天神原的事情也是……不对,追根究底来说,她从母亲节开始交往之后,这一个月的时间都在思考这件事吗?她完全不答应我的约会邀请……是因为她想等到实力测验结束,还有配合她父亲的时间吗(我和神原和好的事,姑且当作非她所预料之事)?
羽川の言葉が思い出される。
我想起羽川说过的一句话:
戦場ヶ原さんは、難しいよ──と。
战场原同学很难对付喔。
「まあ、厳密に言えば、毒舌や暴言があるけれど」
「唉呀,严格说起来,还有毒舌和谩骂啦。」
「それはいらない!」
「那两样我不需要!」
「それに、私自身の肉体というのもあるけれど」
「还有,我自己的身体。」
「…………」
私自身の肉体って……。
我自己的身体……
遠回しなようで露骨な言い方だ。
一个看似拐弯抹角的露骨说法。
「それもいらない?」
「这个也不要吗?」
「え、いや……その」
「咦?不……那个。」
いらない──とは、言えないよな?
我不能说……不需要吧?
でも、この場面で、それが欲しいって言うのも、なんか違う気が……。
可是这个场合下,要是我说想要的话,似乎又有点奇怪……
「けれど知っているでしょう? 私はその昔──下種な男に乱暴されかけたことがある」
「可是,你知道吧?我以前……差点被一个下贱的男人非礼。」
「ああ……うん」
「啊……嗯。」
蟹。
螃蟹。
それは──怪異の理由だ。
她所说的……正是怪异出现的理由。
少なくとも、理由の一つだ。
至少是其中一个理由。
怪異には、それに相応しい理由がある。
怪异的出现,都会有一个适当的理由。
「あの下種が私にしようとしたことを、阿良々木くんとするのは、正直言って、怖いわ。いえ──このことについては、トラウマだなんて、そんな洒落た言葉を使うつもりはないのよ。そこまで軟弱なつもりはない。ただ……私は、怖い。付き合う前はそれほどでもなかったのだけれど──私は今、阿良々木くんを嫌いになることが、とても怖い」
「要我和阿良良木做那个下贱男想要对我做的事情,老实说我很害怕。不对……我不打算说用心理创伤这种漂亮的话来当借口。我没有那么软弱。我只是……会怕。在交往以前我完全不这么觉得……可是现在,我很怕自己会讨厌阿良良木你。」
怖い。
害怕。
行為そのものじゃなく、その結果が。
她害怕的不是害怕本身,而是结果。
「私は今、阿良々木くんを失うのが怖い」戦場ヶ原は淡々と言う。
「我现在很怕会失去你。」战场原平静地说。
感情は全く読み取れない。
完全听不出感情的波折起伏。
表情もきっと、無表情だ。
她现在肯定也是面无表情。
「付き合っている相手を嫌いになるのが怖いだなんて、付き合っている相手を失うのが怖いだなんて、おかしな話よね……卵が先か目玉焼きが先か、みたいな感じだわ」
「怕自己会讨厌交往的对象,又怕自己会失去对方,这样说起来还真是奇怪呢……感觉就好像在讨论先有鸡蛋还是先有荷包蛋一样。」
「それは卵が先だろう」
「当然是先有鸡蛋吧。」
「はっきり言って、下らない女になってしまったと思っているわ。原因不明の病に見舞われた悲劇の美少女だったはずなのに──今や私は、男のことばかり考えている浮かれた美少女よ」
「老实说,我一直觉得自己变成了一个无聊的女生。原本我应该是一个被不明疾病所苦的悲剧美少女……现在却是一个满脑子都在想男生的陶醉美少女。」
「どっちにしろ美少女なんだな……」
「不管怎样都是美少女嘛……」
「とにかく、こんな、どこにでもいるような、面白くもなんともない女になってしまったことだけでも、私は阿良々木くんを、恨んでいるくらいなのよ」
「反正,我觉得阿良良木你很可恨,害我变成了这种随处可见、一点都不有趣的女生。」
「はあ……」
「是吗……」
いやあ……十分面白いと思うよ?
不会喔……我倒是觉得你非常有趣喔?
