谷崎潤一郎: 细雪(上) 二十八
first published:『中央公論』1943年1月号・3月号
audio: https://www.youtube.com/watch?v=q3Wm3NFNoFc
desc: 在大阪船场坐拥百年老店、历史底蕴深厚的莳冈家,鹤子、幸子、雪子、妙子四姐妹交织出百态人情。小说如华美画卷,循着四季流转,细致描绘出昭和十年间关西上流社会的日常光景。
三女雪子是四姐妹中容貌最为出众之人,婚事却屡屡未果,年过三十依旧独身。幸子夫妇为此忧心不已、四处奔走,性格沉默寡言的雪子却对每一门亲事都无意应允,岁月便这般缓缓流逝。
当日は、もうお水取が済んだにしてはうすら寒い日で、風はないけれども、雪模様の、どんよりした空あいであった。貞之助は朝起きるとから、出血はまだ止まらんのんか、と、第一にそれを気にしていたが、午後にも早く帰って来て、どうや、出血はと、又尋ね、気分が悪かったら今からでも断ったらええ、今日のところは僕一人でも勤まるさかいに、と云ったりした。幸子はそう聞かれる度に、幾らかずつ良い方で、出るものも微量になりつつあると答えてはいたものの、実は昨日の午後あたりから何度も電話口へ立ったりして体を動かしたのが障ったらしく、今日は却って量が殖えているのであった。そして、長いこと風呂へ這入らない顔や襟頸を簡単に洗っただけで、鏡台の前に坐って見ると、いかにも貧血しているのがよく分る色つやをしてい、我ながら窶れが目立っていることを感じたが、妹さんの見合いに附き添う時には精々地味に作るようにと、いつぞや井谷に注意されたこともあるし、このくらい衰えていたらちょうどよいのではあるまいかと思ったことであった。
这一天,虽说汲水节已过,天气还有点冷。虽然没有风,但是天空阴沉,像要下雪的光景。贞之助早晨起床第一件事就问幸子:“出血还没止吗?”下午他提前回家了,又问幸子:“怎么样?还出血吗?”并说,“如果身体不舒服,现在去推辞还来得及,今天这事,我一个人就够了。”幸子每当听到这样的问话时,总是回答说一点点见好,出血也越来越少。事实上,由于昨天下午去书房打了好几次电话,走动太多,今天出血量反而多了。加之她好多天没洗澡了,只把脸和脖子简单地洗了一洗,坐在镜台前一看,显然是一副贫血的脸色,自己都觉得太憔悴了。转而一想,井谷不是说过,陪妹妹去相亲时要尽量打扮得朴素一些,这么个衰萎的模样不是正好吗?
ホテルの玄関で待ち構えていた陣場夫人は、雪子を中に挟みながら夫婦が這入って来たのを見ると、すぐ寄って行って、
等候在饭店门口的阵场夫人,看见雪子夹在幸子夫妇当中走进来,立刻迎上前去:
幸子さん、旦那さんに紹介して」と云いながら、「あなた」と、自分のうしろに、二三歩離れて謹直な恰好をして突っ立っている夫の仙太郎を麾いた1。
“幸子夫人,让我介绍一下,这是我丈夫。”说着便招呼恭恭谨谨地站在她身后两三步远的丈夫仙太郎:“你来呀!”
「初めまして。わたくしが陣場です。いつも家内が御厄介になっとりまして。………」
“初次见面,我是阵场。贱内经常给你们添麻烦……”
「いえ、此方こそ。………この度は又奥さんに並々ならぬ御配慮に与りまして有難う存じます。殊に今日はいろいろと手前勝手を申しまして、何とも相済まぬことで、………」
“不,不,是我们经常麻烦夫人,这次又有劳夫人无微不至的关照,十分感谢!特别是今天,我们提的要求也未免太只顾自己了,真是对不起……”
「あのなあ、幸子さん、………」と陣場夫人がその時小声になって云った。「………野村さんそこに見えてなさるよって、今紹介するけれど、何せわたし等かて社長さんとこで一二遍会うたことがあるぐらいで、そんなに懇意と云うのんと違うさかい2に、何やけったい3な工合やねん。………そんで、本人さんのことについては私等何も知らんよってに、あんた等から直接何でも聞いてほしいねんわ」夫人にしゃべらして傍で黙って聞いていた陣場は、このひそひそ話が終るのを待って、
“喂,幸子夫人……”阵场夫人这时小声说,“野村先生已经在里面等着了,我这就给您介绍。不过,我们和他也只是在总经理先生那儿见过一两次,并不怎么熟悉,总觉得有点儿不自然……因此,关于他本人的情况我们什么也不知道,无论什么希望你们直接问他。”阵场默默地站在夫人旁边,听她喋喋不休地说着,待她这段悄悄话终了才说:
