谷崎潤一郎: 细雪(上) 十二
first published:『中央公論』1943年1月号・3月号
audio: https://www.youtube.com/watch?v=vBXDUNMHing
desc: 在大阪船场坐拥百年老店、历史底蕴深厚的莳冈家,鹤子、幸子、雪子、妙子四姐妹交织出百态人情。小说如华美画卷,循着四季流转,细致描绘出昭和十年间关西上流社会的日常光景。
三女雪子是四姐妹中容貌最为出众之人,婚事却屡屡未果,年过三十依旧独身。幸子夫妇为此忧心不已、四处奔走,性格沉默寡言的雪子却对每一门亲事都无意应允,岁月便这般缓缓流逝。
明くる日の夕方、貞之助は家に帰って来ると、「今日井谷さんが事務所へ見えたで」と、幸子の顔を見るなり云った。
第二天傍晚,贞之助刚回家,一见幸子便说:“今天井谷女士到事务所去了。”
「何で又事務所へ行かはったんやろ」
“为什么又去你事务所呀?”
「お宅へお伺いせんならんのですけど、今日用事があって大阪まで参りましたので、そのついでに、奥さんよりは御主人の方がお話が早い存じまして、突然で失礼でございますが此方へお伺いさして戴きました云うねん」
“她说:‘本来应该到府上拜访,正好今天到大阪来办点事儿,我想跟您谈比跟夫人谈更直截了当,所以才突然地来打扰您。’”
「そんで、どんな話?」
“她说了些什么呢?”
「大体ええ話やねんけど、―――ま、彼方へ来なさい」と、貞之助は幸子を書斎へ連れて行って語った。
“大体上还不错,好,我们去那边谈吧。” 贞之助把幸子带到书房。
井谷が云うには、昨夜貞之助たち三人が帰ってから、外の者達は二三十分なおあとに残って話し合った。そして要するに、瀬越は大変乗り気なのであるが、ただ、お嬢様のお人柄やお器量については全く申分ないけれども、お目に懸った感じではいかにもお弱そうに見えるのが気になる。ついては、御病身と云うようなことはないであろうか。そう云えば弟の房次郎も、いつぞや女学校へ行ってお嬢様の在学時代の成績表を見せて貰った時、少し欠席日数が多いように思ったと云うのであるが、女学生時代にたびたび病気をなすったのではないであろうか。 ―――と、そう云う質問であった。
据井谷说,昨天晚上贞之助他们走后,其余的人又谈了二三十分钟。总之,濑越非常满意,对于雪子小姐的人品和容貌都无话可说,只是看上去弱不禁风的样子,担心是否有什么病。井谷的弟弟房次郎早几天去了小姐念过书的女子中学,看了读书时的成绩表,缺课的次数像是不少,是不是在学生时代就时常闹病呢?他们有这么一些疑问。
貞之助は、女学生時代のことは自分は知らないので、欠席日数云々については家内や当人に質してからでなければ何とも申し上げられないが、少くとも自分が知ってから以後、雪子はついぞ病気らしい病気をしたことがない。成る程、きゃしゃで、骨細で、痩せているのは事実であるから、決して強壮な体質とは云えないであろうけれども、兎に角めったに風邪一つ引かないと云う点では、四人の姉妹のうちで一番であり、肉体的労苦に堪える点でも、本家の姉を除いたら、雪子が一番であることは自分が保証する。しかしあの弱々しい風姿を見ては胸の病でもありはしないかと疑った人が今迄にもあったくらいで、御尤もな御懸念と思うから、早速帰って家内や当人に相談をし、本家にも諒解を求めて、御安心のために医者に健康診断をして貰い、出来ればレントゲン写真を撮ってお目にかけるように勧めてみましょう。
贞之助回答说,对那时的情况我也不太清楚。缺课多的问题必须问过我内人和她本人才能奉告。不过,至少从我认识雪子以来,她从来没生过什么大病。的确,雪子长得纤弱、骨骼细、瘦削也是事实,体质说不上强壮,但是,她很少伤风感冒,这一点在四姐妹中应数第一。我可以保证,除开本家的姐姐,能够吃苦耐劳的就数她了。可是,看了她那个弱不胜衣的模样,过去甚至有人怀疑她有肺病,所以濑越先生的担心也不无道理。我想回去后,尽快与内人和她本人商量,再求得本家同意,为了使对方放心,我会劝她去做一次健康诊断,如果可能,照一张 X 光片子给对方看看。