いい台詞の途中で悪いけど。
你说的这么感性,我这么想似乎对你不太好意思。
「でもね──阿良々木くんも知っての通り、これまでの私の人生はあんまり幸福とは言えないものだったけれど……だからこそ阿良々木くんと知り合えたのだと考えると、それを、全部、チャラにしてもいいと思えるのよ」
「不过啊……就如同你所知道的一样,我至今的人生称不上是幸福……可是就是因为这样,我才能够认识阿良良木你,一想到这一点,我想过去的不幸都能够一笔勾销了。」
「…………」
「不幸だったからこそ、阿良々木くんの気を引けたというのなら──それで、よかったと思うの。それくらい、私は、阿良々木くんに参ってしまっている。だから、万一にも、阿良々木くんとあの下種を、私は重ね合わせたくない。勿論、いつまでもこんな甘えたことを言っているつもりはないけれど……、実際、幼稚なことを言っていると思うわ。こんなネンネみたいなこと……こんなウブなネンネみたいなこと……」
「就是因为不幸,才能够吸引你的注意的话……我想就算不幸又何妨呢。我就是如此地,为阿良良木你神魂颠倒。所以,就算有万分之一的可能性,我都不希望把你和那个下贱男的样子重叠在一块……其实,我也知道说这种话很不成熟。就像一个小鬼头一样……就像一个涉世末深的小鬼头一样……」
何故わざわざ格好悪く言い直した。
她不知为何.故意改用了比较逊的说词。
「浅い台詞を言わせてもらえるのなら、阿良々木くんを失うことは、今の私にとっては、半身を失うのと同じことなのよ。だから、少しだけ、それは待って欲しい」
「用比较粗浅的话来说的话,失去阿良良木对现在的我而言,就等于失去了半个身体一样。所以,我希望你能够稍微等我一下。」
「少しだけ──」
「稍微等你——」
「そう。来週くらいまで」
「对。大概等到下礼拜左右吧。」
「早っ!」
「好快!」
「それまでは神原の肉体で我慢しておいて」
「在那之前,请你先用神原的肉体将就一下。」
「すげえこと言われた!」
「这句话好猛!」
「私もその間に神原とリハビリにいそしむわ」
「我也会趁这段时间,和神原努力『复健』的。」
「それ、神原のおいしいとこどりじゃん! あいつの願いだけが全部完璧に叶ってる!」
「那不就正中了神原的下怀嘛!只有她的愿望完全实现了!」
「まあ、来週というのは無理だけど──いつか、絶対に何とかするから、少しだけ、それは待って欲しい。だから、浮かれ女のこの私が、現時点で阿良々木くんにあげられるものは──今のところ、この星空が最後。……子供の頃、お父さんとお母さんと──私とで、来たことがあるのよ」
「总之,下礼拜是没办法啦——不过,总有一天我绝对会想办法的,在那之前,希望你能稍微等我一下。所以,因爱而陶醉的我,现在能够给阿良良木的东西……眼前,这片星空是最后了……小时候,我和父母三个人,曾经来过这里。」
お父さんとお母さんと──三人で。
和父母,三个人。
僕が知っている、戦場ヶ原の家庭の事情を鑑みるに──それは、かなり、昔の話になるだろう。それでも──戦場ヶ原は、憶えていた。
鉴于我对战场原的家庭状况所知……那应该是很久以前的事情吧。即便如此,战场原却没有忘记。
いや。
不。
思い出したのか。
她是突然想到的吧。
忘れていた、思い出を。
想到这个原本已经遗忘的回忆。
「私の、宝物」
「是我的,宝物。」
それは、戦場ヶ原にしては、随分と陳腐な言い回しだったが──しかし、それだけに、かざりっけのない、彼女の本音を聞いた気がした。
对战场原来说,这是一个相当陈腐的说法——不过正因如此,我觉得自己似乎听见了,她不带任何伪装的真心话。
夏の星空。
夏季星空。
家族で見上げた、夏の星空。
从前和家人一同仰望的夏季星空。
これで全部──か。
这些就是全部……吗。
「………………………………」
少なくとも。
至少。
一つだけ、はっきりとわかったことがある。
我清楚明白了一件事情。
戦場ヶ原ひたぎ……こいつ、相当に頭はいいし、常軌を逸して計算高い方でもあるのだろうが、しかして、こと恋愛方面に関しては、戦闘能力ゼロだ。完全にゼロだ。あの母の日、付き合うことになった際のやり取りにおいてもそれは顕著だったが、とにかくこの女、猪突猛進というか、たいまつ8を持たずに洞窟に這入ったRPGの主人公みたいだ。自分の持ち札を全部晒して相手に決断を委ねるような、ある種の恫喝外交みたいな方法論を、惚れた腫れたの微妙な関係内で、使うべきだとでも思ったのだろうか? 情緒もへったくれもありゃしない。そんな迫り方をしたら、百人中九十九人までが、間違いなく引く。それこそ怖いよ。そんなの、恋愛経験皆無の、僕にだってわかるぞ……。