「ではどうぞ彼方へ」と、物を押し戴くように片手をさし出して小腰を屈めた。
“请,请到这边来!”他彬彬有礼地微弯着腰伸出一只手。
幸子達夫婦は紹介されるより前に、写真で見覚えのある紳士がロビーの椅子に独り腰かけているのを認めた。先方も、吸いかけていた煙草を灰皿にこすりつけて、性急な動作で二三度ゴシゴシと火を圧し潰してから立ち上ったが、―――体格は思いの外頑丈で、しっかりしているように見えるが、幸子が案じていた通り、写真以上に老人臭い、じじむさい容貌をしている。第一に写真では分らなかったけれども、髪の毛が、禿げてはいないが、半分以上白髪で、一面に薄く、ちぢれて、もじゃもじゃと、ひどく汚らしく生えていて、顔は非常に小皺が多い。先ずどう見ても五十四五歳ぐらいには見える。実際の歳は貞之助より二つしか上でないと云うのに、野村の方がたしかに十は上に見えよう。まして雪子とでは、彼女がまた実際よりも七八歳も若く、ようよう廿四五としか見えないので、まるで父子のような差があって、こんな所へこの妹を引っ張って来たと云うことだけでも、幸子は何か妹に済まないことをしたような気がした。
幸子夫妇没等介绍,便凭照片的印象认出了野村。他独自坐在候客厅的椅子上,慌忙把点燃的香烟在烟灰缸里摁三两下弄灭了站了起来。他体格意想不到地健壮、结实,但不出幸子所料比照片更要显老,一副猥琐的容貌。首先是在照片上没看出来,他虽没秃顶,头发却白了一大半,稀稀拉拉地拳曲着,脏兮兮、乱蓬蓬的,脸上有很多小皱纹,看来少说也有五十四五岁。他实际年龄只比贞之助大两岁,但外表却像大十岁。何况雪子又显年轻,勉强看也只像二十四五岁,他俩完全像是父女。幸子觉得,光是把妹妹拉到这里来相亲,就已经对不起她了。
六人は双方の紹介が終ってから、そのままお茶のテーブルを囲んで話し合ったが、巧い工合に雑談が弾んで来ないで、時々皆が黙り込んでしまった。それは野村と云う人が、何処か取り着きにくい感じのするせいでもあるが、介添役の陣場夫婦が又、野村に対してひどく遠慮して、固くなっている風があった。多分陣場にして見れば、相手が恩人たる浜田の従弟であると思うところから、自然に出て来る態度なのであろうが、それにしても少し卑屈過ぎるように見える。いつもであると、こう云う時に座を白けさせないくらいな如才なさは、貞之助夫婦の方で持ち合せているのだけれども、今日は幸子が気勢が上らず、貞之助も亦妻の気分に影響されて多少陰鬱になっていた。
双方介绍完毕,六个人围着茶桌交谈,谈得很不投机,时不时出现冷场。因为野村这个人使人感到难以接近,而居中介绍的阵场夫妇又对野村很客气,更显得拘谨。因为野村是恩人滨田的表弟,所以阵场夫妇很自然地流露出这种态度,但是看上去却过于卑躬屈膝了。平时,贞之助夫妇在这种场合会很有技巧地避免冷场,但今天幸子精神不振,贞之助也受到妻子心情的影响,多少有些郁郁寡欢。
「野村さんの県庁でのお仕事は、主にどう云うようなことを、―――」
“野村先生在县府工作,主要是哪些方面呢?”
でも、そんなような質問からぽつぽつ話がほごれ出して、仕事と云うのは兵庫県下の鮎の増産に関する指導、視察等が主であること、県内では何処の鮎が美味であるかと云うこと、竜野や滝野の鮎のこと、等々が語られて行った。陣場夫人はその間に、「ちょっと、………」と、幸子を物蔭へ引っ張って行って立ち話をし、野村の傍へ戻って来て耳打ちをし合い、電話室へ走って行き、又もう一度幸子を呼び立てるなど、何かと奔走していたが、夫人が席に復してしまうと、
听见贞之助这样问他,野村才慢慢地说开了。他说他的工作主要是指导和视察兵库县全县的香鱼生产,并谈到了县内何处的香鱼味美以及龙野和瀑野的香鱼,等等。这期间,阵场夫人把幸子叫到一旁站着谈了些什么,又回到野村旁边讲了几句耳语,随后跑进电话室,回来后再次喊幸子到一旁嘀咕,如此奔忙了一阵子,才回来就座。
今度は幸子が、「ちょっと」と云って、貞之助を呼んで立って行った。
她一就座,幸子说声“你来一下”,把贞之助叫出去了。
「何やねん」
“什么事?”
「あのなあ、会場のことやねんけど、あんた、山手の北京楼云う支那料理屋知ってなさる?」
“喏,就是上哪家馆子的事,你知道山手的北京楼那家中国餐馆吗?”