と、そう云うと、いやそんなに迄して戴かないでも、その御説明を伺えば十分ですからと云うことであったが、いやいや、こう云うことははっきりさせて置く方が宜しい、自分にしても保証するとは云ったものの、まだ改まって医者の意見を聞いたことはないのだし、ちょうどよい機会であるから、孰方にしてもそうした方が自分達も安心であるし、本家も同様であると信ずる、あなた方にしたって、胸に何の曇りもないところを写真で一目瞭然と示された方が、どんなにかお気持がよいでしょうからと、そう貞之助は云って置いた。
井谷听贞之助这么一说,便说:“不,不必那样较真,听您的说明就足够了。” 贞之助说:“不,不,这件事还是弄清楚为好。虽然我作了保证,但没有正式听过医生的意见,这正是一个好机会。不管如何,检查一下,我们自己也放心,我相信本家也和我们想法一致。如果给你们送上一张片子,胸部没有任何阴影,一目了然,您也会很高兴吧。”
それで、万一この縁談が纏まらなかったとしても、今後又そんな疑いを受けた時の用意に、この際レントゲンを撮って置くことは無駄でないと思うし、本家もよもや異存はなかろうから、明日にも阪大へ連れて行ったらどうであろうか、と云うのであった。「女学校時代に何でそんなに欠席したんやろ、その時分には病身やったのんかいな」
贞之助对幸子说:“就算这门亲事谈不成,可能今后还会受到这方面的怀疑,现在准备好了 X 光片也不会没有用处,本家也不会有意见,明天就带她去阪大怎么样呢?”随后又追问幸子,“在女子中学念书的时候,缺课那么多,那时是不是有病呢?”
「違いまんねん。その時分の女学校云うたら今みたいにやかましいことあれへなんだよってに、お父さんがいつもズル休みさしては芝居へ連れて行かはってん。わたしかて始終連れてって貰うたよってに、欠席日数調べたら雪子ちゃんより多いやろ思うわ」
“不是,那时的女子中学不像现在这样严格,父亲老让她逃学,好带她上戏院,带我去的更多,如果去调查一下,我缺课比雪子还要多。”
「そんなら、レントゲンのこと、雪子ちゃん承知するやろな」
“那雪子会同意照 X 光吧。”
「けど、阪大でのうてもええことないやろか。櫛田先生のとこにかておまっせ」
“不过,不去阪大也行吧?栉田先生那里也有 X 光机。”
「ああ、そう、それから今一つ、―――このシミが」と、貞之助は自分の左の眼の縁をおさえて見せた。「問題になってん。井谷は、自分はちょっとも気イ付かなんだけれど、男の人達云うもんは案外細かなとこを見てるもんで、昨日あれから、お嬢さんの左の眼の縁にほんの微かなシミがあるような気イする云い出した人があって、僕もそう思うたとか、いやそうやない、光線の加減でそない見えたんやとか、説がいろいろに分れましてんけど、ほんとうにそんなシミがおありでしょうか、云うて聞かれてん」
“哦,对了,还有个问题……就是那褐斑,” 贞之助用手按着自己的左眼圈给幸子看,“这也是个问题。井谷对我说:‘我一点也没注意,但是男人们却出乎意料地看得仔细。昨天你们走后,有人说小姐的左眼圈上有点褐斑,有人同意是斑点,也有人否定说不是斑,是光线使人产生了错觉。各有各的看法,他们问我究竟有没有褐斑。’”
「昨夜はあれが少し見えたのんで、折が悪いなあ思うててんけど、そんならとうとう問題になってんなあ」
“昨天晚上是看到了一点儿,当时我还想真不凑巧,看来毕竟成了问题。”
「そうえらい気にしてるようでもあれへなんだけどな」
“他们好像并不怎么介意。”
