谷崎潤一郎: 细雪(上) 二
first published:『中央公論』1943年1月号・3月号
audio: https://www.youtube.com/watch?v=XO00BzISfWU&t=1s
desc: 在大阪船场坐拥百年老店、历史底蕴深厚的莳冈家,鹤子、幸子、雪子、妙子四姐妹交织出百态人情。小说如华美画卷,循着四季流转,细致描绘出昭和十年间关西上流社会的日常光景。
三女雪子是四姐妹中容貌最为出众之人,婚事却屡屡未果,年过三十依旧独身。幸子夫妇为此忧心不已、四处奔走,性格沉默寡言的雪子却对每一门亲事都无意应允,岁月便这般缓缓流逝。
井谷と云うのは、神戸のオリエンタルホテルの近くの、幸子たちが行きつけの美容院の女主人なのであるが、縁談1の世話をするのが好きと聞いていたので、幸子はかねてから雪子のことを頼み込んで、写真を渡しておいたところ、先日セット2に行った時に、「ちょっと奥さん、お茶に附き合って下さいませんか」と手の空いた隙に幸子を誘い出して、ホテルのロビーで始めてこの話をしたのである。
井谷是神户东方饭店附近一家美容院的老板娘,幸子姐妹是她的老主顾。幸子听说她热衷于做媒,早就托她为雪子物色个对象,还搁了一张照片在她那儿。前不久,幸子去做头发时,她瞅空走过来说:“太太,能陪我去喝杯茶吗?” 随后便把幸子邀到饭店的候客厅里,开始说起此事:
実はこちらへ御相談をしないで悪かったけれども、ぐずぐずしていて良い縁を逃がしてはと思ったので、お預かりしてあったお嬢様のお写真を何ともつかず先方へ見せたのが、一箇月半程も前のことになる。それきり暫く音沙汰がなかったので、自分は忘れかけていたのであったが、先方ではその間にお宅さんのことを調べた模様で、大阪の御本家のこと、御分家のお宅さんのこと、それから御本人のことについては、女学校へも、習字やお茶の先生の所へも、行って尋ねたらしい。それで御家庭の事情は何も彼も知っていて、いつかの新聞の事件なども、あの記事が誤りだと云うことはわざわざ新聞社まで行って調べて来ているくらいなので、よく諒解していたけれども、なお自分からも、そんなことがあるようなお嬢様かどうかまあお会いになって御覧なさいと云って、納得が行くように説明はしておいた。先方は謙遜して、蒔岡さんと私とでは身分違いでもあり、薄給の身の上で、そう云う結構なお嬢様に来て戴けるものとも思えないし、来て戴いても貧乏所帯3で苦労をさせるのがお気の毒のようだけれども、万一縁があって結婚出来るならこんな有難いことはないから、話すだけは話してみてほしいと云っている。自分の見たところでは、先方も祖父の代までは或る北陸の小藩4の家老職5をしていたとかで、現に家屋敷の一部が郷里に残っていると云うのであるから、家柄の点ではそうではそう不釣合でもないのではあるまいか。お宅さんは旧家でおありになるし、大阪で「蒔岡」と云えば一時は聞えていらしったに違いないけれども、―――こう申しては失礼であるが、いつ迄もそう云う昔のことを考えておいでになっては、結局お嬢様が縁遠くおなりになるばかりだから、大概なところで御辛抱なすったらいかがであろうか。現在では月給も少いけれども、まだ四十一だから昇給の望みもないことはないし、それに日本の会社と違ってわりに時間の余裕があるので、夜学の受持時間の方をもっと殖やして四百円以上の月収にすることは容易だと云っているから、新婚の所帯を持って女中6を置いて暮して行くには先ず差支えあるまい。人物については、自分の二番目の弟が中学時代の同窓で、若い時からよく知っているので、太鼓判を捺すと云っている。そう云ってもお宅さんの手で一往お調べになるに越したことはないけれども、結婚がおくれた原因は全く器量好みのためで外に理由はないと云うのが、矢張ほんとうらしく思える。それは巴里にも行っていたのだし、四十を越してもいることだから、まるきり女を知らない筈はないだろうけれども、自分がこの間会って見た感じでは、それこそ生真面目なサラリーマンで、遊びの味などを知っていそうな様子は微塵もなかった。器量好みなどと云うことは、得てそう云う堅人によくあるものだが、その人も巴里を見て来た反動でか、奥さんは純日本式の美人に限る、洋服なんか似合わなくてもよい、しとやか7で、大人しくて、姿がよくて、和服の着こなし8が上手で、顔立も勿論だけれども、第一に手足のきれいな人がほしいと云う注文なので、お宅のお嬢様なら打ってつけだと思うのであるが、―――と云うような話なのであった。