「いや、知らん」
“不,不知道。”
「野村さんいつもそこへ行かはるのんで、そこにしてほしい云やはるねんて。そんでなあ、支那料理でも構めへんけど、今日はあたし、椅子やったら工合悪いよってに、日本座敷にしてほしい云うてんわ。そんなら、そこは支那人のやってる支那料理やねんけど、日本間も一つか二つある云うのんで、今陣場さんが電話で日本間予約してくれはりましてん。それでよろしいやろなあ?」
“野村先生常去那儿的,他希望定在那里。吃中国菜倒没什么,只是今天我不能坐椅子,想要个日本式的房间。他们说,那里虽然是中国人开的中国餐馆,但也有一两间日本式房间,刚才阵场夫人已经用电话定了日本间,你看这样好吗?”
「お前さえよかったら、僕は何処でもええけど、………お前、そないに立ったり居たりせんと、少しじっとしてなさい」
“只要你好,我上哪儿都行,不过……你不要那么来回走动,安静地坐一会儿。”
「そうかて、あたしを呼ばはるねんもん。………」幸子はそれから化粧室へ這入って行ったきり、二十分程姿を隠していたが、やがて一層青い顔をして戻って来た。と、陣場夫人がまた、「ちょっと」と云って呼んだので、貞之助は溜りかねて、
“可是,人家总是叫我……”幸子说罢走进洗手间,在里面待了二十分钟左右才回来,脸色更加惨白。这时,阵场夫人又叫幸子,贞之助忍不住了:
「いや、僕が行こう」と、立って行った。「あの、あれはまだ体の工合がほんとうでないので、………どう云う御用か、僕に仰っしゃって下さいませんか。………」
“不!我去吧。”说着站了起来,走到她身旁说:“哎,她身体还没有完全恢复……有什么事请跟我说吧。”
「あ、左様でございますか。実はあの、自動車が二台来ているのでございますけど、一台の方へ野村さんと、雪子さんと、私が乗りまして、一台の方へあなた方御夫妻と、宅の主人が乗ることにしましてはどんなものでございましょうか」
“啊,是这样。是这么回事,来了两辆汽车,野村先生、雪子小姐和我坐一辆,另一辆是您夫妇二人和我丈夫,您看这样行吗?”
「さあ、………野村さんの御希望なのでしょうか」
“那……是野村先生这样要求的吗?”
「いえ、そう云う訳ではないんですが、ただちょっと、そんな風にしたらどうかと思い付きましたものですから、………」
“不是,他没有那个意思,只是我想是否可以这样安排……”
「さあ、………」
“啊……”
貞之助は何となく不愉快さが込み上げて来るのを、顔に現わさないようにするのに骨が折れた。今日は幸子が体の支障を堪え忍んで、多少危険を冒しつつ出席するのであることは、昨日から通告してあるのだし、さっきからたびたびそれを匂わしているのに、陣場夫婦はそう聞かされながら、一言半句も見舞や同情の言葉を吐かないのが、何より貞之助は不満であった。尤も今日は縁起を担いでわざとそのことに触れないでいるのかも知れないが、それにしても、蔭で幸子を労わると云う心持を示してくれてもよさそうなものだのに、あまりにも気が利かな過ぎる。或はそんな風に思うのは此方の身勝手と云うもので、陣場夫婦の気持では、自分達の方こそ、今までに何回も延期々々で引っ張られて来たのだから、此処へ来てそのくらいな犠牲を払ってくれるのは当り前だ、と云う腹があるのであろうか。ましてこれは誰のためでもない、此方の妹のためであって、陣場夫婦は親切ずくでしているだけのことなのだから、向うにすれば、姉が妹の見合いのために体の故障を忍ぶぐらいが何であろう、それを自分達に恩にでも着せるように云うのはお門違いである、と思っているのであろうか。貞之助は、此方の僻みかも知れないけれども、この夫婦にも矢張井谷と同じような考、―――婚期におくれて困っている娘を自分達が世話をしてやるのだ、と云った考があって、彼等こそそれを恩に着せる気味合があるのではなかろうか、と云う風にも感じた。が、幸子の話だと、陣場と云う男は浜田丈吉が社長をしている関西電車の電力課長であると云うから、社長に忠義立てをするために野村の意を迎えようとして一生懸命になり過ぎ、つい外の事に気が廻らなくなっているのだと解釈するのが、一番当っているかも知れない。それで野村と雪子とを一つ車へ乗せようと云うのが、陣場夫人の忠義立てから思い付いた案なのか、野村の意を受けての提議なのかは明かでないが、何にしても今の場合少し非常識で、貞之助は馬鹿にされているような気がした。