―――雪子の左の眼の縁、―――委しく云えば、上眼瞼の、眉毛の下のところに、ときどき微かな翳りのようなものが現れたり引っ込んだりするようになったのは、つい最近のことなので、貞之助などもそれに気が付いたのは三月か半年ぐらい前のことでしかない。貞之助はその時幸子に、いつから雪子ちゃんの顔にあんなものが出始めたのだと、そっと尋ねたのであるが、幸子が気が付いたのもこの頃で、前にはあんなものはありはしなかった。この頃でも、始終ある訳ではなくて、平素はそう思って注意して見ても殆ど分らないくらい薄くなっていたり、完全に消えてしまっていたりして、ふっと、一週間ばかりの期間、濃く現れることがあるのであった。幸子はやがて、その濃く現れる期間は月の病の前後であるらしいことに心づいた。そして、彼女は何よりも、雪子自身がそれをどう感じているか、自分の顔のことであるから誰よりも先にその現象を発見しているに違いないとして、それが何か知ら心理的影響を与えていなければよいが、と云うことを恐れた。一体雪子は、今迄は婚期に後れているからと云って、そう悲観しても僻んでもいなかったのは事実で、それと云うのも、内々自分の容貌に自信を持っていたかららしいのであるが、そこにそう云う思わぬ欠点が生じたと知ったら、どんな気持がするであろうか。幸子はひそかにそう云う懸念を抱きながら、うっかり当人に聞いてみることも出来ないので、折々それとなく雪子の顔色を探りつつ日を送っていたが、表面雪子の素振には何の変化も現れず、殆どそのことに気が付かないのか、問題にしていないかの如くに見えた。
雪子的左眼圈,说准确一点是上眼睑眉毛下的部位,最近有个小翳点时隐时现。贞之助他们也是三个月或是半年前才注意到的。当时贞之助曾暗地里问幸子,雪子脸上什么时候出现了这么个东西呢?其实幸子也是那一阵子才发现它的。之前没有这个东西,即使最近也不是始终出现;平素想看个仔细,它却淡得几乎分辨不出,有时甚至完全消失;忽然有个把星期,颜色又变浓了。幸子很快就注意到褐斑变浓是在月经前后。她最担心的是雪子自己对这褐斑是怎么想的,因为这是她自己脸上的事,她肯定第一个发现,但愿这事没有给她造成什么心理影响才好。虽说至今没有结婚,可雪子并不悲观、乖僻,原因是她对自己的容貌颇有自信;可是,一旦知道自己有这么个意想不到的缺点,她心情又将如何?幸子暗中担忧,但又不能冒失地去问雪子本人,只好不动声色地观察她的神情。表面看来,雪子好像毫无变化,似乎丝毫没有注意到那褐斑,或者说是毫不在乎。
と、或る時妙子が、「中姉ちゃんこれ読んだか」と云って、二三箇月前の或る婦人雑誌を持って来たことがあった。幸子が見ると、その古雑誌の身上相談の欄のところに、二十九歳になる未婚の一婦人が雪子と同じ症状に悩んでいることを訴えているのである。その婦人も最近それに気が付いたので、矢張一箇月のうちにそれが薄くなる時、消えてしまう時、濃くなる時があり、大体来潮時の前後に於いて最も顕著になると云っているのであるが、その答の方を読むと、貴方の如き症状は適齢期を過ぎた未婚の婦人には屡ある生理的現象で、そう心配なさることはない、大概の場合、結婚されれば直きに直るものだけれども、そうでなくても、女性ホルモンの注射を少し続けられても治癒することが多い、と書いてあるのであった。幸子はそう云う知識を授かって先ずほっとしたのであるが、実を云うと幸子自身にも、嘗てそれに似た経験があった。彼女の場合は結婚の後、今から数年前であったが、唇の周りへ、ちょうど子供が餡で口の端をよごしたような風に、黝いシミが出たことがあって、医者に診て貰うと、彼女のその時のはアスピリンの中毒だとのことで、放って置いても自然に直ると云うので、その儘にして置いたら、一年ばかりたつうちに消えてしまって、それきり再発したことはなかった。そんなことを思い合せると、姉妹共にいくらかそう云うシミの出る体質なのかも知れないが、幸子は自分の過去にその経験があり、而も雪子の眼瞼のそれよりは自分の口の端に出たものの方がずっと濃かったのに、それさえ間もなく直った実例があるものだから、もともとそうも心配していなかったところへ、その雑誌の記事を読んだのですっかり安心した訳であった。が、妙子がこの古雑誌を引っ張り出して来た目的は、何とかしてこの記事を雪姉ちゃんに読ませたい、雪姉ちゃんは見たところ変った様子もないようだけれども、お腹の中では独りでくよくよ案じているかも知れないから、ここにこの通り書いてある、何も心配するには及ばないのだと云うことを、知らしてやりたい、そして、結婚すれば直るにしても、出来ればその前に直してしまった方がよいから、進んで治療を受けるように、―――そう云っても雪姉ちゃんのことだから中々気軽には動くまいが、―――折を見て説き付けたい、と云うのであった。