“说实在的,事前没和您商量有失妥当,但是我担心磨磨蹭蹭会错失良缘,就自作主张把小姐的照片给对方看了。这是一个半月前的事儿了。从那以后,毫无消息,连我自己也快忘记了。在这段时间里,对方像是调查了府上的情况,包括你们大阪的本家和分家的情况,还有雪子小姐念过书的女子中学和教过她书法、茶道的老师那儿,都似乎打听遍了。府上的情况他都一清二楚,为了那次登了报纸的新闻事件以及消息失实的事情,他还特意去报社查对过了,表示能够谅解。尽管他这样说了,我还是对他说,只要见雪子小姐一面就知道她是不是做那种事的主儿。我的说明也获得了他的理解。他谦逊地说:‘莳冈家和我身份不同,何况我收入微薄,从没想过能高攀这么一位大家闺秀。她一旦嫁过来,还要操持这样一个贫寒的家庭,我也过意不去。万一有缘能和她结婚,那真是无比幸运!’ 他拜托我成不成都来说一说。据我所知,直到他祖父那一辈都在北陆地方一个小藩主家做家臣长,现在故乡还保留了原来邸宅的一部分,在门第方面也许并非很不相称。府上自然是世家望族,在大阪莳冈家可说是名噪一时。不过,恕我说句失礼的话,如果老放不下昔日的门望,到头来只能使小姐的婚事一误再误。所以,我认为大体差不多就屈就一下,您看怎么样呢?他说了,现在月薪固然不多,但是才四十一岁,并非没有加薪的希望。而且,他那家公司与日本的公司不同,空闲时间比较多,只要他在夜校多上几节课,一个月收入四百元以上应该不成问题,成家后不难过上使唤女佣的日子。至于人品,我二弟和他是初中同学,从小就非常了解,一口打了包票。话虽这样说,最好府上去调查一番。他迟迟没有结婚,除了挑拣女方姿色以外,没有任何别的原因,我想还是可信的。他去过巴黎,现在已经年过四十,哪有从未近女色之理?但是,据我上次和他见面的印象,真是一个循规蹈矩的职员,没沾染一点点寻花问柳的习气。看重姿色,像他这样的规矩人也是常有的事,他受过巴黎的熏陶,但偏偏娶太太要娶纯日本式的美人。不适宜穿西装也不打紧,只要举止端庄,性格温柔,仪态优雅,穿和服很适称,容貌美丽自不必说,第一要手脚长得漂亮。我想府上的小姐再合适不过了。”
長らく中風症で臥たきりの夫を扶養しつつ美容院を経営して、かたわら一人の弟を医学博士にまでさせ、今年の春には娘を目白に入学させたと云うだけあって、井谷は普通の婦人よりは何層倍か頭脳の廻転が速く、万事に要領がよい代りに、商売柄どうかと思われるくらい女らしさに欠けていて、言葉を飾るような廻りくどいことをせず、何でも心にあることを剥き出しに云ってのけるのであるが、その云い方がアクドクなく、必要に迫られて真実を語るに過ぎないので、わりに相手に悪感を与えることがないのであった。
井谷经营美容院,照顾因中风而长年卧床的丈夫,不但把一个弟弟培养成了医学博士,今年春上又把女儿送到目白的日本女子大学读书去了。与一般女人相比,井谷的头脑不知灵活多少倍,精明干练;但以一个美容院老板娘的标准来衡量,似乎还有点欠缺,她不会花言巧语或拐弯抹角,心里有什么就不加掩饰地倒出来。幸亏她说话不过分,迫不得已时也不过说出事实真相,并没给人留下什么坏印象。
幸子も最初、井谷がいつもの急き込むような早口でしゃべるのを聞いていると、随分この人はと思うところもあったけれども、段々聞いて行くうちに、男勝りの親分肌9な気象から好意で云ってくれていることがよく分るし、それに何よりも、理路整然と、打ち込む隙もなく話しかけて来られるので、ぐっと俯伏せに取って抑えられてしまった感じがした。そして、では早速本家の方とも相談をし、又此方でもその人の身元を調べるだけは調べさせて戴いてと、その時はそう云って別れたのであった。
幸子最初听井谷这样连珠炮似的说话,也有些不习惯,但渐渐听多了,也就了解到她那胜似男人的女中豪杰的性情,知道她的话出于好意。而且,她说话有条有理,不给人插嘴的余地,幸子只有低头静听的份儿,觉得完全被她说服了。当时,幸子说要尽快和本家那边商量,还要调查对方的身世,说罢便告辞了。