贞之助不由得感到很不快,好不容易才克制着没让表情垮下来。贞之助最不满的是,今天幸子忍受着疾病的折磨,多少冒着点危险来的,昨天就已经和阵场夫人说清楚了,刚才又一再暗示。阵场夫妇明明知道,却一句慰问和同情的话也没说。当然,也许是她图吉利,故意不提这件事,但也不妨暗地表示一下怜恤幸子的心情,他们夫妇真是太麻木不仁了。可是,贞之助转而一想,以上这些都是站在自己立场上的想法,而阵场夫妇也许在想,就是你们一再延期才拖延到今天,幸子既然来了,做出那么一点牺牲也是应当的。贞之助又想到,何况这不是为了别人,而是为了幸子的妹妹,阵场夫妇只是好心帮忙,在他们看来,姐姐为了陪妹妹相亲忍受一点痛苦又何妨?怎么还要叫人家感恩,岂非本末倒置?贞之助又想,这也许是自己的偏见,这对夫妇的想法和井谷一样,认为他们是在帮我们的忙,为迟迟未嫁而陷入困境的妹妹做媒。正因为他们有这种想法,才觉得只有他们才有权要求人家感恩。贞之助又想,据幸子说,阵场在滨田丈吉任总经理的关西电车公司当电力课长。他为了效忠经理,一心逢迎野村而做得太过分,不知不觉便把其他的事都丢到九霄云外去了,这种解释也许最为中肯。让野村和雪子同坐一辆车,是阵场夫人为了讨好野村而想出来的点子,还是野村授意的尚不得而知。但无论怎样,在今天这样的场合,却有点不合常情,贞之助感到自己被愚弄了。
「如何でございましょう、雪子さんがお厭でなかったら、………」
“您认为怎样呢?如果雪子小姐不反对的话……”
「さあ、雪子はああ云うたちですから、厭と云うことは申しますまいけれども、話が順調に運びさえしましたら、そう云う機会は今後いくらでもある筈ですから、………」
“啊,雪子那样性格的人,是不会说反对的。不过,只要事情谈得顺利,那种机会今后一定有很多……”
「はあ、はあ」と云いながら、夫人は漸く貞之助の眼の色を看て取って、鼻を蝦のようにして苦笑いした。
“是的,是的。”阵场夫人这么说着,渐渐看出了贞之助的脸色,皱着鼻子苦笑了一下。
「………それに何ですよ、そう云う風にされますと、雪子は一層極まりを悪がって口を利かなくなる方ですから、却って結果が良くないだろうと思うんですが、………」
“……还有,如果让他俩坐一辆车,雪子会更害羞,更少开口了,结果反而不好。”
「ああ左様で。………いえ、ただちょっと思い付きましたので、申し上げてみただけなんですから、それなら何でございます、………」
“啊,是那样……不,我只是一时想到的,就说给您听听而已。那么……”
しかし貞之助の癇に触ったのは、これだけではなかった。北京楼と云うのは省線の元町駅の山側の高台にあると云うので、自動車は横着けになるのでしょうなと、念を押すと、大丈夫です、御心配には及びませんと云うことであったが、行って見ると、成る程門前へ横着けになるにはなるが、そこは元町から神戸駅へ通う高架線の北側に沿うた道路に面していて、玄関まではなお相当に急な石段を幾階も上らねばならず、玄関から又二階の階段を上るのであった。幸子は貞之助に労わられつつ後れてゆっくり上って行ったが、二階へ上り切ってしまうと、廊下に立って海の方を展望していた野村が、そんなことには無頓着に、
但是,令贞之助大动肝火的还不止如此。听说北京楼位于铁道省营电车线的元町车站旁边山上的高坡上,贞之助一再叮问汽车能不能开上去,他们回答“没事儿,不用担心”。车开到那里时,确实能停在门前的大路上。这是沿着从元町至神户站的高架铁路北侧的一条大路,从大路到饭店大门口,还得上几级很陡的石阶,从大门口上二楼,又要上楼梯。幸子由贞之助搀扶着,在后面慢吞吞地走着,好不容易才挪到二楼。这时,早已上来的野村,正站在走廊上眺望大海,对幸子的困苦视而不见,兴高采烈地问:
「どうです蒔岡さん、此処はなかなか見晴らしがいいでしょう」と、ひどく上機嫌な声で云った。
“怎么样?莳冈先生,这里的景致相当不错吧?”
すると、並んで立っていた陣場が、「成る程、これはいい所をお見つけになりましたな」と、合槌を打った。「此処から港町を瞰おろしておりますと、ちょっと長崎へ参ったような異国情調を感じますな」
和他并肩站着的阵场也随声附和说:“真的不错,您可真找了个好地方呢!从这里俯视港町,感到像是到了长崎似的,有一些异国情调。”
「そうですそうです、ほんとうに長崎の感じです」
“对,对,的确有长崎的情调。”
「わたくし、南京町の支那料理屋へはよく参りますのですが、神戸にこう云う家があるとは存じませんでした」
“我常去南京町的中国餐馆,可不知道在神户还有这么一家馆子。”
「此処は県庁に近いもんですから、僕等は始終やって来るんです。ちょっと料理も旨いんでしてね」
“这里离县府很近,我们经常上这儿来,菜也还相当好吃。”
「ああ、左様で。………それに異国情調と申せば、この建物が何処か支那の港町にあるような建て方で、変っているじゃございませんか。支那人の経営している支那料理屋と云うと、兎角殺風景なものが多うございますが、この欄干や欄間の彫刻と云い、部屋の中の装飾と云い、特色があって面白うございますな」
“啊,是这样的……提到异国情调,这栋房子有点儿像中国港口城市的那种建筑式样,非常别致。中国人开的中国餐馆,往往有煞风景的地方,但是,这种栏杆和栏杆之间的雕刻、室内的装饰,还是很有特色,有些趣味。”
「港に一艘軍艦らしいものが這入っておりますなあ、―――」と、幸子も今は仕方なしに気を引き立てて、「あれ、何処の国の軍艦でございましょうか」などとおあいそを云っていたが、
“港口里像是停了一艘军舰呢!”幸子也无奈打起精神应酬着说,“那是哪国的军舰呢?”