有一天,妙子拿来一本两三个月前出版的《妇女杂志》问幸子看过没有。幸子一看,这本旧杂志的《生活顾问》栏目中,有一位二十九岁的未婚女子,正像雪子一样,自诉有这些恼人的症状。她也是最近才发现,褐斑同样是在一个月中时出时没,时浓时淡,大体是月经前后最为显著。栏目编辑的答复是,像您这样的症状,是过了适龄期而未婚的女子常发生的生理现象,不必为此焦虑不安,一般婚后会痊愈。即使不结婚,连续注射少量女性荷尔蒙也多可治愈。幸子看完之后总算放心了。其实幸子自己也曾有过类似的经验。那是她在结婚以后,距今已有好几年了,嘴唇上长出一些黑斑点,就像小孩吃豆沙馅弄脏了一样。当时去瞧大夫,被诊断为阿司匹林中毒。大夫说不用管它,自然会好的。幸子听了大夫的话,过了一年,褐斑果然消失无影,从此再未复发。联想到那件事,幸子觉得也许姐妹俩都是长褐斑的体质。根据自己的经验幸子知道,自己嘴唇上的褐斑比雪子的颜色深得多,尚且没多久就消失了,因此对雪子的毛病并不怎么担心。这回幸子读了杂志的这段短文以后,更是完全放心了。妙子说拿来这本旧杂志的目的,就是要设法让雪姐读读这篇短文。雪姐虽然表面看来没什么变化,但也许心中闷闷不乐。因此,她想告诉雪子,正如杂志所载,她丝毫不必忧虑。虽然婚后将不治而愈,有可能的话还是婚前治好为佳。妙子想找个机会劝雪子主动接受治疗——虽说雪姐很不容易被说服。
幸子は雪子のシミのことを、今まで誰とも話し合ったことはなかったので、妙子と話したのもその時が始めてであった。彼女は妙子がそのことについて、矢張自分と同じようにひそかに胸を痛めていたことを知ったのであるが、妙子の場合は、雪子のためを思う親身の情愛の外に、雪子が早く縁づいてくれなければ自分と奥畑との結婚が延びると云う打算も手伝っていることが、幸子には察しが付いた。そしてそんならその雑誌を誰が雪子に見せるべきかと云うことを二人で相談した結果、これは妙子の方がよい、幸子だと却って大層らしくもなり、当然貞之助までがその議に与っているように邪推される恐れもあるから、妙子が何気ない風をして軽く切り出したら、と云うことになった。で、その後又雪子の顔にシミが濃く現れていた或る日、彼女がひとり化粧部屋で鏡に向っている時に、偶然妙子がそこに居合せたようにして、
幸子没和任何人谈过雪子长褐斑的事儿,直到这时才开始和妙子谈到。她这才知道妙子也和自己一样为这件事暗中着急,她也看得出来,除了体贴雪子的一份骨肉之情外,妙子心中还有一层算计:雪子如不早日完婚,自己和奥畑的婚期也得拖延下去。那么,究竟由谁送杂志给雪子看呢?两人商量的结果还是妙子去为宜,幸子去送反而是小题大做了,恐怕会使雪子胡乱猜疑,误以为连贞之助也一起商量过;由妙子轻描淡写地谈起这事要好得多。其后有一天,雪子褐斑很显眼时,看她独自在化妆室里照镜子,妙子装作偶然碰上,试着小声说:
「雪姉ちゃん、その眼の縁のもん心配せんかてええねんで」と、小声で云ってみた。
“雪姐,眼皮上的那点东西不用担心。”
雪子はただ鼻で、「ふん」と云っただけであったが、
“嗯。” 雪子只用鼻子哼了一声。
妙子は努めて彼女と視線を合せないように下を向いたままで、「そのこと、婦人雑誌に出てたのん、雪姉ちゃん読んだやろか。まだやったら見せたげよか」
“《妇女杂志》上登了一篇文章,雪姐看过吗?如果还没看过,我拿给你看看吧。” 妙子尽量避免与雪子的视线相交,继续低头说道。
「読んだかも知れん」
“可能看过吧。”
「ふうん、読んだのん。―――それ、結婚したら直るもんやし、注射でも直るもんやねんて」
“啊,看过了?……那东西,说是一结婚就会好的,打针也能治好。”
「ふん」
“嗯。”
「知ってるのん、雪姉ちゃん」
“你知道了,雪姐?”