幸子の直ぐ下の妹の雪子が、いつの間にか婚期を逸してもう卅歳にもなっていることについては、深い訳がありそうに疑う人もあるのだけれども、実際はこれと云うほどの理由はない。ただ一番大きな原因を云えば、本家の姉の鶴子にしても、幸子にしても、又本人の雪子にしても、晩年の父の豪奢な生活、蒔岡と云う旧い家名、―――要するに御大家であった昔の格式に囚われていて、その家名にふさわしい婚家先を望む結果、初めのうちは降る程あった縁談を、どれも物足りないような気がして断り断りしたものだから、次第に世間が愛憎をつかして話を持って行く者もなくなり、その間に家運が一層衰えて行くと云う状態になった。だから「昔のことを考えるな」と云う井谷の言葉は、ほんとうに為めを思った親切な忠告なので、蒔岡の家が全盛であったのはせいぜい大正の末期までのことで、今ではその頃のことを知っている一部の大阪人の記憶に残っているに過ぎない。いや、もっと正直のことを云えば、全盛と見えた大正の末頃には、生活の上にも営業の上にも放縦であった父の遣り方が漸く祟って来て、既に破綻が続出しかけていたのであった。それから間もなく父が死に、営業の整理縮小が行われ、次いで旧幕時代からの由緒を誇る船場の店舗が他人の手に渡るようになったが、幸子や雪子はその後も長く父の存生中のことを忘れかねて、今のビルディングに改築される前までは大体昔の俤をとどめていた土蔵造りのその店の前を通り過ぎ、薄暗い暖簾の奥を懐しげに覗いてみたりしたものであった。
幸子下面的妹妹雪子,不知不觉三十岁了还没结婚,颇让人怀疑有什么隐情,实际上并没有什么特殊的理由。最主要的原因是本家的鹤子、幸子还有雪子本人,都被父亲晚年豪奢的生活、莳冈家族的门望,总之是为名门望族昔日的资格地位所羁绊,总希望匹配门当户对的人家。最初来说媒者络绎于途,她们都感到不十分满意而一一拒绝,招致许多人怨恨,终于没人来登门提亲了;同时,莳冈家的家运也进一步走向衰落。因此,井谷说 “不要放不下昔日门望”,确实是金玉良言。莳冈家族的全盛时代,充其量只到大正末期。时至今日,只有为数不多的大阪人还记得其昔日的辉煌。不,更直率地说,即使是繁华一时的大正末年,也因为父亲在生活上、经营上的放纵开始招致恶果,衰颓之势日渐显露。此后不久,父亲去世,家人收缩营业规模,把那个从旧幕时代起就拥有的引以为傲的船场的店铺转让他人。此后很久,幸子和雪子都难以忘怀父亲在世时的一切。在改建为今日的高楼之前,那店铺大体保持着昔日的格局,每当她们打店前路过,总要向那挂在店前、标有“莳冈”商号字样的发暗的门帘后的幽深处,怀恋地偷看几眼。
女の子ばかりで男の子を持たなかった父は、晩年に隠居して家督10を養子辰雄に譲り、次女幸子にも婿を迎えて分家させたが、三女雪子の不仕合せは、もうその時分そろそろ結婚期になりかけていたのに、とうとう父の手で良縁を捜して貰えなかったこと、義兄辰雄との間に感情の行き違いが生じたこと、などにもあった。
因为只有女儿没有儿子,父亲晚年赋闲以后,把家业交给女婿辰雄管理,二女幸子也招了女婿,住到分家去了,三女雪子的种种不幸在于她到了适婚年龄,由父亲操办物色、缔结良缘终告失败,却又和姐夫在感情上产生了隔阂。
いったい辰雄は銀行家の忰11で、自分も養子に来る迄は大阪の或る銀行に勤めていたのであり、養父の家業を受け継いでからも実際の仕事は養父や番頭がしていたようなものであった。そして養父の死後、義妹たちや親戚などの反対を押し切って、まだ何とか蹈ん張れば維持出来たかも知れなかった店の暖簾を、蒔岡家からは家来12筋に当る同業の男に譲り、自分は又もとの銀行員になった。それと云うのは、派手好きな養父と違い、堅実一方で臆病でさえある自分の性質が、経営難と闘いつつ不馴れな家業を再興するのに不向きなことを考え、より安全な道を選んだ結果で、当人にすれば養子たる身の責任を重んじたからこその処置なのであるが、雪子は昔を恋うるあまり、そう云う義兄の行動を心の中で物足りなく思い、亡くなった父もきっと自分と同様に感じて、草葉の蔭13から義兄を批難しているであろうと思っていた。
辰雄是银行家的儿子,入赘之前在大阪一家银行任职,继承岳父家业以后,实际生意仍由岳父和掌柜打理。岳父去世后,他不顾妻妹们和众多亲戚的反对,把也许还可勉力支撑的店铺连同商号,都转让给同行业的莳冈家的一个伙计,自己又回到原来那家银行工作。不像岳父那样喜好浮华,他行事稳健,甚至未免有些怯懦,要克服种种经营困难以重振自己不熟悉的家业,他觉得难以胜任,才选择了比较稳妥的道路。辰雄正是重视其作为赘婿之责任才采取了这种措施;而雪子却过于留恋往昔,对姐夫的举措心怀不满,并认为亡父也一定和自己想法一致,在九泉之下也会责难姐夫。