階下の帳場へ掛合いに行っていた陣場夫人が、その時困った顔をしてあたふたと上って来た。
这时,到楼下账房去交涉的阵场夫人匆匆忙忙走上来,为难似的说:
「幸子さん、えらい申訳がないねんけど、日本間塞がってるよってに、支那間で辛抱してほしい云うねんわ。………さっき電話かけた時は、分りました、確かに日本間取って置きます云うてんけど、何せ、ここのうちはボーイが支那人ばかりでっしゃろ、そやさかいに、何遍も念押したことは押したけど、やっぱり此方の云うことがあんじょう通じてえへなんでんわ。………」
“幸子夫人,非常对不起,他们说日本间都满了,请将就坐中国间……刚才打电话的时候,他们还说,明白了,保证留下日本间。不过,这里的招待都是些中国人,尽管我再三叮嘱了,到头来还是没听懂我的话。”
貞之助はこの二階へ上った時から、廊下に面した支那間が用意してあるのを見て、変に思っていたのであるが、ボーイの聞き違いだとすれば強ち夫人を責める訳には行かないようなものの、電話に出たのがそんな頼りない支那人のボーイであったのなら、何とかその上にも念の入れ方があったろうものを、畢竟幸子に対する労わりの心が足りないところから起ったのであるとしか思えなかった。それに夫の陣場にしても、野村にしても、約束が違ったことについては何の弁解もしないで、頻りにこの場所の眺望を褒めてばかりいるのである。
贞之助一上楼便发现面对走廊的中国间里已经准备好了,就感到有点奇怪。假如是招待听错了,也不好责怪阵场夫人,但接电话的既然是那样靠不住的中国人,就应该想方设法再落实一下。这只能使人感到她太不怜恤幸子了。而且,不论是她的丈夫阵场还是野村,对于餐馆违约一事不作任何分辩,一个劲地称赞这个地方风景好。
「そんなら、此処で辛抱してくれはる?―――」と、陣場夫人は否応云わせないように、両手で幸子の手を握り締めて、子供が物をねだるような科をしながら云った。
“那么,就在这里将就将就吧!”阵场夫人不容分说地双手紧握着幸子的手,像小孩死乞白赖要东西似的央求着。
「はあはあ、此処かて結構なお座敷やないの。ほんに、ええとこ教せて戴いて、―――」
“哈,哈,这个房间也不错嘛!真的,野村先生让咱们知道了一个好地方。”
幸子は自分よりは夫の不機嫌そうなのが気になるので、「あんさん、―――」と、夫の方へこなしながら、「一遍此処へ悦子やこいさん等連れて来なされしませんか」
幸子注意到丈夫比自己还不痛快,转向丈夫说:“悦子她爸,以后咱们也带悦子和小妹她们来一次吧。”
「うん、港の船が見えるよってに、子供は喜ぶかも知れんな」と、貞之助は浮かぬ顔つきをしながら云った。
“嗯,这里能看到港口的船只,说不定孩子会喜欢的。”贞之助脸色阴沉地答应着。
野村と幸子とが向い合うようにして円テーブルを囲みながら、日本酒と紹興酒と前菜とで晩餐が始められ、陣場が昨今の新聞を賑わしている独墺合邦の話を持ち出したのを切掛けに、シュシュニック墺首相の辞職、ヒットラー総統の維納入り等が暫く話題に上ったが、蒔岡側は時々口を挟む程度で、ともすると野村と陣場だけの遣り取りになりがちであった。幸子は出来るだけ何気ないようにはしていたものの、トーアホテルで一回、此処へ来てから食卓に就く前に一回検べたところでは、明かに今夕家を出てから以後出血が殖えつつあって、急に体を動かしたことが原因であるに違いなく、それに、案じていた通り、背の高い堅い食堂の椅子に腰掛けているのが工合が悪く、その不愉快を怺えるのと、粗相をしてはと云う心配とで、直きに気分が塞いで来るのを、どうにも仕様がなかった。貞之助は、考えれば考えるほど腹が立って来るのであったが、妻が一生懸命に勤めている様子がよく分るにつけ、自分が無愛想にすれば尚更彼女へ負担をかけることになるので、結局彼も、酒の勢を借りてでも会話に穴をあけないだけの努力をしなければならなかった。