「ふん」
“嗯。”
妙子には、雪子があまりその問題に触れられたくないので、冷淡に受け流しているのかとも取れたけれども、矢張その「ふん」は肯定の「ふん」であって、ただいつの間にかそんな雑誌を読んでいたことを知られたのが極まり悪さに、空惚けているのらしかった。
妙子感觉雪子是不大愿意触及这个问题,所以才淡漠地应付着。不过,毕竟那个“嗯”还是肯定的回答,大概她只是羞于让人知道她曾经读过那本杂志,因此佯作不知罢了。
恐々雪子に当ってみた妙子は、それですっかり気が楽になったので、「あれ読んだんなら、何で注射せえへんの」とすすめたけれども、雪子はそう気が進まないらしく、その忠告に対しても「ふんふん」と鼻であしらうだけであった。それは一つには、彼女の性分として、誰かが手を取って無理に引っ張り出しでもしなければ、顔馴染のない皮膚科の医者の所へなど診て貰いに行くのは嫌なのであろう、が、一つには端の者が蔭で気を揉んでいるほど、当人はそのシミを神経に病んでいないのであった。そう云えば、妙子がそんな忠告をした後の或る日、悦子が始めて気が付いたらしくて不思議そうに雪子の顔を見詰めながら、
小心翼翼地进行试探的妙子这才松了一口气,便劝她:“你既然看过了,干吗不去打几针呢?” 雪子似乎了无兴趣,对她的忠告也只是鼻子 “嗯” 了两声敷衍了事。就雪子的禀性而言,除非有谁勉强拉着她,否则她是不肯到一位陌生的皮肤科大夫那里去的。另一方面,旁人暗中忧虑不已,她本人竟丝毫不在意那点褐斑。在妙子劝过她后的某一天,悦子好像初次发现了那褐斑,她好奇地瞪着雪子的脸,高声问道:
「あれ、姉ちゃん、眼の周りどないしたん」と、大きな声で聞いたことがあった。
“哎呀!二姨,你眼睛那里是怎么了?”
生憎その場には幸子の外に女中達まで居合せたのが、俄にしーんと黙り込んでしまったが、その時も雪子は案外平気で、何か口の中でもぐもぐと胡麻化した返事をしただけで、顔色一つ変えるではなかった。幸子たちが一番ヒヤヒヤするのは、そう云う風にそれがはっきり出ている時に、雪子と連れ立って街を歩いたり、百貨店などへ行ったりすることであった。姉妹たちにして見れば、雪子は今が結婚前の大切な売り物で、見合いでなくとも着飾って外へ出かければ何処で誰に見られるか分らないのであるから、その前後の一週間ぐらいはなるべく引き籠っていてくれるか、でなければ、出かけるなら出かけるで、化粧でそれを目立たせないように工夫してくれたらよいのに、当人はそう云う点に一向無頓着なのであった。幸子や妙子の見るところでは、雪子の顔は本来厚化粧の似合う顔だけれども、その翳りが現れている期間は、お白粉を濃くすると、斜めに光線を透かした時に、却って真っ白な地肌の下に鉛色の部分がくっきり沈澱して見えるので、寧ろその期間はお白粉を薄くして、頬紅を濃く着けた方がよいように思えた。ところが雪子は平素から頬紅を着けるのが嫌いなので、(彼女が肺病などありはしないかと疑われたのも、一つはそう云う青白い化粧のせいなのであるが、妙子は又反対に、お白粉を着けないでも頬紅だけは必ず着けた)相変らず厚化粧をして外出する。と、そんな折に運悪く知っている人に遇ったりした。或る時妙子は、一緒に電車に乗って見るとその日は殊に目立っているので、そっと紅を取り出して、
不凑巧,在场的除了幸子以外还有一些女佣。刹那间,全场阒然无声。当时,雪子却平静得出乎意料,她面不改色,只是含含糊糊地说了些什么支吾过去。最令幸子和妙子提心吊胆的是褐斑很显眼的时候,雪子和她们一起遛大街、逛商店。在姐妹们看来,如今的雪子正处在婚前阶段,就像一件待售的重要货物。纵令不是去相亲,只要是盛装外出,说不定在什么地方就会被谁看见。所以在褐斑出现的那个星期内,必须深居简出,即使出去,化妆时就要多花点心思遮掩;可她本人却毫不介意。在幸子和妙子看来,雪子的脸本宜浓妆艳抹,但在褐斑明显时若搽的底粉过厚,光线从侧面射来,反而清晰地映衬出白净皮肤下的铅黑色褐斑,这期间倒不如薄薄地敷一层粉,再多搽点胭脂为好。无奈雪子素来讨厌搽胭脂(人们怀疑她有肺病,原因之一就是这种苍白的妆容,而妙子却恰恰相反,即使不敷粉也少不了要搽胭脂),她仍旧敷厚粉化妆出门,有时运气不佳还真碰到了熟人。有一次,妙子和她一起乘电车,看见她脸上褐斑特别引人注目,就悄悄地掏出胭脂盒来递给她说:
「これ着けなさい」と、
“搽搽这个吧。”
渡してやったことがあったが、端からそのくらいに仕向けても、当人はあまり感じないらしかった。
尽管旁人如此在意这件事,雪子本人却漠不关心似的。