と、ちょうどその時分、―――父が死んで間もない頃、義兄がたいそう熱心に彼女に結婚をすすめた口があった。それは豊橋市の素封14家の嗣子で、その地方の銀行の重役をしている男で、義兄の勤める銀行がその銀行の親銀行になっている関係から、義兄はその男の人物や資産状態などをよく知っていると云う訳であった。そして豊橋の三枝家ならば格式から云っても申分はないし、現在の蒔岡家に取っては分に過ぎた相手であるし、本人も至って好人物であるからと、見合いをするまでに話を進行させたのであったが、雪子はその人に会って見て、どうにも行く気になれなかったのであった。と云うのは、別に男振がどうこうと云うのではないが、如何にも田舎紳士と云う感じで、なるほど好人物らしくはあるけれども、知的なところが全くない顔つきをしていた。聞けば中学を出た時に病気をしたとかで上の学校へは這入らなかったと云うのであるが、恐らく学問の方の頭は良くないのであろうと思うと、女学校から英文専修科までを優秀な成績で卒業した雪子としては、さきざきその人を尊敬することが出来そうもない懸念があった。それに、いくら資産家の跡取で生活の保証はあるにしても、豊橋と云うような地方の小都会で暮すことは淋しさに堪えられない気がしたが、それには誰よりも幸子が同情して、そんな可哀そうなことがさせられるものかと云ったりした。義兄にしてみれば、義妹は学問はよく出来たかも知れないけれども、少し因循過ぎるくらい引っ込み思案15の、日本趣味の勝った女であるから、刺戟の少い田舎の町で安穏に暮して行くのには適しているし、定めし本人にも異存はあるまいと極めてかかったのが、案に相違したのであったが、内気で、含羞屋で、人前では満足に口が利けない雪子にも、見かけに依らない所があって、必ずしも忍従一方の婦人ではないことを、義兄が知ったのはその時が最初であった。
正在这节骨眼上——父亲逝世后不久,有人来提亲,姐夫很热心地为雪子的婚事奔波了一阵。对方是丰桥市富家的嗣子,在当地银行任董事,而姐夫工作的银行是那家银行的上级行,姐夫自是十分清楚其人品及其财产状况。姐夫认为丰桥市的三枝家的地位无可挑剔,已非今日的莳冈家可以比拟,男方本人也是一等一的老实人,于是安排他们相了亲。可雪子见过一面后,下嫁此人的心思顷刻烟消云散。并非因对方长相如何不堪,而是他有一股土老财的味儿,虽然老实忠厚之态可掬,却全无一点灵光的模样。听说他初中毕业后因病没有升学,恐怕学问也不会很好。从女子中学到英语专科,雪子都以优秀成绩毕业,她担心将来难以尊敬这么一个男人。此外,纵说拥有万贯家财,可保生活无虞,但一想到要在丰桥那种小城镇过日子,也觉得寂寞难耐。幸子比谁都同情雪子,说无论如何都不能让雪子去受那份罪。在姐夫看来,雪子也许真有学问,但是有点过于因循守旧,消极保守,是个富于日本情趣的女子,最适合在尘嚣甚少的小城镇安身立命,便认定她不会反对。但是,出人意料的是,这位腼腆、羞怯、在人前不善言辞的雪子,也有与其外表不同之处,并不是那种百依百顺的女子,姐夫直到此时此刻才明白了这一点。
が、雪子にしても、お腹の中ではっきり「否」にきまっていることなら、早くそう云えばよいものを、どうとも取れるような生返事ばかりしていて、いよいよとなってから、それも義兄や上の姉には云わないで、幸子に打ち明けたのは、一つには余りにも熱心な義兄の手前、云い出しにくかったせいもあろうが、そう云う風に言葉数の足りないのが、彼女の悪い癖なのであった。
雪子心中已断然否定了这门亲事,若能早将话挑明就好了,偏偏她的回答老是含糊其词,等到最后关头,她还不对大姐和姐夫讲,仅仅和幸子说了真心话。原因之一是在过于热心的姐夫面前难以启齿,而如此不爱讲话,自然也是雪子的性格缺陷。
そのために義兄は内心否でないものと感違いをし、先方も見合いをしてからは、急に乗り気になって是非にと懇望して来ると云う訳で、話は退っ引きならない所まで進んだのであったが、一旦「否」の意志表示をしてからの雪子は、そうなると義兄や上の姉が代る代る口を酸くして頼むようにして勧めても、最後まで「うん」と云うことは云わないでしまった。
因此,姐夫误以为她内心并不反对。男方相亲之后,顿时热情高涨,恳求一定要成全这门亲事,事情已发展到退无可退的地步了,可雪子一旦表示了自己的意志 “不”,不管姐夫和大姐怎样轮番苦口相劝,最后她也没吐出一个 “好” 字来。