大家围着圆桌就座,野村和幸子相对而坐。首先上来的是冷菜、日本酒和绍兴酒。阵场先提起了这两天的热门新闻——德国和奥地利合并为联邦,接着谈了一阵奥地利总理许士尼格辞职、希特勒总统进入维也纳等等。莳冈家的人偶尔也插嘴说一两句,往往只是野村和阵场两人交谈。幸子尽量装作若无其事似的应酬着,不过,她在东亚饭店查看了一次,到了这里入席之前又看了一次,知道今晚从家里出来后出血量明显增加了,无疑是因为身体突然活动过多。而且不出所料,幸子坐在这样高靠背的硬木餐椅上很不舒服,她忍受着不快,又担心会出什么差错,心中觉得很难受,不久就是一副萎靡不振的样子。贞之助越想越生气,他分明看出妻子在尽力支撑,自己要是横眉竖眼的,她便会出来竭力周旋,这就更加重了她的负担。这样一想,结果他也借着酒力多说了些话,努力不冷场。
「そうそう、幸子さんこれが行けるんでっしゃろ」と、陣場夫人は、男達へお酌をするついでにお銚子4を幸子の方へ向けた。
“对了,幸子夫人能喝几杯吧?”阵场夫人向男人们斟过酒后,顺便把酒壶送到幸子面前。
「あたし、今日は飲んだらあきませんねん。―――雪子ちゃん、少し戴いたら」
“我今天不能喝酒——雪妹,你喝一点吧……”
「では雪子さん何卒、―――」
“那么,雪子小姐,请!”
「そしたら、この方を、―――」と、雪子は氷砂糖の這入った紹興酒の杯を舐めるようにした。
“要喝的话,我就喝这个。”说着,雪子抿了一口加了冰糖的绍兴酒。
彼女は姉たちがそんな風で気勢が上らないのと、野村が絶えず向う側からジロジロ視線を浴びせるのとで、一層きまり悪そうに下ばかり向いて、幅の狭い肩をいよいよ紙雛のように縮めていたが、野村は酔が循るにつれてだんだん饒舌になって行くのが、雪子と云うものを眼の前に見ている結果の、興奮のせいでもあるらしかった。
雪子看到姐姐姐夫那样意兴索然,加上野村不停地从对面直勾勾地盯着她,她更加害羞,老是低着头,那一双削肩渐渐缩得像个纸偶人一样。野村却随着酒力发作,渐渐变得饶舌了,眼前这个雪子,似乎也是令他兴奋的原因。
彼は浜田丈吉を親戚に持っていることが余程自慢であると見えて、浜田と云う名を何度となく口にし、陣場も「社長々々」と云って、ひとしきり浜田の噂をし、暗に浜田が従弟の野村をどんなに庇護しているかと云うことを匂わすのであったが、それより貞之助が驚いたのは、野村がいつの間にか、雪子自身のことは素より、彼女の姉妹たちのこと、亡くなった父のこと、本家の義兄夫婦のこと、妙子の新聞の事件のこと、等々蒔岡家に関する事柄を、よく調べ上げていることであった。そして、御疑念の点は何事に依らずお聞き下さいと云うと、いろいろ微細なことを質問し出したが、そんな問答の間にも、雪子のことを知るためには随分方々へ問い合せていることが分った。恐らく蔭に浜田が附いていて、調査の手が揃っていたからであろうが、野村の口ぶりから察すると、井谷の美容院、櫛田医師の所、マダム塚本の所、以前教わったことのあるピアノの教師の所、などへも人を遣っていることは確かで、瀬越との縁談が何の理由で破談になったかと云うこと、雪子が阪大でレントゲン写真を撮ったことまで知っているのは、井谷から聞いたと思うより外に心あたりがない。(そう云えば井谷は、或る方面からお嬢さんのことを問い合わせて来ましたので差支えない限り話してやりましたと、いつぞや幸子に云っていたことがあった。それにつけても、幸子は雪子の例のシミが、今度帰って来てからは全く影を消しているので、今日は安心していたのであるが、まさか井谷がそんなこと迄しゃべったであろうとは思えないながらも、この時ちょっとヒヤリとした)貞之助は専ら自分が引き受けて応対の任に当っているうちに、野村と云う人がひどく神経質であることが分って来、なるほどこれなら独語を云う奇癖があるとしても不思議でないような気がして来た。それにさっきからの様子を見ていると、野村には全然此方の腹の中が分らないで、もうこの縁は纏まるものと思い込んでいるところから、そんな工合に、細かなことを立ち入って尋ねるのであるらしく、トーアホテルで会った時の取り付きにくい印象とは別人のように活気づいて、ますます上機嫌になっていた。