战场原黑仪……或许这家伙头脑相当聪明,城府深密的程度也超乎常轨;但是唯独在恋爱方面,她的战斗能力等于零。完全等于零。这点在母亲节和她交往前的那番对话,也表露无遗,总之这个女孩很莽撞、不顾一切,感觉就像不拿火炬就跑进洞窟里的 RPG 主角一样。她似乎认为这种把底牌亮出来交由对方去判断、类似恫吓外交的方法,在男女这种爱来爱去的微妙关系中也能够通用吧?她甚至完全不表露出自己的情感。这种逼迫方式,一百人当中肯定会有九十九个人退避三舍。就是这么可怕。这点就连完全没有恋爱经验的我也能够明白……
まあ。
唉呀。
これが、僕が九十九人を除いた残りの一人だと見抜いた上での戦略なのだとしたら──それはもう、帽子を脱ぐしかないけれど。
假如这是因为她看穿了我就是那第一百个人,而想出来的计谋——那我也只能甘拜下风了。
やっべえ。
惨了。
ものすごく萌える。
她实在太萌了。
洒落にならないくらい。
萌到让我无法一笑置之。
本当なら、このまま、勢いに任せて、戦場ヶ原に抱きつきたいくらいだったけれど──そんなことで戦場ヶ原を失うのは、僕にしたって御免だった。晒せるような手札は、そもそも僕にはないけれど……、戦場ヶ原との関係は、とりあえず、こんな感じでいいように思えた。
说句真心话,我很想顺着这个气氛,直接紧抱战场原——但我可不愿意因为这点小事而失去战场原。说到底,我根本没有可以摊开的手牌……和战场原的关系,暂时就维持这种感觉也不错。
いらないわけじゃないけれど。
我不是不需要。
一緒に寝転がって星空を見上げる。
我们躺在一块仰望星空。
そんな恋人同士で、僕達はいい。
这样的情侣关系就够了。
プラトニックな関係──だ。
柏拉图式的关系。
「ねえ阿良々木くん」
「吶,阿良良木。」
戦場ヶ原が平坦に言う。
战场原平静地说。
「私のこと、好き?」
「你喜欢我吗?」
「好きだよ」
「喜欢啊。」
「私も好きよ。阿良々木くんのこと」
「我也一样,喜欢阿良良木你。」
「ありがとう」
「谢谢。」
「私のどういうところが好き?」
「你喜欢我什么地方?」
「全部好きだ。好きじゃないところはない」
「我全部都喜欢。没有不喜欢的地方。」
「そう。嬉しいわ」
「是吗。我好高兴。」
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「那你喜欢我什么地方?」
「優しいところ。可愛いところ。私が困っているときにはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ」
「你的温柔。你的可爱。还有每当我遇到困难的时候,你就会像王子一样跑来救我的地方。」
「嬉しいよ」
「我好高兴。」
「そう言えば」と、今気付いた風に言う、戦場ヶ原。「あの下種は、私の身体だけが目当てだったから──私の唇を奪おうとは、全くしなかったわね」
「对了。」战场原宛如现在才想到一般,开口说。「那个下贱男,只想要得到我的身体……没有强吻过我。」
「ふうん? どういうことだ?」
「嗯?这是什么意思?」
「あの下種は、そういった素振りは一切見せなかったと言っているのよ……阿良々木くん。だから」
「我是说,那个下贱男完全没有做过那样的举动……阿良良木。所以……」
そして。
接着,
戦場ヶ原は照れも衒い9もまるで滲ませず、言った。
战场原没有流露出半点的害臊,说:
「キスをします」
「我们接吻。」
「………………」
怖い。
好可怕。
怖いよ、ひたぎさん。
这样好可怕啊,黑仪同学。
「違うわね。こうじゃないわ。キスを……キスをして……いただけませんか? キスをし……したらどうな……です……」
「不对。不是这样。接吻……可以请您……跟我接吻吗?我们……接个吻……怎么样……」
「……………………」
「キスをしましょう、阿良々木くん」
「我们接吻吧,阿良良木。」
「最終的に、そう落ち着くか」
「最后你决定用这种说法吗……」
妥当と言えば妥当なところだった。
要说妥当,的确很妥当。
らしいと言えば、これ以上なくらしい。
要说风格,没有比这更符合她的风格了。
こうして──今日は記念すべき日になった。
就这样……今天变成了一个值得纪念的日子。
僕達にとって。
对我们而言。
Footnotes
-
ノンポリ (nonpolitical):[名]政治に無関心であること ↩
-
濡衣:[名]無実の罪 ↩
-
平気の平左 (「平気の平左衛門」の略):平気であることを、語呂を合わせて人名のように言った言葉 ↩
-
バッテリー:[名]野球で、投手と捕手をいう ↩
-
豈図らんや:全く思いがけないことが起こったという気持ちを表す ↩
-
口火:[名]物事の起こるきっかけや原因 ↩
-
大法螺を吹く:大げさなでたらめを言ったり、大きなことを言ったりする ↩
-
松明:[名]マツのやにの多い部分をタケやカヤ,枯れ草などと束ね,その先端に点火して照明に用いたもの ↩
-
衒う:[動ワ五(ハ四)]自分の学識・才能・行為などを誇って、言葉や行動にちらつかせる ↩