今度は泉下の養父にも喜んで貰えると思ってかかった縁談であるだけに、義兄の失望は大きかったが、それより困ったのは、先方に対し、仲に立って斡旋してくれた銀行の上役の人に対し、今更挨拶のしようがなくて冷汗の出る思いをしたこと、―――それも、尤もに聞える理由があるならばだけれども、顔が知的でないなどと下らぬ難癖をつけて、こんな、二度とありそうにもない勿体ない縁を嫌うと云うのは、ただ雪子の我が儘で、邪推をすれば、故意に兄を苦しい立ち場に陥れてやろうと云う底意があるのではないかとさえ、取れないでもなかった。
姐夫本以为这门亲事足以告慰泉下的岳父,正因如此,他深感失望,更使他难堪的是,事到如今,见到对方,见到从中撮合此事的银行上司,该怎么交代呢。想到这里,他不由得冷汗直冒。尤其是拒婚的理由能够服人也就罢了,竟然说男方显得不怎么灵光,居然如此吹毛求疵!雪子不同意这门似乎不可再得的、难以高攀的亲事,只因她过于任性;而姐夫却难免不往坏里想:是不是雪子故意使我难堪呢?
それから此方、義兄は雪子の縁談には懲り懲りした形で、他人が持って来てくれる話には喜んで耳を傾けるけれども、自分が積極的に取り持つことや、先に立って良い悪いの意見を述べることは、出来れば避けたいと云う風に見えた。
吃一堑长一智,从此姐夫对雪子的婚事就不怎么沾手了,能躲则躲,有人来提亲,他固然乐意听听,但不再积极主动地承担此事,或是像以前那样首先表态说长道短了。
Footnotes
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縁談:[名]候補者を挙げてする結婚や婿養子縁組みの話 ↩
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セット:[名]髪の形を整えること ↩
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所帯:[名]一家を構えて独立した生計を営むこと ↩
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小藩:[名]領地の石高の少ない藩 ↩
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老職:[名]幕府の大老または老中などの称 ↩
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女中:[名]料理屋、旅館、また、一般の家に雇われて台所仕事などの下ばたらきをする女性 ↩
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淑やか:[形動]性質や動作がもの静かで上品であるさま ↩
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着こなし:[名]衣服の着方 ↩
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親分肌:[名]親分のように頼り甲斐があり、仲間の面倒をよくみる気性 ↩
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家督:[名]その家を継ぐべき子 ↩
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忰:[名]自分の息子をへりくだっていう語 ↩
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家来:[名]主君や主家に仕える者 ↩
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草葉の蔭: 墓の下。あの世 ↩
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素封:[名]位や領土はないが、諸侯に匹敵する富を持っていること ↩
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引っ込み思案:[名・形動]内気で、積極的に人前に出たり自分から行動を起こしたりすることができないこと ↩