看来他颇以自己是滨田丈吉的亲戚而洋洋自得,把滨田这个名字,不知叨咕了多少遍。阵场也是“总经理、总经理”地喋喋不休,谈论了一阵有关滨田的事,暗示滨田是怎样地在背后庇护他的表弟野村。更令贞之助惊异的是,不知在什么时候,雪子自身的事自不待言,野村还把莳冈姐妹的经历、亡父的生平、本家辰雄夫妇的情况以及妙子的新闻事件等有关莳冈家族的事情,全都查得一清二楚。而且,当贞之助说“有什么疑问都请提出来”时,野村开始问了许多细节。从中得知,为了了解雪子的情况,他进行了多方面的调查。或许滨田背地里为他提供了方便,他调查得很详细。从野村的话中得知,井谷的美容院,栉田医生的诊所,塚本的法国太太那儿,以前教雪子钢琴的教师那里,都肯定派人去过。甚至连和濑越的婚事何以吹了,雪子到阪大去照过 X 光,这些事他都知道。贞之助心想,这除了在井谷那儿打听得来别无途径(记得井谷曾向幸子说过,某方面来打听过雪子小姐的情况,她说的都是些不致有碍的话。这使幸子想起了雪子脸上的褐斑,这次回芦屋后全已消失,幸子也很放心。虽然她认为井谷不至于连这些事都说出来,但是,这时还是有点提心吊胆)。贞之助自己揽着与野村交谈,不久就发现野村这人颇为神经质。如此看来,有那种自言自语的怪癖也就不足为怪。而且,从刚才的情形来看,野村完全没有察觉对方的心思,一心认定能成功,才那样追问一些鸡毛蒜皮的事儿,才如此兴高采烈,仿佛变成了另外一个人,完全打破了在东亚饭店刚见面时难以接近的印象。
貞之助達の正直な気持は、好い加減にこの会合を切り上げて一刻も早く帰宅したいことであったが、帰り際になって又一つ当惑したことが起った。と云うのは、大阪へ帰る陣場夫婦が自動車で貞之助達を蘆屋まで送って行き、そこから自分達は阪急に乗ると云うことであったが、自動車が参りましたと云うので、出て見ると、一台しか来ていない。そして、野村さんのお宅は青谷で、同じ方向ですから、いくらか廻りになりますけれども乗せて行って上げて下さい、と云うのであった。貞之助は、新国道を一直線に帰るのと、青谷を廻って帰るのとでは、距離にしても大分相違があるばかりではない、青谷方面は路も悪く、勾配も多いことであるから、動揺が激しいのは知れているので、重ね重ね思いやりがなさ過ぎるのに又しても忿懣を覚えながら、車がぐいと曲る毎に妻がどんな顔をしているかとヒヤヒヤしたが、男三人が前列に席を占めたので、そのつどうしろを振り向く訳にも行かなかった。と、青谷の近くへ来た時に、野村が突然、如何です、珈琲を一杯さし上げたいから皆さんでお立ち寄り下さいませんか、と云い出した。そのすすめ方が実に熱心で、此方が再三辞退したぐらいでは聴き入れず、むさくろしい家ですけれども見晴らしのよいことは北京楼以上です、座敷に坐りながら港が一と目に見えるところが自慢なんです、まあちょっと上って、僕の生活ぶりも見て行って下さい、と、頻りに云う傍から陣場夫婦も口を添えて、折角ああ云われるのだから是非寄って上げて下さい、野村さんのお宅には婆やと小女がいるだけだそうで、誰にも気兼ねはありません、こう云う機会にお住居の模様を見ておいて下さったら何かの参考になるでしょう、などと云うのであったが、貞之助も、そう云っても縁のものだから、雪子の考を聞いてみないうちは打壊しな行動も取りたくないし、この話がどうなるにしても又どんなことで世話になるかも分らないのに、陣場夫婦の顔を立てないのも如何であろうか、………この人達だって、気は利かないが親切でしてくれているには違いないのだから、………と云ったような弱気が、もともと腹の底にあるので、そんならちょっとだけ寄せて戴きましょうかと、先ず幸子が云い出したのを切掛けに、我を折ってしまった。
贞之助他们的真实心情是只要聚会好歹结束了就片刻不停地早早回去。岂料临回家时又横生枝节,原来说定,回大阪的阵场夫妇用汽车送贞之助一行到芦屋,他们再从那里乘阪急电车回去。听说汽车来了,贞之助他们出去一看,只来了一辆车。阵场说:“野村先生府上在青谷,方向相同,虽然绕远了些,还是请他也坐这辆车吧。”走新国道直线回家与绕道青谷,不但距离相差很远,而且青谷这条路很差,起伏不平,颠簸得很厉害,这是明摆着的。贞之助坐在车上左思右想,愤懑不已,觉得他们也太不知道体恤人了。每逢车子急转弯时,贞之助都心惊肉跳,不知妻子会被颠成什么样子。三个男人坐在前面,他又不好每次都回头去看妻子。汽车驶近青谷时,野村突然提出:“请大家稍作停留,喝杯咖啡好吗?”那劝留的劲儿是够热心的,这一方再三推辞,他却执意不从,而且一再说:“寒舍虽然很简陋,但是视野之开阔在北京楼之上,坐在客厅里观望海港,真是一览无余,对这一点,我很以为自豪。请进去坐一会儿,看看我的生活情况再走。”阵场夫妇也在一旁附和说:“既蒙野村先生盛情邀请,请诸位务必进去坐一下。听说野村先生府上只有一个老太婆和一个使唤小丫头,也不用顾虑谁,利用这个机会看看居住条件,也可以作个参考嘛。”贞之助想,怎么说这也是一段缘分,没有听雪子的意见之前,他也不想去拆台。而且,不管这一次结果如何,说不定今后还得请阵场帮忙,如果扫了阵场夫妇的面子也不合适……这些人虽然不怎么机灵,可还是一片好心向着我们呢……他心里本有这种怯懦的想法,正在此时,幸子开口说:“那么,我们就稍微坐一会儿吧。”贞之助也就屈从了。
しかし此処でも野村の家へ行く迄には、足場の悪い、細い急な坂路を二三十間も上るのであった。野村は非常な燥ぎ方で、子供のように喜んでしまって、海の方が見える座敷の雨戸を大急ぎで開けさせ、書斎を見て戴きましょうと云って、ついでに家じゅうの部屋を台所まで案内して廻った。それが平屋建ての、六間ばかりしかない粗末な借家なのであったが、野村は仏壇のある六畳の茶の間へ引っ張って行って先妻と二人の子供の写真が飾ってある光景までも見せたりした。陣場は座敷に通されると、なるほどこの眺望は素敵ですな、仰っしゃる通り北京楼以上でございますなと、早速お世辞を云うのであったが、でもその座敷と云うのが、高い石崖の縁すれすれに建っていて、縁側にいると体が崖の外へ食み出しそうな、落ち着きの悪い気がするので、貞之助などは、自分であったらこう云う家にはとても不安で住んでいられそうもなく思えた。
可是,从这里到野村的家,还要走四五十米又窄又陡很难走的坡路。野村非常激动,像小孩一般高兴,急忙打开客厅朝海那面的木板套窗,先领着客人看了书房,顺便又带他们看了所有房间甚至厨房。这是租来的一栋平房,简陋粗放,共有六间房。有一个六铺席间大的设有佛坛的餐室,里面摆了他前妻和两个孩子的照片,阵场也带他们去看了。一走进客厅,阵场便忙不迭地奉承说:“果然不错,这里的风景真漂亮呀,正像您说的一样,比北京楼强多了!”不过,这间客厅建在高高的石崖边上,贞之助他们觉得,站在这缘廊上身体好像悬在石崖外边似的,很不安稳,如果是自己的话,这样的房子无论如何也不能安心住下去。
珈琲を呼ばれるとそこそこに、待たせて置いた自動車に乗ったが、
端上咖啡后,他们草草喝完,便上了等在那里的汽车。
「今夜は野村さん、えらい御機嫌やったやないか」と、走り出してから陣場が云った。
“今天晚上,野村先生可真高兴呢!”车子开动以后,阵场先生说。
「ほんに、野村さんがあないにしゃべらはるのん、今まで見たことあれへんなんだ。やっぱり若い綺麗な人が傍にいたはったせえやねんな」と、夫人も合槌を打ちながら、「なあ、幸子さん、野村さんの気持はもう聞かんかて分ってるさかいに、あんた等の考一つやわ。財産のないのんが欠点には違いないけど、そんでも浜田さんが附いてはるよってに、どんなことがあったかて生活に困るようなことはさせはれへん。何ならその点を、もっとはっきり浜田さんに保証して貰おやないの」
“的确,我从没见过野村先生说那么多话,毕竟是因为有一位年轻漂亮的小姐在旁边呢!”阵场夫人也夫唱妇随地说,“喂,幸子夫人,野村先生的心思不问也知道了,现在就看你们的了。没有财产当然是个缺点,不过,有滨田先生做后盾,万一有个什么事儿,也不会让他生活困难。如果需要的话,就请滨田先生更明确地做出保证好吗?”
「いや、有難う。ほんとうにいろいろとお骨折に与りまして、………いずれ相談いたしまして、本家の意見も聞きました上で、………」と、貞之助は切り口上で答えたが、それでも車から下りしなには、陣場夫婦に少し気の毒をしたようにも感じて、「今夜はえらい失礼をいたしまして」と、二度三度詑びを云った。
“不必了,谢谢您!真的多多有劳您了……等我们回去商量商量,征求本家的意见以后……”贞之助持重地回答。不过,在下车时,他觉得有点对不起阵场夫妇似的,便三番五次道歉:“今天晚上我们真是太失礼了!”